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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】計測装置
(51)【国際特許分類】
   F16T 1/48 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
F16T1/48 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022015487
(22)【出願日】2022-02-03
(65)【公開番号】P2023113265
(43)【公開日】2023-08-16
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】谷山 浩一
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-3242(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16T 1/48
G01H 1/08
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエリアに設置された複数のスチームトラップを計測するための可搬型の計測装置であって、
計測を行う作業者によって入力操作される操作部と、
前記複数のスチームトラップの各々の識別情報であるトラップ識別情報と、前記複数のエリアの各々の識別情報であるエリア識別情報との対応関係を含む第1の管理情報を記憶する記憶部と、
前記第1の管理情報を表示可能な表示部と、
制御部と、
を備え、
前記第1の管理情報は、エリア識別情報が共通する複数のトラップ識別情報をエリア単位でまとめて並べた複数のブロックを含み、
前記記憶部は、前記複数のブロックの各ブロックの先頭位置及び最後尾位置を示す位置情報をさらに記憶し、
あるエリアに関するスチームトラップの検索要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、前記位置情報に基づき、前記複数のブロックのうち当該エリアに対応するブロックのみを対象としてスチームトラップの検索を実行する、計測装置。
【請求項2】
前記制御部は、あるブロックの先頭位置から最後尾位置に向かう方向の連続的な検索が当該最後尾位置に到達した場合、当該最後尾位置の次に当該ブロックの当該先頭位置を検索する、請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
前記制御部は、あるブロックの最後尾位置から先頭位置に向かう方向の連続的な検索が当該先頭位置に到達した場合、当該先頭位置の次に当該ブロックの当該最後尾位置を検索する、請求項1又は2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記制御部は、外部から入力された第2の管理情報において複数のトラップ識別情報がエリア単位でまとめて並べられていない場合、当該複数のトラップ識別情報をエリア識別情報が共通するエリア単位でまとめて並び替えることによって前記第1の管理情報を作成する、請求項1~3のいずれか一つに記載の計測装置。
【請求項5】
あるエリアに関するスチームトラップの追加要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、当該エリアに対応するブロック内に当該スチームトラップのトラップ識別情報を追加するよう前記第1の管理情報を更新するとともに、前記位置情報を更新する、請求項1~4のいずれか一つに記載の計測装置。
【請求項6】
あるエリアに関するスチームトラップの削除要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、当該エリアに対応するブロックから当該スチームトラップのトラップ識別情報を削除するよう前記第1の管理情報を更新するとともに、前記位置情報を更新する、請求項1~5のいずれか一つに記載の計測装置。
【請求項7】
あるエリアに対応するブロックの先頭位置又は最後尾位置に対応するスチームトラップの削除要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、当該ブロックから当該スチームトラップのトラップ識別情報を削除するよう前記第1の管理情報を更新するとともに、前記位置情報を更新する、請求項1~5のいずれか一つに記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームトラップを計測するための計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、熱交換又は放熱等によって配管系内に復水(ドレン)が生じることがある。この復水を配管系内に滞留させると運転効率が低下する原因となるため、一般には、配管系の適所にスチームトラップを設置し、このスチームトラップによって復水を配管系の外部に排出するようにしている。
