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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
A63F7/02 332Z
A63F7/02 332B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021026182
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022127933
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智章
(72)【発明者】
【氏名】山室 雅義
(72)【発明者】
【氏名】高橋 英剛
【審査官】小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-089031(JP,A)
【文献】特開2019-187753(JP,A)
【文献】特開2020-065764(JP,A)
【文献】特開2018-068433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の入球口が設けられた遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行い、前記入球口に遊技球が入球すると、賞球を付与する遊技機において、
始動入球口への遊技球の入球に基づいて識別情報を変動表示させた後に、大当り態様、小当り態様、および外れ態様の何れかで停止表示させる識別情報表示手段と、
前記識別情報が前記大当り態様で停止表示されると、大当り可変入球口が入球可能状態となる大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記識別情報が前記小当り態様で停止表示されると、小当り可変入球口が入球可能状態となる小当り遊技を実行する小当り遊技実行手段と、
前記遊技に関する情報を示す各種の信号を外部に向けて出力する出力手段と
を備え、
前記大当り遊技実行手段は、前記識別情報が前記大当り態様で停止表示された場合に加えて、前記小当り遊技中に前記小当り可変入球口に入球した遊技球が特定領域を通過した場合にも該小当り遊技の終了後に前記大当り遊技を実行し、
前記小当り可変入球口に到達可能に遊技球の発射を継続していれば、前記小当り遊技の発生に伴って遊技球が少なくとも1つは前記特定領域を通過し、
前記出力手段は、前記識別情報が前記小当り態様で停止表示されてから前記小当り遊技で前記小当り可変入球口が入球可能状態になるまでの間に、前記大当り遊技の発生に対応する大当り信号を出力する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機において、
前記遊技の進行に伴って演出を実行する演出実行手段を備え、
前記出力手段は、前記小当り遊技で前記小当り可変入球口が入球可能状態となるのに先立って該小当り遊技の開始を示す小当りオープニング演出を実行するための小当りオープニング時間の開始時に、前記大当り信号を出力する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の遊技機において、
前記小当り可変入球口への遊技球の入球に対して、前記大当り可変入球口への遊技球の入球と同様の前記賞球を付与する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の遊技球において、
一の可変入球口が前記大当り可変入球口と前記小当り可変入球口とを兼ねており、
前記小当り遊技では、前記可変入球口が入球可能状態となる時間が前記大当り遊技に比べて短い
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することによって遊技を行う遊技機(パチンコ機)に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技盤に形成された遊技領域に向けて遊技球を発射することで遊技を行う遊技機では、遊技領域に設けられた入球口に遊技球が入球すると、遊技者に賞球を付与するのが一般的である。また、所定の入球口(始動口)への遊技球の入球に基づいて、識別情報(例えば、特別図柄)の変動表示を行うものが普及している。そして、識別情報が所定の大当り態様で停止表示されると、入球不能状態と入球可能状態とに変化可能な可変入球口(大入賞口)が入球可能状態となる大当り遊技を実行するようになっている。
【0003】
こうした遊技機の中には、識別情報が所定の小当り態様で停止表示されると、可変入球口が入球可能状態となる小当り遊技を実行し、小当り遊技中に可変入球口に入球した遊技球が特定領域(V)を通過した場合にも小当り遊技の終了後に大当り遊技を実行する機種(いわゆる1種2種混合機)が存在する(特許文献1)。
【0004】
また、こうした遊技機は、遊技ホールに設置されてホールコンピュータと接続されており、遊技に関する情報を示す各種の信号を遊技機の外部に向けて出力するようになっている。これらの信号に基づきホールコンピュータ側では、遊技機で発射された遊技球の個数(打込数)や、賞球として付与された遊技球の個数(払出数)を把握しており、いわゆるベース値(遊技球を100球発射して付与される賞球の平均個数)や、大当り遊技中の払出数などを管理することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-174776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述のように小当り遊技を経て大当り遊技が発生する遊技機では、小当り遊技で遊技球が特定領域を通過した際に、対応する信号を遊技機の外部に向けて出力するのが一般的であり、ホールコンピュータ側では当該信号の入力を受けて大当り遊技の発生を認識するため、小当り遊技で遊技球が特定領域を通過する前に大当り遊技と同様に賞球が付与されることによって、ベース値が設計値に比して高くなり過ぎることがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、小当り遊技で遊技球が特定領域を通過すると大当り遊技が発生する遊技機においてベース値が高くなり過ぎることを抑制可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
複数の入球口が設けられた遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行い、前記入球口に遊技球が入球すると、賞球を付与する遊技機において、
始動入球口への遊技球の入球に基づいて識別情報を変動表示させた後に、大当り態様、小当り態様、および外れ態様の何れかで停止表示させる識別情報表示手段と、
前記識別情報が前記大当り態様で停止表示されると、大当り可変入球口が入球可能状態となる大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記識別情報が前記小当り態様で停止表示されると、小当り可変入球口が入球可能状態となる小当り遊技を実行する小当り遊技実行手段と、
前記遊技に関する情報を示す各種の信号を外部に向けて出力する出力手段と
を備え、
前記大当り遊技実行手段は、前記識別情報が前記大当り態様で停止表示された場合に加えて、前記小当り遊技中に前記小当り可変入球口に入球した遊技球が特定領域を通過した場合にも該小当り遊技の終了後に前記大当り遊技を実行し、
前記小当り可変入球口に到達可能に遊技球の発射を継続していれば、前記小当り遊技の発生に伴って遊技球が少なくとも1つは前記特定領域を通過し、
前記出力手段は、前記識別情報が前記小当り態様で停止表示されてから前記小当り遊技で前記小当り可変入球口が入球可能状態になるまでの間に、前記大当り遊技の発生に対応する大当り信号を出力する
ことを特徴とする。
【0009】
上述した本発明の遊技機では、
前記遊技の進行に伴って演出を実行する演出実行手段を備え、
前記出力手段は、前記小当り遊技で前記小当り可変入球口が入球可能状態となるのに先立って該小当り遊技の開始を示す小当りオープニング演出を実行するための小当りオープニング時間の開始時に、前記大当り信号を出力する
こととしてもよい。
【0010】
また、こうした本発明の遊技機では、
前記小当り可変入球口への遊技球の入球に対して、前記大当り可変入球口への遊技球の入球と同様の前記賞球を付与する
こととしてもよい。
【0011】
また、こうした本発明の遊技機では、
一の可変入球口が前記大当り可変入球口と前記小当り可変入球口とを兼ねており、
前記小当り遊技では、前記可変入球口が入球可能状態となる時間が前記大当り遊技に比べて短い
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、小当り遊技で遊技球が特定領域を通過すると大当り遊技が発生する遊技機においてベース値が高くなり過ぎることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例のパチンコ機1の正面図である。
図2】本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。
図3】本実施例の複合入球ユニット50の構成を示す説明図である。
図4】本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示すブロック図である。
図5】セグメント表示部70を拡大して示した説明図である。
図6】演出表示装置41における表示の一態様を例示した説明図である。
図7】本実施例のパチンコ機1における1種大当り遊技の種類を示す説明図である。
図8】本実施例のパチンコ機1における2種大当り遊技の種類を示す説明図である。
図9】非電サポ状態における遊技の主な進行態様を示す説明図である。
図10】電サポ状態における遊技の主な進行態様を示す説明図である。
図11】主制御基板200のCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。
図12】遊技ホールのネットワーク構成を概念的に示した説明図である。
図13】本実施例のパチンコ機1から遊技に関する情報を示す各種の信号が外部に出力される様子を概念的に示した説明図である。
図14】本実施例の大当り信号出力処理を示したフローチャートである。
図15】大当り信号出力処理に従って1種大当り遊技についての大当り信号を出力する例を示したタイムチャートである。
図16】大当り信号出力処理に従って2種大当り遊技についての大当り信号を出力する例を示したタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「1種2種混合機」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、「前」および「表」は「遊技機を基準とする前方」、つまり「遊技者に近接する方向(遊技者から見て手前側)」を示し、「後」および「裏」は「遊技機を基準とする後方」、つまり「遊技者から離間する方向(遊技者から見て奥側)」を示す。また、「上」とは遊技者から見て「上」であることを示し、「下」とは遊技者から見て「下」であることを示し、「左」とは遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは遊技者から見て「右」であることを示す。
【0015】
A.パチンコ機の装置構成 :
A-1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
【0016】
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述する遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述するセグメント表示部を視認可能である。
【0017】
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側の周縁部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側の周縁部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの上方の左右には一対の上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面側には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、および下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。
【0018】
