(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】レプチン受容体に対する抗体
(51)【国際特許分類】
C07K 16/28 20060101AFI20240610BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240610BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240610BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240610BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240610BHJP
G01N 33/533 20060101ALI20240610BHJP
G01N 33/534 20060101ALI20240610BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240610BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240610BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240610BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
C07K16/28
C12N15/13 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
G01N33/53 N
G01N33/533
G01N33/534
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P3/04
A61P3/10
A61P5/50
(21)【出願番号】P 2021578245
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 CN2019094352
(87)【国際公開番号】W WO2021000251
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2022-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】520025002
【氏名又は名称】シャンハイテック ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAITECH UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100154988
【氏名又は名称】小林 真知
(72)【発明者】
【氏名】ヤン グァン
(72)【発明者】
【氏名】タオ ピンドン
【審査官】坂井田 京
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/066204(WO,A1)
【文献】Gen. Comp. Endocrinol.,2018年04月01日,Vol.259,pp.223-230
【文献】Obesity,2016年08月,Vol.24, No.8,pp.1687-1694
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L)を含む抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
V
Hは、配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、および83からなる群から選択されるV
H-CDR1配列;配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、および84からなる群から選択されるV
H-CDR2配列;ならびに配列番号5、15、25、35、45、55、65、75、および85からなる群から選択されるV
H-CDR3配列を含み;
V
Lは、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、および88からなる群から選択されるV
L-CDR1配列;配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、および89からなる群から選択されるV
L-CDR2配列;ならびに配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、および90からなる群から選択される
V
L
-CDR3配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
配列番号2、配列番号12、配列番号22、配列番号32、配列番号42、配列番号52、配列番号62、配列番号72、または配列番号82を含むV
Hアミノ酸配列、および
配列番号7、配列番号17、配列番号27、配列番号37、配列番号47、配列番号57、配列番号67、配列番号77、または配列番号87を含むV
Lアミノ酸配列
を含む、抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
それぞれ、配列番号2および配列番号7(S1scAb06);
配列番号12および配列番号17(S1scAb11);
配列番号22および配列番号27(S2H1);
配列番号32および配列番号37(S2H2);
配列番号42および配列番号47(S2H3);
配列番号52および配列番号57(S2H4);
配列番号62および配列番号67(S2H5);
配列番号72および配列番号77(S2H6);ならびに
配列番号82および配列番号87(S2H7)
からなる群から選択されるV
Hアミノ酸配列およびV
Lアミノ酸配列を含む、請求項2に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項4】
(a)配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、もしくは87のうちのいずれか1つの軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列;および
(b)配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、もしくは82のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(V
H)
を含む、請求項1に記載の抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、およびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項6】
Fab、F(ab’)
2、Fab’、scFv、およびFvからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗原結合フラグメント。
【請求項7】
モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または二重特異性抗体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体。
【請求項8】
ヒトレプチン受容体のCRH2ドメインに結合する、請求項1~7のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項9】
立体構造的エピトープに結合する、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントをコードする、核酸配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項11】
配列番号1、11、21、31、41、51、61、71、もしくは81のV
Hをコードする核酸配列、および
配列番号6、16、26、36、46、56、66、76、もしくは86のV
Lをコードする核酸配列を含む、抗体または抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチド。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の核酸を発現する、宿主細胞または発現ベクター。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントを含む、組成物。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント、および使用のための取扱説明書を含む、キット。
【請求項15】
抗体または抗原結合フラグメントは、放射性標識、蛍光標識、および発色標識からなる群から選択される少なくとも1種の検出可能な標識にカップリングされている、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
生物学的サンプルと請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントとを接触させる工程であって、抗体または抗原結合フラグメントは検出可能な標識にコンジュゲートされている、工程;および
生物学的サンプルにおける検出可能な標識のレベルを検出する工程
を含む、生物学的サンプルにおけるレプチン受容体を検出するためのインビトロ方法。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを含む医薬組成物であって、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害の治療に使用するための医薬組成物。
【請求項18】
請求項1~9のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントを含む医薬組成物であって、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害の1つまたは複数の症状の緩和に使用するための医薬組成物。
【請求項19】
1つまたは複数の症状は、体重の増加、食物摂取量の増加、血中グルコースレベルの増加、インスリンレベルの減少、および/または耐糖能の減少を含む、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
障害は肥満である、請求項17~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概して、レプチン受容体タンパク質に特異的に結合する免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)およびその使用に関する。特に、本技術は、レプチン受容体結合抗体の調製、ならびに、肥満を含めた、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、および/または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害を検出するおよび治療することにおけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、読者の理解を支援するために提供される。提供される情報または引用される参考文献のいずれも、先行技術であると認められない。
小児肥満を含めた肥満は、地球規模で12%の有病率を有して、世界中で警戒すべき割合で生じている。肥満には、2型糖尿病、心血管疾患、および癌等、高い割合の深刻で命にかかわる合併症も付随する。肥満の根本原因は複雑であり、それは、肥満の原因となる環境および遺伝的感受性を含む。単一遺伝子性および症候性肥満も存在する。
【発明の概要】
【0003】
1つの態様において、本開示は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VH)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(VL)を含む抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントであって、VHは、配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、および83からなる群から選択されるVH-CDR1配列;配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、および84からなる群から選択されるVH-CDR2配列;ならびに配列番号5、15、25、35、45、55、65、75、および85からなる群から選択されるVH-CDR3配列を含み;VLは、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、および88からなる群から選択されるVL-CDR1配列;配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、および89からなる群から選択されるVL-CDR2配列;ならびに配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、および90からなる群から選択されるV
L
-CDR3配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
1つの態様において、本開示は、配列番号2、配列番号12、配列番号22、配列番号32、配列番号42、配列番号52、配列番号62、配列番号72、配列番号82を含むVHアミノ酸配列、または1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するその変種、および/あるいは配列番号7、配列番号17、配列番号27、配列番号37、配列番号47、配列番号57、配列番号67、配列番号77、配列番号87を含むVLアミノ酸配列、または1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するその変種を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0004】
付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、抗体または抗原結合フラグメントは、それぞれ、配列番号2および配列番号7(S1scAb06);配列番号12および配列番号17(S1scAb11);配列番号22および配列番号27(S2H1);配列番号32および配列番号37(S2H2);配列番号42および配列番号47(S2H3);配列番号52および配列番号57(S2H4);配列番号62および配列番号67(S2H5);配列番号72および配列番号77(S2H6);ならびに配列番号82および配列番号87(S2H7)からなる群から選択されるVHアミノ酸配列およびVLアミノ酸配列を含む。
1つの態様において、本開示は、(a)配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、もしくは87のうちのいずれか1つの軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または(b)配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、もしくは82のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(VH)を含む、抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0005】
付加的にまたは代替的に、本明細書に開示される実施形態のいずれかにおいて、抗体またはその抗原結合フラグメントは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、およびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、およびFvからなる群から選択される。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または二重特異性抗体である。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントは、ヒトレプチン受容体のCRH2ドメインに結合する。一部の実施形態において、本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントは、立体構造的エピトープに結合する。
1つの態様において、本開示は、本技術の抗体または抗原結合フラグメントの治療有効量を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害を治療するための方法を提供する。
【0006】
別の態様において、本技術は、本明細書に開示される抗体または抗原結合フラグメントの治療有効量を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害の1つまたは複数の症状を緩和するための方法を提供する。そのような障害の症状の例には、体重の増加、食物摂取量の増加、血中グルコースレベルの増加、インスリンレベルの減少、耐糖能の減少等が含まれる。
付加的にまたは代替的に、本明細書に開示される方法の一部の実施形態において、欠陥のあるまたは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害は肥満である。
1つの態様において、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれかの抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントを含む組成物を提供する。
【0007】
1つの態様において、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれかの抗体または抗原結合フラグメントをコードする核酸配列を提供する。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、核酸配列は、配列番号1、6、11、16、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、81、および86からなる群から選択される。
1つの態様において、本開示は、前記核酸を発現する宿主細胞またはベクターを提供する。
1つの態様において、本開示は、本明細書に開示される実施形態のいずれか1種の抗体または抗原結合フラグメントを含むキットを提供する。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、本技術の抗体または抗原結合フラグメントは、放射性標識、蛍光標識、および発色標識からなる群から選択される少なくとも1種の検出可能な標識にカップリングされている。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、キットは、本明細書に開示される抗体または抗原結合フラグメントに特異的に結合する二次抗体をさらに含む。
【0008】
1つの態様において、本開示は、生物学的サンプルと本明細書に開示される抗体またはその抗原結合フラグメントとを接触させる工程であって、抗体または抗原結合フラグメントは検出可能な標識にコンジュゲートされている、工程;および生物学的サンプルにおける検出可能な標識のレベルを検出する工程を含む、生物学的サンプルにおけるレプチン受容体を検出するための方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】SIS誘導性エレメント(SIE)-ルシフェラーゼベクターを持つ細胞のルシフェラーゼ発現に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S1scAb06、S1scAb11、およびS2H6の効果を示したグラフである。アイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用した。
【
図1B】SIS誘導性エレメント(SIE)-ルシフェラーゼベクターを持つ細胞のルシフェラーゼ発現に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7の効果を示したグラフである。アイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用した。
【
図2A】レプチン依存性Ba/F3-lepRレポーター細胞の増殖に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S1scAb06、S1scAb11、およびS2H6の効果を示したグラフである。アイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用した。
【
図2B】レプチン依存性Ba/F3-lepRレポーター細胞の増殖に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7の効果を示したグラフである。アイソタイプ対照抗体を陰性対照として使用した。
【
図3A】ob/obマウスの体重に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H6の効果を示したグラフである。6週齢の雌ob/obマウスに、ビヒクル(PBS、1日2回)、レプチン(0.5mg/kg、1日2回)、またはS2H6(5mg/kg、1日おき)を2週間皮下投与した(n=8)。体重を毎日モニターした。
【
図3B】ob/obマウスの食物摂取量に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H6の効果を示したグラフである。
図3Aに記載されるように実験を行った。食物摂取量を毎日モニターした。
【
図3C】ob/obマウスにおける血中グルコースレベルに対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H6の効果を示したグラフである。
図3Aに記載されるように実験を行った。血中グルコースレベルを1週間に2回測定し、持続的な測定結果が示されている。
****:p<0.0001;
***:p=0.0001~0.001;
**p=0.001~0.01;
*p=0.01~0.05。
【
図3D】ob/obマウスの血中におけるインスリンレベルに対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H6の効果を示したグラフである。
図3Aに記載されるように実験を行った。2週間の試行の後、マウスは16時間断食を経験し、血中インスリン濃度を測定した。
****:p<0.0001。
【
図3E】ob/obマウスによる耐糖能に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H6の効果を示したグラフである。
図3Aに記載されるように実験を行った。2週間の試行の後、マウスは16時間断食を経験し、腹腔内ブドウ糖負荷試験(IPGTT)を実施して、グルコースを代謝する身体能力を査定した。
【
図3F】ob/obマウスに存在する体脂肪に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S2H6の効果を示したグラフである。
図3Aに記載されるように実験を行った。マウスを2週間の試行後に屠殺し、表示される脂肪組織を単離し、計量した。
****:p<0.0001;
***:p=0.0001~0.001;
**p=0.001~0.01;
*p=0.01~0.05。
【
図4A】レプチン受容体への結合についての、レプチンとS1scAb06抗体との間の競合アッセイの結果を示したグラフである。増加する濃度のレプチン(X軸に表示される)および表示される固定濃度のS1scAb06抗体をアッセイにおいて使用した。結果は、レプチンが、6.55nMというEC
50を有して、レプチン受容体への結合についてS1scAb06抗体と競合し得ることを実証している。
【
図4B】レプチン受容体への結合についての、レプチンとS2H6抗体との間の競合アッセイの結果を示したグラフである。増加する濃度のレプチン(X軸に表示される)および表示される固定濃度のS2H6抗体をアッセイにおいて使用した。結果は、レプチンが、レプチン受容体への結合についてS2H6抗体と競合し得ないことを実証している。
【
図5A-5D】Biacore T200(商標)SPR(表面プラズモン共鳴)システムを使用して判定される、組み換えレプチン受容体(細胞外ドメイン)への、レプチン受容体アゴニストS1scAb06(