【0003】
経年劣化又は作動不良等によってスチームトラップのシール性能が損なわれると、蒸気配管系内の蒸気がスチームトラップを介して外部に漏出し、無駄な蒸気損失を招くこととなる。そのため、1年に1回等の定期的に、スチームトラップの状態を点検する作業が行われる。
【0004】
下記特許文献1には、スチームトラップの状態を診断するための計測装置及び診断装置が開示されている。計測装置は可搬型の計測装置であり、診断装置はタブレット端末又はノートパソコン等であり、計測装置と診断装置とは相互に無線通信が可能である。計測装置は、各スチームトラップの表面温度を計測する温度センサと、各スチームトラップの振動強度を計測する振動センサと、温度センサ及び振動センサから出力された計測データを記憶する記憶部と、当該計測データを診断装置に送信する通信部と、表示部とを備えている。診断装置は、計測装置から受信した計測データに基づいて各スチームトラップの状態(正常又は異常)を診断し、その診断の結果を示す診断データを計測装置に送信する。計測装置は、診断装置から受信した診断データに基づいて、各スチームトラップに関する診断の結果を表示部に表示する。
【0005】
また、大型のプラントでは数千から数万個のスチームトラップが設置されることもあるため、そのような膨大な数のスチームトラップの状態を管理するための管理情報として、管理台帳が使用されることがある。
【0006】
下記特許文献2には、管理対象である全スチームトラップの各々に関して、通し番号(トラップID)等の識別情報と、製造メーカ名及び型式等の属性情報と、使用圧力及び設定温度等の動作情報と、過去の定期点検における診断結果とが記述された管理台帳が開示されている。管理台帳のデータは、計測装置が有する記憶部内に記憶される。作業者は、計測装置のボタン操作等によって、管理台帳に含まれているスチームトラップの検索等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-84418号公報
【文献】特許第2954183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
背景技術によると、作業者が計測装置のボタン操作によってあるスチームトラップの検索を行った場合、計測装置は、管理台帳に含まれている全てのスチームトラップを対象として検索処理を実行する。大型のプラントでは数千から数万個のスチームトラップが設置されることもあるため、全スチームトラップを対象とした検索処理では処理完了までに長時間を要し、作業者の待ち時間が長くなって作業効率が低下する。また、作業者にとっては計測装置の表示画面がフリーズしているかのように見えるため、作業者に不満感及び不安感を与えてしまう。
【0009】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、スチームトラップの検索処理の所要時間を短縮することが可能な計測装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る計測装置は、複数のエリアに設置された複数のスチームトラップを計測するための可搬型の計測装置であって、計測を行う作業者によって入力操作される操作部と、前記複数のスチームトラップの各々の識別情報であるトラップ識別情報と、前記複数のエリアの各々の識別情報であるエリア識別情報との対応関係を含む第1の管理情報を記憶する記憶部と、前記第1の管理情報を表示可能な表示部と、制御部と、を備え、前記第1の管理情報は、エリア識別情報が共通する複数のトラップ識別情報をエリア単位でまとめて並べた複数のブロックを含み、前記記憶部は、前記複数のブロックの各ブロックの先頭位置及び最後尾位置を示す位置情報をさらに記憶し、あるエリアに関するスチームトラップの検索要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、前記位置情報に基づき、前記複数のブロックのうち当該エリアに対応するブロックのみを対象としてスチームトラップの検索を実行する。
【0011】
