(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 3/02 20060101AFI20240610BHJP
B08B 5/00 20060101ALI20240610BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B08B3/02 F
B08B5/00 A
G02B6/36
(21)【出願番号】P 2024515968
(86)(22)【出願日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 JP2024009188
【審査請求日】2024-03-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524093782
【氏名又は名称】株式会社三喜
(74)【代理人】
【識別番号】100154634
【氏名又は名称】吉田 みさ子
(72)【発明者】
【氏名】林勁亨
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-533293(JP,A)
【文献】特開2000-249871(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0028567(US,A1)
【文献】特開2004-126492(JP,A)
【文献】特開昭54-118661(JP,A)
【文献】特開2004-177717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/02
B08B 5/00
G02B 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉状態にされた洗浄対象物に対して液体又は気液混合体並びにガスを交互に噴出する洗浄装置であって、
高圧でガスを供給するガス供給源と、
前記ガス供給源に接続された供給流路と、
前記供給流路から分岐された第1流路、第2流路及び第3流路と、
前記第1流路上に設けられた第1流路弁と、
前記第1流路の先端に設けられ、前記第1流路を介して前記ガス供給源から供給されるガスを噴出する噴出口と、
前記第2流路上に設けられた第2流路弁と、
液体を供給する液体供給源と、
前記第2流路を介して前記ガス供給源から供給されるガスを使用して、前記液体供給源から前記第1流路に対して液体又は気液混合体を供給する液体供給機構と、
前記第3流路から分岐し、外部への排気口を有する排気流路と、
前記第3流路上に設けられ、前記第1流路からの分岐部分から前記排気流路までの間に設けられた第3流路弁と、
前記第3流路と前記排気流路との接続部分に設置され、前記第3流路を介して前記ガス供給源から供給されるガスを前記排気流路に流すことにより、前記第3流路の先端である吸入口から前記排気流路への流れを作る真空発生器と、
バッテリーを電源として前記第1流路弁、前記第2流路弁及び前記第3流路弁を制御する制御部とを有し、
前記ガス供給源は、
高圧でガスが封入されたガスボンベであり、
前記第1流路弁から前記噴出口までの吹き出し流路長と、前記吸入口から前記真空発生器までの排気用高圧流路長とが、同程度であり、
前記制御部は、
前記第2流路弁を開放して数ミリ秒後に閉鎖し、前記第2流路弁の閉鎖と同時に前記第1流路弁及び前記第3流路弁を開放して数ミリ後に閉鎖する
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記供給流路に設置された供給流路弁を有し、
前記制御部は、
ユーザの操作に応じて前記供給流路弁を開状態にし、
前記第2流路弁及び前記第1流路弁を1秒未満の短時間だけ閉状態から開状態とする短時間開放を時間差で1回又は複数回行った後、前記供給流路弁を閉状態にする
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記第1流路と前記第1流路弁との間に、高圧で供給されたガスを音速に変換する音速ノズルが設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記液体供給機構は、前記第2流路から供給されるガスの圧力によって、前記ガス供給源から液体を押し出す
ことを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば光通信用光コネクタ端面のよごれを除去する洗浄装置に提供して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光通信システムの普及は目を見張る物があり、例えば、データセンターの普及は、いわゆるネット社会を構築するインフラの基本要素である。このデータセンターでは、多くのストレージの間を無数のファイバで接続されていて、その接続の際には、通信障害を防ぐために、必ず光ファイバ端面の清掃を行う必要があり、簡便で使いやすいコネクタ洗浄器が期待されている。
【0003】
この要求に応えるために、超極細繊維による拭き取り方式の光コネクタクリーナーが提案されている。これは、超極細繊維が巻き付けられたリールにより、多数回の洗浄を行う事を可能としている構造となっている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5525628号
