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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】梁構造及び施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20240610BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20240610BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240610BHJP
   E04B 1/38 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
E04B1/58 506F
E04B1/24 Q
E04H9/02 311
E04B1/38 400C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023075912
(22)【出願日】2023-05-02
【審査請求日】2023-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】寺内 知網
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-285754(JP,A)
【文献】特開平06-042056(JP,A)
【文献】特開2013-002046(JP,A)
【文献】特開2006-200273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/58
E04B 1/24
E04H 9/02
E04B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な一対の第一梁と、前記第一梁に直交する第二梁と、がなす矩形領域の対角線上にブレースが配設された梁構造であって、
前記第一梁は、H型鋼からなり、ブラケットと、当該第一梁の上面と下面との間に設けられるブレース受プレートと、を備えており、
前記ブレースは、前記ブレース受プレートに固定されており、
前記第二梁は、当該第二梁の下面が、前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記第一梁に固定されており、
前記H型鋼には、
前記ブレース受プレートとは別体の前記ブラケットが、前記第一梁の上面及び下面に対して垂直な状態で溶接固定されているとともに、
前記ブラケットとは別体の前記ブレース受プレートが、前記第一梁の上面及び下面に対して平行な状態で溶接固定されており、
前記ブレース受プレートの上面から前記第一梁の上面までの寸法と、前記第二梁の下面から上面までの寸法と、は同一であることを特徴とする梁構造。
【請求項2】
互いに平行な一対の第一梁と、前記第一梁に直交する第二梁と、がなす矩形領域の対角線上にブレースが配設された梁構造であって、
前記第一梁は、H型鋼からなり、ブラケットと、当該第一梁の上面と下面との間に設けられるブレース受プレートと、を備えており、
前記ブレースは、前記ブレース受プレートに固定されており、
前記第二梁は、当該第二梁の下面が、前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記第一梁に固定されており、
前記H型鋼には、
前記ブレース受プレートとは別体の前記ブラケットが、前記第一梁の上面及び下面に対して垂直な状態で溶接固定されているとともに、
前記ブラケットとは別体の前記ブレース受プレートが、前記第一梁の上面及び下面に対して平行な状態で溶接固定されており、
前記ブレースは、
羽子板金具と、
端部が前記羽子板金具の被固着面に固着された棒状のブレース本体と、を備えており、
互いに交差する二つの前記ブレースのうち、
一方のブレースは、前記被固着面が上を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具が前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記ブレース受プレートに固定されており、
他方のブレースは、前記被固着面が下を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具が前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記ブレース受プレートに固定されていることを特徴とする梁構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の梁構造において、
前記第二梁は、H型鋼からなり、
前記第二梁は、当該第二梁のウエブが、前記ブラケットに接した状態で、前記第一梁に固定されていることを特徴とする梁構造。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の梁構造において、
前記第一梁は、欠き込みが設けられたカバー部材によって覆われており、
前記ブレース受プレートは、前記カバー部材の内面側から前記欠き込みを介して突き出ており、
前記ブレース受プレートのうち、前記ブレースと接する接触領域は、前記カバー部材の外面側に設けられていることを特徴とする梁構造。
【請求項5】
請求項1に記載の梁構造を施工する施工方法であって、
前記第一梁を用意する第一梁用意ステップと、
前記第二梁を、前記第一梁に固定する第二梁固定ステップと、
前記ブレースを、前記ブレース受プレートに固定するブレース固定ステップと、を有しており、
前記第一梁用意ステップは、
前記ブレース受プレートとは別体の前記ブラケットを、前記第一梁の上面及び下面に対して垂直な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブラケット固定ステップと、
