(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】プッシュプル式ステッキ
(51)【国際特許分類】
A45B 9/04 20060101AFI20240610BHJP
A45B 7/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A45B9/04 Z
A45B7/00 Z
(21)【出願番号】P 2023142430
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-09-29
(32)【優先日】2023-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】523177920
【氏名又は名称】得圓外骨馳有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李俊賢
(72)【発明者】
【氏名】劉志浩
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103355881(CN,A)
【文献】特開2014-180425(JP,A)
【文献】特開2014-200380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45B 1/00~ 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の歩行を補助するためのプッシュプル式ステッキであって、
端部に設けられるステッキ端を含むステッキシャフト、
取り外し可能に前記ステッキシャフトの前記ステッキ端に接続され、接続部、回転軸及び当接構造を含み、前記接続部は前記ステッキ端を収容するための固定孔を含み、前記回転軸は前記接続部に対向して設けられるとともに前記ステッキシャフトの方向に沿って移動可能であり、前記当接構造は前記接続部に対向して設けられるとともに前記接続部と前記回転軸の間に位置するプッシュプルホイールベース、及び
前記回転軸に設けられ、前記回転軸を軸心として回動するとともに、地面と接触するために用いられるホイール、を含み、
前記ステッキシャフトが前記ステッキ端により地面に向かって力を付与する際、前記回転軸は前記ステッキシャフトに向かう方向に移動し、且つ、前記当接構造が前記ホイールに当止することで、前記ホイールの回動を停止させ、
前記ステッキ端が前記使用者の後方に位置し、且つ前記ステッキシャフトが前記使用者の足取りに合わせて前方へ移動する際、前記回転軸は前記ステッキシャフトから離隔する方向に移動し、前記ホイールは地面に沿って転動する
ものであり、
前記ホイールは、互いに対向して設けられる2つのホイールハブを含み、これらのホイールハブは貫通孔をそれぞれ含み、前記ホイールは、これらのホイールハブの前記貫通孔を通じて前記回転軸に設けられるものであり、
これらのホイールハブは、前記貫通孔から突出する突出構造をそれぞれ含み、且つ、前記回転軸は陥凹構造を含み、前記ホイールが前記回転軸に設けられる際、前記これらのホイールハブの前記突出構造は前記陥凹構造内に規制されるプッシュプル式ステッキ。
【請求項2】
前記プッシュプルホイールベースは、更に、前記接続部に対向して設けられる第1挟持アーム及び第2挟持アームを含み、前記回転軸は前記第1挟持アームと前記第2挟持アームに跨設され、前記当接構造及び前記ホイールは前記第1挟持アームと前記第2挟持アームの間に位置する請求項1に記載のプッシュプル式ステッキ。
【請求項3】
前記第1挟持アームは第1長孔を含み、且つ、前記第2挟持アームは第2長孔を含み、前記第1長孔及び前記第2長孔は、前記ステッキシャフトの方向に沿って延設されるとともに互いに対応しており、前記回転軸の両端は、前記第1長孔及び前記第2長孔内にそれぞれ設けられて、前記第1長孔及び前記第2長孔内で移動する請求項
2に記載のプッシュプル式ステッキ。
【請求項4】
前記プッシュプルホイールベースは、前記第1挟持アーム及び前記第2挟持アームの外側の表面にそれぞれ設けられるとともに、前記第1長孔及び前記第2長孔を覆うために用いられる2つのカバープレートを含む請求項
3に記載のプッシュプル式ステッキ。
【請求項5】
前記第1挟持アームと前記第2挟持アームとの距離は前記ホイールの幅に対応している請求項