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図4参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
【0019】
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技者による回転操作が可能な発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図4参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが作動して、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
【0020】
また、上皿部7の手前側の縁部には、遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には、遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。これらの演出ボタン10aやジョグシャトル10bは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、遊技者は、所定の条件成立時に演出操作部を操作することで、遊技演出に関与することが可能である。
【0021】
A-2.遊技盤の構成 :
図2は、本実施例の遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図4参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方へと流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者が視認可能である。
【0022】
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40は、演出表示装置41を備えている。演出表示装置41は、液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、本実施例の演出表示装置41は、本発明の「演出実行手段」に相当している。演出表示装置41の表示内容については別図を用いて後述する。
【0023】
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵のゲートセンサー27s(図4参照)によって検知されて、下方へと流下していく。
【0024】
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、第1始動口24が設けられている。第1始動口24は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性が不変(一定)であって、遊技球が常時入球可能になっている。第1始動口24に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー24s(図4参照)によって検知される。尚、本実施例の第1始動口24は、本発明の「始動入球口」に相当している。
【0025】
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の右斜め下方には、第2始動口55および大入賞口60を備えた複合入球ユニット50が設けられており、複合入球ユニット50の前方側は前板51で覆われている。複合入球ユニット50の詳細な構成については別図を用いて後述するが、本実施例の第2始動口55および大入賞口60は、各々が前後に移動可能な開閉板を備えており、開閉板の前後移動によって、遊技球が入球不能な閉鎖状態と、遊技球が入球可能な開放状態とを切り換えることが可能になっている。第2始動口55に入球した遊技球は、第2始動口センサー55s(図4参照)によって検知され、遊技盤20の裏面側へと導かれる。また、大入賞口60に入球した遊技球は、大入賞口センサー60s(図4参照)によって検知され、遊技盤20の裏面側へと導かれる。
【0026】
遊技領域21における第1始動口24の左方には、その他入賞口30が2つ設けられている。その他入賞口30は、上方に向けて開口しており、遊技球の入球可能性に変化がなく、遊技球が常時入球可能である。その他入賞口30に入球した遊技球は、通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、その他入賞口センサー30s(図4参照)によって検知される。
【0027】
また、遊技領域21における上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や、多数の遊技釘(図2では図示省略)が設けられている。さらに、遊技領域21の最下部には、アウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口55、大入賞口60、その他入賞口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏面側に排出される。
【0028】
本実施例のパチンコ機1において、複数の遊技釘の配置などにより、上述した第1始動口24、その他入賞口30には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、普通図柄作動ゲート27、第2始動口55、大入賞口60には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が通過または入球可能である。以下では、中央装置40の左方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「左打ち」とも表現し、中央装置40の右方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24に遊技球が入球した場合は、賞球として5個の遊技球が払い出され、第2始動口55に遊技球が入球した場合は、賞球として1個の遊技球が払い出され、大入賞口60に遊技球が入球した場合は、賞球として15個の遊技球が払い出され、その他入賞口30に遊技球が入球した場合は、賞球として3個の遊技球が払い出される。
【0029】
さらに、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、複数のLEDの組み合わせによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部70が設けられている。セグメント表示部70は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。尚、セグメント表示部70の表示内容については別図を用いて後述する。
【0030】
図3は、本実施例の複合入球ユニット50の構成を示す説明図である。前述したように複合入球ユニット50は、前方側が前板51で覆われている。本実施例の前板51は、後方が見えるように透明な樹脂材料で形成されており、図3では、前板51の図示を省略している。図示されるように複合入球ユニット50は、後面の取付板52を備えており、この取付板52が遊技盤20の盤面に接して取り付けられる。前板51は、取付板52と略平行に設置され、前板51と取付板52との間隔は、遊技球が通過可能に遊技球の直径よりも広く設定されている。
【0031】
前板51と取付板52との間には、取付板52から突設されたリブ53によって遊技球の通路が形成されると共に、上方に向けて開口した開口部55aを有する第2始動口55と、同じく上方に向けて開口した開口部60aを有する大入賞口60とが設けられている。第2始動口55は、前後に移動可能な開閉板56を備えており、開閉板56が前方に移動して開口部55aが開閉板56に覆われた閉鎖状態と、開閉板56が後方に移動して開口部55aが開閉板56に覆われない開放状態とに変化可能である。開閉板56は、左側に向かって下方に傾斜しており、閉鎖状態では開閉板56上の遊技球を左方へと転動させる。また、第2始動口55は、開口部55aの下方に第2始動口センサー55sを備えており、開放状態で開口部55aから入球した遊技球は、第2始動口センサー55sを通過することで検知された後、取付板52に形成された引込孔57を通って遊技盤20の裏面側へと導かれる。尚、本実施例の第2始動口55は、本発明の「始動入球口」に相当している。
【0032】
大入賞口60は、前後に移動可能な開閉板61を備えており、開閉板61が前方に移動して開口部60aが開閉板61に覆われた閉鎖状態と、開閉板61が後方に移動して開口部60aが開閉板61に覆われない開放状態とに変化可能である。開閉板61は、左側に向かって下方に傾斜しており、閉鎖状態では開閉板61上の遊技球を左方の第2始動口55に向けて転動させる。大入賞口60の開口部60aは、第2始動口55の開口部55aに比べて大きく形成されており、開放状態では遊技球が入球し易くなっている。
【0033】
また、大入賞口60は、開口部60aの下方で幅が絞られた部分に大入賞口センサー60sを備えており、開放状態で開口部60aから入球した遊技球は、大入賞口センサー60sを通過することで検知される。さらに、大入賞口センサー60sの下方に特定通路62が接続されており、大入賞口センサー60sを通過した遊技球は特定通路62に沿って流下し、取付板52に形成された特定口63へと誘導される。そして、特定口63を通って遊技盤20の裏面側に導かれた遊技球は、特定口センサー63s(図4参照)によって検知される。すなわち、本実施例の大入賞口60に入球した遊技球は全て特定口63を通過するようになっている。尚、遊技球が大入賞口60に入球してから特定口63を通過するまでに時間差があることから、大入賞口60に最先に入球した遊技球が特定口センサー63sで検知された時点で、既に後続する複数の遊技球が大入賞口60に入球して大入賞口センサー60sで検知されている場合がある。
【0034】
A-3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図4は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図4におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図4におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図4におけるRAM203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
【0035】
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口55へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー55s、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球を検知するゲートセンサー27s、大入賞口60へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー60s、特定口63を通過した遊技球を検知する特定口センサー63s、その他入賞口30へ入球した遊技球を検知するその他入賞口センサー30sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー55s、ゲートセンサー27s、大入賞口センサー60s、特定口センサー63s、その他入賞口センサー30sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応したコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向けて送信する。
【0036】
また、主制御基板200には、第2始動口55の閉鎖状態と開放状態とを切り換え可能な開閉板56を駆動する始動口ソレノイド56mや、大入賞口60の閉鎖状態と開放状態とを切り換え可能な開閉板61を駆動する大入賞口ソレノイド61m、セグメント表示部70などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、始動口ソレノイド56m、大入賞口ソレノイド61m、セグメント表示部70に駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
【0037】
さらに、主制御基板200には、パチンコ機1の外部に信号を出力するための外部端子板79が接続されている。主制御基板200のCPU201は、検知信号の入力のあった各種センサー(第1始動口センサー24s、第2始動口センサー55s、ゲートセンサー27s、大入賞口センサー60s、特定口センサー63s、その他入賞口センサー30sなど)に対応する信号や、パチンコ機1の状態などを示す信号を、外部端子板79を介してパチンコ機1の外部に向けて出力することが可能になっている。尚、外部に向けて信号を出力する本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「出力手段」に相当している。
