(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】セルフロック式、マルチポジション、およびスライドボタン式の直線的に作動可能な格納式ブレードまたはフックを備える軟部組織切断器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3211 20060101AFI20240607BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A61B17/3211
A61B17/00 600
(21)【出願番号】P 2023015663
(22)【出願日】2023-02-03
(62)【分割の表示】P 2021518163の分割
【原出願日】2019-10-02
【審査請求日】2023-03-01
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィラード ベンジャミン
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0235430(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0015104(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0270871(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0089121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル近位端部、ハンドル遠位端部、外面、および内部空間を含むハンドルであって、前記ハンドルが中心長手方向軸に沿って延びる、ハンドルと、
前記ハンドルの前記外面上に配置され、第1の方向に第1のアクチュエータ位置に、第2の方向に第2のアクチュエータ位置に移動可能なアクチュエータと、
前記中心長手方向軸に沿って延び、シース近位端部およびシース遠位端部を含むシースであって、前記シース近位端部が前記ハンドルの前記内部空間内に位置付けられ、前記シースの前記近位端部が前記ハンドルの前記
内部空間に接続された、シースと、
少なくとも部分的に前記シース内に位置付けられ、前記中心長手方向軸に沿って延び、シャフト近位端部およびシャフト遠位端部を含むシャフトであって、前記シャフトが、前記第1の方向にシャフトの第1の位置に移動するように構成され、第2の方向にシャフトの第2の位置に移動するように構成された、シャフトと、
前記ハンドルの前記内部空間内で前記アクチュエータおよび前記シャフトに接続された駆動およびロック機構であって、前記駆動およびロック機構が、前記アクチュエータの前記第1の方向または前記第2の方向の一方への移動に応答して、前記シャフトを前記第1の方向に移動させ、前記シャフトを前記シャフトの第1の位置にロックするように構成され、前記駆動
およびロック機構が、前記アクチュエータの前記第1の方向または前記第2の方向の他方への移動に応答して、前記シャフトを前記第2の方向に移動させ、前記シャフトを前記シャフトの第2の位置にロックするように構成された、駆動およびロック機構と、を備え、
前記駆動およびロック機構が、前記アクチュエータの連続的な直線移動を前記シャフトの断続的な直線移動に変換するように構成され、
前記駆動およびロック機構が、
前記アクチュエータの移動に応じて、前記中心長手方向軸に交差する回転軸で回転するゼネバホイールと、
前記ハンドルの前記内部空間内の前記シース近位端部に取り付けられたスライダと、
をさらに備え、
前記ゼネバホイールは、第1の表面上に設けられたピン及び半円カムを有し、
前記スライダが、少なくとも2つの半円溝、および前記少なくとも2つの半円溝の間に位置付けられた少なくとも1つのスロットを有し、
前記ピンが前記少なくとも1つのスロットと移動可能に係合するとき、前記スライダおよびシャフトが、前記第1の方向または前記第2の方向に移動するように構成され、
前記半円カムが前記少なくとも2つの半円溝の1つと移動可能に係合するとき、前記スライダおよび前記シャフトが、前記第1の方向または前記第2の方向に移動しないように構成される、
格納式外科用切断デバイス。
【請求項2】
前記シャフトが前記第1の方向に前記シャフトの前記第1の位置に動くとき、
前記シャフトの遠位端部のブレードが前記シースの前記遠位端
部内に位置付けられるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記シャフトが前記第2の方向に前記シャフトの前記第2の位置に移動し、
前記シャフトの遠位端部のブレードが前記シースの前記遠位端部を超えて位置付けられるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記駆動およびロック機構が、前記アクチュエータに接続され、前記アクチュエータに接続された表面と対向する表面上に位置付けられた歯を有するギアラックをさらに備え、前記ギアラックがハウジングの前記内部空間内に位置付けられ、前記ギアラックが前記アクチュエータと共に移動するように構成される、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記駆動およびロック機構が、歯を有するピニオンギアをさらに備え、
前記ピニオンギアが、前記ハウジングの前記内部空間内に位置付けられ、
前記ピニオンギアの前記歯が、前記ギアラックの前記歯と噛み合い、
前記ピニオンギアが、前記ギアラックの移動時に
回転するように構成される、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ゼネバホイールが、外周および第1の表面を備え、前記ピニオンギアに接続さ
れ、
ピンが、前記外周に隣接した前記第1の表面上に位置付けられ、
半円カムが、前記ピンに対向する前記第1の表面上に、前記
ゼネバホイールの前記外周から所定の距離に位置付けられ、
前記
ゼネバホイールが、前記ピニオンギアの
回転運動に従って回転するように構成される、
請求項5に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本発明は、2018年10月3日に出願された米国仮特許出願第62/740500号に関連するものであり、その優先権を主張する。本出願は、2017年6月13日に出願された米国仮特許出願第62/518803号、2017年6月26日に出願された米国仮特許出願第62/524769号、2017年12月12日に出願された米国仮特許出願第62/597612号、2018年4月4日に出願された米国仮特許出願第62/652365号の優先権を主張する、国際出願PCT/US18/36414号にも関連する。
【0002】
発明の分野
本発明は概して、軟部組織を切断するための外科用デバイスに関し、より具体的には、格納式ブレードまたはフックを有する軟部組織切断器具に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
手術中に、軟部組織は、外科用ブレードまたはフックブレードを有する切断デバイスを身体内の手術部位に挿入することによって切開される。いくつかの現在の切断デバイスは、露出した外科用ブレードまたはフックブレードを有する。切断デバイス上のブレードが露出している場合、ユーザおよび患者両方に損傷の可能性がある。一例では、ユーザは、切断デバイスを取り扱う際に、露出したブレードからの怪我のリスクがある。別の例では、患者は、露出したブレードが身体に出入りするときに怪我のリスクがある。露出したブレードが身体に出入りすると、誤って軟部組織を切断する可能性がある。