図5A)、S1scAb11(
図5B)、S2H6(
図5C)、およびレプチン(
図5D)の結合反応速度を示したグラフである。線グラフは、表示される濃度のアゴニストの添加があり次第の、時間の関数としての共鳴単位(RU、表面の分析物結合能の変化を反映する)の変化を描写している。
【
図6】SIS誘導性エレメント(SIE)-GFPレポーターを発現する細胞によるGFP発現を使用してアッセイされる、レプチン受容体変異体の活性化に対する、レプチンまたは抗レプチン受容体抗体の効果を示したグラフである。
【
図7】S2H6抗体がサイトカイン受容体相同ドメインに結合することを示したグラフである。以下のドメイン:レプチン受容体細胞外ドメイン、N末端ドメイン(NTD)、第1のサイトカイン受容体相同ドメイン(CRH1)、免疫グロブリン様ドメイン(IgD)、第2のサイトカイン受容体相同ドメイン(CRH2)、およびフィブロネクチンIII型ドメイン(FNIII)とのS2H6の結合についてのELISAを実施した。
【
図8A】S1scAb06抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号1)。
【
図8B】S1scAb06抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号2)。V
H CDR1(配列番号3)、V
H CDR2(配列番号4)、およびV
H CDR3(配列番号5)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図8C】S1scAb06抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号6)。
【
図8D】S1scAb06抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号7)。V
L CDR1(配列番号8)、V
L CDR2(配列番号9)、およびV
L CDR3(配列番号10)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図9A】S1scAb11抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号11)。
【
図9B】S1scAb11抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号12)。V
H CDR1(配列番号13)、V
H CDR2(配列番号14)、およびV
H CDR3(配列番号15)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図9C】S1scAb11抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号16)。
【
図9D】S1scAb11抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号17)。V
L CDR1(配列番号18)、V
L CDR2(配列番号19)、およびV
L CDR3(配列番号20)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図10A】S2H1抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号21)。
【
図10B】S2H1抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号22)。V
H CDR1(配列番号23)、V
H CDR2(配列番号24)、およびV
H CDR3(配列番号25)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図10C】S2H1抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号26)。
【
図10D】S2H1抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号27)。V
L CDR1(配列番号28)、V
L CDR2(配列番号29)、およびV
L CDR3(配列番号30)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図11A】S2H2抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号31)。
【
図11B】S2H2抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号32)。V
H CDR1(配列番号33)、V
H CDR2(配列番号34)、およびV
H CDR3(配列番号35)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図11C】S2H2抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号36)。
【
図11D】S2H2抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号37)。V
L CDR1(配列番号38)、V
L CDR2(配列番号39)、およびV
L CDR3(配列番号40)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図12A】S2H3抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号41)。
【
図12B】S2H3抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号42)。V
H CDR1(配列番号43)、V
H CDR2(配列番号44)、およびV
H CDR3(配列番号45)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図12C】S2H3抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号46)。
【
図12D】S2H3抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号47)。V
L CDR1(配列番号48)、V
L CDR2(配列番号49)、およびV
L CDR3(配列番号50)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図13A】S2H4抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号51)。
【
図13B】S2H4抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号52)。V
H CDR1(配列番号53)、V
H CDR2(配列番号54)、およびV
H CDR33(配列番号55)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図13C】S2H4抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号56)。
【
図13D】S2H4抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号57)。V
L CDR1(配列番号58)、V
L CDR2(配列番号59)、およびV
L CDR3(配列番号60)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図14A】S2H5抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号61)。
【
図14B】S2H5抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号62)。V
H CDR1(配列番号63)、V
H CDR2(配列番号64)、およびV
H CDR3(配列番号65)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図14C】S2H5抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号66)。
【
図14D】S2H5抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号67)。V
L CDR1(配列番号68)、V
L CDR2(配列番号69)、およびV
L CDR3(配列番号70)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図15A】S2H6抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号71)。
【
図15B】S2H6抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号72)。V
H CDR1(配列番号73)、V
H CDR2(配列番号74)、およびV
H CDR3(配列番号75)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図15C】S2H6抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号76)。
【
図15D】S2H6抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号77)。V
L CDR1(配列番号78)、V
L CDR2(配列番号79)、およびV
L CDR3(配列番号80)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図16A】S2H7抗体のV
Hドメインのヌクレオチド配列(配列番号81)。
【
図16B】S2H7抗体のV
Hドメインのアミノ酸配列(配列番号82)。V
H CDR1(配列番号83)、V
H CDR2(配列番号84)、およびV
H CDR3(配列番号85)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【
図16C】S2H7抗体のV
Lドメインのヌクレオチド配列(配列番号86)。
【
図16D】S2H7抗体のV
Lドメインのアミノ酸配列(配列番号87)。V
L CDR1(配列番号88)、V
L CDR2(配列番号89)、およびV
L CDR3(配列番号90)配列が、下線付きの太字フォントによって表示されている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な説明
本技術のある特定の態様、様態、実施形態、変形、および特質は、本技術についての実質的な理解を提供するために様々なレベルの詳細さで下に記載されることが解されるべきである。
定義
本明細書において使用されるある特定の用語の定義が下に提供される。別様に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、概して、本技術が属する技術分野における当業者によって共通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用するとき、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈上別様にはっきりと述べられない限り、複数形の指示対象を含む。例えば、「細胞(a cell)」への言及は、2個以上の細胞の組み合わせ等を含む。概して、本明細書において使用される命名法、ならびに下に記載される細胞培養、分子遺伝学、有機化学、分析化学、および核酸化学とハイブリダイゼーションにおける実験室手順は、当技術分野において周知のかつよく採用されるものである。
本明細書において使用するとき、数に関する「約」という用語は、別様に記述されないまたは別様に文脈から明白でない限り、概して、数のいずれかの方向に(それを上回るまたはそれ未満の)1%、5%、または10%の値域内に入る数を含むと受け取られる(そのような数が、考え得る値の0%未満であろうまたは100%を超えるであろう場合を除く)。
本明細書において使用するとき、対象への作用物質、薬物、またはペプチドの「投与」は、その意図される機能を果たすための、対象に化合物を導入するまたは送達する任意の経路を含む。投与は、経口的、鼻腔内、非経口的(静脈内、筋肉内、腹腔内、または皮下)、または局所的を含めた、任意の適切な経路によって行われ得る。一部の実施形態において、本技術の抗レプチン受容体抗体は、冠動脈内経路または動脈内経路によって投与される。投与には、自己投与および別の者による投与が含まれる。
【0012】
本明細書において使用するとき、「アミノ酸」という用語は、少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基を含有する任意の有機分子を指すために使用される。典型的に、少なくとも1つのアミノ基は、カルボキシル基に対してα位にある。「アミノ酸」という用語は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を含む。天然に存在するアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、ならびに後に改変されるそうしたアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合しているα-炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、改変されたR基(例えば、ノルロイシン)または改変されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的化学構造とは異なるが、天然に存在するアミノ酸と同様の様式で機能する構造を有する化学的化合物を指す。アミノ酸は、本明細書において、それらの一般に公知の3文字記号によって、またはIUPAC-IUB生化学命名委員会によって推奨される1文字記号によって言及され得る。
【0013】
本明細書において使用するとき、「抗体」という用語は、例としてかつ限定されることなく、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM、その組み合わせ、ならびに、サメ免疫グロブリン等、任意の脊椎動物において、例えばヒト、ヤギ、ウサギ、およびマウス等の哺乳類、ならびに非哺乳類種において免疫応答の間に産生される同様の分子を含めた、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子を集合的に指す。本明細書において使用するとき、「抗体」(無傷免疫グロブリンを含む)および「抗原結合フラグメント」は、他の分子への結合を実質的に除外して、関心対象の分子(または関心対象の極めて同様の分子の群)に特異的に結合する(例えば、生物学的サンプルにおける他の分子に対する結合定数よりも少なくとも103M-1大きい、少なくとも104M-1大きい、または少なくとも105M-1大きい、関心対象の分子に対する結合定数を有する抗体および抗体フラグメント)。「抗体」という用語は、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(二重特異性抗体等)等の遺伝子操作された形態も含む。Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.);Kuby, J., Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York, 1997も参照されたい。
【0014】
より特に、抗体とは、抗原のエピトープを特異的に認識しかつ結合する少なくとも軽鎖免疫グロブリン可変領域または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンドを指す。抗体は、そのそれぞれが、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と称される可変領域を有する、重鎖および軽鎖から構成される。一緒になって、VH領域およびVL領域は、抗体によって認識される抗原に結合することに関与する。典型的に、免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。ラムダ(λ)およびカッパ(κ)という2種のタイプの軽鎖がある。抗体分子の機能的活性を決定する5種の主な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEがある。各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含有する(領域は「ドメイン」としても知られる)。組み合わせて、重鎖および軽鎖可変領域は、抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域によって分断された「フレームワーク」領域を含有する。フレームワーク領域およびCDRの範囲は規定されている(参照により本明細書によって組み入れられる、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照されたい)。Kabatデータベースは、現在オンラインで維持されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種の中で比較的保存されている。軽鎖および重鎖構成成分の組み合わせられたフレームワーク領域である、抗体のフレームワーク領域は大部分がβ-シート立体構造を取り、CDRは、β-シート構造に接続し、ある場合にはその一部を形成するループを形成する。ゆえに、フレームワーク領域は、鎖間非共有結合性相互作用によって正しい配向にCDRを配置することを提供する足場を形成するように作用する。
【0015】
CDRは、抗原のエピトープへの結合に主として関与する。各鎖のCDRは、典型的に、N末端から逐次的に始まる番号付けされたCDR1、CDR2、およびCDR3と称され、また典型的に、特定のCDRが位置する鎖によって識別される。ゆえに、VH CDR3は、それが見い出される抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、一方でVL CDR1は、それが見い出される抗体の軽鎖の可変ドメインからのCDR1である。レプチン受容体タンパク質に結合する抗体は、特異的VH領域およびVL領域配列、ゆえに特異的CDR配列を有するであろう。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対する異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRを有する。それは、抗体によって変わるCDRであるものの、CDR内の限定された数のアミノ酸箇所のみが抗原結合に直接関わる。CDR内のこれらの箇所は、特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。本明細書において使用される「本技術の抗レプチン受容体抗体」とは、抗体(モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、組み換え抗体、多重特異性抗体、二重特異性抗体等)ならびに抗体フラグメントを指す。抗体またはその抗原結合フラグメントは、抗原に特異的に結合する。
【0016】
本明細書において使用するとき、「抗体関連ポリペプチド」という用語は、単独で、または以下のポリペプチドエレメント:抗体分子のヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインのうちのすべてもしくは一部との組み合わせで可変領域を含み得る、単鎖抗体を含めた抗原結合抗体フラグメントを意味する。可変領域、ならびにヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインの任意の組み合わせも本技術に含まれる。例えばFab、Fab’およびF(ab’)2、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド連結Fv(sdFv)、ならびにVLまたはVHドメインのいずれかを含むフラグメントであるがそれらに限定されない抗体関連分子が本方法において有用である。例には、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価フラグメントであるFabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメントであるF(ab’)2;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHドメインからなるdAbフラグメント(Ward et al., Nature 341: 544-546, 1989);ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、が含まれる。そのため、「抗体フラグメント」または「抗原結合フラグメント」は、全長抗体の一部分、一般的にはその抗原結合または可変領域を含み得る。抗体フラグメントまたは抗原結合フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント;ダイアボディ;直鎖抗体;単鎖抗体分子;ならびに抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が含まれる。
【0017】
本明細書において使用するとき、「コンジュゲートされた」という用語は、当業者に公知の任意の方法による2つの分子の会合を指す。適切なタイプの会合には、化学的結合および物理的結合が含まれる。化学的結合には、例えば共有結合および配位結合が含まれる。物理的結合には、例えば水素結合、双極子相互作用、ファンデルワールス力、静電相互作用、疎水性相互作用、および芳香族スタッキングが含まれる。
本明細書において使用するとき、「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、フラグメントは、軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を同じポリペプチド鎖に含む(VHVL)。同じ鎖上の2つのドメイン間での対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対合せざるを得ず、2つの抗原結合部位を創出する。ダイアボディは、例えば欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 6444-6448 (1993)においてより十分に記載される。
【0018】
本明細書において使用するとき、「単鎖抗体」または「単鎖Fv(scFv)」という用語は、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHの抗体融合分子を指す。単鎖抗体分子は、いくつかの個々の分子を有するポリマー、例えば二量体、三量体、または他のポリマーを含み得る。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは、別個の遺伝子によってコードされるものの、それらは、VLおよびVH領域が対合して一価の分子を形成する単一タンパク質鎖としてそれらが作製されるのを可能にする合成リンカーによって、組み換え法を使用して接合され得る(単鎖Fv(scFv)として知られる)。Bird et al. (1988) Science 242:423-426およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad Sci. USA 85:5879-5883。そのような単鎖抗体は、組み換え技法または無傷抗体の酵素的もしくは化学的切断によって調製され得る。
【0019】
本明細書において使用するとき、「抗原」とは、抗体(またはその抗原結合フラグメント)が選択的に結合し得る分子を指す。標的抗原は、タンパク質、炭水化物、核酸、脂質、ハプテン、または他の天然に存在するもしくは合成の化合物であり得る。一部の実施形態において、標的抗原はポリペプチド(例えば、レプチン受容体ポリペプチド)であり得る。抗原は、動物において免疫応答を生じさせるために動物に投与もされ得る。
「抗原結合フラグメント」という用語は、抗原への結合に関与するポリペプチドの一部を所有する免疫グロブリン構造全体のフラグメントを指す。本技術において有用な抗原結合フラグメントの例には、scFv、(scFv)2、scFv-Fc、Fab、Fab’、およびF(ab’)2が含まれるが、それに限定されるわけではない。