本態様によれば、あるエリアに関するスチームトラップの検索要求が操作部から入力された場合、制御部は、各ブロックの先頭位置及び最後尾位置を示す位置情報に基づき、複数のブロックのうち当該エリアに対応するブロックのみを対象としてスチームトラップの検索を実行する。従って、全エリアを対象とした検索が実行される場合と比較して、スチームトラップの検索処理の所要時間を短縮できる。その結果、作業効率を向上できるとともに、表示部の表示がフリーズしているかのように見えることもないため作業者の不満感及び不安感を解消することが可能となる。
【0012】
上記態様において、前記制御部は、あるブロックの先頭位置から最後尾位置に向かう方向の連続的な検索が当該最後尾位置に到達した場合、当該最後尾位置の次に当該ブロックの当該先頭位置を検索する。
【0013】
本態様によれば、検索要求に係るスチームトラップが含まれるブロックとは異なるブロックを、検索対象から除外することができる。
【0014】
上記態様において、前記制御部は、あるブロックの最後尾位置から先頭位置に向かう方向の連続的な検索が当該先頭位置に到達した場合、当該先頭位置の次に当該ブロックの当該最後尾位置を検索する。
【0015】
本態様によれば、検索要求に係るスチームトラップが含まれるブロックとは異なるブロックを、検索対象から除外することができる。
【0016】
上記態様において、前記制御部は、外部から入力された第2の管理情報において複数のトラップ識別情報がエリア単位でまとめて並べられていない場合、当該複数のトラップ識別情報をエリア識別情報が共通するエリア単位でまとめて並び替えることによって前記第1の管理情報を作成する。
【0017】
本態様によれば、制御部が複数のトラップ識別情報を並び替えることによって、第2の管理情報から第1の管理情報を作成することができる。
【0018】
上記態様において、あるエリアに関するスチームトラップの追加要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、当該エリアに対応するブロック内に当該スチームトラップのトラップ識別情報を追加するよう前記第1の管理情報を更新するとともに、前記位置情報を更新する。
【0019】
本態様によれば、制御部が第1の管理情報とともに位置情報を更新することによって、スチームトラップの追加処理を適切に実行することができる。
【0020】
上記態様において、あるエリアに関するスチームトラップの削除要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、当該エリアに対応するブロックから当該スチームトラップのトラップ識別情報を削除するよう前記第1の管理情報を更新するとともに、前記位置情報を更新する。
【0021】
本態様によれば、制御部が第1の管理情報とともに位置情報を更新することによって、削除された行を詰める場合においても、スチームトラップの削除処理を適切に実行することができる。
【0022】
上記態様において、あるエリアに対応するブロックの先頭位置又は最後尾位置に対応するスチームトラップの削除要求が前記操作部から入力された場合、前記制御部は、当該ブロックから当該スチームトラップのトラップ識別情報を削除するよう前記第1の管理情報を更新するとともに、前記位置情報を更新する。
【0023】
本態様によれば、制御部が第1の管理情報とともに位置情報を更新することによって、削除された行を詰めない場合においても、スチームトラップの削除処理を適切に実行することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、スチームトラップの検索処理の所要時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態に係る計測装置の構成を簡略化して示すブロック図である。
図2】管理情報の一例を示す図である。
図3】位置情報の一例を示す図である。
図4】管理情報の一例を示す図である。
図5】管理情報の一例を示す図である。
図6】更新された位置情報の一例を示す図である。
図7】管理情報の一例を示す図である。
図8】更新された位置情報の一例を示す図である。
図9】管理情報の一例を示す図である。
図10】更新された位置情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0027】