【文献】特開2002-9885
【文献】特開平10-260335
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した超極細繊維による拭き取り方式の光コネクタクリーナーは、コネクタ端面に傷をつけるおそれがあり、また、作業者による清掃むらが生じていた。更には、清掃ツールで使用される布などは、同一目的での再利用ができず全て廃棄されているという課題があった。これを解決するために例えば、気液混合体などを用い、コネクタ端面と非接触な洗浄手法が望まれている。この種の清掃では、例えば、ポンプにより気液混合体を噴射ノズルより噴射させ、コネクタ端面に吹き付けて洗浄するものである(特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら、上述したようなポンプを用いる構成では、装置全体が大型になり、可搬型は困難な状況であった。また、気体、ないしは気体とアルコールなどの気液混合体と混合された気液混合体の供給では、供給される気体、気液混合体の制御が容易ではなく、必要量を超えた量の気体、気液混合体がコネクタ端面に残留された状態になりうる。この余剰の気体、気液混合体がコネクタ端面に残渣して逆にコネクタ端面を汚すことになる。
【0007】
上述した気体、ないしは気体とアルコールなどの気液混合体と混合された気液混合体を外部に排出させるために、ノズル周辺部に溝を設けて、噴射させた気体、ないしは気体とアルコールなどの気液混合体と混合された気液混合体がコネクタ端面部分で停留することなく、外部に除去させる構造が提案されている。(特許文献3参照)
【0008】
しかしながら、上述した装置構成では、吹き付け動作、排気動作には、ポンプを用いており、装置の小型化を図り、可搬型の装置にすることは困難であり、ユーザの使い勝手が悪いという問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされるものであり、ユーザの使い勝手を向上させ得る洗浄装置を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、本発明の洗浄装置は、密閉状態にされた洗浄対象物に対して液体又は気液混合体並びにガスを交互に噴出する洗浄装置であって、
高圧でガスを供給するガス供給源と、
前記ガス供給源に接続された供給流路と、
前記供給流路から分岐された第1流路、第2流路及び第3流路と、
前記第1流路上に設けられた第1流路弁と、
前記第1流路の先端に設けられ、前記第1流路を介して前記ガス供給源から供給されるガスを噴出する噴出口と、
前記第2流路上に設けられた第2流路弁と、
液体を供給する液体供給源と、
前記第2流路を介して前記ガス供給源から供給されるガスを使用して、前記液体供給源から前記第1流路に対して液体又は気液混合体を供給する液体供給機構と、
前記第3流路から分岐し、外部への排気口を有する排気流路と、
前記第3流路上に設けられ、前記第1流路からの分岐部分から前記排気流路までの間に設けられた第3流路弁と、
前記第3流路と前記排気流路との接続部分に設置され、前記第3流路を介して前記ガス供給源から供給されるガスを前記排気流路に流すことにより、前記第3流路の先端である吸入口から前記排気流路への流れを作る真空発生器と、
バッテリーを電源として前記第1流路弁、前記第2流路弁及び前記第3流路弁を制御する制御部とを有し、
前記ガス供給源は、
高圧でガスが封入されたガスボンベであり、
前記第1流路弁から前記噴出口までの吹き出し流路長と、前記吸入口から前記真空発生器までの排気用高圧流路長とが、同程度であり、
前記制御部は、
前記第2流路弁を開放して数ミリ秒後に閉鎖し、前記第2流路弁の閉鎖と同時に前記第1流路弁及び前記第3流路弁を開放して数ミリ後に閉鎖する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ユーザの使い勝手を向上させ得る洗浄装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態における洗浄装置の内部構成を示す概略図である。
【
図2】本実施の形態における真空発生器の構造と動作の説明に供する概略図である。
【
図3】本実施の形態におけるノズル部分の構造に供する概略図である。
【
図4】本実施の形態におけるノズル部分の詳細構造に供する断面図である。
【
図5】本実施の形態におけるノズル部分の詳細構造に供する外観図である。
【
図6】本実施の形態における流路弁の制御信号のシーケンスについての説明に供する図である。
【
図7】本実施の形態におけるノズル部分の流体設計手法、特にマッハ数の設計手法の説明に供する計算グラフを示した図である。
【
図8】本実施の形態におけるノズル部分の流体設計手法、特にスロート部と出口部の構造パラメーの設計手法の説明に供する計算グラフを示した図である。
【
図9】本実施の形態における高速吹きつけによる洗浄原理についての説明に供する概略図である。
【
図10】本実施の形態における高速吹きつけによる吹き飛ばし力の説明に供する計算グラフを示した図である。
【
図11】本実施の形態における低温流体吹きつけによる洗浄原理についての説明に供する概略図である。
