(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】用紙裁断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/22 20060101AFI20240610BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20240610BHJP
B26D 1/24 20060101ALI20240610BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20240610BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B26D7/22 A
B26D7/06 Z
B26D1/24 J
B65H35/04
B65H5/38
(21)【出願番号】P 2020139758
(22)【出願日】2020-08-21
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】植木 数馬
(72)【発明者】
【氏名】土岐 明彦
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-058232(JP,A)
【文献】特開2015-047657(JP,A)
【文献】米国特許第05881624(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/22
B26D 7/06
B26D 1/24
B65H 35/04
B65H 5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙を搬送する方向と直交する幅方向に移動刃ユニットを移動することにより前記用紙を裁断する裁断手段を備えた用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットは、前記用紙の搬送時に搬送経路上に前記用紙を支持するガイド部を一体的に備えた、ことを特徴とする用紙裁断装置。
【請求項2】
前記移動刃ユニットは、上下一対の回転刃を擦り合わせて裁断を行う裁断刃と、前記裁断刃を保持する外枠部を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の用紙裁断装置。
【請求項3】
前記移動刃ユニットにおける前記外枠部は、前記上下一対の回転刃の内、上の回転刃を保持する上部枠体と、下の回転刃を保持する下部枠体で構成され、
前記ガイド部は、前記上部枠体と前記下部枠体との間に形成され、前記用紙の搬送時に前記用紙の側縁部を支持するようになっている、ことを特徴とする請求項2に記載の用紙裁断装置。
【請求項4】
前記移動刃ユニットにおいて、前記ガイド部は、前記上下一対の回転刃の対向位置から前記幅方向の外側に向かって離れる方向に傾斜した傾斜面を有する、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の用紙裁断装置。
【請求項5】
前記移動刃ユニットにおいて、前記ガイド部は、前記上下一対の回転刃の対向位置を挟んで前記幅方向の両端部に形成される、ことを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れか一つに記載の用紙裁断装置。
【請求項6】
前記移動刃ユニットの前記用紙に対する前記幅方向の待機位置として、前記移動刃ユニットを前記幅方向に移動しながら前記用紙を裁断する裁断位置以外に、前記用紙の搬送時に前記用紙の側縁部を支持するガイド位置と、前記ガイド部が前記用紙に干渉しない退避位置を有する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の用紙裁断装置。
【請求項7】
前記裁断位置における前記用紙の裁断後は、前記ガイド部が前記用紙に干渉しない退避位置まで移動し、前記退避位置にて所定時間待機した後、前記用紙の搬送時に前記用紙の側縁部を支持するガイド位置に移動するように制御する制御手段を備えた、ことを特徴とする請求項6に記載の用紙裁断装置。
【請求項8】