上述の抗体フラグメントのいずれかは、当業者に公知の従来的技法を使用して獲得され、フラグメントは、無傷抗体と同じ様式で、結合特異性および中和活性についてスクリーニングされる。
【0020】
「結合親和性」によって、分子(例えば、抗体)の単一結合部位とその結合パートナー(例えば、抗原または抗原ペプチド)との間の非共有結合性相互作用全体の強度を意味する。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般的に解離定数(KD)によって表され得る。親和性は、本明細書に記載されるものを含めた、当技術分野において公知の標準的方法によって測定され得る。低親和性複合体は、概して抗原から容易に解離する傾向がある抗体を含有し、一方で高親和性複合体は、概してより長い継続期間の間抗原に結合したままである傾向がある抗体を含有する。
本明細書において使用するとき、「生物学的サンプル」という用語は、生きた細胞に由来するサンプル材料を意味する。生物学的サンプルには、対象から単離された組織、細胞、細胞のタンパク質または膜抽出物、および生物学的流体(例えば、腹水または脳脊髄液(CSF))、ならびに対象の内に存在する組織、細胞、および流体が含まれ得る。本技術の生物学的サンプルには、乳房組織、腎組織、子宮頸部、子宮内膜、頭頸部、胆嚢、耳下腺組織、前立腺、脳、下垂体、腎臓組織、筋肉、食道、胃、小腸、結腸、肝臓、脾臓、膵臓、甲状腺組織、心臓組織、肺組織、膀胱、脂肪組織、リンパ節組織、子宮、卵巣組織、副腎組織、精巣組織、扁桃腺、胸腺、血液、毛髪、頬、皮膚、血清、血漿、CSF、精液(semen)、前立腺液(prostate fluid)、精液(seminal fluid)、尿、糞便、汗、唾液、痰、粘液、骨髄、リンパ液、および涙液から採取されたサンプルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。生物学的サンプルは、内臓の生検からも獲得され得る。生物学的サンプルは、診断もしくは研究のために対象から獲得され得る、または対照としてもしくは基礎研究のために非罹患個体から獲得され得る。サンプルは、例えば静脈穿刺および外科生検を含めた標準的方法によって獲得され得る。ある特定の実施形態において、生物学的サンプルは脂肪組織である。
【0021】
本明細書において使用するとき、「対照」とは、比較目的で実験において使用される代替的サンプルである。対照は、「陽性」または「陰性」であり得る。例えば、実験の目的が、特定のタイプの疾患に対する治療のための治療剤の効力の相関を判定することである場合、陽性対照(所望の治療効果を呈することが知られる化合物または組成物)および陰性対照(療法を受けないまたは偽薬を受ける対象またはサンプル)が典型的に採用される。
本明細書において使用するとき、「有効量」という用語は、所望の治療効果および/または予防効果を達成するのに十分な分量、例えば、本明細書に記載される疾患もしくは病状、または本明細書に記載される疾患もしくは病状と関連した1つもしくは複数の兆候もしくは症状の阻止または減少をもたらす量を指す。治療的または予防的適用の背景において、対象に投与される組成物の量は、組成物、疾患の程度、タイプ、および重症度、ならびに全般的健康状態、年齢、性別、体重、および薬物への耐性等の個体の特徴に応じて変わるであろう。当業者であれば、これらのおよび他の因子に応じて適当な投薬量を決定し得るであろう。組成物は、1種または複数の付加的な治療用化合物との組み合わせでも投与され得る。本明細書に記載される方法において、治療用組成物は、本明細書に記載される疾患または病状の1つまたは複数の兆候または症状を有する対象に投与され得る。本明細書において使用するとき、組成物の「治療有効量」とは、疾患または病状の生理学的影響が改善されるまたは排除される組成物レベルを指す。治療有効量は、1回または複数の投与で与えられ得る。
【0022】
「単離された」または「精製された」ポリペプチドまたはペプチドは、作用物質が由来する細胞もしくは組織供給源由来の細胞材料もしくは他の汚染ポリペプチドを実質的に含んでいない、または化学的に合成される場合には化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含んでいない。例えば、本技術の単離された抗レプチン受容体抗体は、作用物質の診断的または治療的使用を妨害するであろう材料を含んでいないであろう。そのような妨害材料には、酵素、ホルモン、ならびに他のタンパク質性および非タンパク質性溶質が含まれ得る。
【0023】
本明細書において使用するとき、「エピトープ」という用語は、抗体に特異的に結合し得るタンパク質決定基を意味する。エピトープは、通常、アミノ酸または糖側鎖等の分子の化学的に活性な表面群からなり、通常、特異的な3次元構造特徴ならびに特異的電荷特徴を有する。立体構造的および非立体構造的エピトープは、変性溶媒の存在下で前者への結合は失われるが後者への結合は失われないという点で区別される。一部の実施形態において、「エピトープ」は、本技術の抗レプチン受容体抗体が特異的に結合する第2のサイトカイン受容体相同ドメインである。一部の実施形態において、エピトープは、立体構造的エピトープまたは非立体構造的エピトープである。エピトープに結合する抗レプチン受容体抗体をスクリーニングするために、Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Ed Harlow and David Lane (1988)に記載されるもの等のルーチン的クロスブロッキングアッセイが実施され得る。このアッセイを使用して、抗レプチン受容体抗体が、本技術の抗レプチン受容体抗体と同じ部位またはエピトープに結合するかどうかを判定し得る。代替的にまたは付加的に、エピトープマッピングが、当技術分野において公知の方法によって実施され得る。例えば、抗体配列にアラニンスキャニング等によって変異導入して、接触残基を同定し得る。異なる方法において、レプチン受容体タンパク質の種々の領域に相当するペプチドが、試験抗体を用いた、または試験抗体および特徴付けされたもしくは公知のエピトープを有する抗体を用いた競合アッセイにおいて使用され得る。
【0024】
本明細書において使用するとき、「発現」には、以下のもの:前駆体mRNAへの遺伝子の転写;成熟mRNAを産生するための前駆体mRNAのスプライシングおよび他のプロセシング;mRNA安定性;タンパク質への成熟mRNAの翻訳(コドン使用法およびtRNA利用可能性を含む);ならびに、適正な発現および機能に要される場合には、翻訳産物のグリコシル化および/または他の修飾、のうちの1つまたは複数が含まれる。
本明細書において使用するとき、「遺伝子」という用語は、発現を制御するプロモーター、エクソン、イントロン、および他の非翻訳領域を含めた、RNA産物の調節された生合成のためのすべての情報を含有する、DNAのセグメントを意味する。
【0025】
本明細書において使用するとき、「相同性」または「同一性」または「類似性」という用語は、2種のペプチド間または2種の核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的のためにアラインされ得る各配列における箇所を比較することによって判定され得る。比較された配列における箇所が、同じ塩基またはアミノ酸によって占有される場合には、分子はその箇所において相同である。配列間の相同性の程度は、配列によって共有されるマッチしたまたは相同な箇所の数の関数である。ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)は、別の配列とある特定のパーセンテージ(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、または99%)の「配列同一性」を有し、アラインされた場合に、そのパーセンテージの塩基(またはアミノ酸)が、2種の配列を比較した際に同じであることを意味する。このアライメントおよび相同性または配列同一性パーセントは、当技術分野において公知のソフトウェアプログラムを使用して判定され得る。一部の実施形態において、初期設定パラメーターがアライメントに使用される。1つのアライメントプログラムは、初期設定パラメーターを使用したBLASTである。特に、プログラムは、以下の初期設定パラメーター:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予想=10;行列=BLOSUM62;記載=50配列;選別=HIGH SCORE;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR、を使用したBLASTNおよびBLASTPである。これらのプログラムの詳細は、アメリカ国立生物工学情報センターにおいて見い出され得る。生物学的に等価のポリヌクレオチドは、指定の相同性パーセントを有し、かつ同じまたは同様の生物学的活性を有するポリペプチドをコードするものである。2種の配列は、それらが互いと40%未満の同一性または25%未満の同一性を共有する場合、「非関連」または「非相同」と見なされる。
【0026】
本明細書において使用するとき、非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態とは、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有するキメラ抗体である。ほとんどの部分に関して、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類等の非ヒト種(ドナー抗体)由来の超可変領域残基によって置き換えられているヒト免疫グロブリンである。一部の実施形態において、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、相当する非ヒト残基によって置き換えられる。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にまたはドナー抗体に見い出されない残基を含み得る。これらの改変は、結合親和性等の抗体性能をさらに洗練させるために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、超可変ループのすべてまたは実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、FR領域のすべてまたは実質的にすべてがヒト免疫グロブリンコンセンサスFR配列のものであるが、とはいえFR領域は、結合親和性を向上させる1つまたは複数のアミノ酸置換を含み得る、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、またはFv)の実質的にすべてを含むであろう。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的に、H鎖において6個以下およびL鎖において3個以下である。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部分も含み得る。さらなる詳細に関しては、Jones et al., Nature 321:522-525 (1986);Riechmann et al., Nature 332: 323-327 (1988);およびPresta, Curr. Op. Struct. Biol. 2:593-596 (1992)を参照されたい。例えば、Ahmed & Cheung, FEBS Letters 588(2):288-297 (2014);Saxena & Wu, Frontiers in immunology 7: 580 (2016)を参照されたい。
【0027】
本明細書において使用するとき、「同一の」または「同一性」パーセントという用語は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において使用される場合、下で記載される初期設定パラメーターを用いたBLASTもしくはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを使用してまたは手動のアライメントおよび目視検査(例えば、NCBIウェブサイト)によって測定される、比較ウィンドウまたは指定の領域にわたる最大一致のために比較されかつアラインされた場合に、同じである、または同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの指定のパーセンテージ(すなわち、指定の領域(例えば、本明細書に記載される抗体をコードするヌクレオチド配列または本明細書に記載される抗体のアミノ酸配列)にわたって約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれよりも高い同一性)を有する、2つ以上の配列または部分配列を指す。次いで、そのような配列は、「実質的に同一」であると言われる。この用語は、試験配列の相補体も指すまたはそれにも適用され得る。該用語は、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有するものも含む。一部の実施形態において、同一性は、長さが少なくとも約25個のアミノ酸もしくはヌクレオチド、または長さが50~100個のアミノ酸もしくはヌクレオチドである領域にわたって存在する。
【0028】
本明細書において使用するとき、「無傷抗体」または「無傷免疫グロブリン」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2本の重(H)鎖ポリペプチドおよび2本の軽(L)鎖ポリペプチドを有する抗体を意味する。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においてHCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2、およびCH3から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においてLCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLから構成される。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称されるより保存されている領域が散在した、相補性決定領域(CDR)と称される超可変性の領域にさらに細分され得る。各VHおよびVLは、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシル末端に並べられた、3つのCDRおよび4つのFRから構成される。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の構成要素(C1q)を含めた、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。
本明細書において使用するとき、「個体」、「患者」、または「対象」という用語は、個々の生物、脊椎動物、哺乳類、またはヒトであり得る。一部の実施形態において、個体、患者、または対象はヒトである。
【0029】
本明細書において使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から獲得された抗体を指し、すなわち該集団を含む個々の抗体は、少量で存在し得る考え得る天然に存在する変異を除いて同一である。例えば、モノクローナル抗体は、任意の真核性、原核性、またはファージクローンを含めた単一クローンに由来する抗体であり得、それが産生される方法ではあり得ない。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性および親和性を呈示する。モノクローナル抗体は、単一の抗原部位に向けられた、高度に特異的である。さらに、種々の決定基(エピトープ)に向けられた種々の抗体を典型的に含む従来的(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に向けられる。「モノクローナル」という修飾語句は、抗体の実質的に均一の集団から獲得されるものとしての抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を要するものとして捉えられるべきではない。モノクローナル抗体は、例えばハイブリドーマ、組み換え、およびファージディスプレイ技術を含むがそれらに限定されない、当技術分野において公知の多種多様な技法を使用して調製され得る。例えば、本方法に従って使用される対象となるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製され得る、または組み換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製され得る。「モノクローナル抗体」は、また、例えばClackson et al., Nature 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol. 222:581-597 (1991)に記載される技法を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離され得る。
【0030】
本明細書において使用するとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与と適合する、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌および抗真菌化合物、等張化合物および吸収遅延化合物等を含むことが意図される。薬学的に許容される担体およびそれらの製剤化は当業者に公知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences (20th edition, ed. A. Gennaro, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PA.)に記載される。
【0031】
本明細書において使用するとき、障害または病状の「阻止」または「阻止すること」とは、統計的サンプルにおいて、未処理対照サンプルと比べて処理サンプルにおいて障害もしくは病状の発生を低下させる、または未処理対照サンプルと比べて障害もしくは病状の1つもしくは複数の症状の発症を遅延させるもしくはその重症度を低下させる化合物を指す。
本明細書において使用するとき、「ポリペプチド」、「ペプチド」、および「タンパク質」という用語は、ペプチド結合または改変ペプチド結合によって互いに接合された2つ以上のアミノ酸、すなわちペプチドイソスター(isostere)を含むポリマーを意味するために、本明細書において互換可能に使用される。ポリペプチドは、ペプチド、糖ペプチド、またはオリゴマーと一般に称される短い鎖、およびタンパク質と一般に称されるより長い鎖の両方を指す。ポリペプチドは、20種の遺伝子コードアミノ酸以外のアミノ酸を含有し得る。ポリペプチドは、翻訳後プロセシング等の天然の過程によって、または当技術分野において周知である化学的改変技法によって改変されたアミノ酸配列を含む。
【0032】
本明細書において使用するとき、「別個の」治療的使用という用語は、異なる経路による、同じ時点でのまたは実質的に同じ時点での少なくとも2種の活性成分の投与を指す。
本明細書において使用するとき、「逐次的な」治療的使用という用語は、投与経路が同一であるまたは異なる、異なる時点での少なくとも2種の活性成分の投与を指す。より特に、逐次的使用は、1種または複数の他方の投与が開始する前の、活性成分の一方の全投与を指す。ゆえに、他方の1種または複数の活性成分を投与する前に、活性成分の一方を数分間、数時間、または数日間にわたって投与することが可能である。この場合、同時治療はない。
本明細書において使用するとき、「同時の」治療的使用という用語は、同じ経路によるかつ同じ時点でのまたは実質的に同じ時点での少なくとも2種の活性成分の投与を指す。
【0033】
本明細書において使用するとき、「特異的に結合する」とは、別の分子(例えば、抗原)を認識しかつ結合するが、他の分子を実質的に認識せずかつ結合しない分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を指す。本明細書において使用される、特定の分子(例えば、ポリペプチド、またはポリペプチド上のエピトープ)「への特異的結合」、「に特異的に結合する」、または「に特異的である」という用語は、例えば、それが結合する分子に対する、約10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12MのKDを有する分子によって呈され得る。「特異的に結合する」という用語は、分子(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)が、いかなる他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープに実質的に結合することなく、特定のポリペプチド(例えば、レプチン受容体ポリペプチド)または特定のポリペプチド上のエピトープに結合する結合も指し得る。
本明細書において使用するとき、「対象」、「個体」、または「患者」という用語は、個々の生物、脊椎動物、哺乳類、またはヒトであり得る。
【0034】
本明細書において使用される「治療すること」、「治療する」、または「治療」とは、ヒト等の対象における本明細書に記載される疾患または障害の治療を網羅し、(i)疾患もしくは障害を阻害すること、すなわちその進展を止めること;(ii)疾患もしくは障害を軽減すること、すなわち障害の退縮を引き起こすこと;(iii)障害の進行を遅らせること;および/または(iv)疾患もしくは障害の1つもしくは複数の症状の進行を阻害すること、軽減すること、もしくは遅らせること、を含む。例えば、本明細書に記載される方法に従って本技術の抗レプチン受容体抗体の治療量を受けた後に、対象がレプチン受容体変異体の機能の観察可能なおよび/または測定可能な回復を示す場合、対象は、肥満、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症に対する「治療」に成功している。
【0035】
本明細書に記載される障害の治療の様々な様態は、全体の治療を含むが全体に満たない治療も含み、一部の生物学的にまたは医学的に関連する結果が達成される、「実質的な」を意味することが意図されることも解されるべきである。治療は、慢性疾患に対する継続的な長期治療、または急性病状の治療のための単回もしくは数回の投与であり得る。
本明細書に記載される抗レプチン受容体抗体のアミノ酸配列改変が企図される。例えば、抗体の結合親和性および/または他の生物学的特性を向上させることが望ましくあり得る。抗レプチン受容体抗体のアミノ酸配列変種は、抗体核酸に適当なヌクレオチド変化を導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。そのような改変には、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/またはそれへの挿入、および/またはその置換が含まれる。獲得された抗体が所望の特性を所有する限りにおいて、関心対象の抗体を獲得するために、欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせが行われる。改変には、タンパク質のグリコシル化のパターンの変化も含まれる。置換的変異導入のための最も大きな関心対象の部位は超可変領域を含むが、FR変更も企図される。「保存的置換」が下の表に示される。
【0036】
【0037】
置換的変種の1つのタイプは、親抗体の1つまたは複数の超可変領域残基を置換することを伴う。そのような置換的変種を作出するための好都合なやり方は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟を伴う。具体的には、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7個の部位)を変異させて、各部位ですべての考え得るアミノ酸置換を作出する。そのようにして作出された抗体変種は、各粒子内にパッケージされたM13の遺伝子III産物への融合体として、繊維状ファージ粒子から一価の形状で呈示される。次いで、ファージに呈示された変種を、本明細書に開示されるそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。改変のための候補超可変領域部位を同定するために、アラニンスキャニング変異導入を実施して、抗原結合に大いに寄与する超可変領域残基を同定し得る。代替的にまたは付加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を解析して、抗体と抗原との間の接触点を同定することが有益であり得る。そのような接触残基および近隣残基は、本明細書に詳述される技法に従った置換の候補である。いったんそのような変種が作出されると、変種のパネルを本明細書に記載されるスクリーニングに供し、1つまたは複数の関連アッセイにおいて同様のまたは優れた特性を有する抗体をさらなる開発に選択し得る。
