(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】形状認識装置、および形状認識方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20240610BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20240610BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240610BHJP
G06V 20/64 20220101ALI20240610BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/20
G06T7/00 C
G06V20/64
(21)【出願番号】P 2020085466
(22)【出願日】2020-05-14
【審査請求日】2023-04-20
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月15日に日刊工業新聞社が発行した型技術第34巻第12号(2019年12月号)の第84頁~第85頁で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年11月28日駿優教育会館において開催された型技術ワークショップ2019 in いばらきで発表
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年5月5日にウェブサイト(https://www.jstage.jst.go.jp/article/ijat/14/3/14_459/_article/-char/ja)で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】西田 勇
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-001789(JP,A)
【文献】特開2012-215979(JP,A)
【文献】特開2016-122369(JP,A)
【文献】特開2017-182802(JP,A)
【文献】国際公開第2017/047737(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
G06T 7/00
G06V 20/64
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の切断面に
より切断された対象物の断面の周縁である断面周縁を示す断面周縁情報を取得する表面情報処理部と、
前記切断面内において前記断面周縁を貫通する判定線を生成する判定線生成部と、
前記断面周縁と前記判定線との交点に前記判定線の端部から順番を附し、一の断面周縁上における交点の順番に基づき前記断面周縁を
外周縁、または
内周縁として判定する凹凸判定部と、
を備える形状認識装置。
【請求項2】
前記凹凸判定部は、
一の断面周縁上における最も若い順番の交点が奇数番目の場合、前記断面周縁を
外周縁として判定する
請求項1に記載の形状認識装置。
【請求項3】
前記凹凸判定部は、
一の断面周縁上における最も若い順番の交点が偶数番目の場合、前記断面周縁を
内周縁として判定する請求項1または2に記載の形状認識装置。
【請求項4】
前記表面情報処理部は、
前記対象物の表面形状を示す表面形状情報を取得し、取得した表面形状情報と所定の切断面との交線を算出することにより断面周縁情報を取得する
請求項1から3のいずれか一項に記載の形状認識装置。
【請求項5】
断面周縁の幾何的な特徴を示す幾何学的特徴量を導出する特徴量導出部と、
異なる切断面のそれぞれに含まれる断面周縁のそれぞれの幾何学的特徴量に基づき異なる切断面に含まれる断面周縁が一連の立体形状の表面を示す断面周縁か否かを判定する立体判定部と、
を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の形状認識装置。
【請求項6】
所定の切断面における対象物の断面の周縁である断面周縁を示す断面周縁情報を表面情報処理部が取得し、
前記切断面内において前記断面周縁を貫通する判定線を判定線生成部が生成し、
前記断面周縁と前記判定線との交点に前記判定線の端部から順番を附し、一の断面周縁上における交点の順番に基づき前記断面周縁を
外周縁、または
内周縁として凹凸判定部が判定する
形状認識方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体的な対象物の断面形状の周縁を示す断面周縁情報が凸の周縁か否かを判定する形状認識装置、および形状認識方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NC(numerical control)加工、3Dプリンタなどにより製品を製造する場合、製品の表面をセンシングすることにより情報を取得する場合などにおいて、製品の表面形状を示すデータとしていわゆるメッシュデータの1つであるSTL(Standard Triangulated Language)データが用いられる場合がある。
【0003】
STLデータは、対象物の外殻形状が三角形の各頂点の位置と各三角形の面法線ベクトルを含んでいる。STLデータを用いれば、特許文献1にも記載されている通り、面法線ベクトルの向きに基づき凸形状か凹形状かを判定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者は、STLデータよりも少ないデータ量で対象物の表面形状を表現できるデータ形式を別途提案している。
