(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20240610BHJP
B62B 5/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B62B3/02 E
B62B5/00 C
(21)【出願番号】P 2023115757
(22)【出願日】2023-07-14
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】392011507
【氏名又は名称】日本物流機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】岸 慎也
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-077388(JP,A)
【文献】特開2005-075063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/02
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物を載せるための荷台と、
前記荷台の下面部に旋回可能に取り付けられた前側走行器および後側走行器と、
前記前側走行器および前記後側走行器を対角状に連結する連結棒と、
を備え
た台車であって、
前記連結棒が、取付状態のまま長さ調節可能なターンバックルにより構成され、
前記連結棒は、
直線状に延びる棒本体と、
前記棒本体の一端部に螺合して取り付けられる右ねじ軸と、
前記棒本体の他端部に螺合して取り付けられる左ねじ軸と、
前記右ねじ軸および前記左ねじ軸をそれぞれ前記棒本体に固定する一端側および他端側のロックナットと、
を備え、
前記荷台に、前記台車が直進状態のとき前記棒本体と一端側および他端側の前記ロックナットとを露出させる開口部が設けられている
ことを特徴とする台車。
【請求項2】
前記棒本体は、
中空パイプと、
前記中空パイプの一端部および他端部にそれぞれ固定された右ねじナットおよび左ねじナットと、
を有する
請求項
1に記載の台車。
【請求項3】
前記棒本体は、その回転時に治具が挿入される治具挿入穴を有する
請求項
1に記載の台車。
【請求項4】
前記連結棒は、
前記右ねじ軸および前記左ねじ軸にそれぞれ固定された継手部材
を備える
請求項
1に記載の台車。
【請求項5】
前記ロックナットは、前記右ねじ軸および前記左ねじ軸にそれぞれ螺合されている
請求項
1に記載の台車。
【請求項6】
前記継手部材は、前記右ねじ軸および前記左ねじ軸にそれぞれ挟まれて固定される継手板により形成され、
前記前側走行器および前記後側走行器は、前記継手板を挟む一対の挟持板を有し、
前記継手板および前記挟持板は、連結軸挿入穴を有し、
前記連結軸挿入穴に連結軸が挿入されることにより、前記継手板が前記挟持板に回動可能に接続される
請求項
4に記載の台車。
【請求項7】
前記前側走行器は、その後端部における右側および左側の一方に、前記連結棒を接続させるための前側接続部を有し、
前記後側走行器は、その前端部における右側および左側の他方に、前記連結棒を接続させるための後側接続部を有する
請求項1に記載の台車。
【請求項8】
前記荷台は、その下面部から突出する前側旋回軸および後側旋回軸を有し、
前記前側走行器および前記後側走行器は、前記前側旋回軸および前記後側旋回軸がそれぞれ回転可能に挿入される前側旋回穴および後側旋回穴を有する
請求項1に記載の台車。
【請求項9】
前記前側走行器は、前方に延びる牽引部材を有し、
前記荷台は、後続の台車の前記牽引部材が係合される係合部を有する
請求項1に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は台車に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等において荷物を搬送するために台車が用いられている。複数の台車を連結し、これら台車を牽引車で牽引して多量の荷物を一度に搬送することがある。また、曲がった走行ルート内をできるだけはみ出さないで走行できるようにするため、四輪操舵を可能とした台車も存在する。この台車は、荷物を載せるための荷台と、荷台の下面部に旋回可能に取り付けられた前側走行器および後側走行器と、前側走行器および後側走行器を対角状に連結する連結棒とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした四輪操舵可能な台車を、比較的多くの台数連結して直進方向に牽引した場合、後方の台車が走行ルートから外れることがある。これを解決するため、後方の台車の連結棒を、長さの異なるものに交換することが行われる。しかし、交換したからといって必ずしも問題は解決せず、さらなる交換を強いられることがある。また、使用状況等により外れる方向および量はまちまちであり、連結棒の長さを一律に決められない困難性がある。勿論、現場での交換作業は容易ではなく煩雑である。
