(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】情報端末用収納袋
(51)【国際特許分類】
A61B 46/10 20160101AFI20240610BHJP
A61B 50/30 20160101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B46/10
A61B50/30
(21)【出願番号】P 2023212573
(22)【出願日】2023-12-15
【審査請求日】2023-12-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505006219
【氏名又は名称】櫻澤 信行
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】櫻澤 信行
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第216819894(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0212252(US,A1)
【文献】特開2013-46729(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0216963(US,A1)
【文献】登録実用新案第3189951(JP,U)
【文献】登録実用新案第3167567(JP,U)
【文献】登録実用新案第3191093(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0166188(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0035166(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 46/10―46/17
A61B 50/30―50/39
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の情報端末を収納する袋本体と、
前記袋本体の一端に連続して設けられ外側に向かって径大となり最外部に開口部を有する襟部と、
前記襟部の内側
で前記襟部の前記最外部と前記袋本体の前記一端の間の中間位置に設けられ前記袋本体を開閉するチャック部を有
し、
前記情報端末を収納する時には、作業者が前記チャック部の近傍の前記襟部を保持することで前記襟部の開口部および前記チャック部をそれぞれ開口させることを特徴とする情報端末用収納袋。
【請求項2】
請求項1記載の情報端末用収納袋であって、前記袋本体は積層された2枚のシート体の三方が閉止され、前記襟部は前記積層された2枚のシート体の閉止されない一方から広がる形状を有することを特徴とする情報端末用収納袋。
【請求項3】
請求項1記載の情報端末用収納袋であって、前記袋本体、前記襟部、及びチャック部は滅菌処理されていることを特徴とする情報端末用収納袋。
【請求項4】
請求項1記載の情報端末用収納袋であって、前記襟部は
前記袋本体の前記一端で折り返され前記チャック部を外側に反転させた状態で、前記情報端末を前記袋本体に挿入可能とすることを特徴とする情報端末用収納袋。
【請求項5】
請求項1記載の情報端末用収納袋であって、前記情報端末はカメラを具備する装置であり、前記情報端末を前記袋本体に挿入した際に前記情報端末のカメラのレンズが臨む前記袋本体の領域に、透過する光を抑制する光遮蔽部が設けられることを特徴とする情報端末用収納袋。
【請求項6】
請求項2記載の情報端末用収納袋であって、前記2枚のシート体の一方のシート体は光を透過し、他方のシート体は光の透過を抑制することを特徴とする情報端末用収納袋。
【請求項7】
請求項1記載の情報端末用収納袋であって、前記袋本体の一部に
光の透過を抑制する貼着部を形成したことを特徴とする情報端末用収納袋。
【請求項8】
請求項7記載の情報端末用収納袋であって、前記貼着部は面ファスナー部材であることを特徴とする情報端末用収納袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手術や無菌処理が必要な作業を行う際に、携帯電話などの情報端末を収納するための収納袋に関する。
【背景技術】
【0002】