用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙を搬送する方向と直交する幅方向に移動刃ユニットを移動することにより前記用紙を裁断する裁断手段を備えた用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットを前記幅方向に移動しながら前記用紙を裁断する裁断位置の用紙搬送方向上流側及び下流側に、それぞれ、搬送ローラ対を備え、前記移動刃ユニットによって裁断され且つ前記用紙の裁断位置を通過した用紙片
が、一定以上の長さを有し、その先端位置が前記裁断位置より下流側に配置される搬送ローラ対に近い場合は、前記用紙片を、前記下流側の搬送ローラ対の逆回転を利用して下方に廃棄する制御手段を備えた、ことを特徴とする用紙裁断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は用紙を搬送しながら用紙に裁断加工を施す用紙裁断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
用紙裁断装置として、相対向する上下一対のギロチン式の裁断刃を備え、一方の裁断刃が他方の裁断刃に対し接触離間し、この裁断刃の前後に設置された搬送ローラ対により搬送される用紙を搬送方向と直交する幅方向に裁断する装置が知られている。下記特許文献1には、このような裁断装置を一部に備えた用紙加工装置が開示されおり、裁断装置によって印刷済み用紙の所定部分を切除し、印刷部分のみを残す加工処理を施している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、汎用的な印刷機における印刷可能な最大用紙サイズが大きくなる傾向にあり、B3サイズを超える大判サイズの用紙も印刷可能となる場合が多くなってきている。
【0005】
従来、市場で汎用的によく用いられる用紙裁断装置では、加工可能な最大用紙サイズは、例えば、B3サイズである。前記汎用の用紙裁断装置を用いて、前記B2サイズ等の大判の印刷済み用紙の所定部分を切除し、印刷部分のみを残す加工処理を施す場合は、事前にB3サイズ以内に収まるようなサイズに裁断加工(一次加工)した上で前記汎用の用紙裁断装置に供給すれば裁断加工(二次加工)可能となるが、操作者が予め加工することは煩雑である。
【0006】
前記汎用の用紙裁断装置の搬送方向上流側に、前記汎用の用紙裁断装置が受入れ可能な用紙サイズに予め裁断加工(一次加工)した上で、前記汎用の用紙裁断装置に加工済み用紙を受け渡す大判サイズ用の用紙裁断装置を別に設置し、連結すればよい。しかし、大判サイズの用紙を予め裁断加工(一次加工)する際、搬送する用紙が、厚さが薄く腰の弱いものである場合には、用紙搬送経路上で用紙の側縁部が垂れてしまうことがあり、それによって、用紙が円滑に搬送されないで途中で詰まってしまったり、用紙の加工が不可能になってしまったりすることが考えられる。又、前記大判サイズの用紙を予め裁断加工(一次加工)する裁断刃として、ギロチン式の裁断刃を用いた場合、刃物も用紙の幅方向に長いものが要求される為、刃物の反りや歪が問題となる。
【0007】
本発明の目的は、大判サイズの用紙を裁断加工する際、搬送する用紙が、厚さが薄く腰の弱いものであっても、用紙搬送経路上で用紙の側縁部が垂れてしまうのを防止でき、ジャム等の加工ミスの発生を抑え、搬送及び加工を精度良く行うことができる、用紙裁断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙を搬送する方向と直交する幅方向に移動刃ユニットを移動することにより前記用紙を裁断する裁断手段を備えた用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットは、前記用紙の搬送時に搬送経路上に前記用紙を支持するガイド部を一体的に備えた、ことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットは、上下一対の回転刃を擦り合わせて裁断を行う裁断刃と、前記裁断刃を保持する外枠部を有する、ことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットにおける前記外枠部は、前記上下一対の回転刃の内、上の回転刃を保持する上部枠体と、下の回転刃を保持する下部枠体で構成され、前記ガイド部は、前記上部枠体と前記下部枠体との間に形成され、前記用紙の搬送時に前記用紙の側縁部を支持するようになっている、ことを特徴とするものである。