前記ブラケットとは別体の前記ブレース受プレートを、前記第一梁の上面及び下面に対して平行な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブレース受プレート固定ステップと、を含み、
前記第二梁固定ステップでは、前記第二梁を、当該第二梁の下面が、前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記第一梁に固定することで、前記第二梁の上面と、前記第一梁の上面と、の高さ位置を一致した状態とさせることを特徴とする施工方法。
【請求項6】
請求項に記載の梁構造を施工する施工方法であって、
前記第一梁を用意する第一梁用意ステップと、
前記第二梁を、当該第二梁の下面が、前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記第一梁に固定する第二梁固定ステップと、
前記ブレースを、前記ブレース受プレートに固定するブレース固定ステップと、を有しており、
前記第一梁用意ステップは、
前記ブレース受プレートとは別体の前記ブラケットを、前記第一梁の上面及び下面に対して垂直な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブラケット固定ステップと、
前記ブラケットとは別体の前記ブレース受プレートを、前記第一梁の上面及び下面に対して平行な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブレース受プレート固定ステップと、を含み、
前記ブレース固定ステップは、
前記一方のブレースを、前記被固着面が上を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具が前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記ブレース受プレートに固定する第一ステップと、
前記他方のブレースを、前記被固着面が下を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具が前記ブレース受プレートの上面に接した状態で、前記ブレース受プレートに固定する第二ステップと、を含むことを特徴とする施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梁構造及び施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、略直方体フレーム状のユニット本体と、当該ユニット本体を被覆する木質パネルと、を備える居住用ユニットが開示されている。ユニット本体には、複数の天井梁を含んで構成された矩形枠体の対角線を結ぶようにして配置される水平ブレースが設けられている。
また、特許文献2には、第1梁と、第1梁と対向する第2梁と、第1梁と第2梁との間に架け渡された引張梁と、がなす領域の対角線上にブレースが配設された小屋裏構造が開示されている。第1梁と第2梁は互いに平行であり、引張梁(例えば中間梁)は、直交する第1梁及び第2梁に、長手方向両端部がボルトによって固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-152276号公報
【文献】特開2014-224359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、施工現場で、互いに平行な一対の梁に、直交する他の梁を固定する際には、当該他の梁の長手方向両端部を人手等で支える必要がある。よって、当該他の梁を固定する作業(例えばボルト締め作業)が困難であるという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、互いに平行な一対の梁に、直交する他の梁を固定する際の施工性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図7に示すように、互いに平行な一対の第一梁3と、前記第一梁3に直交する第二梁4と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5が配設された梁構造1であって、
前記第一梁3は、H型鋼からなり、ブラケット34と、当該第一梁3の上面と下面との間に設けられるブレース受プレート35と、を備えており、
前記ブレース5は、前記ブレース受プレート35に固定されており、
前記第二梁4は、当該第二梁4の下面が、前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記第一梁3に固定されており、
前記H型鋼には、
前記ブレース受プレート35とは別体の前記ブラケット34が、前記第一梁3の上面及び下面に対して垂直な状態で溶接固定されているとともに、
前記ブラケット34とは別体の前記ブレース受プレート35が、前記第一梁3の上面及び下面に対して平行な状態で溶接固定されており、
前記ブレース受プレート35の上面から前記第一梁3の上面までの寸法Lと、前記第二梁4の下面から上面までの寸法Hと、は同一であることを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、第二梁4は、当該第二梁4の長手方向一端部における下面が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該第二梁4の長手方向他端部における下面が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)に固定されている。
