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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】目地材除去装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/09 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
E01C23/09 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023172568
(22)【出願日】2023-10-04
【審査請求日】2023-10-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年10月17日に、株式会社ワイズテックが、新千歳空港にて、大林道路株式会社に対し、田岡功次及び田岡亨が発明した、架台と前輪と後輪を有する車両と、既設の除去対象の目地材に向けて高圧水を噴射する高圧水噴射装置と、除去した目地材を含む汚泥水を回収する汚泥水回収手段とを備える目地材除去装置について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年10月19日に、株式会社ワイズテックが、新千歳空港にて、北海道エアポート株式会社に対し、田岡功次及び田岡亨が発明した、架台と前輪と後輪を有する車両と、既設の除去対象の目地材に向けて高圧水を噴射する高圧水噴射装置と、除去した目地材を含む汚泥水を回収する汚泥水回収手段とを備える目地材除去装置について公開した。
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年7月27日に、株式会社ワイズテックが、たんちょう釧路空港にて、北海道エアポート株式会社、地崎道路株式会社、及び、第一カッター興業株式会社に対し、田岡功次及び田岡亨が発明した、架台と前輪と後輪を有する車両と、既設の除去対象の目地材に向けて高圧水を噴射する高圧水噴射装置と、除去した目地材を含む汚泥水を回収する汚泥水回収手段とを備える目地材除去装置について公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523202473
【氏名又は名称】株式会社ワイズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100145126
【弁理士】
【氏名又は名称】金丸 清隆
(72)【発明者】
【氏名】田岡 功次
(72)【発明者】
【氏名】田岡 享
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-070877(JP,A)
【文献】特開2000-141354(JP,A)
【文献】特開2022-070082(JP,A)
【文献】特開昭62-282898(JP,A)
【文献】登録実用新案第3100218(JP,U)
【文献】特開2000-001825(JP,A)
【文献】特開2020-020187(JP,A)
【文献】特開2006-348520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 23/09
E01H 1/10
E04F 21/00
E04G 23/08
B26F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と前輪と後輪を有する車両と、
既設の除去対象の目地材に向けて高圧水を噴射する高圧水噴射装置と
を備える目地材除去装置であって、
前記高圧水噴射装置は、高圧水を供給する高圧ポンプと接続して前記高圧水を噴射する1本または複数本の高圧ノズルと、前記高圧水を通水する高圧ホースとを備え、
前記1本または複数本の高圧ノズルは、前記高圧ホースを介して前記高圧ポンプと接続し、前記既設の除去対象の目地材の設置箇所である舗装継ぎ目の幅と比較して、前記高圧ノズルに形成された噴射孔から噴射される高圧水の幅が狭すぎる場合は、前記噴射孔を前記舗装継ぎ目から遠ざけるために高位置となるようにして、広すぎる場合は、前記噴射孔を前記舗装継ぎ目に近づけるために低位置となるようにして、あるいは、進行方向または進行方向と反対方向に傾くようにして、前記噴射孔が既設の除去対象の目地材に向くように、前記架台に配設され、
前記1本または複数本の高圧ノズルに形成された噴射孔は、前記高圧ポンプから供給された前記高圧水を既設の除去対象の目地材に向けて噴射する、前記装置。
【請求項2】
前記既設の除去対象の目地材に対し、前記1本または複数本の高圧ノズルに形成された噴射孔から高圧水をより斜めに噴射するために前記架台の進行方向前方をリフトアップするキャスター付リフトアップ装置を備える、請求項1に記載の目地材除去装置。
【請求項3】