【0038】
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228などが接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して、表示画像や出力音声を指定するコマンドを送信したり、ランプ制御基板226に対して、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a~5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10b(以下「演出操作部10a,10b」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、その操作を反映して遊技演出を行う。
【0039】
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した音声データを音声ROM236から読み出して、音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から音声を出力する。
【0040】
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、その検知信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
【0041】
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には発射装置ユニット261が接続されている。発射装置ユニット261は、遊技球を発射するための発射モーター262や、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263などを有している。遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、発射モーター262の作動が可能となり、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
【0042】
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル9を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さ(発射強度)は発射ハンドル9の回転角度によって調節することが可能であり、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させて所望の領域に遊技球を流下させることが可能である。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、中央装置40の右方の領域に流下させるように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
【0043】
図2を用いて前述したように第1始動口24には、左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口24に入球して、第1始動口センサー24sによって検知されると、所定の判定乱数(特図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて「大当り」、「小当り」、「外れ」の何れであるかを判定する特図当り判定を行う。そして、特図当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部70にて第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)の変動表示を行う。本実施例の第1特図についての特図当り判定では、約256分の1の確率で「大当り」と判定され、約655分の1の確率で「小当り」と判定される。
【0044】
また、第2始動口55には、右打ちされた遊技球が入球可能である。本実施例のパチンコ機1では、第2始動口55への遊技球の入球可能性が異なる遊技状態として「非電サポ状態」または「電サポ状態」に設定され、電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口55への遊技球の入球可能性が高くなる。そして、非電サポ状態では、第2始動口55よりも第1始動口24に遊技球が入球し易いことから、遊技者にとって左打ちが有利である。一方、電サポ状態では、第1始動口24よりも第2始動口55に遊技球が入球し易いことから、遊技者にとって右打ちが有利である。
【0045】
遊技球が第2始動口55に入球して、第2始動口センサー55sによって検知されると、判定乱数を取得して特図当り判定を行った後、セグメント表示部70にて第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)の変動表示を行う。本実施例の第2特図についての特図当り判定では、約256分の1の確率で「大当り」と判定され、約6分の1の確率で「小当り」と判定される。従って、特図当り判定で「大当り」と判定される確率は、第1特図と第2特図とで互いに同じであるものの、「小当り」と判定される確率は、第1特図よりも第2特図の方が大幅に高くなっている。
【0046】
図5は、セグメント表示部70を拡大して示した説明図である。前述したようにセグメント表示部70は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。図示されるようにセグメント表示部70には、第1特図を表示する第1特図表示部71と、第2特図を表示する第2特図表示部72とが設けられており、それぞれ9個のLEDで構成されている。第1特図および第2特図は、対応する表示部71,72で9個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、所定の組み合わせのLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、特図当り判定の結果が「大当り」であれば、大当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させ、「小当り」であれば、小当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させ、「外れ」であれば、外れ図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯させる。尚、本実施例の第1特図および第2特図は、本発明の「識別情報」に相当し、本実施例のセグメント表示部70は、本発明の「識別情報表示手段」に相当している。
【0047】
特別図柄(第1特図または第2特図)を大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れかで停止表示したら、停止表示された図柄を確定させるべく、そのまま所定の確定時間が経過するまで維持することで確定表示を行う。以下では、特別図柄が変動表示を開始してから確定表示が終了するまでの遊技、すなわち1回の変動表示の結果が得られるまでの遊技を「図柄変動遊技」ともいう。また、第1特図と第2特図とを特に区別する必要がない場合には、単に「特別図柄」と称することがある。
【0048】
尚、第1始動口24または第2始動口55に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、第1始動口24への入球で取得した判定乱数の値を第1特図保留として記憶し、第2始動口55への入球で取得した判定乱数の値を第2特図保留として記憶する。その後、特別図柄(第1特図または第2特図)の新たな変動表示の開始条件が満たされると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて特図当り判定を行い、対応する特別図柄の変動表示を行う。本実施例のパチンコ機1では、このような第1特図保留および第2特図保留を、それぞれ最大4つまで記憶可能である。また、第1特図保留および第2特図保留の両方が記憶されている場合には、第1特図保留よりも優先して第2特図保留に基づく特図当り判定を行う(第2特図保留を優先消化する)ようになっている。
【0049】
図5に示されるようにセグメント表示部70には、第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)を表示する第1特図保留表示部73と、第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)を表示する第2特図保留表示部74とが設けられており、それぞれ2個のLEDで構成されている。これらの保留表示部73,74では、保留数が0個であればLEDが2個とも消灯し、保留数が1個であれば1個のLEDが点灯し、保留数が2個であれば2個のLEDが点灯し、保留数が3個であれば1個のLEDが点滅し、保留数が4個であれば、2個のLEDが点滅する。
【0050】
また、特別図柄の変動表示と連動して、演出表示装置41では、演出用の種々の画像が表示される。図6は、演出表示装置41における表示の一態様を例示した説明図である。演出表示装置41の表示画面上には、演出用の図柄として3つの装飾図柄41a,41b,41cや、その背景となる背景画像41d(図6の例では自動車の画像)などを表示可能である。セグメント表示部70の第1特図表示部71あるいは第2特図表示部72で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置41においても、装飾図柄41a,41b,41cが複数の数字(例えば「1」~「9」の9つの数字)を順番に次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。尚、装飾図柄は、数字以外にも、文字、図形、記号等を意匠化した図柄であってもよく、遊技者が種類を識別できる形態であればよい。
【0051】
図6(a)には、3つの装飾図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。図示されるように本実施例の3つの装飾図柄41a,41b,41cは、横方向に並んでおり、各々が上から下へと縦スクロールすることで変動表示を行うようになっている。そして、変動表示の開始後、まず初めに左装飾図柄41aが「1」~「9」の何れかで停止表示され、次に右装飾図柄41cが停止表示され、最後に中装飾図柄41bが停止表示される。このとき、3つの装飾図柄41a,41b,41cは、特別図柄(第1特図または第2特図)が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃った組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。また、特別図柄が小当り図柄で停止表示される場合は、予め定められた特殊な組み合わせ(特殊目、例えば「2-4-6」)で停止表示される。さらに、特別図柄が外れ図柄で停止表示される場合は、特殊目を除く同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示される。
【0052】
こうして演出表示装置41における装飾図柄41a,41b,41cの表示内容を、特別図柄の表示内容と対応させることにより、図6(b)に示されるように3つの装飾図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字であると、最後に停止表示される装飾図柄も同じ数字で揃うのではないかと、遊技者は装飾図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように2つの装飾図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の装飾図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、リーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。また、こうしたリーチ演出には、通常のリーチ演出(ノーマルリーチ演出)と、ノーマルリーチ演出よりも長期間に亘るリーチ演出(スーパーリーチ演出)とがあり、スーパーリーチ演出に発展することによって、装飾図柄41a,41b,41cがゾロ目で停止表示される可能性(大当り期待度)が高まる。
【0053】