したがって、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、第二梁4を固定する作業を行うことができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
さらに、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置するだけで、第一梁3に対する第二梁4の位置決めを行うことができる。したがって、第二梁4の位置決めが容易であるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図7に示すように、互いに平行な一対の第一梁3と、前記第一梁3に直交する第二梁4と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5が配設された梁構造1であって、
前記第一梁3は、H型鋼からなり、ブラケット34と、当該第一梁3の上面と下面との間に設けられるブレース受プレート35と、を備えており、
前記ブレース5は、前記ブレース受プレート35に固定されており、
前記第二梁4は、当該第二梁4の下面が、前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記第一梁3に固定されており、
前記H型鋼には、
前記ブレース受プレート35とは別体の前記ブラケット34が、前記第一梁3の上面及び下面に対して垂直な状態で溶接固定されているとともに、
前記ブラケット34とは別体の前記ブレース受プレート35が、前記第一梁3の上面及び下面に対して平行な状態で溶接固定されており、
前記ブレース5は、
羽子板金具52と、
端部が前記羽子板金具52の被固着面52aに固着された棒状のブレース本体51と、を備えており、
互いに交差する二つの前記ブレース5のうち、
一方のブレース5は、前記被固着面52aが上を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具52が前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記ブレース受プレート35に固定されており、
他方のブレース5は、前記被固着面52aが下を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具52が前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記ブレース受プレート35に固定されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、第二梁4は、当該第二梁4の長手方向一端部における下面が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該第二梁4の長手方向他端部における下面が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)に固定されている。
したがって、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、第二梁4を固定する作業を行うことができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
さらに、互いに交差する二つのブレース5同士が干渉しないようにすることができる。
また、ブレース5は、当該ブレース5の長手方向一端部(一方の羽子板金具52)が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該ブレース5の長手方向他端部(他方の羽子板金具52)が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)に固定されている。
したがって、ブレース5の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、ブレース5を固定する作業を行うことができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)と、直交する他の梁(第二梁4)と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5を配設する際の施工性を向上させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、例えば図1図7に示すように、請求項1又は2に記載の梁構造1において、
前記第二梁4は、H型鋼からなり、
前記第二梁4は、当該第二梁4のウエブ41が、前記ブラケット34に接した状態で、前記第一梁3に固定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置して、第二梁4のウエブ41を第一梁3のブラケット34に当接させるだけで、第一梁3に対する第二梁4の位置決めを行うことができる。したがって、第二梁4の位置決めが容易であるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、例えば図1図6に示すように、請求項1又は2に記載の梁構造1において、
前記第一梁3は、欠き込み81が設けられたカバー部材8によって覆われており、
前記ブレース受プレート35は、前記カバー部材8の内面側から前記欠き込み81を介して突き出ており、
前記ブレース受プレート35のうち、前記ブレース5と接する接触領域は、前記カバー部材8の外面側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、カバー部材8に設ける欠き込み81の形状や寸法を、ブレース5を考慮しない形状や寸法とすることができるので、カバー部材8の性能(防水性等)を向上させることができる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、例えば図1図7に示すように、請求項1に記載の梁構造1を施工する施工方法であって、