医療では手術やIVR(インターベンショナル・ラジオロジー:Interventional Radiology)などの清潔操作が必須な状況が多いが、その手技は多岐にわたり、新しい手技や新しい機器が次々に臨床応用されている。それに応じて新しい情報は手術の各ステップの手技や機器の使い方なども多岐にわたる様になってきており、今までは手術の前にそれらを全て覚えてから手技をおこなっていたが、新しい情報を覚えることが多くなり、時に間違いが起きることも発生していた。その一方で近年情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)の発展は著しく、スマートフォンやタブレット端末などの情報通信機器(以下、情報端末と称する。)を用いてリアルタイムでそれらの作業を各ステップで情報端末を閲覧しながら行うことも可能である。しかしながら、このような普段使用している情報端末の表面には通常様々な菌が付着しているため、そのままでは、手術台の上などの手術室内の滅菌環境中に情報端末を持ち込むことができない。また、消毒液等を用いて情報端末を滅菌することは、故障の原因となるためできない。
【0003】
そこで、清潔操作が必要な場合は情報端末自体を滅菌の袋で覆う必要があり、このような医療現場で使用可能な滅菌の袋として考案されているものとして、滅菌された外袋及び内袋の二重構造を有する収納袋(例えば、特許文献1参照。)や挿入時に入り口が汚染されることを防止する為に両端が開口する平坦筒状に形成された紙製の導入部を袋本体に取り付けた構造のものなども知られる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3167567号公報
【文献】特許第5707303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外袋及び内袋の二重構造を有する収納袋では、端末の収納時に情報端末に付着していた菌が、内袋のファスナーよりも開口部寄りの部分に移るおそれがある。このような部分は、外袋を除去した後にも残り、外部に対して開放された状態にあるため、この部分に付着した菌により手術室内が汚染されてしまうことになる。また、紙製の導入部を袋本体に取り付けた構造のものでは、情報端末を挿入する際に、紙製の導入部を操作する必要があり、それに伴って挿入作業も煩雑化するため、緊急性のある手術の場合では、その操作が負担となっていた。
【0006】
そこで、本発明は、手術や無菌処理が必要な作業を行う際に、携帯電話などの情報端末を容易に収納できる情報端末用収納袋の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明の情報端末用収納袋は、板状の情報端末を収納する袋本体と、前記袋本体の一端に連続して設けられ外側に向かって径大となり最外部に開口部を有する襟部と、前記襟部の内側で前記襟部の前記最外部と前記袋本体の前記一端の間の中間位置に設けられ前記袋本体を開閉するチャック部を有し、前記情報端末を収納する時には、作業者が前記チャック部の近傍の前記襟部を保持することで前記襟部の開口部および前記チャック部をそれぞれ開口させることを特徴とする
【0008】
板状の情報端末を収納する袋本体に連続して設けられ外側に向かって径大となる襟部を設けることで、情報端末をチャック部やその外側に触れないように袋本体に挿入することができ、清潔を保つ必要がある場所での情報端末の使用を促進させることができる。
【0009】
このような本発明の情報端末用収納袋の好適な実施形態としては、前記袋本体を積層された2枚のシート体で構成し、その2枚のシート体の三方が閉止され、前記襟部は前記積層された2枚のシート体の閉止されない一方から広がる形状を有する構成とすることができる。
【0010】
また、本発明の情報端末用収納袋としては、前記袋本体、前記襟部、及びチャック部は滅菌処理されるものとすることができ、また、前記襟部は前記チャック部を外側に反転させた状態で、前記情報端末を前記袋本体に挿入可能とすることもできる。
【0011】
さらに、本発明の情報端末用収納袋としては、前記情報端末はカメラを具備する装置である場合に、個人情報保護を高める機能を持たせてその利用範囲を広げることも考えられている。すなわち、本発明の情報端末用収納袋としては、前記情報端末を前記袋本体に挿入した際に前記情報端末のカメラのレンズが臨む前記袋本体の領域に、透過する光を抑制する光遮蔽部が設ける構成とすることもでき、2枚のシート体で袋本体を構成した場合では、一方のシート体は光を透過し、他方のシート体は光の透過を抑制するものとすることができる。
【0012】
また、本発明の情報端末用収納袋として、例えば手術室内で使用することを配慮した場合では、比較的に滑り易い手術台などの上に情報端末を収納している収納袋を載置した場合でも、情報端末が袋ごと滑落しないようにする観点から、袋本体の一部に貼着部を形成することもでき、例えば、その貼着部は面ファスナー部材とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態の情報端末用収納袋を示す斜視図である。
