IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フソー化成株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-トラップ付き管継手 図1
  • 特許-トラップ付き管継手 図2
  • 特許-トラップ付き管継手 図3
  • 特許-トラップ付き管継手 図4
  • 特許-トラップ付き管継手 図5
  • 特許-トラップ付き管継手 図6
  • 特許-トラップ付き管継手 図7
  • 特許-トラップ付き管継手 図8
  • 特許-トラップ付き管継手 図9
  • 特許-トラップ付き管継手 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】トラップ付き管継手
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/28 20060101AFI20240610BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240610BHJP
   F16L 45/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
E03C1/28 A
F16L55/00 G
F16L55/00 D
F16L45/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021035561
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022117367
(43)【公開日】2022-08-10
【審査請求日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2021013454
(32)【優先日】2021-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591287820
【氏名又は名称】フソー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実公昭30-002950(JP,Y1)
【文献】特開平09-209431(JP,A)
【文献】特開2014-084699(JP,A)
【文献】特開2012-082579(JP,A)
【文献】特開2010-275763(JP,A)
【文献】実開昭49-082330(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/28
F16L 55/00
F16L 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端に開口筒部を有し、内部に流入した排水を下方側に接続した排出管に排出する下部継手部と、該下部継手部内に配置し、トラップ構造を有する中間部と、上方側に排出管を接続し、前記下部継手部の前記開口筒部を閉止する上部継手部とから成るトラップ付き管継手であって、
前記開口筒部は、内壁に下方に前記内壁の全周に渡って設けた段差部を備え、
前記上部継手部の下端には、前記開口筒部の前記内壁に接合する外壁を備えた挿入筒部を備え、
前記中間部は、底部を有する貯水円筒部と、前記貯水円筒部を取り囲む保持部と、前記底部及び保持部を連結する複数の連結部とから構成され、
前記下部継手部の前記段差部に、前記中間部の前記保持部を載置し、該保持部を前記段差部と前記下部継手部に接合させた前記上部継手部の前記挿入筒部の先端とで挟持させることで、前記下部継手部及び上部継手部に前記中間部を固定し、
前記下部継手部及び前記上部継手部には、径が異なる前記排出管が接続可能な管接続部を有し、該管接続部は前記排出管を内壁に取り付け可能であって内径が異なる複数の接続筒部が連結されており、該接続筒部には、前記排出管の先端部が当接する当接部が設けられていることを特徴とするトラップ付き管継手。
【請求項2】
前記上部継手部の下側の前記接続筒部の外径は、前記中間部の前記貯水円筒部の内径よりも小さく、組立てた際に、前記下側の前記接続筒部の先端と、前記貯水円筒部の前記底部との間、及び前記貯水円筒部の内側面と前記下側の前記接続筒部の外側面との間に空隙が存在することを特徴とする請求項に記載のトラップ付き管継手。
【請求項3】
前記下部継手部の上側の接続筒部の側面上方に空気孔が設けられており、前記下部継手部の前記当接部は、前記空気孔より下方に配置されていることを特徴とする請求項又はに記載のトラップ付き管継手。
【請求項4】