さらに、図6に示されるように、演出表示装置41の表示画面の下部には、特図保留(第1特図保留や第2特図保留)に対応する保留シンボルを表示するための保留表示領域42(図中の破線で囲まれた部分)が設けられている。本実施例の保留表示領域42では、保留シンボル(図中の小円形)として、特別図柄の変動表示を未実行である特図保留に対応する未実行シンボル43と、既に変動表示を開始した特別図柄の実行契機となった特図保留に対応する実行中シンボル44とを表示するようになっている。
【0054】
そして、非電サポ状態(左打ち時)であれば、第1特図保留に対応する保留シンボルを表示し、電サポ状態(右打ち時)であれば、第2特図保留に対応する保留シンボルを表示するようになっている。前述したように第1特図保留および第2特図保留をそれぞれ最大4つまで記憶可能であることと対応して、保留表示領域42には未実行シンボル43を図6の例のように最大4つまで表示可能である。
【0055】
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口60が開放状態となる大当り遊技を実行する。また、第1特図または第2特図が小当り図柄で停止表示されると、大入賞口60が開放状態となる時間が大当り遊技よりも短い小当り遊技を実行し、その小当り遊技中に大入賞口60に入球した遊技球が特定口63(いわゆる「V」)を通過した場合にも、大当り遊技を実行する。尚、図3に示したように本実施例の大入賞口60に入球した遊技球は全て特定口63を通過するようになっている。このように本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技を実行する契機が2種類あり、以下では、大当り図柄の停止表示を契機とする大当り遊技を「1種大当り遊技」と呼び、小当り遊技を経て遊技球が特定口63を通過したことを契機とする大当り遊技を「2種大当り遊技」と呼ぶ。
【0056】
1種大当り遊技および2種大当り遊技の何れにおいても、開放した大入賞口60を、規定個数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。本実施例のパチンコ機1では、複数の大当り図柄および複数の小当り図柄が設けられており、停止表示された大当り図柄の種類に応じて、ラウンド遊技の回数(ラウンド回数)が異なる複数の1種大当り遊技の何れかを実行し、停止表示された小当り図柄の種類に応じて、ラウンド回数が異なる複数の2種大当り遊技の何れかを実行する。前述したように大入賞口60には、右打ちされた遊技球が入球可能であり、大入賞口60に遊技球が1個入球する毎に、賞球として15個の遊技球が払い出されることから、ラウンド回数が多い大当り遊技であるほど、遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
【0057】
図7は、本実施例のパチンコ機1における1種大当り遊技の種類を示す説明図である。本実施例のパチンコ機1では、第1特図と第2特図とで停止表示される大当り図柄の種類が異なり、図7(a)に示されるように、第1特図で大当り図柄が停止表示される場合には、大当り図柄Aが5%の確率で停止表示され、大当り図柄Bが95%の確率で停止表示される。そして、大当り図柄Aが停止表示された場合は、ラウンド回数が10回(10R)の1種大当り遊技を行い、大当り図柄Bが停止表示された場合は、ラウンド回数が3回(3R)の1種大当り遊技を行う。
【0058】
また、大当り遊技の終了後は遊技状態が電サポ状態に設定されるようになっており、この電サポ状態が継続される特別図柄の変動回数(電サポ回数)が大当り図柄の種類によって異なっている。すなわち、大当り図柄Aであれば、電サポ回数が7回であるのに対し、大当り図柄Bであれば、電サポ回数が1回であり、大当り遊技の終了後に特別図柄の変動回数が電サポ回数に達すると非電サポ状態に設定される。
【0059】
一方、図7(b)に示されるように、第2特図で大当り図柄が停止表示される場合には、大当り図柄Cが20%の確率で停止表示され、大当り図柄Dが40%の確率で停止表示され、大当り図柄Eが40%の確率で停止表示される。そして、大当り図柄Cが停止表示された場合は、ラウンド回数が10回(10R)の1種大当り遊技を行い、大当り図柄Dが停止表示された場合は、ラウンド回数が7回(7R)の1種大当り遊技を行い、大当り図柄Eが停止表示された場合は、ラウンド回数が4回(4R)の1種大当り遊技を行う。また、大当り図柄C~Eの何れであっても、電サポ回数は7回である。
【0060】
図8は、本実施例のパチンコ機1における2種大当り遊技の種類を示す説明図である。本実施例のパチンコ機1では、第1特図と第2特図とで停止表示される小当り図柄の種類が異なり、図8(a)に示されるように、第1特図で小当り図柄が停止表示される場合には、小当り図柄aが100%の確率で停止表示される。そして、小当り図柄aが停止表示された場合は、小当り遊技を経て、ラウンド回数が3回(3R)の2種大当り遊技を行う。また、大当り遊技の終了後は遊技状態が電サポ状態に設定され、電サポ回数が小当り図柄の種類によって異なっており、小当り図柄aでは電サポ回数が1回である。
【0061】
一方、図8(b)に示されるように、第2特図で小当り図柄が停止表示される場合には、小当り図柄bが20%の確率で停止表示され、小当り図柄cが40%の確率で停止表示され、小当り図柄dが40%の確率で停止表示される。そして、小当り図柄bが停止表示された場合は、小当り遊技を経てラウンド回数が10回(10R)の2種大当り遊技を行い、小当り図柄cが停止表示された場合は、小当り遊技を経てラウンド回数が6回(6R)の2種大当り遊技を行い、小当り図柄dが停止表示された場合は、小当り遊技を経てラウンド回数が3回(3R)の2種大当り遊技を行う。また、小当り図柄b~dの何れであっても、電サポ回数は7回である。
【0062】
また、前述したように、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球がゲートセンサー27sによって検知されると、所定の判定乱数(普図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて普図当りか外れかを判定する普図当り判定を行う。そして、普図当り判定の結果に基づいて、セグメント表示部70にて普通図柄の変動表示を行う。
【0063】
図5に示されるようにセグメント表示部70には、普通図柄を表示する普図表示部76が設けられており、左右2個のLEDで構成されている。普通図柄は、普図表示部76で2個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、一方のLEDを点灯させた状態で停止表示される。このとき、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左側のLEDを点灯させ、外れであれば、外れ図柄に対応する右側のLEDを点灯させる。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示されると、第2始動口55が所定時間だけ開放状態となった後に閉鎖状態に戻る普図当り遊技を行う。
【0064】
尚、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中などで新たな変動表示の開始条件が満たされていない場合には、取得した判定乱数の値を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普通図柄の新たな変動表示の開始条件が満たされると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。図5に示されるようにセグメント表示部70には、2個のLEDで構成された普図保留表示部77が設けられており、普図保留の記憶数(普図保留数)は普図保留表示部77に表示される。
【0065】
普図当り遊技における第2始動口55の開放時間は、遊技状態が「非電サポ状態」であるか「電サポ状態」であるかによって異なり、電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口55の開放時間が長く設定される。例えば、非電サポ状態では、開放時間が0.03秒×1回に設定されるのに対して、電サポ状態では、開放時間が2.8秒×2回に設定される。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも普通図柄の変動時間が短く設定される。従って、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて第2始動口55に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
【0066】
図5に示されるようにセグメント表示部70には、3個のLEDで構成された電サポ表示部75が設けられており、電サポ状態中は、電サポ表示部75のLEDを点灯させる。前述したように1種大当り遊技および2種大当り遊技の何れであっても、大当り遊技の終了後は電サポ状態に設定され、電サポ状態で行われた特別図柄の変動表示の回数が電サポ回数に達すると非電サポ状態に設定されるようになっており、「非電サポ状態」と「電サポ状態」とでは、遊技の進行態様が異なっている。
【0067】
図9は、非電サポ状態における遊技の主な進行態様を示す説明図である。非電サポ状態中は、普通図柄作動ゲート27に遊技球を通過させて第2始動口55が開放状態になっても開放時間が短く、「右打ち」によって遊技球が第2始動口55に入球することは稀である。そのため、非電サポ状態では、「左打ち」によって遊技球を第1始動口24に入球させる遊技(すなわち、専ら第1特図が変動表示する第1特図主体の遊技)が行われる。
【0068】
図9に示されるように、非電サポ状態で左打ちを行っていると、第1始動口24に遊技球が入球することにより(ev.1)、第1特図の変動表示が行われる(ev.2)。第1特図についての特図当り判定では、約256分の1の確率で「大当り」と判定され、約655分の1の確率で「小当り」と判定されるようになっており、第1特図の変動表示の多くは外れ図柄で停止表示される(ev.3)。この場合、遊技状態は非電サポ状態のままである。
【0069】
こうして第1特図の変動表示が繰り返されるうちに、第1特図についての特図当り判定で「大当り」と判定されると、第1特図が大当り図柄で停止表示され(ev.4)、1種大当り遊技が行われる(ev.5)。そして、1種大当り遊技が終了すると、遊技状態が電サポ状態に設定され(ev.6)、電サポ回数は大当り図柄の種類に応じて1回または7回となる。
【0070】
また、極稀にではあるものの、第1特図についての特図当り判定で「小当り」と判定されることがあり、この場合は、第1特図が小当り図柄で停止表示されて(ev.7)、小当り遊技が行われる(ev.8)。もっとも、非電サポ状態では左打ちなので、小当り遊技で開放状態となる大入賞口60に遊技球を入球させるには、左打ちから右打ちに変更する必要がある。そして、右打ちに変更して大入賞口60に遊技球を入球させることができれば、入球した遊技球が特定口63(いわゆる「V」)を通過することにより(ev.9)、2種大当り遊技が行われる(ev.10)。2種大当り遊技の終了後は、遊技状態が電サポ状態に設定され(ev.11)、電サポ回数は1回となる。尚、前述したように本実施例の大入賞口60では、入球した遊技球の全てが特定口63を通過するようになっている。
【0071】
一方、小当り遊技が行われたものの、左打ちを継続するなどして大入賞口60に遊技球を入球させることができなければ、遊技球が特定口63を通過しないので(ev.12)、2種大当り遊技が行われることはなく、遊技状態も非電サポ状態のままである。
【0072】
図10は、電サポ状態における遊技の主な進行態様を示す説明図である。電サポ状態中は、第2始動口55の開放時間が長く、遊技球が第2始動口55に入球し易い。そのため、電サポ状態では、「右打ち」によって遊技球を第2始動口55に入球させる遊技(すなわち、専ら第2特図が変動表示する第2特図主体の遊技)が行われる。
【0073】
図10に示されるように、電サポ状態で右打ちを行っていると、第2始動口55に遊技球が入球することにより(ev.21)、第2特図の変動表示が行われる(ev.22)。第2特図についての特図当り判定では、約6分の1の確率で「小当り」と判定されるようになっており、非電サポ状態よりも高い頻度で第2特図が小当り図柄で停止表示されて(ev.23)、小当り遊技が行われる(ev.24)。そして、小当り遊技中に大入賞口60に入球した遊技球が特定口63(いわゆる「V」)を通過することにより(ev.25)、2種大当り遊技が行われる(ev.26)。本実施例のパチンコ機1では、右打ち(大入賞口60に到達可能に発射)を継続していれば、小当り遊技の発生に伴って遊技球が少なくとも1つは特定口63を通過するようになっている。2種大当り遊技の終了後は、遊技状態が再び電サポ状態に設定され(ev.27)、電サポ回数は7回となって、右打ちの遊技(第2特図主体の遊技)が継続される。