【
図2】前記情報端末用収納袋に情報端末を入れる前を示す斜視図である。
【
図3】前記情報端末用収納袋に情報端末を入れる途中を示す斜視図である。
【
図4】前記情報端末用収納袋を示す模式的な斜視図である。
【
図5】前記情報端末用収納袋を示し、襟部を折り曲げた状態を示す模式的な斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態の情報端末用収納袋を示す平面図であり、(A)は表面であり、(B)は裏面の平面図である。
【
図7】
図6に示す情報端末用収納袋において情報端末を挿入した状態を示す平面図であり、(A)は表面であり、(B)は裏面の平面図である。
【
図8】第2の実施形態の変形例である情報端末用収納袋の一例において情報端末を一部取り出した状態を示す平面図である。
【
図9】第2の実施形態の変形例である情報端末用収納袋の一例において情報端末をより大きく取り出した状態を示す平面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態の情報端末用収納袋を示す平面図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態の情報端末用収納袋を示す平面図である。
【
図12】本発明の第5の実施形態の情報端末用収納袋を示す斜視図である。
【
図13】本発明の第6の実施形態の情報端末用収納袋を示す斜視図である。
【
図14】本発明の第7の実施形態の情報端末用収納袋を示す正面図であり、接続部と襟部の途中で折り曲げられた状態を示す図である。
【
図15】本発明の第7の実施形態の情報端末用収納袋を示す正面図であり、情報端末の挿入時の状態を示す。
【
図16】本発明の第8の実施形態の情報端末用収納袋を情報端末と共に示す正面図である。
【
図17】本発明の第8の実施形態の情報端末用収納袋を情報端末と共に示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態の情報端末用収納袋について説明する。本実施形態では、一例として医療従事者が普段使用している情報端末を手術室に持ち込む場合を想定し、その情報端末を収納するための袋として本実施形態の情報端末用収納袋を使用して、手術室内に雑菌などを持ち込ませないようにする。
【0015】
第1の実施形態
図1に示すように、本実施形態の情報端末用収納袋10は、情報端末を収納する袋本体12と、袋本体12の一端に連続して設けられ外側に向かって径大となり最外部に開口部18を有する襟部14と、その襟部14の内側に設けられ袋本体12を開閉するチャック部16とを有している。
【0016】
なお、本実施形態で収納可能とされる情報端末は、スマートフォンなどの携帯電話機や、タブレット端末などの電子機器を対象としており、それぞれタッチパネルを有したモニターが表面に組み込まれた板状の電子機器である。情報端末の詳細をここでは説明しないが、通常のスマートフォンでは、カメラを裏面に有し、自撮り用のカメラも表面に組み込まれている構造を有する。情報端末としては種々のサイズのものがあり、袋本体12は多少の遊びを以って情報端末を収納できるサイズを有する。
【0017】
袋本体12は、透明な樹脂シートを構成材料とすることができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、シリコーンなどの樹脂を採用することができ、菌バリア性や耐薬品性や光透過の機能を向上させるために多層構造とすることもでき、保護膜などをコーティングした構造であっても良い。また、滅菌処理に適合した材料を選ぶこともできる。なお透明とは、本明細書においては、半透明のような少し光の透過率の低いものや多少の色が着いたものも含めて透明とする。本実施形態の情報端末用収納袋10は、情報端末を収納した後で、その情報端末を操作することを想定しているため、袋本体12の素材を介して情報端末を押し釦操作や接触操作できる袋本体12の厚みや加とう性(柔軟性)を有する。
【0018】
袋本体12は、例えば表面と裏面で2枚のシートを三方12r、12l、12bで閉止した構造とすることもでき、ブロー成型で筒状に形成したものの底部側を閉塞させたものであっても良い。また、表面と裏面の2枚のシートを1枚のシートを折り畳んで構成することもでき、この場合は、底部側と開いている側部を閉止することで袋本体12を形成することができる。
【0019】