【0038】
レプチン、レプチン受容体、およびレプチン欠損または不足と関連したまたはそれによって引き起こされる障害
レプチンは、食物摂取を阻害し、エネルギー消費を刺激することによって、体重の調節における重大な役割を果たす16kDタンパク質である。レプチン産生の欠陥は、齧歯類およびヒトにおいて重度の遺伝性肥満を引き起こす。体重に対するその影響に加えて、レプチンは、造血、血管新生、創傷治癒、ならびに免疫および炎症応答の調節を含めた、多様な他の機能を有する。LEP遺伝子は、マウス「肥満」表現型における、遺伝子(ob)変異体のヒトホモログである。レプチン欠損は、重度の早発性肥満、過食症、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症、および神経内分泌/代謝機能不全によって特徴付けられる。Ozata et al., J. Clin. Endocr. Metab. 84: 3686-3695 (1999)。
【0039】
レプチンは、いくつかの選択的スプライシング形態で多くの組織に見い出される、サイトカイン受容体ファミリーの1回膜貫通ドメイン受容体であるレプチン受容体(LEPR)を通じて作用する。1p31に位置するレプチン受容体遺伝子は、クラスIサイトカイン受容体ファミリーの1回膜貫通受容体をコードする。レプチン欠損/不足と関連したまたはそれによって引き起こされる障害には、低レプチン血症、レプチン抵抗性、および欠陥のあるまたは損なわれたレプチンシグナル伝達につながるレプチン受容体変異によって引き起こされる障害が含まれる。例えば、レプチン受容体(LEPR)におけるある特定の変異は、重度の早発性肥満、糖尿病をもたらす。White and Tartaglia, Cytokine Growth Factor Rev 7:303-309 (1996);Chen et al. Cell 84:491-495 (1996);Morton and Schwartz, Physiol Rev 91:389-411 (2011);Bjorbaek and Kahn, Recent Prog Hormone Res 59: 305-331 (2004);およびWauman and Tavernier, Front Biosci 17:2771-2793 (2012)。
【0040】
本技術の免疫グロブリン関連組成物
本技術は、抗レプチン受容体免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント)の作出および使用のための方法および組成物を記載する。本技術の抗レプチン受容体抗体は、レプチン受容体のアゴニストであり;すなわち、レプチン受容体への本技術の抗レプチン受容体抗体の結合は、レプチン受容体シグナル伝達の活性化を引き起こす。したがって、本技術の抗レプチン受容体抗体は、例えば、対象におけるレプチンの通常の生物学的活性を模倣する、置換する、または補足するのに有用である。それゆえ、本技術の抗体および抗原結合フラグメントは、レプチン抵抗性およびレプチン欠損または機能不全と関連した疾患および障害の治療的処置において有用である。
したがって、本開示の抗レプチン受容体免疫グロブリン関連組成物は、肥満、糖尿病、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および低レプチン血症を含めた、レプチン受容体の欠陥と関連した障害の診断または治療において有用であり得る。本技術の範囲内の抗レプチン受容体免疫グロブリン関連組成物は、標的ポリペプチドに特異的に結合する、例えばモノクローナル、キメラ、ヒト化、二重特異性抗体、およびダイアボディ、そのホモログ、誘導体、またはフラグメントを含むが、それらに限定されるわけではない。本開示は、本明細書に開示される抗レプチン受容体抗体のいずれかの抗原結合フラグメントであって、抗原結合フラグメントは、Fab、F(ab)’2、Fab’、scFv、およびFvからなる群から選択される、抗原結合フラグメントも提供する。本技術は、レプチン結合またはレプチン媒介性シグナル伝達に欠陥があるまたは損なわれているレプチン受容体変異体を活性化し得る抗レプチン受容体抗体形式を開示する。
【0041】
図8~16は、本明細書に開示される抗体のための、V
HおよびV
Lに対するヌクレオチドおよびアミノ酸配列、ならびにCDR配列を提供する(配列番号1~90)。
本開示は、重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L)を含む抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントであって、V
Hは、配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、および83からなる群から選択されるV
H-CDR1配列;配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、および84からなる群から選択されるV
H-CDR2配列;ならびに配列番号5、15、25、35、45、55、65、75、および85からなる群から選択されるV
H-CDR3配列を含み;V
Lは、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、および88からなる群から選択されるV
L-CDR1配列;配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、および89からなる群から選択されるV
L-CDR2配列;ならびに配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、および90からなる群から選択される
V
L
-CDR3配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。一部の実施形態において、抗体は、例えばIgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、IgA(IgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、またはIgM、およびIgYであるがそれらに限定されない、任意のアイソタイプのFcドメインをさらに含む。定常領域配列の非限定的な例には、以下が含まれる。
【0042】
ヒトIgD定常領域、Uniprot:P01880(配列番号91)
APTKAPDVFPIISGCRHPKDNSPVVLACLITGYHPTSVTVTWYMGTQSQPQRTFPEIQRRDSYYMTSSQLSTPLQQWRQGEYKCVVQHTASKSKKEIFRWPESPKAQASSVPTAQPQAEGSLAKATTAPATTRNTGRGGEEKKKEKEKEEQEERETKTPECPSHTQPLGVYLLTPAVQDLWLRDKATFTCFVVGSDLKDAHLTWEVAGKVPTGGVEEGLLERHSNGSQSQHSRLTLPRSLWNAGTSVTCTLNHPSLPPQRLMALREPAAQAPVKLSLNLLASSDPPEAASWLLCEVSGFSPPNILLMWLEDQREVNTSGFAPARPPPQPGSTTFWAWSVLRVPAPPSPQPATYTCVVSHEDSRTLLNASRSLEVSYVTDHGPMK
【0043】
ヒトIgG1定常領域、Uniprot:P01857(配列番号92)
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0044】
ヒトIgG2定常領域、Uniprot:P01859(配列番号93)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSNFGTQTYTCNVDHKPSNTKVDKTVERKCCVECPPCPAPPVAGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTFRVVSVLTVVHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDISVEWESNGQPENNYKTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
【0045】
ヒトIgG3定常領域、Uniprot:P01860(配列番号94)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYTCNVNHKPSNTKVDKRVELKTPLGDTTHTCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPEPKSCDTPPPCPRCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVQFKWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTFRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKTKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESSGQPENNYNTTPPMLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNIFSCSVMHEALHNRFTQKSLSLSPGK
【0046】
ヒトIgM定常領域、Uniprot:P01871(配列番号95)
GSASAPTLFPLVSCENSPSDTSSVAVGCLAQDFLPDSITLSWKYKNNSDISSTRGFPSVLRGGKYAATSQVLLPSKDVMQGTDEHVVCKVQHPNGNKEKNVPLPVIAELPPKVSVFVPPRDGFFGNPRKSKLICQATGFSPRQIQVSWLREGKQVGSGVTTDQVQAEAKESGPTTYKVTSTLTIKESDWLGQSMFTCRVDHRGLTFQQNASSMCVPDQDTAIRVFAIPPSFASIFLTKSTKLTCLVTDLTTYDSVTISWTRQNGEAVKTHTNISESHPNATFSAVGEASICEDDWNSGERFTCTVTHTDLPSPLKQTISRPKGVALHRPDVYLLPPAREQLNLRESATITCLVTGFSPADVFVQWMQRGQPLSPEKYVTSAPMPEPQAPGRYFAHSILTVSEEEWNTGETYTCVAHEALPNRVTERTVDKSTGKPTLYNVSLVMSDTAGTCY
【0047】
ヒトIgG4定常領域、Uniprot:P01861(配列番号96)
ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPSCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK
【0048】
ヒトIgA1定常領域、Uniprot:P01876(配列番号97)
ASPTSPKVFPLSLCSTQPDGNVVIACLVQGFFPQEPLSVTWSESGQGVTARNFPPSQDASGDLYTTSSQLTLPATQCLAGKSVTCHVKHYTNPSQDVTVPCPVPSTPPTPSPSTPPTPSPSCCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGVTFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAEPWNHGKTFTCTAAYPESKTPLTATLSKSGNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRLAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY
【0049】
ヒトIgA2定常領域、Uniprot:P01877(配列番号98)
ASPTSPKVFPLSLDSTPQDGNVVVACLVQGFFPQEPLSVTWSESGQNVTARNFPPSQDASGDLYTTSSQLTLPATQCPDGKSVTCHVKHYTNPSQDVTVPCPVPPPPPCCHPRLSLHRPALEDLLLGSEANLTCTLTGLRDASGATFTWTPSSGKSAVQGPPERDLCGCYSVSSVLPGCAQPWNHGETFTCTAAHPELKTPLTANITKSGNTFRPEVHLLPPPSEELALNELVTLTCLARGFSPKDVLVRWLQGSQELPREKYLTWASRQEPSQGTTTFAVTSILRVAAEDWKKGDTFSCMVGHEALPLAFTQKTIDRMAGKPTHVNVSVVMAEVDGTCY
ヒトIgカッパ定常領域、Uniprot:P01834(配列番号99)
TVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
【0050】
一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、配列番号91~98と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一である重鎖定常領域を含む。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、配列番号99と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%同一である軽鎖定常領域を含む。一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、レプチン受容体のCRH2ドメインに結合する。一部の実施形態において、エピトープは立体構造的エピトープである。
別の態様において、本開示は、配列番号2、配列番号12、配列番号22、配列番号32、配列番号42、配列番号52、配列番号62、配列番号72、配列番号82を含むVHアミノ酸配列、または1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するその変種を含む、単離された免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)を提供する。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、配列番号7、配列番号17、配列番号27、配列番号37、配列番号47、配列番号57、配列番号67、配列番号77、配列番号87を含むVLアミノ酸配列、または1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するその変種を含む。
【0051】
一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、それぞれ、配列番号2および配列番号7(S1scAb06);配列番号12および配列番号17(S1scAb11);配列番号22および配列番号27(S2H1);配列番号32および配列番号37(S2H2);配列番号42および配列番号47(S2H3);配列番号52および配列番号57(S2H4);配列番号62および配列番号67(S2H5);配列番号72および配列番号77(S2H6);配列番号82および配列番号87(S2H7)からなる群から選択されるVHアミノ酸配列およびVLアミノ酸配列を含む。
免疫グロブリン関連組成物の上の実施形態のいずれかにおいて、重鎖(HC)および軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列は、レプチン受容体のCRH2ドメインに結合する抗原結合部位を形成する。一部の実施形態において、エピトープは立体構造的エピトープである。
一部の実施形態において、HCおよびLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は、同じポリペプチド鎖の構成要素である。他の実施形態において、HCおよびLC免疫グロブリン可変ドメイン配列は、異なるポリペプチド鎖の構成要素である。ある特定の実施形態において、抗体は全長抗体である。
【0052】
一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、少なくとも1種のレプチン受容体ポリペプチドに特異的に結合する。一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、約10-3M、10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12Mの解離定数(KD)を有して、少なくとも1種のレプチン受容体ポリペプチドに結合する。ある特定の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または二重特異性抗体である。一部の実施形態において、抗体は、ヒト抗体フレームワーク領域を含む。
ある特定の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物は、以下の特徴:(a)配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、もしくは87のうちのいずれか1つに存在する軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または(b)配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、もしくは82のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列、のうちの1つまたは複数を含む。別の態様において、本明細書において提供される免疫グロブリン関連組成物における1つまたは複数のアミノ酸残基は、別のアミノ酸で置換される。置換は、本明細書に規定される「保存的置換」であり得る。
【0053】
一部の態様において、本明細書に記載される抗レプチン受容体免疫グロブリン関連組成物は、迅速な結合および細胞取り込みならびに/またはゆっくりとした放出を促す構造的改変を含有する。一部の態様において、本技術の抗レプチン受容体免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗体)は、迅速な結合および細胞取り込みならびに/またはゆっくりとした放出を促す、CH2定常重鎖領域における欠失を含有し得る。一部の態様において、Fabフラグメントを使用して、迅速な結合および細胞取り込みならびに/またはゆっくりとした放出を促す。一部の態様において、F(ab)’2フラグメントを使用して、迅速な結合および細胞取り込みならびに/またはゆっくりとした放出を促す。
1つの態様において、本技術は、本明細書に記載される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードする核酸配列を提供する。一部の実施形態において、核酸配列は、配列番号1、6、11、16、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、81、および86からなる群から選択される。
【0054】
別の態様において、本技術は、本明細書に記載される免疫グロブリン関連組成物のいずれかをコードする任意の核酸配列を発現する宿主細胞または発現ベクターを提供する。
本技術の免疫グロブリン関連組成物(例えば、抗レプチン受容体抗体)は、単一特異性、二重特異性、三重特異性、またはそれを上回る多重特異性であり得る。多重特異性抗体は、1種もしくは複数のレプチン受容体ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であり得る、またはレプチン受容体ポリペプチド、ならびに異種ポリペプチドもしくは固体支持体材料等の異種組成物の両方に特異的であり得る。例えば、国際公開第93/17715号;国際公開第92/08802号;国際公開第91/00360号;国際公開第92/05793号;Tutt et al., J. Immunol. 147: 60-69 (1991);米国特許第5,573,920号、第4,474,893号、第5,601,819号、第4,714,681号、第4,925,648号;第6,106,835号;Kostelny et al., J. Immunol. 148: 1547-1553 (1992)を参照されたい。一部の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物はキメラである。ある特定の実施形態において、免疫グロブリン関連組成物はヒト化である。
【0055】
本技術の免疫グロブリン関連組成物は、さらに、NもしくはC末端で異種ポリペプチドに組み換えで融合され得る、またはポリペプチドもしくは他の組成物に化学的にコンジュゲートされ得る(共有結合性および非共有結合性コンジュゲーションを含む)。例えば、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、検出アッセイにおける標識として有用な分子に、および異種ポリペプチド、薬物、または毒素等のエフェクター分子に組み換えで融合され得るまたはコンジュゲートされ得る。例えば、国際公開第92/08495号;国際公開第91/14438号;国際公開第89/12624号;米国特許第5,314,995号;および欧州特許第0 396 387号を参照されたい。
本技術の免疫グロブリン関連組成物についての上の実施形態のいずれかにおいて、抗体または抗原結合フラグメントは、同位体、色素、色原体(chromagen)、造影剤、薬物、毒素、サイトカイン、酵素、酵素阻害剤、ホルモン、ホルモンアンタゴニスト、成長因子、放射性核種、金属、リポソーム、ナノ粒子、RNA、DNA、またはその任意の組み合わせからなる群から選択される作用物質に任意にコンジュゲートされ得る。化学的結合または物理的結合に関して、免疫グロブリン関連組成物上の官能基は、典型的に、作用物質上の官能基と結び付く。代替的に、作用物質上の官能基は、免疫グロブリン関連組成物上の官能基と結び付く。
【0056】
作用物質および免疫グロブリン関連組成物上の官能基は、直接結び付き得る。例えば、作用物質上の官能基(例えば、スルフヒドリル基)は、免疫グロブリン関連組成物上の官能基(例えば、スルフヒドリル基)と結び付いて、ジスルフィドを形成し得る。代替的に、官能基は、架橋剤(すなわち、リンカー)を通じて結び付き得る。架橋剤の一部の例が下に記載される。架橋剤は、作用物質または免疫グロブリン関連組成物のいずれかに付着され得る。コンジュゲートにおける作用物質または免疫グロブリン関連組成物の数は、他方に存在する官能基の数によっても限定される。例えば、コンジュゲートと結び付いた作用物質の最大数は、免疫グロブリン関連組成物に存在する官能基の数に依存する。代替的に、作用物質と結び付いた免疫グロブリン関連組成物の最大数は、作用物質に存在する官能基の数に依存する。
さらに別の実施形態において、コンジュゲートは、1種の作用物質と結び付いた1種の免疫グロブリン関連組成物を含む。1つの実施形態において、コンジュゲートは、少なくとも1種の免疫グロブリン関連組成物に化学的に結合した(例えば、コンジュゲートした)少なくとも1種の作用物質を含む。作用物質は、当業者に公知の任意の方法によって、免疫グロブリン関連組成物に化学的に結合され得る。例えば、作用物質上の官能基は、免疫グロブリン関連組成物上の官能基に直接付着され得る。適切な官能基の一部の例には、例えばアミノ、カルボキシル、スルフヒドリル、マレイミド、イソシアネート、イソチオシアネート、およびヒドロキシルが含まれる。
【0057】
作用物質は、ジアルデヒド、カルボジイミド、ジマレイミド等の架橋剤によっても免疫グロブリン関連組成物に化学的に結合され得る。架橋剤は、例えばPierce Biotechnology,Inc.、Rockford、Illから獲得され得る。Pierce Biotechnology,Inc.ウェブサイトは、支援を提供し得る。付加的な架橋剤には、Kreatech Biotechnology,B.V.、Amsterdam、The Netherlandの米国特許第5,580,990号;第5,985,566号;および第6,133,038号に記載される白金架橋剤が含まれる。