2に記載のプッシュプル式ステッキ。
【請求項6】
前記ステッキシャフトは掛合構造を含み、且つ、前記接続部は前記掛合構造に適合する掛合リングを含み、前記掛合リングは、前記掛合構造に覆設されて、前記プッシュプルホイールベースを前記ステッキシャフトに固定するために用いられる請求項1に記載のプッシュプル式ステッキ。
【請求項7】
更に、泥除け及び脚パッドを含み、且つ、前記ステッキシャフトは雄ネジを含み、前記泥除けは、前記雄ネジに適合する雌ネジを有するホールを含み、且つ、前記泥除けは、前記雌ネジを通じて前記ステッキシャフトに設けられ、前記脚パッドは、前記ステッキ端を収容するための凹溝構造を含む請求項1に記載のプッシュプル式ステッキ。
【請求項8】
前記ステッキシャフトは伸縮シャフトである請求項1に記載のプッシュプル式ステッキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッキに関し、特に、ホイールを組み合わせて使用者の歩行を補助するプッシュプル式ステッキに関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展や生活水準の向上に伴って、電子製品に対する人々の依存度が高まっており、文明病も年々増加している。そのため、身体の健康を維持すべく、人々は運動をますます重視するようにもなっている。ジョギングやランニングは、一般的な運動種目の一つである。ところが、長期的なランニングは、膝関節や腰部の負担を増加させ、摩耗させることがあり、高齢者の場合には、更に深刻な運動障害を招来する場合もある。このことから、ステッキウォーキング運動が発展してきた。
【0003】
ステッキウォーキング運動とは、両手で2本のウォーキングステッキをそれぞれ握り、歩行の足取りに合わせることで、活動に対する四肢の同時関与を実現する運動種目である。ステッキウォーキング運動は、歩幅や歩行姿勢を調整可能なだけでなく、手部やひじ部及び肩を同時に伸ばすことも可能であり、且つ、腰部の回転動作が可能となる。これにより、運動量が増加し、カロリー消費が増え、且つ血液循環が促進されるため、呼吸、心血管、膝関節、腰部及び中枢神経系の問題が改善される。
【0004】
一般的に、人々は、足取りに合わせてウォーキングステッキを持ち上げ、前方に移動させたあと、ウォーキングステッキを地面に支持する。そして、ウォーキングステッキを支点として力を付与し、前進のための押力を発生させて足を踏み出すことでステッキウォーキング運動を行う。しかし、ウォーキングステッキを持ち上げて前方に移動させる際にはウォーキングステッキを地面から引き離す必要があり、且つ、ウォーキングステッキは一定の重量を有している。よって、不要な体力を消耗するだけでなく、長時間に及ぶと手首の負担にもなり、別の運動障害を招来してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記に鑑みて、本発明は、使用者の歩行を補助するためのプッシュプル式ステッキを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
プッシュプル式ステッキは、ステッキシャフト、プッシュプルホイールベース及びホイールを含む。ステッキシャフトは、ステッキシャフトの端部に設けられるステッキ端を含む。プッシュプルホイールベースは、取り外し可能にステッキシャフトのステッキ端に接続されるとともに、接続部、回転軸及び当接構造を含む。接続部は、ステッキ端を収容するための固定孔を含む。回転軸は、接続部に対向して設けられるとともに、ステッキシャフトの方向に沿って移動可能である。当接構造は、接続部に対向して設けられるとともに、接続部と回転軸の間に位置する。ホイールは回転軸に設けられる。ホイールは、回転軸を軸心として回動するとともに、地面と接触するために用いられる。ステッキシャフトがステッキ端により地面に向かって力を付与する際、回転軸はステッキシャフトに向かう方向に移動し、且つ、当接構造がホイールに当止することで、ホイールの回動を停止させる。ステッキ端が使用者の後方に位置し、且つステッキシャフトが使用者の足取りに合わせて前方へ移動する際、回転軸はステッキシャフトから離隔する方向に移動し、ホイールは地面に沿って転動する。
【0007】