蒸気配管系を備えたプラント等においては、配管系内に生じた復水(ドレン)を配管系の外部に排出するために、配管系の適所に複数のスチームトラップが設置されている。スチームトラップは、定期的に又は不定期的に、その状態が点検される。作業者は、可搬型の計測装置を携帯してプラント内を移動することにより、計測装置によって各スチームトラップを順に点検する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る計測装置1の構成を簡略化して示す図である。計測装置1は、制御部2、記憶部3、操作部4、表示部5、計測部6、及び通信部7を備えている。
【0029】
記憶部3は、フラッシュメモリ等の書き換え可能な半導体メモリ等を用いて構成されている。記憶部3には、管理情報11及び位置情報12が記憶されている。これらの情報の詳細については後述する。
【0030】
操作部4は、作業者が各種の情報を入力するための操作スイッチ等によって構成されている。表示部5は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成されている。但し、タッチパネル式ディスプレイを使用することにより、操作部4と表示部5とが一体として構成されても良い。
【0031】
計測部6は、温度センサ及び振動センサを含む。温度センサは、熱電対、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。作業者が計測装置1の探針(図略)を測定対象であるスチームトラップに押し当てることにより、温度センサは、スチームトラップの表面温度を測定し、その測定結果を示す温度データを出力する。振動センサは、圧電素子、増幅回路、及びAD変換回路等を用いて構成されている。作業者が上記探針を測定対象であるスチームトラップに押し当てることにより、振動センサは、測定対象であるスチームトラップの振動強度を測定し、その測定結果を示す振動データを出力する。
【0032】
通信部7は、Bluetooth(登録商標)等の任意の通信方式に対応した通信機器を用いて構成されている。但し、計測装置1は、通信部7に代えて又は通信部7に加えて、SDカード等の任意の記憶媒体に対してデータの読み出し及び書き込みを行うためのカードアクセス部を備えても良い。計測装置1の外部のサーバ装置等によって作成された管理情報11が、通信部7を介して計測装置1に入力され、記憶部3に記憶される。
【0033】
制御部2は、マイクロコントローラ等を用いて構成されている。マイクロコントローラは、CPU及び内部メモリ等を含む。制御部2は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能として、診断部を有しても良い。診断部は、計測部6から入力された計測データ(温度データ及び振動データ)に基づいて各スチームトラップの状態を診断し、その診断の結果を示す診断データを出力する。例えば、診断部は、計測部6から入力された温度データと予め設定された所定の温度しきい値とを比較し、また、計測部6から入力された振動データと予め設定された所定の振動しきい値とを比較する。診断部は、これら二つの比較結果の組合せに応じて、各スチームトラップが正常であるか異常(蒸気漏出、ドレン排出不良、又は閉塞)であるかを診断する。制御部2は、各スチームトラップの計測データ及び診断データを含めて結果情報を作成し、当該結果情報を表示部5に表示するとともに、記憶部3に記憶されている管理情報11に当該結果情報を追加する。また、表示部5には、作業者による操作部4への入力操作によって、管理情報11に含まれている複数のスチームトラップの中から所望のスチームトラップを検索するための検索画面を表示可能である。
【0034】
図2は、管理情報11の一例を示す図である。管理情報11は、複数のスチームトラップを管理するための管理台帳に相当する。管理情報11は、計測装置1の外部のサーバ装置等によって作成される。点検対象のプラントは例えば建屋単位に相当する複数のエリアを有しており、サーバ装置は、各エリア内における複数のスチームトラップの設置箇所を示すエリアマップ情報を、プラントの管理端末等から取得する。サーバ装置は、過去に管理情報11が作成されていない新規のプラントに関しては、エリアマップ情報に基づいて新規に管理情報11を作成する。また、サーバ装置は、過去に管理情報11が作成されている既存のプラントに関しては、管理している既存の管理情報11を最新のエリアマップ情報に基づいて更新することによって、今回の点検用の管理情報11を作成する。
【0035】
管理情報11は例えばCSVファイルであり、ファイルの行番号と、各エリアの識別情報であるエリアIDと、各スチームトラップの識別情報であるトラップIDと、各スチームトラップの製造メーカ名及び型式名を含む属性情報と、使用圧力及び設定温度を含む動作情報と、結果情報との対応関係が、複数のスチームトラップの各々毎に管理情報11に記述されている。結果情報は、点検日、計測データ、及び診断データを含む。今回の定期点検が実施される前の事前準備の段階では、結果情報の項目は空欄となっている。
【0036】
各スチームトラップのエリアID、トラップID、属性情報、及び動作情報が上記エリアマップ情報に含まれている場合には、サーバ装置は、これらの情報を当該エリアマップ情報から抽出することが可能である。あるいは、これらの情報が上記エリアマップ情報に含まれていない場合には、オペレータによる操作端末(PC等)のキーボード入力等に応じて、操作端末からサーバ装置にこれらの情報が入力されても良い。
【0037】
管理情報11(第1の管理情報)は、エリアIDが共通する複数のトラップIDをエリア単位でまとめて並べた複数のブロックを含む。図2の例では、ブロックB01には共通のエリアID(A01)を有する複数のトラップID(T1001~T1100)が含まれ、ブロックB02には共通のエリアID(A02)を有する複数のトラップID(T2001~T2200)が含まれ、ブロックB10には共通のエリアID(A10)を有する複数のトラップID(T9001~T9100)が含まれる。また、図2の例では、ブロックB01は行番号L0001~L0100に対応し、ブロックB02は行番号L0101~L0300に対応し、ブロックB10は行番号L5101~L5200に対応する。
【0038】
サーバ装置は、作成した管理情報11を計測装置1に送信する。計測装置1において、通信部7は、サーバ装置から送信された管理情報11を受信して、当該管理情報11を制御部2に入力する。制御部2は、通信部7から入力された管理情報11を記憶部3に記憶する。あるいは、管理情報11はSDカード等の任意の記憶媒体に格納され、計測装置1のカードアクセス部が当該記憶媒体から管理情報11を読み出して、当該管理情報11を制御部2に入力しても良い。
【0039】
また、制御部2は、入力された管理情報11に基づいて位置情報12を作成し、当該位置情報12を記憶部3に記憶する。位置情報12は、管理情報11に含まれている複数のブロックの各ブロックの先頭位置及び最後尾位置を示す情報である。
【0040】
図3は、位置情報12の一例を示す図である。図3の例では、ブロックB01に対応するエリアID(A01)に関して、ブロックB01の先頭位置に対応する先頭行番号L0001と、ブロックB01の最後尾位置に対応する最後尾行番号L0100とが記述されている。また、ブロックB02に対応するエリアID(A02)に関して、ブロックB02の先頭位置に対応する先頭行番号L0101と、ブロックB02の最後尾位置に対応する最後尾行番号L0300とが記述されている。また、ブロックB10に対応するエリアID(A10)に関して、ブロックB10の先頭位置に対応する先頭行番号L5101と、ブロックB10の最後尾位置に対応する最後尾行番号L5200とが記述されている。
【0041】
定期点検の作業者は、計測装置1を携帯してプラント内を移動することにより、計測装置1によって各スチームトラップを順に点検する。
【0042】
その際、作業者によるスイッチ操作等に応じて操作部4から制御部2に要求信号が入力されることにより、制御部2は、事前準備で記憶部3に記憶した管理情報11を表示部5に表示する。これにより、作業者は、各エリア内に設置されている複数のスチームトラップの各々のトラップID及び属性情報等を、表示部5の画面上で確認することができる。
【0043】
作業者は、今回の計測対象であるスチームトラップの設置箇所に移動し、操作部4のスイッチ操作によって、管理情報11に含まれている複数のスチームトラップの中から今回の計測対象である一のスチームトラップを選択する。これにより、スチームトラップの選択情報が、操作部4から制御部2に入力される。
【0044】
次に、作業者は、計測装置1の探針(図略)を、計測対象であるスチームトラップに押し当てる。これにより、計測部6から制御部2に計測データ(温度データ及び振動データ)が入力される。制御部2が上記診断部を有している場合、診断部は、計測部6から入力された計測データに基づいて、計測対象であるスチームトラップの状態を診断する。
【0045】
制御部2は、診断部による診断の結果を示す診断データを、表示部5に入力する。これにより、計測対象であるスチームトラップに関する診断結果が、表示部5に表示される。
【0046】
また、制御部2は、点検日、計測データ、及び診断データを含めて結果情報を作成し、当該結果情報を、記憶部3に記憶されている管理情報11のうち上記選択情報によって特定される対応箇所に追記する。結果情報が管理情報11の対応箇所に追記されることにより、各スチームトラップの結果情報が、各スチームトラップのトラップIDに関連付けられて、記憶部3に記憶されることとなる。