前記第一梁3を用意する第一梁用意ステップと、
前記第二梁4を、前記第一梁3に固定する第二梁固定ステップと、
前記ブレース5を、前記ブレース受プレート35に固定するブレース固定ステップと、を有しており、
前記第一梁用意ステップは、
前記ブレース受プレート35とは別体の前記ブラケット34を、前記第一梁3の上面及び下面に対して垂直な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブラケット固定ステップと、
前記ブラケット34とは別体の前記ブレース受プレート35を、前記第一梁3の上面及び下面に対して平行な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブレース受プレート固定ステップと、を含み、
前記第二梁固定ステップでは、前記第二梁4を、当該第二梁4の下面が、前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記第一梁3に固定することで、前記第二梁4の上面と、前記第一梁3の上面と、の高さ位置を一致した状態とさせることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、第二梁4は、当該第二梁4の長手方向一端部における下面が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該第二梁4の長手方向他端部における下面が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)に固定されている。
したがって、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、第二梁4を固定する作業を行うことができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
さらに、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置するだけで、第一梁3に対する第二梁4の位置決めを行うことができる。したがって、第二梁4の位置決めが容易であるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、例えば図1図7に示すように、請求項に記載の梁構造1を施工する施工方法であって、
前記第一梁3を用意する第一梁用意ステップと、
前記第二梁4を、当該第二梁4の下面が、前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記第一梁3に固定する第二梁固定ステップと、
前記ブレース5を、前記ブレース受プレート35に固定するブレース固定ステップと、を有しており、
前記第一梁用意ステップは、
前記ブレース受プレート35とは別体の前記ブラケット34を、前記第一梁3の上面及び下面に対して垂直な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブラケット固定ステップと、
前記ブラケット34とは別体の前記ブレース受プレート35を、前記第一梁3の上面及び下面に対して平行な状態で、前記H型鋼に溶接固定するブレース受プレート固定ステップと、を含み、
前記ブレース固定ステップは、
前記一方のブレース5を、前記被固着面52aが上を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具52が前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記ブレース受プレート35に固定する第一ステップと、
前記他方のブレース5を、前記被固着面52aが下を向いた状態であり、かつ、前記羽子板金具52が前記ブレース受プレート35の上面に接した状態で、前記ブレース受プレート35に固定する第二ステップと、を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明によれば、第二梁4は、当該第二梁4の長手方向一端部における下面が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該第二梁4の長手方向他端部における下面が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)に固定されている。
したがって、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、第二梁4を固定する作業を行うことができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
さらに、互いに交差する二つのブレース5同士が干渉しないようにすることができる。
また、ブレース5は、当該ブレース5の長手方向一端部(一方の羽子板金具52)が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該ブレース5の長手方向他端部(他方の羽子板金具52)が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)に固定されている。
したがって、ブレース5の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、ブレース5を固定する作業を行うことができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)と、直交する他の梁(第二梁4)と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5を配設する際の施工性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、互いに平行な一対の梁に、直交する他の梁を固定する際の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】梁構造の平面図である。