上端に開口筒部を有し、内部に流入した排水を下方側に接続した排出管に排出する下部継手部と、該下部継手部内に配置し、トラップ構造を有する中間部と、上方側に排出管を接続し、前記下部継手部の前記開口筒部を閉止する上部継手部とから成るトラップ付き管継手であって、
前記開口筒部は、内壁に下方に前記内壁の全周に渡って設けた段差部を備え、
前記上部継手部の下端には、前記開口筒部の前記内壁に接合する外壁を備えた挿入筒部を備え、
前記中間部は、底部を有する貯水円筒部と、前記貯水円筒部を取り囲む保持部と、前記底部及び保持部を連結する複数の連結部とから構成され、
前記下部継手部の前記段差部に、前記中間部の前記保持部を載置し、該保持部を前記段差部と前記下部継手部に接合させた前記上部継手部の前記挿入筒部の先端とで挟持させることで、前記下部継手部及び上部継手部に前記中間部を固定し、
前記開口筒部の外壁には、排水が流れる方向を示す確認部が設けられていることを特徴とするトラップ付き管継手。
【請求項5】
上端に開口筒部を有し、内部に流入した排水を下方側に接続した排出管に排出する下部継手部と、該下部継手部内に配置し、トラップ構造を有する中間部と、上方側に排出管を接続し、前記下部継手部の前記開口筒部を閉止する上部継手部とから成るトラップ付き管継手であって、
前記開口筒部は、内壁に下方に前記内壁の全周に渡って設けた段差部を備え、
前記上部継手部の下端には、前記開口筒部の前記内壁に接合する外壁を備えた挿入筒部を備え、
前記中間部は、底部を有する貯水円筒部と、前記貯水円筒部を取り囲む保持部と、前記底部及び保持部を連結する複数の連結部とから構成され、
前記下部継手部の前記段差部に、前記中間部の前記保持部を載置し、該保持部を前記段差部と前記下部継手部に接合させた前記上部継手部の前記挿入筒部の先端とで挟持させることで、前記下部継手部及び上部継手部に前記中間部を固定し、
前記上部継手部に内部に連通する掃除用円筒部を設け、該掃除用円筒部の挿通孔に閉塞部材を取り付けて、前記挿通孔を閉塞状態にすることを特徴とするトラップ付き管継手。
【請求項6】
前記掃除用円筒部は前記上部継手部から水平方向に延在することを特徴とする請求項に記載のトラップ付き管継手。
【請求項7】
上方に接続した前記排出管から流入する排水は、前記中間部の貯水円筒部に流下し、満水とした前記貯水円筒部から溢れ出た排水は、前記連結部間に形成される排出孔を通じて、前記下部継手部に接続した前記排出管に流下することを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載されたトラップ付き管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍機等に接続される排出管の中間に配置されるトラップ付き管継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
業務用の冷凍機には、内部に発生する霜等を溶融して外部に排出する排出管が設けられている。この水滴は上方から下方へと排出管を伝って、外部に流下されることになる。このような排水構造は、エアコン等の装置内にドレン水が発生する装置においても適宜に設けられている。
【0003】
外部に繋がっている排出管は、接続する装置との気圧差等により、逆流が発生する場合がある。特に冷凍機の場合は、暖かい空気が冷凍機側に流入すると冷凍機内の温度が上昇することと、ドレン排水口が凍結することがある。
【0004】
そこで、排出管からの逆流を防止するために、特許文献1には排出管の逆流防止構造が開示されている。特許文献1の逆流防止構造は、フロートを利用した弁機構を用いることでドレン水の逆流を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭61-141912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のような弁機構を用いた機械式の逆流防止構造を、上述の冷凍機等で発生する水滴を外部に排水する排出管に使用した場合は、弁機構が繰り返して長期間作動すると、弁機構の部品が摩耗等により破損し、逆流防止の機能を損なうという問題がある。
【0007】
また、特許文献1の逆流防止構造は、弁機構が排出管と一体化しているため、弁機構の故障による交換に手間が掛かるという問題もある。更には、用途に応じて直径の異なる排出管に対して、それぞれ大きさの異なる弁構造を配置する必要があり、数が多くなると設備費が高額になるという問題もある。