【
図12】本実施の形態における低温流体吹きつけによる吹きつけ流体の温度についての説明に供する計算グラフを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1における100は、全体として本発明の洗浄装置100を示している。
【0015】
図1に示すように、本発明の第一の実施の形態では、全体の装置形状は、例えば市販されている「ペイント・ガン」タイプと類似した構造となっており、レバーSW19をマニュアルで駆動させることで、本装置が機能する。
【0016】
本発明では、ポンプの削減及びコンプレッサーのかわりにガスボンベを使用することにより可搬型の洗浄装置100を実現している。この結果、また、消費電力の増大化、騒音などが改善される。
【0017】
本発明では、炭酸ガスの吹きつけには、高圧封入ボンベからの高圧ガスを用いるので、コンプレッサーは不要である。また、アルコールなどの気液混合体の吹きつけにも、この高圧封入ボンベからの高圧ガスを用いている。
【0018】
噴射させた炭酸ガス、ないしはこの気体とアルコールなどの気液混合体がコネクタ端面部分に吹き付けられたのち、端面で停留することなく、外部に速やかに排出させる。このとき、吸入排気用としてポンプを使用せず、高圧封入ボンベからの高圧ガスが接続された真空発生器を使用する。
【0019】
このように、全ての動作には、ポンプ及びコンプレッサーを不要として、高圧ガスを用いている。
【0020】
内部構成としては、圧縮炭酸ガスのボンベ1、それに接続された減圧弁2、大容量の大容量弁3、および高速流路弁4により、適切な圧力にコントロールされ、適切なタイミングで吹き付けができるような構成となっている。例えば、圧縮炭酸ガスのボンベ1には、NTG社の炭酸ガスカートリッジ、ミニタイプ4などが適用できる。この場合、ガス量は40リットルで、質量は300gと比較的大容量・軽量タイプである。また、減圧弁2は、例えば、NTG社レグレータ:NR-10、圧力0.8MPaが適用できる。
【0021】
大容量の大容量弁3には、例えば、SMC社のソレノイドバルブVX230AA、圧力差1MPaが適用できる。また、高速流路弁4には、例えば、SMC社のSX11-KG、スピード:0.4msが適用できる。
【0022】
ヘキサン、またはアルコールなどが封入された液体ボンベ6には、圧縮炭酸ガスのボンベ1からの高圧が供給できるように、逆流防止弁(逆止弁)5を介して接続されており、ボンベ出口には、液体用弁7が配置されており、逆流防止弁5が開放されると、高圧ガスと同じく吹き出し流路11を通り、ノズル先端まで到達することができる。
逆流防止弁(逆止弁)5には、例えば、SMC社のチェックバルブ:AKH-08-00、圧力範囲:1MPaが適用できる。また、液体用弁7には、例えば、SMC社の液体用ソレノイドバルブ、LVM15R3HY-5Bなどが適用できる。
【0023】
排気経路は、ノズルの中心軸の周辺に設けられた吹きつけガスが排気される排気流路13と、真空発生器10で構成されている。この真空発生器10に高圧ガスが流入することで、高圧ガスが通過しないポート、つまり排気流路13には、高圧ガスの流れに引き込まれて「負圧」が発生し、これにより、吸入されるので、排気は、真空発生器10に接続されている外部排気流路14を介して外部に排気される。この原理により、排気側でも、ポンプを削減することが可能となる。
真空発生器10には、例えば、SMC社の真空エジェクタ、ZH15Dが適用できる。
【0024】
ノズル8の先端部は、アダプタ15に保持され、清掃対象である光コネクタ16の端面に対面配置されているが、このアダプ15部分は、気密保持されており、炭酸ガス、または、洗浄混合ガスが漏れることなく吹き付けられる。吹き付けられた炭酸ガス、洗浄混合ガスは、前記のように、排気流路13を介して、最終的には、外部排気流路14により、外部に排気される。
【0025】
また、3つの経路の流路管の全体の長さは、例えば、30cmであり、流路管内径は、ボンベ1から、吹き出し流路11と排気用高圧流路12に分岐されるまでは、例えば、7.5mmφ、それ以降は、例えば、6.0mmφである。
【0026】
また、電気系統は、流路弁を制御するための制御回路17、バッテリー18、安全SW20、前記レバーSW19で構成されている。例えば、制御回路17は、パイソンを搭載した市販の基板を用いて、総合的に管理しながら制御できるようにしている。この回路には、併せて、流路弁へ供給する駆動電圧の電気スイッチ回路が搭載されている。なお、各電気部品は、図示しない電気配線により接続されている。
【0027】
図2は、真空発生器10の構造と動作原理を説明した図である。(a)図で示したように、
図1記載の排気用高圧流路12から流入した圧縮ガスが真空発生器内ノズル22で絞られて、ディフューザ23で拡大し、
図1記載の外部排気流路14で大気に排気される。圧縮ガスは、ノズル22で流速が上昇し音速まで達するので、このように高速になると
図1記載の排気流路13内の圧力が低下し真空状態となり、(b)図で示したように、排気流路13から、ディフューザ23へ空気の流れが生じ、これにより、排気流路13から吸入されるものである。
【0028】