ホイールは、互いに対向して設けられる2つのホイールハブを含む。これらのホイールハブは貫通孔をそれぞれ含み、ホイールは、ホイールハブの貫通孔を通じて回転軸に設けられる。
【0008】
更に、これらのホイールハブは、貫通孔から突出する突出構造をそれぞれ含む。且つ、回転軸は陥凹構造を含む。ホイールが回転軸に設けられる際、ホイールハブの突出構造は陥凹構造内に規制される。
【0009】
プッシュプルホイールベースは、更に、接続部に対向して設けられる第1挟持アーム及び第2挟持アームを含む。回転軸は第1挟持アームと第2挟持アームに跨設され、当接構造及びホイールは第1挟持アームと第2挟持アームの間に位置する。
【0010】
更に、第1挟持アームは第1長孔を含み、且つ、第2挟持アームは第2長孔を含む。第1長孔及び第2長孔は、ステッキシャフトの方向に沿って延設されており、且つ互いに対応している。回転軸の両端は、第1長孔及び第2長孔内にそれぞれ設けられて、第1長孔及び第2長孔内で移動する。
【0011】
更に、プッシュプルホイールベースは、第1挟持アーム及び第2挟持アームの外側の表面にそれぞれ設けられるとともに、第1長孔及び第2長孔を覆うために用いられる2つのカバープレートを含む。
【0012】
第1挟持アームと第2挟持アームとの距離はホイールの幅に対応している。
【0013】
ステッキシャフトは掛合構造を含み、且つ、接続部は掛合構造に適合する掛合リングを含む。掛合リングは、掛合構造に覆設されて、プッシュプルホイールベースをステッキシャフトに固定するために用いられる。
【0014】
プッシュプル式ステッキは、更に、泥除け及び脚パッドを含む。且つ、ステッキシャフトは雄ネジを含む。泥除けは、雄ネジに適合する雌ネジを有するホールを含む。且つ、泥除けは、雌ネジを通じてステッキシャフトに設けられる。脚パッドは、ステッキ端を収容するための凹溝構造を含む。
【0015】
ステッキシャフトは伸縮シャフトである。
【発明の効果】
【0016】
以上で述べたように、本発明のプッシュプル式ステッキは、プッシュプルホイールベースとホイールによって、押し動かす際に支点及び摩擦力を発生させることで、前進させるとの目的を達成可能である。また、引き動かす際には、ステッキシャフトを地面から引き離さなくてもホイールにより前方へ移動可能となるため、省力化という効果が達成される。且つ、本発明のプッシュプル式ステッキは、掛合リングと掛合構造によりプッシュプルホイールベースをステッキシャフトに固定可能なため、安定性が向上する。更に、本発明のプッシュプル式ステッキは、ホイールハブの突出構造と回転軸の陥凹構造によって、その他の取付部材を要することなく、回転軸とホイールをプッシュプルホイールベースに設置可能である。且つ、ホイールは軸方向には移動不可能である。これにより、コストが減少するとともに、安定性が増大する。また、本発明のプッシュプル式ステッキは、回転軸への異物の侵入をカバープレートにより防止可能なため、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の具体的実施例に基づくプッシュプル式ステッキの概略構造図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に基づくステッキシャフトとプッシュプルホイールベースの断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1に基づくプッシュプルホイールベースとホイールの分解図を示す。
【
図4A】
図4Aは、本発明の具体的実施例に基づくプッシュプルホイールベースとホイールの断面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本発明の具体的実施例に基づくプッシュプルホイールベースとホイールの断面図を示す。
【
図5A】
図5Aは、本発明の具体的実施例に基づく使用者がプッシュプル式ステッキを使用して歩行する際の概略図を示す。
【
図5B】
図5Bは、本発明の具体的実施例に基づく使用者がプッシュプル式ステッキを使用して歩行する際の概略図を示す。
【
図5C】