図2】(a)は図1におけるA-A断面図であり、(b)は図1におけるB-B断面図(ブレースは図示省略)である。
図3】第一梁の分解斜視図である。
図4】梁架構の分解斜視図である。
図5】梁架構の斜視図である。
図6】第一梁がカバー部材で覆われた状態における梁構造の斜視図である。
図7】第一梁の分解斜視図であって、ブレース受プレートの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方向(前後方向、左右方向、上下方向)は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0020】
<梁構造の構成>
図1及び図2において符号1は、梁構造を示す。本実施形態の梁構造1は、建物の梁架構2に、ブレース(水平ブレース)5を取り付けてなる。なお、図2(b)では、ブレース5の図示を省略している。
梁架構2は、梁を組み合わせて構成された架構である。梁架構2には、屋根架構や床架構などが含まれるが、本実施形態では、床架構として説明する。
【0021】
梁架構2は、少なくとも、複数の第一梁3と、一対の第一梁3間(隣り合う第一梁3間)に架け渡されて固定された複数の第二梁4と、を備えて構成される。そして、ブレース5は、一対の第一梁3(隣り合う第一梁3)と一対の第二梁4(隣り合う第二梁4)とがなす矩形領域の対角線上に配設されている。
本実施形態の梁架構2は、前述したように床架構であり、梁構造1上には床パネル(図示省略)が載置される。
【0022】
梁構造1上に載置される床パネルは、木製の建材である。具体的には、床パネルは、床用の木質パネルと、木質側材と、を備えて構成される。
木質パネルは、建築用パネルであり、縦横の框材が矩形状に組み立てられて矩形枠が構成され、この矩形枠の内部に補助桟材が縦横に組み付けられて枠体が構成され、この枠体の両面もしくは片面に面材が貼設されたものであり、内部中空な構造となっている。その内部中空部(面材の裏側)には、通常、グラスウールやロックウールなどの断熱材が装填される。
【0023】
木質側材は、床用の木質パネル同士を連結する連結部材である。すなわち、木質側材は、木質パネルを構成する框材の側面に接合されている。木質パネルに木質側材を接合するための接合手段は、接合材(ビス等)であってもよいし、接着剤であってもよいし、あるいはこれらの併用であってもよい。
【0024】
本実施形態の第一梁3及び第二梁4は、H型鋼からなる鉄骨梁である。
具体的には、第一梁3は、例えば大梁であり、ウエブ31と、ウエブ31の一端に設けられた第一フランジ32と、ウエブ31の他端に設けられた第二フランジ33と、を備える。
第一梁3は、当該第一梁3の長手方向が第一方向(左右方向)に対して平行な状態となるように、かつ、第一フランジ32が第二フランジ33の上方に位置するように(すなわち、第一フランジ32が上フランジとなり、第二フランジ33が下フランジとなるように)設けられている。
以下、一対の第一梁3のうち、一方を「一方の第一梁3」と称し、他方を「他方の第一梁3」と称する。すなわち、一方の第一梁3と、他方の第一梁3と、は隣り合う第一梁3同士である。
【0025】
また、第二梁4は、例えば小梁(あるいは中間梁)であり、ウエブ41と、ウエブ41の一端に設けられた第一フランジ42と、ウエブ41の他端に設けられた第二フランジ43と、を備える。第二梁4の梁成は、第一梁3の梁成よりも小さい。
第二梁4は、当該第二梁4の長手方向が第一方向(左右方向)に対して垂直な状態となるように、かつ、第一フランジ42が第二フランジ43の上方に位置するように(すなわち、第一フランジ42が上フランジとなり、第二フランジ43が下フランジとなるように)設けられている。
【0026】
第一梁3は、さらに、第一フランジ32及び第二フランジ33に対して垂直な複数のブラケット(ガセットプレート)34を備えている。
ブラケット34は、第一梁3における二つの凹部(ウエブ31と第一フランジ32と第二フランジ33によって囲まれた凹部)のうち、他の第一梁3と対向する凹部に設けられている。したがって、一の第一梁3が二本の第一梁3間に設けられている場合には、当該一の第一梁3における二つの凹部の両方にブラケット34が設けられる。本実施形態のブラケット34は、鋼製であり、ウエブ31と第一フランジ32と第二フランジ33に溶接固定されている。
【0027】
ブラケット34には、ボルト6(及び当該ボルト6に螺合するナット)によって、第二梁4の長手方向端部が固定されている。具体的には、一方の第一梁3が有するブラケット34には、ボルト6によって第二梁4の長手方向一端部が固定されているとともに、他方の第一梁3が有するブラケット34には、ボルト6によって当該第二梁4の長手方向他端部が固定されている。
【0028】
第一梁3は、さらに、第一フランジ32及び第二フランジ33に対して平行な複数のブレース受プレート35を備えている。
ブレース受プレート35は、第一梁3における二つの凹部(ウエブ31と第一フランジ32と第二フランジ33によって囲まれた凹部)のうち、他の第一梁3と対向する凹部に設けられている。したがって、一の第一梁3が二本の第一梁3間に設けられている場合には、当該一の第一梁3における二つの凹部の両方にブレース受プレート35が設けられる。
【0029】
例えば図3及び図4に示すように、ブレース受プレート35には、ブラケット34を差し込み可能なスリット35aが設けられている。スリット35aは、ブレース受プレート35の幅方向(左右方向)略中央に形成されている。本実施形態のブレース受プレート35は、鋼製であり、スリット35aに挿入されているブラケット34と、当該ブラケット34が接合されているウエブ31と、に溶接固定されている。