【0004】
さらに、現在の切断デバイスは、ユーザのために人間工学的に設計されておらず、これは誤操作の原因にもなり、ユーザおよび患者が怪我をするリスクがある。
【0005】
したがって、保護可能なブレードまたはフックブレードを有する、軟部組織を切断するための使いやすい外科用器具に対するニーズがある。
【0006】
さらに、手持ち式の手動で作動する動医療器具の分野では、ユーザの親指/指(複数可)によってデバイスを作動させて、互いに対して1つ以上の構成要素の2つ以上の別個の位置をもたらすことが望まれることが多い。さらに、ユーザの指/親指を器具のボタン/スイッチ/レバー/スライド/その他から取り除いた後でも、これらの位置を維持するこ
とが望まれることが多い。さらに、対象(患者、別の医療デバイスなど)に対して作業を行う際に機器が遭遇する可能性のある反力など、機器を作動または非作動にする目的で器具のユーザが加える力以外の外力によって器具が作用した場合でも、器具にこれらの構成要素の位置を維持させることが望まれることが多い。本開示の発明者らは、ロック機構がなければ、そのような力は、器具を望ましくない作動/非作動の状態に「逆駆動」する可能性があることを認識した。
【0007】
そのような器具内の機構の逆駆動を防止するために、ユーザ機器インターフェースを「ロック」するための多くの機構が存在するが、すべてに欠点がある。例えば、機構を特定の場所/構成に「ロック」するための一般的な手段として、摩擦による「戻り止め」がある。しかしながら、摩擦は機構の要素を所定の位置に保持する役割を果たすため、この保持能力は、戻り止め機構の摩擦力よりも大きな外力によって打ち負かされる可能性がある
。スライド、トリガ、またはレバーなどのユーザインターフェースアクチュエータを保持、ロック、または別の方法で「定位置にピン留めする」「ロックボタン」は、外部からの力が印加されたときに逆駆動に抵抗するインターフェースのポジティブロックを提供する。しかし、「ロックボタン」自体を作動させることは、ユーザにインターフェース自体を使用するという主な動作に加えて、別の第2の動作を行うことを要求する。さらに、ユーザは、器具を非作動にする前に「ロックボタン」を非作動にすることを忘れないように注意する必要があり、そうしないと、(少なくとも機構を壊したり変形したりしない限り)非作動が不可能になる可能性がある。作動中にアクチュエータが係合する1つ以上の横方向にオフセットされた「駐車位置」があり、アクチュエータがそれ以上作動するのを防ぎ、外力によって機構が逆駆動されるのを防ぐことができる、「ゲート式シフタ」タイプのアクチュエータ、を使用することができる。しかし、アクチュエータを「駐車場所」の1つに配置するために必要な横方向の動きは、左利きと右利きでは異なる。右利きのユーザは、アクチュエータを横方向に一方向に素早くフリックすることができる可能性があるが、左利きのユーザは、同じ方向(器具に対して同じ方向)に同じ作動を行うことがより困難になる場合がある。さらに、複数の別々の軸(例えば、縦方向および横方向)に沿った動作は、単一の軸に沿った運動(直線運動)がユーザにとってより容易である医療処置中に困難であること、および/または問題を引き起こすことが判明する場合がある。
【0008】
したがって、単一の軸に沿ったアクチュエータの運動(直線運動)毎に、医療デバイスの作動およびそれのロックを可能にする機構が必要である。
【0009】
関連技術の説明の項の免責条項:特定の特許/刊行物/製品がこの関連技術の説明の項またはこの開示の他の場所で説明されている限り、これらの説明は説明された特許/刊行物/製品が特許法の目的のための先行技術であるという承認として捉えるべきではない。例えば、説明された特許/刊行物/製品の一部または全ては、十分早期でない場合があり、十分早期に開発された主題を反映していない場合があり、および/または特許法の目的のために先行技術に相当するほど、十分に有効なものではない場合がある。特定の特許/
刊行物/製品が、この関連技術の説明の項および/または本出願全体で説明されている限り、それらの説明/開示はすべて、それぞれの全体が参照により本文書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、特に、格納式外科用切断デバイスを用いて組織を切断するためのシステムおよび方法に関する。一実施形態では、本発明は格納式外科用切断デバイスである。デバイスは、それを通って延びる第1のチャネルを有するハンドルを含む。ハンドル上に配置されたスイッチは、格納位置と延長位置との間で移動可能である。アクチュエータは、第1のチャネルを通って延び、ハンドル内のスイッチに接続される。アクチュエータは、その遠位端部にブレードも備える。 ブレードは、直線ブレード、角度付きブレード(それ自体および/またはシャフトから角度付けられている)、湾曲したブレード(それ自体および/またはシャフトから湾曲している)またはフックブレードなどを含む任意の形状のブレー
ドを含むことができるが、これらに限定されない。外側シースはハンドルに接続され、アクチュエータおよびブレードの少なくとも一部分を囲む。駆動機構は、ハンドル内のスイッチに接続され、それにより、スイッチが格納位置から延長位置に移動するとき、アクチュエータは格納位置から延長位置に移動する。アクチュエータが格納位置にあるとき、ブレードは(好ましい実施形態のように)完全に外側シース内にあることができ(そうである
必要はないが)、アクチュエータが延長位置にあるとき、ブレードの少なくとも一部分は
外側シースの外にある。
【0011】
デバイスの別の実施形態では、デバイスは、その中を延びる第1のチャネルを有するハンドルおよびその上に配置されたスイッチを含む。スイッチは、格納位置と延長位置との間で移動可能である。アクチュエータは、第1のチャネルを通って延び、ハンドル内の第
1のチャネルの近位端部に接続される。アクチュエータはその遠位端部にブレードを有する。外側シースは、アクチュエータ、およびブレードの少なくとも一部分を囲む。外側シースはスイッチとインターフェースする。駆動機構は、ハンドル内のスイッチに接続され、それにより、スイッチが格納位置から延長位置に移動するとき、外側シースは格納位置から延長位置に移動する。外側シースが格納位置にあるとき、ブレードは、(好ましい実
施形態のように)外側シース内に完全に位置付けられ(そうである必要はないが)、外側シ
ースが延長位置にあるとき、ブレードの少なくとも一部分は外側シースの外側に位置付けられる。
【0012】
一実施形態では、本発明は組織を切断する方法を提供する。方法は、(i)ハンドルを通って延びる第1のチャネルを有するハンドルと、格納位置と延長位置との間で移動可能なハンドル上に配置されたスイッチと、第1のチャネルの近位端部まで延びるアクチュエータと、アクチュエータの遠位端部にあるブレードと、スイッチにインターフェースする外側シースであって、外側シースがアクチュエータを囲む、外側シースと、ハンドル内のスイッチに接続された駆動機構と、を有する、格納式外科用切断デバイスを提供するステップと、(ii)スイッチを、デバイスを通って延びる長手方向x軸に沿って第1の方向に移動させるステップと、(iii) アクチュエータに対して駆動機構を介して外側シ
ースを移動させるステップと、(iv) ブレードの少なくとも一部分を露出するステッ