【0008】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、径の異なる複数の排出管に簡便に接続可能であり、長期間使用しても故障することのないトラップ付き管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係るトラップ付き管継手は、上端に開口筒部を有し、内部に流入した排水を下方側に接続した排出管に排出する下部継手部と、該下部継手部内に配置し、トラップ構造を有する中間部と、上方側に排出管を接続し、前記下部継手部の前記開口筒部を閉止する上部継手部とから成るトラップ付き管継手であって、前記開口筒部は、内壁に下方に前記内壁の全周に渡って設けた段差部を備え、前記上部継手部の下端には、前記開口筒部の前記内壁に接合する外壁を備えた挿入筒部を備え、前記中間部は、底部を有する貯水円筒部と、前記貯水円筒部を取り囲む保持部と、前記底部及び保持部を連結する複数の連結部とから構成され、前記下部継手部の前記段差部に、前記中間部の前記保持部を載置し、該保持部を前記段差部と前記下部継手部に接合させた前記上部継手部の前記挿入筒部の先端とで挟持させることで、前記下部継手部及び上部継手部に前記中間部を固定し、前記下部継手部及び前記上部継手部には、径が異なる前記排出管が接続可能な管接続部を有し、該管接続部は前記排出管を内壁に取り付け可能であって内径が異なる複数の接続筒部が連結されており、該接続筒部には、前記排出管の先端部が当接する当接部が設けられていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係るトラップ付き管継手は、上端に開口筒部を有し、内部に流入した排水を下方側に接続した排出管に排出する下部継手部と、該下部継手部内に配置し、トラップ構造を有する中間部と、上方側に排出管を接続し、前記下部継手部の前記開口筒部を閉止する上部継手部とから成るトラップ付き管継手であって、前記開口筒部は、内壁に下方に前記内壁の全周に渡って設けた段差部を備え、前記上部継手部の下端には、前記開口筒部の前記内壁に接合する外壁を備えた挿入筒部を備え、前記中間部は、底部を有する貯水円筒部と、前記貯水円筒部を取り囲む保持部と、前記底部及び保持部を連結する複数の連結部とから構成され、前記下部継手部の前記段差部に、前記中間部の前記保持部を載置し、該保持部を前記段差部と前記下部継手部に接合させた前記上部継手部の前記挿入筒部の先端とで挟持させることで、前記下部継手部及び上部継手部に前記中間部を固定し、前記開口筒部の外壁には、排水が流れる方向を示す確認部が設けられていることを特徴とする。
また、上記目的を達成するための本発明に係るトラップ付き管継手は、上端に開口筒部を有し、内部に流入した排水を下方側に接続した排出管に排出する下部継手部と、該下部継手部内に配置し、トラップ構造を有する中間部と、上方側に排出管を接続し、前記下部継手部の前記開口筒部を閉止する上部継手部とから成るトラップ付き管継手であって、前記開口筒部は、内壁に下方に前記内壁の全周に渡って設けた段差部を備え、前記上部継手部の下端には、前記開口筒部の前記内壁に接合する外壁を備えた挿入筒部を備え、前記中間部は、底部を有する貯水円筒部と、前記貯水円筒部を取り囲む保持部と、前記底部及び保持部を連結する複数の連結部とから構成され、前記下部継手部の前記段差部に、前記中間部の前記保持部を載置し、該保持部を前記段差部と前記下部継手部に接合させた前記上部継手部の前記挿入筒部の先端とで挟持させることで、前記下部継手部及び上部継手部に前記中間部を固定し、前記上部継手部に内部に連通する掃除用円筒部を設け、該掃除用円筒部の挿通孔に閉塞部材を取り付けて、前記挿通孔を閉塞状態にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るトラップ付き管継手によれば、機械的に作動する構造がないので、長期間に渡って使用したとしても、部品の疲労、摩耗等による故障が発生することはない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】トラップ付き管継手の分解斜視図である。
図2】組立てた状態のトラップ付き管継手の正面図である。
図3】トラップ付き管継手の断面図である。
図4】使用状態の断面図である。
図5】実施例2のトラップ付き管継手の正面図である。
図6】実施例2のトラップ付き管継手の断面図である。
図7】実施例3のトラップ付き管継手の上部細部分解斜視図である。
図8】実施例3の上部継手部の正面図である。
図9】実施例3の上部継手部の断面図である。