前記架台の地面側に設けられて、負圧を供給する負圧装置と接続して汚泥水を吸引する汚泥水吸引機構と、前記汚泥水を通水する通水ホースとを備えた、除去した目地材を含む汚泥水を回収する汚泥水回収手段を備え、
前記汚泥水吸引機構は、前記通水ホースを介して前記負圧装置と接続し、前記負圧装置から供給された負圧を利用して前記汚泥水を吸引する、請求項1に記載の目地材除去装置。
【請求項4】
前記高圧ポンプがウォータージェットポンプである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の目地材除去装置。
【請求項5】
自走機構を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の目地材除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目地材除去装置に関し、具体的には、架台と前輪と後輪を有する車両と、既設の除去対象の目地材に向けて高圧水を噴射する高圧水噴射装置とを備える目地材除去装置、前記架台の地面側に設けられて、負圧を供給する負圧装置と接続して汚泥水を吸引する汚泥水吸引機構と、前記汚泥水を通水する通水ホースとをさらに備えた、除去した目地材を含む汚泥水を回収する汚泥水回収手段を備える目地材除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
舗装道路では、道路表面の舗装の継ぎ目(ジョイント部)や舗装端部から舗装体の下へ雨水等が浸入することにより、路盤が軟弱化し、道路の耐久性が低下してしまう。これを防止するため、従来の舗装道路では、ゴムアスファルト系やエラストマー系、エマルジョンタイプ、ウレタン系、ポリサルファイド系等の目地材を舗装継ぎ目に設置し、防水することが行われている。
【0003】
一方、設置された目地材は、温度変化や紫外線、雨水等の影響により経年劣化するため、古くなった既設の目地材を除去して新たな目地材を設置するという、目地材の交換が定期的に行われている。そのような目地材の定期的な交換においては、古くなった既設の目地材を除去するために、従来、除去対象の目地材の側面に除去刃(回転刃・切刃)を接触させて切断する目地材除去装置(特許文献1)や、除去対象の目地材の側面や底面に除去刃(回転刃・切刃)を接触させながら移動させて剥離させる目地材除去工具(特許文献2)等が用いられているが、除去刃(回転刃・切刃)を利用した目地材除去装置や目地材除去工具では、切断または剥離された目地材の断片や破片が、設置箇所に残ってしまうため、さらなる洗浄や清掃工程が必要となってしまい(特許文献1の図16参照)、切り出しや剥離の工程のみによって除去対象の目地材を完全に除去することは困難であった。
【0004】
他方、コンクリートの斫り作業においては、従来、ウォータージェットが発生する高圧水を利用したコンクリート斫り装置が用いられている。当該コンクリート斫り装置によれば、コンクリートの斫りを行うことができるとともに、生じる排水を作業区画外へ漏れ出さないようにしつつ回収することができる(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-020187
【文献】特開2006-348520
【文献】特開2022-070082
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンクリートの斫り作業のように、高圧水を利用することは、既設の目地材の除去作業においても有効な手段となり得るが、コンクリートの斫り作業とは異なり、既設の目地材の除去作業の場合は目地材の設置箇所が舗装継ぎ目であるため、舗装継ぎ目の幅や古くなった既設の目地材の状態に応じた対応が必要となる。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、架台と前輪と後輪を有する車両と、所定の高圧水噴射装置を備えることにより、舗装継ぎ目の幅や古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射して、設置箇所である舗装継ぎ目から古くなった既設の目地材を確実に除去する目地材除去装置、さらに所定の汚泥水回収手段を備えることにより、除去した目地材を含む汚泥水を効率的に回収する目地材除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究の結果、架台と前輪と後輪を有する車両と、所定の高圧水噴射装置とを備える目地材除去装置により、舗装継ぎ目の幅や古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射して、設置箇所である舗装継ぎ目から古くなった既設の目地材を確実に除去することができ、さらに所定の汚泥水回収手段を備える目地材除去装置により、除去した目地材を含む汚泥水を効率的に回収することができることを見出し、下記の各発明を完成した。
【0009】