プと、を含む。方法は、外側シースを手術部位に進めるステップと、ブレードを用いて手術部位の組織を切断するステップと、をさらに含むことができる。
【0013】
デバイスのさらなる実施形態では、デバイスは、ハンドル近位端部、ハンドル遠位端部、外面、および内部空間を含むハンドルであって、該ハンドルは中心長手方向軸に沿って延びる、 ハンドルと、ハンドルの外面に配置され、第1の方向に第1のアクチュエータ
位置に、および第2の方向に第2のアクチュエータ位置に移動可能な アクチュエータと
、中心長手方向軸に沿って延び、シース近位端部およびシース遠位端部を含むシースであって、シース近位端部がハンドルの内部空間内に配置され、シースが第1の方向にシース第1の位置に移動するように構成され、第2の方向にシース第2の位置に移動するように構成された、 シースと、少なくとも部分的にシース内に配置され、中心長手方向軸に沿
って延び、シャフト近位端部およびシャフト遠位端部を含むシャフトであって、シャフト近位端部がハンドルの内面に接続され、シャフト遠位端部がブレードを含む、 シャフト
と、ハンドルの内部空間内でアクチュエータおよびシースに接続された駆動およびロック機構であって、駆動およびロック機構は、アクチュエータの第1の方向または第2の方向の一方への移動に応答して、シースを第1の方向に移動させ、シースをシース第1の位置にロックするように構成され、駆動機構は、アクチュエータの第1の方向または第2の方向の他方への移動に応答して、シースを第2の方向に移動させ、シースをシース第2の位置にロックするように構成された、駆動およびロック機構と、を含む。
【0014】
デバイスのさらなる実施形態では、デバイスは、ハンドル近位端部、ハンドル遠位端部、外面、および内部空間を含むハンドルであって、該ハンドルは中心長手方向軸に沿って延びる、 ハンドルと、ハンドルの外面に配置され、第1の方向に第1のアクチュエータ
位置に、および第2の方向に第2のアクチュエータ位置に移動可能な アクチュエータと
、中心長手方向軸に沿って延び、シース近位端部およびシース遠位端部を含むシースであって、シース近位端部がハンドルの内部空間内に配置され、シースが第1の方向にシース第1の位置に移動するように構成され、第2の方向にシース第2の位置に移動するように構成された、 シースと、少なくとも部分的にシース内に配置され、中心長手方向軸に沿
って延び、シャフト近位端部およびシャフト遠位端部を含むシャフトであって、シャフト近位端部がハンドルの内面に接続され、シャフト遠位端部がブレードを含む、 シャフト
と、ハンドルの内部空間内でアクチュエータおよびシースに接続された駆動およびロック機構であって、駆動およびロック機構は、アクチュエータの第1の方向または第2の方向
の一方への移動に応答して、シースを第1の方向に移動させ、シースをシース第1の位置にロックするように構成され、駆動機構は、アクチュエータの第1の方向または第2の方向の他方への移動に応答して、シースを第2の方向に移動させ、シースをシース第2の位置にロックするように構成された、駆動およびロック機構と、を含む。
【0015】
ある実施形態によれば、作動およびロック機構は、ユーザが手持ち式の手動で作動させる外科用器具の作動構成要素を移動範囲の両端部でロックして、任意の構成要素の「逆駆動」を防止し、作動を所定の位置に「ロック」するために、他の追加行動もしくは動作を実行するか、または任意の他のスイッチもしくはボタンとインターフェースする必要なしに、その構成要素を所定の位置にロックすることを可能にするという、主要な技術的成果を達成している。一実施形態では、ロックは摩擦によって実行されず、デバイスを特定の作動/非作動状態に一時的に保持するために使用され得る摩擦を打ち負かすことによって、デバイスの任意の構成要素を逆駆動することに対する抵抗をもたらす。このポジティブな機械的なロック機能は、器具の作動/非作動をもたらすために使用されるのと全く同じ動きに完全に統合されている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の1つ以上の態様は、本明細書の結論で特許請求の範囲の例として具体的に指摘され、明確に特許請求される。本発明の前述の、ならびに他の目的、特徴、および利点は、添付図面と併せて取り上げられる以下の記載から明らかである。
【0017】
【
図1】格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図2】
図1の格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の分解斜視図概略図である。
【
図3A】フックブレードの例示的実施形態の上面図概略図である。
【
図3B】ブレードの例示的実施形態の上面図概略図である。
【
図4】2ピースアクチュエータの例示的実施形態の上面図および側面図概略図である。
【
図5A】
図4の2ピースアクチュエータおよびブレードの例示的実施形態の斜視図概略図である。
【
図5B】ブレードに接続された
図4の2ピースアクチュエータの例示的実施形態の上面図概略図である。
【
図5C】ブレードに接続された
図4の2ピースアクチュエータの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図5D】ブレードに接続された
図4の2ピースアクチュエータの例示的実施形態の斜視図概略図である。
【
図6】外側シースの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図7】外側シースの代替的な例示的実施形態の拡大斜視図概略図である。
【
図8A】格納位置にある
図1の格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の切欠側面図概略図である。
【
図8B】延長位置にある
図1の格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の切欠側面図概略図である。
【
図9】
図1の格納式外科用切断デバイスのスイッチの例示的実施形態の斜視図概略図である。
【
図10】スイッチの代替的な例示的実施形態の斜視図概略図である。
【
図11】格納式外科用切断デバイスの代替的な例示的実施形態の分解斜視図概略図である。
【
図12A】格納位置にある
図11の格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図12B】延長位置にある
図11の格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図13】駆動機構の代替的な例示的実施形態の分解側面図概略図である。
【
図14】
図13の駆動機構を有する格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の分解斜視図概略図である。
【
図15】延長位置にある
図14の格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図16A】格納位置にある格納式外科用切断デバイスの駆動機構の代替的な例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図16B】延長位置にある
図16Aの格納式外科用切断デバイスの駆動機構の例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図17】格納式外科用切断デバイスの例示的追加実施形態の側面図概略図である。
【