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットにおいて、前記ガイド部は、前記上下一対の回転刃の対向位置から前記幅方向の外側に向かって離れる方向に傾斜した傾斜面を有する、ことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項2乃至請求項4の何れか一つに記載の用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットにおいて、前記ガイド部は、前記上下一対の回転刃の対向位置を挟んで前記幅方向の両端部に形成される、ことを特徴とするものである。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか一つに記載の用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットの前記用紙に対する前記幅方向の待機位置として、前記移動刃ユニットを前記幅方向に移動しながら前記用紙を裁断する裁断位置以外に、前記用紙の搬送時に前記用紙の側縁部を支持するガイド位置と、前記ガイド部が前記用紙に干渉しない退避位置を有する、ことを特徴とするものである。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項6に記載の用紙裁断装置において、前記裁断位置における前記用紙の裁断後は、前記ガイド部が前記用紙に干渉しない退避位置まで移動し、前記退避位置にて所定時間待機した後、前記用紙の搬送時に前記用紙の側縁部を支持するガイド位置に移動するように制御する制御手段を備えた、ことを特徴とするものである。
【0015】
請求項8記載の発明は、用紙を搬送する用紙搬送手段と、前記用紙を搬送する方向と直交する幅方向に移動刃ユニットを移動することにより前記用紙を裁断する裁断手段を備えた用紙裁断装置において、前記移動刃ユニットを前記幅方向に移動しながら前記用紙を裁断する裁断位置の用紙搬送方向上流側及び下流側に、それぞれ、搬送ローラ対を備え、前記移動刃ユニットによって裁断され且つ前記用紙の裁断位置を通過した用紙片が、一定以上の長さを有し、その先端位置が前記裁断位置より下流側に配置される搬送ローラ対に近い場合は、前記用紙片を、前記下流側の搬送ローラ対の逆回転を利用して下方に廃棄する制御手段を備えた、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、用紙搬送時において裁断加工を行う必要がないために休止している移動刃ユニット(ガイド部)を用いて、用紙の側縁部のガイドを行うことができるので、搬送し且つ加工する用紙が、厚さが薄く腰の弱いものであっても、用紙の側縁部が垂れてしまうのを防止でき、したがって、搬送及び加工を精度良く行うことができる。又、ジャム等の加工ミスの発生を抑えることができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、大判サイズの用紙を予め裁断加工(一次加工)する裁断刃としては、用紙搬送方向に可動する上下一対の回転刃を用いれば、用紙の幅方向に長いギロチン式の裁断刃のような反りや歪の問題は解消される。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、ガイド部は、移動刃ユニットにおける外枠部の上部枠体と下部枠体との間に形成されることにより、裁断加工位置と搬送経路上の用紙を支持する位置(ガイド位置)とが同一ライン上となる為、作業効率が良い。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、移動刃ユニットにおいて、ガイド部に傾斜面を有することにより、搬送経路上を搬送する用紙を受け入れて支持する際、スムーズに導入することができる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、移動刃ユニットにおいて、ガイド部が上下一対の回転刃の対向位置を挟んで幅方向の両端部に形成されることにより、移動刃ユニットが用紙を裁断する往路、復路のどちらでもガイド位置として設定することができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、移動刃ユニットの用紙に対する幅方向の待機位置として、裁断位置以外に、ガイド位置と退避位置を有することにより、搬送経路上を搬送する用紙を確実に受け入れて支持することができ、又、裁断後の用紙片の滞留による加工ミスを確実に防ぐことができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、裁断位置における用紙の裁断後は、退避位置まで移動し、退避位置にて所定時間待機した後、用紙の搬送時にガイド位置に移動するように制御することにより、裁断後の用紙片の滞留による加工ミスを確実に防ぐことができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、移動刃ユニットによって裁断され且つ用紙の裁断位置を通過した用紙片を、下流側の搬送ローラ対の逆回転を利用して下方に廃棄するように制御することにより、搬送経路上に用紙片が引っかかることを防ぎ、これにより、裁断後の用紙片による加工ミスを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】用紙加工システムの全体構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態における給紙装置及び第1用紙裁断装置の概略全体構成図である。
【
図3】移動刃ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【
図4】移動刃ユニットの全体構成を示す正面図である。
【
図5】移動刃ユニットの駆動系を示す透視正面図である。
【
図7】裁断機構における移動刃ユニットの駆動系を示す透視正面図である。
【
図8】移動刃ユニットにおける上下一対の回転刃の駆動系を示す背面図である。
【
図9】裁断ユニットの駆動系を示す左側面図である。
【
図10】移動刃ユニットにおける用紙の加工の様子を示す図である。
【
図11】移動刃ユニットにおける用紙の加工の様子を示す図である。
【
図12】移動刃ユニットにおける用紙の加工の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔用紙加工システム100の全体構成〕
図1は、本発明の一実施形態における、用紙加工システム100の全体構成を示す平面図である。本実施形態の用紙加工システム100は、主たる加工機構として、搬送方向上流側から順に、給紙装置10、第一用紙裁断装置20、クロスコンベア装置30、挿入ユニット40、第二用紙裁断装置50、コンベアスタッカ装置60により構成される。
【0026】
近年、汎用的な印刷機における印刷可能な最大用紙サイズが大きくなる傾向にあり、B3サイズを超える印刷サイズも印刷可能となる場合が多くなってきている。
本用紙加工システム100は、一定サイズ以上の大きい印刷済用紙(P)を受け入れて、印刷済用紙の所定部分を切除し(切除後の用紙:P1)、印刷部分のみを残す加工処理を施している(加工処理後の用紙:P2)。
【0027】
第二用紙裁断装置50は、従来から市場で一般的によく用いられる汎用の用紙裁断装置であって、加工可能な最大用紙サイズは、例えば、B3サイズである。又、第一用紙裁断装置20は、例えば、B3サイズを超えるサイズも加工可能である。本用紙加工システム100は、第一用紙裁断装置20により、第二用紙裁断装置50が受入れ可能な用紙サイズに、予め、裁断加工した上で、第二用紙裁断装置50に加工済み用紙を受け渡すように構成されている。
【0028】
〔給紙装置10〕
図1、
図2に示すように、給紙装置10は、エア吸引ベルト式のエア給紙ユニット11と、用紙積載量に応じて上昇、下降するエレベータ式の給紙トレイ12と、エア給紙ユニットにより送り出された用紙をさらに搬送方向下流側に搬送する搬送ローラ対13と、を有している。尚、本実施例においては、最大B2サイズの用紙を給紙できるように構成されている。
前記搬送ローラ対13により用紙Pが搬送され、下記第一用紙裁断装置20の先端検出センサ21に用紙Pの先端が到達すると、給紙装置内の搬送ローラ対13の圧着が解除され、下記第一用紙裁断装置20内の搬送ローラ23だけで用紙が搬送される。
【0029】
〔第一用紙裁断装置20〕
図1、
図2に示すように、第一用紙裁断装置20は、汎用の第二用紙裁断装置50が受入れ可能な用紙サイズに予め裁断加工(一次加工)する為に設置されており、給紙装置10から搬送された用紙Pの先端が到達したことを検出する先端検出センサ21(21a、21b)と、用紙Pの先端と予め用紙Pに付与されたレジマークの位置を検出し、用紙搬送方向に対する印刷画像の傾斜角度を検出するレーザーセンサ27(27a、27b)を有している。尚、先端検出センサ21とレーザーセンサ27は、それぞれ、用紙搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に配置されている。