【0005】
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、台車が走行ルートから外れる問題を容易に解決できる台車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一の態様によれば、
荷物を載せるための荷台と、
前記荷台の下面部に旋回可能に取り付けられた前側走行器および後側走行器と、
前記前側走行器および前記後側走行器を対角状に連結する連結棒と、
を備え、
前記連結棒が、取付状態のまま長さ調節可能に構成されている
ことを特徴とする台車が提供される。
【0007】
好ましくは、前記連結棒が、ターンバックルにより構成されている。
【0008】
好ましくは、前記連結棒は、
直線状に延びる棒本体と、
前記棒本体の一端部に螺合して取り付けられる右ねじ軸と、
前記棒本体の他端部に螺合して取り付けられる左ねじ軸と、
を備える。
【0009】
好ましくは、前記棒本体は、
中空パイプと、
前記中空パイプの一端部および他端部にそれぞれ固定された右ねじナットおよび左ねじナットと、
を有する。
【0010】
好ましくは、前記棒本体は、その回転時に治具が挿入される治具挿入穴を有する。
【0011】
好ましくは、前記連結棒は、
前記右ねじ軸および前記左ねじ軸をそれぞれ前記棒本体に固定するロックナットと、
前記右ねじ軸および前記左ねじ軸にそれぞれ固定された継手部材と、
を備える。
【0012】
好ましくは、前記ロックナットは、前記右ねじ軸および前記左ねじ軸にそれぞれ螺合されている。
【0013】
好ましくは、前記継手部材は、前記右ねじ軸および前記左ねじ軸にそれぞれ挟まれて固定される継手板により形成され、
前記前側走行器および前記後側走行器は、前記継手板を挟む一対の挟持板を有し、
前記継手板および前記挟持板は、連結軸挿入穴を有し、
前記連結軸挿入穴に連結軸が挿入されることにより、前記継手板が前記挟持板に回動可能に接続される。
【0014】
好ましくは、前記前側走行器は、その後端部における右側および左側の一方に、前記連結棒を接続させるための前側接続部を有し、
前記後側走行器は、その前端部における右側および左側の他方に、前記連結棒を接続させるための後側接続部を有する。
【0015】
好ましくは、前記荷台は、その下面部から突出する前側旋回軸および後側旋回軸を有し、
前記前側走行器および前記後側走行器は、前記前側旋回軸および前記後側旋回軸がそれぞれ回転可能に挿入される前側旋回穴および後側旋回穴を有する。
【0016】
好ましくは、前記前側走行器は、前方に延びる牽引部材を有し、
前記荷台は、後続の台車の前記牽引部材が係合される係合部を有する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、台車が走行ルートから外れる問題を容易に解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図11】連結棒と前側走行器の接続部を示す側面図である。
【
図12】台車の作動を説明するための平面図である。
【
図14】問題発生の原因を説明するための平面図である。
【
図15】連結棒の長さ調節の様子を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
【0020】
図1および
図2は、本実施形態に係る台車の全体を示す平面図および側面図である。台車1の前後左右上下の各方向は図示する通りである。台車1は複数台連結可能であり、四輪操舵(4WS:4 Wheel Steering)可能である。
【0021】
台車1は、荷物を載せるための荷台2と、荷台2の下面部2Aに旋回可能に取り付けられた前側走行器3および後側走行器4と、前側走行器3および後側走行器4を対角状に連結する連結棒5とを備える。本実施形態の連結棒5は、取付状態のまま長さ調節可能に構成されている点に特徴がある。
【0022】
図3および
図4は、荷台2を単体で示す平面図および側面図である。荷台2は、一般的な鋼材(L字鋼等)、鋼管材(角管等)、鋼板等を溶接により組み立てて構成されている。荷台2は、前後対称かつ左右対称に形成されている。荷台2に載せられる荷物は、例えば製品を載せたプラスチック製または金属製パレットである。
【0023】
荷台2は、平面視(
図3)で四角形、特に正方形に形成されている。荷台2は、平面視で四角枠状に形成された荷台フレーム6と、荷台フレーム6の前後左右の四隅の上面部に設けられ荷物が載置される支持板7とを有する。また荷台2は、荷台フレーム6の前後左右の四隅に設けられた規制板8を有する。規制板8は支持板7より僅かに上方に突出され、支持板7から滑り落ちようとする荷物に引っ掛かってその滑落を抑制する。規制板8は平面視L字状に形成され、荷台フレーム6の前後左右の側面部に貼設される。
【0024】