【0074】
一方、小当り遊技が行われても、遊技球の発射を停止するなどして大入賞口60に遊技球を入球させることができず、遊技球が特定口63を通過しなければ(ev.28)、2種大当り遊技は行われない。そして、前回の大当り遊技の終了後に行われた特別図柄の変動表示の回数が未だ電サポ回数に達していない場合は、電サポ状態が維持されるので(ev.29)、右打ちの遊技(第2特図主体の遊技)が継続される。
【0075】
これに対して、前回の大当り遊技の終了後に行われた特別図柄の変動表示の回数が電サポ回数に達すると、電サポ状態が終了となり、遊技状態が非電サポ状態に設定され(ev.30)、左打ちの遊技(図9の第1特図主体の遊技)が行われる。もっとも、遊技状態が非電サポ状態に設定されても、第2特図保留が記憶されていることがあり、この場合は、第2特図保留に基づく特図当り判定を優先するので、第2特図の変動表示が行われて(ev.22)、高い頻度で第2特図が小当り図柄で停止表示されることになる(ev.23)。
【0076】
また、第2特図についての特図当り判定においても約256分の1の確率で「大当り」と判定されるので、電サポ状態でも第2特図が大当り図柄で停止表示され(ev.31)、1種大当り遊技が行われることがある(ev.32)。そして、1種大当り遊技が終了すると、遊技状態が再び電サポ状態に設定され(ev.33)、電サポ回数は7回となり、右打ちの遊技(第2特図主体の遊技)が継続される。
【0077】
さらに、第2特図についての特図当り判定においても「外れ」と判定されることにより、第2特図が外れ図柄で停止表示される(ev.34)。そして、前回の大当り遊技の終了後に行われた特別図柄の変動表示の回数が未だ電サポ回数に達していなければ、電サポ状態が維持されるので(ev.35)、右打ちの遊技(第2特図主体の遊技)が継続される。
【0078】
一方、前回の大当り遊技の終了後に行われた特別図柄の変動表示の回数が電サポ回数に達すると、電サポ状態が終了となり、遊技状態が非電サポ状態に設定され(ev.36)、左打ちの遊技(図7の第1特図主体の遊技)が行われる。ただし、第2特図保留が記憶されていれば、第2特図の変動表示が優先して行われる(ev.22)。
【0079】
C.遊技制御処理 :
図11は、主制御基板200のCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、所定周期で(例えば、4msec毎に)発生するタイマ割り込みに基づいて図11の遊技制御処理を実行する。尚、以下の説明では、CPU201の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
【0080】
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、まず、出力処理(S10)を行う。本実施例の主制御基板200では、後述する各処理においてサブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて送信する各種コマンドを、RAM203に確保された出力バッファに一旦記憶するようになっており、出力処理(S10)では、出力バッファに記憶されている各種コマンドを各種制御基板に向けて送信する。こうすることにより、例えば、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われ、払出制御基板240では、遊技球の払い出しが行われることになる。また、出力処理(S10)では、遊技に関する情報を示す各種の信号を、外部端子板79を介してパチンコ機1の外部に向けて出力する。
【0081】
主制御基板200のCPU201は、出力処理(S10)に続いて、入力処理(S20)を行う。前述したように、第1始動口24、第2始動口55、大入賞口60、その他入賞口30の何れかに遊技球が入球すると、賞球として遊技球を払い出すようになっている。そこで、入力処理(S20)では、賞球の払い出しを伴う入球を検知する各種センサー(第1始動口センサー24s、第2始動口センサー55s、大入賞口センサー60s、その他入賞口センサー30sなど)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球を検知した場合は、遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを、上述した出力バッファに記憶する。こうして出力バッファに記憶された払出コマンドは、次回の出力処理(S10)で払出制御基板240に向けて送信される。払出コマンドを受信した払出制御基板240は、前述したように遊技球の入球が第1始動口24であれば、5個の遊技球を払い出し、第2始動口55であれば、1個の遊技球を払い出し、大入賞口60であれば、15個の遊技球を払い出し、その他入賞口30であれば、3個の遊技球を払い出す。
【0082】
入力処理(S20)を終了すると、次に、乱数更新処理(S30)を行う。前述したように、特図当り判定や普図当り判定は、所定の判定乱数の値に基づいて行われる。また、これ以外にも、後述する各種の決定が専用の乱数の値に基づいて行われる。乱数更新処理(S30)では、これらの乱数の更新を行う。尚、乱数の更新は、遊技制御処理の中の乱数更新処理(S30)においてだけでなく、遊技制御処理を一旦終了してから次回の遊技制御処理を開始する(タイマ割り込みが発生する)までの間に行うこととしてもよい。また、乱数更新のための専用回路を設けて、この専用回路で乱数を更新してもよい。
【0083】
乱数更新処理(S30)を終了したら、ゲートセンサー検知処理(S40)を行う。ゲートセンサー検知処理(S40)では、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球をゲートセンサー27sで検知すると、普図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、普図当り判定乱数などを取得し、取得した乱数値を普図保留としてRAM203に記憶する。
【0084】
ゲートセンサー検知処理(S40)に続いて、始動口センサー検知処理(S50)を行う。始動口センサー検知処理(S50)では、第1始動口24に入球した遊技球を第1始動口センサー24sで検知すると、第1特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第1特図保留としてRAM203に記憶する。また、第2始動口55に入球した遊技球を第2始動口センサー55sで検知すると、第2特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第2特図保留としてRAM203に記憶する。ここで、判定乱数としては、特図当り判定を行うための特図当り判定乱数や、大当りや小当りの場合に特別図柄で停止表示する大当り図柄や小当り図柄の種類を決定するための図柄決定乱数や、特別図柄の変動表示の開始から停止表示までの変動パターンを決定するための変動パターン決定乱数などを取得する。
【0085】
また、第1特図保留や第2特図保留の記憶に伴って、特図保留(第1特図保留または第2特図保留)の追加を示す保留追加コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。この保留追加コマンドは、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信され、サブ制御基板220のCPU221は、保留追加コマンドを受信すると、演出表示装置41の保留表示領域42に未実行シンボル43を追加する。
【0086】
始動口センサー検知処理(S50)を終了すると、次に、特定口センサー検知処理(S60)を行う。特定口センサー検知処理(S60)では、特定口63を通過した遊技球を特定口センサー63sで検知すると、小当り遊技の発生の有無や、V入賞フラグがONに設定されているか否かを判断する。V入賞フラグとは、小当り遊技の発生に伴って遊技球が特定口63を通過したことを示すフラグであり、主制御基板200のRAM203にV入賞フラグの記憶領域が確保されている。小当り遊技が発生し、且つ、未だV入賞フラグがONに設定されていなければ、V入賞フラグをONに設定する。前述したように小当り遊技で開放状態の大入賞口60に遊技球が入球すると特定口63を通過するようになっており、複数の遊技球が大入賞口60に入球した場合は、最先の遊技球が特定口センサー63sで検知された時点でV入賞フラグがONに設定される。
【0087】
特定口センサー検知処理(S60)が終了すると、普通動作処理(S70)を行う。普通動作処理(S70)では、主に次のような処理を行う。まず、普通図柄の変動表示中または普図当り遊技の実行中であるか否かを判断する。普通図柄の変動表示中および普図当り遊技の実行中の何れでもない場合は、普通図柄の停止表示から所定の確定時間が経過していることを確認した後、普図保留数が「0」であるか否かを判断する。普図保留数が「0」でなければ(普図保留が記憶されていれば)、最先に記憶された普図保留を読み出し、その読み出した普図保留(普図当り判定乱数の値)に基づいて普図当り判定を行う。この普図当り判定では、普図保留として読み出した普図当り判定乱数の値が所定の当り値であれば、普図当りと判定し、当り値以外の外れ値であれば、外れと判定する。
【0088】
そして、普図当り判定の結果に基づき、普通図柄を普図当り図柄で停止表示するか、外れ図柄で停止表示するかを決定する。さらに普通図柄の変動時間を設定して、普通図柄の変動表示を開始すると共に、普図保留数から「1」を減算する。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも普通図柄の変動時間が短く設定される。
【0089】
普通図柄の変動表示中である場合は、変動時間が経過したか否かを判断して、変動時間が経過すると、決定しておいた普図当り図柄または外れ図柄で普通図柄を停止表示する。そして、確定時間の経過を待って、停止表示された普通図柄が外れ図柄である場合は、再び普通図柄の変動表示を開始する処理を行う。一方、停止表示された普通図柄が普図当り図柄である場合は、普図当り遊技を開始する。
【0090】
普図当り遊技中は、始動口ソレノイド56mを駆動して第2始動口55を開放状態とした後、開放時間が経過したら閉鎖状態に戻す処理を行う。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口55の開放時間が長く設定される。
【0091】
普通動作処理(S70)を終了したら、続いて、特別動作処理(S80)を行う。特別動作処理(S80)では、主に次のような処理を行う。まず、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示中、特別図柄の確定表示中、大当り遊技中、小当り遊技中の何れかであるか否かを判断する。これらの何れでもない場合は、第1特図保留数および第2特図保留数が「0」であるか否かを判断し、第1特図保留数または第2特図保留数が「0」でなければ、特図保留として記憶されている前述した各種の判定乱数(特図当り判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数)の値を読み出す。本実施例のパチンコ機1では、まず第2特図保留が記憶されていれば、最先に記憶された第2特図保留を読み出し、第2特図保留が記憶されていなければ、最先に記憶された第1特図保留を読み出す(第2特図保留を優先消化する)。
【0092】
こうして第1特図保留または第2特図保留として読み出した特図当り判定乱数の値に基づいて特図当り判定を行う。特図当り判定では、読み出した特図当り判定乱数の値が「大当り」に対応する値(大当り値)であれば、大当りと判定し、「小当り」に対応する値(小当り値)であれば、小当りと判定し、「外れ」に対応する値(外れ値)であれば、外れと判定する。前述したように本実施例の特図当り判定では、「大当り」と判定される確率は第1特図と第2特図とで同じであるものの、「小当り」と判定される確率は第1特図よりも第2特図で大幅に高くなっている。
【0093】
そして、特図当り判定の結果が「大当り」であれば、停止表示する大当り図柄を決定する。前述したように大当り図柄は複数設けられており、第1特図保留または第2特図保留として読み出した図柄決定乱数の値に基づいて何れかの大当り図柄を決定する。すなわち、図7を用いて前述したように、第1特図では大当り図柄A,Bの何れかに決定され、第2特図では大当り図柄C~Dの何れかに決定される。
【0094】