以上説明してきたように、ポンプを一切用いずに、1つの高圧ガス封入ボンベで、(1)炭酸ガスの吹きつけ動作、(2)気液混合体の吹きつけ動作、(3)余剰ガスの排出動作を行っているので、ボンベでの圧縮ガスの消費量を抑えることが必要である。このために、流路弁を高速にスイッチングし、そのスイッチング信号には、On/OFF切り替えが迅速であるPWM(パルス幅変調)信号を活用することで、高速制御を行い圧縮ガスの消費量を抑えている。
【0029】
一方、洗浄効果を最大限にして、圧縮ガスの消費量を抑えることも有効である。このために、吹きつけ用のノズル構造は、単純な高速な流体を噴射させるだけではなく、亜音速から超音速までの高速流速で噴射できるラバルノズルを採用している。
【0030】
図3は、上記ノズル構造の一例を示している。気体、ないしは気体とアルコールなどの気液混合体を噴射させるノズル8の構造として、中心軸に沿って噴射を行うノズルの貫通穴が形成されている。このノズルは、ロケットエンジン向けに開発されてきたラバルノズル26であり、入力面24、出口面25を規定し、入力部27、スロート部29、出口部28がラバルノズル設計手法により形状を設計することができる。
また、排気を通過させる排気用の吸入口93を中心軸から円環状に設置しており、この吸入口93は、ノズル8の内部空間を介して排気流路13へと接続されている。この排気用の吸入口93は、円柱状の穴を複数本配置することもできる。
【0031】
図4は、
図1記載のノズル8の断面図の一例を示しており、(a)は、側面図、(b)は、断面図(
図5でのB-B断面)、(c)は斜視図である。ベース部30、ノズル部31、吸い込み部32,コネクタホルダ部33の4つの部品の組み合わせて構成されている。各接続部は、漏れがないように図示していない適切なOリングを用いて接合されている。全体の固定には、六角ボルト34が用いられている。(b)図では、吸い込み部32とノズル部31が示されているが、吹き出し流路11がセンターに配置され、その周辺に環状の排気流路13が配置されている。
【0032】
図5は、ノズルの外観図を示しており、(a)は、側面図、(b)は、正面図、(c)は斜視図である。断面図と同じく、ベース部30、ノズル部31、吸い込み部32,コネクタホルダ部33で構成され、全体の固定には、六角ボルト34が用いられている。
【0033】
図6は、各種流路弁の制御を示した図である。液体用流路弁用PWM信号37,炭酸ガス用高速流路弁用PWM信号36,排気用高速流路弁用PWM信号35、大容量流路弁用PWM信号38が記載されている。制御の一例として、まず、液体用弁7を開状態として、アルコールなどの洗浄液を放出し、その後、直ぐに炭酸ガス用の高速流路弁4を開放して炭酸ガスを吹き付けると同時に、排気用の高速流路弁9を開放して排気も行うというシーケンスである。
【0034】
なお、このシーケンスは、高速流路弁4から噴出口92までの吹き出し流路長と、高速流路弁9から真空発生器10までの排気用高圧流路長との関係でそのタイミングが調整されることが好ましい。
図6の場合、排気用高圧流路長が吹き出し流路長と同程度(同一から±20%)であることが好ましい。また、排気の確実性を向上するため、排気用高速流路弁用PWM信号35を炭酸ガス用高速流路弁用PWM信号36よりも長くしても良い。
【0035】
また、大容量弁3は、他の弁では、閉状態での漏れがある程度生じるので、それを完全に抑えるための弁であり、この大容量弁3は、3つの弁動作の最初と最後までの間だけ開状態としている。
なお、例えば、各信号の時間幅は、5ms程度であり、このシーケンス動作の繰り返しは、図では、3回を1ターンとしての2ターン繰り返す場合を示しているが、任意に設定ができ、例えば1ターンの数は1回でも複数回でもよく、1回の洗浄につき1ターン、10ターンなど、適宜選択して行うようにしても良い。また、例えば液体用弁7、高速流路弁4、高速流路弁9の順で開状態及び閉状態を繰り返すようにしても良い。
【0036】
流路弁の開閉のタイミングは、
(1)圧縮ガス開放し、数ミリ秒後に洗浄ガスを開放する。次に、数ミリ秒後に排気用流路弁を開放する、という標準シーケンスがある。
(2)圧縮ガス開放と、洗浄ガス開放を同時にして、より洗浄効果の向上を図るシーケンスもある。
(3)更には、排気ガスの開放も同時に行なう(または、開放状態を維持しておく)と、吹きつけ側が「正圧」、回収側が「負圧」になるので、相対的に圧力差が向上し、吹きつけ力が向上することで、洗浄効果が増大するシーケンスもある。
このように、対象部の状況、特にコネクタサイズなどに大きく影響するので、状況に応じて、(1)~(3)のタイミング、シーケンスで制御を行なう。
【0037】
すなわち、制御回路17は、大容量弁3に対して大容量流路弁用PWM信号38を供給し、大容量弁3を開放して開状態とする。この結果、炭酸ガスが吹き出し流路11を介して、排気用高圧流路12、液体流路91に充填される。
【0038】
制御回路17は、液体用弁7に対して液体用流路弁用PWM信号37を供給し、液体用弁7が開状態となり、その後液体用弁7が閉状態となる。この結果、炭酸ガスが液体流路91を介して液体ボンベ6に供給され、合流する吹き出し流路11に液体が供給される。液体は、吹き出し流路11の先端である噴出口92から洗浄対象物である光コネクタ16に吹き付けられる。
【0039】
