(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】モルタル注入機及びモルタル注入方法
(51)【国際特許分類】
E04G 21/20 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
E04G21/20
(21)【出願番号】P 2020097594
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】成願 正彦
(72)【発明者】
【氏名】窪田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】野村 展生
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】西独国特許出願公開第02509962(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第02655745(DE,A1)
【文献】米国特許第08763858(US,B1)
【文献】特表平07-503928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性のモルタルが収容されたスパウト袋が注入口を前側にして載置される台座と、
前記台座との間に前記スパウト袋を入れ込み可能に配置され、後側から前側に向かって前記台座から離れるように反って設けられるバネ状の押し板と、
前記押し板を前記台座に向かって押圧可能で、前後方向に移動自在に設けられている付勢部材を備え
、
前記付勢部材が、前後方向に移動自在で前記押し板の幅方向に延びる移動軸に周設されているローラーであり、
前記押し板の幅方向の略中央位置に対応する位置で前後方向に移動自在な送りロッドが設けられ、
前記送りロッドの前端部が前記移動軸に固定され、
前記送りロッドの前端部の前記押し板の幅方向の両側にそれぞれ前記ローラーが設けられ、
前記ローラーが前記移動軸に対して空転可能に設けられていることを特徴とするモルタル注入機。
【請求項2】
請求項1記載のモルタル注入機を用いるモルタル注入方法であって、
前記付勢部材が前記押し板の後部に配置された状態で、流動性のモルタルが収容されたスパウト袋を前記注入口を前側にして前記台座と前記押し板の間に入れ込み、前記スパウト袋を前記台座に載置すると共に、前記流動性のモルタルを穿孔に注入する注入ノズルを前記注入口に取り付ける第1工程と、
前記付勢部材で前記押し板を前記台座に向かって押圧しながら前記付勢部材を前方に移動させ、前記スパウト袋から前記流動性のモルタルを絞り出して前記穿孔内に注入する第2工程を備えることを特徴とするモルタル注入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物等の穿孔にモルタルを注入するモルタル注入機及びモルタル注入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物に形成した穿孔に鋼製のボルトの一部又は全部を定着させる際に、穿孔内にモルタルを注入した後にボルトを差し込み、モルタルの硬化を待って定着させる手法が行なわれている。このモルタルの注入では、セメント系定着材と水と混練してから穿孔内にモルタルを注入できる可使時間が硬化前の限られた時間となるため、セメント系定着材と水を大量に練っておいて注入器に詰め替えることはできず、下記特許文献1、2のように、所要量のセメント系定着材と水を混錬してすぐに注入することになる。
【0003】
特許文献1では、セメント系定着材を封入した透水性筒状容器を水に浸漬して吸水させた凝集物をカートリッジ容器に挿入し、カートリッジ容器内の凝集物を撹拌機で撹拌、混錬して流動性のモルタルを作成した後、カートリッジ容器から攪拌機を取り外してカートリッジ容器に注入チューブが接続された注入ノズルと注入ガンを付け替え、カートリッジ容器内の流動性のモルタルを注入ガンで穿孔内に注入している。
【0004】
特許文献2では、セメント系定着材と水をカートリッジ容器にそれぞれ入れ、カートリッジ容器内で攪拌機により撹拌、混錬して流動性のモルタルを作成した後、カートリッジ容器を注入ガンにセットし、カートリッジ容器内の流動性のモルタルを注入ガンで穿孔内に注入している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-19022号