【0047】
また、作業者は、あるエリアに関するスチームトラップの検索要求を、操作部4のスイッチ操作によって入力することができる。操作部4は、エリアID及びトラップIDを含む検索要求を、制御部2に入力する。操作部4から検索要求が入力された場合、制御部2は、記憶部3に記憶されている位置情報12に基づき、複数のブロックのうち当該エリアに対応するブロックのみを対象として、管理情報11内でスチームトラップの検索を実行する。つまり、制御部2は、検索要求に含まれるエリアIDに対応する先頭行番号から最後尾行番号までの範囲内に、検索範囲を限定する。例えば、エリアID(A01)のエリアに含まれるスチームトラップの検索要求が入力された場合、制御部2は、位置情報12に基づき、エリアID(A01)に対応する先頭行番号L0001から最後尾行番号L0100までの範囲を検索対象として、スチームトラップの検索を実行する。この例の場合、エリアID(A01)に対応するブロックB01以外の他のブロックB02~B10(行番号L0101~L5200)は、検索範囲から除外される。
【0048】
また、作業者は、操作部4のスクロールボタンを用いた連続的な検索を行うこともできる。連続的な検索には、行番号の小さい方から大きい方へ向かう下スクロール検索と、行番号の大きい方から小さい方へ向かう上スクロール検索とが含まれる。
【0049】
下スクロール検索において、検索要求に含まれるエリアIDに対応するブロックの先頭位置から最後尾位置に向かう方向の連続的な検索が当該最後尾位置に到達した場合、制御部2は、当該最後尾位置の次に当該ブロックの当該先頭位置を検索し、以降は当該先頭位置から当該最後尾位置に向かう方向の連続的な検索を継続する。例えば、検索要求に含まれるエリアID(A01)に対応するブロックB01に関する下スクロール検索がブロックB01の最後尾行番号L0100に到達した場合、制御部2は、当該最後尾行番号L0100の次に当該ブロックB01の先頭行番号L0001を検索し、以降は先頭行番号L0001から最後尾行番号L0100に向かう下スクロール検索を継続する。この例の場合、エリアID(A01)に対応するブロックB01以外の他のブロックB02~B10(行番号L0101~L5200)は、下スクロール検索の検索範囲から除外される。
【0050】
同様に、上スクロール検索において、検索要求に含まれるエリアIDに対応するブロックの最後尾位置から先頭位置に向かう方向の連続的な検索が当該先頭位置に到達した場合、制御部2は、当該先頭位置の次に当該ブロックの当該最後尾位置を検索し、以降は当該最後尾位置から当該先頭位置に向かう方向の連続的な検索を継続する。例えば、検索要求に含まれるエリアID(A02)に対応するブロックB02に関する上スクロール検索がブロックB02の先頭行番号L0101に到達した場合、制御部2は、当該先頭行番号L0101の次に当該ブロックB02の最後尾行番号L0300を検索し、以降は最後尾行番号L0300から先頭行番号L0101に向かう上スクロール検索を継続する。この例の場合、エリアID(A02)に対応するブロックB02以外の他のブロックB01,B03~B10(行番号L0001~L0100,L0301~L5200)は、上スクロール検索の検索範囲から除外される。
【0051】
本実施の形態に係る計測装置1によれば、あるエリアに関するスチームトラップの検索要求が操作部4から入力された場合、制御部2は、各ブロックの先頭位置及び最後尾位置を示す位置情報12に基づき、複数のブロックのうち当該エリアに対応するブロックのみを対象としてスチームトラップの検索を実行する。従って、全エリアを対象とした検索が実行される場合と比較して、スチームトラップの検索処理の所要時間を短縮できる。その結果、作業効率を向上できるとともに、表示部5の表示がフリーズしているかのように見えることもないため作業者の不満感及び不安感を解消することが可能となる。
【0052】
また、制御部2は、下スクロール検索において、あるブロックの先頭位置から最後尾位置に向かう方向の連続的な検索が当該最後尾位置に到達した場合、当該最後尾位置の次に当該ブロックの当該先頭位置を検索する。同様に、制御部2は、上スクロール検索において、あるブロックの最後尾位置から先頭位置に向かう方向の連続的な検索が当該先頭位置に到達した場合、当該先頭位置の次に当該ブロックの当該最後尾位置を検索する。これにより、検索要求に係るスチームトラップが含まれるブロックとは異なるブロックを、検索対象から除外することができる。