【0030】
又、第一用紙裁断装置20は、前記レーザーセンサ27にて検出した印刷画像の傾斜角度を元に、クロスカット部の裁断機構2の角度を、印刷画像の搬送方向に対して直角になるように角度調整することが可能な角度調整手段を有する。前記裁断機構2は、予め、設定した裁断位置に用紙Pを停止後、用紙Pを搬送する方向と直交する幅方向に移動刃ユニット22(上下一対の回転刃221a、221b)を移動することにより用紙Pを裁断する。裁断後の用紙P1は、搬送ローラ対によりクロスコンベア装置30に排出される。用紙P1の排出については排出センサ29により検出される。尚、前記大判サイズの用紙P1を予め裁断加工(一次加工)する裁断刃としては、ギロチン式の裁断刃は刃物も用紙の幅方向に長いものが要求される為、反りや歪が問題となる。それに対して、用紙搬送方向に可動する上下一対の回転刃を用いれば、反りや歪の問題は解消される為、本用紙裁断装置20には好適である。尚、本発明の主要部となる裁断機構2及び移動刃ユニット22の詳細については、別途、後述する。
【0031】
又、前記移動刃ユニット22によって裁断され、且つ前記用紙Pの裁断位置を通過した用紙片P´が所定長さ以上の場合は、搬送経路上の搬送ガイドをリジェクト位置に退避させ、前記用紙片P´をリジェクトすることのできる回転ガイド28を備える。
【0032】
〔クロスコンベア装置30〕
クロスコンベア装置30は、第一用紙裁断装置20で裁断加工されて第1方向に搬送されて来たシートP1を受けて、第1方向に対して交差した第2方向に搬送して、第二用紙裁断装置加工装置50へ送り込むようになっている。
尚、クロスコンベア装置30は、第一用紙裁断装置20の後段に配置されており、第一用紙裁断装置20から排出された用紙P1を無端状ベルト31(所定幅を有する一本ベルト)上に受け取り、受け取った用紙P1の端縁をガイド壁32に沿わせるように、用紙P1をガイド壁32に向けて斜めに搬送しながら、搬送方向下流へ向けて搬送する、斜行搬送手段を備える。
【0033】
〔挿入ユニット40〕
クロスコンベア装置30の後段には、クロスコンベア装置30から排出された用紙P1を第二用紙裁断装置50における給紙口に受け渡す挿入ユニット40が配置されている。
尚、挿入ユニット40は、受け取った用紙P1の端縁をガイド壁41に沿わせるように、用紙P1をガイド壁に向けて斜めにエア吸引搬送しながら、搬送方向下流へ向けて搬送する、斜行搬送手段を備える。
【0034】
〔第二用紙裁断装置50〕
第二用紙裁断装置50は、従来から市場で汎用的によく用いられる用紙裁断装置であって、第一用紙裁断装置20により、第二用紙裁断装置50が受入れ可能な用紙サイズに予め裁断加工(一次加工)された用紙P1は、挿入ユニット40から第二用紙裁断装置50の給紙口に受け渡される。その後、用紙P1を一枚ずつ用紙搬送方向に送り出し、送り出された用紙P1を、予め設定したジョブ内容に基づいて、装置本体にて搬送しながら裁断加工し、裁断加工後の単票P2を装置本体から排出する。
【0035】
〔コンベアスタッカ装置60〕
第二用紙裁断装置50の排出側にコンベアスタッカ60を結合してもよい。コンベアスタッカ60は、第二用紙裁断装置50から排出された裁断加工後の単票P2を、ベルトコンベアによってゆっくり搬送し、その端部に設けたスタッカー61に斜めに立てた状態で単票を積み重ねるようにした装置である。
【0036】
[裁断機構2の実施形態]
次に、第一用紙裁断装置20における裁断機構2の実施形態について
図6から
図9を用いて説明する。
図6は、裁断機構2の全体構成を示す正面図であり、
図9は、
図6の左側面図である。
図7は、
図6の裁断機構2における移動刃ユニット22の駆動系を示す透視正面図である。
図8は、移動刃ユニット22における上下一対の回転刃221の駆動系を示す背面図である。
【0037】
図6から
図9に示すように、裁断機構2は、搬送される最大サイズの用紙幅の全域にわたって設けられたフレーム210と、用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動刃ユニット22を移動することにより用紙を裁断する裁断手段と、移動刃ユニット22を移動させる移動刃ユニット駆動部227a、227bとを備える。移動刃ユニット駆動部227a、227bは、フレーム210の内側に収容される。