図18】ハンドルの第2のピースが取り外された格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図19】格納式外科用切断デバイスの駆動機構およびスライダの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図20】格納式外科用切断デバイスの駆動機構およびスライダの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図21】格納式外科用切断デバイスの駆動機構およびスライダの例示的実施形態の側面図概略図である。
【
図22】格納式外科用切断デバイスの駆動機構およびスライダの例示的実施形態の側面図概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の態様およびその特定の特徴、利点、ならびに詳細は、添付図面に図示した非限定的な例を参照しながらより完全に以下に説明される。本発明の詳細を不必要に不明瞭にしないよう、周知の構造の説明は省略される。しかし、当然のことながら、詳細な説明および特定の非限定的な例は、本発明の態様を示すものであるが、例示のみの目的で与えられ、限定の目的ではない。基礎となる発明の概念の精神および/または範囲内での様々な置換、修正、追加、および/または配置は、本開示から当業者には明らかであろう。
【0019】
ここで
図1を参照すると、格納式外科用切断デバイス10の例示的実施形態の側面図概略図が示されている。デバイス10は、遠位ブレード16に延びる外側シース14に接続されたハンドル12を備える。ブレード16は、後で詳しく説明するように、ハンドル12上のアクチュエータ(例えば、ボタン、スイッチ、レバー、ノブ)18の作動により、選択的に延長および格納される。
図1に示すように、ハンドル12は、親指および他の
指の溝を含むことができ、それにより、ハンドル12の形状は人間工学的である。ハンドル12の人間工学的設計は、その意図された使用に対してデバイス10の制御を向上させる。他の実施形態では、ハンドル12はより少ない溝を有してもよく、または完全に溝を有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル12はプラスチックで構成されているが、ハンドル12は、ステンレス鋼または外科用デバイスに適した他の従来材料から構成されてもよい。
【0020】
ここで
図2を参照すると、
図1の格納式外科用切断デバイス10の例示的実施形態の分解図概略図が示されている。図示した実施形態では、デバイス10のハンドル12は、第1のピース20および第2のピース22である、2つのピース、を備え、それを通して1つ以上のチャネルを有する。代替的な実施形態では、ハンドル12は、単一ピースで成形されてもよく、またはそうでなければハンドル12の内側構成要素の周りに形成されてもよい。
図2を続けると、ハンドル12は、ブレード16に接続されたアクチュエータ26に対してサイズ設定、寸法設定、および別途構成された第一のチャネル24を備える。アクチュエータ26は、ハンドル12の中心をほぼ通って延びるx軸に沿って両方の方向に
、外側シース14内に長手方向に移動する。アクチュエータ26の長手方向の移動は、後で詳細に説明するように、ハンドル12内の駆動機構28によって引き起こされる。他の実施形態では、アクチュエータ26は静止したままで、駆動機構28は外側シャフト14をアクチュエータ26およびブレード16に対して相対的に移動させる。 一実施形態で
は、アクチュエータ26は、その遠位端部30に機械加工されたブレード16を備える。したがって、アクチュエータ26およびブレード16の実施形態は、単一ピースの実施形態であることができる。
【0021】
ここで
図3A~
図3Bを参照すると、ブレードの例示的実施形態の上面図概略図が示されている。
図3A~
図3Bのブレード16は、アクチュエータ26およびブレード16の2ピースの実施形態においてアクチュエータ26に接続するための開口部44を備える。
図3Aは、ブレード16が少なくとも1つの鋭利な縁部34および1つの非鋭利な縁部30を有するフックブレードである、実施形態を示す。
図3Bは、ブレード16が、2つの鋭利な縁部34(例えば、上部および下部)を有する外科用ブレードである、実施形態を示す。鋭利な縁部34および/または非鋭利な縁部30の任意の組み合わせおよび数がブレード16に対して意図されている。
【0022】
ここで
図4を参照すると、2ピースアクチュエータ26のアクチュエータ26およびブレード16の例示的実施形態の上面図概略図および側面図概略図が示されている。ブレード16を含む1ピースアクチュエータ26と比較して、
図4のアクチュエータ26は、ブレード16とは別個であり、それ以外にはブレード16には機械加工されていない。
図4のアクチュエータ26は、ブレード16および駆動機構28に接続するための1つ以上のノッチを備える。アクチュエータ26の近位端部36には、アクチュエータ26を駆動機構28に接続するためのノッチ38がある。別の実施形態では、近位端部36におけるノッチ38は、駆動機構28をアクチュエータ26に取り付けるための開口または他の手段であってもよい。アクチュエータ26は、その遠位端部30に1つ以上のノッチ40、42も備えることができる。アクチュエータ26の遠位端部30にあるノッチ40、42は、ブレード16への取り付けのために構成される。
【0023】
ここで
図5A~
図5Dを参照すると、2ピースアクチュエータ26の遠位端部30およびブレード16の例示的実施形態の様々な図の概略図が示されている。
図5Aに示すように、アクチュエータ26の遠位端部30は、第1のノッチ40および第2のノッチ42を有するが、ブレード16はその近位端部46に開口44を有する。図示した実施形態では、第1のノッチ40および第2のノッチ42は、互いに反対側の方向に延びる凹部を有する。2ピースアクチュエータ26およびブレード16を組み立てるために、アクチュエータ26の遠位端部30は、ブレード16の近位端部46の開口44にある角度で挿入される。アクチュエータ26の遠位端部30は、第2のノッチ42が開口44を通るまで挿入される。その後、
図5C~
図5Dに示すように、(
図4に示す)アクチュエータ26の近位端部36は、ブレード16から離れて、ブレード16と同じ平面内に回転し、ブレード16を所定の位置にロックする。
図5Bに示す通り、アクチュエータ26の遠位端部30上の第2のノッチ42は、開口44の遠位側面48上のブレード16と係合し、第1のノッチ40は、開口44の近位側面50上のブレード16と係合する。
【0024】
ここで
図6を参照すると、外側シース14の近位端部52および遠位端部54の例示的実施形態の上面図概略図が示されている。図示した実施形態では、外側シース14は、外側シース14が第一の内部容積56を有するようにカニューレが挿入される。外側シース14は、アクチュエータ26およびブレード16の少なくとも一部分の周りに適合するサイズおよび寸法である。言い換えれば、アクチュエータ26およびブレード16は、外側シース14がアクチュエータ26およびブレード16の少なくとも一部分を囲むように、外側シース14の第一の内部容積56に挿入される(
図1に示すように)。外側シース1
4は、アクチュエータ26の長手方向の移動が(駆動機構28を介して)、ブレード16を外側シース14から延ばし、格納するように、デバイス10のハンドル12に固定される。代替的な実施形態では、外側シース14はスイッチ18に固定され、x軸に沿ったスイッチの長手方向の移動が、静止アクチュエータ26およびブレード16に対して外側シース14を移動させる。
