(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】放電検出システム
(51)【国際特許分類】
H02B 1/42 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
H02B1/42
(21)【出願番号】P 2020212010
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 淳史
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-134231(JP,A)
【文献】特開2018-093698(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出装置と、
放電検出装置と放電事象の検出信号の通信を行う通信部と、放電事象が生じたことを外部に通知する報知手段と、を備えた監視装置と、
を備え、
放電検出装置は、分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、
報知手段は、放電検出装置から送られた放電事象の検出信号を受信した場合に、放電事象についての判定結果を外部に通知
し、
監視装置には、複数の放電検出装置から検出信号が送信された場合に、受信した各検出信号のノイズの出力値、ノイズの継続時間、ノイズの検出時間の少なくとも1つを比較し、放電事象が生じた回路を特定する比較部を備えた放電検出システム。
【請求項2】
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出装置と、
放電検出装置と放電事象の検出信号の通信を行う通信部と、放電事象が生じたことを外部に通知する報知手段と、を備えた監視装置と、
を備え、
放電検出装置は、分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、
報知手段は、放電検出装置から送られた放電事象の検出信号を受信した場合に、放電事象についての判定結果を外部に通知し、
少なくとも一部の放電検出装置は、各放電検出装置の通信部が相互に通信可能であり、第一の放電検出装置の検出信号を第二の放電検出装置を中継させて監視装置に送信することが可能
な放電検出システム。
【請求項3】
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、
負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出装置と、
放電検出装置と放電事象の検出信号の通信を行う通信部と、放電事象が生じたことを外部に通知する報知手段と、を備えた監視装置と、
を備え、
放電検出装置は、分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、
報知手段は、放電検出装置から送られた放電事象の検出信号を受信した場合に、放電事象についての判定結果を外部に通知し、
監視装置に備えられた報知手段は、監視装置表面に個体識別番号を表示する表示部を含
む放電検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、分電盤のどの分岐回路で放電が生じたかを検出する方法が知られている。特許文献1に開示の技術では、分岐回路に対して1対1となるように設けたノイズ検出部を用いて検出することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
ところで、ノイズ検出部を取り付けるためには、分岐回路の二次側の配線を一端取り外した後、ノイズ検出部を形成する必要があるなど作業性の問題や設置上の問題がある。また、分電盤にノイズ検出部を置くためのガタースペースが必要になり筐体サイズが大型化するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより、解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、分電盤のサイズを大きくしなくてもノイズ検出ができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出システムであって、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出装置と、放電検出装置と放電事象の検出信号の通信を行う通信部と、放電事象が生じたことを外部に通知する報知手段と、を備えた監視装置と、を備え、放電検出装置は、分電盤の分岐回路の二次側に設けられたコンセントに接続され、報知手段は、放電検出装置から送られた放電事象の検出信号を受信した場合に、放電事象についての判定結果を外部に通知する放電検出システムとする。
【0007】