【0038】
移動刃ユニット22は、上下一対の回転刃221(221a、221b)と、上下一対の回転刃221をそれぞれ回転自在に支持し、用紙搬送方向と直交する幅方向に往復移動する上下一対の枠体211a、211bを備える。上下一対の回転刃221は、移動刃ユニット22を前記往復移動させることにより正逆方向に回転する。
【0039】
詳しくは、上下一対の回転刃221は、用紙搬送経路5を介して、上側に配置される上側回転刃221aと、下側に配置される下側回転刃221bとを対向配置している。
【0040】
次に、移動刃ユニット駆動部227a、227bについて説明する。
【0041】
図7、
図9に示すように、前記移動刃ユニット駆動部227a、227bは、用紙搬送経路5を介して、上側に配置される上側移動刃ユニット駆動部227aと下側に配置される下側移動刃ユニット駆動部227bとを対向配置することにより構成される。又、移動刃ユニット駆動部227a、227bは、所定の間隔を置いて併設されたタイミングベルト217a、217bを備えている。タイミングベルト217aは、プーリ215aとプーリ216aとの間に掛け渡され、タイミングベルト217bは、プーリ215bとプーリ216bとの間に掛け渡されている。さらに、プーリ215aと共通の回転軸226aに取り付けられたプーリ205aと、プーリ215bと共通の回転軸226bに取り付けられたプーリ205bとの間には、タイミングベルト225が掛け渡されている。
【0042】
回転軸226aおよび回転軸226bはそれぞれフレーム210に回転自在に支持され、回転軸226aはフレーム210を貫通して反対側へ延出している。そして、プーリ215a、プーリ205aと共に回転軸226aに固定されたプーリ208と、駆動モータ219の回転軸に取り付けられたプーリ209とは、タイミングベルト207を介して連結されている。
【0043】
つまり、前記、移動刃ユニット駆動部227a、227bは、駆動手段として機能する駆動モータ219、駆動モータの回転軸に取り付けられたプーリ209、回転軸226aに取り付けられたプーリ208、およびこれらのプーリ209、208間に掛け渡されたタイミングベルト207を備えている。そして、駆動モータ219が回転駆動されると、その駆動力はプーリ209、タイミングベルト207、プーリ208、回転軸226aを介してプーリ205a、215aに伝達され、さらに、プーリ205a、タイミングベルト225を介してプーリ205b、回転軸226bを介してプーリ215bに伝達され、その結果、タイミングベルト217a、217bが走行される。尚、タイミングベルト225にはテンションを付与するテンション付与ローラ206が設けられている。
【0044】
タイミングベルト217a、217bは閉ループのベルトであり、その一部は固定部222a、222bにて、それぞれ上部枠体211a、下部枠体211bに固定されている。
従って、駆動モータ219が回転し、タイミングベルト217a、217bが走行すると、それに伴って、上部枠体211a、下部枠体211bが一体的に用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動する。
【0045】
次に、上下一対の回転刃221を回転させるための構成について説明する。
【0046】
下部枠体211bには、下部枠体211bの回転軸214a上に回転自在に支持されるピニオンギヤ214を備え、下部枠体211bの可動範囲にわたって上記ラックギヤ213と噛合するように構成される。又、フレーム210には、断面略コの字状の部材の下面部に下部枠体211bをスライド自在に支えるラックギヤ213を備える。尚、
図8は、移動刃ユニット22を背面から見た図であって、ピニオンギヤ214とラックギヤ213が噛合する状態を示している。
【0047】
図5は、移動刃ユニットの駆動系を示す透視正面図である。
図5において、前記ピニオンギヤ214と共通の回転軸214aに取付けられたプーリ231と、下側回転刃221bと共通の回転軸232aに取付けられたプーリ232との間には、タイミングベルト235が掛け渡されている。
上述のように、駆動モータ219の駆動力により、タイミングベルト217a、217bが走行され、それに伴いホルダ211a、211bが用紙搬送方向Fと直交する幅方向Wに移動すると、前記ラックギヤ213とのギヤの噛み合いでピニオンギヤ214が回転し、タイミングベルト235を介して下側回転刃221bが回転中心232aを支点に回転する。又、下側回転刃221bの回転に伴い、上側回転刃221aが回転中心223を支点に連れ回り回転する。