【0025】
図6は、外側シース14が狭い部分58を有する実施形態も示す。外側シース14の狭い部分58は、外側シース14の第1の内部容積56の直径よりも小さい直径を有する第2の内部容積60を有する。一実施形態では、狭い部分58は、
図6に示すように、アクチュエータ26の遠位端部30およびブレード16に向かう方向にテーパー付けされる。しかしながら、狭い部分58は、第1の内部容積56の直径よりも小さい直径を有する第2の内部容積60を有するためにテーパー付けされる必要はない。より小さな直径を有する第2の内部容積60を有する狭い部分58は、ブレード16が不注意でアクチュエータ26から切り離される可能性を防止するのに役立つ(2ピースの実施形態では)。狭い部分58は、その形状および/またはPEEKなどの非金属材料で構成されていることに基づいて、手術部位またはその近傍での損傷を防止するための非外傷性先端部を提供することもできる。ブレード16をアクチュエータ26に固定しているノッチ40、42が故障した場合、狭い部分58および第2の内部容積60は、デバイス10から落下するのとは対照的に、ブレード16を外側シース14内に維持する。
【0026】
図7を簡潔に参照すると、外側シース14の遠位端部54の代替的な例示的実施形態の拡大斜視図概略図が示されている。図示した実施形態では、遠位端部54は狭い部分58を有さない。外側シース14の遠位端部54はインサート62を有する。インサート62は、好ましくは、PEEKなどの非金属材料から構成される。インサート62は、手術部位の損傷を防止するための非外傷性先端部を提供する。例えば、インサート62は、接合部空間内の軟骨構造への損傷を防止するように構成される。
図7は、カニューレの有無にかかわらず、外側シース14およびブレード16を手術部位(例えば、関節腔)に導入できるように、インサート62内に凹んだブレード16を示している。
【0027】
ここで
図8A~
図8Bを参照すると、それぞれ格納位置および延長位置にある
図1の格納式外科用切断デバイスの例示的実施形態の切欠側面図概略図が示されている。ハンドル12は、その中に駆動機構28を備え、外側シース14内のx軸に沿った長手方向の両方の方向において、アクチュエータ26およびブレード16の移動を促進する。
図8A~
図8Bに示す実施形態では、駆動機構28は一対のばねを含む。一対のばねは、引張コイルばね64および板ばね66(または薄い金属ピース)を含む。図示の実施形態では、引張コイルばね64はコイルばねであり、板ばね66はリーフスプリングである。ばねの多数の組み合わせを利用して、第1のチャネル24に沿ったアクチュエータ26の移動を促進することができる。
【0028】
さらに
図8A~
図8Bを参照すると、引張コイルばね64は、ハンドル12内の第1のチャネル24の近位端部76で接続される。引張コイルばね64は、ねじまたは他のコネクタを介して取り付けられてもよい。引張コイルばね64の自由端部は、アクチュエータ26に接続される。アクチュエータ26は、第1のチャネル24から延び、第1のチャネル24に接続されるハンドル12内のレセプタクル78の上に第1のチャネル24を通って延びる。板ばね66は、ねじまたはその他のコネクタを介してレセプタクル78に取り付けられる。図示の実施形態に示すように、引張コイルばね64および板ばね66の両方は、x軸に沿って長手方向に延びる。
【0029】
デバイス10を組み立てるための一実施形態では、アクチュエータ26の近位端部36は、まずスイッチ18に取り付けられ、引張コイルばね64上にフックされる。次いで、
引張コイルばね64は、ハンドル12の第1のチャネル24内に配置されたポストの上でループされる。板ばね66は、ハンドル12の遠位端部80の近くで、アクチュエータ26の下に位置付けられる。外側シース14はハンドル12に取り付けられ、ハンドル12の2ピース20、22は一緒に組み立てられる。
【0030】
さらに
図8A~
図8Bを参照すると、引張コイルばね64は、アクチュエータ26を介してスイッチ18に間接的に接続され、x軸に沿ったアクチュエータ26の長手方向の移動を容易にする。スイッチ18は、ハンドル12の外部から第2のチャネル68を通って延びる。第2のチャネル68は、ハンドル12の外部から第1のチャネル24内に延びる。スイッチ18の例示的実施形態を
図9に示す。スイッチ18は、本体部分72に接続された外側部分70を含む。図示の実施形態では、外側部分70の幅は、第2のチャネル68の幅よりも大きな幅を有し、それにより、スイッチ18の外側部分70はハンドル12の外側に維持される(
図8A~
図8Bに示すように)。
図9の実施形態にも示すように、スイッチ18は、アクチュエータ26に接続するように構成されたアクチュエータスロット82を有する。
【0031】
さらに
図9を参照すると、スイッチ18の本体部分72は、一対のフランジ74を有する。一対のフランジ74は、第2のチャネル68に沿ったスイッチ18の本体部分72の移動を促進する。具体的には、スイッチ18のフランジ74および外側部分70は、第2のチャネル68の両側でハンドル12の内部の周りに嵌合するように寸法設定され、それにより、
図8Aに示すように、デバイス10が格納位置にあるときに、外側部分70は第2のチャネル68の上にあり、フランジ74は第2のチャネル68の下にある。格納位置では、ブレード16は完全に外側シース14内にある。 第2のチャネル68の両側のハ
ンドル12の周りの外側部分70とフランジ74との嵌合は、スイッチ18が、x軸に沿って長手方向にスライドしてデバイス10を延長位置に移動させるのを可能にするように十分緩くなければならない。
【0032】
使用時に、スイッチ18がハンドル12の遠位端部80に向かって移動するとき、
図8Bに示すように、引張コイルばね64は延び、スイッチ18は板ばね66に接触する。板ばね66は、フランジ74の少なくとも1つがハンドル12の第2のチャネル68内のシェルフ84に接触するまで、第2のチャネル68を通して上方および外にスイッチ18を押し付ける。具体的には、スイッチ18が板ばね66から上向きに、離れるように押し付けられると、スイッチ18上のフランジ74の少なくとも1つは、ハンドル12のシェルフ84とインターフェースし、それによりスイッチ18を定位置にロックする。シェルフ84は、スイッチ18がハンドル12の第2のチャネル68から切り離されるかまたは他の方法で落ちるのを防止する。スイッチ18がシェルフ84に対して定位置にロックされると、デバイス10は延長位置にロックされる。延長位置では、ブレード16は外側シース14から延び、使用のために露出される。
【0033】
使用後、スイッチ18は板ばね66に向かって下向きに押され、第2のチャネル68に沿って近位に移動する。スイッチ18を下向きに押圧することにより、フランジ74はシェルフ84から解放され、スイッチ18はロック解除されるか、または第2のチャネル68内で近位に自由に動くことができる。一実施形態では、デバイス10は、スイッチ18がロック位置および/またはロック解除位置に達したという音声表示を発する。例えば、フランジ74と棚84との間にインターフェースすることにより、可聴クリック音を引き起こすことができる。
【0034】
図8A~
図8Bに示す実施形態では、スイッチ18はデバイス10の上側面86上に配置される。しかし、スイッチ18は、例えば
図10のスイッチ18など、デバイス10上の他任意の位置に位置付けられるように構成することができる。