代替的に、作用物質および免疫グロブリン関連組成物上の官能基は同じであり得る。同一の官能基を架橋するために、ホモ二官能性架橋剤が典型的には使用される。ホモ二官能性架橋剤の例には、EGS(すなわち、エチレングリコールビス[スクシンイミジルスクシナート])、DSS(すなわち、スベリン酸ジスクシンイミジル)、DMA(すなわち、アジプイミド酸ジメチル2HCl)、DTSSP(すなわち、3,3’-ジチオビス[プロピオン酸スルホスクシンイミジル]))、DPDPB(すなわち、1,4-ジ-[3’-(2’-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ブタン)、およびBMH(すなわち、ビス-マレイミドヘキサン)が含まれる。そのようなホモ二官能性架橋剤は、Pierce Biotechnology,Inc.からも入手可能である。
【0058】
他の場合には、免疫グロブリン関連組成物から作用物質を切断することが有益であり得る。上で記載されるPierce Biotechnology,Inc.のウェブサイトは、例えば細胞内で酵素によって切断され得る適切な架橋剤を選定することにおける、当業者への支援も提供し得る。ゆえに、作用物質は、免疫グロブリン関連組成物から分離され得る。切断可能なリンカーの例には、SMPT(すなわち、4-スクシンイミジルオキシカルボニル-メチル-a-[2-ピリジルジチオ]トルエン)、スルホ-LC-SPDP(すなわち、スルホスクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、LC-SPDP(すなわち、スクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、スルホ-LC-SPDP(すなわち、スルホスクシンイミジル6-(3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミド)ヘキサノエート)、SPDP(すなわち、N-スクシンイミジル3-[2-ピリジルジチオ]-プロピオンアミドヘキサノエート)、およびAEDP(すなわち、3-[(2-アミノエチル)ジチオ]プロピオン酸HCl)が含まれる。
【0059】
別の実施形態において、コンジュゲートは、少なくとも1種の免疫グロブリン関連組成物と物理的に結合された少なくとも1種の作用物質を含む。当業者に公知の任意の方法を採用して、作用物質と免疫グロブリン関連組成物とを物理的に結合させ得る。例えば、免疫グロブリン関連組成物および作用物質は、当業者に公知の任意の方法によって一緒に混合され得る。混合の順序は重要ではない。例えば、作用物質は、当業者に公知の任意の方法によって免疫グロブリン関連組成物と物理的に混合され得る。例えば、免疫グロブリン関連組成物および作用物質を容器に入れ、例えば容器を振とうすることによって撹拌して、免疫グロブリン関連組成物と作用物質とを混合し得る。
免疫グロブリン関連組成物は、当業者に公知の任意の方法によって改変され得る。例えば、免疫グロブリン関連組成物は、上で記載される架橋剤または官能基によって改変され得る。
【0060】
製剤化
例として、本技術の抗レプチン受容体抗体は、単純な送達ビヒクル中に製剤化される。しかしながら、本技術の抗レプチン受容体抗体は凍結乾燥され得る、またはゲル、クリーム、生体材料、持続放出送達ビヒクル中に組み入れられ得る。
本技術の抗レプチン受容体抗体は、概して、薬学的に許容される担体と組み合わせられる。「薬学的に許容される担体」という用語は、組成物を受ける個体に対して有害な抗体の産生をそれ自体は誘導せず、過度の毒性なしで投与され得る、任意の薬学的担体を指す。適切な担体は、タンパク質、多糖、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、およびアミノ酸共重合体等、大きなゆっくりと代謝される高分子であり得る。そのような担体は当業者に周知である。治療用組成物における薬学的に許容される担体には、水、生理食塩水、グリセロール、およびエタノール等の液体が含まれ得る。湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質等の補助物質も、そのようなビヒクル中に存在し得る。薬学的に許容される塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩;および酢酸塩、プロピオン酸塩、マロン酸塩、安息香酸塩等の有機酸の塩も、薬学的組成物に存在し得る。
【0061】
本技術の抗レプチン受容体抗体は、包帯の形態で提供され得る。つまり、本技術の抗レプチン受容体抗体は、皮膚表面への直接の適用のための液体、半固体、もしくは固体組成物の形態で提供される、または組成物は、包帯ガーゼもしくはフィルム等の固形皮膚接触層の表面に適用されるもしくはその中に組み入れられる。包帯組成物は、流体またはゲルの形態で提供され得る。本技術の抗レプチン受容体抗体は、創傷への局所適用のために、従来の薬学的賦形剤との組み合わせで提供され得る。適切な担体には、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびその混合物を含めたセルロース誘導体を含有するヒドロゲル;ならびに、ポリアクリル酸を含有するヒドロゲル(カーボポール)が含まれる。適切な担体には、局所用薬学的調製物に使用されるクリーム/軟膏、例えばセトマクロゴール乳化軟膏をベースにしたクリームも含まれる。上記の担体には、アルギネート(増粘剤または刺激剤としての)、ベンジルアルコール等の防腐剤、リン酸水素二ナトリウム/リン酸二水素ナトリウム等のpHを制御する緩衝剤、塩化ナトリウム等の浸透圧を調整する作用物質、およびEDTA等の安定剤が含まれ得る。
一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームとして製剤化される。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、注射物質として製剤化される。
【0062】
投与の様態および有効投薬量
細胞、臓器、または組織と免疫グロブリン関連組成物とを接触させるための、当業者に公知の任意の方法が採用され得る。適切な方法には、インビトロ、エクスビボ、またはインビボ方法が含まれる。インビボ方法は、典型的に、哺乳類、適切にはヒトへの、上で記載されるもの等の本技術の抗レプチン受容体抗体の投与を含む。療法のためにインビボで使用される場合、本技術の抗レプチン受容体抗体は、有効量(すなわち、所望の治療効果を有する量)で対象に投与される。用量および投薬量レジメンは、対象における疾患症状の程度、使用される本技術の特定の抗レプチン受容体抗体の特徴、例えばその治療指数、対象、および対象の病歴に依存するであろう。
有効量は、内科医および臨床医によく知られる方法によって前臨床試験および臨床試験の間に判定され得る。方法において有用な免疫グロブリン関連組成物の有効量は、薬学的組成物を投与するためのいくつかの周知の方法のいずれかによって、それを必要とする哺乳類に投与され得る。免疫グロブリン関連組成物は、全身的にまたは局部的に投与され得る。
本明細書に記載される本技術の抗レプチン受容体抗体は、本明細書に記載される疾患の治療または阻止のために、対象への単独でのまたは組み合わせでの投与のための薬学的組成物に組み入れられ得る。そのような組成物は、典型的に、活性剤および薬学的に許容される担体を含む。本明細書において使用するとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、薬学的投与と適合する、生理食塩水、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等を含む。補足的活性化合物も組成物に組み入れられ得る。
【0063】
薬学的組成物は、典型的に、投与のその意図される経路と適合するように製剤化される。投与の経路の例には、非経口(例えば、静脈内、皮内、腹腔内、または皮下)、経口、吸入、経皮(局所的)、眼内、イオントフォレシスでの、および経粘膜的投与が含まれる。非経口、皮内、または皮下適用に使用される溶液または懸濁液は、以下の構成要素:注射用水、生理食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒等、無菌の希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベン等の抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化物質;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;アセテート、シトレート、またはホスフェート等の緩衝剤;および塩化ナトリウムまたはデキストロース等、張度の調整のための作用物質、を含み得る。pHは、塩酸または水酸化ナトリウム等、酸または塩基を用いて調整され得る。非経口調製物は、アンプル、使い捨て可能な注射器、またはガラスもしくはプラスチックで作られた複数回用量バイアルに封入され得る。患者または治療医の便宜上、投薬製剤は、治療コース(例えば、7日間の治療)のためのすべての必要な備品(例えば、薬物のバイアル、希釈剤のバイアル、注射器、および針)を含有するキットで提供され得る。
【0064】
一部の実施形態において、本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントは、非経口経路によって投与される。一部の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、局所的経路によって投与される。
注射用の使用に適した薬学的組成物には、無菌の水溶液(水溶性の場合)または分散体、および無菌の注射用の溶液または分散体の即時調製のための無菌の粉末が含まれ得る。静脈内投与に関して、適切な担体には、生理学的食塩水、静菌水(bacteriostatic water)、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。すべての場合において、非経口投与のための組成物は無菌でなければならず、易注射器能(syringability)が存在する程度に流動性であるべきである。それは、製造および保管の条件下で安定であるべきであり、細菌および真菌等の微生物の汚染作用から守られなければならない。
【0065】
本明細書に記載される免疫グロブリン関連組成物は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール等)、およびその適切な混合物を含有する溶媒または分散媒であり得る担体を含み得る。適正な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散体の場合には要される粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の阻止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール(thiomerasol)等によって達成され得る。酸化を阻止するために、グルタチオンおよび他の抗酸化物質が含まれ得る。多くの場合、等張剤、例えば糖類、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコール、または塩化ナトリウムが組成物に含まれる。注射用組成物の長期吸入は、吸入を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを組成物に含めることによってもたらされ得る。
無菌の注射用溶液は、必要に応じて、上で列挙される成分の1つまたは組み合わせとともに、適当な溶媒に必要量の活性化合物を組み入れ、その後に濾過滅菌が続くことによって調製され得る。一般的に、分散体は、基本的分散媒および上で列挙されるものからの要される他の成分を含有する無菌のビヒクルに活性化合物を組み入れることによって調製される。無菌の注射用溶液の調製のための無菌の粉末の場合、調製の典型的方法は、真空乾燥およびフリーズドライを含み、それは、活性成分と、それに加えて以前に滅菌濾過されたその溶液からの任意の付加的な所望の成分との粉末を産出し得る。
【0066】
経口組成物は、一般的に、不活性希釈剤または食用担体を含む。経口の治療的投与の目的上、活性化合物は、賦形剤とともに組み入れられ得、錠剤、トローチ、またはカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態で使用され得る。経口組成物は、洗口液としての使用のために、流体担体を使用しても調製され得る。薬学的に適合する結合剤および/またはアジュバント材料が、組成物の一部として含まれ得る。錠剤、丸薬、カプセル、トローチ等は、以下の成分、または同様の性質の化合物:微結晶セルロース、トラガカントゴム、もしくはゼラチン等のバインダー;デンプンもしくはラクトース等の賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、もしくはトウモロコシデンプン等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterote)等の潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素等の滑剤;スクロースもしくはサッカリン等の甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジ香味料等の香味剤、のうちのいずれかを含有し得る。
吸入による投与に関して、本技術の免疫グロブリン関連組成物は、適切な推進剤、例えば二酸化炭素等の気体を含有する加圧容器もしくはディスペンサー、または噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で送達され得る。そのような方法には、米国特許第6,468,798号に記載されるものが含まれる。
【0067】
本明細書に記載される本技術の免疫グロブリン関連組成物の全身投与は、経粘膜的または経皮的手段によるものでもあり得る。経粘膜的または経皮的投与に関しては、透過されるべき障壁に適当な浸透剤が、製剤において使用される。そのような浸透剤は当技術分野において一般的に公知であり、例えば、経粘膜的投与に関しては洗浄剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体を含む。経粘膜的投与は、経鼻スプレーの使用により遂行され得る。経皮的投与に関して、活性化合物は、当技術分野において一般的に公知のように、軟膏、膏薬、ゲル、またはクリームに製剤化される。1つの実施形態において、経皮的投与は、イオントフォレシスによって実施され得る。
本技術の免疫グロブリン関連組成物は、担体系の中に製剤化され得る。担体はコロイド系であり得る。コロイド系は、リポソーム、リン脂質二重層ビヒクルであり得る。1つの実施形態において、治療用免疫グロブリン関連組成物は、構造的完全性を維持しながら、リポソーム内に被包される。当業者であれば解するであろうように、リポソームを調製する多様な方法がある。(Lichtenberg et al., Methods Biochem. Anal., 33:337-462 (1988);Anselem et al., Liposome Technology, CRC Press (1993)を参照されたい)。リポソーム製剤は、クリアランスを遅延させ得、細胞取り込みを増加させ得る(Reddy, Ann. Pharmacother., 34(7-8):915-923 (2000)を参照されたい)。活性剤は、可溶性、不溶性、透過性、非透過性、生分解性、または胃保持性(gastroretentive)のポリマーまたはリポソームを含むがそれらに限定されない薬学的に許容される成分から調製された粒子内にも積み込まれ得る。そのような粒子には、ナノ粒子、生分解性ナノ粒子、微粒子、生分解性微粒子、ナノスフェア、生分解性ナノスフェア、ミクロスフェア、生分解性ミクロスフェア、カプセル、エマルジョン、リポソーム、ミセル、およびウイルスベクターシステムが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0068】
担体は、ポリマー、例えば生分解性の生体適合性ポリマーマトリックスでもあり得る。1つの実施形態において、本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントは、タンパク質完全性を維持しながら、ポリマーマトリックス内に埋め込まれ得る。ポリマーは、ポリペプチド、タンパク質、もしくは多糖等の天然、またはポリα-ヒドロキシ酸等の合成であり得る。例には、例えばコラーゲン、フィブロネクチン、エラスチン、酢酸セルロース、硝酸セルロース、多糖、フィブリン、ゼラチン、およびその組み合わせで作られた担体が含まれる。1つの実施形態において、ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)またはコポリ乳酸/グリコール酸(PGLA)である。ポリマーマトリックスは、ミクロスフェアおよびナノスフェアを含めた多様な形態およびサイズで調製され得および単離され得る。ポリマー製剤は、治療効果の長期の継続期間につながり得る。(Reddy, Ann. Pharmacother., 34(7-8):915-923 (2000)を参照されたい)。ヒト成長ホルモン(hGH)に対するポリマー製剤が、臨床試験において使用されている。(Kozarich and Rich, Chemical Biology, 2:548-552 (1998)を参照されたい)。
【0069】
ポリマーミクロスフェア持続放出製剤の例は、PCT国際公開第99/15154号(Tracyら)、米国特許第5,674,534号および第5,716,644号(両方ともZaleらに対する)、PCT国際公開第96/40073号(Zaleら)、ならびにPCT国際公開第00/38651号(Shahら)に記載される。米国特許第5,674,534号および第5,716,644号、ならびにPCT国際公開第96/40073号は、塩との凝集に対して安定化されている、エリスロポエチンの粒子を含有するポリマーマトリックスを記載している。
一部の実施形態において、本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントは、埋め込み物およびマイクロカプセル化送達システムを含めた制御放出製剤等、本体からの急速な排除から抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントを保護するであろう担体とともに調製される。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸等、生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得る。そのような製剤は、公知の技法を使用して調製され得る。材料は、商業的に、例えばAlza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.からも獲得され得る。リポソーム懸濁液(細胞特異的抗原に対するモノクローナル抗体を用いて特異的細胞に標的化されたリポソームを含む)も、薬学的に許容される担体として使用され得る。これらは、例えば米国特許第4,522,811号に記載される、当業者に公知の方法に従って調製され得る。
【0070】
本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントは、細胞内送達を増強するようにも製剤化され得る。例えば、リポソーム送達システムは当技術分野において公知であり、例えばChonn and Cullis, “Recent Advances in Liposome Drug Delivery Systems,” Current Opinion in Biotechnology 6:698-708 (1995);Weiner, “Liposomes for Protein Delivery: Selecting Manufacture and Development Processes,” Immunomethods, 4(3):201-9 (1994);およびGregoriadis, “Engineering Liposomes for Drug Delivery: Progress and Problems,” Trends Biotechnol., 13(12):527-37 (1995)を参照されたい。Mizguchi et al., Cancer Lett., 100:63-69 (1996)は、インビボおよびインビトロの両方において細胞にタンパク質を送達するための融合性リポソームの使用を記載している。
【0071】
本技術の抗レプチン受容体抗体の投薬量、毒性、および治療効力は、例えばLD50(集団の50%に対して致死の用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を判定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって判定され得る。毒性効果と治療効果との間の用量比は治療指数であり、それはLD50/ED50比として表現され得る。一部の実施形態において、本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントは、高い治療指数を呈する。有毒な副作用を呈する本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントが使用され得るものの、罹患組織の部位にそのような化合物を標的化して、非感染細胞への潜在的損傷を最小限に抑え、それによって副作用を低下させる送達システムを設計するように注意するべきである。
細胞培養アッセイおよび動物調査から獲得されたデータは、ヒトにおける使用のための投薬量の値域を策定する際に使用され得る。そのような化合物の投薬量は、ほとんどまたは全く毒性を有しない、ED50を含む循環濃度の値域内にある。投薬量は、採用される剤形および利用される投与の経路に応じて、この値域内で変わり得る。方法において使用される本技術の任意の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントに関して、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定され得る。用量は、細胞培養において判定されるIC50(すなわち、症状の最大半値(half-maximal)阻害を達成する、試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度域を達成するように、動物モデルにおいて策定され得る。そのような情報を使用して、ヒトにおける有用な用量をより正確に判定し得る。血漿におけるレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーによって測定され得る。
【0072】
典型的に、治療効果または予防効果を達成するのに十分な、本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントの有効量は、約0.000001mg/キログラム体重/日~約10,000mg/キログラム体重/日に及ぶ。適切には、投薬量域は、約0.0001mg/キログラム体重/日~約100mg/キログラム体重/日である。例えば、投薬量は、毎日、2日ごとに、もしくは3日ごとに1mg/kg体重もしくは10mg/kg体重であり得る、または毎週、2週間ごとに、もしくは3週間ごとに1~10mg/kgの値域内にあり得る。1つの実施形態において、免疫グロブリン関連組成物の単回投薬量は、0.001~10,000マイクログラム/kg体重に及ぶ。1つの実施形態において、担体中の本技術の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント濃度は、送達されるミリリットルあたり0.2~2000マイクログラムに及ぶ。例示的な治療レジームは、1日に1回または1週間に1回の投与を伴う。治療的適用において、疾患の進行が低下するまたは終結するまで、および対象が疾患の症状の部分的または完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投薬量が要されることもある。その後、患者は、予防的レジームを投与され得る。
【0073】