一方、特図当り判定の結果が「小当り」であれば、停止表示する小当り図柄を決定する。前述したように小当り遊技も複数設けられており、第1特図保留または第2特図保留として読み出した図柄決定乱数の値に基づいて何れかの小当り図柄を決定する。すなわち、図8を用いて前述したように、第1特図では小当り図柄aに決定され、第2特図では小当り図柄b~dの何れかに決定される。また、特図当り判定の結果が「外れ」であれば、停止表示する図柄(停止図柄)として外れ図柄を決定する。
【0095】
こうして特別図柄の停止図柄を決定したら、特別図柄の変動パターンを決定する。変動パターンとは、特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)を識別するためのものであり、予め用意された複数の変動パターンは、それぞれ設定されている変動時間が異なっている。変動パターンの決定は、第1特図保留または第2特図保留として読み出した変動パターン決定乱数の値に基づいて行われ、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて変動時間が短めの変動パターンが決定され易くなっている。また、特図当り判定の結果が大当りの場合は、前述したリーチ演出などが行われることが多く、その実行時間の確保を容易とするために、特図当り判定の結果が小当りや外れの場合に比べて変動時間が長めの変動パターンが決定され易くなっている。
【0096】
変動パターンを決定すると、特別図柄の変動表示を開始すると共に、第2特図であれば第2特図保留数から「1」を減算し、第1特図であれば第1特図保留数から「1」を減算する。また、特別図柄の変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドや、停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。これらのコマンドは、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信される。サブ制御基板220のCPU221は、これらのコマンドを受信することで、特別図柄の変動表示に合わせて演出表示装置41で図柄変動演出を実行すると共に、演出表示装置41の保留表示領域42における未実行シンボル43の1つ(図6の例では左端)を実行中シンボル44の位置へと移動させ、他の未実行シンボル43についても実行中シンボル44に向けて位置を1つずつ移動させる。
【0097】
特別図柄の変動表示中である場合は、変動時間が経過したか否かを判断する。前述したように特別図柄の変動時間は、変動パターンに設定されており、変動時間が経過すると、決定しておいた停止図柄(大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れか)で特別図柄を停止表示する。また、停止表示した特別図柄を確定表示しておく時間(確定時間)を設定する。さらに、特別図柄の停止表示を示す変動停止コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。サブ制御基板220のCPU221は、変動停止コマンドを受信すると、演出表示装置41での図柄変動演出を終了し、保留表示領域42における実行中シンボル44を削除する。
【0098】
特定図柄の確定表示中は、確定時間が経過したか否かを判断し、確定時間が経過したら、停止表示された特別図柄が大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れであるかを判断する。その結果、外れ図柄であった場合は、電サポ状態であるか否かを判断し、電サポ状態であれば、電サポ状態中の特別図柄の変動回数を計数する。そして、計数した変動回数が電サポ回数に達すると、非電サポ状態に設定する。
【0099】
一方、停止表示された特別図柄が小当り図柄であった場合は、小当り遊技における大入賞口60の開放パターン(開放回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する。本実施例の小当り遊技では、大入賞口60が0.03秒開放し、0.5秒閉鎖する開閉を8回繰り返すように開放パターンを設定する。こうして大入賞口60の開放パターンを設定したら、小当り遊技を開始する。また、小当り遊技の開始を示す小当り遊技開始コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。尚、本実施例の小当り図柄は、本発明の「小当り態様」に相当しており、本実施例の大入賞口60は、本発明の「小当り可変入球口」に相当している。
【0100】
これに対して、停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合は、1種大当り遊技における大入賞口60の開放パターン(ラウンド回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する。図7を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1では、停止表示された大当り図柄の種類に応じて1種大当り遊技におけるラウンド回数が異なるため、停止表示された大当り図柄の種類に対応する開放パターンを設定する。こうして大入賞口60の開放パターンを設定したら、1種大当り遊技を開始する。また、1種大当り遊技の開始を示す1種大当り遊技開始コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。尚、本実施例の大当り図柄は、本発明の「大当り態様」に相当しており、本実施例の大入賞口60は、本発明の「大当り可変入球口」に相当している。
【0101】
小当り遊技中は、大入賞口ソレノイド61mを制御して、設定された開放パターンに従って大入賞口60の開放状態と閉鎖状態とを切り換える。そして、小当り遊技における大入賞口60の開閉動作が全て終了したら、小当り遊技を終了する。また、小当り遊技の終了を示す小当り遊技終了コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。尚、小当り遊技を実行する本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「小当り遊技実行手段」に相当している。
【0102】
さらに、小当り遊技の終了後は、遊技球が特定口63を通過したことを示す前述したV入賞フラグがONに設定されているか否かを判断する。そして、V入賞フラグがONに設定されている場合は、2種大当り遊技における大入賞口60の開放パターン(ラウンド回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する。図8を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1では、停止表示された小当り図柄の種類に応じて2種大当り遊技におけるラウンド回数が異なるため、停止表示された小当り図柄の種類に対応する開放パターンを設定する。こうして大入賞口60の開放パターンを設定したら、2種大当り遊技を開始し、V入賞フラグをOFFに設定する。また、2種大当り遊技の開始を示す2種大当り遊技開始コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。尚、本実施例の特定口63は、本発明の「特定領域」に相当している。
【0103】
これに対して、小当り遊技の終了後にV入賞フラグがONに設定されていない場合は、遊技球が特定口63を通過していないので、2種大当り遊技を開始することなく、電サポ状態であるか否かを判断する。そして、電サポ状態であれば、電サポ状態中の特別図柄の変動回数を計数し、計数した変動回数が電サポ回数に達すると、非電サポ状態に設定する。
【0104】
大当り遊技(1種大当り遊技または2種大当り遊技)中は、大入賞口ソレノイド61mを駆動して大入賞口60を開放状態とすることでラウンド遊技を開始する。その後、大入賞口60に規定個数の遊技球が入球するか、あるいは開放時間が経過すると、大入賞口60を閉鎖状態としてラウンド遊技を終了し、閉鎖時間の経過を待って次のラウンド遊技を開始する。そして、設定されたラウンド回数を全て消化したら、大当り遊技を終了する。また、大当り遊技の終了を示す大当り遊技終了コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。さらに、大当り遊技の終了後は、遊技状態を電サポ状態に設定する。尚、大当り遊技を実行する本実施例の主制御基板200のCPU201は、本発明の「大当り遊技実行手段」に相当している。
【0105】
こうして特別動作処理(S80)を終了したら、図11の遊技制御処理を一旦終了し、4msec毎のタイマ割り込みが発生すると、再び図11の遊技制御処理を実行する。主制御基板200のCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。
【0106】
D.遊技ホールのネットワーク構成 :
以上のような本実施例のパチンコ機1は、遊技ホールに複数台設置されている。以下では、遊技ホールのネットワーク構成について説明する。図12は、遊技ホールのネットワーク構成を概念的に示した説明図である。遊技ホールには、複数台のパチンコ機1が設置されていると共に、遊技ホール全体を管理するホールコンピュータ100が設置されている。遊技ホールの各パチンコ機1は、中継装置90を介してホールコンピュータ100と通信可能に接続されている。
【0107】
図示した例では、2台のパチンコ機1に対して1台の中継装置90が設けられている。中継装置90は、2台のパチンコ機1からの遊技に関する情報を示す信号を収集してホールコンピュータ100に送信するようになっており、ホールコンピュータ100は、パチンコ機1毎に遊技データを管理することが可能である。
【0108】
また、遊技ホールにおけるパチンコ機1の上方には、パチンコ機1毎にデータ表示機80が設置されている。データ表示機80は、液晶表示部81を備えており、この液晶表示部81には、パチンコ機1の遊技に関する各種の情報を表示可能である。また、液晶表示部81の左右および上方には、パチンコ機1の遊技状態などを表す状態ランプ82が設けられており、状態ランプ82は、パチンコ機1の遊技状態などに応じて色を変化させて点灯することが可能である。さらに、液晶表示部81の左方には、遊技ホールの管理者(店員)を呼び出すための呼出ボタン83が設けられており、液晶表示部81の右方には、液晶表示部81の表示内容を切り換えるためのメニューボタン84が設けられている。
【0109】
データ表示機80は、中継装置90と通信可能に接続されており、パチンコ機1の遊技に関する情報を中継装置90から取得し、その情報に基づいて液晶表示部81の表示や、状態ランプ82の点灯を実行する。
【0110】
図13は、本実施例のパチンコ機1から遊技に関する情報を示す各種の信号が外部に出力される様子を概念的に示した説明図である。前述したように本実施例の主制御基板200には外部端子板79が接続されており、各種の信号は外部端子板79からパチンコ機1の外部に向けて出力され、中継装置90を介してホールコンピュータ100に入力される。
【0111】
まず、パチンコ機1からは、第1始動口センサー24sで遊技球を検知した場合に、第1始動口24への遊技球の入球を示す第1入球信号が出力される。第1入球信号は、第1始動口センサー24sでの遊技球の検知毎に第1入球信号用端子から出力されるパルス信号であり、ホールコンピュータ100は、第1入球信号の入力によって第1始動口24への遊技球の入球を把握することができる。また、第2始動口センサー55sで遊技球を検知した場合には、第2始動口55への遊技球の入球を示す第2入球信号が出力される。第2入球信号は、第2始動口センサー55sでの遊技球の検知毎に第2入球信号用端子から出力されるパルス信号であり、ホールコンピュータ100は、第2入球信号の入力によって第2始動口55への遊技球の入球を把握することができる。
【0112】
また、第1始動口24、第2始動口55、大入賞口60、その他入賞口30の何れかへの遊技球の入球に伴って賞球として払い出した遊技球の数(払出数)が5個に達した場合には、5個の遊技球の払い出しを示す払出信号が出力される。払出信号は、払出数が5個に達する毎に払出信号用端子から出力されるパルス信号であり、ホールコンピュータ100は、払出信号の入力によって払出数を5個単位で把握することができる。
【0113】
また、特別図柄(第1特図または第2特図)の確定表示が終了した場合には、図柄変動遊技が終了したことを示す図柄確定信号が出力される。図柄確定信号は、特別図柄の確定表示が終了する毎に図柄確定信号用端子から出力されるパルス信号であり、ホールコンピュータ100は、図柄確定信号の入力によって1回の図柄変動遊技の終了を把握することができる。
【0114】