図10に示すスイッチ1
8の実施形態は、本体部分72に接続された外側部分70を含む。スイッチ18の本体部分72は、
図8A~
図9に示す実施形態と同様の、第2のチャネル68に沿ったスイッチ18の本体部分72の移動を促進する一対のフランジ74を有する。
【0035】
図10のスイッチ18は、
図11に示すように、デバイス10の下部側面88上に位置付けることができる。
図11に示す実施形態では、スイッチ18は、デバイス10のハンドル12上のユーザのグリップ近傍に配置されているので、ユーザはスイッチ18に簡単にアクセスできる。
図2に示す実施形態で、アクチュエータ26に接続された第1のチャネル24は、
図11に示す実施形態で、スイッチ18を通って延びる。具体的には、
図10のスイッチ18の本体部分72は、アクチュエータ26を受容し、収容するための開口90を備える。図示した実施形態では、外側シース14は、例えば、開口90の外周でスイッチ18に接続される。
【0036】
ここで
図12Aを参照すると、格納位置にある
図11のデバイスの例示的実施形態の側面図が示されている。格納位置では、ブレード16は外側シース14内に収容され、スイッチ18は作動しない。格納位置から、スイッチ18を押圧する(すなわち、作動させる)ことで、スイッチ18をハンドル12内で近位に移動させる。スイッチ18が移動するにつれて、スイッチ18は接続された外側シース14を近位に引き出すが、アクチュエータ26が静止したままである。外側シース14の近位移動は、
図12Bに示す通り、使用のためにアクチュエータ26の遠位端部30でブレード16を露出する。
【0037】
ここで
図13~
図15を参照すると、駆動機構28の代替的な実施形態の様々な図が示されている。
図14に示す実施形態では、駆動機構28は、スイッチ18、ギア92、および外側シース14上のラック94(またはトレッド)を備えるラックアンドピニオンアセンブリである。
図14に示すように、外側シース14は第1のチャネル24を通って延びる。外側シース14上のラック94は、スイッチ18の下部側面96とインターフェースするハンドル12内のギア92とインターフェースする。スイッチ18の下部側面96は、ギア92と係合するラック(またはトレッド)も備える。格納位置から、スイッチ18は遠位に移動し、これによってスイッチ18の下部側面96がギア92を回転させる。ギア92の回転は、ラック94によって外側シース14を近位に引く。外側シース14がハンドル12の中へと近位に移動するにつれて、
図15に示すように、アクチュエータ26はブレード16の少なくとも一部分の露出を引き起こす。別の実施形態によれば、ユーザが作動させて、ギア92がラック94の上で回転する能力を選択的に停止させる(そして、ギア92がラック94の上を回転することを可能にするために逆転/解放される)ことができるロック機構が提供される。そのようなロック機構は、例えば、押しボタン、レバーアーム、戻り止め、または、例えば、ギア92がラック94上で回転するのを阻止する他の機構、を含むことができる(本開示のレビューと関連して当業者には理解されるよ
うに)。
【0038】
別の実施形態では、
図16A~
図16Bに示すように、駆動機構28はスライド式ワイヤアセンブリである。スライド式ワイヤアセンブリは、スイッチ18、ワイヤ(またはフ
ラットストック)98、および外側シース14を備える。図示した実施形態では、ワイヤ
98は、スイッチ18と外側シース14の両方に取り付けられており、ねじ、成形されたチャネル、または他の既知のコネクタによって緩く収容されている。
図16Aは、格納位置におけるスライド式ワイヤアセンブリを備えるデバイス10を示す。スイッチ18がアクチュエータ26の遠位端部30に向かって遠位に移動すると(
図16Bに示すように)、ワイヤ98は、ねじの周りまたは成形チャネル内を移動し、次に、ワイヤ98およびスイッチ18の移動方向と反対の方向に外側シース14を近位に移動させる。外側シース14が近位に移動するとき、アクチュエータ26は静止したままであり、ブレード16は使用のために露出される。一実施形態では、ワイヤまたはフラットストック98はステンレ
ス鋼から構成される。しかし、任意の他の適切な組成物を使用することができる。
【0039】
ここで、収納式外科用切断デバイスの作動およびロック機構の実施形態を、追加の図を参照して説明する。手動で作動する格納式外科用デバイスは、上述の格納式外科用デバイスの構成および属性のいくつかまたはすべてを有してもよく、そのいくつかは以下で繰り返さない。主な違いは、作動およびロック機構であり、これは、前述の任意の作動および/またはロック機構の代わりに、格納式外科用デバイスの前述の実施形態と併せて使用することができる。
【0040】
簡潔に述べると、作動およびロック機構の実施形態は、ゼネバスタイルの作動/駆動およびロック機構である(本開示に関連して当業者によって理解されるはずである)。ゼネバ式の駆動およびロック機構は、連続的な直線および回転運動を、断続的な回転および直線運動に変換するように構成される。
【0041】
ここで
図17を参照すると、格納式外科用切断デバイス10の例示的実施形態の側面図概略図が示されている。デバイス10は、中心長手方向軸に沿って延び、遠位ブレード16に延びる外側シース14に接続されたハンドル12を備える。ブレード16は、後に詳細に説明するように、ハンドル12上のアクチュエータ(ここではボタン)18の作動(例えば、デバイスの中心長手方向軸に平行な軸に沿って近位または遠位方向にスライドさせること)により、選択的に延ばされ、格納される。
図17に示すように、ハンドル1
2は、親指および他の指の溝を含むことができ、それにより、ハンドル12の形状は人間工学的である。ハンドル12の人間工学的設計は、その意図された使用に対してデバイス10の制御を向上させる。他の実施形態では、ハンドル12はより少ない溝を有してもよく、または完全に溝を有さなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハンドル12はプラスチックで構成されているが、ハンドル12は、ステンレス鋼または外科用デバイスに適した他の従来材料から構成されてもよい。
【0042】
さらに
図17を参照すると、デバイス10のハンドル12は、第1のピース20および第2のピース22の2つのピース(またはクラムシェルの半分)を備えることができ、それを通して1つ以上のチャネルを有することができる。ボタン18は、中心長手方向軸に平行な軸に沿って、器具の遠位端部に向かって遠位に移動することができ、中心長手方向軸に平行な軸に沿って、デバイスの近位端部に向かって近位にスライドすることができる。ボタン18の可動範囲の末端部(デバイスの上面の遠位および近位)には、最小限の摩擦を提供するように構成された小さな指のような突起5が存在することができ、これは、ボタン18をその移動の遠位および近位の末端部で保持するのに必要なものだけである(作動されるべき機構の構成要素を拘束しない)。図示のこの実施形態では、操作は、シースの遠位端部で、ブレード16を遮蔽することと、保護シース14の格納を交互に作動させることである。代替的には、シース16の遠位端部を超えてブレード16を作動させること、およびブレード16をシース14内に(部分的かつ完全にではなく、または完全に)格納することも意図される。
【0043】
図18を参照すると、ある実施形態に係る、ハンドル12の第2のピース22が取り外された格納式外科用切断デバイス10の例示的な実施形態の側面図オープン概略図が示されている。