【0030】
図1及び図2(b)に示すように、ブレース受プレート35の先端部(ウエブ31とは反対側の端部)は、第一フランジ32(及び第二フランジ33)よりも、第一フランジ32の幅方向(前後方向)外側に位置している。そして、図1及び図2(a)に示すように、第二梁4は、当該第二梁4の下面(第二フランジ43の外面)がブレース受プレート35の上面に接する状態で、第一梁3に固定されている。すなわち、第二梁4は、ブレース受プレート35の先端部における中央部分(ブラケット34側の部分)に載置された状態で、第一梁3に固定されている。
【0031】
ブラケット34及びウエブ31に対するブレース受プレート35の固定位置は、ブレース受プレート35の上面から第一梁3の上面(第一フランジ32の外面)までの寸法Lが、第二梁4の下面から上面までの寸法H(第二フランジ43の外面から第一フランジ42の外面までの寸法H。第二梁4の高さ寸法H)と同一となる位置に設定されている。
つまり、第二梁4の下面がブレース受プレート35の上面に接する状態、すなわち第二梁4がブレース受プレート35上に載置された状態において、第二梁4の上面は、第一梁3の上面と高さ位置が一致した状態(面一の状態)となる。したがって、梁構造1は、上面(具体的には、床パネルを支持する面)に段差がないので、梁構造1上に床パネルを設置する作業を簡易に行うことができる。
【0032】
ブレース受プレート35の先端部における中央部分(ブラケット34側の部分)が、第二梁4に接触する領域であるのに対し、ブレース受プレート35の先端部における外側部分(ブラケット34とは反対側の部分)は、ブレース5に接触する領域となっている。図1に示すように、ブレース受プレート35の先端部は、外側部分が、中央部分よりも、第一フランジ32の幅方向外側(ウエブ31とは反対側)に突出している。
【0033】
ブレース5は、棒状のブレース本体51と、ブレース本体51の両端部に設けられた羽子板金具52と、を備えて構成される。
ブレース本体51は、羽子板金具52の両面のうち一方の面に固着されている。すなわち、羽子板金具52は、当該羽子板金具52の厚さ方向一方側の面が、ブレース本体51の端部が固着される被固着面52aになっている。
【0034】
例えば図6に示すように、羽子板金具52には、貫通孔52bが設けられている。また、例えば図3図5に示すように、ブレース受プレート35の先端部における外側部分にも、貫通孔35bが設けられている。そして、図1及び図2(a)に示すように、第一梁3におけるブレース受プレート35の貫通孔35bと、ブレース5における羽子板金具52の貫通孔52bと、にはブレース5を梁架構2に固定するためのボルト7が挿通される。
ブレース5は、羽子板金具52がブレース受プレート35の上面に接する状態、すなわち羽子板金具52がブレース受プレート35上に載置された状態で、ブレース受プレート35に固定されている。
【0035】
ここで、本実施形態においては、互いに交差するブレース5のうち、一方のブレース5は、羽子板金具52の被固着面52aが上を向いた状態でブレース受プレート35に固定されているとともに、他方のブレース5は、羽子板金具52の被固着面52aが下を向いた状態で、ブレース受プレート35に固定されている。これにより、互いに交差するブレース5のブレース本体51同士が干渉しないようになっている(図2(a)において一点鎖線で囲んだ部分参照)。
【0036】
また、本実施形態においては、第一梁3のうち少なくとも凹部(ウエブ31と第一フランジ32と第二フランジ33によって囲まれた凹部)が、カバー部材8によって被覆される。カバー部材8には欠き込み81が設けられており、例えば図6に示すように、第一梁3のブラケット34及びブレース受プレート35や、第二梁4は、欠き込み81を介して、カバー部材8の内面側(ウエブ31側)から外面側へと突き出ている。
【0037】
さらに、本実施形態においては、図1に示すように、ブレース受プレート35のうちブレース5と接する接触領域が、カバー部材8の外面側(ウエブ31とは反対側)に位置している。図1においては、二点鎖線でカバー部材8のカバーラインを示している。
したがって、カバー部材8に設ける欠き込み81の形状や寸法を、ブレース5を考慮しない形状や寸法とすることができる。
【0038】
すなわち、ブレース5と接する接触領域の少なくとも一部が、カバー部材8の内面側(ウエブ31側)に設けられている場合には、ブレース5を、カバー部材8の内面側から外面側へと突き出す必要があるので、その分、欠き込み81が大きくなる。これに対し、本実施形態の場合は、ブレース5と接する接触領域の全体が、カバー部材8の外面側に設けられているので、ブレース5を、カバー部材8の内面側から外面側へと突き出す必要がない。よって、ブレース5と接する接触領域の少なくとも一部が、カバー部材8の内面側に設けられている場合に比べて、欠き込み81を小さくできるので、カバー部材8によるカバー性能(防水性等)を向上させることができる。
【0039】
<梁構造の施工方法>
次に、本実施形態における梁構造1の施工方法の一例について、図3図6を参照して説明する。
まず、工場等で、図3に示すように、H型鋼材における所定位置に鋼製のブラケット34を溶接し、その後、図4に示すように、当該H型鋼材における所定位置に鋼製のブレース受プレート35を溶接して、第一梁3を用意する。
また、工場等で、H型鋼材における所定位置に、第二梁4を第一梁3に固定するためのボルト6が挿通可能な貫通孔を形成して、第二梁4を用意する。
【0040】
次いで、第一梁3及び第二梁4を工場等から施工現場へと輸送する。また、ブレース5やカバー部材8なども工場等から施工現場へと輸送する。