【0053】
<第1変形例>
本変形例では、複数のトラップIDがエリア単位でまとめられていない管理情報13(第2の管理情報)が、通信部7(又はカードアクセス部)から制御部2に入力された場合の処理について説明する。
【0054】
図4は、管理情報13の一例を示す図である。図4に示すように、管理情報13においては複数のトラップIDがエリア単位でまとめて並べられておらず、エリアIDの配列順序が少なくとも一部において前後している。制御部2は、通信部7から入力された管理情報13において複数のトラップIDがエリア単位でまとめて並べられていない場合には、当該複数のトラップIDをエリアIDが共通するエリア単位でまとめて並び替えることによって管理情報11(図2)を作成し、当該管理情報11を記憶部3に記憶する。また、制御部2は、作成した管理情報11に基づいて位置情報12(図3)を作成し、当該位置情報12を記憶部3に記憶する。
【0055】
本変形例によれば、トラップIDを並び替える処理を制御部2が実行することによって、トラップIDがエリア単位でまとめられていない管理情報13から、トラップIDがエリア単位でまとめられた管理情報11を適切に作成することができる。
【0056】
<第2変形例>
本変形例では、作業者が管理情報11に含まれていない新たなスチームトラップを発見した場合の、スチームトラップの追加処理について説明する。
【0057】
作業者は、点検作業において管理情報11に含まれていない新たなスチームトラップを発見した場合、計測装置1を用いてスチームトラップの追加処理を行うことができる。
【0058】
作業者は、計測装置1の操作部4を用いた入力操作によって、あるエリアに関するスチームトラップの追加要求を入力する。追加要求には、少なくともエリアID及びトラップIDが含まれる。追加要求には、属性情報及び動作情報が含まれても良い。操作部4は、追加要求を制御部2に入力する。制御部2は、操作部4から追加要求が入力された場合、当該エリアIDに対応するブロック内に当該スチームトラップのトラップIDを追加(行挿入)するよう管理情報11を更新する。追加位置は、例えば当該ブロックの最後尾である。また、行挿入に伴い各ブロックの先頭行番号及び最後尾行番号が変更された場合には、制御部2は、その変更を反映させるように位置情報12を更新する。
【0059】
図5は、管理情報11の一例を示す図である。ブロックB01の最後尾(行番号L0101)にトラップID(T1101)が行挿入されている。これに伴い、ブロックB01の最後尾行番号と、ブロックB02~B010の先頭行番号及び最後尾行番号とが、図2から変更されている。
【0060】
図6は、更新された位置情報12の一例を示す図である。制御部2は、管理情報11の更新に伴う各ブロックの先頭行番号及び最後尾行番号の変更内容を反映させるように、位置情報12を更新する。図6の例では、ブロックB01に対応するエリアID(A01)に関して、最後尾行番号がL0100からL0101に更新されている。また、ブロックB02に対応するエリアID(A02)に関して、先頭行番号がL0101からL0102に更新されるとともに、最後尾行番号がL0300からL0301に更新されている。また、ブロックB10に対応するエリアID(A10)に関して、先頭行番号がL5101からL5102に更新されるとともに、最後尾行番号がL5200からL5201に更新されている。
【0061】
本変形例によれば、制御部2が管理情報11とともに位置情報12を更新することによって、スチームトラップの追加処理を適切に実行することができる。
【0062】
<第3変形例>
本変形例では、作業者が管理情報11に含まれているスチームトラップを発見できない場合の、スチームトラップの削除処理の第1の例について説明する。第1の例では、管理情報11において、削除された行を詰める処理が行われる場合について説明する。
【0063】
作業者は、点検作業において管理情報11に含まれているスチームトラップを発見できない場合、計測装置1を用いてスチームトラップの削除処理を行うことができる。
【0064】
作業者は、計測装置1の操作部4を用いた入力操作によって、あるエリアに関するスチームトラップの削除要求を入力する。削除要求には、少なくともエリアID及びトラップIDが含まれる。操作部4は、削除要求を制御部2に入力する。制御部2は、操作部4から削除要求が入力された場合、当該エリアIDに対応するブロックから当該スチームトラップのトラップIDを削除(行削除)するよう管理情報11を更新する。また、削除された行を詰める処理に伴って各ブロックの先頭行番号及び最後尾行番号が変更された場合には、制御部2は、その変更を反映させるように位置情報12を更新する。