図5Cは、本発明の具体的実施例に基づく使用者がプッシュプル式ステッキを使用して歩行する際の概略図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の別の具体的実施例に基づくプッシュプル式ステッキの概略構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の利点、精神及び特徴がより容易且つ明確に理解されるよう、以下では、具体的実施例を用いるとともに、図面を参照して詳述及び議論する。注意すべき点として、これらの具体的実施例は本発明を代表する具体的実施例にすぎず、例示する特定の方法、装置、条件、材質等は、本発明又は対応する具体的実施例を限定するためのものではない。また、図中の各装置は、その相対的位置を表すためのものにすぎず、且つ実際の比率に基づき記載してはいないことを予め説明しておく。
【0019】
図1及び
図2を参照する。
図1は、本発明の具体的実施例に基づくプッシュプル式ステッキ1の概略構造図を示す。
図2は、
図1に基づくステッキシャフト11とプッシュプルホイールベース12の断面図を示す。
図1に示すように、本具体的実施例において、プッシュプル式ステッキ1は、ステッキシャフト11、プッシュプルホイールベース12及びホイール13を含む。プッシュプルホイールベース12はステッキシャフト11の第1端部に接続され、ホイール13は、プッシュプルホイールベース12のうちステッキシャフト11に接続されるのとは別の一端に設けられる。即ち、プッシュプルホイールベース12は、ステッキシャフト11とホイール13の間に位置する。実用において、プッシュプル式ステッキ1は、更に、使用者に握らせるために、ステッキシャフト11の第1端部と対向する第2端部に設けられるグリップ10を含んでもよい。また、ホイール13は、地面に面して、地面と接触するために用いられる。ステッキシャフト11は、固定の長さの丸シャフトとしてもよいが、これに限らない。また、ステッキシャフト11は、伸縮シャフトとし、且つロックを含んでもよい。この場合、使用者は、身長又は使用習慣に応じてステッキシャフト11の長さを調整可能である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、本具体的実施例において、ステッキシャフト11は、ステッキシャフト11の第1端部に設けられるステッキ端111を含む。また、プッシュプルホイールベース12は接続部121を含む。且つ、接続部121は、ステッキ端111を収容してステッキシャフト11と互いに接続するための固定孔1211を含む。実用において、固定孔1211の形状はステッキ端111の形状に対応させてもよい。ステッキシャフト11とプッシュプルホイールベース12を組み付ける際に、ステッキシャフト11のステッキ端111は、プッシュプルホイールベース12の固定孔1211内に嵌入可能である。
【0021】
更に、ステッキシャフト11は掛合構造112を含む。また、プッシュプルホイールベース12の接続部121は、掛合構造112に適合する掛合リング1212を含む。
図2に示すように、掛合構造112は斜面を有してもよい。また、掛合リング1212は弾性を有してもよい。且つ、掛合構造112の高さは掛合リング1212の厚さよりも大きい。ステッキシャフト11とプッシュプルホイールベース12を組み付ける際、掛合リング1212は掛合構造112の斜面に沿って移動する。ステッキシャフト11とプッシュプルホイールベース12が互いに接続されたあと、掛合リング1212は掛合構造112に覆設される。これにより、プッシュプルホイールベース12がステッキシャフト11とは離隔する方向に移動してステッキシャフト11から離脱するとの事態が防止されるため、プッシュプルホイールベース12をステッキシャフト11に固定可能となる。実用において、プッシュプルホイールベース12は取り外し可能な組立体としてもよく、使用者は、歩行時の必要性又は地形に応じてプッシュプルホイールベース12を着脱してもよい。
【0022】
図1及び
図3を参照する。
図3は、
図1に基づくプッシュプルホイールベース12とホイール13の分解図を示す。
図3に示すように、本具体的実施例において、プッシュプルホイールベース12は、回転軸122、当接構造123及び挟持部124を含む。挟持部124は、接続部121に対向して設けられ、回転軸122は動作可能に挟持部124に設けられる。また、当接構造123は、接続部121に対向して設けられるとともに、接続部121と回転軸122の間に位置する。更に、挟持部124は、互いに対向して設けられる第1挟持アーム124Aと第2挟持アーム124Bを含む。且つ、回転軸122の両端は、第1挟持アーム124A及び第2挟持アーム124Bにそれぞれ設けられる。即ち、回転軸122は、第1挟持アーム124Aと第2挟持アーム124Bに跨設される。第1挟持アーム124Aと第2挟持アーム124Bの間には収容空間が形成され、当接構造123は第1挟持アーム124Aと第2挟持アーム124Bの間に位置する。