図18は、実施形態の作動およびロック機構の主要構成要素を示す。任意の数の医療デバイスは、そのような作動およびロック機構を組み込むことができ、これには、把持器、縫合糸通し器、切断器具、切り取り器具などが含まれるが、これらに限定されない。切断ブレード16のシャフト4は、シャフト4の点8をハンドル12の内部に実装し、2つを本質的に結合し、シャフト4(したがって、ブレード16)が移動することを防止することによって、その近位端部で本体20内に強固に位置付け/統合されることに留意されたい。ある実施形態によれば、作動およびロック機構(以下に記載されるように)
は、シース14を中心長手方向軸に沿って近位および遠位に移動させ、切断ブレード16上に遠位および好ましくは完全に交互に延ばし(使用されていない時にユーザおよび患者を保護するために)、使用のために近位に格納して切断ブレード16を露出させる(本質的には、シースを外す)ように構成される。
【0044】
ある実施形態の作動およびロック機構100は、
図18に部分的に示され、より完全には
図19~
図22に示される。作動およびロック機構100は、
ゼネバスタイルの作動/駆動およびロック機構であり、直線的にレイアウトされており、通常のユーザインターフェースを超えたユーザの任意のさらなる動作、この場合、ボタン18をスライドさせること、がなくても、移動した構成要素が所定の位置にロックされる2つ以上の停止点が形成されている。ボタン18は、(直接的に、または間接的に)ギアラック13に接続され、これはハンドル12の内側に位置付けられたピニオンギア6の歯と噛み合う歯を含む。ピニオンギア6は、ピン9および半円カム17を含む
ゼネバホイール15に(直接的または間接的に)接続される。図示のように、ピニオンギア6は、
ゼネバホイール15の第1の表面に隣接して中心に配置され、ピン9は、第1の表面上で、
ゼネバホイール15の外周に近接/隣接して配置され、半円カム17は、ピン9とは反対側の第1の表面上で、ホイール15の外周から所定の距離を置いて配置されている(そのため、本開示のレビューと併せて当業者によって理解されるはずであるように、
ゼネバホイールは最適に動作可能である)。
【0045】
ボタン18、ギアラック13、ピニオンギア6、ホイール15、ピン9および半円カム17は、スライダ7の駆動機構としての役割を果たす。
図19に示すように、例えば、スライダ7は、2つの半円溝/凹面9および21の間にそれぞれ位置付けられたスロット11を含む(複数のスロットおよび/または2つ以上の半円溝/凹面9および21が意図されている)。スロット11は、ピン9を受容するように構成され、2つの半円溝/凹面9および21は、駆動機構の移動時に半円カム17を受容するように構成される。スライダ7は、シース14に移動可能に取り付けられており、それにより、駆動機構によってスライダ7が中心長手軸に沿って近位または遠位方向に移動すると(ボタン18のいずれかの方向へのスライドによりギアラック13が同方向に移動し、それは、ピニオンギア6が回転してホイール15を回転させ、半円カム17を半円溝/凹面9、21の1つ以上に移動させ、ピン9をスロット11に移動させ、スライダ7を近位または遠位方向に移動させる)、シース14はスライダ7と同じ方向に移動してブレード16を露出させるかまたは覆い(シース14の反対側の接続部)、ブレード16のシャフト4(スライダに接続されている)は、シャフト14およびブレード16の同様の移動ならびにシース14(ハンドルの内面に接続されている)の固定をもたらす。
【0046】
図20~
図22に関してより詳細に説明するように、ピン12がスライダ7のスロット11と係合するとき、ピン12は、スライダ7(およびシース14)を近位または遠位の方向に(ボタン18の移動に応じて)駆動するように構成される。ピンがスロット11の外に位置付けられ、半円カム17が半円溝/凹面9および21のいずれかに係合すると、スライダ7(およびシース14)は「一時停止」の移動しない/ロックされた構成および位置にあるが、ボタン18は移動し続ける(駆動機構は全体としてまだ係合している)。スライダ7をある位置から別の位置に移動させるのに必要なボタン18の移動量は、ピニオンギア6またはギアラック13の歯の特性によって制御することができる。スライダ7の移動の大きさは、ピン12の回転半径で変更することができる。
【0047】
図20を参照すると、ある実施形態に係る格納式外科用切断デバイス10の駆動機構およびスライダの例示的実施形態の側面図概略図が示されている。
図20に示すように、ユーザはボタン18とインターフェースし、それを示されている方向に(遠位に)ずっと動かしている。ボタン18のこの移動により、ギアラック13は、ボタン18と同じ方向に
移動した。ピニオンギア6は、図示のように、ギアラック13とのインターフェースに従って時計回りに回転した。
ゼネバホイール15の半円カム17は、半円溝9に入れ子状になっており、方向矢印で示す作動方向への(近位に)移動後にスライダ7を所定の位置にロックする。特に、スライダ7のロックは、ボタン18をスライドさせること以外のユーザの操作なしで生じた。
【0048】
図21を参照すると、ある実施形態に係る格納式外科用切断デバイス10の駆動機構およびスライダの例示的実施形態の側面図概略図が示されている。
図21は、2つの停止/ロック位置の間の中間点における駆動機構およびスライダ7を示す。
ゼネバホイール15上のピン12は、スロット11内に位置付けられる。ホイール15が、ギアラック13と相互作用するピニオンギア6によって回転させられると、ピンの12のスロット11との係合による駆動機能に従って、スライダ7をある位置から別の位置へと通過させる(最も遠位の位置から最も近位の位置へ、またはその逆)。ホイール15上の半円カム17は、スライダ7の近位方向への移動を妨げないように、スライダ7のスロット11および半円溝9の邪魔にならないように回転している(
図20に示す位置から)ことに留意されたい。
【0049】
図22を参照すると、ある実施形態に係る格納式外科用切断デバイス10の駆動機構およびスライダの例示的実施形態の側面図概略図が示されている。
図21に示すように、駆動機構は、
図20に示す反対方向に完全に作動している。ホイール15の半円カム17は、先に
図20で示したように、半円溝9ではなく、半円溝21に入れ子状になっている。ここで、スライダ7は、ボタン18を近位方向にスライドさせる以外のユーザの操作がなくても、作動し、「遠位」位置にロックされる。
【0050】
そのような作動およびロック機構を製作するためには、任意の数の材料を使用することができるが、典型的には、機構全体およびハウジングを適度な強度の射出成形プラスチックで製作し、カッタ、ブレード、スニッパ、縫合糸通し器など、作動させる医療器具の態様は、ステンレス鋼およびニチノールなどの外科用グレードの金属で製作することが予想される。
【0051】
発明者は、本明細書に記載される作動およびロック機構の様々な代替的な実施形態を意図する。例えば、前述のように、複数のスロット11および/または3つ以上の半円溝9および21を有するスライダ7は、定位置にロックされる中間段階の移動が望まれる機構の作動のために、3つ以上の一時停止/ロックされる停止位置を作り出す。
【0052】
本明細書に記載の作動およびロック機構の実施形態は、一方向へのボタン18の方向が反対方向へのスライダ7の移動を生成する、「逆転」効果を生じさせる。これは、ギアラック13とスライダ7がピニオンギア6の反対側にあるためである。代替的な実施形態は、ピニオンギア6の同じ側にギアラック13およびスライダ7を有することができ、逆転効果を排除し、スライダ7をボタン18と同じ方向に移動させる。