また監視装置には、複数の放電検出装置から検出信号が送信された場合に、受信した各検出信号のノイズの出力値、ノイズの継続時間、ノイズの検出時間の少なくとも1つを比較し、放電事象が生じた回路を特定する比較部を備えた構成とすることが好ましい。
【0008】
また、少なくとも一部の放電検出装置は、各放電検出装置の通信部が相互に通信可能であり、第一の放電検出装置の検出信号を第二の放電検出装置を中継させて監視装置に送信することが可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、監視装置は、遮断信号を送信する遮断信号出力部を備え、放電検出装置が送信した検出信号を受信した場合に、監視装置が分電盤の主幹回路、または、分岐回路に遮断信号を送信する構成とすることが好ましい。
【0010】
また、監視装置に備えられた報知手段は、監視装置表面に個体識別番号を表示する表示部を含むような構成とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、分電盤のサイズを大きくしなくてもノイズ検出をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】放電検出システムを用いて放電を監視できるようにした例を表す図である。ただし、監視装置は分電盤の外に設けた筐体に組み込まれている。
【
図2】放電検出システムを用いて放電を監視できるようにした建物の例を表す図である。
【
図3】放電検出装置の一つで放電が検出された場合に、当該放電検出装置と監視装置の双方で発報していることを表す図である。
【
図6】複数の放電検出装置で検出されたノイズを比較した例を示す図である。ただし、監視装置を分電盤内に設置した例である。
【
図9】放電検出装置同士を通信線で接続した例を示す図である。
【
図10】放電を検出したか否かに関する情報を、放電検出装置から、他の放電検出装置にリレー方式で順に送っていることを表す図である。
【
図11】放電を検出した放電検出装置から、当該情報を他の複数の放電検出装置に直接送信していることを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に発明を実施するための形態を示す。
図1および
図3に示されていることから理解されるように、本実施形態の放電検出システムは、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う。この放電検出システムは、「負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出して放電事象の判定を行う放電検出装置60」と、「放電検出装置60と放電事象の検出信号の通信を行う通信部48と、放電事象が生じたことを外部に通知する報知手段49と、を備えた監視装置40」と、を備えている。また、放電検出装置60は、主幹回路81と分岐回路82を備えた分電盤8の分岐回路82の二次側に設けられたコンセント91に接続され、報知手段49は、放電検出装置60から送られた放電事象の検出信号を受信した場合に、放電事象についての判定結果を外部に通知するように構成されている。このため、放電検出装置60を分電盤の8内部に組み込まなくても良くなる。したがって、分電盤8のサイズを大きくしなくてもノイズ検出をすることが可能となる。
【0014】
次に、実施形態の放電検出システムの詳細について説明する。
図1に示すことから理解されるように、放電検出システムが適用される分電盤8は、主幹回路81である主幹ブレーカ、分岐回路82である分岐ブレーカを備えたものであり、実施形態では、主幹回路81と分岐回路82を接続する母線バーに監視装置40が接続されている。すなわち、分岐回路82の一次側に監視装置40が接続されている。
【0015】
分岐回路82は建物に形成されるコンセント91と電気的に接続されているものであり、そのコンセント91に放電検出装置60が接続される。この放電検出装置60で検出された結果を基に監視装置40で、各種の判定をすることができる。実施形態の監視装置40では放電検出は行わないため、監視装置40は放電検出装置60から送られた情報を基に各種の動作や判定を行う。
【0016】
図1に示す実施形態では、監視装置40は分電盤8の外側に位置しており、分電盤8と別個の筐体59に収められている。このため、分電盤8を大きくしなくても、放電の検出を行うことができる。このようにすれば、分電盤8の内部で行われる配線作業が煩雑となることも回避できる。
【0017】
なお、監視装置40は、分電盤8に収められるようにしても良い。この場合、監視装置40を入れるスペースなどが分電盤8に必要にはなるが、複数の放電検出装置60を分電盤8に収納しなくてよいため、分電盤8の大きさは抑制することができる。
【0018】
実施形態の監視装置40には、主幹回路81、分岐回路82に遮断信号を送信する信号線85が取り付けられている。また、実施形態の監視装置40は分電盤8の母線バーから電源が供給されている。なお、実施形態では母線バーから電源供給部41に電源が供給され、そこから監視装置40の各所に送られる。ただし、監視装置40への電源の供給は、そのような形態である必要は無い。