制御回路17は、高速流路弁4に対して炭酸ガス用高速流路弁用PWM信号36を供給し、高速流路弁4を開状態とする。この結果、炭酸ガスが吹き出し流路11に炭酸ガスが供給され、高速流路弁4が開状態となり、その後閉状態となる。この結果、炭酸ガスは、吹き出し流路11の先端である噴出口92から洗浄対象物である光コネクタ16に吹き付けられる。
【0040】
制御回路17は、高速流路弁9に対して排気用高速流路弁用PWM信号35を供給され、高速流路弁9が開状態となり、その後閉状態となる。この結果、炭酸ガスが排気用高圧流路12に炭酸ガスが供給され、液体用弁7が閉状態となり、その後塀状態となる。炭酸ガスは、排気用高圧流路12から真空発生器10に供給され、真空発生器10から外部排気流路14への流れを作り、排気流路13からの吸入の圧力を形成する。
【0041】
この結果、排気流路13の先端である吸入口93から汚れなどを含む気体及び液体が吸入され、真空発生器10を介して外部排気流路14から排出される。なお、外部排気流路14の先端部分にフィルターを設けることにより、吸い取った異物や液体が外部に飛び散らなくできる。
【0042】
そして大容量弁3は、大容量流路弁用PWM信号38の終わりと同時に大容量弁3を閉じて開状態とする。
【0043】
この流れは、ユーザが操作部であるレバーSW19を操作している間中、繰り返し実行されてもよく、例えば2回など、予め設定された回数だけ繰り返してから終了するようにしても良い。
【0044】
また、例えば排気流路13を開状態にしたまま、液体用弁と高速流路弁4とを交互に開状態にするようにしてもよい。
【0045】
図7は、本実施の形態におけるノズル部分の流体設計手法、特にマッハ数の設計手法の説明に供する計算グラフを示した一例である。ノズルにガスが入ると、音速以下の速度で進む事になるが、スロート部(のどの部分)は、ノズルが狭まっていくためガスが圧縮・加速され、断面積が最小の部分で速度が音速となる。その後断面積が広がるとガスが膨張し、速度は超音速になるという原理で、パラメータ次第ではあるが、亜音速から超音速を発生するノズルとなるものである。
【0046】
以下の式(1)は、
図7のグラフの元となる理論式を示している。出口部圧力Peと入力部圧力Psの圧力比Pe/Psとノズル出口での速度、ここではマッハ数で定義しているが、これをMeとした場合の関係式を示している。なお、ここでγは、扱う気体の比熱比である。
【0047】
【0048】
図7から、例えば、入力部圧力Psが、0.8MPaの場合、出口部分での速度は、約マッハ2.0となることがわかる。
【0049】
図8は、本実施の形態におけるノズル部分の流体設計手法、特にスロート部と出口部の構造パラメーの設計手法の説明に供する計算グラフを示した図である。
【0050】
以下の式(2)は、
図8のグラフの元となる理論式を示している。出口部断面積Ae、スロート部断面積Atとの断面積比Ae/Atとノズル出口でのマッハ数Meの関係式を示している。なお、ここでγは、扱う気体の比熱比である。
【0051】
【0052】
図8は、Ae/AtとMeの関係グラフと、Aeを例えば、3.14mm
2とした場合のAtとMeとの関係グラフの双方が記載されている。図から、Aeを例えば、3.14mm
2とした場合で、Meが2の場合は、Atは、1.5mm
2となることがわかる。
このような設計により、
図1のノズル9における
図3の入力部27、スロート部29、出口部28のパラメータを設計することができる。
【0053】
コネクタ端面でのよごれには、人間の指がコネクタ端面にふれることで付着する油脂と、空気中の微粒子による粉体がある。ファイバコネクタの伝送を行なうコアは、シングルモードファイバでは直径10マイクロメートルであり、粉体として数マイクロメートルでも伝送品質を低下させてしまうので、微細な物でも除去することが必要である。また、近年光ファイバアンプの登場により、伝送パワーが増大しているので、微少な粉体が付着しているとハイパワーにより発火するというよう事故も生じているので、安全性という観点でも清掃は必要不可欠になっている。
なお、この微粉体は、大気中のちりなどが主成分と考えら、また、電荷を持ち静電力で付着していることもある。
【0054】
図9は、この粉体を本発明の光コネクタ清掃装置で除去するメカニズムを図示している。コネクタ端面21に付着している粉体39が、ガス流体40により、吹き飛ばされている一例が描かれている。
【0055】
ラバルノズルは、上記説明したように、ガス体を亜音速から超音速へ加速するために設計されたノズルであり、このノズルは、狭いスロート部(最も狭い部分)を持ち、その後に拡大する部分がある。ガス体がノズルのスロート部を通過するとき、速度が音速に達し、それを超えて超音速へと加速するものである。
【0056】
ノズル内での気体の加速は、断熱膨張のプロセスによるものである。気体がノズル内で膨張すると、内部エネルギーが速度エネルギーに変換され、結果として温度が低下する。
【0057】
気体が超音速に達すると、流れの性質が大きく変わる。超音速流れでは、情報(圧力の変化など)は音速以下でしか伝わらないため、ノズルの出口やそれ以降の領域における急激な圧力変化(例えば障害物や変化する断面積)が、上流に伝わらず、衝撃波を引き起こしやすくなる。