一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物の治療有効量は、10-12~10-6モル濃度、例えばおよそ10-7モル濃度の、標的組織における免疫グロブリン関連組成物の濃度として規定され得る。この濃度は、0.001~100mg/kgの全身用量、または体表面積による等価用量によって送達され得る。投薬のスケジュールは、標的組織において治療的濃度を維持するように最適化されるであろう。一部の実施形態において、投薬は、毎日または毎週1回の投与によって投与されるが、継続的投与(例えば、非経口注入または経皮的適用)も含み得る。一部の実施形態において、本技術の免疫グロブリン関連組成物の投薬量は、「低い」、「中間の」、または「高い」用量レベルで提供される。1つの実施形態において、低い用量は、約0.0001~約0.5mg/kg/時間、適切には約0.001~約0.1mg/kg/時間で提供される。1つの実施形態において、中間の用量は、約0.01~約1.0mg/kg/時間、適切には約0.01~約0.5mg/kg/時間で提供される。1つの実施形態において、高い用量は、約0.5~約10mg/kg/時間、適切には約0.5~約2mg/kg/時間で提供される。
【0074】
例えば、治療有効量は、体重の増加、食物摂取量の増加、血中グルコースレベルの増加、インスリンレベルの減少、耐糖能の減少等を含めた、肥満、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症の1つまたは複数の症状を部分的にまたは完全に緩和し得る。
当業者であれば、疾患もしくは障害の重症度、以前の治療、対象の全般的健康状態および/または年齢、ならびに存在する他の疾患を含むがそれらに限定されないある特定の因子が、対象を有効に治療するために要される投薬量およびタイミングに影響し得ることを解するであろう。さらに、本明細書に記載される治療用組成物の治療有効量を用いた対象の治療には、単一の治療または一連の治療が含まれ得る。
本方法に従って治療される哺乳類は、例えば、ヒツジ、ブタ、ウシ、およびウマ等の家畜;イヌおよびネコ等の愛玩動物;ラット、マウス、およびウサギ等の実験室動物を含めた、任意の哺乳類であり得る。一部の実施形態において、哺乳類はヒトである。
【0075】
本技術の抗レプチン受容体抗体の使用
概略。本技術の抗レプチン受容体抗体は、レプチン受容体タンパク質またはその変異体の局在および/または定量に関する当技術分野において公知の方法(例えば、適当な生理学的サンプル中のレプチン受容体のレベルを測定することにおける使用のための、診断法における使用のための、ポリペプチドを撮像することにおける使用のための、等)において有用である。本技術の抗レプチン受容体抗体は、親和性クロマトグラフィーまたは免疫沈降等の標準的技法によってレプチン受容体を単離するために有用である。本技術の抗レプチン受容体抗体は、生物学的サンプル、例えば哺乳類の血清または細胞由来の天然の免疫反応性レプチン受容体、ならびに宿主システムにおいて発現される組み換えで産生された免疫反応性レプチン受容体の精製を容易にし得る。さらに、本技術の抗レプチン受容体抗体を使用して、免疫反応性レプチン受容体を検出して(例えば、血漿、細胞溶解物、または細胞上清における)、免疫反応性ポリペプチドの存在量および発現のパターンを評価し得る。本技術の抗レプチン受容体抗体を診断的に使用して、臨床検査手順の一部として、組織における免疫反応性レプチン受容体レベルをモニターし得る、例えば所与の治療レジメンの効力を判定し得る。上述のように、検出は、本技術の抗レプチン受容体抗体を検出可能な物質にカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによって容易になり得る。
【0076】
レプチン受容体の検出。生物学的サンプルにおける免疫反応性レプチン受容体の存在または非存在を検出するための例示的な方法は、試験対象から生物学的サンプルを獲得する工程、および生物学的サンプルと、免疫反応性レプチン受容体を検出し得る本技術の抗レプチン受容体抗体とを接触させ、それにより免疫反応性レプチン受容体の存在が生物学的サンプルにおいて検出される工程を伴う。検出は、抗体に付着した検出可能な標識によって遂行され得る。
本技術の抗レプチン受容体抗体に関する「標識された」という用語は、検出可能な物質を抗体にカップリングする(すなわち、物理的に連結する)ことによる抗体の直接的標識化、ならびに二次抗体等の直接標識される別の化合物との反応性による抗体の間接的標識化を包含することが意図される。間接的標識化の例には、蛍光標識二次抗体を使用した一次抗体の検出、およびそれが蛍光標識ストレプトアビジンを用いて検出され得るような、ビオチンを用いたDNAプローブの末端標識化が含まれる。
一部の実施形態において、本明細書に開示される本技術の抗レプチン受容体抗体は、1種または複数の検出可能な標識にコンジュゲートされる。そのような使用のために、本技術の抗レプチン受容体抗体は、発色性、酵素的、放射性同位体による、同位体による、蛍光性、毒素による、化学発光性の標識、核磁気共鳴造影剤、または他の標識の共有結合性または非共有結合性付着によって検出可能に標識され得る。
【0077】
適切な発色標識の例には、ジアミノベンジジンおよび4-ヒドロキシアゾ-ベンゼン-2-カルボン酸が含まれる。適切な酵素標識の例には、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、スタフィロコッカス(staphylococcal)ヌクレアーゼ、Δ-5-ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコールデヒドロゲナーゼ、α-グリセロールリン酸デヒドロゲナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが含まれる。
適切な放射性同位体標識の例には、3H、111In、125I、131I、32P、35S、14C、51Cr、57To、58Co、59Fe、75Se、152Eu、90Y、67Cu、217Ci、211At、212Pb、47Sc、109Pd等が含まれる。111Inは、それが、125Iまたは131I標識されたレプチン受容体タンパク質結合抗体の肝臓による脱ハロゲン化の問題を回避することから、インビボ撮像が使用される例示的な同位体である。加えて、この同位体は、撮像のためのより好ましいガンマ放射エネルギーを有する(Perkins et al, Eur. J. Nucl. Med. 70:296-301 (1985);Carasquillo et al., J. Nucl. Med. 25:281-287 (1987))。例えば、1-(P-イソチオシアナトベンジル)-DPTAを有するモノクローナル抗体にカップリングした111Inは、非腫瘍性組織、特に肝臓における取り込みをほとんど呈さず、腫瘍局在の特異性を増強する(Esteban et al., J. Nucl. Med. 28:861-870 (1987))。適切な非放射性同位体標識の例には、157Gd、55Mn、162Dy、52Tr、および56Feが含まれる。
【0078】
適切な蛍光標識の例には、152Eu標識、フルオレセイン標識、イソチオシアネート標識、ローダミン標識、フィコエリトリン標識、フィコシアニン標識、アロフィコシアニン標識、緑色蛍光タンパク質(GFP)標識、o-フタルアルデヒド(phthaldehyde)標識、およびフルオレスカミン標識が含まれる。適切な毒素標識の例には、ジフテリア毒素、リシン、およびコレラ毒素が含まれる。
化学発光標識の例には、ルミノール標識、イソルミノール標識、芳香族アクリジニウムエステル標識、イミダゾール標識、アクリジニウム塩標識、シュウ酸エステル標識、ルシフェリン標識、ルシフェラーゼ標識、およびエクオリン標識が含まれる。核磁気共鳴造影剤の例には、Gd、Mn、および鉄等の重金属原子核が含まれる。
本技術の検出法を使用して、インビトロならびにインビボにおいて、生物学的サンプルにおける免疫反応性レプチン受容体を検出し得る。免疫反応性レプチン受容体の検出のためのインビトロ技法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降、ラジオイムノアッセイ、および免疫蛍光が含まれる。さらに、免疫反応性レプチン受容体の検出のためのインビボ技法には、標識された抗レプチン受容体抗体を対象に導入することが含まれる。例えば、本技術の抗レプチン受容体抗体は、対象における存在および位置が標準的撮像技法によって検出され得る放射性マーカーで標識され得る。1つの実施形態において、生物学的サンプルは、試験対象由来のレプチン受容体分子を含有する。
【0079】
免疫学的アッセイおよび撮像。抗体をベースにした技法を使用し、本技術の抗レプチン受容体抗体を使用して、生物学的サンプル(例えば、ヒト血漿)における免疫反応性レプチン受容体レベルをアッセイし得る。例えば、組織におけるタンパク質発現は、古典的な免疫組織学的方法を用いて調査され得る。Jalkanen, M. et al., J. Cell. Biol. 101: 976-985, 1985;Jalkanen, M. et al., J. Cell. Biol. 105: 3087-3096, 1987。タンパク質遺伝子発現を検出するのに有用な他の抗体をベースにした方法には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)等の免疫学的アッセイが含まれる。適切な抗体アッセイ標識は当技術分野において公知であり、グルコースオキシダーゼ等の酵素標識、ならびにヨウ素(125I、121I、131I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc)等の放射性同位体または他の放射性作用物質、ならびにフルオレセイン、ローダミン、および緑色蛍光タンパク質(GFP)等の蛍光標識、ならびにビオチンを含む。
【0080】
生物学的サンプルにおける免疫反応性レプチン受容体レベルをアッセイすることに加えて、本技術の抗レプチン受容体抗体は、レプチン受容体をインビボ撮像するために使用され得る。この方法に有用な抗体には、X線ラジオグラフィー、NMR、またはESRによって検出可能なものが含まれる。X線ラジオグラフィーに関して、適切な標識には、検出可能な放射線を発するが対象にとってあからさまには有害でない、バリウムまたはセシウム等の放射性同位体が含まれる。NMRおよびESRに対する適切なマーカーには、関連するscFvクローンに対する栄養素の標識化によって本技術の抗レプチン受容体抗体に組み入れられ得る、デューテリウム等の検出可能な特徴的スピンを有するものが含まれる。
放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc)、放射線不透過性物質、または核磁気共鳴によって検出可能な材料等の適当な検出可能な撮像部分で標識されている本技術の抗レプチン受容体抗体が、対象に(例えば、非経口的に、皮下に、または腹腔内に)導入される。対象のサイズおよび使用される撮像システムが、診断用画像を作り出すために必要とされる撮像部分の分量を決定するであろうことは当技術分野において理解されるであろう。放射性同位体部分の場合、ヒト対象に関して、注射される放射能の分量は、通常、約5~20ミリキュリーの99mTcに及ぶであろう。標識された抗レプチン受容体抗体は、次いで、特異的標識ポリペプチドを含有する細胞の位置に蓄積するであろう。例えば、本技術の標識された抗レプチン受容体抗体は、レプチン受容体が局在している細胞および組織において対象内に蓄積するであろう。
【0081】
ゆえに、本技術は、(a)個体の細胞または体液における本技術の抗レプチン受容体抗体の結合を測定することによって、免疫反応性レプチン受容体の発現をアッセイする工程;(b)サンプルに存在する免疫反応性レプチン受容体の量と標準参照とを比較する工程であって、標準と比較した免疫反応性レプチン受容体レベルの増加または減少は医学的状態を指し示す工程、を伴う、医学的状態の診断法を提供する。
親和性精製。本技術の抗レプチン受容体抗体を使用して、サンプルから免疫反応性レプチン受容体を精製し得る。一部の実施形態において、抗体は固体支持体に固定される。そのような固体支持体の例には、ポリカーボネート等のプラスチック、アガロースおよびセファロース等の複合糖質、ポリアクリルアミドおよびラテックスビーズ等のアクリル樹脂が含まれる。そのような固体支持体に抗体をカップリングするための技法は、当技術分野において周知である(Weir et al., “Handbook of Experimental Immunology” 4th Ed., Blackwell Scientific Publications, Oxford, England, Chapter 10 (1986);Jacoby et al., Meth. Enzym. 34 Academic Press, N.Y. (1974))。
【0082】
抗体-支持マトリックスに抗原を結合させる最も簡単な方法は、カラム内にビーズを収集し、抗原溶液をカラムに通すことである。この方法の効率は、固定された抗体と抗原との間の接触時間に依存し、それは低い流速を使用することによって延長され得る。固定された抗体は、抗原をそれが流れ過ぎるときに捕捉する。代替的に、抗原溶液と支持体(例えば、ビーズ)とを混合し、スラリーを回転させまたは振動させ、抗原と固定された抗体との間の最大接触を可能にすることによって、抗原を抗体-支持マトリックスと接触させ得る。結合反応が完了した後、ビーズの収集のためにスラリーをカラムに通す。適切な洗浄緩衝液を使用してビーズを洗浄し、次いで純粋なまたは実質的に純粋な抗原を溶出する。
関心対象の抗体またはポリペプチドは、ビーズ等の固体支持体にコンジュゲートされ得る。加えて、ビーズ等の第1の固体支持体は、また所望の場合には、支持体へのポリペプチドのコンジュゲーションのための本明細書に開示されるものを含めた任意の適切な手段によって、第2のビーズまたは他の支持体であり得る第2の固体支持体にコンジュゲートされ得る。したがって、固体支持体へのポリペプチドのコンジュゲーションに関して本明細書に開示されるコンジュゲーション方法および手段のいずれかは、第1および第2の固体支持体が同じであり得るまたは異なり得る、第2の支持体への第1の支持体のコンジュゲーションにも適用され得る。
【0083】
固体支持体にポリペプチドをコンジュゲートするための使用のための、架橋剤であり得る適当なリンカーには、支持体の表面に存在する官能基ともしくはポリペプチドとまたはその両方と反応し得る多様な作用物質が含まれる。架橋剤として有用な試薬には、ホモ二官能性、および特にヘテロ二官能性の試薬が含まれる。有用な二官能性架橋剤には、N-SIAB、ジマレイミド、DTNB、N-SATA、N-SPDP、SMCC、および6-HYNICが含まれるが、それらに限定されるわけではない。架橋剤は、ポリペプチドと固体支持体との間の選択的に切断可能な結合を提供するように選択され得る。例えば、3-アミノ-(2-ニトロフェニル)プロピオン酸等の光解離性(photolabile)架橋剤は、固体支持体からポリペプチドを切断するための手段として採用され得る。(Brown et al., Mol. Divers, pp, 4-12 (1995);Rothschild et al., Nucl. Acids Res., 24:351-66 (1996);および米国特許第5,643,722号)。他の架橋試薬は当技術分野において周知である。(例えば、Wong (1991)、上記;およびHermanson (1996)、上記を参照されたい)。
【0084】
抗体またはポリペプチドは、カルボキシル基官能化ビーズとポリペプチドのアミノ末端との間で形成される共有結合性アミド結合を通じて、または逆に、アミノ基官能化ビーズとポリペプチドのカルボキシル末端との間で形成される共有結合性アミド結合を通じて、ビーズ等の固体支持体に固定され得る。加えて、二官能性トリチルリンカーは、アミノ樹脂による樹脂上のアミノ基またはカルボキシル基を通じて、支持体に、例えばワング樹脂等の樹脂上の4-ニトロフェニル活性エステルに付着され得る。二官能性トリチル手法を使用すると、固体支持体は、ポリペプチドが切断されかつ取り外され得ることを確実にするために、ギ酸またはトリフルオロ酢酸等の揮発性酸を用いた処理を要し得る。そのような場合、ポリペプチドは、固体支持体のウェルの底にまたは固体支持体の平面に、ビーズレスの(beadless)斑点として堆積し得る。マトリックス溶液の添加後、ポリペプチドはMSに脱着され得る。
【0085】
ポリペプチドからアミノ連結トリチル基を切断するために揮発性酸または適当なマトリックス溶液、例えば3-HPAを含有するマトリックス溶液を使用することによって、疎水性トリチルリンカーも酸不安定性リンカーとして利用され得る。酸不安定性は変化もし得る。例えば、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、またはトリメトキシトリチルは、ポリペプチドの適当なp-置換されたまたはより酸不安定性のトリチルアミン誘導体に変化し得る、すなわちトリチルエーテルおよびトリチルアミン結合がポリペプチドに作製され得る。したがって、ポリペプチドは、例えば疎水性引力を分断することによって、または所望の場合には、3-HPA等のマトリックスが酸として作用する典型的なMS条件下を含めた酸性条件下でトリチルエーテルもしくはトリチルアミン結合を切断することによって、疎水性リンカーから取り外され得る。
第1の固体支持体、例えばビーズを、第2の固体支持体に結合させるために、または関心対象のポリペプチドを固体支持体に結合させるために、直角に切断可能なリンカーも有用であり得る。そのようなリンカーを使用すると、支持体からポリペプチドを切断することなく、第1の固体支持体、例えばビーズは、第2の固体支持体から選択的に切断され得;次いで、ポリペプチドはその後にビーズから切断され得る。例えば、DTT等の還元剤を使用して切断され得るジスルフィドリンカーを採用して、ビーズを第2の固体支持体に結合させ得、酸切断可能な二官能性トリチル基を使用して、ポリペプチドを支持体に固定し得る。所望のとおり、固体支持体へのポリペプチドの連結がまず切断され得、例えば第1および第2の支持体間の連結は無傷のまま残る。トリチルリンカーは、共有結合性または疎水性コンジュゲーションを提供し得、コンジュゲーションの性質にかかわらず、トリチル基は、酸性条件において容易に切断される。
【0086】
例えば、固体支持体へのビーズの高密度結合またはビーズへのポリペプチドの高密度結合が促進されるような長さおよび化学的性質を有するように選択され得る連結基を通じて、ビーズは第2の支持体に結合され得る。そのような連結基は、例えば「樹状」構造を有し得、それによって固体支持体上の付着部位あたり多数の官能基を提供する。そのような連結基の例には、ポリリジン、ポリグルタミン酸、ペンタ-エリスリトール(erythrole)、およびトリス-ヒドロキシ-アミノメタンが含まれる。
非共有結合性結合による会合。非共有結合性相互作用を通じて、抗体もしくはポリペプチドは固体支持体にコンジュゲートされ得る、または第1の固体支持体は、また、第2の固体支持体にコンジュゲートされ得る。例えば、磁化され得る強磁性材料で作られた磁気ビーズは、磁気固体支持体に引き付けられ得、磁場の除去によって支持体から解放され得る。代替的に、固体支持体は、イオン性または疎水性部分を有して提供され得、それは、それぞれイオン性または疎水性部分と、ポリペプチド、例えば付着されたトリチル基を含有するポリペプチドとの、または疎水性特徴を有する第2の固体支持体との相互作用を可能にし得る。
固体支持体は、特異的結合ペアのメンバーを有しても提供され得、それゆえ、相補的結合部分を含有するポリペプチドまたは第2の固体支持体にコンジュゲートされ得る。例えば、アビジンでまたはストレプトアビジンでコートされたビーズは、その中に組み入れられたビオチン部分を有するポリペプチドに、またはビオチンもしくはイミノビオチン等のビオチンの誘導体でコートされた第2の固体支持体に結合され得る。
【0087】
本明細書に開示されるまたは当技術分野において別様に公知の結合メンバーのいずれかは入れ替えられ得ることが認識されるべきである。ゆえに、ビオチンが、例えばポリペプチドまたは固体支持体のいずれかに組み入れられ得、逆に、アビジンまたは他のビオチン結合部分が、それぞれ支持体またはポリペプチドに組み入れられるであろう。本明細書における使用のために企図される他の特異的結合ペアには、ホルモンおよびそれらの受容体、酵素およびそれらの基質、ヌクレオチド配列およびその相補的配列、抗体およびそれが特異的に相互作用する抗原、ならびに当業者に公知の他のそのようなペアが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0088】
A.本技術の抗レプチン受容体抗体の診断的使用
概略。本技術の抗レプチン受容体抗体は診断法において有用である。そのため、本技術は、対象におけるレプチン受容体活性の診断において該抗体を使用した方法を提供する。本技術の抗レプチン受容体抗体は、それらが、任意のレベルのエピトープ結合特異性およびレプチン受容体に対する非常に高い結合親和性を有するように選択され得る。一般的に、抗体の結合親和性が高ければ高いほど、免疫学的アッセイにおいてよりストリンジェントな洗浄条件を実施して、標的ポリペプチドを除去することなく、非特異的に結合している材料を除去し得る。したがって、診断用アッセイにおいて有用な本技術の抗レプチン受容体抗体は、通常、約108M-1、109M-1、1010M-1、1011M-1、または1012M-1の結合親和性を有する。さらに、診断用試薬として使用される本技術の抗レプチン受容体抗体は、少なくとも12時間、少なくとも五(5)時間、または少なくとも一(1)時間以内に標準的条件下で平衡に到達するのに十分な速度論的会合速度(on-rate)を有することが望ましい。
【0089】
本技術の抗レプチン受容体抗体を使用して、多様な標準的アッセイ形式において免疫反応性レプチン受容体を検出し得る。そのような形式には、免疫沈降、ウェスタンブロッティング、ELISA、ラジオイムノアッセイ、免疫学的計量(immunometric)アッセイが含まれる。Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Publications, New York, 1988);米国特許第3,791,932号;第3,839,153号;第3,850,752号;第3,879,262号;第4,034,074号、第3,791,932号;第3,817,837号;第3,839,153号;第3,850,752号;第3,850,578号;第3,853,987号;第3,867,517号;第3,879,262号;第3,901,654号;第3,935,074号;第3,984,533号;第3,996,345号;第4,034,074号;および第4,098,876号を参照されたい。生物学的サンプルは、対象の任意の組織または体液から獲得され得る。ある特定の実施形態において、対象は癌の早期ステージにある。1つの実施形態において、癌の早期ステージは、対象から獲得されたサンプルにおけるレプチン受容体のレベルまたは発現パターンによって判定される。ある特定の実施形態において、サンプルは、尿、血液、血清、血漿、唾液、羊水、脳脊髄液(CSF)、および生検された生体組織からなる群から選択される。
【0090】
免疫学的計量アッセイまたはサンドイッチアッセイは、本技術の診断法のための1つの形式である。米国特許第4,376,110号、第4,486,530号、第5,914,241号、および第5,965,375号を参照されたい。そのようなアッセイは、1種の抗体、例えば固相に固定された抗レプチン受容体抗体または抗レプチン受容体抗体の集団、および溶液中の別の抗レプチン受容体抗体または抗レプチン受容体抗体の集団を使用する。典型的に、溶液の抗レプチン受容体抗体または抗レプチン受容体抗体の集団は標識される。抗体集団が使用される場合、集団は、標的ポリペプチド内の異なるエピトープ特異性に結合する抗体を含有し得る。したがって、同じ集団が、固相および溶液抗体の両方に使用され得る。本技術の抗レプチン受容体抗体が使用される場合、異なる結合特異性を有する第1および第2のレプチン受容体モノクローナル抗体が、固相および液相に使用される。固相(「捕捉」とも称される)および溶液(「検出」とも称される)抗体は、いずれかの順序でまたは同時に標的抗原と接触し得る。固相抗体が最初に接触する場合、アッセイは、前方アッセイであると称される。逆に、溶液抗体が最初に接触する場合、アッセイは、後方アッセイであると称される。標的が両抗体と同時に接触する場合、アッセイは同時アッセイと称される。レプチン受容体と抗レプチン抗体とを接触させた後、サンプルを、約10分間~約24時間で変わり、通常では約1時間である期間インキュベートする。次いで、洗浄工程を実施して、診断用試薬として使用されている抗レプチン受容体抗体に特異的には結合していないサンプルの構成要素を除去する。固相および溶液抗体が別個の工程において結合される場合、いずれかのまたは両方の結合工程の後に洗浄が実施され得る。洗浄した後、結合は、典型的に、標識された溶液抗体の結合を通じて、固相に連結された標識を検出することによって定量化される。通常、抗体または抗体の集団の所与のペア、および所与の反応条件に対して、既知の濃度の標的抗原を含有するサンプルから検量線が作成される。試験されているサンプルにおける免疫反応性レプチン受容体の濃度を、次いで、検量線(すなわち、標準曲線)からの補間によって読み取る。分析物は、平衡状態で結合している標識された溶液抗体の量から、または平衡に到達する前の一連の時点における結合している標識された溶液抗体の速度論的測定によって測定され得る。そのような曲線の傾きは、サンプルにおけるレプチン受容体の濃度の尺度である。