【0019】
実施形態の監視装置40は、内部に演算部45が組み込まれており、監視装置40に備えられたさまざまな機器に指示を送ることができる。また、監視装置40には放電検出装置60との通信を行う通信部48を備え、放電検出装置60から送信された検出信号を受信する。また、遮断信号を送信するための遮断信号出力部47を備えている。このため、監視装置40は、放電検出装置60から送られたノイズ検出の検出信号、または、放電事象の検出信号を受け、分電盤8の「主幹回路81」や「検出信号を受けた放電検出装置60に接続される分岐回路82」に遮断信号を出力することができる。
【0020】
監視装置40に遮断信号を送信する遮断信号出力部47を備え、放電検出装置60が送信した検出信号を受信した場合に、監視装置40が分電盤8の主幹回路81、または、分岐回路82に遮断信号を送信するように構成されていることが好ましいが、この遮断信号は、主幹回路81、分岐回路82の漏電遮断装置に遮断を指示する信号を送信するものであっても良いし、各回路の二次側に形成されるアース端子に疑似漏電を流すものであっても良い。
【0021】
実施形態の監視装置40には、情報を外部に知らせるための報知手段49が備えられている。実施形態の報知手段49は監視装置40に備えられた出力部により出力された内容を基に、外部に情報を知らせるようにしている。報知手段49は、監視装置40に通電されていることを表示する電源表示部49aや、音声を出力可能なスピーカー49bであっても良いし、その他のものでも構わない。なお、
図1に示す例では、監視装置40や放電検出装置60とは別に設けた発報装置93に情報を送ることができるようにしている。このようにすれば、放電検出の結果を広範囲に知らせやすくなる。
【0022】
図4及び
図5に示す例では、電源表示部49aやスピーカー49bの他に、放電検出装置60からの検出信号を受けた場合に、どの放電検出装置60から受信したかを作業者に把握させることが可能な表示部49cを備えている。実施形態の表示部49cは監視装置40の表面に設けられており、内容をLEDで表示することができる。なお、表示部49cの表示などをリセットすることが可能なリセットボタン52も監視装置40の表面に設けられている。
【0023】
実施形態では、放電が検出された場合、放電検出装置60から検出信号と一緒に個体識別番号が送信されるため、監視装置40は、受信した個体識別番号を基に、表示部49cに番号が識別できるように表示する。このように、監視装置40に備えられた報知手段49は、監視装置49の表面に個体識別番号を表示する表示部49cを含むものであることが好ましい。なお、監視装置40と放電検出装置60の通信は、無線やPLCなどで通信を行えばよい。
【0024】
ところで、ノイズの他回路からの回り込みにより生じる不具合があり得る。このため、
図6に示すように、放電検出装置60を複数台設置した場合、ノイズの原因となる箇所とは関係が薄い放電検出装置60でノイズを検出する場合もありうる。このような状態となっても、より精度の良い判定をするため、互いのノイズの検出結果を比較し、問題となる箇所を特定できるようにするのが好ましい。実施形態では、複数の放電検出装置60から監視装置40に対して検出信号が送信された場合には、監視装置40に備えられた比較部54で、どの放電検出装置60が所掌する範囲内で放電事象が生じたものかを比較し判定を行う。
【0025】
監視装置40に備えられた比較部54は、複数の放電検出装置60から検出信号が送信された場合に、受信した各検出信号のノイズがどれだけ出力しているかを示すノイズの出力値、ノイズの出力がどれだけ長く続いているかを示すノイズの継続時間、ノイズがどのタイミングから発生したかを示すノイズの検出時間の少なくとも1つを比較し、放電事象が生じた回路を特定することができるものであるのが好ましい。
【0026】
例えば、
図6に示す例では、3番の機器として認識されている放電検出装置60の所掌範囲で放電事象が生じているが、2番及び3番の放電検出装置60でノイズを検出している。各々のノイズを比較すると、3番の放電検出装置60で検知したノイズの方がノイズの出力値が大きいことが分かる。また、3番の放電検出装置60で検知したノイズの方がノイズの継続時間が長いことや、ノイズの出始めのタイミングが早いことが分かる。このような項目は、真に遮断をすべき放電検出装置60を見定めるための基準となるため、その中の一つ若しくは複数が把握された場合に、遮断すべき放電検出装置60を定めるようにすれば良い。なお、
図6に示す例では、それぞれの放電検出装置60が検出した際に同時に発報するように形成し、監視装置40の比較後に特定した放電検出装置60のみ発報するようにしているものであるが、放電検出装置60は検出した際には発報せず、監視装置40に検出信号を送信し、監視装置40は送られてきた値を比較し、最大の出力である放電検出装置60のみ発報するように信号を送信するものであっても良い。