荷台2は、その下面部2Aから下方に突出する前側旋回軸9および後側旋回軸10を有する。前側旋回軸9および後側旋回軸10は、上下方向に延びる断面円形の中実軸により形成され、荷台フレーム6の前側固定板9Aおよび後側固定板10Aにそれぞれ貫通状態で固定されている。前側旋回軸9および後側旋回軸10は、荷台2の左右幅の中心に位置されると共に、前後に離間されている。前側旋回軸9および後側旋回軸10は、前側走行器3および後側走行器4をそれぞれ旋回可能に取り付ける部分となる。なお「旋回」とは、上下方向に延びる軸(上下軸もしくは縦軸)を中心とした回転のことをいう。
【0025】
荷台2の下面部2Aには、後述する前側走行器3および後側走行器4の支持ベアリング34(
図5~
図8参照)がそれぞれ接触され転動される前側転動板11および後側転動板12が設けられている。前側転動板11および後側転動板12は、前側旋回軸9および後側旋回軸10の周囲の位置で、荷台フレーム6の下面部に貼設されている。なお前側旋回軸9および後側旋回軸10は前側転動板11および後側転動板12よりも下方に突出されている。
【0026】
荷台2は、その後面部2Bに、後続の台車1の牽引部材(後述)が係合される係合部13を有する。係合部13は、荷台フレーム6の後面部に取り付けられ側面視(
図4)でコ字状もしくはU字状の係合部材14と、係合部材14に縦貫通して設けられたピン挿通孔15と、ピン挿通孔15に上方から挿通される係合ピン16とを有する。係合部材14の内面部には、牽引部材の直接衝突を回避すべくゴム等の弾性材により形成された緩衝材17が貼設されている。係合ピン16は断面円形で、その上端にはより大径の取っ手18が設けられている。
【0027】
図5および
図6は、前側走行器3を単体で示す平面図および側面図である。なお前側走行器3と後側走行器4はほぼ同様に構成されているので、前側走行器3についてのみ詳しく説明し、後側走行器4については相違点のみを補足的に説明する。
【0028】
前側走行器3は、左右方向に延びるフレーム20と、フレーム20の下面部に取り付けられた左右のキャスター21,22とを有する。フレーム20は、平面視(
図5)において前後方向の長さよりも左右方向の幅が大きい長方形枠状に形成されている。左右のキャスター21,22は、フレーム20の左右の端部の下面部に取り付けられている。これらキャスター21,22は同様であるため、以下、右側のキャスター22についてのみ詳しく説明する。
【0029】
キャスター22は、回転可能な車輪23を有する。本実施形態のキャスター22は、上下軸ないし縦軸回りに車輪23が回転しない(すなわち旋回しない)固定キャスターにより形成されている。
【0030】
キャスター22は、フレーム20の下面部に複数(4つ)のボルト24およびナット25により固定されるベース板26と、ベース板26に固定されて二股状に下方に延出する支持脚27と、支持脚27に挟まれてボルト28により左右軸(左右方向に延びる軸)回りに回動可能に取り付けられたサスペンションアーム29と、サスペンションアーム29の後端部にボルト30により左右軸回りに回転可能に取り付けられた車輪23と、車輪23を路面に押し付けるようにサスペンションアーム29の前端部を上方に向かって付勢するサスペンションスプリング31とを有する。
【0031】
前側走行器3は、前述の前側旋回軸9が回転可能に挿入される前側旋回穴32を有する。前側旋回穴32は、フレーム20の前後長および左右幅の中心位置に設けられたセンターベアリング33の中心穴により形成される。センターベアリング33はボールベアリングにより形成される。センターベアリング33の周囲には、荷台2の前側固定板9Aから下向きの主スラスト荷重を受ける前側スラスト面32Aが形成されている。組立後、前側スラスト面32Aは前側固定板9Aにスライド可能に接触される。
【0032】
また前側走行器3は、荷台2の荷重を補助的に支持すべく、前側旋回穴32ひいては前側固定板9Aの周囲に配置された複数(6つ)の支持ベアリング34を有する。支持ベアリング34もボールベアリングにより形成される。支持ベアリング34は、センターベアリング33の前後に1つずつ、左右に2つずつ、フレーム20に回転可能に設けられる。前後の支持ベアリング34は前後軸回りに回転可能であり、左右の支持ベアリング34は左右軸回りに回転可能である。これら支持ベアリング34は、前側旋回穴32の位置を基準に、前後対称かつ左右対称に配置されている。またこれら支持ベアリング34は、
図6から分かるように、フレーム20から僅かに上方に突出されている。
【0033】
台車1を牽引するため、前側走行器3は前方に延びる牽引部材35を有する。牽引部材35は、フレーム20の前面部に固定され平面視コ字状の牽引フレーム36と、牽引フレーム36の前端部に牽引軸37により回動可能に取り付けられた牽引フック38とを有する。牽引フック38は左右軸回りに回動可能であり、
図5に示すように平面視三角状に形成される。牽引フック38の前端部にはピン挿通孔38Aが設けられる。牽引フック38には、これを手動で昇降もしくは起伏させるための取っ手39が設けられる。