(1)架台と前輪と後輪を有する車両と、既設の除去対象の目地材に向けて高圧水を噴射する高圧水噴射装置とを備える目地材除去装置であって、前記高圧水噴射装置は、高圧水を供給する高圧ポンプと接続して前記高圧水を噴射する高圧ノズルと、前記高圧水を通水する高圧ホースとを備え、前記高圧ノズルは、前記高圧ホースを介して前記高圧ポンプと接続し、前記高圧ノズルに形成された噴射孔が既設の除去対象の目地材に向くように、前記架台に配設され、前記高圧ノズルに形成された噴射孔は、前記高圧ポンプから供給された前記高圧水を既設の除去対象の目地材に向けて噴射する、前記装置。
【0010】
(2)前記架台の地面側に設けられて、負圧を供給する負圧装置と接続して汚泥水を吸引する汚泥水吸引機構と、前記汚泥水を通水する通水ホースとを備えた、除去した目地材を含む汚泥水を回収する汚泥水回収手段を備え、前記汚泥水吸引機構は、前記通水ホースを介して前記負圧装置と接続し、前記負圧装置から供給された負圧を利用して前記汚泥水を吸引する、(1)に記載の目地材除去装置。
【0011】
(3)前記汚泥水吸引機構は、3つの吸引口と、前記固定ケーシングが貫設された架台の地面側と地面との間及び前記3つの吸引口を被覆するスカート部とを備え、前記スカート部は、前記架台の地面側の固定ケーシングを囲むようにして設けられた外スカート及び内スカートと、進行方向前方に設けられた前方スカートからなり、前記3つの吸引口のうちの2つの吸引口は、外スカートに囲まれており、それぞれ進行方向前後に並んで、内スカートを跨ぐようにして設けられ、進行方向前方に設けられた他の1つの吸引口(前方吸引口)は、前記前方スカートに囲まれるように設けられた、(2)に記載の目地材除去装置。
【0012】
(4)進行方向または進行方向と反対方向に傾くように、前記高圧ノズルを前記架台に配設する、(1)から(3)のいずれか一項に記載の目地材除去装置。
【0013】
(5)前記高圧ノズルのノズルの本数が複数本である、(1)から(4)のいずれか一項に記載の目地材除去装置。
【0014】
(6)前記高圧ポンプがウォータージェットポンプである、(1)から(5)のいずれか一項に記載の目地材除去装置。
【0015】
(7)自走機構を備える、(1)から(6)のいずれか一項に記載の目地材除去装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る目地材除去装置によれば、舗装継ぎ目の幅や古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射して、設置箇所である舗装継ぎ目から古くなった既設の目地材を確実に除去することができる他、除去した目地材を含む汚泥水を効率的かつ確実に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】高圧ノズル33が最も高位置となるように配設されている状態の、本実施形態に係る目地材除去装置1の左側面図である。
図2】高圧ノズル33が比較的低位置となるように配設されている状態の、本実施形態に係る目地材除去装置1の左側面図である。
図3】高圧ノズル33が最も高位置となるように配設されている状態の、本実施形態に係る目地材除去装置1の右側面図である。
図4】本実施形態に係る目地材除去装置1の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る目地材除去装置の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、当該図面は、本発明の技術的特徴を説明するために用いており、記載されている構成や各種処理の手順等は、特に特定的な記載がない限り、当該図面の記載のみに限定する趣旨ではない。
【0019】
本実施形態に係る目地材除去装置1の構成について説明する。本実施形態に係る目地材除去装置1は、図1~3に示す通り、架台21と前輪22と後輪23を有する車両2と、既設の除去対象の目地材(図示しない)に向けて高圧水(図示しない)を噴射する高圧水噴射装置3とを備える。
【0020】
本実施形態に係る目地材除去装置1の前輪22と後輪23は、架台21の下に前後してある円形の物体で、軸のまわりを回転し、地面上を移動することを可能にするものであればよく、無限軌道(キャタピラー(登録商標))であってもよい。
【0021】
一方、本実施形態に係る目地材除去装置1の高圧水噴射装置3は、図1及び図2に示す通り、高圧水(図示しない)を供給する高圧ポンプ31と接続して高圧水を噴射する高圧ノズル33と、高圧水を通水する高圧ホース32とを備え、高圧ノズル33は、高圧ホース32を介して高圧ポンプ31と接続している。そのような高圧ポンプ31は、本発明の特徴を損なわない限りにおいて特に限定されず、当業者によって適宜選択可能な高圧ポンプ31を用いることができるが、ウォータージェットポンプであることが好適である。そのようなウォータージェットポンプもまた、本発明の特徴を損なわない限りにおいて特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なウォータージェットポンプを用いることができる。