次いで、施工現場における指定位置に、複数の第一梁3をそれぞれ配置する。
次いで、施工現場における指定位置に、複数の第二梁4をそれぞれ配置する。具体的には、一方の第一梁3におけるブレース受プレート35上に、第二梁4の長手方向一端部を載置するとともに、他方の第一梁3におけるブレース受プレート35上に、当該第二梁4の長手方向他端部を載置する。
【0041】
次いで、図5に示すように、一方の第一梁3におけるブラケット34に、当該第二梁4におけるウエブ41の長手方向一端部を当接させるとともに、他方の第一梁3におけるブラケット34に、当該第二梁4におけるウエブ41の長手方向他端部を当接させ、その状態で、ブラケット34とウエブ41をボルト6(及び当該ボルト6に螺合するナット)で連結する。これにより、第二梁4が第一梁3に固定されて、梁架構2が形成される。なお、図5では、ボルト6の図示を省略している。
【0042】
次いで、一方の第一梁3におけるブレース受プレート35上に、ブレース5の長手方向一端部(一方の羽子板金具52)を載置するとともに、他方の第一梁3におけるブレース受プレート35上に、当該ブレース5の長手方向他端部(他方の羽子板金具52)を載置する。その際、互いに交差するブレース5のうち、一方のブレース5については、被固着面52aが上を向いた状態で各羽子板金具52をブレース受プレート35上に載置するとともに、他方のブレース5については、被固着面52aが下を向いた状態で各羽子板金具52をブレース受プレート35上に載置する。そして、その状態で、ブレース受プレート35と羽子板金具52をボルト7(及び当該ボルト7に螺合するナット)で連結する。これにより、ブレース5が梁架構2(具体的には第一梁3)に固定されて、梁構造1が形成される。
【0043】
その後、図6に示すように、第一梁3のうち少なくとも凹部(ウエブ31と第一フランジ32と第二フランジ33によって囲まれた凹部)を、カバー部材8によって被覆する。
なお、図6では、ボルト6,7の図示を省略している。また、図6では、カバー部材8のうち、第一梁3の凹部を被覆する部分以外の図示を省略している。
【0044】
<効果>
上記の実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
具体的には、実施形態の梁構造1は、互いに平行な一対の第一梁3と、第一梁3に直交する第二梁4と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5が配設された梁構造であって、第一梁3は、当該第一梁3の上面と下面との間に設けられ、当該第一梁3の上面及び下面に対して平行なブレース受プレート35を備えており、ブレース5は、ブレース受プレート35に固定されており、第二梁4は、当該第二梁4の下面が、ブレース受プレート35の上面に接した状態で、第一梁3に固定されている。
【0045】
すなわち、第二梁4は、当該第二梁4の長手方向一端部における下面が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該第二梁4の長手方向他端部における下面が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)間に架け渡されて固定されている。
したがって、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、第二梁4を固定する作業(ボルト6を締め作業等)を行うことができるので、第二梁4の長手方向両端部を人手等で支える必要がなく、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0046】
なお、上記の実施形態では、ブレース受プレート35に、スリット35aと、二つの貫通孔35bと、を設けて、一のブラケット34に対し、一のブレース受プレート35を固定するようにしたが、これに限られるものではない。例えば図7に示すように、ブレース受プレート35に、スリット35aを設けず、一つの貫通孔35bを設けて、一のブラケット34に対し、二つのブレース受プレート35を固定するようにしてもよい。この場合、第二梁4は、当該第二梁4の長手方向端部が、一方(左側)のブレース受プレート35の内側部分(ブラケット34側の部分)と、他方(右側)のブレース受プレート35の内側部分(ブラケット34側の部分)と、に載置された状態で、第一梁3に固定されることとなる。
【0047】
また、実施形態の梁構造1においては、ブレース受プレート35の上面から第一梁3の上面までの寸法Lと、第二梁4の下面から上面までの寸法Hと、を同一にすることが可能である。
【0048】
このように構成することによって、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置するだけで、第一梁3に対する第二梁4の位置決め(上下方向における位置決め)を行うことができる。したがって、第二梁4の位置決めが容易であるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0049】
また、実施形態の梁構造1においては、第一梁3及び第二梁4として、H型鋼材を用い、第一梁3に、ブラケット34を設けて、第二梁4を、当該第二梁4のウエブ41が、ブラケット34に接した状態で、第一梁3に固定することが可能である。
【0050】
このように構成することによって、第二梁4の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置して、第二梁4のウエブ41を第一梁3のブラケット34に当接させるだけで、第一梁3に対する第二梁4の位置決め(第一梁3の長手方向(左右方向)における位置決め)を行うことができる。したがって、第二梁4の位置決めが容易であるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)に、直交する他の梁(第二梁4)を固定する際の施工性を向上させることができる。