【0034】
前側走行器3は、その後端部における右側に、前述の連結棒5の前端部を接続させるための前側接続部40を有する。前側接続部40は、フレーム20の後面部の右側に固定された上下一対の挟持板41と、これら挟持板41に上下に貫通形成された連結軸挿入穴42とを有する。
【0035】
次に
図7および
図8を参照して、後側走行器4について補足的に説明する。ここで前側走行器3と同様の部分については、一部の例外を除き、図中同一符号を付して説明を省略する。また前側走行器3の部分の名称に含まれる「前側」は、後側走行器4においては「後側」に言い換えるものとする。
【0036】
後側走行器4は、前述の後側旋回軸10が回転可能に挿入される後側旋回穴43を有する。この後側旋回穴43も、ボールベアリングからなるセンターベアリング33により形成される。このセンターベアリング33の周囲には、荷台2の後側固定板10Aから下向きの主スラスト荷重を受ける後側スラスト面43Aが形成されている。組立後、後側スラスト面43Aは後側固定板10Aにスライド可能に接触される。
【0037】
後側走行器4は、その前端部における左側に、前述の連結棒5の後端部を接続させるための後側接続部44を有する。後側接続部44も前側接続部40と同様、一対の挟持板41と連結軸挿入穴42とを有する。
【0038】
後側走行器4には、牽引部材35が設けられていない。
【0039】
図9および
図10は、連結棒5を単体で示す平面図および側面図である。符号Cは連結棒5の中心軸を表す。以下特に断らない限り、中心軸Cを基準とした軸方向、径方向および周方向を単に軸方向、径方向および周方向という。
【0040】
便宜上、図中右側に位置する軸方向一端側を前側とし、図中左側に位置する軸方向他端側を後側とする。
【0041】
連結棒5は、一部の例外を除き、前後対称に構成されている。
【0042】
前述したように、連結棒5は、取付状態のまま長さ調節可能に構成されている。詳細には、連結棒5は、ターンバックルにより構成されている。連結棒5は、軸方向に直線状に延びる棒本体51と、棒本体51の前端部(一端部)に螺合して取り付けられる右ねじ軸52と、棒本体51の後端部(他端部)に螺合して取り付けられる左ねじ軸53とを備える。つまり連結棒5は、棒本体51の両端部に逆ねじを備える。これら棒本体51と、右ねじ軸52と、左ねじ軸53とは、中心軸Cと同軸に配置される。
【0043】
ここで周知のように、右ねじとは、右側に回したときに相手側のねじに向かって進んでいくようなねじである。また逆に左ねじとは、左側に回したときに相手側のねじに向かって進んでいくようなねじである。
【0044】
棒本体51は、その基本部分をなす中空パイプ54と、中空パイプ54の前端部および後端部にそれぞれ固定された右ねじナット55および左ねじナット56とを有する。中空パイプ54は断面円形の鋼管により形成される。右ねじナット55および左ねじナット56は、中空パイプ54の前端面および後端面に、プレートリング55A,56Aを挟んで同軸に配置され、溶接により固定される。
【0045】
詳しくは後述するが、連結棒5の長さ調節時に棒本体51が回転される。この棒本体51の回転を容易に行うため、棒本体51には、治具もしくは工具が挿入される治具挿入穴57が設けられる。治具挿入穴57は、中空パイプ54の前側と後側に設けられ中空パイプ54を径方向に貫通する円形穴により形成される。
【0046】
連結棒5の軸方向において、棒本体51の長さ中心C1に向かう方向を軸方向内側といい、連結棒5の長さ中心C1から離れる方向を軸方向外側という。なお棒本体51の長さ中心C1とは、棒本体51の長さを丁度二等分する位置をいう。
【0047】
右ねじ軸52および左ねじ軸53のうち、軸方向内側に位置する基端部が、右ねじナット55および左ねじナット56に螺合されると共に中空パイプ54内に挿入される。一方、右ねじナット55および左ねじナット56の軸方向外側に位置する、右ねじ軸52および左ねじ軸53の残部ないし先端側部分は、中空パイプ54内に挿入されず、外部に露出されている。
【0048】
この先端側部分に、ロックナット58,59と継手部材60,61が取り付けられる。ロックナット58,59は、右ねじ軸52および左ねじ軸53を棒本体51に固定するためのものであり、右ねじ軸52および左ねじ軸53にそれぞれ螺合されている。継手部材60,61は、連結棒5を前述の前側接続部40および後側接続部44にそれぞれ接続するためのものであり、右ねじ軸52および左ねじ軸53に固定されている。
【0049】
当然に、右ねじ軸52に螺合されたロックナット58は右ねじの雌ねじを有し、左ねじ軸53に螺合されたロックナット59は左ねじの雌ねじを有する。
【0050】
本実施形態の場合、ロックナット58と右ねじナット55の間に、平ワッシャ58Aとスプリングワッシャ58Bが取り付けられている。またロックナット59と左ねじナット56の間に、平ワッシャ59Aとスプリングワッシャ59Bが取り付けられている。但しこれら平ワッシャとスプリングワッシャの少なくとも一方は省略してもよい。