【0023】
本具体的実施例において、第1挟持アーム124Aは第1長孔125Aを含み、第2挟持アーム124Bは第2長孔125Bを含む。第1長孔125A及び第2長孔125Bは、ステッキシャフト11の方向に沿って延設されており、且つ互いに対応している。また、回転軸122の両端は、第1長孔125A及び第2長孔125B内にそれぞれ設けられる。よって、回転軸122は、第1長孔125A及び第2長孔125B内で移動可能である。つまり、回転軸122は、ステッキシャフト11に向かう方向又は離隔する方向に移動可能である。実用において、回転軸122を単一方向にのみ移動させるよう、回転軸122の直径は第1長孔125A及び第2長孔125Bの幅に対応させてもよい。
【0024】
本具体的実施例において、ホイール13は、互いに対向して設けられる2つのホイールハブ131を含む。また、各ホイールハブ131は貫通孔1311を含む。ホイール13は、ホイールハブ131の貫通孔1311を通じて回転軸122に設けられることで、プッシュプルホイールベース12に取り付けられる。実用において、ホイールハブ131の貫通孔1311のサイズは回転軸122の直径に対応させてもよい。また、第1挟持アーム124Aと第2挟持アーム124Bとの距離はホイールの幅に対応させてもよい。回転軸122がステッキシャフト11の方向に沿って移動する際に、回転軸122はホイール13も移動させる。
【0025】
図3及び
図4Aを参照する。
図4Aは、本発明の具体的実施例に基づくプッシュプルホイールベース12とホイール13の断面図を示す。
図3及び
図4Aに示すように、本具体的実施例において、ホイールハブ131は、貫通孔1311から突出する突出構造1312を含む。また、回転軸122は陥凹構造1221を含む。ホイール13が回転軸122に設けられる際、ホイールハブ131の突出構造1312は回転軸122の陥凹構造1221内に規制される。実用において、ホイールハブ131は、貫通孔1311の周囲を囲むように設けられる4つの弾性片1313を含んでもよい。突出構造1312は、各弾性片1313の端部に設けられるとともに、内側に向かって突出している。注意すべき点として、弾性片及び突出構造の数はこれに限らず、設計又は必要性に応じて決定してもよい。回転軸122の陥凹構造1221は環状凹溝としてもよい。また、陥凹構造1221の幅は、2つのホイールハブ131の突出構造1312の距離に対応させてもよい。
【0026】
ホイール13がプッシュプルホイールベース12に取り付けられる際には、まず、ホイール13が第1挟持アーム124Aと第2挟持アーム124Bの間の収容空間に設けられ、2つのホイールハブ131の貫通孔1311が第1長孔125A及び第2長孔125Bに対応する。続いて、回転軸122が、第1挟持アーム124Aの外側から、第1長孔125A、2つのホイールハブ131の貫通孔1311及び第2長孔125Bを順に通過する。回転軸122が2つのホイールハブ131の貫通孔1311を通過する際に、回転軸122は、ホイールハブ131の突出構造1312を押圧することで、ホイールハブ131の弾性片1313を外側に押し開く。更に、回転軸122が第2長孔125Bに向かって移動を続け、ホイールハブ131の突出構造1312が回転軸122の陥凹構造1221に対応したとき、ホイールハブ131の弾性片1313が弾性回復するとともに、ホイールハブ131の突出構造1312が陥凹構造1221内に係合することで、ホイール13が軸方向に移動し得ないよう規制される。
【0027】