【0051】
なお、第一梁3は、H型鋼材に限られるものではなく、例えば、C型鋼材であってもよいし、矩形筒状の鋼材であってもよい。また、第一梁3は、鉄骨梁に限られるものではなく、例えば木質梁(木製梁)であってもよい。また、第一梁3の材質を部分的に異ならせることも可能である。具体的には、例えば、木製の梁材に、鋼製のブラケット34と、鋼製のブレース受プレート35と、を設けて第一梁3を構成することも可能である。
また、第二梁4は、H型鋼材に限られるものではなく、例えば、C型鋼材であってもよいし、矩形筒状の鋼材であってもよい。また、第二梁4は、鉄骨梁に限られるものではなく、例えば木質梁(木製梁)であってもよい。また、第二梁4の材質を部分的に異ならせることも可能である。
【0052】
また、実施形態の梁構造1においては、第一梁3を、欠き込み81が設けられたカバー部材8によって覆うことが可能である。その際、ブレース受プレート35を、欠き込み81を介してカバー部材8の内面側から外面側へと突き出る形状とし、ブレース受プレート35のうち、ブレース5と接する接触領域を、カバー部材8の外面側に設けることが可能である。
【0053】
このように構成することによって、カバー部材8に設ける欠き込み81の形状や寸法を、ブレース5を考慮しない形状や寸法とすることができる。すなわち、ブレース5と接する接触領域の少なくとも一部が、カバー部材8の内面側(第一梁3のウエブ31側)に設けられている場合に比べて、欠き込み81を小さくできるので、カバー部材8の性能(防水性等)を向上させることができる。
【0054】
また、実施形態の梁構造1において、ブレース5は、羽子板金具52と、端部が羽子板金具52の被固着面52aに固着された棒状のブレース本体51と、を備えている。そして、互いに交差する二つのブレース5のうち、一方のブレース5を、被固着面52aが上を向いた状態でブレース受プレート35に固定し、他方のブレース5を、被固着面52aが下を向いた状態でブレース受プレート35に固定することが可能である。
【0055】
このように構成することによって、互いに交差する二つのブレース5同士が干渉しないようにすることができる。すなわち、一方のブレース5と、他方のブレース5と、で被固着面52aの向きを異ならせてブレース受プレート35に固定するだけで、互いが干渉しないようにすることができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)と、直交する他の梁(第二梁4)と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5を配設する際の施工性を向上させることができる。
【0056】
また、実施形態の梁構造1においては、ブレース5を、羽子板金具52が、ブレース受プレート35の上面に接した状態で、第一梁3に固定することが可能である。
すなわち、
ブレース5を、当該ブレース5の長手方向一端部(一方の羽子板金具52)が、一方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態であり、かつ、当該ブレース5の長手方向他端部(他方の羽子板金具52)が、他方の第一梁3が有するブレース受プレート35の上面に接した状態で、一対の第一梁3(一方の第一梁3及び他方の第一梁3)に固定することができる。
したがって、ブレース5の長手方向両端部を各第一梁3のブレース受プレート35上に載置した状態で、ブレース5を固定する作業を行うことができるので、互いに平行な一対の梁(第一梁3)と、直交する他の梁(第二梁4)と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5を配設する際の施工性を向上させることができる。
【0057】
また、近年、二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGs(Sustainable Development Goals)の目標達成が求められており、建築業界においても、建物を二酸化炭素排出量の少ない木造とする取り組みが進められている。実施形態の梁構造1は、木製の床パネルを支持するものである。すなわち、実施形態の梁構造1は、建物に作用する荷重を負担する構造材として利用されており、建物の長寿命化に貢献するので、カーボンニュートラルの推進による脱炭素社会の実現や、SDGsの目標達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0058】
1 梁構造
3 第一梁
4 第二梁
5 ブレース
8 カバー部材
34 ブラケット
35 ブレース受プレート
41 ウエブ
51 ブレース本体
52 羽子板金具
52a 被固着面
81 欠き込み
H 第二梁の下面から上面までの寸法
L ブレース受プレートの上面から第一梁の上面までの寸法
【要約】
【課題】互いに平行な一対の梁に、直交する他の梁を固定する際の施工性を向上させる。
【解決手段】互いに平行な一対の第一梁3と、第一梁3に直交する第二梁4と、がなす矩形領域の対角線上にブレース5が配設された梁構造1であって、第一梁3は、当該第一梁3の上面と下面との間に設けられ、当該第一梁3の上面及び下面に対して平行なブレース受プレート35を備えており、ブレース5は、ブレース受プレート35に固定されており、第二梁4は、当該第二梁4の下面が、ブレース受プレート35の上面に接した状態で、第一梁3に固定されている。さらに、ブレース受プレート35の上面から第一梁3の上面までの寸法Lと、第二梁4の下面から上面までの寸法Hと、を同一にすることが可能である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7