【0051】
例えば、右ねじ軸52を棒本体51に固定するときには、右ねじ軸52上でロックナット58を右回転させ、右ねじナット55に向かってロックナット58を締め付ける。これにより棒本体51に対する右ねじ軸52の回転がロックされ、右ねじ軸52は棒本体51に動かぬよう固定される。左ねじ軸53についても、ロックナット59の回転方向が逆である点を除き同様である。
【0052】
本実施形態のロックナット58は、緩み止め機能を有するナット、例えばUナットまたはナイロンナットにより構成されている。これによりロックナット58の緩みを抑制できる。一方、右ねじナット55および左ねじナット56は、緩み止め機能の無い汎用ナットにより構成されている。これにより長さ調節に際して緩み止め機能が抵抗とならず、棒本体51をスムーズに回転させることができる。
【0053】
継手部材60,61は、右ねじ軸52および左ねじ軸53にそれぞれ挟まれて固定される継手板62,63により形成される。継手板62,63は、平面視(
図9)における前後長が左右幅より長い長方形状に形成される。継手板62,63における軸方向内側の基端部は、右ねじ軸52および左ねじ軸53における軸方向外側の先端面に形成されたスリット64,65に挿入され、右ねじ軸52および左ねじ軸53に溶接される。継手板62,63における軸方向外側の先端部には、連結軸挿入穴66,67が設けられる。
【0054】
次に、台車1の組立方法を説明する。
【0055】
まず、所定の基準長さL0(例えば1000mm)に長さ調節された連結棒5を用意する。このとき
図9に示すように、前後の連結軸挿入穴66,67の穴間距離を連結棒5の長さLとし、この長さLを基準長さL0に合わせる。長さ調節の方法については後に詳しく説明するが、本実施形態では、右ねじ軸52および左ねじ軸53の回転を拘束した状態で棒本体51を回転させるだけで長さ調節できるので、非常に便利である。ロックナット58,59は締め付けられ、連結棒5の長さは基準長さL0に固定される。
【0056】
次に、連結棒5の前後の端部を前側走行器3および後側走行器4にそれぞれ接続する。例えば前側について説明すると、
図11に示すように、前側走行器3の前側接続部40における一対の挟持板41の間に、連結棒5の前側継手部材60、すなわち継手板62を挿入する。そしてこれら挟持板41と継手板62の連結軸挿入穴42,66に、連結軸をなす連結ボルト68を上方から挿入する。下側に突出した連結ボルト68のねじ部69に、緩み止め機能を有するロックナット70を締め付け、連結ボルト68の抜けを防止する。これにより、継手板62が挟持板41に、すなわち連結棒5の前端部が前側走行器3に、上下軸回りに回動可能もしくは旋回可能に接続される。
【0057】
後側についても同様である。
図7~
図10を参照して、後側走行器4の後側接続部44における一対の挟持板41の間に、連結棒5の後側継手部材61、すなわち継手板63を挿入する。そしてこれら挟持板41と継手板63の連結軸挿入穴42,67に、連結軸をなす連結ボルト68を上方から挿入する。下側に突出した連結ボルト68のねじ部69に、緩み止め機能を有するロックナット70を締め付け、連結ボルト68の抜けを防止する。これにより、継手板63が挟持板41に、すなわち連結棒5の後端部が後側走行器4に、上下軸回りに回動可能もしくは旋回可能に接続される。
【0058】
こうして連結棒5が前側走行器3および後側走行器4に接続されると、
図1に示すように、前側走行器3および後側走行器4が、連結棒5により、平面視で対角状に連結される。ここで「対角状に連結される」とは、前側走行器3の右側部分および左側部分の一方と、後側走行器4の右側部分および左側部分の他方とが連結され、平面視において連結棒5が前後方向に対し傾斜された状態で配置されていることをいう。本実施形態では、前側走行器3の右側部分と後側走行器4の左側部分とが連結されるが、これは逆でも構わない。
【0059】
次に、
図1および
図2に示すように、前側走行器3および後側走行器4の上に荷台2を載置する。このとき、荷台2の前側旋回軸9および後側旋回軸10を、前側走行器3の前側旋回穴32(センターベアリング33)、および後側走行器4の後側旋回穴43(センターベアリング33)に、それぞれ上方から旋回可能に嵌合挿入する。これにより、荷台2の前側固定板9Aが前側走行器3の前側スラスト面32Aにスライド可能に接触すると共に、荷台2の後側固定板10Aが後側走行器4の後側スラスト面43Aにスライド可能に接触する。そして荷台2の主の下向き荷重が、前側走行器3および後側走行器4によって支持されるようになる。
【0060】