【0006】
本発明は、上記発明者の知見に基づきなされたものであり、新しいデータ形式に基づき立体形状の凸部を示す情報か凹部を示す情報かを判定し立体形状を認識する形状認識装置、および形状認識方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の1つである形状認識装置は、所定の切断面における対象物の断面の周縁である断面周縁を示す断面周縁情報を取得する表面情報処理部と、前記切断面内において前記断面周縁を貫通する判定線を生成する判定線生成部と、前記断面周縁と前記判定線との交点に前記判定線の端部から順番を附し、一の断面周縁上における交点の順番に基づき前記断面周縁を凸部周縁、または凹部周縁として判定する凹凸判定部と、を備える形状認識装置。
【0008】
また上記目的を達成するために、本発明の他の1つである形状認識方法は、所定の切断面における対象物の断面の周縁である断面周縁を示す断面周縁情報を表面情報処理部が取得し、前記切断面内において前記断面周縁を貫通する判定線を判定線生成部が生成し、前記断面周縁と前記判定線との交点に前記判定線の端部から順番を附し、一の断面周縁上における交点の順番に基づき前記断面周縁を凸部周縁、または凹部周縁として凹凸判定部が判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少ない情報であっても立体形状の凸部を示す情報か凹部を示す情報かを簡単に判定し、立体形状を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、形状認識装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、対象物を仮想的な切断面と共に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、対象物を所定の切断面で仮想的に切断した断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、断面周縁情報と判定線との関係を示す図である。
【
図6】
図6は、凹凸判定部が判定線の端部から交点の順番をカウントした状態を示す図である。
【
図7】
図7は、並んだ切断面と断面周縁との関係を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、形状認識装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る形状認識装置、および形状認識方法の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係、および接続状態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、各請求項に係る発明を限定する主旨ではない。以下では複数の発明を一つの実施の形態として説明する場合があるが、請求項に記載されていない構成要素については、その請求項に係る発明に関しては任意の構成要素であるとして説明している。また、図面は、本発明を説明するために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0012】
図1は、形状認識装置の機能構成を示すブロック図である。
図2は、対象物を示す斜視図である。
図3は、対象物を所定の切断面で仮想的に切断した断面を示す断面図である。形状認識装置100は、対象物200の表面形状(外殻形状)を示すデータのから対象物200の凸部を示すデータを判定する装置である。形状認識装置100は、形状認識プログラムをコンピュータで実行することにより実現される処理部として、表面情報処理部110と、判定線生成部120と、凹凸判定部130とを備えている。本実施の形態の場合、形状認識装置100は、特徴量導出部140と、立体判定部150とを備えている。
【0013】
対象物200は、加工により製造される製品、センシングの対象となる立体物などであり、表面形状を示す表面形状情報の元となる物体である。対象物200は、実際に存在する物体ばかりでなく、CAD(Computer Aided Design)等により、仮想的に形成された物体でもかまわない。表面形状は、対象物200の外側から臨むことができる面ばかりで無く、対象物200の内部構造に基づき現れる面、例えば対象物200が中空構造であった場合の内面なども含まれる。
【0014】
本実施の形態の場合、対象物200は、工具によって切削加工が施されることにより加工対象から形成される場合を例示する。工具は、加工対象を切削加工するためのエンドミルを想定する。エンドミルの回転軸は、
図2中のZ軸方向に延在している。エンドミルによる等高線加工により素材から対象物200が形成される場合を想定している。なお、工具は、切削工具などの加工工具に限定されるものではなく、対象物200の形状や表面状態を測定するための測定工具などであっても構わない。
【0015】
表面情報処理部110は、対象物200を所定の切断面において仮想的に切断した際に現れる断面の周縁である断面周縁を示す断面周縁情報を取得する。本実施の形態の場合、対象物200を切断する切断面は、切断面の法線方向(図中Z軸方向)に所定の間隔で並べられ対象物200の全体を切断するように配置されている。
図2においては、複数の切断面の一つである第一切断面211を破線で示している。
図3は、対象物を切断面において仮想的に切断した際に現れる対象物の断面を示している。本実施の形態の場合、第一切断面211で対象物200を切断した場合、第一断面221、第二断面222、第三断面223、第四断面224の四つの断面が第一切断面211内に存在する。