【文献】特開2013-203619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1、2のモルタル注入ではカートリッジ容器を用いており、これらのカートリッジ容器は一般的には一定形状の合成樹脂製で交換式である。斯様なカートリッジ容器を用いるモルタルを注入では、カートリッジ容器の製造に使用する合成樹脂量が多くなって製造コストが高くなる、カートリッジ容器の定形性によって占有スペースが増加し、物流コストが高くなる、合成樹脂製のカートリッジ容器を使い捨てるため廃棄量の増量に伴って環境負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
これらの問題を解消するための手法として、例えば注入口が取り付けられたスパウト袋にセメント系定着材を入れておき、このスパウト袋に現場で所定量の水を入れ、手作業や足踏みでセメント系定着材と水を混錬し、混錬された流動性のモルタルを、スパウト袋を絞るようにして注入口から穿孔内に注入することが考えられる。このスパウト袋を絞って流動性のモルタルを穿孔内に注入する場合、絞って注入する作業を手作業で行うと煩雑で絞り残しの無駄が出やすいため、スパウト袋内の流動性のモルタルを絞り出せる注入機を用いることが好ましい。
【0008】
しかしながら、
図5のような、支持体201で一対のローラー202・202がそれぞれ回転可能に支持され、平行して設けられる一方のローラー202の外周面と他方のローラー202の外周面が離間して近接配置されている一般的なローラー絞り機200を注入機として用いると、2個のローラー202・202の間をスパウト袋10を通過させる際に、流動性のモルタルM1に含まれる骨材AGがローラー絞り機200のローラー202・202間で引っかかってスパウト袋10が破損してしまうという別の問題を生ずる。
【0009】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、流動性のモルタルが収容されたスパウト袋を用いてモルタルを注入する際に、スパウト袋内の流動性のモルタルを無駄なく綺麗に絞り出して吐出させることができると共に、絞り出し時におけるスパウト袋の破損を防止することができるモルタル注入機及びモルタル注入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のモルタル注入機は、流動性のモルタルが収容されたスパウト袋が注入口を前側にして載置される台座と、前記台座との間に前記スパウト袋を入れ込み可能に配置され、後側から前側に向かって前記台座から離れるように反って設けられるバネ状の押し板と、前記押し板を前記台座に向かって押圧可能で、前後方向に移動自在に設けられている付勢部材を備えることを特徴とする。
これによれば、付勢部材を前方に移動させて台座から離れるように反ったバネ状の押し板を台座側に漸次押圧していき、押し板で漸次平らに押すようにしてスパウト袋の絞り出しを行うことができる。従って、スパウト袋内の流動性のモルタルを無駄なく綺麗に絞り出して吐出させることができると共に、絞り出し時におけるスパウト袋の破損を防止することができる。また、合成樹脂製の一定形状のカートリッジ容器を用いずに、柔軟に変形するスパウト袋から流動性のモルタルを絞り出してモルタルを注入することが可能であるから、モルタル注入に使用する製品の製造コストや物流コストの低減、廃棄量の減量による環境負荷の低減を図ることができる。
【0011】
本発明のモルタル注入機は、前記付勢部材が、上下方向の移動を規制されながら前後方向に移動自在に設けられていることを特徴とする。
これによれば、付勢部材を前方に移動させて台座から離れるように反ったバネ状の押し板を台座側に漸次押圧する際に、押し板の抗力による付勢部材の浮き上がりを防止することができ、押し板でスパウト袋を漸次平らに押す動作を確実に行うことができる。
【0012】
本発明のモルタル注入機は、前記付勢部材が、前後方向に移動自在で前記押し板の幅方向に延びる移動軸に周設されているローラーであることを特徴とする。
これによれば、ローラーを回転させながらローラーで押し板を漸次押圧することができ、押し板を台座側に漸次押圧する動作をスムーズに行うことができると共に、省力で行うことができる。
【0013】
本発明のモルタル注入機は、前記押し板の幅方向の略中央位置に対応する位置で前後方向に移動自在な送りロッドが設けられ、前記送りロッドの前端部が前記移動軸に固定され、前記送りロッドの前端部の前記押し板の幅方向の両側にそれぞれ前記ローラーが設けられ、前記ローラーが前記移動軸に対して空転可能に設けられていることを特徴とする。