【0022】
また、高圧ノズル33は、図1及び図2に示す通り、高圧ノズル33に形成された噴射孔34が既設の除去対象の目地材に向くように、架台21に配設されている。基本的には、既設の目地材の設置箇所である舗装継ぎ目(溝)の真上に噴射孔34が位置するように、高圧ノズル33を架台21に配設する。また、当該舗装継ぎ目の幅と比較して、高圧ノズル33の噴射孔34から噴射される高圧水の幅が狭すぎる場合は、図1に示す通り、噴射孔34を該舗装継ぎ目から遠ざけるため、高圧ノズル33が高位置となるように、高圧ノズル33を架台21に配設し、広すぎる場合は、図2に示す通り、噴射孔34を該舗装継ぎ目に近づけるため、高圧ノズル33が低位置となるように、高圧ノズル33を架台21に配設することができる。さらに、図1及び図2に示す通り、進行方向または進行方向と反対方向に傾くように、高圧ノズル33を架台21に配設することができる。
【0023】
次に、本実施形態に係る目地材除去装置1の汚泥水回収手段4は、図1~4に示す通り、架台21の地面側(本実施形態に係る目地材除去装置1の底面)に設けられて、負圧を供給する負圧装置41と接続して汚泥水(図示しない)を吸引する汚泥水吸引機構43と、汚泥水を通水する通水ホース42とを備える。汚泥水吸引機構43は、図1及び図2に示す通り、通水ホース42を介して負圧装置41と接続し、負圧装置41から供給された負圧を利用して汚泥水を吸引する。そのような負圧装置41は、本発明の特徴を損なわない限りにおいて特に限定されず、当業者によって適宜選択可能な負圧装置41を用いることができる。
【0024】
また、本実施形態に係る目地材除去装置1の汚泥水吸引機構43は、図4に示す通り、3つの吸引口を構成する2つの吸引口434及び他の1つの吸引口(前方吸引口)435と、架台21の地面側(本実施形態に係る目地材除去装置1の底面)と地面との間及び3つの吸引口を構成する2つの吸引口434及び前方吸引口435を被覆するスカート部431・432・433を構成する、外スカート431、内スカート432及び前方スカート433とを備える。
【0025】
本実施形態に係る目地材除去装置1の外スカート431及び内スカート432は、図4に示す通り、架台21の地面側に配設された噴射孔34または高圧ノズル33及び噴射孔34を囲むようにして設けられており、また、本実施形態に係る目地材除去装置1の前方スカート433は、図4に示す通り、架台21の地面側(本実施形態に係る目地材除去装置1の底面)の進行方向前方に設けられている。
【0026】
また、本実施形態に係る目地材除去装置1の2つの吸引口434は、図4に示す通り、外スカート431に囲まれるとともに、それぞれ進行方向前後に並んで、内スカート432を跨ぐようにして設けられ、本実施形態に係る目地材除去装置1の他の1つの吸引口(前方吸引口)435は、前方スカート433に囲まれるように設けられている。この場合、前方スカート433は、図4に示す通り、その一部を外スカート431と共有して、外スカート・前方スカート共有部分431・433となるように構成されて設けられてもよく、外スカート431とは別個に、前方吸引口435を囲むように構成されて設けられてもよい(図示しない)。また、外スカート431及び前方スカート433の、それらの一部を共有して設けられた場合の外スカート・前方スカート共有部分431・433を除いた部分の縁部は、内側から外側へ向かってゴム材、ブラシ材の順で縁取られており(図示しない)、ブラシは外スカート431外及び前方スカート433外への汚泥水の流出を防止する役割を果たし、ゴム材はブラシ材を保護する役割を果たす。そのようなブラシ材及びゴム材は、本発明の特徴を損なわない限りにおいて特に限定されず、当業者によって適宜選択可能なブラシ材及びゴム材を用いることができる。
【0027】
なお、本実施形態に係る目地材除去装置1の架台21の進行方向前方には、図1~4に示す通り、キャスター付リフトアップ装置24が備えられてもよく、また、本実施形態に係る目地材除去装置1の架台21には、図4に示す通り、空気取り込み口25が形成されてもよい。
【0028】
また、本実施形態に係る目地材除去装置1の高圧ノズル33のノズルの本数は1本でもよく、また、複数本であってもよい。そのような本実施形態に係る目地材除去装置1の高圧ノズル33のノズルの本数は、2本または3本であるのが好適であり、2本であるのがより好適である。図1~4では、本実施形態に係る目地材除去装置1の高圧ノズル33のノズルの本数が2本である場合を示している。
【0029】