また、大当り遊技を発生させる場合には、大当り遊技の発生を示す大当り信号が出力される。大当り信号は、大当り遊技中はHighレベルとなっており、大当り遊技が終了するとLowレベルとなるレベル信号として、大当り信号用端子から出力される。尚、1種大当り遊技および2種大当り遊技の何れでも、出力される大当り信号は共通となっている。ホールコンピュータ100は、大当り信号がHighかLowかによって大当り遊技中であるか否かを判断することができる。加えて、大当り信号がHighレベルになると、それを受けて、データ表示機80では、状態ランプ82を大当り遊技中であることを示す色で点灯し、大当り信号がLowレベルになると、状態ランプ82を消灯したり色を変化させたりする。
【0115】
また、遊技状態を電サポ状態に設定する場合には、電サポ状態中であることを示す電サポ信号が出力される。電サポ信号は、電サポ状態中はHighレベルとなっており、電サポ状態が終了して非電サポ状態に設定されるとLowレベルとなるレベル信号として、電サポ信号用端子から出力される。ホールコンピュータ100は、電サポ信号がHighかLowかによって電サポ状態中であるか否かを判断することができる。
【0116】
さらに、本実施例のパチンコ機1の下方には、排出球計数器85が別体に設けられており、第1始動口24、第2始動口55、大入賞口60、その他入賞口30の何れかに入球して遊技盤20の裏面側に排出された遊技球、およびアウト口33から遊技盤20の裏面側に排出された遊技球の両方(すなわち、発射装置ユニット261から遊技領域21に発射された遊技球の全て)が排出球計数器85で計数される。排出球計数器85には、10個の遊技球が排出されると1回転する排出機構(図示省略)と、この排出機構が1回転したことを検知する排出検知センサー85sとが設けられている。また、排出球計数器85は、中継装置90を介してホールコンピュータ100と通信可能に接続されている。尚、排出球計数器85で計数された後の遊技球は、図示しない排出樋を通って遊技ホールの島設備に回収される。
【0117】
そして、排出球計数器85からは、排出検知センサー85sで排出機構の1回転を検知した場合に、10個の遊技球が排出されたこと、すなわち発射装置ユニット261から遊技領域21に発射された遊技球の数(打込数)が10個に達したことを示す打込信号が出力される。打込信号は、排出検知センサー85sでの排出機構の1回転の検知毎に出力されるパルス信号であり、ホールコンピュータ100は、打込信号の入力によって打込数を10個単位で把握することができる。尚、本実施例のパチンコ機1と排出球計数器85とは別体に設けられているが、パチンコ機1に排出球計数器85を内蔵しておき、パチンコ機1から打込信号が出力されるようにしてもよい。
【0118】
以上のようにパチンコ機1では、遊技に関する情報を示す各種の信号を外部端子板79から外部に向けて出力しており、ホールコンピュータ100側では、これらの信号の入力に基づいて、打込数や払出数を把握すると共に、いわゆるベース値(遊技球を100球発射して払い出される賞球の平均個数)や、大当り遊技中の払出数などを管理することが可能である。
【0119】
ただし、小当り遊技を経て遊技球が特定口63(いわゆる「V」)を通過したことを契機として2種大当り遊技を実行する場合、従来のパチンコ機1では、小当り遊技で遊技球が特定口63を通過して特定口センサー63sに検知された時点で、対応する信号(V入賞信号)を外部に向けて出力するのが一般的である。そして、ホールコンピュータ100側では、このV入賞信号の入力を受けて、2種大当り遊技の発生を認識するため、小当り遊技の開始時(遊技球が特定口63を通過する前)に大入賞口60への遊技球の入球が連続して大当り遊技と同様に賞球が払い出されることにより、ベース値が設計値に比して高くなり過ぎてしまうことがある。特に、小当り遊技が発生し易い電サポ状態(第2特図主体の遊技)において、このようなベース値の変動が起こり易い。そこで、本実施例のパチンコ機1では、こうした問題を解決するために、主制御基板200のCPU201が以下のような大当り信号出力処理を実行している。
【0120】
E.大当り信号出力処理 :
図14は、本実施例の大当り信号出力処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、図11を用いて前述した遊技制御処理の出力処理(S10)の中で、図14の大当り信号出力処理を実行する。大当り信号出力処理では、まず、大当り信号がHighレベルになっているか否かを判断する(S100)。前述したように、大当り遊技の発生を示す大当り信号は、HighレベルとLowレベルとを切り換えることで情報を伝えるレベル信号として、外部端子板79の大当り信号用端子から出力される。
【0121】
大当り信号がLowレベルになっている場合は(S100:no)、続いて、特別図柄(第1特図または第2特図)が大当り図柄で停止表示されたか否かを判断する(S101)。特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合は(S101:yes)、次に、大当りオープニング時間(以下、大当りOP時間)の開始時であるか否かを判断する(S102)。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄で大当り図柄の確定表示が終了した後に、所定の大当りOP時間が確保されており、この大当りOP時間に大当り遊技の開始を示す大当りオープニング演出を演出表示装置41などで実行することが可能となっている。そして、大当りOP時間の開始時である場合は(S102:yes)、大当り信号をHighレベルに立ち上げて出力する(S103)。
【0122】
これに対して、S101の判断において特別図柄が大当り図柄で停止表示されていない場合や(S101:no)、S102の判断において大当りOP時間の開始時ではない場合は(S102:no)、特別図柄が小当り図柄で停止表示されたか否かを判断する(S104)。そして、特別図柄が小当り図柄で停止表示されていない場合は(S104:no)、大当り信号をLowレベルに維持したまま、図14の大当り信号出力処理を終了して、図11の遊技制御処理の出力処理(S10)に復帰する。そして、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図14の大当り信号出力処理を実行する。
【0123】
一方、特別図柄が小当り図柄で停止表示された場合は(S104:yes)、次に、小当りオープニング時間(以下、小当りOP時間)の開始時であるか否かを判断する(S105)。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄で小当り図柄の確定表示が終了した後に、所定の小当りOP時間が確保されており、この小当りOP時間に小当り遊技の開始を示す小当りオープニング演出を演出表示装置41などで実行することが可能となっている。そして、小当りOP時間の開始時ではない場合は(S105:no)、大当り信号をLowレベルに維持したまま、図14の大当り信号出力処理を終了して、図11の遊技制御処理の出力処理(S10)に復帰する。
【0124】
これに対して、小当りOP時間の開始時である場合は(S105:yes)、小当り遊技の発生を示す信号ではなく、大当り信号をHighレベルに立ち上げて出力する(S103)。こうして大当り信号をHighレベルにすると、大当り遊技(大当り図柄の停止表示に基づく1種大当り遊技、または小当り遊技を経て遊技球が特定口63を通過したことに基づく2種大当り遊技)が終了したか否かを判断する(S106)。そして、未だ大当り遊技が終了していない場合は(S106:no)、大当り信号をHighレベルに維持したまま、図14の大当り信号出力処理を終了して、図11の遊技制御処理の出力処理(S10)に復帰する。
【0125】
その後、所定周期でタイマ割り込みが発生し、再び図14の大当り信号出力処理を実行すると、S100の判断において大当り信号がHighレベルになっているため(S100:yes)、S101~S105の処理を省略して、大当り遊技が終了したか否かを再び判断する(S106)。
【0126】
大当り遊技が終了した場合は(S106:yes)、次に、大当りエンディング時間(以下、大当りED時間)の終了時であるか否かを判断する(S107)。本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技における最後のラウンド遊技が終了して大入賞口60が閉鎖状態となった後に、所定の大当りED時間が確保されており、この大当りED時間に大当り遊技の終了を示す大当りエンディング演出を演出表示装置41などで実行することが可能となっている。そして、大当りED時間の終了時ではない場合は(S107:no)、大当り信号をHighレベルに維持したまま、図14の大当り信号出力処理を終了して、図11の遊技制御処理の出力処理(S10)に復帰する。
【0127】
一方、大当りED時間の終了時である場合は(S107:yes)、大当り信号をLowレベルに立ち下げて出力する(S108)。こうして大当り信号をLowレベルにすると、図14の大当り信号出力処理を終了して、図11の遊技制御処理の出力処理(S10)に復帰する。
【0128】
図15は、上述した大当り信号出力処理に従って1種大当り遊技についての大当り信号を出力する例を示したタイムチャートである。図示した例では、遊技状態が非電サポ状態に設定されており、左打ちによって専ら第1特図の変動表示が行われる。そして、変動表示を開始した第1特図が停止表示して大当り図柄で確定表示されると、1種大当り遊技を実行する。本実施例のパチンコ機1では、前述したように特別図柄(第1特図または第2特図)で大当り図柄の確定表示が終了した後に、大当り遊技として大入賞口60が開放状態となるのに先立って大当りOP時間が確保されており、この大当りOP時間の開始時に大当り信号をHighレベルに立ち上げて出力する。
【0129】
1種大当り遊技では、停止表示された大当り図柄の種類に応じて複数回(図示した例では3回)のラウンド遊技が行われる。各ラウンド遊技では、開放状態となった大入賞口60に遊技球が1球入球する毎に賞球として15個の遊技球が払い出され、規定個数(9個)の遊技球が入球するか、所定の開放時間(30秒)が経過すると大入賞口60が閉鎖状態に戻る。
【0130】
そして、本実施例のパチンコ機1では、大当り遊技における最後のラウンド遊技が終了して大入賞口60が閉鎖状態となった後に、前述したように大当りED時間が確保されており、この大当りED時間の終了時に、大当り信号をLowレベルに立ち下げて出力する。また、1種大当り遊技の終了後は、遊技状態が電サポ状態に設定され、右打ちによって第2特図での新たな変動表示が行われる。
【0131】
図16は、大当り信号出力処理に従って2種大当り遊技についての大当り信号を出力する例を示したタイムチャートである。図示した例では、遊技状態が電サポ状態に設定されており、右打ちによって専ら第2特図の変動表示が行われる。そして、変動表示を開始した第2特図が停止表示して小当り図柄で確定表示されると、小当り遊技を実行する。本実施例のパチンコ機1では、前述したように特別図柄(第1特図または第2特図)で小当り図柄の確定表示が終了した後に、小当り遊技として大入賞口60が開放状態となるのに先立って小当りOP時間が確保されており、この小当りOP時間の開始時に、未だ発生条件が成立していない2種大当り遊技についての大当り信号をHighレベルに立ち上げて出力する。尚、2種大当り遊技についての大当り信号を出力するタイミングは、特別図柄が小当り図柄で停止表示されてから小当り遊技で大入賞口60が開放状態となるまでの間であれば、小当りOP時間の開始時に限定されず、小当りOP時間中や、小当りOP時間の終了時であってもよい。
【0132】
小当り遊技では、大入賞口60の開放状態と閉鎖状態とを短時間で切り換える開閉動作を複数回(図示した例では8回)繰り返すようになっており、開放状態の大入賞口60に遊技球が1球入球する毎に賞球として15個の遊技球が払い出される。そして、大入賞口60に入球した遊技球が特定口63(いわゆる「V」)を通過して特定口センサー63sで検知されると、2種大当り遊技の発生条件が成立してV入賞フラグがONに設定されると共に、電サポ状態が終了となって非電サポ状態に設定される。
【0133】
本実施例のパチンコ機1では、前述したように大入賞口60に入球して大入賞口センサー60sで検知された遊技球の全てが特定口63を通過して特定口センサー63sで検知されるようになっている(図3参照)。但し、球技球が大入賞口60に入球してから特定口63を通過するまでに時間差があることから、最先の遊技球が特定口センサー63sで検知されてV入賞フラグがONになる前に、複数の遊技球が大入賞口60に入球していることがある。
【0134】
また、小当り遊技における大入賞口60の最後の開放状態が終了して大入賞口60が閉鎖状態となった後に、小当りエンディング時間(以下、小当りED時間)が確保されており、この小当りED時間に小当り遊技の終了を示す小当りED演出を演出表示装置41などで実行することが可能である。