これによれば、押し板の略中央から幅方向に均等に押し板を押すことができ、スパウト袋内の流動性のモルタルをより確実に無駄なく絞り出すことができる。また、ローラーを移動軸に対して空転可能とすることにより、送りロッドの前後方向への移動動作で、押し板を押圧するローラーを簡単に回転させながら前後に移動させることができる。
【0014】
本発明のモルタル注入方法は、本発明のモルタル注入機を用いるモルタル注入方法であって、前記付勢部材が前記押し板の後部に配置された状態で、流動性のモルタルが収容されたスパウト袋を前記注入口を前側にして前記台座と前記押し板の間に入れ込み、前記スパウト袋を前記台座に載置すると共に、前記流動性のモルタルを穿孔に注入する注入ノズルを前記注入口に取り付ける第1工程と、前記付勢部材で前記押し板を前記台座に向かって押圧しながら前記付勢部材を前方に移動させ、前記スパウト袋から前記流動性のモルタルを絞り出して前記穿孔内に注入する第2工程を備えることを特徴とする。
これによれば、流動性のモルタルが収容されたスパウト袋を台座と押し板の間に入れ込み、注入ノズルをスパウト袋の注入口に取り付ける簡単な作業により、穿孔内へのモルタル注入の準備を整えることができる。また、スパウト袋内の流動性のモルタルを無駄なく綺麗に絞り出して吐出させ、穿孔内に注入することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のモルタル注入機或いはモルタル注入方法によれば、流動性のモルタルが収容されたスパウト袋を用いてモルタルを注入する際に、スパウト袋内の流動性のモルタルを無駄なく綺麗に絞り出して吐出させることができると共に、絞り出し時におけるスパウト袋の破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(a)は本発明による実施形態のモルタル注入機の正面図、(b)はその部分拡大図。
【
図2】(a)は実施形態のモルタル注入機の平面図、(b)はその部分拡大図。
【
図3】(a)~(e)は実施形態のモルタル注入機を用いてモルタルを注入し、ボルトを定着する工程の前半工程を説明する工程説明図。
【
図4】(a)~(c)は実施形態のモルタル注入機を用いてモルタルを注入し、ボルトを定着する工程の後半工程を説明する工程説明図。
【
図5】(a)は一般的なローラー絞り機の斜視図、(b)は同図(a)のローラー絞り機による流動性のモルタルを収容したスパウト袋の絞り出しを説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施形態のモルタル注入機及びモルタル注入方法〕
本発明による実施形態のモルタル注入機1は、
図1及び
図2に示すように、台座2と、平面視略長方形のバネ状の押し板3を備える。台座2には、平面視略長方形で平面状の載置面21が設けられ、載置面21の後端部で立設する固定部22に押し板3の後端が固着されている。台座2或いはその載置面21には、流動性のモルタルM1が収容されたスパウト袋10が注入口11を前側にして載置され、押し板3は、台座2或いはその載置面21との間にスパウト袋10を入れ込み可能に配置される(
図3参照)。
【0018】
台座2の載置面21の幅方向両側には側壁23・23が形成され、側壁23・23には対応する高さに長手方向に延びるガイド溝24・24が設けられており、ガイド溝24・24の前端には前端ストッパー25・25が配設されている。ガイド溝24・24の上側に位置する上辺部26・26の後端は、台座2の後部のロッド保持部27の近くまで延設されている。固定部22に後端が固定されたバネ状の押し板3は、後側から前側に向かって台座2から離れるように反って設けられ、より詳細には後側から前側に向かって載置面21から離れるように反って設けられている。
【0019】
モルタル注入機1は、押し板3を台座2、換言すれば載置面21に向かって押圧可能で、前後方向に移動自在に設けられている付勢部材を備え、本実施形態では、付勢部材として、前後方向に移動自在で押し板3の幅方向に延びる移動軸41に周設されているローラー42を備え、移動軸41及びローラー42が押し板3の上側に配置されている。移動軸41の両端部は、それぞれ載置面21の幅方向両側のガイド溝24・24に挿入され、ガイド溝24・24の外側において、移動軸41の両端部にガイド溝24からの離脱を防止する離脱防止ストッパー43、43が取り付けられている。