また、本実施形態に係る目地材除去装置1は、図1~3に示す通り、自走機構5を備えることができる。そのような自走機構5は、例えば、自走機構操作部51と、フレーム52と、モーター53と、ギア54と、本体連結部55と、自走機構車輪56を備えることができる。本体連結部55は、本実施形態に係る目地材除去装置1の車両2と自走機構5とを連結する。また、自走機構操作部51に連接するようにして、高圧ポンプ操作部35を配設することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る目地材除去装置1の進行方向前方のフロントには、図1~3に示す通り、進行方向Dに向けて、縦方向の中心線上に位置するようにして、舗装継ぎ目(溝)をガイドするためのガイドバー6を設けてもよく、また、本実施形態に係る目地材除去装置1は、図3に示す通り、発電機7を搭載してもよい。本実施形態に係る目地材除去装置1が発電機7を搭載しない場合は、本実施形態に係る目地材除去装置1は外部から給電される。また、本実施形態に係る目地材除去装置1は、変圧器を搭載することもできる(図示しない)。
【0031】
次に、本実施形態に係る目地材除去装置1の作用について説明する。なお、本実施形態に係る目地材除去装置1の作用のうち、上述した本実施形態に係る目地材除去装置1の構成と同一または対応・相当する構成については同一の符号を付すとともに、本実施形態に係る目地材除去装置1において説明した構成については、再度の説明を省略する場合がある。
【0032】
まず、既設の目地材の設置箇所である舗装継ぎ目(溝)の真上に、本実施形態に係る目地材除去装置1の縦方向の中心線がくるように、本実施形態に係る目地材除去装置1を配置する。このとき、ガイドバー6も当該舗装継ぎ目の真上に位置するようになる。
【0033】
続いて、当該舗装継ぎ目の幅に合った幅の高圧水を噴射孔34から噴射することができるように、高圧ノズル33を架台21に配設する。その後、高圧ポンプ31から高圧水を発生させ、高圧ホース32を介して高圧ノズル33に高圧水を供給し、高圧ノズル33の噴射孔34から除去対象である既設の目地材に向けて、高圧ポンプ31から供給された高圧水を噴射する。これにより、高圧ノズル33の噴射孔34からは、除去対象である既設の目地材が設置されている舗装継ぎ目の幅に応じた幅の高圧水を噴射させることができる。例えば、図1に示す通り、高圧ノズル33が高位置となるように、高圧ノズル33が架台21に配設されている状態では、高圧ノズル33の噴射孔34から高圧水が最も広角に噴射され、図2に示す通り、高圧ノズル33が低位置となるように、高圧ノズル33が架台21に配設されている状態では、高圧ノズル33の噴射孔34から高圧水が最も狭角に噴射される。
【0034】
なお、当該舗装継ぎ目の幅と比較して、高圧ノズル33の噴射孔34から噴射される高圧水の幅が広すぎる場合や狭すぎる場合は、一旦、高圧ポンプ31からの高圧水の供給を止めて、図1及び図2に示す通り、再度、高圧ノズル33を架台21の所望の位置に配設する。このようにすることで、当該舗装継ぎ目の幅に応じて高圧水を効果的に噴射し、除去対象である既設の目地材を確実に除去することができる。
【0035】
また、高圧ノズル33のノズルの本数が複数本、好適には2,3本、より好適には2本の場合、比較的取り扱いや操作がしやすいうえに、複数の高圧ノズル33の噴射孔34から高圧水が連続して除去対象である既設の目地材に向けて噴射されることから、当該除去対象の既設目地材をより確実に除去することができる。
【0036】
また、図1及び図2に示す通り、進行方向または進行方向と反対方向に傾くように、高圧ノズル33を架台21に配設することにより、高圧ノズル33の噴射孔34から高圧水を斜めに噴射することができることから、除去対象である既設の目地材に向けて噴射された高圧水が当該除去対象の既設目地材に刺さりやすくなり、当該除去対象の既設目地材をさらに確実に除去することが可能となる。
【0037】
また、高圧ポンプ31がウォータージェットポンプである場合、高圧ノズル33の噴射孔34からは、より高圧な超高圧水が噴射され、除去対象の既設目地材に向けて噴射された超高圧水が、除去対象の既設目地材に対してさらに刺さり込むため、当該除去対象の既設目地材をよりさらに確実に除去することが可能となる。
【0038】
さらに、キャスター付リフトアップ装置24が架台21の進行方向前方に備えられている場合は、キャスター付リフトアップ装置24により架台21の進行方向前方をリフトアップすることができ、これにより、除去対象である既設の目地材に対し、高圧ノズル33の噴射孔34から高圧水をより斜めに噴射することができることから、当該除去対象の既設目地材の状態に応じた高圧水の噴射が可能となり、当該除去対象の既設目地材をまたさらに確実に除去することが可能となる。
【0039】
このようにして、舗装継ぎ目の幅や除去対象である古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射しつつ、ガイドバー6に従って本実施形態に係る目地材除去装置1を前進させることにより、当該除去対象の既設目地材を確実かつ連続して除去することができ、さらには、自走機構5を用いて、舗装継ぎ目の幅や除去対象である古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射しつつ、ガイドバー6に従って本実施形態に係る目地材除去装置1を自走させて前進させることにより、当該除去対象の既設目地材を確実、連続かつ簡易に除去することができる。