またこのとき同時に、荷台2の前側転動板11および後側転動板12が、前側走行器3および後側走行器4の支持ベアリング34に近接もしくは接触される。ここで設計上、荷台2の前側旋回軸9および後側旋回軸10を、前側走行器3の前側旋回穴32および後側走行器4の後側旋回穴43に挿入して荷台2を載置したとき、前側転動板11および後側転動板12と支持ベアリング34との間には僅かな隙間が形成され、前側転動板11および後側転動板12と支持ベアリング34とは接触しないようになっている。しかしながら実際には、ガタや重量アンバランス等により、載置状態の荷台2は水平方向に対し僅かに傾く。このとき、傾いた方向に存在する支持ベアリング34が前側転動板11および/または後側転動板12に接触し、荷台2の重量を補助的に支持する。
【0061】
こうして荷台2が載置されると、台車1が完成する。牽引部材35の牽引フック38を牽引車または手で引っ張ることにより、台車1は前方に向かって牽引走行される。
【0062】
図2に示すように、台車1の連結時には、図外左側(後側)の後続台車の牽引部材35が、図示される台車1の係合部13に係合される。このとき、後続台車の牽引フック38の前端部が、台車1の係合部材14の内側に挿入され、係合部材14のピン挿通孔15と、牽引フック38のピン挿通孔38Aとに、係合ピン16が上方から挿通される(
図3~
図6参照)。これにより牽引部材35が係合部13に係合され、台車1が連結される。係合部材14の内面部に緩衝材17が設けられているので、牽引フック38と係合部材14の直接衝突による損傷等を防止できる。係合ピン16は長めに形成されているので、挿通しただけでも自重で抜け止めされる。
【0063】
次に、
図12を参照して台車1の作動を説明する。なお便宜上、図示する台車1では荷台2を省略している。
【0064】
図12(A)は直進時を示し、台車1は前方から牽引力F1により牽引され、前方に向かって直進される。このとき、前側走行器3の向きD1と、後側走行器4の向きD2とは、いずれも同方向で前向きである。前方に直進する前側走行器3が、連結棒5を介して後側走行器4を牽引し,後側走行器4を前方に直進させる。これにより、台車1は、前後方向に延びる直線軌道R1に沿ってスムーズに走行される。
【0065】
図12(B)は左旋回時を示す。このとき台車1は左前から牽引力F2により牽引され、左前に向かって旋回される。このとき、前側走行器3の向きD1が左前に向く。すると、前側走行器3の右側部分が連結棒5を介して後側走行器4の左側部分を引っ張るため、後側走行器4の向きD2が右前に向く。すなわち、前側走行器3と後側走行器4は逆向きになるよう操舵され、ここに逆位相の四輪操舵が実現される。これにより、前側走行器3と後側走行器4は、左側に曲がる曲がり軌道R2に沿ってスムーズに旋回走行できるようになる。
【0066】
図12(C)は右旋回時を示す。このとき台車1は右前から牽引力F3により牽引され、右前に向かって旋回される。このとき、前側走行器3の向きD1が右前に向く。すると、前側走行器3の右側部分が連結棒5を介して後側走行器4の左側部分を押すため、後側走行器4の向きD2が左前に向く。そして前側走行器3と後側走行器4は逆向きになるよう操舵され、逆位相の四輪操舵が実現される。これにより、前側走行器3と後側走行器4は、右側に曲がる曲がり軌道R3に沿ってスムーズに旋回走行できるようになる。
【0067】
台車1の旋回時、前側走行器3および後側走行器4は、荷台2に対して、前側旋回軸9および後側旋回軸10を中心に旋回する。このとき、前側走行器3の前側スラスト面32Aが荷台2の前側固定板9A上を旋回方向にスライドし、後側走行器4の後側スラスト面43Aが荷台2の後側固定板10A上を旋回方向にスライドする。
【0068】
また、荷台2の前側転動板11および後側転動板12の下面に沿って、前側走行器3および後側走行器4の支持ベアリング34が旋回方向に転動する。これにより、荷台2の荷重を支持ベアリング34により支持しながら、前側走行器3および後側走行器4をスムーズに旋回させることができる。
【0069】
さて、前述したように、四輪操舵可能な台車を、比較的多くの台数連結して直進方向に牽引した場合、後方の台車が走行ルートから外れることがある。これを解決するため、後方の台車の連結棒を、長さの異なるものに交換することが行われる。しかし、交換したからといって必ずしも問題は解決せず、さらなる交換を強いられることがある。また、使用状況等により外れる方向および量はまちまちであり、連結棒の長さを一律に決められない困難性がある。勿論、現場での交換作業は容易ではなく煩雑である。
【0070】
以下、この問題点について詳しく説明する。
図13は、本実施形態の台車1を比較的多くの台数連結した場合を示す。本実施形態の連結台数は7台であり、台車1は前方から順に1号車(#1)、2号車(#2)・・・7号車(#7)とする。牽引車で先頭の1号車を引張り、連結した合計7台の台車1を前方に向かって直進させる試験を行った。
【0071】
試験結果によると、後方の台車1(例えば5~7号車)で、走行ルートから外れる問題が出ることが判明した。すなわち、連結台数が少ないと問題無いのだが、連結台数が多くなると問題が発生する傾向にある。