このような袋本体12の開口した一端には、袋本体12の一端の接続部20に連続して設けられ外側に向かって径大となり最外部に開口部18を有する襟部14が設けられる。襟部14は袋本体12と連続した一体のシート材で構成することもでき、襟部14を別体で形成した後に、別体の襟部14を袋本体12の開口した一端に溶着などにより接着することでも形成できる。外側に向かって径大とは、袋本体12の端部から離れるほど襟部14で構成される開口の径が大きくなることを意味しており、袋本体12の端部から最も離れた位置での開口の径が最も大きくなる。その最外部に開口部18が設けられる。この径の広がりは、
図1に示すように、襟部14の端部14eが一様に広がりを見せる構造とすることもでき、襟部14の端部14eが曲線であるような、或いは階段状であるような構造でも良く、必ずしも左右対称でなくとも良い。
【0020】
襟部14は袋本体12と同じ材料で構成することもでき、異なる材料を選ぶこともできる。襟部14を袋本体12と同じ材料とした場合では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ナイロン、ポリ塩化ビニル、シリコーンなどの樹脂を用いることができる。また、襟部14を袋本体12と異なる材料で形成する場合には、情報端末12を挿入し易くするため、シートの硬さを袋本体12よりも少し硬くなるような材料とすることができ、別途成形したものを接着するようにすることもできる。
【0021】
このような襟部14の内側には、前記袋本体を開閉するチャック部16が設けられる。チャック部16は、当該チャック部16が設けられた位置から内部側の襟部14内及び袋本体12の内部を密閉するためのものであり、挿入された情報端末に付着しているかもしれない雑菌をチャック部16の密閉操作により、袋本体12の内部及び襟部14のチャック部16より内部の空間に閉じ込める機能を有する。チャック部はポリプロピレンやポリエチレンから形成されるジップロック(登録商標)の構成とすることもでき、その他の気密が実現されるシール方式であっても良い。偶発的な気密解除を防止するため、複数本のチャック部16を襟部14に設けても良い。
【0022】
本実施形態の情報端末用収納袋10には、滅菌処理を施すことができる。本実施形態の情報端末用収納袋10に適用できる滅菌処理としては、エチレンオキシドガス(EOG)滅菌、湿熱滅菌、過酸化水素滅菌、放射線滅菌等が挙げられる。使用開始前の滅菌状態を維持するために開口部18側は、使用前は閉じられている構造とすることもでき、使用時に閉じている端部を切り離す(ティアオフ)構造とすることもできる。
【0023】
このような形で情報端末用収納袋10を形成した場合、情報端末を袋本体12まで挿入する場合には、容易に且つチャック部16よりも外側(袋本体12よりも離れる側)で情報端末を全く接触させずに、袋本体12への挿入が可能となり、情報端末に存在する雑菌等の拡散を未然に防止することができる。
図2乃至
図3は、情報端末24の情報端末用収納袋10の挿入時の様子を示しており、
図2に示すように、初めに、例えば情報端末用収納袋10を左手で把持し、挿入すべき情報端末24を右手で端末の上部側を掴むようにする。次に、
図3に示すように、挿入すべき情報端末24の下端部を情報端末用収納袋10の開口部18から袋本体12に向かって押し込むように挿入する。この時、情報端末24の周囲では、情報端末用収納袋10の開口部18が最も大きく開き、次に襟部14の形状に沿ってチャック部16がその次に大きく開き、襟部14と袋本体12の接続部20がチャック部16の開き方よりはやや小さく開いたものとなる。特に使用者が情報端末用収納袋10の接続部20付近を把持することで、襟部14と袋本体12の接続部20を袋内部で開くように保持することができ、その開いた部分に、右手で保持された情報端末24が挿入される。
【0024】
この挿入時においては、接続部20付近の開き具合が最も小さく、チャック部16と開口部18は更に広がった開口となることから、これらのチャック部16や最外部18に全く接触することなく、袋本体12内に情報端末24を挿入し、その挿入直後にチャック部16を閉じて情報端末24を袋内に密閉することができる。
【0025】
例えば、襟部14を有しない構造では、接続部、チャック部、及び開口部が同じ径となり、情報端末の挿入時に、狭いチャック部や開口部に情報端末が接触してしまうことが慎重に作業をしたとしても発生し得るが、襟部14を有している構造の情報端末用収納袋10には、チャック部16と開口部18は更に広がった開口となることから、これらの部分に接触しない形で情報端末24を袋内に密閉することができる。
【0026】
図4及び
図5は情報端末の挿入の手順の他の例を示す。
図4に示すように、襟部14が大きく外側に向かって径大となる形状である場合には、
図5に示すように、接続部20の付近で襟部14を逆向きに折り返すことができる。このようなチャック部を外側に反転させた折り返し状態では、情報端末24を挿入する開口部が接続部20の位置となり、チャック部16及び開口部18は接続部20から離間して存在することから、さらに容易にチャック部16及び開口部18に接触しない形で情報端末24を袋内に密閉することができる。