【0048】
本実施形態によれば、上下一対の回転刃221は、ピニオンギヤ214とラックギヤ213とのギヤ部材同士の噛み合いによって回転するため、スリップ等の異常で上下一対の回転刃221の回転が停止することはない。又、一対の回転刃221a、221bを回転させるのにギヤ部材を用いて大きな回転力を得るようにしたので、ホルダ211a、211bの移動に連動して上下一対の回転刃221(221a、221b)を確実に回転させることが可能となった。従って、用紙Pを確実に切断することができる。
【0049】
図5に示すように、上部枠体211a、下部枠体211bには、上下一対の回転刃221(上側回転刃221aと下側回転刃221b)の対向位置を挟んで幅方向Wの両側に設置された搬送ローラ対237、238を備える。下側回転刃221bと共通の回転軸232aに取付けられたプーリ232と、搬送ローラ対237、238と共通の回転軸に取付けられたプーリ233、234との間には、丸ベルト236が掛け渡されている。従って、上下一対の回転刃221が回転するのと同時に搬送ローラ対237、238が回転する。前記搬送ローラ対237、238は、用紙裁断時に用紙Pを導入し、押さえながら裁断する役割を果たす。
【0050】
[移動刃ユニット22の実施形態]
次に、裁断機構2における移動刃ユニット22の実施形態について
図3、
図4に基づき説明する。
図4に示すように、移動刃ユニット22は、上下一対の回転刃221と、前記上下一対の回転刃221の内、上側の回転刃221aを保持する上部枠体211aと、下側の回転刃221bを保持する下部枠体211bで構成される。又、上部枠体211aと前記下部枠体211bには、それぞれ、左側ガイド部201、右側ガイド部202が形成されている。尚、左側ガイド部201は、上部枠体211aに形成される上側ガイド部201aと、下部枠体211bに形成される下側ガイド部201bで構成され、又、右側ガイド部202は、上部枠体211aに形成される上側ガイド部202aと、下部枠体211bに形成される下側ガイド部202bで構成される。
【0051】
前記構成により
図4のように、用紙Pの搬送時に上側ガイド部(201a、202a)と下側ガイド部(201b、201b)との間で、それぞれ、搬送経路上に用紙Pの側縁部を支持するようになっている。
【0052】
図3に示すように、移動刃ユニット22において、左側ガイド部201と右側ガイド部202は、それぞれ、上下一対の回転刃221(221a、221b)の対向位置から前記幅方向の外側に向かって離れる方向に傾斜した傾斜面を有する。又、移動刃ユニット22において、左側ガイド部201と右側ガイド部202は、それぞれ、前記上下一対の回転刃221の対向位置を挟んで、上部枠体211aと下部枠体211bにおける幅方向の両端部に形成される。
【0053】
以上によれば、用紙搬送時において裁断加工を行う必要がないために休止している移動刃ユニット22(ガイド部201、202)を用いて、用紙の側縁部のガイドを行うことができるので、搬送し且つ加工する用紙が、厚さが薄く腰の弱いものであっても、用紙の側縁部が垂れてしまうのを防止でき、したがって、搬送及び加工を精度良く行うことができる。又、ジャム等の加工ミスの発生を抑えることができる。
【0054】
又、大判サイズの用紙を予め裁断加工(一次加工)する裁断刃としては、用紙搬送方向に可動する上下一対の回転刃221を用いれば、用紙の幅方向に長いギロチン式の裁断刃のような反りや歪の問題は解消される。
【0055】
又、ガイド部201、202は、移動刃ユニット22における外枠部の上部枠体211aと下部枠体211bとの間に形成されることにより、裁断加工位置と搬送経路上の用紙を支持する位置(ガイド位置)とが同一ライン上となる為、作業効率が良い。
【0056】
又、移動刃ユニット22において、ガイド部201、202に傾斜面を有することにより、搬送経路上を搬送する用紙を受け入れて支持する際、用紙側縁部が引っ掛かることなくスムーズに導入することができる。
【0057】
又、移動刃ユニット22において、ガイド部201、202が上下一対の回転刃221の対向位置を挟んで幅方向の両端部に形成されることにより、移動刃ユニットが用紙を裁断する往路、復路のどちらもガイド位置として設定することができる。