【0065】
図7は、管理情報11の一例を示す図である。図2においてブロックB01の行番号L0002に記述されていたトラップID(T1002)が、図7では行削除されている。また、削除された行を詰める処理に伴い、ブロックB01の最後尾行番号と、ブロックB02~B010の先頭行番号及び最後尾行番号とが、図2から変更されている。
【0066】
図8は、更新された位置情報12の一例を示す図である。制御部2は、管理情報11の更新に伴う各ブロックの先頭行番号及び最後尾行番号の変更内容を反映させるように、位置情報12を更新する。図8の例では、ブロックB01に対応するエリアID(A01)に関して、最後尾行番号がL0100からL0099に更新されている。また、ブロックB02に対応するエリアID(A02)に関して、先頭行番号がL0101からL0100に更新されるとともに、最後尾行番号がL0300からL0299に更新されている。また、ブロックB10に対応するエリアID(A10)に関して、先頭行番号がL5101からL5100に更新されるとともに、最後尾行番号がL5200からL5199に更新されている。
【0067】
本変形例によれば、制御部2が管理情報11とともに位置情報12を更新することによって、削除された行を詰める場合においても、スチームトラップの削除処理を適切に実行することができる。
【0068】
<第4変形例>
本変形例では、作業者が管理情報11に含まれているスチームトラップを発見できない場合の、スチームトラップの削除処理の第2の例について説明する。第2の例では、管理情報11において、削除された行を詰める処理が行われない場合について説明する。削除された行を詰める処理が行われない場合には、先頭行及び最後尾行以外の中間行を削除しても先頭行番号及び最後尾行番号は変わらないため、位置情報12の更新は不要である。しかし、先頭行を削除した場合には、先頭行の次の行を新たな先頭行として設定する処理が必要となり、最後尾行を削除した場合には、最後尾行の1行前の行を新たな最後尾行として設定する処理が必要となる。
【0069】
作業者は、点検作業において管理情報11に含まれているスチームトラップを発見できない場合、計測装置1を用いてスチームトラップの削除処理を行うことができる。
【0070】
作業者は、計測装置1の操作部4を用いた入力操作によって、あるエリアに関するスチームトラップの削除要求を入力する。削除要求には、少なくともエリアID及びトラップIDが含まれる。操作部4は、削除要求を制御部2に入力する。制御部2は、操作部4から削除要求が入力された場合、当該エリアIDに対応するブロックから当該スチームトラップのトラップIDを削除(行削除)するよう管理情報11を更新する。また、制御部2は、削除対象が当該ブロックの先頭行である場合には、当該先頭行の次の行が新たな先頭行となるように、位置情報12を更新する。また、制御部2は、削除対象が当該ブロックの最後尾行である場合には、当該最後尾行の1行前の行が新たな最後尾行となるように、位置情報12を更新する。
【0071】
図9は、管理情報11の一例を示す図である。図2においてブロックB01の最後尾行である行番号L0100に記述されていたトラップID(T1100)が、図9では行削除されている。
【0072】
図10は、更新された位置情報12の一例を示す図である。制御部2は、管理情報11の更新に伴う各ブロックの先頭行番号及び最後尾行番号の変更内容を反映させるように、位置情報12を更新する。図10の例では、ブロックB01に対応するエリアID(A01)に関して、最後尾行番号がL0100からL0099に更新されている。但し、本変形例では削除された行を詰める処理は行われないため、ブロックB01における行削除はブロックB02~B010には影響しない。
【0073】
本変形例によれば、削除された行を詰めない場合であっても、ブロックの先頭位置又は最後尾位置に対応するスチームトラップの削除要求が操作部4から入力された場合には、制御部2が管理情報11とともに位置情報12を更新することによって、スチームトラップの削除処理を適切に実行することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 計測装置
2 制御部
3 記憶部
4 操作部
5 表示部
11,13 管理情報
12 位置情報
図1
図2
図3
図4
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図10