【0058】
ラバルノズルの出口付近やその外部で、流れが急激に圧縮されると、衝撃波が発生しやすくなる。この衝撃波は、流れの方向が急激に変化し、圧力、温度、密度が局所的に高くなる現象である。特に、ノズルの出口で気体が周囲の大気と相互作用する際に、これが顕著に現れることがある。
【0059】
衝撃波による衝撃圧力の定式化は複雑な挙動によるので、ここでは、異物を吹き飛ばす力と風速の関係について説明する。この関係は、風速、異物の大きさ、形状、質量、そして空気の密度が関係する。風速が増加すると、粉体に作用する力が増加し、この力は、風が物体に当たる際の動圧(動的圧力)によって生じる。動圧は風速の二乗に比例して増加するため、風速が少し増加するだけで、粉体に作用する吹き飛ばす力は大きく増加することが分かる。
【0060】
粉体に作用する力は、次の式で近似的に計算することができる。
【0061】
【数3】
式(3)
ここで、Fは、力(ニュートン)、ρは、空気の密度(kg/m
3)、vは、風速(s)、Aは対象物の面積(m
2)を示している。
この式から、粉体の大きさ形状、質量は、吹き飛ばし力に大きく影響を与え、大きくて重い物体は、小さく軽い物体に比べて、同じ風速であっても吹き飛ばされにくい事が分かる。
【0062】
図10は、吹き飛ばし力を圧力Paで表した一例であり、横軸は流速(マッハ)としている。マッハ1では、衝撃圧力は、約150KPaとなり、これは、工業用機器、例えば、工業用プレス機などが生成する衝撃圧力、数kPaから数MPaの範囲にあり、日常生活で経験する圧力よりかなり大きい値であり、これにより容易に吹き飛ばすことが可能となる。
【0063】
図11は、人間の指がコネクタ端面にふれることで付着する油脂41を本発明の光コネクタ清掃装置で除去するメカニズムを図示している。油脂41は、化学的な力でコネクタ端面21に付着していると考えられる。この場合、アルコールなどが混合されたガスの吹きつけにより溶解して除去することができる。また、吹き付けるガス流体40が亜音速から超音速の場合、ガス流体は、マイナス温度になるので、このような零下の吹きつけにより、油脂41は冷却圧縮し、コネクタ端面21から剥離され、吹き飛ばされている一例が描かれている。
【0064】
ノズル内での流体の加速(特に超音速への加速)は、断熱膨張の原理によるものであり、流体はノズルを通過する際に断熱的に膨張し、その過程で内部エネルギーが運動エネルギーに変換される。このエネルギー変換により、流体の温度は低下し、特にノズルの狭い部分(スロート)を超音速で通過する際に圧力が急激に低下し、その結果、温度も低下する。
【0065】
亜音速、超音速での噴射ガスの温度は、以下の計算過程で求めることができる。全圧比Ptotalは、マッハ数と比熱比から以下の式で求めることができる。
【0066】
【数4】
式(4)
ここで、Mは、マッハ数、γは、比熱比(空気は約1.4)である。
次にノズル出口での温度は、全温度(流体が制止していた場合の温度)を全圧比で除算することで求めることができる。ただし、この場合の温度は、ケルビン温度である。なお、Ttotalは、初期温度のことである。
【0067】
【0068】
図12は、マッハ数と出口温度(摂氏)の関係を示す一例である。計算の初期条件は、初期温度は常温25℃、初期圧力は1MPa、出口圧力は大気圧0.1MPa、比熱比は、空気を想定し1.4としている。
マッハ数1の場合、-113℃とかなりの低温になることがわかる。
計算のモデルでは、流体が理想気体であり、かつ、流れが、断熱で等エントルピーという前提での計算であり、実際には、外部からの熱流入が生じるので、ここまで低下しないことが知られているが、流体温度は―20~―30℃には到達する。
【0069】
人間の皮膚から分泌される「油膜」が「油脂」としてコネクタ表面に付着するが、その厚みは、顕微鏡観測から数マイクロメートル程度であり、コネクタとしての損失や反射減衰量の悪化を生じる原因になる。
この油脂の熱線膨張係数を考察するには、皮膚油や類似する有機化合物を参考にすることができ、いわゆる「油脂」での熱線膨張係数は、成分にも大きく依存するが、概ね2000~4000x10-6と推測できる。例えば、熱線膨張係数:2000x10-6、温度変化を50℃(常温からー30℃の約50℃)とすると、圧縮率は、0.05、つまり5%となり、この大きな圧縮に伴い、油脂がコネクタ表面から脱離し、除去することができる。
【0070】
このように油脂付着は、冷却効果、および、アルコールとの混合ガス流体吹きつけによる除去が効果的であるが、冷却効果のみで十分であれば、アルコール混合ガスを用いないケースもありえる。一方、吹きつけ流速を亜音速以下にして、冷却させることなく、アルコール混合ガスのみで行うこともありえる。
【0071】
<動作及び効果>
以下、上記した実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて課題及び効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記各実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。また、各特徴に記載した用語の意味や例示等は、同一の文言にて記載した他の特徴に記載した用語の意味や例示として適用しても良い。