【0053】
本明細書に記載の作動およびロック機構は、ボタン18の移動とピニオンギア6の回転との間に直線関係を有するが、ピニオンギア6が非円形であり、ギアラック13が非円形ピニオンギアとインターフェースするのに適した非直線形状である代替的な実施形態が可能である。これは、ボタン18の移動に対するスライダ7の移動のプロファイルの変化をもたらす。
【0054】
作動およびロック機構について記載した実施形態は、1つのスライダ7に作用する、1つのラック13、1つのピニオンギア6、および1つのゼネバホイール15を示す。複数のギアラックが単一のボタン18によって移動させられ、それらのギアラックが、複数のピニオンギア、複数のゼネバホイール、および複数のスライダと相互作用して、複数の機構を作動させ、これらのシステムの相対的なタイミングが、特定の順序に調整されて、より複雑な作動システムを実行することができる複数の動作を引き起こすことができる、代替的な実施形態が可能である。例えば、シースが完全に格納位置に移動した後にのみ、スニッパの切断要素が作動および作動解除され、シースが延びた時には決して作動および作動解除しないシース付きスニッパが望まれる場合、単一のボタン18は、2つのピニオンギアと連動する2つのギアラック、2つのゼネバホイール、および2つのスライダを移動させることができ、ここで、2つのシステムは、シースの格納が起こった後にのみスニッパの作動および作動解除が起こり得ることを確実にするために必要な動作の所望の順序を調整するために、互いに位相がずれた状態になるように互いに対してタイミングを取ることができる(本開示レビューと併せて、当業者であれば理解できるはずである)。同じボタンで作動する2つのシステムの間のこのタイミングは、それぞれのラックに対する各ピニオンの歯の角度のタイミング、各ピニオンギアのピッチ径および/または歯の数を交互に変えること、ピン12によって発生する動作の大きさ(ピンが回転する半径)を交互に変えること、スライダのスロットと半円溝の数を交互に変えることなど、任意の数の設計パラメータを変更することによって達成することができる(本開示のレビューと併せて、当業者によって理解されるはずである)。任意の数の変形を利用して、複数の変化する動作プロファイルを達成し、それらの複数の動作プロファイルを互いに調整することができるが、 この実施形態の本質は、単一のボタンによって作動する複数のゼネバベースの機構が、複数の動作プロファイルを生成して、製品に組み込まれた複数の機能間の協調動作を有するより複雑なシステムを生成することができることである(本開示のレビューと併せて当業者によって理解されるはずである)。
【0055】
代替的な実施形態では、ボタン18によって作動するギアラック13の直線的な動作は、レバーによって作動する円弧形状のギアラックと置き換えられ、これは円弧形状のギアラックの歯にピニオンギア6を回転させる。
【0056】
本明細書で定義され使用されるすべての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義、および/または定義された用語の通常の意味、を統制すると理解されるべきである。
【0057】
本明細書では、様々な実施形態が説明され、図示されてきたが、当業者は、本明細書に記載の機能を実施し、ならびに/または結果および/もしくは利点の1つ以上を得るための様々な他の手段および/もしくは構造を容易に想起し、そのような変形および/もしくは変更の各々は、本明細書に記載の実施形態の範囲内であると見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に記載されるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示的であり、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、教示が使用される特定の用途または用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書に記載された特定の実施形態に対する多くの均等物を、認識するか、または日常的な実験のみを使用して確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、単に例示的なものとして提示されており、添付した特許請求の範囲およびその均等物の範囲内で、実施形態は、具体的に記載および特許請求された以外の別の方法で、実行されてもよいことが理解されよう。本開示の実施形態は、本明細書に記載される個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが、本開示の範囲内に含まれる。
【0058】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのみのものであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、
「an」および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。用語「備える(comprise)」(ならびに「comprises」および「comprising」などのcompriseの任意の形態)、「有する(have)」(ならびに「has」および「having」などのhaveの任意の形態)、「含む(include)」(ならびに「includes」および「including」などのincludeの任意の形態)、および「包含する(contain)」(ならびに「contains」および「containing」などのcontainの任意の形態)は、オープンエンドの連結動詞であることがさらに理解されよう。結果として、方法またはデバイスは、1つ以上のステップまたは要素を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」、または「包含する(contains)」。同様に、一つ以上の特徴を「備える(comprises)」、「有する(has)」、「含む(includes)」または「包含する(contains)」方法のステップ、またはデバイスの要素は、それらの1つ以上の特徴を所持するが、それらの1つ以上の特徴のみを所持することに限定されない。さらに、特定の方法で構成されたデバイスまたは構造は、少なくともその方法で構成されるが、リストされていない方法でも構成されてもよい。
【0059】
以下の特許請求の範囲における全ての手段またはステップに機能要素を加えたものの対応する構造、材料、行為および均等物は、もしあれば、具体的に特許請求される他の特許請求の範囲の要素と組み合わせて、機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことを意図している。本発明の記載は、例示および説明の目的で提示されてきたが、網羅的であること、または本発明に開示された形態で限定されることを意図しない。多くの修正および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。実施形態は、本発明の1つ以上の態様の原理および実際の応用を最もよく説明し、他の当業者が、考えられる特定の用途に適した様々な修正を有する様々な実施形態について本発明の1つ以上の態様を理解できるように選択され、記載された。