図10】実施例3のトラップ付き管継手の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は実施例1のトラップ付き管継手の分解斜視図、図2は組立てた状態のトラップ付き管継手の正面図、図3は断面図、図4は使用状態の断面図である。トラップ付き管継手はドレン水等の排水を発生する装置、例えば業務用の冷凍機に接続される排出管の中間に配置されるのであり、内部に逆流防止のトラップ構造を有している。
【0014】
トラップ付き管継手は例えば硬質の合成樹脂材で成型されており、内部に流入したドレン水Wを下方側に接続した下部排出管P1に排出する下部継手部10と、この下部継手部10内に配置し、トラップ構造を備える中間部20と、上方側に上部排出管P2を接続し、下部継手部10を閉止する上部継手部30とから構成されている。なおこの場合に、接続する下部排出管P1、上部排出管P2は同径とされ、直径の大きさは規格化されている。
【0015】
下部継手部10は、上端に設けた開口筒部11と、この開口筒部11下側に排水受皿部12を介して接続した第1の管接続部13とから成り、円筒状の開口筒部11は、内壁11aに設けた内ねじ部11bと、この内ねじ部11bの下方に内壁11aの全周に渡って設けた段差部11cとを備えている。
【0016】
開口筒部11の外壁11dには、ドレン水Wが流れる方向を示す矢印状の確認部11eが設けられており、この確認部11eを視認すれば、トラップ付き管継手の設置する方向を誤ることはない。
【0017】
第1の管接続部13は、径の異なる2種類の下部排出管P1が接続可能であり、内径が異なる第1の接続筒部13a及び第2の接続筒部13bが連結されている。上側の第1の接続筒部13aは、下側の第2の接続筒部13bよりも内径が小さく、これらの内径は規格化された下部排出管P1の外径に基づいている。図1においては、2種類の下部排出管P1が接続可能であるが、3種類以上の排出管を選択して取付け可能な接続筒部を適宜に設けることもできる。
【0018】
第1の管接続部13の内壁13cにおける第1の接続筒部13aの下端及び第2の接続筒部13bの上端が連結する連結個所には、第1の下当接部13dが設けられている。また、排水受皿部12と第1の接続筒部13aの上端が連結する内壁13cには、内側に環状に突出する第2の下当接部13eと、この第2の下当接部13eに囲まれた第1の排出孔13fが設けられている。
【0019】
中間部20は、底部21を有する貯水円筒部22と、貯水円筒部22を取り囲む円環板状の保持部23と、貯水円筒部22及び保持部23を連結する複数の連結部24とから構成されている。
【0020】
隣接する連結部24同士の間には、貯水円筒部22から溢れ出たドレン水Wを流出する第2の排出孔25が形成されている。なお、これらの第2の排出孔25は図示する扇形状以外に多数の円孔等の適宜の形状を採用してもよい。
【0021】
上部継手部30は、下端に挿入筒部31と、この挿入筒部31と連結環部32を介して連結する第2の管接続部33とから構成されている。挿入筒部31は、下端の外壁31aに外ねじ部31bと、この外ねじ部31bの上側に外周を取り囲むように配置した環状突部31cを備えている。
【0022】
なお、下部継手部10と上部継手部30との連結は、実施例のようにねじ構造ではなく、他の例えばロック構造等を用いて、開口筒部11の内壁11aに挿入筒部31の外壁31aが接合することで、下部継手部10の開口筒部11を上部継手部30によって閉止できる構造であればよい。
【0023】
第2の管接続部33は、第1の管接続部13と同様に径の異なる排出管Pが接続可能であり、内径の異なる第3の接続筒部33a及び第4の接続筒部33bが連結されている。上側の第3の接続筒部33aは、下側の第4の接続筒部33bより内径が大きく、第3の接続筒部33a及び第4の接続筒部33bの内径は、それぞれ第2の接続筒部13b、第1の接続筒部13aの内径と一致している。
【0024】
第4の接続筒部33bの外径は、中間部20の貯水円筒部22の内径よりも小さく、トラップ付き管継手を組立てた際に、第4の接続筒部33bの先端と、貯水円筒部22の底部21との間、及び貯水円筒部22の内側面と第4の接続筒部33bの外側面との間に間隙が存在する。
【0025】
挿入筒部31の上端から水平方向に延在する連結環部32は、第3の接続筒部33aの下端及び第4の接続筒部33bの上端が連結する連結個所に連結されている。第2の管接続部33の内壁33cの連結個所には、第1の上当接部33dが設けられ、第4の接続筒部33bの下端には、内側に環状に突出する第2の上当接部33eと、この第2の上当接部33eに囲まれた第3の排出孔33fが設けられている。
【0026】
トラップ付き管継手を組立てる際は、先ず下部継手部10の段差部11cに、中間部20の円環板状の保持部23を載置する。続いて、上部継手部30の挿入筒部31を下部継手部10の開口筒部11に回動させて、内ねじ部11bと外ねじ部31bと螺合させる。