【0058】
[ガイド部201の動作]
次に、移動刃ユニット22におけるガイド部201の動作について
図10から
図12に基づき説明する。
【0059】
移動刃ユニット22の用紙Pに対する待機位置として、用紙Pを裁断する裁断位置以外に、用紙Pの搬送時に用紙Pの側縁部を支持するガイド位置と、ガイド部201、202が前記用紙に干渉しない退避位置を有する。尚、移動刃ユニット22は、用紙幅方向に往復しながら用紙Pを裁断し、往路、復路でそれぞれ一回の裁断動作を完結する。
【0060】
図10から
図12は、移動刃ユニット22による用紙の加工の様子を模式的に示した図である。
図10(a)は、ガイド部201によるガイド位置、
図10(b)は、裁断途上の裁断位置、
図11(a)は、裁断終了後の退避位置、
図11(b)は、ガイド部202によるガイド位置を示している。
【0061】
先ずは、
図10、
図11に基づき、裁断加工順に順を追って説明する。
(1)
図10(a)に示すように、用紙Pは搬送ローラ25により所定の裁断位置に向けてF方向に搬送されている。その際、移動刃ユニット22は、ガイド位置にて停止状態でガイド部201により、用紙Pの側縁部を支持している。
(2)次に、
図10(b)に示すように、用紙Pが所定の裁断位置に到達すると、用紙の搬送を停止し、移動刃ユニット22は用紙幅方向(W1)に移動しながら用紙Pを裁断する。移動刃ユニット22によって裁断され、且つ用紙Pの裁断位置を通過した用紙片P´は下方に自然落下し、排出される。
(3)次に、
図11(a)に示すように、裁断位置における用紙Pの裁断後は、移動刃ユニット22のガイド部202が用紙Pに干渉しない退避位置(用紙Pの側縁部から距離(x)をおいた退避位置)まで移動し所定時間停止する。尚、前記所定時間待機した後とは、裁断後の用紙片P´が下方に落下するのに十分な時間を置いた後という意味である。
(4)次に、
図11(b)に示すように、裁断位置における用紙Pの裁断後、退避位置にて所定時間待機した後、移動刃ユニット22は逆方向の用紙幅方向(W2)に移動し、次回の用紙Pの裁断位置に向けてF方向に搬送される用紙Pをガイド部202により、用紙Pの側縁部を支持している。
【0062】
これ以降、同様の動作を繰り返し、ガイド位置はガイド部201、202を交互に入れ替えながら用紙Pの側縁部を支持していくことになる。
【0063】
以上によれば、移動刃ユニット22の待機位置として、裁断位置以外に、ガイド位置と退避位置を有することにより、搬送経路上を搬送する用紙を確実に受け入れて支持することができ、又、裁断後の用紙片による加工ミスを確実に防ぐことができる。
【0064】
又、裁断位置における用紙の裁断後は、退避位置まで移動し、退避位置にて所定時間待機した後、用紙の搬送時にガイド位置に移動するように制御することにより、裁断後の用紙片とガイド部が干渉することによる加工ミスを確実に防ぐことができる。
【0065】
尚、
図12に示すように、裁断後の用紙片P´が一定以上の長さを有し、その先端位置が裁断位置より下流側に配置される搬送ローラ26に近い場合は、裁断位置における用紙Pの裁断後、搬送ローラ26を搬送方向上流側に逆回転するように制御する。
【0066】
これによれば、移動刃ユニットによって裁断され且つ用紙の裁断位置を通過した用紙片を、下流側の搬送ローラ対の逆回転を利用して下方に廃棄できる為、搬送経路上に用紙片が引っかかることを防ぎ、裁断後の用紙片P´の用紙Pへの干渉による加工ミスを確実に防ぐことができる。
【0067】
尚、本発明が本実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、本実施の形態の中で示唆した以外にも、本実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また、前記構成部材の数、位置、形状等は本実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。
【符号の説明】
【0068】
F 搬送方向
W 幅方向
2 裁断機構
5 搬送経路
20 第1用紙裁断装置
22 移動刃ユニット
100 用紙加工システム
201 左側ガイド部
202 右側ガイド部
210 フレーム
211 枠体
213 ラックギヤ
214 ピニオンギヤ
217 タイミングベルト
221 一対の回転刃
222 固定部
227 移動刃ユニット駆動部