【0091】
上記の方法における使用のための適切な支持体には、例えばニトロセルロース膜、ナイロン膜および誘導体化ナイロン膜、ならびにまた粒子、例えばアガロース、デキストランベースのゲル、ディップスティック、粒子状物質、ミクロスフェア、磁気粒子、試験管、マイクロタイターウェル、SEPHADEX(商標)(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway N.J.)等が含まれる。固定は、吸収によるまたは共有結合性付着によるものであり得る。任意に、本技術の抗レプチン受容体抗体は、アビジン等の表面結合リンカーへの付着のための、ビオチン等のリンカー分子に接合され得る。
【0092】
一部の実施形態において、本開示は、診断剤にコンジュゲートした本技術の抗レプチン受容体抗体を提供する。診断剤は、放射性または非放射性標識である造影剤(磁気共鳴撮像、コンピューター断層撮影、または超音波等のための)を含み得、放射性標識は、ガンマ-、ベータ-、アルファ-、オージェ電子-、または陽電子-放出同位体であり得る。診断剤は、抗体部分、すなわち抗体または抗体フラグメントもしくはサブフラグメントにコンジュゲートされて投与され、抗原を含有する細胞の場所を探し当てることによって疾患を診断するまたは検出することにおいて有用である分子である。
有用な診断剤には、放射性同位体、色素(ビオチン-ストレプトアビジン複合体を有するもの等)、造影剤、蛍光化合物または分子、および磁気共鳴撮像(MRI)のための増強剤(例えば、常磁性イオン)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。米国特許第6,331,175号は、MRI技法、およびMRI増強剤にコンジュゲートした抗体の調製を記載しており、参照によりその全体として組み入れられる。一部の実施形態において、診断剤は、放射性同位体、磁気共鳴撮像における使用のための増強剤、および蛍光化合物からなる群から選択される。抗体構成要素に放射性金属または常磁性イオンを積むために、それと、イオンに結合するための多数のキレート基が付着されている長い尾部を有する試薬とを反応させることが必要であり得る。そのような尾部は、ポリリジン、多糖、または例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ポルフィリン、ポリアミン、クラウンエーテル、ビス-チオセミカルバゾン、ポリオキシム(polyoxime)、およびこの目的に有用であることが公知の同様の基等のキレート基が結合され得るペンダント基を有する他の誘導体化されたもしくは誘導体化可能な鎖等のポリマーであり得る。キレートは、標準的な化学的性質を使用して、本技術の抗体にカップリングされ得る。キレートは、通常、免疫反応性の最小限の喪失ならびに最小限の凝集および/または内部架橋を有して、分子への結合の形成を可能にする基によって抗体に連結される。キレートを抗体にコンジュゲートするための他の方法および試薬は、米国特許第4,824,659号に開示される。特に有用な金属-キレート組み合わせには、放射性撮像のための診断用同位体とともに使用される2-ベンジル-DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体が含まれる。マンガン、鉄、およびガドリニウム等の非放射性金属と複合される場合の同じキレートは、本技術の抗レプチン受容体抗体とともに使用される場合、MRIに有用である。
【0093】
B.本技術の抗レプチン受容体抗体の治療的使用
概略。本技術の抗レプチン受容体抗体は、レプチン受容体のアゴニストであり;すなわち、レプチン受容体への本技術の抗レプチン受容体抗体の結合は、レプチン受容体シグナル伝達の活性化を引き起こす。したがって、本技術の抗レプチン受容体抗体は、例えば、対象におけるレプチンの通常の生物学的活性を模倣する、置換する、または補足するのに有用である。それゆえ、本技術の抗体および抗原結合フラグメントは、レプチン抵抗性およびレプチン欠損または機能不全と関連した疾患および障害の治療的処置において有用である。
【0094】
本技術は、ヒトレプチン受容体に結合しかつレプチン受容体シグナル伝達を活性化する抗体およびその抗原結合フラグメントを含む。本技術の文脈において、「レプチン受容体シグナル伝達の活性化」とは、レプチン受容体を発現する細胞におけるレプチンとレプチン受容体との相互作用により通常生じる細胞内効果の刺激を意味する。ある特定の実施形態において、「レプチン受容体シグナル伝達の活性化」とは、STAT3の転写活性化を意味し、それは、例えばレポーター細胞株において発現されるSTAT3の標識型を使用して、STAT3活性を直接的または間接的に測定し得るまたは同定し得る任意の方法を使用して検出され得る。例えば、本技術は、例えば本明細書における実施例7に規定される細胞ベースのアッセイ形式または実質的に同様のアッセイを使用した細胞ベースのレポーターアッセイにおいて、レプチン受容体シグナル伝達を活性化する抗体およびその抗原結合フラグメントを含む。レプチン受容体シグナル伝達の活性化は、実施例において、特に実施例1~3において論じられるように、リン酸化STAT3を感知するためのレポーター細胞株、またはSIEエレメント(sis誘導性エレメント)を介した遺伝子発現の誘導を使用してアッセイされ得る。
【0095】
一部の態様において、本技術の抗レプチン受容体抗体は、本明細書に開示される方法において有用であり、レプチン受容体の活性の減少と関連した病状の阻止、改善、または治療のための療法を提供する。
一部の実施形態において、レプチン受容体の活性の減少と関連した病状は、肥満、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症である。一部の実施形態において、レプチン受容体の活性の減少と関連した病状は、レプチン受容体における変異と関連した遺伝性障害である。一部の実施形態において、遺伝性障害は肥満である。そのようなレプチン受容体変異の非限定的な例には、Q223R、P316T、L372A、A409E、L505/506S、R612H、W664R、およびH684Pが含まれる。
1つの態様において、本技術は、本明細書に開示される抗体または抗原結合フラグメントの治療有効量を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害を治療するための方法を提供する。そのような障害の例には、肥満が含まれる。
【0096】
1つの態様において、本技術は、本明細書に開示される抗体または抗原結合フラグメントの治療有効量を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害の1つまたは複数の症状を緩和するための方法を提供する。そのような障害の症状の例には、体重の増加、食物摂取量の増加、血中グルコースレベルの増加、インスリンレベルの減少、耐糖能の減少等が含まれる。
【0097】
一部の実施形態において、本技術の抗レプチン受容体抗体は、レプチン受容体アゴニストである。ゆえに、例えば、本技術の抗レプチン受容体抗体の1種または複数は、(1)単独で、または他の活性剤もしくは本技術の抗レプチン受容体抗体との組み合わせ製剤で同時に、共製剤化され得かつ投与され得るまたは送達され得る;(2)別個の製剤として交互にまたは並行して送達され得る;あるいは(3)当技術分野において公知の他の任意の併用療法レジメンによるものであり得る。交互療法において送達される場合、本明細書に記載される方法は、例えば別個の溶液、エマルジョン、懸濁液、錠剤、丸薬、もしくはカプセルで、または別個の注射器での異なる注射によって、活性成分を逐次的に投与する工程または送達する工程を含み得る。一般的に、交互療法の間、各活性成分の有効投薬量が逐次的に、すなわち連続的に投与され、一方で同時療法において、2種以上の活性成分の有効投薬量が一緒に投与される。様々な配列の間欠的併用療法も使用され得る。本技術の抗レプチン受容体抗体と他の活性剤とのそのような組み合わせを投与することは、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害に罹患した対象に治療有効量で投与された場合、相乗的な生物学的効果をもたらし得る。そのような手法の利点は、肥満、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症に罹患したまたはかかりやすい対象を阻止する、改善する、または治療するために、より低い用量の本技術の抗レプチン受容体抗体および/または他の活性剤が必要とされ得ることである。さらに、より低い投薬量の本技術の抗レプチン受容体抗体および/または他の活性剤の使用によって、治療の潜在的副作用が回避され得る。
【0098】
本技術の抗レプチン受容体抗体は、例えば、肥満、高コレステロール血症、高脂血症、2型糖尿病、1型糖尿病、食欲制御、不妊症等の治療のために処方される医薬製品等、1種または複数の付加的な治療活性構成要素とともに共製剤化され得かつ/またはそれとの組み合わせで投与され得る。そのような付加的な治療活性構成要素の例には、例えば組み換えヒトレプチン(例えば、メトレレプチン[MYALEP1])、PCSK9阻害剤(例えば、抗PCSK9抗体[アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ロデルシズマブ(lodelcizumab)、ラルパンシズマブ(ralpancizumab)等])、スタチン(アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン等)、エゼチミブ、インスリン、インスリン変種、インスリン分泌促進物質、メトホルミン、スルホニル尿素、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤(例えば、ダパグリフロジン(dapaglifozin)、カナグリフロジン(canaglifozin)、エンパグリフロジン等)、GLP-1アゴニスト/類似体(例えば、エキセンディン(extendin)-4、エキセナチド、リラグルチド、リキシセナチド、アルビグルチド、デュラグルチド等)、グルカゴン(GCG)阻害剤(例えば、抗GCG抗体)、グルカゴン受容体(GCGR)阻害剤(例えば、抗GCGR抗体、小分子GCGRアンタゴニスト、GCGR特異的アンチセンスオリゴヌクレオチド、抗GCGRアプタマー[例えば、シュピーゲルマー(Spiegelmer)]等)、アンジオポエチン様タンパク質(ANGPTL)阻害剤(例えば、抗ANGPTL3抗体、抗ANGPTL4抗体、抗ANGPTL8抗体等)、フェンテルミン、オルリスタット、トピラマート、ブプロピオン、トピラマート/フェンテルミン、ブプロピオン/ナルトレキソン、ブプロピオン/ゾニサミド、プラムリンタイド/メトレレプチン(Metrelepin)、ロルカセリン、セチリスタット、テソフェンシン(Tesofensine)、ベルネペリト等が含まれる。
【0099】
本技術の抗レプチン受容体抗体の生物学的効果の判定
様々な実施形態において、適切なインビトロまたはインビボアッセイを実施して、本技術の抗レプチン受容体抗体に基づく特異的療法の効果、およびその投与が治療に適応されるかどうかを判定する。様々な実施形態において、インビトロアッセイは、代表的な細胞株を用いて実施され得る。様々な実施形態において、インビボアッセイは、レプチン受容体変異体(例えば、L372A、A409E、L505/506S変異のうちの1種または複数を有する)を持つマウス等、代表的な動物モデルを用いて実施され得る。これらの実験を使用して、本技術の所与の抗レプチン受容体抗体が、レプチン受容体変異体のシグナル伝達活性またはレプチン受容体変異体の機能の回復を促進することにおいて所望の効果を発揮するかどうかを判定し得る。
【0100】
療法における使用のための化合物は、ヒト対象において試験する前に、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ウサギ等を含むがそれらに限定されない、適切な動物モデルシステムにおいて試験され得る。同様に、インビボ試験に関して、ヒト対象への投与の前に、当技術分野において公知の動物モデルシステムのいずれかが使用され得る。
一部の実施形態において、レプチン受容体活性は、当技術分野において周知のアッセイによって判定される。Peng et al. (2015), Chemistry & Biology 22: 1-10 (2015):およびBhaskar et al., Obesity 24: 1687-1694 (2016)。一部の実施形態において、レプチン受容体活性は、L372A、A409E、またはL505/506S等のレプチン受容体変異を持つ動物モデルにおいて生物学的活性を測定するアッセイによって判定される。一部の実施形態において、レプチン受容体活性は、動物モデルの変異体表現型のレスキューを測定するアッセイを使用して判定される。
【0101】
C.キット
本技術は、本技術の少なくとも1種の免疫グロブリン関連組成物(例えば、本明細書に記載される任意の抗体または抗原結合フラグメント)またはその機能的変種(例えば、置換変種)を含む、レプチン受容体変異体関連疾患の検出および/または治療のためのキットを提供する。任意に、本技術のキットの上記構成要素は、適切な容器に詰められ、レプチン受容体変異体関連疾患の診断および/または治療に関してラベルを付される。上述の構成要素は、単位または複数回用量容器、例えば密封アンプル、バイアル、ボトル、注射器、および試験管内に、水性の、好ましくは無菌の溶液として、または再構成のための凍結乾燥された、好ましくは無菌の製剤として保管され得る。キットは、薬学的組成物をより高容量に希釈するのに適した希釈剤を保つ第2の容器をさらに含み得る。適切な希釈剤には、薬学的組成物の薬学的に許容される賦形剤および生理食塩溶液が含まれるが、それらに限定されるわけではない。さらに、キットは、薬学的組成物を希釈するための取扱説明書、および/または希釈されるか否かにかかわらず、薬学的組成物を投与するための取扱説明書を含み得る。容器は、ガラスまたはプラスチック等の多様な材料から形成され得、無菌のアクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通され得る栓を有する静注用溶液バッグまたはバイアルであり得る)。キットは、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、およびデキストロース溶液等、薬学的に許容される緩衝液を含むより多くの容器をさらに含み得る。それは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、適切な宿主の1種または複数に対する培養培地を含めた、商業的なおよびユーザーの立場から望ましい他の材料をさらに含み得る。キットは、治療用または診断用製品の商業的パッケージに通例含まれる取扱説明書を任意に含み得、それは、例えばそのような治療用または診断用製品の使用に関する適応症、使用法、投薬量、製造、投与、禁忌、および/または警告についての情報を含有する。
【0102】
キットは、生物学的サンプル、例えば血清、血漿、リンパ液、嚢胞液、尿、排泄物、脳脊髄液、腹水、または血液を含むがそれらに限定されない、および生体組織の生検サンプルを含めた、例えば任意の体液における、免疫反応性レプチン受容体の存在を検出するのに有用である。例えば、キットは、生物学的サンプルにおけるレプチン受容体に結合し得る、本技術の1種または複数のヒト化、キメラ、または二重特異性抗レプチン受容体抗体(またはその抗原結合フラグメント);サンプルにおけるレプチン受容体の量を判定するための手段;およびサンプルにおける免疫反応性レプチン受容体の量と標準とを比較するための手段、を含み得る。抗レプチン受容体抗体の1種または複数は標識され得る。キット構成要素(例えば、試薬)は、適切な容器にパッケージされ得る。キットは、免疫反応性レプチン受容体を検出するためにキットを使用するための取扱説明書をさらに含み得る。
抗体ベースのキットに関して、キットは、例えば、1)レプチン受容体に結合する、固体支持体に付着した第1の抗体、例えば本技術のヒト化またはキメラレプチン受容体抗体(またはその抗原結合フラグメント);および任意に、2)レプチン受容体または第1の抗体のいずれかに結合しかつ検出可能な標識にコンジュゲートされている、第2の異なる抗体、を含み得る。
【0103】
キットは、例えば緩衝剤、防腐剤、またはタンパク質安定剤も含み得る。キットは、検出可能な標識、例えば酵素または基質を検出するために必要な構成要素をさらに含み得る。キットは、アッセイされ得かつ試験サンプルと比較され得る対照サンプルまたは一連の対照サンプルも含有し得る。キットの各構成要素は、個々の容器内に封入され得、様々な容器のすべては、キットを使用して実施されるアッセイの結果を解釈するための取扱説明書とともに、単一パッケージ内にあり得る。本技術のキットは、キット容器の上または中に書面の製品を含有し得る。書面の製品は、例えばインビトロもしくはインビボにおけるレプチン受容体の検出のための、またはそれを必要とする対象におけるレプチン受容体変異体関連疾患の治療のための、キットに含有される試薬を使用する方法を記載している。ある特定の実施形態において、試薬の使用は、本技術の方法に従ったものであり得る。
【実施例】
【0104】
本技術は、決して限定的なものとして捉えられるべきではない以下の実施例によってさらに解説される。下の実施例のそれぞれに関して、IgG、IgM、IgA、IgD、IgE、および遺伝子改変されたIgG等、本明細書に記載される任意の免疫学的結合作用物質およびそのフラグメントが使用され得る。例として、しかし限定によってではなく、下の実施例において使用されるscFv-Fc抗体は、S1scAb06、S1scAb11、S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、S2H7等であり得る。
【0105】
(実施例1)
抗体作出
抗体選択に関して、ファージディスプレイおよび表現型選択を、リン酸化STAT3を感知するためのレポーター細胞株と組み合わせた。簡潔には、組み換えレプチン受容体細胞外ドメインを用いた2ラウンドのパニングの後に、単鎖コンビナトリアル抗体ライブラリーを富化して、より少ないがより特異的なクローンのサブライブラリーを得た。2ラウンドのファージパニングの後、約106個のクローンを選択し、ファージミドを抽出した。抗体コード配列を、制限酵素SfiIを使用して消化し、哺乳類細胞表面ディスプレイを可能にするために、テザーシステムのメンバーであるレンチウイルスベクターにクローニングした。サブライブラリーからのアゴニスト抗体の選択に関しては、ベータ-ラクタマーゼLepR受容体細胞株を使用した、というのもこの細胞株は、リン酸化STAT3を感知するための読み出しに関して非常に優れたシグナル対ノイズ比を提供するためであった。ベータ-ラクタマーゼLepR受容体細胞株に、レンチウイルスライブラリーをMOI=2で感染させた。接種の8時間後、培地を置き換え、細胞をもう40時間培養した。レポーター細胞を収集し、LiveBLAzer(商標)-FRET基質CCF4-AM(Invitrogen)とともに暗所で2時間インキュベートし、FACS緩衝液で洗浄し、単一細胞選別に供した。β-ラクタマーゼ陽性の単一細胞クローンをコンフルエンスに到達させ、各コロニーからの抗体遺伝子を、レンチウイルスベクター由来の配列に基づくPCRによって増幅した。クローン(close)をシーケンシングした。配列解析により、S1scAb06およびS1scAb11と名付けられた2種の有望なクローンが明らかになり、それは、LepR活性化を指し示す最大のリン酸化STAT3を示した。ここで、抗体名における「S1」とは、ヒトレプチン受容体に対してアゴニスト的な抗体についての第1ラウンドの選択を指す。
【0106】
(実施例2)
抗体の指向性進化
酵母ディスプレイ、およびより高い親和性抗体の選択のためのフローサイトメトリーを採用することによって、指向性進化手法を使用した。簡潔には、VHCDR3に相当する位置でS1scAb06核酸に終止コドンを導入して、変異ライブラリー構築のための鋳型抗体配列を作出した。VHCDR3における4つのアミノ酸に対するコドンを、縮重コドンNNK(式中、N=A/C/G/TかつK=G/T)で置換して、約107種の異なるタンパク質配列を有する抗体変異体ライブラリーを構築した。scFv抗体ライブラリーを担持する酵母細胞を、SD/Trp-培地中で振とうしながら30℃で対数期まで培養した。次いで、酵母細胞を、SGR-CAA培地中で振とうしながら20℃で24時間成長させて、酵母ディスプレイを誘導した。Hisタグに融合した組み換えレプチン受容体細胞外ドメインを精製し、EZ-LINK NHS-PEG4-BIOTINキットを使用してビオチンで標識した。ビオチン標識された組み換えレプチン受容体細胞外ドメインタンパク質を、酵母抗体ライブラリーに結合する抗原として使用し、より高い親和性ヒットを、3ラウンドのフローサイトメトリーを用いて選択した。最終ラウンドからの酵母ディスプレイプラスミドにおける抗体配列を抽出し、シーケンシングした。酵母から獲得された7個のヒットをS2H1~S2H7と名付けた。ここで、抗体名における「S2」とは、ヒトレプチン受容体に対してアゴニスト的な抗体についての第2ラウンドの選択を指す。
【0107】
下の表および
図8~16は、本明細書に開示される抗体のための、V
HおよびV
Lに対するヌクレオチドおよびアミノ酸配列、ならびにCDR配列を提供する(配列番号1~90)。
【表2】
【0108】
(実施例3)
本技術の抗レプチン受容体抗体はレプチン受容体アゴニストである
レプチンは、Stat1およびStat3シグナル伝達経路を活性化し、標準STAT結合配列であるSIEエレメント(sis誘導性エレメント)を介して遺伝子発現をモジュレートする。例えば、Bendinelli et al., Mol Cell Endocrinol. 168(1-2):11-20 (2000)を参照されたい。本明細書に開示される抗レプチン受容体抗体が、SIEエレメントを介して遺伝子発現をモジュレートするかどうかを理解するために、SIE-ルシフェラーゼレポーターを使用した。SIE-ルシフェラーゼレポーター細胞を40万個細胞/mlに希釈し、TC処理された白色不透明96プレートに播種した(50μl/ウェル)。レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S1scAb06、S1scAb11、およびS2H6を連続希釈し、細胞に添加した(50μl/ウェル)。細胞を6~8時間培養した。ルシフェラーゼアッセイ基質を細胞に添加し、マイクロプレートリーダーを使用して発光を測定した。
図1Aに示されるように、レプチン、ならびにS1scAb11、S1scAb6、およびS2H6抗体は、ルシフェラーゼ発現を誘導した。レプチン受容体結合に対する陰性対照として働くアイソタイプ対照抗体は、SIE-ルシフェラーゼレポーターの検出可能な発現を誘導しなかった(
図1A)。
図1Aに示されるように、第1ラウンドの選択において選択されたS1scAb11およびS1scAb6抗体は、レプチンと比較して、より高い濃度でSIE-ルシフェラーゼレポーター発現を誘導した。第2ラウンドの選択において選択されたS2H6抗体は、S1scAb11およびS1scAb6抗体と比較して、より低い濃度でSIE-ルシフェラーゼレポーター発現を誘導した。したがって、S1scAb11、S1scAb6、およびS2H6抗体は、レプチン受容体に結合し、下流シグナル伝達を活性化する。それゆえ、これらのデータは、S1scAb11、S1scAb6、およびS2H6抗体がレプチン受容体アゴニストであることを示す。下の表は、ルシフェラーゼアッセイによって測定される、レプチン受容体の活性化に関するEC
50値(M)を示している。
【0109】
【表3】
第2ラウンドの選択において選択された抗レプチン受容体抗体S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7も、SIE-ルシフェラーゼレポーター細胞におけるSIEエレメントを介した遺伝子発現のモジュレーションについてレプチンと比較した。