【0020】
また、押し板3の幅方向の略中央位置に対応する位置には、前後方向に移動自在な送りロッド5が設けられており、送りロッド5の前端部51は環状の取付部材52を介して移動軸41に固定されている。送りロッド5は、ロッド保持部27を挿通するようにして台座2の後方に延びるように設けられており、ロッド保持部27で支持されて載置面21の長手方向と略平行になるように配設されている。
【0021】
ローラー42は、送りロッド5の前端部51或いはその移動軸41への固定部分に対して押し板3の幅方向の両側にそれぞれ設けられ、本実施形態では一対のローラー42・42が移動軸41に周設されている。一対のローラー42・42は移動軸41に対して空転可能に設けられ、送りロッド5の前後移動による移動軸41の前後移動に応じて回転、転動するようになっている。ローラー42の後方移動は、側壁23・23の後端部の幅がテーパ状に狭められることで規制され、この側壁23・23の後端部の幅の狭められた部分が本例における後端ストッパーを担っている。
【0022】
モルタル注入機1の付勢部材に相当する移動軸41に周設されたローラー42・42は、上下方向の移動を規制されながら前後方向に移動自在に設けられており、本実施形態では、ローラー42・42が回転しながら移動軸41及びローラー42・42がガイド溝24・24に沿って前後方向に移動自在になっていると共に、ガイド溝24の下側に位置する側壁23の部分と上辺部26により、移動軸41及びローラー42・42の前後方向移動時における上下方向への移動が規制されるようになっている。
【0023】
本実施形態のモルタル注入機1を用いてモルタルを注入する際には、骨材AGを含むプレミックスドライモルタルM2が収容されたスパウト袋10に水Wを入れ、注入口11を取り付けて手で揉む等により混錬し、流動性のモルタルM1が収容されたスパウト袋10を得る(
図3(a)~(c)参照)。その後、移動軸41及びローラー42・42が押し板3の後部に配置された状態で、流動性のモルタルM1が収容されたスパウト袋10を注入口11を前側にして台座2或いはその載置面21と押し板3の間に入れ込み、スパウト袋10を台座2或いはその載置面21に載置する。また、スパウト袋10の注入口11には、流動性のモルタルM1をコンクリート100の穿孔101に注入する注入ノズル6を取り付ける(
図3(d)参照)。
【0024】
次いで、送りロッド5を前方に移動することにより、移動軸41を前方に移動させると共にローラー42・42を回転させながら前方に移動させる。この際、ローラー42・42により、押し板3が台座2或いはその載置面21に向かって前方に向かって漸次押圧されていき、後側から前側に向かって台座2から離れるように反って設けられた押し板3が徐々に平板化され、スパウト袋10から流動性のモルタルM1が徐々に絞り出されて穿孔101内に注入される(
図3(e)、
図4(a)参照)。この動作は、スパウト袋10の全体が略平らになって流動性のモルタルM1のほぼ全量が絞り出されるまで継続される。
【0025】
流動性のモルタルM1の穿孔101内への注入完了後には、穿孔101内に定着させるボルト102等を流動性を未だ維持しているモルタルM1に大部分を埋め込むように挿入し、流動性のモルタルM1の硬化を待ってボルト102等をコンクリート100に定着させる(
図4(b)、(c)参照)。尚、穿孔101内に定着させる部材はボルト102以外にも必要に応じて適宜である。
【0026】
本実施形態のモルタル注入機1によれば、付勢部材に相当するローラー42を前方に移動させて台座2から離れるように反ったバネ状の押し板3を台座2側に漸次押圧していき、押し板3で漸次平らに押すようにしてスパウト袋10の絞り出しを行うことができる。従って、スパウト袋10内の流動性のモルタルM1を無駄なく綺麗に絞り出して吐出させることができると共に、絞り出し時におけるスパウト袋10の破損を防止することができる。また、合成樹脂製の一定形状のカートリッジ容器を用いずに、柔軟に変形するスパウト袋10から流動性のモルタルM1を絞り出してモルタルを注入することが可能であるから、モルタル注入に使用する製品の製造コストや物流コストの低減、廃棄量の減量による環境負荷の低減を図ることができる。
【0027】