図4は、断面周縁を示した図である。本実施の形態の場合、第一切断面211で対象物200を切断した場合、第一断面周縁231、第二断面周縁232、第三断面周縁233、第四断面主演234、第五断面周縁235の五つの断面周縁が第一切断面211内に存在する。つまり、断面には、2以上の断面周縁が含まれる場合がある。
【0016】
表面情報処理部110は、CAD(Computer Aided Design)システム、CAM(Computer Aided Manufacturing)システムなどの外部装置300から取得した情報に基づき断面周縁情報を生成する。なお、本明細書、および特許請求の範囲において「取得する」の文言には「生成」が含まれるものとして「取得」および「生成」の文言を用いている。具体的に表面情報処理部110は、外部装置300から取得した加工プログラムの中から対象物200の表面形状を示す表面形状情報を取得する。表面情報処理部110は、所定の間隔で並んで配置されている複数の仮想的な切断面を用いて表面形状情報を切断する演算を行い、それぞれの切断面における対象物200の断面周縁、つまり対象物200の表面形状と切断面との交線である断面周縁情報を生成する。
【0017】
切断面は、対象物200を切断する仮想的な面である。本実施の形態の場合、平面である複数の切断面が平行に配置されており、全ての切断面が対象物200を切断するように配置されている。隣り合う切断面の間隔は、特に限定されるものではなく、要求される精度により決定される。例えば、隣り合う切断面の間隔は、10μm程度に設定される場合がある。また、隣り合う切断面の間隔は、対象物200全体にわたって均一でなくてもよい。例えば、対象物200の中で要求される加工精度が高い部分は間隔を狭くし、荒削り部分など比較的加工精度が低い部分は、間隔を広くするなどしても構わない。
【0018】
例えば、外部装置300から取得する表面形状情報がメッシュデータの一つであるいわゆるSTL形式である場合、表面情報処理部110は、メッシュデータを構成する多角形(三角形)の頂点を示すデータから得られる線分と切断面との交点を算出し、同じ座標の交点を探索し、閉ループとなるように断面周縁情報を生成する。本実施の形態の場合、断面周縁情報は、
図5に示すように、各断面周縁上の周縁点240の集合を含んでいる。周縁点240は、それぞれの三次元の位置を示す座標と、どの断面周縁を示しているかの情報を備えている。また、メッシュデータに含まれている面法線ベクトルなどの情報は断面周縁情報から除外される。
【0019】
なお、表面情報処理部110は、一つの断面周縁に含まれる隣り合う周縁点240の距離が所定の距離閾値以上の場合、これら二つの周縁点240の間に補完点を追加しても構わない。また、表面情報処理部110は、外部装置300で生成された断面周縁情報を取得しても構わない。
【0020】
判定線生成部120は、切断面内において各断面周縁に対応する断面周縁情報を仮想的に貫通する判定線250を生成する。判定線生成部120が判定線250を生成する方法は、特に限定されるものではない。例えば、後述の特徴量導出部140が導出した断面周縁の中心を通過する複数の直線をそれぞれ判定線250として各断面周縁に毎に生成しても構わない。この場合、各判定線250が平行になるように判定線250を生成しても構わない。また、ランダム、または所定の法則に則って判定線250を順次生成し、すべての断面周縁が判定線250によって貫通されるまで判定線250を生成しても構わない。また、切断面内に断面周縁が一つしか存在しない場合は、当該断面については判定線250を生成しなくても構わない。なお、判定線250は、直線に限定されるものではない。
【0021】
凹凸判定部130は、断面周縁に対応する断面周縁情報と仮想的な判定線250との交点に判定線250の端部から順番を附し、一の断面周縁上における交点の順番に基づき断面周縁が対象物200の突出部分の外周を示す凸部周縁、または対象物200の陥凹部分の外周(突出部分の内周)を示す凹部周縁を判定する。凹凸判定部130の具体的な判定方法としては、(1)一の断面周縁上に存在する最も若い順番の交点が奇数番目の断面周縁情報を凸部周縁として判定する。(2)一の断面周縁上に存在する最も遅い順番の交点が偶数番目の断面周縁情報を凸部周縁として判定する。(3)一の断面周縁上に存在する最も若い順番の交点が偶数番目の断面周縁情報を凹部周縁として判定する。(4)一の断面周縁上に存在する最も遅い順番の交点が奇数番目の断面周縁情報を凹部周縁として判定する。以上の(1)-(4)を例示することができる。なお本特許請求の範囲では、以上の(1)-(4)の内容は、演算処理として同じものであるとみなし、(1)、および(2)の内容を代表として記載している。
【0022】
具体的に例えば、
図6に示すように、凹凸判定部130は、各断面周縁情報と判定線250の交点を導出する。本実施の形態の場合、断面周縁情報は周縁点240の集合として表されるため、凹凸判定部130は、断面周縁上で隣り合う周縁点240を結ぶ線分と判定線250の交点を導出する。次に凹凸判定部130は、判定線250の端部(例えば図中X軸正側の端部)から順に交点に番号を附す。本実施の形態の場合、先頭の交点を1とし交点の並び順に従い1ずつ加算した番号を附しており、一つの判定線250上の交点の順番と番号とが一致している。
【0023】