【0040】
自走機構5を用いて、舗装継ぎ目の幅や除去対象である古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射しつつ、ガイドバー6に従って本実施形態に係る目地材除去装置1を自走させて前進させる場合、作業者は、本体連結部55によって本実施形態に係る目地材除去装置1の車両2と自走機構5とを連結させた後、自走機構操作部51における操作により、モーター53を駆動させ、進行方向Dへ進むように自走機構車輪56を回転させて、フレーム52のハンドルを握りながら自走機構操作部51においてギア54を操作することにより、自走機構5と連結した目地材除去装置1を前進させることができる。
【0041】
一方、除去した目地材を含む汚泥水は、汚泥水回収手段4により回収することができる。具体的には、通水ホース42を介して負圧装置41と接続した汚泥水吸引機構43に対し、負圧装置41からの負圧を供給し、汚泥水吸引機構43は負圧装置41からの供給された負圧を利用して除去した目地材を含む汚泥水を回収する。
【0042】
また、前述の通り、汚泥水吸引機構43は、2つ吸引口434及び他の1つの吸引口(前方吸引口)435と、架台21の地面側(本実施形態に係る目地材除去装置1の底面)に配設された噴射孔34または高圧ノズル33及び噴射孔34を囲むようにして設けられた外スカート431及び内スカート432と、進行方向前方に設けられた前方スカート433を備えており、除去した目地材を含む汚泥水は、まず、前方吸引口435から吸引されるが、前方吸引口435から吸引されずに残ってしまった汚泥水は、内側から外側へ向かってゴム材、ブラシ材の順で縁取られた縁部を有する外スカート431及び前方スカート433により、外スカート431外及び前方スカート433外への流出が防止されるため、なおも、前方吸引口435から吸引されるか、または2つの吸引口434から吸引されることになる。なお、内スカート432に囲まれた空間は、負圧装置41から供給された負圧により低圧になりがちであるが、架台21に形成された空気取り込み口25によりこれを防止することができる。
【0043】
以上のような本実施形態に係る目地材除去装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
1.舗装継ぎ目の幅や除去対象の既設目地材の状態に応じて、高圧水を効果的に噴射することができて、設置箇所である舗装継ぎ目から除去対象である既設の目地材を確実に除去することができる。
2.除去した目地材を含む汚泥水を効率的かつ確実に回収することができる。
3.自走により前進させることにより、除去対象の既設目地材を確実、連続かつ簡易に除去することができる。
【0044】
なお、本発明に係る目地材除去装置は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜変更することができる。例えば、上述した実施形態における構成以外の構成を、本発明の特徴を損なわない範囲において、適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 目地材除去装置
2 車両
3 高圧水噴射装置
4 汚泥水回収手段
5 自走機構
6 ガイドバー
7 発電機
21 架台
22 前輪
23 後輪
24 キャスター付リフトアップ装置
25 空気取り込み口
31 高圧ポンプ
32 高圧ホース
33 高圧ノズル
34 噴射孔
35 高圧ポンプ操作部
41 負圧装置
42 通水ホース
43 汚泥水吸引機構
51 自走機構操作部
52 フレーム
53 モーター
54 ギア
55 本体連結部
56 自走機構車輪
431 外スカート
432 内スカート
433 前方スカート
434 2つの吸引口
435 他の1つの吸引口(前方吸引口)
431・433 外スカート・前方スカート共有部分
431・432・433 スカート部
D 進行方向
【要約】
【課題】 架台と前輪と後輪を有する車両と、所定の高圧水噴射装置を備えることにより、舗装継ぎ目の幅や古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射して、設置箇所である舗装継ぎ目から古くなった既設の目地材を確実に除去する目地材除去装置を提供する。
【解決手段】 架台21と前輪22と後輪23を有する車両2と、既設の除去対象の目地材に向けて高圧水を噴射する高圧水噴射装置3とを備える。そのような目地材除去装置1により、舗装継ぎ目の幅や古くなった既設の目地材の状態に応じて高圧水を効果的に噴射して、設置箇所である舗装継ぎ目から古くなった既設の目地材を確実に除去することができる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4