【0072】
密閉状態にされた洗浄対象物に対して液体又は気液混合体並びにガスを交互に噴出する洗浄装置(洗浄装置100)であって、
高圧でガスを供給するガス供給源(圧縮炭酸ガスのボンベ1)と、
前記ガス供給源に接続された供給流路(吹き出し流路11の分岐前の川上部分)と、
前記供給流路弁より後段において分岐された前記第1流路(吹き出し流路11において、分岐した川下部分)、第2流路(液体流路91)及び第3流路(排気用高圧流路12,排気流路13)と、
前記第1流路上に設けられた第1流路弁(高速流路弁4)と、
第1流路の先端に設けられた噴出口(噴出口92)と、
前記第2流路上に設けられた第2流路弁(液体用弁7)と、
液体を供給する液体供給源(液体ボンベ6)と、
前記第2流路から供給されるガスを使用して、前記液体供給源から前記第1流路に対して液体又は気液混合体を供給する液体供給機構(液体ボンベ6に炭酸ガスが供給されて液体が押し出される機構)と、
前記第3流路から分岐する排気流路(外部排気流路14)と、
前記第3流路上に設けられ、第1流路と排気流路との接続部間に設けられた第3流路弁(高速流路弁9)と、
前記第3流路と前記排気流路との間に設置され、前記第3流路から供給されるガスを前記排気流路に流すことにより、第3流路の先端である吸入口(吸入口93)から前記排気流路への流れを作る真空発生器(真空発生器10)と、
前記第1流路弁、前記第2流路弁、前記第3流路弁を制御する制御部(制御回路17)と
を有することを特徴とする洗浄装置。
【0073】
これにより、一つのガス供給源から供給されるガスを使用して、液体又は気液混合体の吹付け、ガスの吹付けだけでなく、ガスや液体、異物などの吸入及び排出までを行うことができ、ポンプレス構造を実現できる。このため、洗浄装置の小型化など、設計の自由度が向上し、しいてはユーザの使い勝手を向上させ得る。
【0074】
前記供給流路に設置された供給流路弁(大容量弁3)を有し、
前記制御部は、
ユーザの操作に応じて前記供給流路弁を開状態にし、
前記第2流路弁及び前記第1流路弁を1秒未満の短時間だけ開状態から閉状態とする短時間開放を時間差で1回又は複数回行った後、前記供給流路弁を閉状態にする
ことを特徴とする。
【0075】
これにより、供給流路をガスで満たした状態にして、弁を開放するため、弁を開放したときのガスの流量を安定させることができる。
【0076】
前記ガス供給源は、
高圧でガスが封入されたガスボンベである
ことを特徴とする。
【0077】
これにより、空気を圧縮して高圧で噴射するコンプレッサーが不要となり、使用用途に応じたガスボンベの選択により、可搬式の小型洗浄装置を構成することができる。
【0078】
前記第1流路と前記第1流路弁との間に、高圧で供給されたガスを音速に変換する音速ノズル(ノズル8)が設置されている
ことを特徴とする。
【0079】
これにより、冷却と音速を超えるガスの効果により、洗浄効果を高めることができる。また、第1又は第2流路に加熱装置を設置することにより、液体を加熱して液状のまま音速で噴射することもできる。これらの構成は、洗浄対象に付着していると想定される汚れに応じて適宜選択可能である。
【0080】
前記液体供給機構は、前記第2流路から供給されるガスの圧力によって、前記ガス供給源から液体を押し出す
ことを特徴とする。
【0081】
これにより、ガスの供給量に応じた液体を液体ボンベから吐出することができる。
【0082】
前記液体供給機構は、前記第2流路から供給されるガスの流れによって、前記ガス供給源から液体を引き出し、気液混合体を形成する
ことを特徴とする。
【0083】
これにより、ガスの供給量に応じた液体を液体ボンベから吐出することができる。
【0084】
<他の実施形態>
次に、第二の実施の形態について、
図3を用いて説明する。亜音速、超音速を実現するために、航空宇宙技術開発の中で、開発されてきた「ラバールノズル(デ・ラバルノズルとも表記する)」について
図3、
図4,
図5では記載している。このラバールノズルは、流体が音速を超える速度で噴出するように設計された収束発散型ノズルで、このノズルは、収束部で流体を加速させて音速に達させ、その後発散部でさらに加速させて超音速にします。
【0085】
ラバールノズル以外のノズルタイプとしては、必ずしも、超音速領域を達成するノズルに限定するものではなく、例えば、単純収束ノズルが考えられる。このノズルは、音速以下の速度で流体を噴出させるために使用されるが、収束のみの形状をしたノズルであり、製造性が良い。これは超音速流には適していないが、低速度での精密な流量制御には有効である。
【0086】
また、エアロスパイクノズルも一例として考えられる。これは、空気の抵抗を利用して効率的に流体を加速させるノズルで、外部燃焼型ロケットエンジンなどに用いられる。
また、プラグノズルも一例として考えられる。これは、エアロスパイクノズルと類似した原理で動作するが、より単純な構造を持つノズルである。プラグの形状をした中心体を使用して流体を加速させ、大気圧による自然な収束発散効果を利用するタイプである。
【0087】