【0027】
このように、複数の放電検出装置60から監視装置40の比較部54に送信された情報について、ノイズ出力値の大きさ、ノイズの検出開始時間、ノイズ継続時間などを項目として、監視装置40で比較判定を行うことで、放電事象が生じた箇所を判定し、分岐回路82、主幹回路81へ遮断信号を送るようにするのが好ましい。
【0028】
この際、監視装置40から該当する分岐回路82、主幹回路81へ遮断信号を送るようにするのが好ましいが、放電事象が生じた箇所についての情報を送信してきた放電検出装置60から、該当する分岐回路82、主幹回路81へ遮断信号を送るようにしてもよい。
【0029】
図1に示す例では、「監視装置40と主幹回路81」、「監視装置40と分岐回路82」の双方が信号線85により接続されているため、当該信号線85を介して、監視装置40から必要な箇所に遮断信号を送ることができる。
【0030】
ところで、
図1及び
図2に示すことから理解されるように、主幹回路81の二次側に設けられた分岐回路82は建物に設けられたコンセント91と電気的に接続されているものであり、そのコンセント91に、「負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出するノイズ検出部61を備えた放電検出装置60」が接続される。実施形態では、このコンセント91から放電検出装置60の電源供給部75に電源が供給され、そこから演算部65などに電源が送られる。
【0031】
図7及び
図8に示す例の放電検出装置60には、コンセント91に接続されるプラグ部79を備えており、このプラグ部79を通して放電検出装置60の内部機器に電源を供給する。また、プラグ部79がコンセント91に接続されることにより回路の放電事象を検出することができる。なお、ここでは、コンセント91に差し込むことが可能なプラグ部79を備えるものとしているが、放電検出装置60はコンセント91への接続のために用いられるケーブルを備えるものであっても良い。また、本実施形態としては計測のためにコンセント91に接続する放電検出装置60として説明したが、放電検出装置60に負荷が接続し、接続した負荷に給電を行うコンセントを形成するものであっても良い。その場合には、放電検出装置60と負荷間の放電事象の有無も検出することが出来るものである。
【0032】
また、放電検出装置60には、遮断信号を送信するための遮断信号出力部67を備えている。このため、放電検出装置60でなされた判定の結果をもとに主幹回路81や分岐回路82に対して放電検出装置60から直接遮断信号を送信することもできる。また、監視装置40と放電検出装置60の各々の判断で主幹回路81や分岐回路82を遮断することができる。なお、遮断機能を持たせていない放電検出装置60を利用する場合は監視装置40が遮断機能を発揮できるようにすれば良い。放電検出装置60は多数必要であることも想定されるため、放電検出装置60の機能を制限したほうが、経済的なメリットが生じやすい。
【0033】
図7及び
図8に示す例の放電検出装置60では、情報を外部に知らせるための報知手段69が備えられている。実施形態の報知手段69は出力部71により出力された内容を基に、外部に情報を知らせるようにしている。報知手段69は、放電検出装置60に通電されていることを表示する電源表示部69aや、音声を出力可能なスピーカー69bであっても良いし、その他のものでも構わないのは監視装置40と同様である。また、
図7及び
図8に示す例では、電源表示部69aやスピーカー69bの他に、放電検出装置60で検出したノイズの検出レベルを表示することが可能な検出レベル表示部69cを備えている。なお、表示部69cの表示などをリセットすることが可能なリセットボタン72も放電検出装置60の表面に設けられている。
【0034】
なお、実施形態の放電検出装置60は、表面上に報知手段69を備えており、放電検出装置60自身の判定結果を表示することができる。この報知手段69は、監視装置40でなされた判定結果を表示させるようにしても良い。
【0035】
この放電検出装置60は、実施形態では、放電事象時に生じるノイズを検出するノイズ検出部61と、ノイズ検出部61の情報から放電事象を判定可能な判定部62と、を備えている。実施形態のノイズ検出部61は、CR回路からなるフィルタ部の抵抗63間に生じる電圧を検出し、その電圧出力を増幅部64で増幅するように構成されている。なお、実施形態の判定部62は、ノイズ出力の有無の判定基準となる閾値以上、かつ、所定時間経過の条件を満たした場合に、放電事象が発生したと判定する。なお、判定部62で判定した結果を検出信号として監視装置40に送信するのが好ましい。
【0036】
この放電検出装置60には内部に演算部65が組み込まれており、監視装置40に備えられたさまざまな機器に指示を送ることができる。また、監視装置40は、情報を記憶可能な記憶部66も備えている。このため、検出した情報や演算結果などを記憶可能である。