図1Bに示されるように、S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7のそれぞれは、SIE-ルシフェラーゼレポーター発現を誘導した。下の表は、ルシフェラーゼアッセイによって測定される、レプチン受容体の活性化に関するEC
50値(M)を示している。
【0110】
【表4】
これらの結果は、本技術の抗レプチン受容体抗体がレプチン受容体アゴニストであり、ゆえに、肥満、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症を治療するための方法において有用であることを実証している。
【0111】
(実施例4)
本技術の抗レプチン受容体抗体は、レプチン依存性細胞の成長を促進する
レプチン依存性Ba/F3-lepRレポーター細胞を、2ng/mlの濃度でレプチンを補足したRPMI1640培地中で培養した。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で3回洗浄し、20万個細胞/mlに希釈し、96ウェルプレートに播種した(50μl/ウェル)。レプチンまたは抗レプチン受容体抗体S1scAb06、S1scAb11、およびS2H6を連続希釈し、細胞に添加した(50μl/ウェル)。細胞を37℃でもう72時間培養した。増殖を検出するために、細胞を担持するウェルにCellTiter 96 AQueous One Solution Reagentを添加し(20μl/ウェル)、37℃で2時間インキュベートした。490nmにおける吸光度をマイクロプレートリーダーで記録して、細胞増殖のレベルを測定した。
図2Aに示されるように、抗レプチン受容体抗体S1scAb06、S1scAb11、およびS2H6は、レプチン依存性Ba/F3-lepRレポーター細胞の成長を支持した。陰性対照として使用されたアイソタイプ対照抗体は、レプチン依存性細胞の増殖を促進しなかった(
図2A)。
図2Aに示されるように、第2ラウンドの選択の後に獲得されたS2H6抗体は、レプチンと比較して、レプチン依存性細胞の成長をより強力に促進した。下の表は、ルシフェラーゼアッセイおよび細胞増殖アッセイによって測定される、レプチン受容体の活性化に関するEC
50値(M)を比較している。
【0112】
【表5】
第2ラウンドの選択の後に獲得された抗レプチン受容体抗体S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7も、レプチン依存性Ba/F3-lepRレポーター細胞の成長を促進することについてレプチンと比較した。
図2Bに示されるように、S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7のそれぞれは、レプチンと比較して、レプチン依存性細胞の成長をより強力に促進した。下の表は、ルシフェラーゼアッセイおよび細胞増殖アッセイによって測定される、レプチン受容体の活性化に関するEC
50値(M)を比較している。
【0113】
【表6】
これらの結果は、本技術の抗レプチン受容体抗体がレプチン受容体アゴニストであり、ゆえに、肥満、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症を治療するための方法において有用であることを実証している。
【0114】
(実施例5)
本技術の抗レプチン受容体抗体は、肥満のマウスモデルにおいて有効である
本技術の抗レプチン受容体抗体の治療効果を評価するために、肥満のマウスモデルに対するそれらの効果を実験的に判定した。この調査に使用された肥満のマウスモデルは、レプチン欠損(ob/ob)マウスであった。6週齢の雌ob/obマウスは、12時間の明/暗サイクルを有する部屋で維持され、食事および水を自由に提供された。体重および食物摂取量を、開始投薬前の3~4日間毎日モニターし、マウスを3つの処理群:ビヒクル(PBS)、レプチン、およびS2H6抗体、に無作為に選別した。マウスに、ビヒクル(1日2回)、レプチン(0.5mg/kg、1日2回)、およびS2H6(5mg/kg、1日おき)を2週間皮下注射した(n=8)。ビヒクル処理群は、任意の処理がないことについての陰性対照として働いた。レプチン処理群は、肥満の低下についての陽性対照として働いた。体重および食物摂取量を毎日記録した。
【0115】
ビヒクル処理群の体重を毎日測定した。
図3Aに示されるように、ビヒクル処理群の体重は、実験の経過中に増加した。レプチン処理およびS2H6処理群は、ビヒクル処理群と比較して、体重の低下を示した(
図3A)。
図3Aから明らかなように、体重の低下の程度は、レプチン処理群において観察されたものよりも大きかった。下の表は、2週間の処理後の動物の体重を示している。S2H6処理によって誘導された体重の低下は、スチューデントt検定によって算出されるように統計的に有意であった(P<0.0001)。
【表7】
【0116】
食物摂取量を、実験の経過中に毎日記録した。
図3Bに示されるように、ビヒクル処理群による食物摂取量は、開始投薬前のものと比較して変化しないままであった。レプチン処理およびS2H6処理群は、ビヒクル処理群と比較して、食物摂取量の低下を呈した(
図3B)。
図3Bに示されるように、S2H6処理群は、レプチン処理群と比較して、食物摂取量のより大きな低下を提示した。
血中グルコースを1週間に2回測定した。ビヒクル処理群における血中グルコースは、実験の経過中、本質的に変化しないままであった(
図3C)。
図3Cに示されるように、レプチン処理およびS2H6処理群は、ビヒクル処理群と比較して、血中グルコースの極めて有意な低下を呈した。S2H6処理群は、レプチン処理群(
図3Cにおける2番目の群を参照されたい)と比較して、血中グルコースのより有意な低下を提示した。レプチン処理およびS2H6処理群の血中グルコースレベルの間でのこの差は、抗体処理後の12日目(
図3Cに示される最後の時点)に統計的に有意であった(p<0.01)。
【0117】
投薬の2週間後、マウスを16時間断食させ、血中インスリン濃度を測定した。
図3Dに示されるように、レプチン処理およびS2H6処理群は、ビヒクル処理群と比較して、血中インスリンレベルの極めて有意な低下を呈した。
断食したマウスを、腹腔内ブドウ糖負荷試験(IPGTT)に供した。
図3Eに示されるように、レプチン処理およびS2H6処理群は、ビヒクル処理群と比較して、IPGTTの間に血中グルコースの低下を呈した。S2H6処理群は、レプチン処理群と比較して、血中グルコースのより有意な低下を示した(
図3E)。
最後に、マウスを屠殺し、種々の位置由来の脂肪組織を抽出し、計量した。
図3Fに示されるように、レプチン処理およびS2H6処理群は、ビヒクル処理群と比較して、IPGTTの間に脂肪組織レベルの低下を呈した。S2H6処理群は、レプチン処理群と比較して、脂肪組織のより有意な低下を示した(
図3F)。
これらの結果は、本技術の抗レプチン受容体抗体がレプチン受容体アゴニストであり、ゆえに、肥満、レプチン欠損、糖尿病、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症を治療するための方法において有用であることを実証している。
【0118】
(実施例6)
本技術の抗レプチン受容体抗体は、レプチン受容体の占有についてレプチンと競合し得る
本技術の抗レプチン受容体抗体が、ヒトレプチン受容体への結合ついてレプチンと競合し得るかどうかを検討した。その目標に向けて、マイクロプレートをヒトレプチン受容体の細胞外ドメインでコートし、増加する濃度のレプチン(
図4A~4BのX軸に示される)を、表示される固定の抗体濃度とともにマイクロプレートに添加して、ヒトレプチン受容体の占有についての競合を準備した。二次抗体を使用して、抗体の結合を検出した。
図4Aに示されるように、レプチンは、第1ラウンドの選択の後に獲得されたS1scAb06抗体と競合し得、6.55nMというS1scAb06の結合の阻害に関するIC
50を有した。しかしながら、
図4Bに示されるように、レプチンは、第2ラウンドの選択の後に獲得されたS2H6と競合し得た。これは、本明細書に開示される、レプチンと比較した、レプチン受容体に対するS2H6のより高い親和性と一致した。
【0119】
(実施例7)
レプチン受容体に対する本技術の抗レプチン受容体抗体の親和性
表面プラズモン共鳴(SPR)を、本技術の抗レプチン受容体抗体の結合パラメーターについての正確な判定に使用した。Biacore T200(商標)(GE Healthcare)を使用して、SPR結合アッセイを実施した。簡潔には、Hisタグを有するレプチン受容体の組み換え細胞外ドメインを、Amine Coupling Kit(GE Healthcare)により、Series S Sensor CM5チップ(GE Healthcare)の表面に固定した。レプチンおよび種々のアゴニスト抗体を、分析物として連続希釈した。すべての操作を、メーカーのユーザーガイドに記載されるように実施した。結果の解析を、BIA evaluation software(商標)において処理した。
図5A~5Dに示されるように、S1scAb06、S1scAb11、S2H6、およびレプチンは、レプチン受容体の細胞外ドメインに結合した。下の表は、結合についてのK
D、K
on、およびK
off値を示している。
【0120】
【0121】
抗レプチン受容体抗体S2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7の結合パラメーターも、SPRを使用して判定した。下の表は、レプチン受容体の細胞外ドメインへのS2H1、S2H2、S2H3、S2H4、S2H5、S2H6、およびS2H7の結合についてのK
D、K
on、およびK
off値を示している。
【表9】
【0122】
(実施例8)
本技術の抗レプチン受容体抗体は、シグナル伝達に欠陥があるまたは損なわれているヒトレプチン受容体変異体を活性化し得る
欠陥のあるまたは損なわれたレプチン結合能またはレプチン媒介性シグナル伝達を呈する多くのレプチン受容体変異体が同定されている。例えば、早発性肥満の単一遺伝子性の原因としてもともと同定されたLEPR-A409E変異体は、レプチンシグナルをSTAT3に伝達しないシグナル伝達欠陥レプチン受容体変異体である。L372A変異体も、レプチンシグナル伝達欠陥変異体である。L505/506S変異体は、ロイシンがセリンで置換された場合、レプチンが受容体に結合し得ないため、レプチンシグナル伝達に欠陥がある。
【0123】
本技術の抗レプチン受容体抗体がこれらの受容体変異体を活性化し得るかどうかを理解するために、L372A、A409E、L505/506Sを含めた、シグナル伝達欠損を有するレプチン受容体変異体を構築した。DNA変異導入を標準的プロトコールを使用して実施し、すべてのDNA構築物をDNAシーケンシングによって検証した。変異体を、SIE-GFPレポーター細胞に一過性にトランスフェクトした。24時間の培養後、レプチンおよび種々のアゴニスト抗体を、8時間の刺激のために細胞に添加した。野生型(WT)レプチン受容体を持つ細胞を、シグナル伝達力についての陽性対照として使用した。ビヒクル単独を、レプチン受容体を活性化する能力についての陰性対照(NC)として使用した。GFP発現を、フローサイトメトリーを使用して解析し、レプチンシグナル伝達活性化として示した。S1scAb06、S1scAb11、S2H6、およびレプチンはすべて、WTレプチン受容体によるGFP発現を活性化し得た(
図6)。レプチンは、L372A、A409E、およびL505/506S変異体によるGFP発現を活性化し得なかった(
図6)。対照的に、
図6に示されるように、S1scAb06、S1scAb11、およびS2H6抗体は、L372A、A409E、およびL505/506S変異体によるGFP発現を活性化し得た。S2H6抗体は、S1scAb06およびS1scAb11抗体よりも、L505/506S変異体によるGFP発現をより強力に活性化した。
具体的には、これらの結果は、本技術の抗レプチン受容体抗体が、レプチン結合またはレプチン媒介性シグナル伝達に欠陥があるまたは損なわれているレプチン受容体変異体を活性化し得ることを示している。したがって、これらの結果は、本技術の抗レプチン受容体抗体がレプチン受容体アゴニストであり、ゆえに、肥満、レプチン欠損、レプチン抵抗性、および/または低レプチン血症を治療するのに有用であることを実証している。
【0124】
(実施例9)
本技術の抗体のエピトープの同定
レプチン受容体の細胞外ドメインの以下の6種の小さなサブドメイン:N末端ドメイン(NTD)、第1のサイトカイン受容体相同ドメイン(CRH1)、免疫グロブリン様ドメイン(IgD)、第2のCRHドメイン(CRH2)、およびフィブロネクチンIII型ドメイン(FNIII)を発現させ、精製した。これらのドメインの配列は、下の表に示されている。
【0125】
【0126】
抗体がこれらのドメインに結合する能力を試験するために、これらのサブドメインをELISAベースの結合(biding)アッセイにおいて使用した。ヒトレプチン受容体の全長細胞外ドメイン(hECD)を陽性対照として使用した。
図7に示されるように、hECDおよびCRH2のみがS2H6抗体に結合し得、S2H6のエピトープがCRH2ドメインに位置することを示した。
エピトープを同定するために、S2H6抗体を、ジスクシンイミジルスルホキシド(DSSO)を使用してヒトレプチン受容体の細胞外ドメインに架橋した。プロテアーゼ消化の後、架橋を持するペプチドを質量分析を使用して同定した。これらの実験は、以下の3種の小さなペプチドフラグメントを同定した。
ペプチド01.AVQVRC[K]RL(配列番号100)
ペプチド02.DA[K]SKSVSLPVPDLCAVY(配列番号101)
ペプチド03.E[K]PVFPENNLQF(配列番号102)
[K]は、DSSOとの架橋の推定部位を示す。これらのデータは、S2H6抗体が、これら3種のペプチドにわたって分布したエピトープに結合することを示し、S2H6抗体が立体構造的エピトープに結合することを示唆する。
【0127】
等価物
本技術は、本技術の個々の態様についての単一の例示として意図される、本出願に記載される特定の実施形態の点において限定されるべきではない。当業者に明らかであったように、本技術の多くの改変および変形は、その精神および範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書に列挙されるものに加えて、本技術の範囲内にある機能的に等価の方法および装置は、前述の説明から当業者に明らかであった。そのような改変および変形は、添付の特許請求の範囲の内に入ることが意図される。本技術は、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本技術は、当然のことながら変わり得る特定の方法、試薬、化合物、組成物、または生物学的システムに限定されないことが理解されるべきである。本明細書において使用される術語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであり、限定的であることが意図されるわけではないことも理解されるべきである。
【0128】
加えて、本開示の特質または態様がマーカッシュ群の観点から記載される場合、当業者であれば、本開示は、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの部分群の観点からも記載されることを認識するであろう。
当業者によって理解されたように、ありとあらゆる目的上、特に書面での説明を提供する観点から、本明細書に開示されるすべての値域は、ありとあらゆる考え得るその部分域および部分域の組み合わせも包含する。任意の挙げられる値域は、少なくとも2等分、3等分、4等分、5等分、10等分等に分けられている同じ値域を十分に記載しかつ可能にするとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書において論じられる各値域は、下部3分の1、中部3分の1、および上部3分の1等に容易に分けられ得る。また当業者によって理解されるであろうように、「最高で」、「少なくとも」、「上回る」、「未満」等のすべての言葉は、挙げられた数を含み、上で論じられるようにその後部分域に分けられ得る値域を指す。最後に、当業者によって理解されたように、値域は、それぞれ個々のメンバーを含む。ゆえに、例えば、1~3個の細胞を有する群は、1、2、または3個の細胞を有する群を指す。同様に、1~5個の細胞を有する群は、1、2、3、4、または5個の細胞を有する群を指す、等。
【0129】
本明細書において言及されるまたは引用されるすべての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、それらが本明細書の明示的な教示と矛盾しない程度に、すべての図および表を含めて、それらの全体として参照により組み入れられる。
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内で示される。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕重鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
H
)および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン(V
L
)を含む抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
V
H
は、配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、および83からなる群から選択されるV
H
-CDR1配列;配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、および84からなる群から選択されるV
H
-CDR2配列;ならびに配列番号5、15、25、35、45、55、65、75、および85からなる群から選択されるV
H
-CDR3配列を含み;
V
L
は、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、および88からなる群から選択されるV
L
-CDR1配列;配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、および89からなる群から選択されるV
L
-CDR2配列;ならびに配列番号10、20、30、40、50、60、70、80、および90からなる群から選択されるV
H
-CDR3配列、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント。
〔2〕配列番号2、配列番号12、配列番号22、配列番号32、配列番号42、配列番号52、配列番号62、配列番号72、配列番号82を含むV
H
アミノ酸配列、または1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するその変種、および/あるいは
配列番号7、配列番号17、配列番号27、配列番号37、配列番号47、配列番号57、配列番号67、配列番号77、配列番号87を含むV
L
アミノ酸配列、または1つもしくは複数の保存的アミノ酸置換を有するその変種
を含む、抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント。
〔3〕それぞれ、配列番号2および配列番号7(S1scAb06);
配列番号12および配列番号17(S1scAb11);
配列番号22および配列番号27(S2H1);
配列番号32および配列番号37(S2H2);
配列番号42および配列番号47(S2H3);
配列番号52および配列番号57(S2H4);
配列番号62および配列番号67(S2H5);
配列番号72および配列番号77(S2H6);ならびに
配列番号82および配列番号87(S2H7)
からなる群から選択されるV
H
アミノ酸配列およびV
L
アミノ酸配列を含む、前記〔2〕に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
〔4〕(a)配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、もしくは87のうちのいずれか1つの軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または
(b)配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、もしくは82のいずれか1つに存在する重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、もしくは少なくとも99%同一である重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列(V
H
)
を含む、抗レプチン受容体抗体またはその抗原結合フラグメント。
〔5〕IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、およびIgEからなる群から選択されるアイソタイプのFcドメインをさらに含む、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
〔6〕Fab、F(ab’)
2
、Fab’、scFv、およびFvからなる群から選択される、前記〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗原結合フラグメント。
〔7〕モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、または二重特異性抗体である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体。
〔8〕ヒトレプチン受容体のCRH2ドメインに結合する、前記〔1〕~〔7〕のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
〔9〕立体構造的エピトープに結合する、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメント。
〔10〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントをコードする、核酸配列。
〔11〕配列番号1、6、11、16、21、26、31、36、41、46、51、56、61、66、71、76、81、および86からなる群から選択される、核酸配列。
〔12〕前記〔10〕または前記〔11〕に記載の核酸を発現する、宿主細胞または発現ベクター。
〔13〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の抗レプチン受容体抗体または抗原結合フラグメントを含む、組成物。
〔14〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメント、および使用のための取扱説明書を含む、キット。
〔15〕抗体または抗原結合フラグメントは、放射性標識、蛍光標識、および発色標識からなる群から選択される少なくとも1種の検出可能な標識にカップリングされている、前記〔14〕に記載のキット。
〔16〕生物学的サンプルと前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントとを接触させる工程であって、抗体または抗原結合フラグメントは検出可能な標識にコンジュゲートされている、工程;および
生物学的サンプルにおける検出可能な標識のレベルを検出する工程
を含む、生物学的サンプルにおけるレプチン受容体を検出するための方法。
〔17〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントの治療有効量を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害を治療するための方法。
〔18〕前記〔1〕~〔9〕のいずれか1項に記載の抗体または抗原結合フラグメントの治療有効量を対象に投与する工程を含む、それを必要とする対象における、レプチン欠損もしくは低レプチン血症、レプチン抵抗性、または欠陥のあるもしくは損なわれたレプチンシグナル伝達を引き起こすレプチン受容体変異と関連したまたはそれによって引き起こされる障害の1つまたは複数の症状を緩和するための方法。
〔19〕1つまたは複数の症状は、体重の増加、食物摂取量の増加、血中グルコースレベルの増加、インスリンレベルの減少、および/または耐糖能の減少を含む、前記〔18〕に記載の方法。
〔20〕障害は肥満である、前記〔17〕~〔19〕のいずれか1項に記載の方法。
【配列表】