【0135】
その後、小当りED時間が終了すると、遊技球が特定口63を通過したこと(V入賞フラグがONであること)に基づいて2種大当り遊技を実行する。本実施例のパチンコ機1では、前述した1種大当り遊技と同様に、2種大当り遊技として大入賞口60が開放状態となるのに先立って大当りOP時間が確保されている。尚、既に小当りOP時間の開始時に大当り信号をHighレベルに立ち上げて出力しているので、大当りOP時間の開始時は大当り信号をHighレベルのまま維持する。
【0136】
2種大当り遊技では、停止表示された小当り図柄の種類に応じて複数回(図示した例では3回)のラウンド遊技が行われる。1種大当り遊技と同様に、各ラウンド遊技では、開放状態となった大入賞口60に遊技球が1球入球する毎に賞球として15個の遊技球が払い出され、規定個数(9個)の遊技球が入球するか、所定の開放時間(30秒)が経過すると大入賞口60が閉鎖状態に戻る。
【0137】
そして、大当り遊技における最後のラウンド遊技が終了して大入賞口60が閉鎖状態となった後に、前述したように大当りED時間が確保されており、この大当りED時間の終了時に、大当り信号をLowレベルに立ち下げて出力する。また、2種大当り遊技の終了後は、遊技状態が再び電サポ状態に設定され、第2特図の新たな変動表示が行われる。
【0138】
以上に説明したように本実施例のパチンコ機1では、特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合に1種大当り遊技を実行するのに加えて、小当り図柄の停止表示に基づく小当り遊技中に大入賞口60に入球した遊技球が特定口63を通過した場合にも小当り遊技の終了後に2種大当り遊技を実行すること(いわゆる1種2種混合機)として、大入賞口60に到達可能に右打ちしていれば、小当り遊技の発生に伴って遊技球が少なくとも1つは大入賞口60に入球して特定口63を通過するようになっている。そして、特別図柄が小当り図柄で停止表示されてから小当り遊技で大入賞口60が開放状態となるまでの間に、大当り遊技の発生に対応する大当り信号をHighレベルに立ち上げて外部に向けて出力することとしている。
【0139】
このように小当り遊技として大入賞口60が開放状態となる前まで大当り信号の出力を前倒しすることで、ホールコンピュータ100側では、大当り信号の入力を受けた時点で大当り遊技の発生を認識する。これにより、小当り遊技における大入賞口60への遊技球の入球に対して払い出される賞球は、ホールコンピュータ100側で大当り遊技中の払出数として計数され、ベース値に含まれなくなるので、ベース値が設計値に比して高くなり過ぎることを抑制することができる。
【0140】
特に、本実施例のパチンコ機1では、小当り遊技として大入賞口60が開放状態となるのに先立って小当りOP時間が確保されており、この小当りOP時間の開始時に、大当り信号を出力するようになっている。小当りOP時間の開始時は、未だ大入賞口60が閉鎖状態となっており、この時点で大当り信号を出力しておけば、小当りOP時間の終了後に開放状態となった大入賞口60に遊技球が入球しても、その入球に対して払い出される賞球は、ホールコンピュータ100側で大当り遊技中の払出数として計数されるので、ベース値が高くなり過ぎることを抑制することが可能となる。
【0141】
さらに、本実施例の小当り遊技では、大当り遊技よりも開放状態となる時間が短いものの、大当り遊技と同じ大入賞口60を開放状態とするようになっている。このように大当り遊技と小当り遊技とで開放状態となる大入賞口60を共用することにより、大当り遊技用と小当り遊技用とに分けて2つの大入賞口60を遊技領域21に設けるレイアウトの余裕がない場合でも、小当り遊技を介した2種大当り遊技を発生させることが可能となる。そして、この場合は、小当り遊技で大入賞口60に遊技球が1球入球する毎に、大当り遊技と同様に15個の遊技球が賞球として払い出されるものの、小当り遊技で大入賞口60が開放状態となる前に大当り信号を出力しておけば、ホールコンピュータ100側で小当り遊技における賞球が大当り遊技中の払出数として計数されることにより、ベース値が高くなり過ぎることを抑制することができる。
【0142】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0143】
例えば、上述した実施例では、大当り遊技と小当り遊技とで同じ大入賞口60を開放状態とするようになっていた。しかし、大当り遊技用と小当り遊技用とに分けて2つの大入賞口60A,60Bを遊技領域21に設けおいてもよい。そして、小当り遊技用の大入賞口60Bへの遊技球の入球に対して、大当り遊技用の大入賞口60Aへの遊技球の入球と同様に賞球(15個)を払い出してもよい。この場合でも、特別図柄が小当り図柄で停止表示されてから小当り遊技用の大入賞口60Bが開放状態となるまでの間に大当り信号を出力することにより、小当り遊技用の大入賞口60Bへの遊技球の入球に対する賞球(小当り遊技における賞球)は、ホールコンピュータ100側で大当り遊技中の払出数として計数されるので、ベース値が高くなり過ぎることを抑制することができる。
【0144】
また、前述した実施例では、小当り遊技で開放状態となる大入賞口60に入球した遊技球の全てが特定口63を通過するようになっていた。しかし、大入賞口60に到達可能に右打ちしていると、小当り遊技の発生に伴って遊技球が大入賞口60に入球して少なくとも1つが特定口63を通過すればよく、大入賞口60に入球した遊技球の一部を、特定口63を通過しない通路に振り分けてもよい。
【0145】
また、前述した実施例では、特別図柄で大当り図柄の確定表示が終了した後に、1種大当り遊技として大入賞口60が開放状態となるのに先立って大当りOP時間が確保されており、この大当りOP時間の開始時に、1種大当り遊技についての大当り信号を出力するようになっていた。しかし、1種大当り遊技についての大当り信号を出力するタイミングは、特別図柄が大当り図柄で停止表示されてから大当り遊技で大入賞口60が開放状態となるまでの間であれば、大当りOP時間の開始時に限定されず、大当りOP時間中や、大当りOP時間の終了時であってもよい。
【0146】
また、前述した実施例では、第2特図よりは確率が低いものの、第1特図においても小当り図柄が停止表示されることがあった。しかし、第1特図で小当り図柄が停止表示されると、小当り遊技で大入賞口60に遊技球を入球させるには、左打ちから右打ちに変更する必要があるため、小当り遊技が発生しても遊技球が特定口63を通過しない(2種大当り遊技が発生しない)事態が第2特図に比べて起こり易い。そこで、第1特図では小当り図柄が停止表示されない(第1特図の特図当り判定では「小当り」と判定されない)ようにしてもよい。
【0147】
また、前述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
【0148】
<上述した実施例から抽出できる遊技機A1~A4>
上述した実施例のパチンコ機1は、次のような遊技機A1~A4として捉えることができる。
【0149】
<遊技機A1>
複数の入球口が設けられた遊技領域に遊技球を発射することによって遊技を行い、前記入球口に遊技球が入球すると、賞球を付与する遊技機において、
始動入球口への遊技球の入球に基づいて識別情報を変動表示させた後に、大当り態様、小当り態様、および外れ態様の何れかで停止表示させる識別情報表示手段と、
前記識別情報が前記大当り態様で停止表示されると、大当り可変入球口が入球可能状態となる大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記識別情報が前記小当り態様で停止表示されると、小当り可変入球口が入球可能状態となる小当り遊技を実行する小当り遊技実行手段と、
前記遊技に関する情報を示す各種の信号を外部に向けて出力する出力手段と
を備え、
前記大当り遊技実行手段は、前記識別情報が前記大当り態様で停止表示された場合に加えて、前記小当り遊技中に前記小当り可変入球口に入球した遊技球が特定領域を通過した場合にも該小当り遊技の終了後に前記大当り遊技を実行し、
前記小当り可変入球口に到達可能に遊技球の発射を継続していれば、前記小当り遊技の発生に伴って遊技球が少なくとも1つは前記特定領域を通過し、
前記出力手段は、前記識別情報が前記小当り態様で停止表示されてから前記小当り遊技で前記小当り可変入球口が入球可能状態になるまでの間に、前記大当り遊技の発生に対応する大当り信号を出力する
ことを特徴とする遊技機。
【0150】
このような遊技機A1では、小当り遊技として小当り可変入球口が入球可能状態となる前まで大当り信号の出力を前倒しすることで、遊技機と接続されたホールコンピュータ側では、大当り信号の入力を受けた時点で大当り遊技の発生を認識する。これにより、小当り遊技における小当り可変入球口への遊技球の入球に対して付与される賞球は、ホールコンピュータ側で大当り遊技中の払出数として計数され、ベース値に含まれなくなるので、ベース値が設計値に比して高くなり過ぎることを抑制することができる。
【0151】
<遊技機A2>
遊技機A1において、
前記遊技の進行に伴って演出を実行する演出実行手段を備え、
前記出力手段は、前記小当り遊技で前記小当り可変入球口が入球可能状態となるのに先立って該小当り遊技の開始を示す小当りオープニング演出を実行するための小当りオープニング時間の開始時に、前記大当り信号を出力する
ことを特徴とする遊技機。
【0152】
このような遊技機A2では、小当りオープニング時間の開始時は、未だ小当り可変入球口が入球不能状態となっており、この時点で大当り信号を出力しておけば、小当りオープニング時間の終了後に入球可能状態となった小当り可変入球口に遊技球が入球しても、その入球に対して付与される賞球は、ホールコンピュータ側で大当り遊技中の払出数として計数されるので、ベース値が高くなり過ぎることを抑制することが可能となる。
【0153】
<遊技機A3>
遊技機A1または遊技機A2において、
前記小当り可変入球口への遊技球の入球に対して、前記大当り可変入球口への遊技球の入球と同様の前記賞球を付与する
ことを特徴とする遊技機。
【0154】
一般に、大当り遊技で入球可能状態となる大当り可変入球口は、遊技球の入球に対して付与される賞球が他の入球口に比べて多く設定されている。そして、遊技機A3のように小当り遊技で入球可能状態となる小当り可変入球口について、大当り可変入球口と同様に多くの賞球が付与される場合でも、小当り可変入球口が入球可能状態となる前に大当り信号を出力することにより、小当り可変入球口への遊技球の入球に対する賞球(小当り遊技における賞球)は、ホールコンピュータ側で大当り遊技中の払出数として計数されるので、ベース値が高くなり過ぎることを抑制することができる。
【0155】
<遊技機A4>
遊技機A1ないし遊技機A3の何れか1つの遊技機において、
一の可変入球口が前記大当り可変入球口と前記小当り可変入球口とを兼ねており、
前記小当り遊技では、前記可変入球口が入球可能状態となる時間が前記大当り遊技に比べて短い
ことを特徴とする遊技機。
【0156】
このような遊技機A4では、大当り可変入球口と小当り可変入球口とを遊技領域に設けるレイアウトの余裕がない場合でも、一の可変入球口で兼ねることにより、小当り遊技を介した大当り遊技を発生させることが可能となる。そして、この場合は、小当り遊技および大当り遊技の何れで可変入球口に遊技球が入球しても同様の賞球が付与されることとなるものの、小当り遊技で可変入球口が入球可能状態となる前に大当り信号を出力しておけば、ホールコンピュータ側で小当り遊技における賞球が大当り遊技中の払出数として計数されることにより、ベース値が高くなり過ぎることを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、遊技ホールで用いられる遊技機に利用することができる。
【符号の説明】
【0158】
1…パチンコ機(遊技機)、 4…前面枠、 4a…窓部、
4b…透明板、 20…遊技盤、 21…遊技領域、
24…第1始動口(始動入球口)、 27…普通図柄作動ゲート、
30…その他入賞口、 40…中央装置、
41…演出表示装置(演出実行手段)、 50…複合入球ユニット、
55…第2始動口(始動入球口)、 56…開閉板、
60…大入賞口(大当り可変入球口、小当り可変入球口)、 61…開閉板、
63…特定口(特定領域)、 70…セグメント表示部(識別情報表示手段)、
79…外部端子板、 85…排出球計数器、 90…中継装置、
100…ホールコンピュータ、 200…主制御基板、
201…CPU(大当り遊技実行手段、小当り遊技実行手段、出力手段)、
261…発射装置ユニット、 262…発射モーター。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16