【0072】
1台の走行ルートからのズレ量が少なくても、2台、3台・・・と連結していくと、後方の車両にいくほど、ズレ量が累積して多くなる。これが、連結台数を多くしたときに問題が発生する原因の一つである。
【0073】
図14は、問題発生の原因を分かり易く説明するための図である。ここでも便宜上、荷台2は省略して示す。
【0074】
まず
図14(A)は、ズレが発生しない理想的な台車1を示す。この台車1では、直進時、前側走行器3の向きD1と後側走行器4の向きD2とが真っ直ぐ前を向いている。よって台車1は、直線軌道R1に沿って真っ直ぐ正確に前進走行する。
【0075】
しかし、個体毎の寸法バラツキ等により、台車1は必ずしも理想的な状態とはならない。そのため台車1にはズレが発生する。
【0076】
図14(B)は、右側にズレる問題のある台車1を示す。この台車1では、直進時、前側走行器3の向きD1は真っ直ぐ前を向いているが、後側走行器4の向きD2は、右前を向いている。よって後側走行器4が右前に向かって走行しようとし、その結果、台車全体として、直線軌道R1から右側にズレた状態で直進してしまう。
【0077】
図14(C)は逆に、左側にズレる問題のある台車1を示す。この台車1では、直進時、前側走行器3の向きD1は真っ直ぐ前を向いているが、後側走行器4の向きD2は、左前を向いている。よって後側走行器4が左前に向かって走行しようとし、その結果、台車全体として、直線軌道R1から左側にズレた状態で直進してしまう。
【0078】
こうしたズレの問題を解消するため、一般的には、台車1の連結棒(便宜上、符号5で示す)を別の長さのものに交換することが行われる。例えば
図14(B)に示すような右側にズレる台車1の場合、より長い連結棒5に交換すると、後側走行器4の向きD2を左側に向かって補正し、前向きに近づけることができる。また
図14(C)に示すような左側にズレる台車1の場合だと、より短い連結棒5に交換すれば、後側走行器4の向きD2を右側に向かって補正し、前向きに近づけることができる。
【0079】
しかし、交換したからといって必ずしも問題は解決せず、さらなる交換を強いられることがある。また、使用状況によりズレる方向および量はまちまちであり、連結棒の長さを一律に決められない困難性がある。勿論、現場での交換作業は容易ではなく煩雑である。
【0080】
そこで本実施形態では、連結棒5が、取付状態のまま長さ調節可能に構成されている。これにより、連結棒5を台車1から取り外すことなく、取付状態のまま長さ調節できる。そのため、連結棒5の長さ調節により後側走行器4の向きD2を補正し、前向きに近づけ、台車1の直進性を向上できる。よって、台車1が走行ルートから外れる問題を容易に解決することができる。
【0081】
特に
図13に示したように、台車1を比較的多くの台数連結した場合、走行ルートから外れ易い後方の台車1で、連結棒5の長さ調節を行うことにより、連結台数が多くなった場合でも、全数の台車1を走行ルート内に確実に維持することができる。
【0082】
とりわけ本実施形態では、連結棒5が、上述したようなターンバックルにより構成されている。これにより、連結棒5の長さ調節を極めて容易に行うことができる。
【0083】
図9および
図10に示すように、連結棒5の長さ調節に際しては、ロックナット58,59を緩め、右ねじ軸52および左ねじ軸53を右ねじナット55および左ねじナット56に対し自由に回転できるようにしておく。そして棒本体51を回転させる。このとき、棒本体51の治具挿入穴57に、ドライバ等の棒状治具を差し込んで回転できるので、非常に便利である。もっとも、手回しで回転させても何等差し支えない。
【0084】
図1に示すように、荷台2の中央部には、連結棒5のほぼ全体、特にロックナット58,59と棒本体51を露出させる四角形(正方形)の開口部71が設けられている。従ってこの開口部71を通じて上方から連結棒5にアクセス可能であり、連結棒5の長さ調節を容易に行うことができる。
【0085】
図11に示したように、右ねじ軸52および左ねじ軸53に固定された継手部材60,61が、前側走行器3および後側走行器4の前側接続部40および後側接続部44に接続されている。そのため、右ねじ軸52および左ねじ軸53の回転が規制されており、棒本体51を回転させても、右ねじ軸52および左ねじ軸53は回転しない。そのため、棒本体51を回転させると、右ねじ軸52および左ねじ軸53が同時に、右ねじナット55および左ねじナット56に対して進退移動する。よって棒本体51を回転させるだけで、連結棒5の長さを極めて容易に調節することができる。
【0086】
図9に示すように、例えば棒本体51を、前方から見て矢印aで示すような左回り(反時計回り)に回転させたとする。するとこれは、前側の右ねじ軸52にとって、矢印bで示すような、右ねじナット55に入っていく右回り(時計回り)回転となる。一方、後側の左ねじ軸53にとっても、矢印cで示すような、左ねじナット56に入っていく右回り回転(後方から見たときは左回り回転)となる。これにより、連結棒5の長さは短くされる。