【0037】
実施形態の放電検出装置60は、監視装置40側で個体識別をすることができるようにしている。放電検出装置60の識別方法は、どのようなものであっても良いが、実施形態では、放電検出装置60に識別番号設定部77を備えている。
図7及び
図8に示す例では放電検出装置60に備えられたスイッチ78を操作して放電検出装置60の識別を行うことができるようにしている。
【0038】
具体的には、放電検出装置60の筐体表面にDIPスイッチを設けている。このDIPスイッチを操作して放電検出装置60の個体識別番号を決定すれば、検出結果と一緒に個体識別番号を送信することができる。なお、実施形態においては、DIPスイッチを操作することで、個体識別番号を「01」、「02」、・・・・、「08」と放電検出装置60の記憶部66に書き込むことができる。
【0039】
放電検出装置60から監視装置40に情報を送信する際には、放電検出装置60の記憶部66に記憶された個体識別番号と検出信号を送信する。なお、各放電検出装置60がデータ送信する方法を、数秒ごとなど、個別に決めておき、監視装置40がそのデータの受け取り状態などを、定めていた決まりに照らし合わせて、送られてきた情報がいずれの放電検出装置60に関するものであるのかを識別できるようにしても良い。
【0040】
ところで、
図9に示す放電検出システムにおいては、放電検出装置60を他の放電検出装置60と監視装置40の間に介在する中継器として利用できるようにしている。このように、少なくとも一部の放電検出装置60は、各放電検出装置60の通信部68が相互に通信可能であり、第一の放電検出装置60の検出信号を第二の放電検出装置60を中継させて監視装置40に送信することが可能な構成とすることが好ましい。このようにすることで、電波が弱いなどの理由により放電検出装置60から情報を送ることができる範囲が狭い場合でも、放電検出システムとして利用できる範囲を拡大し、監視装置40に送信することが可能となる。なお、実施形態においては放電検出装置60同士を通信線87で接続している。
【0041】
ここで放電検出装置60を用いた情報の中継方法の例について説明する。例えば、放電検出装置60で、負荷が接続される電路の電圧又は電流に重畳されるノイズを検出した場合、他の放電検出装置60に検出信号を送信していき、記憶させる。検出信号を受信した放電検出装置60は、その情報を他の放電検出装置60に送信していく。このようなことを繰り返して、最終的には、監視装置40と1つの放電検出装置60が通信し、検出信号が出された放電検出装置60を監視装置40に送信する。
【0042】
なお、実施形態では、各放電検出装置60には各々異なるアドレスを設定しておき、各々の記憶部66に当該アドレスを記録しておく。アドレスと検出信号情報を関連させるように、格納しデータを送る。
図9から
図11に示す例では、監視装置40と通信する放電検出装置60を一つ決めておき、その放電検出装置60に、放電の検出信号を伝えることができるように、他の放電検出装置60から情報を送る。情報は、定期的に、特定の順に複数の放電検出装置60間を経由するものとするのが好ましい。
【0043】
図10に示す例では、各放電検出装置60をリレーするように情報が送られるようにしており、いずれかの放電検出装置60で、放電を検出したという情報が含まれるように出力された場合、それ以降の放電検出装置60は、その情報を含んだ状態で情報を伝達する。
【0044】
上記した例では、放電検出装置60間を特定の順に情報が流れるものとし、一つの放電検出装置60に集められた情報を監視装置40に送信するようにしている。この場合、放電を検出したという情報は、全ての放電検出装置60で共有されるわけではない。このような放電を検出したという情報は、全ての放電検出装置60に共有させるようにしても良いため、
図11に示すことから理解されるように、放電を検出した放電検出装置60から他の全ての放電検出装置60に情報を送信するようにしても良い。また、放電検出装置60同士や、放電検出装置60から監視装置40に放電事象が発生していない場合でも定期通信を行っておくものであっても良い。その場合、定期通信が無くなった場合、放電検出装置60がコンセント91から抜かれたか、放電検出装置60が故障したと監視装置40が判定し、放電事象が発生した場合の発報と異なる発報や表示を行うことで、放電検出装置60の故障や盗難防止の判断を行うことが出来る。
【0045】
以上、実施形態を例に挙げて本発明について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、放電検出装置同士の情報のやり取りは有線を用いて行っても無線を用いて行っても構わない。
【符号の説明】
【0046】
8 分電盤
40 監視装置
47 遮断信号出力部
48 通信部
49 報知手段
49c 表示部
54 比較部
60 放電検出装置
81 主幹回路
82 分岐回路
91 コンセント