凹凸判定部130は、一つの判定線250(例えば図中の最もY-側の判定線250)上において、第二断面周縁232上の交点の順番が「1」と「4」であり、最も若い順番である「1」が奇数であるため第二断面周縁232は、凸部周縁と判定する。また、凹凸判定部130は、第三断面周縁233上の交点の順番が「2」と「3」であり、最も若い順番である「2」が偶数であるため第三断面周縁233は、凹部周縁と判定する。また、凹凸判定部130は、第五断面周縁235上の交点の順番が「5」と「6」であり、最も若い順番である「5」が奇数であるため第五断面周縁235は、凸部周縁と判定する。凹凸判定部130は、第一切断面211におけるすべての断面周縁について凸部周縁か凹部周縁かの判定を行い、断面周縁情報に判定結果を追加する。
【0024】
形状認識装置100は、
図7に示すように、対象物200を切断する複数の切断面210のそれぞれについて処理を行う。具体的には、表面情報処理部110は、それぞれの切断面210において、断面周縁情報の取得、または生成を行い、判定線生成部120は、それぞれの切断面210において、判定線250を生成し、凹凸部判定部は、各切断面210におけるそれぞれの断面周縁情報について判定を行う。
【0025】
特徴量導出部140は、断面周縁の幾何的な特徴を示す幾何学的特徴量を断面周縁情報に基づき導出する。幾何学的特徴量は、特に限定されるものではないが、対象物200における断面周縁の位置、形状、大きさなどを示す数値である。具体的に例えば、幾何学的特徴量は、断面周縁の中心(重心)の位置座標、および断面周縁を内包する最小面積の矩形である包含ボックスの一組の対角の位置座標を例示することができる。なお、包含ボックスの各辺の傾きは、予め定められた直交座標に座標軸に平行であるなどと定めておけば良い。
【0026】
立体判定部150は、異なる切断面210のそれぞれに含まれる断面周縁のそれぞれの幾何学的特徴量に基づき異なる切断面210に含まれる断面周縁が一連の立体形状の表面を示す断面周縁か否かを判定する。具体的に例えば、隣り合う切断面210にそれぞれ含まれる断面周縁の中心の位置座標の差分が第一閾範囲内、および包含ボックスの対角の位置座標のそれぞれの差分が第二閾範囲内であれば一連の立体形状の側面を示す断面周縁情報であるとして判定する。これをそれぞれの切断面210について行うことで、一連の立体形状を示す断面周縁情報としてそれぞれの切断面210に存在する断面周縁情報を関連付けることができる。
【0027】
図8は、形状認識装置の動作の流れを示すフローチャートである。形状認識装置100の表面情報処理部110は、外部装置300などから表面形状情報を取得する(S101)。表面情報処理部110は、取得した表面形状情報に断面周縁情報が含まれるかを判断する(S102)。断面周縁情報が含まれている場合(S102:Yes)、形状認識装置100は、以降の処理に当該断面周縁情報を用いる。断面周縁情報が含まれていない場合(S102:No)、表面情報処理部110は、切断面210のそれぞれについて断面周縁情報を生成する。
【0028】
次に、得られた断面周縁情報に基づき判定線生成部120は、1本、または複数本の判定線250を生成する(S104)。凹凸判定部130は、生成された判定線250と断面周縁との交点について、判定線250の端部から順番をカウントし、断面周縁上に存在する最も若い順番の交点が奇数番目の断面周縁情報を凸部周縁として判定する(S105)。形状認識装置100は、各切断面210における断面周縁情報の判定が終了するまで判定線の生成ステップ(S104)、および凸部、凹部判定ステップ(S105)を繰り返す(S106:No)。
【0029】
判定が終了すると(S106:Yes)、次に形状認識装置100は、各切断面210に含まれる断面周縁同士の関係性を判断する。特徴量導出部140は、各断面周縁情報について幾何学的特徴量を導出し(S107)、立体判定部150は、隣り合う切断面210の断面周縁情報の差分を閾値判断することにより一連の立体形状の側面を示す断面周縁情報か否かを判定する(S108)。各断面周縁の関係性の判定が終了するまで、判定処理が繰り返され(S109:No)、判定が終了すると(S109:Yes)、形状認識装置100の処理が終了する。
【0030】
以上の形状認識方法を形状認識装置100で実行することにより、比較的少ないデータ量であるにもかかわらず断面周縁情報が凸部の周縁か凹部の周縁かをCAMや測定装置などのコンピュータに容易に認識させることが可能となる。
【0031】
これにより、等高線加工等における切削工具の動作経路や、対象物200の表面をセンシングする際のプローブの動作経路の設計をコンピュータによって高速に処理することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0033】
例えば、形状認識装置100を単独の装置(プログラム)として説明したが、形状認識装置100は、CAD、CAMなどのコンピュータシステムのモジュールとして組み込まれても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、NC加工機などに提供される加工プログラムの作成、対象物表面の状態センシングのためのプローブの動作の設定などに利用可能である。
【符号の説明】
【0035】
100 形状認識装置
110 表面情報処理部
120 判定線生成部
130 凹凸判定部
140 特徴量導出部
150 立体判定部
200 対象物
210 切断面
211 第一切断面
221 第一断面
222 第二断面
223 第三断面
224 第四断面
231 第一断面周縁
232 第二断面周縁
233 第三断面周縁
234 第四断面主演
235 第五断面周縁
240 周縁点
250 判定線
300 外部装置