これらの異なるノズルタイプは、使用される流体の種類(ガスや液体)、必要な推力、運用環境(大気中や真空中)など、特定の要件に応じて選択されるが、ラバールノズルは最も一般的な超音速ノズルの一つであり、その効率と信頼性から多くの高速流体アプリケーションで採用されているが、他のタイプのノズルも特定の条件下で優れた性能を発揮することがある。
【0088】
本発明で適用されるガス供給源は、高圧でガスが封入されたガスボンベとすることで、小型・可搬型を実現できるが、小型化や可搬型よりも大容量で長時間での使用を目的として、ポンプを用いても良い。ポンプとしては、ガス用のポンプ、液体用のポンプを組み合わせて用いても構わない。ポンプの種類としては、例えば、遠心ポンプ:回転するインペラーを使用して流体にエネルギーを与え、遠心力により流体をポンプから押し出すタイプ、陽圧ポンプ(ポジティブ・ディスプレースメントポンプ):固定された容積の室を使用して、流体を吸入し圧力をかけて押し出すタイプ、コンプレッサー(ガス用のポンプ):ガスや空気を圧縮して移送するタイプ、真空ポンプ:真空状態を作り出すためにガスを排出するタイプ、などが考えられる。
【0089】
本発明で適用される不活性なガス体としては、圧縮空気、炭酸ガス、窒素ガスが考えられるが、更には、精密部品の洗浄に用いられる不活性ガスとしては、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス、キセノンガスなどが考えられる。
【0090】
本発明で適用される液体としては、アルコール、ヘキサンなどの有機溶剤が主流であるが、その他に、フッ素系液体(表面張力が小さく浸透性に優れています。精密機器や電気機械部品の洗浄に多く使用される)、臭素系液体(塩素系有機溶剤の代替品として市販されている)、グリコールエーテル系気液混合体(準水系気液混合体)などが考えられる。
【0091】
また、本発明の清掃装置における対象とする光コネクタの種類は、現在市販されているFC(Ferrule Connector)、SC(Subscriber Connector)、LC(Lucent Connector)、複数ファイバ用のMT(Mechanical Transfer)、MPO(Multiple-fiber Push-On/Pull-off)などの全てに適用できる。
【0092】
また、本発明の洗浄装置は、同様に精密な小型部品の清掃に適用できる。これにより、電子機器、医療器具、微細加工部品、研究用サンプルなど、洗浄・清掃が求められるあらゆる分野での利用が考えられます。特に、製造過程での微細な汚れ除去、製品の品質保持、機能性の維持、または研究開発段階でのサンプルの精密な清掃などに有効である。具体的には、半導体チップ、プリント基板(PCB)上の電子部品、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)、医療用インプラントや外科用器具、精密機械部品などが考えられる。
【0093】
上述実施形態では、超音速を発生させるノズル8を使用したが、本発明はこれに限られない。必ずしも超音速ノズルは必要ではない。また、圧縮炭酸ガスのボンベの代わりに、コンプレッサーを使用しても良い。
【0094】
上述実施形態では、ポンプレス構造の洗浄装置について説明したが、本発明はこれに限られない。超音速ノズルを使用することにより、従来の洗浄装置と比較して、洗浄効果を高めることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、光ファイバ端面の清掃を行う際に、小型・可搬型であり、洗浄効果が高いコネクタ洗浄に適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1:ボンベ,2:減圧弁,3:大容量弁,4:高速流路弁,5:逆流防止弁,6:液体ボンベ,7:液体用弁,8:ノズル,9:高速流路弁,10:真空発生器,11:吹き出し流路,12:排気用高圧流路,13:排気流路,14:外部排気流路,15:アダプタ,16:光コネクタ,17:制御回路,18:バッテリー,19:レバーSW,20:安全SW,21:コネクタ端面,22:真空発生器内ノズル,23:ディフューザ,24:入力面,25:出力面,26:ラバルノズル,27:入力部,28:出口部,29:スロート部,30:ベース部,31:ノズル部,32:吸い込み部,33:コネクタホルダ部,34:六角ボルト,35:排気用高速流路弁用PWM信号,36:炭酸ガス用高速流路弁用PWM信号,37:液体用流路弁用PWM信号,38:大容量流路弁用PWM信号,39:粉体,40:ガス流体,41:油脂,91:液体流路,92:噴出口,93:吸入口,100:洗浄装置
【要約】
【課題】 ユーザの使い勝手を向上させ得る。
【解決手段】圧縮高圧ガスを吹き付ける動作、気液混合体を吹き付ける動作、余剰ガス成分を排気する動作の全てにおいて、圧縮高圧ガスを用いて、ポンプを一切用いない構成として、小型・可搬型を実現することができる。また、この高圧ガスで全てを行うので、圧縮ガスの消費量を抑えることが必要である。このために、流路弁をPWM(パルス幅変調)信号で高速に制御して圧縮ガスの消費量を抑えている。また、洗浄効果を最大限にして、圧縮ガスの消費量を抑えることも有効である。このために、吹きつけ用のノズル構造は、単純な高速な流体を噴射させるだけではなく、亜音速から超音速までの高速流速で噴射できるラバルノズルで構成している。
【選択図】
図1