本具体的実施例において、プッシュプルホイールベース12は、更に、第1長孔125A及び第2長孔125Bの外側の表面にそれぞれ設けられる2つのカバープレート126を含む。実用において、第1挟持アーム124A及び第2挟持アーム124Bの外表面は取付凹溝127をそれぞれ含む。また、取付凹溝127は、第1長孔125A及び第2長孔125Bに対応している。カバープレート126は、取付凹溝127内に設置可能であり、且つ、第1挟持アーム124A及び第2挟持アーム124Bに固定される取付構造(例えば、フック)を含んでもよい。この場合、カバープレート126は、第1長孔125A及び第2長孔125Bを覆うことが可能である。これにより、第1長孔125A及び第2長孔125Bに対する異物の侵入が防止され、回転軸122が上下動可能となるよう確実に保証されるため、プッシュプル式ステッキ1が動作可能となり、信頼性が増大する。
【0028】
図4A及び
図4Bを合わせて参照する。
図4Bは、本発明の具体的実施例に基づくプッシュプルホイールベース12とホイール13の断面図を示す。
図4A及び
図4Bは、本発明のプッシュプル式ステッキ1が動作する際の2種類の態様である。
図4Aに示すように、回転軸122が、ステッキシャフト11から離隔する方向に移動した場合、ホイール13とプッシュプルホイールベース12の当接構造123は間隔Dを有する。この場合、ホイール13は、何らの外力の作用も受けることなく、回転軸122を軸心として転動可能である。一方、
図4Bに示すように、回転軸122がステッキシャフト11に向かう方向に移動した場合、プッシュプルホイールベース12の当接構造123はホイール13に接触及び当止し、ホイール13は当接構造123に押圧されて転動不可能となる。
【0029】
実用において、プッシュプルホイールベース12の材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ナイロン(Nylon)、ポリアセタール(Polyacetal)等の耐摩耗性に優れ、良好な摩擦特性を有する材料としてもよい。回転軸122が、ステッキシャフト11に向かう方向に移動した場合、ホイール13はプッシュプルホイールベース12の本体上の当接構造123に当止する。
【0030】
図4A、
図4B、
図5A~
図5Cを合わせて参照する。
図5A~
図5Cは、本発明の具体的実施例に基づく使用者9がプッシュプル式ステッキ1を使用して歩行する際の概略図を示す。
図5A~
図5Cに示すように、使用者9の右足が前方に踏み出されるのと同時に、使用者9の右手は、地面に向かってプッシュプル式ステッキ1を「押し動かす」。続いて、使用者9の左足が前方に踏み出す準備をしつつ、ステッキ端111が使用者9の後方に位置しているときに、使用者9の右手は、プッシュプル式ステッキ1を「引き動かす」ことで、プッシュプル式ステッキ1を前方に移動させる。実用において、使用者9は2つのプッシュプル式ステッキ1を使用する。そのため、使用者9がプッシュプル式ステッキ1を使用して歩行する場合、使用者9の両手のプッシュプル式ステッキ1は、「一方が押して一方が引く」との動作態様を形成する(
図5A~
図5Cの矢印で示す通り)。
【0031】
実用において、
図4Bに示す態様は、使用者9がプッシュプル式ステッキ1を「押し動かした」場合である。使用者9がプッシュプル式ステッキ1を押し動かした場合、ステッキシャフト11のステッキ端111は地面に向かって力を付与し、ステッキ端111がプッシュプルホイールベース12を地面に向かって移動させる。このとき、プッシュプルホイールベース12の回転軸122は、第1長孔125A及び第2長孔125Bを通じてステッキシャフト11に向かう方向に移動し、当接構造123がホイール13に当止することで、ホイール13の回動を停止させる。このとき、ホイール13は固定された支点とみなすことができ、使用者9は、支点及び押力によって前方へ歩行可能となる。
図4Aに示す態様は、使用者9がプッシュプル式ステッキ1を「引き動かした」場合である。使用者9がプッシュプル式ステッキ1を引き動かした場合、ステッキシャフト11のステッキ端111は地面から離隔する方向に上昇して前方へ移動し、ステッキ端111がプッシュプルホイールベース12を地面から離隔する方向に移動させる。このとき、プッシュプルホイールベース12の回転軸122は、第1長孔125A及び第2長孔125Bを通じてステッキシャフト11から離隔する方向に移動し、ホイール13はステッキシャフト11に伴われて地面上で前方に転動可能となる。よって、本発明のプッシュプル式ステッキは、プッシュプルホイールベースとホイールによって、押し動かす際に支点及び摩擦力を発生させることで、前進させるとの目的を達成可能である。また、引き動かす際には、ステッキシャフトを持ち上げなくてもホイールにより前方へ移動可能となるため、省力化という効果が達成される。