【0027】
第2の実施形態
本実施形態の情報端末用収納袋30は、その一部に透過する光を抑制する光遮蔽部を有する例である。最近のスマートフォンなどの情報端末は一般的にカメラを具備しており、例えば手術室などで医療装置の操作法を知るために情報端末を見るということをする場合には、手術室の状況や患者の顔やカルテなどの個人情報がカメラを介して取り込まれてしまうこともあり得る。そこで、本実施形態の情報端末用収納袋30は、袋の一部に情報端末のカメラの位置を考慮して、適切な場所に光遮蔽部を設け、個人情報保護を高める機能を持つ。
【0028】
図6は、情報端末用収納袋30が表面と裏面の2枚のシート31、32で構成され、表面のシート31は透明な樹脂シートからなり、裏面のシート32は透明ではない光遮蔽部からなる樹脂シートからなる。なお、
図6では、袋本体だけではなく襟部にも光遮蔽部が形成される例を示しているが、裏面のシート32の情報端末のカメラ位置だけに光遮蔽部を設けることもできる。情報端末用収納袋30では、裏面のシート32が光遮蔽部となることから、情報端末の裏面側に存在するカメラのレンズ部分を光遮蔽機能がある裏面のシート32が覆うことになり、このカメラからの個人情報の漏洩などは未然に防止できることになる。
【0029】
図7は情報端末24を本実施形態の情報端末用収納袋30に収納したところを示す図である。透明な樹脂シートからなる表面のシート31は情報端末24の画面などをそのまま見せることができるが、裏面のシート32では情報端末24は挿入されていても全く見えない状態となり、仮にカメラを操作しても光遮蔽機能がある裏面のシート32がカメラの入射光を遮るために、カメラの機能を抑制させることができる。
【0030】
図8及び
図9は第2の実施形態の変形例を示す図である。情報端末用収納袋33内に情報端末24を収納後、カメラを使用可能な状態に変える場合を説明する。手術対象者の同意などがあれば、このようなカメラ使用モードに簡単に変えることもできる。詳しくは、この情報端末用収納袋33は、袋本体の裏面のシート34が光を遮蔽するシートとなっており、襟部35及び袋本体の表面のシートは透明となっている。スマートフォンなどの情報端末24を情報端末用収納袋33に挿入し、情報端末24の底部が袋本体の底部に到達すると、情報端末24のレンズ位置は袋本体の裏面のシート34の範囲であるため、情報端末24のカメラ機能を抑制できる。そして、その状態から
図8,
図9に示すように、情報端末24の位置を袋本体の底部から離間するように少しずつ襟部35側に移動させると、情報端末24のレンズは襟部35内で見えるようになり、これは情報端末24のカメラが使用可能であることを示す。
【0031】
第3の実施形態
本実施形態の情報端末用収納袋40は、袋本体42に連続する襟部44が設けられており、襟部44の一部及び袋本体42の上端部近傍には、カメラ位置を外して鈎若しくはループ側の部材からなる面ファスナー48が配置され、これら面ファスナー48に貼り付くようにループ若しくは鈎側の部材からなる面ファスナー50が設けられる。カメラの使用時には、
図10に示すように、面ファスナー50が取り外されることで、情報端末24のレンズが襟部44の一部及び袋本体42の上端部近傍で臨むことになり、これで情報端末24のカメラ機能を使用することができる。特に、面ファスナーを剥がす際には、剥がす音が出るため、同室の他人がいる場合では隠し撮りはできなくなり、より個人情報の保護に寄与する。
【0032】
第4の実施形態
本実施形態の情報端末用収納袋60は、袋の外面に、両面テープ62を配置した例であり、使用時には
図11に示すように離型紙64を剥がして、両面テープ62により情報端末の位置を固定することができる。これは機器側面や壁、手術台、医療従事者、患者などの種々の対象に対して情報端末を固定させることができ、利用勝手に優れる。特に手術台の上などは手術中は比較的滑り易い状況となるため、手術台にも情報端末を載置可能とさせるために、極めて有効である。
【0033】
第5の実施形態
本実施形態の情報端末用収納袋70は、第1の実施形態の情報端末用収納袋10の変形例であり、
図12に示すように、襟部74が円錐台形状であり、その斜面の途中にチャック部76があり、円錐台形状の襟部74の上端部が開口部78となっている。襟部74の下部は袋状の袋本体72が連続する。襟部74が円錐台形状で比較的に硬めのオレフィン系樹脂などで構成することができ、開口部78を大きく開くことが容易となる。
【0034】
第6の実施形態
本実施形態の情報端末用収納袋80は、第1の実施形態の情報端末用収納袋10の変形例であり、