【0087】
逆に、棒本体51を、前方から見て右回り回転させれば、前側の右ねじ軸52は相対的に左回り回転され、後側の左ねじ軸53も相対的に左回り回転(後方から見て右回り回転)され、連結棒5の長さは長くされる。
【0088】
こうして連結棒5の長さが調節されたら、ロックナット58,59を緩め付けて完了する。結局、ロックナット58,59の緩め、棒本体51の回転、ロックナット58,59の緩め付けという3ステップだけで、連結棒5の長さを調節できるので、極めて便利であるし、現場での調節にも最適である。調節後、問題が解決しなかった場合でも、再度簡単に調節できるので、煩雑性を解消することができる。つまり、個々の台車1を使用状況に合わせて最適、容易かつ迅速にセッティングすることができる。
【0089】
図15は、本実施形態の台車1における連結棒5の長さ調節の様子を示す。
図15(A)~(C)はいずれも、台車1を前方に向かって直進させたときの様子を示す。理想的な走行ルートの左右の境界線をAL,ARで示す。これら境界線AL,ARの間隔は台車1の左右幅に等しい。
【0090】
図15(A)は、台車1が走行ルートから左側にズレたときの様子を示す。ズレ量は比較的大きいB1であり、このとき連結棒5の長さは長すぎると考えられる。なお例えば、ズレ量の上限値Bmaxは50mmであり、上記ズレ量B1は60mmであり、上限値Bmaxを超えてしまっている。
【0091】
この結果を受け、連結棒5の長さがより短く調節される。そのときの結果を
図15(B)に示す。
図15(B)では、台車1が走行ルートから右側にズレているが、ズレ量はより小さいB2=30mmであり、上限値Bmax未満に収まっている。よってこのときの連結棒5の長さは概ね適切と考えられる。
【0092】
一方、
図15(C)は、
図15(A)の結果を受け、連結棒5の長さを短くし過ぎてしまったときの結果を示す。
図15(C)では、台車1が走行ルートから右側に比較的大きくズレており、ズレ量B3は上限値Bmaxを超えた75mmである。よってこのときには連結棒5の長さを再調節して幾分か長くし、ズレ量を上限値Bmax以内に収めるのが適切である。
【0093】
本実施形態の連結棒5は、基準長さL0(例えば1000mm)に対し、±ΔL(例えば10mm)の範囲内で長さ調節可能である。なおΔLは所定の調節幅である。
【0094】
ところで、荷台2の前後長を変更し、前側走行器3および後側走行器4の間隔を変更すると、基準長さL0を変更した連結棒5を用意する必要がある。この場合でも、本実施形態では、長さの異なる中空パイプ54に変更するだけでよいので、別寸法の連結棒5を低コストで容易に作製でき、汎用性を高められる。
【0095】
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示の実施形態および変形例は他にも様々考えられる。
【0096】
(1)例えば、連結棒5における右ねじ軸52および左ねじ軸53の配置を前後逆にしてもよい。そしてこれに伴って、右ねじナット55および左ねじナット56とロックナット58,59との配置を前後逆にしてもよい。
【0097】
(2)連結棒5の棒本体51の外周部に、治具もしくは工具を係合させるための治具係合部を設けてもよい。例えば、棒本体51の外周部に、治具係合部として、スパナを係合させるための六角部、四角部または対面部を設けてもよい。
【0098】
(3)連結棒5の棒本体51を、中実軸と、中実軸の両端部に雌ねじ加工により形成された右雌ねじおよび左雌ねじで構成してもよい。
【0099】
(4)連結棒5が接続される前側接続部40および後側接続部44の配置を左右逆にしてもよい。
【0100】
(5)ロックナット58,59には、緩み止め機能の無い汎用ナットを用いてもよい。また可能であれば、ロックナット58,59を省略してもよい。
【0101】
本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 台車
2 荷台
2A 下面部
3 前側走行器
4 後側走行器
5 連結棒
9 前側旋回軸
10 後側旋回軸
13 係合部
32 前側旋回穴
35 牽引部材
40 前側接続部
41 挟持板
42,46 連結軸挿入穴
43 後側旋回穴
44 後側接続部
51 棒本体
52 右ねじ軸
53 左ねじ軸
54 中空パイプ
55 右ねじナット
56 左ねじナット
57 治具挿入穴
58,59 ロックナット
60,61 継手部材
62,63 継手板
68 連結ボルト
【要約】
【課題】台車が走行ルートから外れる問題を容易に解決する。
【解決手段】台車1は、荷物を載せるための荷台2と、荷台の下面部2Aに旋回可能に取り付けられた前側走行器3および後側走行器4と、前側走行器および後側走行器を対角状に連結する連結棒5とを備える。連結棒が、取付状態のまま長さ調節可能に構成されている。
【選択図】
図1