【0032】
図6を参照する。
図6は、本発明の別の具体的実施例に基づくプッシュプル式ステッキ1の概略構造図を示す。
図6は、本発明におけるプッシュプル式ステッキ1の別の使用態様である。本具体的実施例において、ステッキシャフト11は雄ネジ113を更に含む。且つ、プッシュプル式ステッキは泥除け14及び脚パッド15を更に含む。泥除け14はホールを含むとともに、雄ネジ113に適合する雌ネジを有する。また、泥除け14は、雌ネジを通じてステッキシャフト11に設けられることで、地面からの泥の飛散を防止する。脚パッド15は、ステッキ端111を収容するための凹溝構造を含む。また、凹溝構造の形状はステッキ端111の形状に適合している。実際の応用において、使用者は、プッシュプルホイールベースを取り外し、泥除け14及び脚パッド15をステッキシャフトに取り付けることで、一般的なトレッキングポールとして使用してもよい。注意すべき点として、使用者は、脚パッド15のみを取り付けてもよいし、泥除け14と脚パッド15を同時に取り付けてもよい。
【0033】
以上で述べたように、本発明のプッシュプル式ステッキは、プッシュプルホイールベースとホイールによって、押し動かす際に支点及び摩擦力を発生させることで、前進させるとの目的を達成可能である。また、引き動かす際には、ステッキシャフトを地面から引き離さなくてもホイールにより前方へ移動可能となるため、省力化という効果が達成される。且つ、本発明のプッシュプル式ステッキは、掛合リングと掛合構造によりプッシュプルホイールベースをステッキシャフトに固定可能なため、安定性が向上する。更に、本発明のプッシュプル式ステッキは、ホイールハブの突出構造と回転軸の陥凹構造によって、その他の取付部材を要することなく、回転軸とホイールをプッシュプルホイールベースに設置可能である。且つ、ホイールは回転軸上で移動不可能である。これにより、コストが減少するとともに、安定性が増大する。また、本発明のプッシュプル式ステッキは、回転軸への異物の侵入をカバープレートにより防止可能なため、信頼性が向上する。
【0034】
以上の好ましい具体的実施例による詳細な記載は、本発明の特徴及び精神をより明瞭に記載可能とすることを意図しており、上記で開示した好ましい具体的実施例によって本発明の範囲を制限するものではない。むしろ、上記の詳細な記載は、各種の変更や、均等性を有する調整を本発明が出願しようとする権利範囲の範疇に含ませ得ることを目的としている。従って、本発明が出願する権利範囲の範疇は、全ての可能な変更や、均等性を有する調整を含み得るよう、上記の説明に基づき最も広く解釈すべきである。
【符号の説明】
【0035】
1 プッシュプル式ステッキ
10 グリップ
11 ステッキシャフト
111 ステッキ端
112 掛合構造
113 雄ネジ
12 プッシュプルホイールベース
121 接続部
1211 固定孔
1212 掛合リング
122 回転軸
1221 陥凹構造
123 当接構造
124 挟持部
124A 第1挟持アーム
124B 第2挟持アーム
125A 第1長孔
125B 第2長孔
126 カバープレート
127 取付凹溝
13 ホイール
131 ホイールハブ
1311 貫通孔
1312 突出構造
1313 弾性片
14 泥除け
15 脚パッド
9 使用者
D 間隔
【要約】 (修正有)
【課題】使用者の歩行を補助するためのプッシュプル式ステッキを提供する。
【解決手段】プッシュプル式ステッキ1は、ステッキシャフト11、プッシュプルホイールベース12及びホイール13を含む。プッシュプルホイールベースはステッキシャフトのステッキ端に接続され、接続部、回転軸及び当接構造を含む。回転軸は接続部に対向して設けられステッキシャフトの方向に沿って移動可能である。当接構造は接続部に対向して設けられ、接続部と回転軸の間に位置し、ホイールは回転軸に設けられ地面と接触する。ステッキシャフトが地面に向かって力を付与する際、回転軸はステッキシャフトに向かう方向に移動し、当接構造がホイールに当止しホイールの回動を停止させる。ステッキ端が使用者の後方に位置し、且つステッキシャフトが使用者の足取りに合わせて前方へ移動する際、回転軸はステッキシャフトから離隔する方向に移動しホイールは地面に沿って転動する。
【選択図】
図1