図13に示すように、袋本体82の辺83はそのまま襟部84まで延長されており、これは1枚のシートは辺83で折り曲げることで形成することができる。襟部84の辺83の反対側の端部は斜めに広がるように設けられており、その途中の位置にチャック部86を有していることから、情報端末を挿入する場合には、最も広がっているのが開口部88で、それよりも少し小さな径でチャック部86が開口し、袋本体82の接続部はチャック部86よりは狭い開口となっている。従って、情報端末を挿入する際には、容易に開口部88やチャック部86に接触することを防ぎながら、袋本体82に情報端末を挿入できる。また、一辺が折り曲げ構造となるため三方を閉止する構造に比べて製造し易い。
【0035】
第7の実施形態
図14及び
図15に示すように、第7の実施形態の情報端末用収納袋90は接続部95の付近で襟部94を逆向き山折りに折り返し、さらにもう一度折曲部93で谷折りして立ち上がるように形成し、その立ち上がる領域にチャック部96があり、最外周部に開口部98が形成される。情報端末24の挿入時には、袋本体92の露出している接続部95に対して情報端末24の底部を挿入することで、容易に情報端末24を袋本体92の内部に挿入することができる。この時、チャック部96及び開口部98は接続部95から離間して存在することから、チャック部96及び開口部98に接触しない形で情報端末24を袋内に密閉することができる。
【0036】
第8の実施形態
本実施形態は、
図16及び
図17に示すように、表面のシート102側にも比較的に小さな矩形状の光遮蔽部101を有する例である。すなわち、本実施形態の情報端末用収納袋100は、表面のシート102と裏面のシート103を重ねて三方を閉止めした構造の袋本体を有し、裏面のシート103はその袋本体部の全面が光遮光性を有するフィルムからなる。この袋本体に連続して外側に向かって径大となり最外部に開口部108を有する襟部104が設けられている。襟部104は表面及ぶ裏面の両方とも透明な樹脂シートで構成される。また、襟部104の途中には、チャック部106が設けられており、挿入された情報端末24を密閉することができる。この実施形態の情報端末用収納袋100においても、光遮光性を有する裏面のシート103及び光遮蔽部101を利用して個人情報を確実に保護することができる。光遮蔽部101のサイズおよび位置は、情報端末24の表面カメラレンズ26の位置に合わせて配置されており、情報端末24が袋本体に挿入された際には、情報端末24の表面カメラ26のカメラ機能を抑制する。同時に、光遮光性を有する裏面のシート103が情報端末24の背面カメラレンズ28のカメラ機能を抑制する。光遮蔽部101は、特にカメラレンズ以外の情報端末24のモニター画面の光は十分に透過するようなサイズおよび位置とされる。このような構造の情報端末用収納袋100では、
図8及び
図9は第2の実施形態の変形例で示したように、使用者が表面カメラレンズ26や裏面カメラレンズ28の位置を情報端末24ごと袋本体内で移動させることで、各レンズ位置を光遮蔽部101や裏面のシート103の光照射部分から外れた位置に移動させることができ、個人情報の保護状態からカメラを使用するモードへの変更も可能である。光遮蔽部101は矩形状としたが、円形、楕円形、多角形などの他の形状であっても良い。
【0037】
上述の実施形態では、主に医療現場での利用を説明したが、本発明の情報端末用収納袋は、医療用に使用させるもの限定されず、半導体産業や精密機械産業などの塵や埃などを遮断するためのクリーンルーム内での使用や、食品製造や製薬作業での立ち入り、さらには飲食物提供などの菌やウイルスの影響を抑制するような現場での使用も見込まれ、その応用範囲は広いものである。
【符号の説明】
【0038】
10、30、33、40、60、70、80、90,100 情報端末用収納袋
12、72、82、92 袋本体
14、35、44、74、84、94 襟部
16、76、86、96 チャック部
18、78、88、98 開口部
20、95 接続部
24 情報端末
26 表面カメラレンズ
28 背面カメラレンズ
31、32、102、103 シート
48、50 面ファスナー
62 両面テープ
64 離型紙
83 辺
93 折曲部
101 光遮蔽部
【要約】
【課題】 手術や無菌処理が必要な作業を行う際に、携帯電話などの情報端末を容易に収納できる情報端末用収納袋の提供を目的とする。
【解決手段】 本発明の情報端末用収納袋は、板状の情報端末を収納する袋本体と、前記袋本体の一端に連続して設けられ外側に向かって径大となり最外部に開口部を有する襟部と、前記襟部の内側に設けられ前記袋本体を開閉するチャック部を有することを特徴とする。
【選択図】
図1