また、移動軸41をガイド溝24に挿入して移動軸41及びローラー42・42の上下方向の移動を規制することにより、移動軸41及びローラー42・42を前方に移動させて台座2から離れるように反ったバネ状の押し板3を台座2側にローラー42・42で漸次押圧する際に、押し板3の抗力によるローラー42・42の浮き上がりを防止することができ、押し板3でスパウト袋10を漸次平らに押す動作を確実に行うことができる。
【0028】
また、付勢部材を前後方向に移動自在で押し板3の幅方向に延びる移動軸41に周設されているローラー42とすることにより、ローラー42を回転させながらローラー42で押し板3を漸次押圧することができ、押し板3を台座2側に漸次押圧する動作をスムーズに行うことができると共に、省力で行うことができる。
【0029】
また、押し板3の幅方向の略中央位置に対応する位置で前後方向に移動自在な送りロッド5を設け、送りロッド5の前端部51を移動軸41に固定し、送りロッド5の前端部51の押し板3の幅方向の両側にそれぞれローラー42・42を設けることにより、押し板3の略中央から幅方向に均等に押し板3を押すことができ、スパウト袋10内の流動性のモルタルM1をより確実に無駄なく絞り出すことができる。また、ローラー42を移動軸41に対して空転可能とすることにより、送りロッド5の前後方向への移動動作で、押し板3を押圧するローラー42を簡単に回転させながら前後に移動させることができる。
【0030】
また、モルタル注入機1を用いるモルタル注入方法によれば、流動性のモルタルM1が収容されたスパウト袋10を台座2或いはその載置面21と押し板3の間に入れ込み、注入ノズル6をスパウト袋10の注入口11に取り付ける簡単な作業により、穿孔101内へのモルタル注入の準備を整えることができる。また、スパウト袋10内の流動性のモルタルM1を無駄なく綺麗に絞り出して吐出させ、穿孔101内に注入することができる。
【0031】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
【0032】
本発明のモルタル注入機における付勢部材は、押し板を台座に向かって押圧可能で、前後方向に移動自在に設けられるものであれば適宜であり、例えば上記実施形態の前後方向に移動自在で押し板3の幅方向に延びる移動軸41に周設されているローラー42に代え、前後方向に移動自在で押し板3の幅方向に延びる移動軸41に固定されている略直方体形若しくは略直方体形の前側下辺相当部位がR形状になっている摺動駒等とすることも可能である。また、付勢部材の上下方向の移動を規制する構成は、ガイド溝24の上辺部26と下側の側壁23の部分に限定されず適宜であり、例えば側壁23・23の上端に細長の切欠きを台座2の長手方向に延びるように形成し、この切欠きの端面に移動軸41の両端部を載置すると共に、切欠きの上側に移動軸41の各端部を挟むように移動軸41の上側への移動を規制するワイヤーを張設する構成等とすることも可能である。
【0033】
また、上記実施形態では送りロッド5を手動で前進させる構成としたが、送りロッド5のロッド保持部27にラック・アンド・ピニオン機構を内装すると共に、ロッド保持部27に操作レバー28を設け(
図1~
図4参照)、操作レバー28を引く動作に応じてロッド保持部27内で軸支されているピニオンが回転し、ラックが長手方向に延びて取り付けられている送りロッド5が前進する構成としても良好である。これにより、ロッド保持部27を手で保持する操作者の指で操作レバー28を引くことで、送りロッド5、移動軸41及びローラー42・42が前進する動作を行うことが可能となり、操作者の片手操作でモルタル注入を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、例えばコンクリート構造物、石材、レンガ、アスファルト等の穿孔にモルタルを注入する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…モルタル注入機 2…台座 21…載置面 22…固定部 23…側壁 24…ガイド溝 25…前端ストッパー 26…上辺部 27…ロッド保持部 28…操作レバー 3…押し板 41…移動軸 42…ローラー 43…離脱防止ストッパー 5…送りロッド 51…前端部 52…取付部材 6…注入ノズル 10…スパウト袋 11…注入口 M1…流動性のモルタル M2…プレミックスドライモルタル W…水 AG…骨材 100…コンクリート 101…穿孔 102…ボルト 200…ローラー絞り機 201…支持体 202…ローラー