【0027】
内ねじ部11bと外ねじ部31bとを螺合させることで、中間部20の保持部23を、下部継手部10の段差部11cと、上部継手部30の挿入筒部31の先端部31dとで挟持した状態で固定する。なお、保持部23に接着材を塗布したり、内ねじ部11b及び外ねじ部31bに接着材を塗布することで、一度組み立てた後は、トラップ付き管継手を分解することができないようにしてもよい。
【0028】
このように挟持した状態で固定することにより、下部継手部10及び上部継手部30に中間部20を強固に固定し、外部からトラップ付き管継手に衝撃を加えたとしても、内部の中間部20が傾いたりすることはなく、トラップ構造が破損することはない。
【0029】
図4はトラップ付き管継手の使用状態の断面図であり、排出管Pにドレン水Wを排出させて、ドレン水Wが中間部20の貯水円筒部22を満水にさせた状態を示している。下部排出管P1及び上部排出管P2を、トラップ付き管継手の下部継手部10及び上部継手部30にそれぞれ接続する。接続する下部排出管P1及び上部排出管P2は、第1の管接続部13の上側の第1の接続筒部13a及び第2の管接続部33の下側の第4の接続筒部33bにそれぞれ嵌合する大きさである。
【0030】
確認部11eの矢印が下方向に向くようにトラップ付き管継手を配置した後に、第1の接続筒部13aに下方から下部排出管P1を挿入し、第1の接続筒部13aの上端にある第2の下当接部13eに下部排出管P1の先端部P1aが当接するまで押し込む。同様に、第4の接続筒部33bに上方から上部排出管P2を挿入し、第4の接続筒部33bの下端にある第2の上当接部33eに上部排出管P2の先端部P2aが当接するまで押し込む。
【0031】
また、接続する下部排出管P1及び上部排出管P2が、第1の管接続部13の下側の第2の接続筒部13b及び第2の管接続部33の上側の第3の接続筒部33aにそれぞれ嵌合する大きさの場合は、第2の接続筒部13bに下方から下部排出管P1を挿入し、第2の接続筒部13bの上端にある第1の下当接部13dに下部排出管P1の先端部P1aが当接するまで押し込む。同様に、第3の接続筒部33aに上方から上部排出管P2を挿入し、第3の接続筒部33aの下端にある第1の上当接部33dに上部排出管P2の先端部P2aが当接するまで押し込む。
【0032】
このように当接することで、これ以上下部排出管P1及び上部排出管P2を押し込むことが不可能となり、下部排出管P1及び上部排出管P2間へのトラップ付き管継手の設置が完了する。
【0033】
続いて、上部排出管P2が接続された冷凍機が起動すると、定期的に水滴としてドレン水Wが上部排出管P2を伝わってゆく。そして、上部排出管P2の先端からトラップ付き管継手内に流入したドレン水Wは、第3の排出孔33fを通過した後に、中間部20の貯水円筒部22内に貯水されてゆく。
【0034】
図4に示すように、時間経過と共に貯水円筒部22を満水としたドレン水Wは、貯水円筒部22から溢れ出て貯水円筒部22外に落下してゆく。貯水円筒部22外に流下したドレン水Wは、第2の排出孔25を通過して排水受皿部12上に滴下した後に、更に第1の排出孔13fを通過して下部継手部10に取り付けられた下部排出管P1内に流下される。そして、下部排出管P1を伝って外部にドレン水Wは排出される。
【0035】
中間部20の貯水円筒部22内にドレン水Wが貯水されることで、下部排出管P1と上部排出管P2との間には、直接空気が連通することはなく、貯水円筒部22内にドレン水Wによって遮断されることになる。従って、下部排出管P1から上部排出管P2に対して気流が逆流することはない。
【実施例2】
【0036】
図5は、別の実施形態である実施例2のトラップ付き管継手の正面図、図6はこのトラップ付き管継手の断面図である。この実施例2のトラップ付き管継手と図1図4に示す実施例1のトラップ付き管継手との相違は、下部継手部10’の第1の管接続部13の上側の第1の接続筒部13aの側面上方に空気孔13gが設けられていることと、第2の下当接部13e及び第1の排出孔13fが空気孔13gより下方に配置されていることである。
【0037】
図5図6に示すトラップ付き管継手も、下部排出管P1と上部排出管P2との間には、トラップ構造が設けられているので、下部排出管P1から上部排出管P2に対して気流が逆流することはない。加えて、下部継手部10’に空気孔13gが設けられているので、トラップ構造の直前まで逆流した気流は、空気孔13gを介して外部に配出されることになる。なお、第2の下当接部13eを空気孔13gより下に設けることで、第1の管接続部13の上側の第1の接続筒部13aに下部排出管P1を取り付けた場合に、下部排出管P1によって空気孔13gが閉塞されることはない。
【実施例3】
【0038】
図7は別の実施形態である実施例3のトラップ付き管継手の上部継手部30’及び閉塞部材40の分解斜視図、図8は上部継手部30’の正面図、図9は断面図である。
【0039】
実施例3のトラップ付き管継手と、先の図1図4に示す実施例1のトラップ付き管継手との相違は、上部継手部30’の環状突部31cの上側の外壁31eに水平方向に延在する掃除用円筒部31fが設けられていることである。この掃除用円筒部31fの挿通孔31gに取り付け可能な閉塞部材40により、挿通孔31gを閉塞状態にすることが可能とされている。
【0040】
上部継手部30’の外壁31eの一部は、上方に半円状に突出しており、この突出部31hは第3の接続筒部33aの外壁33gと連続している。そして、突出部31h及び外壁31eに掃除用円筒部31fが連結されており、この掃除用円筒部31fの挿通孔31gは、図9の断面図で示すように、第2の管接続部33及び挿入筒部31の間の空間に連通している。
【0041】
閉塞部材40は例えばボルト形状とされており、挿通孔31gの内壁の一部に設けた内ねじ部31iに、閉塞部材40のねじ部41とが螺合する。図10の組立てた状態の断面図に示すように、閉塞部材40を閉塞することで挿通孔31gは密閉状態となる。実施例3のトラップ付き管継手は、上部継手部30’と、前述の中間部20と、下部継手部10又は下部継手部10’とにより組み立てられる。
【0042】
また、閉塞部材40は上部継手部30と同様に合成樹脂材であってもよいし、金属製であってもよい。また、レンチで回動可能とする形状の他に、閉塞部材40の頭部42にプラス、マイナス溝を設け、ドライバを使用して回動させるようにしてもよい。また、閉塞部材40はボルト形状の他に、挿通孔31gを閉塞するキャップ形状等の適宜の部材を採用できる。
【0043】
通常の使用時には、図10の組立時の断面図に示すように、閉塞部材40により挿通孔31gを閉塞した状態で、前述のようにトラップ構造を用いて、上方から下方に向けてドレン水Wの排出処理を行う。
【0044】
また、挿通孔31gを閉塞した閉塞部材40のねじ部41の先端は、第2の管接続部33の近傍まで接近しているが、閉塞部材40の頭部42により挿通孔31gを閉塞できれば、ねじ部41の長さは短くしても支障はない。また、閉塞部材40のねじ部41は、貯水円筒部22の上縁の上に配置されるので、閉塞部材40によってドレン水Wの排出処理が妨げられることはない。
【0045】
このトラップ付き管継手は、使用時間の経過と共に、塵埃等が貯水円筒部22の底部21や排水受皿部12に堆積してゆく。そこで定期的に、例えば半年に1回程度で、掃除用円筒部31fから閉塞部材40を取り外し、挿入筒部31の内部に連通する掃除用円筒部31fに水道ホースを取り付けて、水を勢いよく挿通孔31g内に流し込むことで、堆積した塵埃をかき混ぜて、塵埃を下部排出管P1を通じて外部に排出できる。
【0046】
なお、掃除用円筒部31fの外壁には、水道ホースを外壁の外側から押し込んだ際に、水道ホースを抜け難くするために複数の段部を設けるようにしてもよい。このように、上部継手部30’に内部に連通する掃除用円筒部31fを設けることで、トラップ付き管継手の内部の掃除をトラップ付き管継手を排出管Pから外すことなく実施可能となる。
【0047】
本発明に係る実施例1~3のトラップ付き管継手によれば、機械的に作動する構造がないので、長期間に渡って使用したとしても、部品の疲労、摩耗等による故障が発生することはない。また、径の異なる複数の排出管Pに接続可能であり、簡便に取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 下部継手部
11 開口筒部
11a 内壁
11c 段差部
11e 確認部
13 第1の管接続部
13a 第1の接続筒部
13b 第2の接続筒部
13d 第1の下当接部
13e 第2の下当接部
13f 第1の排出孔
13g 空気孔
20 中間部
22 貯水円筒部
23 保持部
24 連結部
25 第2の排出孔
30 上部継手部
31 挿入筒部
31c 環状突部
31d 先端部
31f 掃除用円筒部
31g 挿通孔
33 第2の管接続部
33a 第3の接続筒部
33b 第4の接続筒部
33d 第1の上当接部
33e 第2の上当接部
40 閉塞部材
P1 下部排出管
P2 上部排出管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10