(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】電磁ロータリー駆動装置及び回転デバイス
(51)【国際特許分類】
H02K 7/09 20060101AFI20240610BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240610BHJP
F04D 29/048 20060101ALI20240610BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20240610BHJP
F16C 32/04 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H02K7/09
H02K7/14 A
F04D29/048
F04D29/00 B
F16C32/04 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019118129
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-05-27
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】511081820
【氏名又は名称】レヴィトロニクス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヌスバウマー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ホレンシュタイン
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05686772(US,A)
【文献】中国実用新案第204186531(CN,U)
【文献】米国特許第07112903(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0080595(US,A1)
【文献】特表2001-514532(JP,A)
【文献】特開平08-178011(JP,A)
【文献】特開2012-060754(JP,A)
【文献】特開平06-133494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/09
H02K 7/14
F04D 29/048
F04D 29/00
F16C 32/04
B01F 33/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁ロータリー駆動装置において、前記電磁ロータリー駆動装置が、ステータ(2)の周りに配置されて磁気中心面(C)を有するリング形状の磁気有効コア(31)を備えるロータ(3)を有する、外部ロータとして設計され、前記ステータ(2)が支承・駆動ステータとして設計され、前記支承・駆動ステータを用いて、動作状態において、前記ロータ(3)が軸方向(A)を画定する所望の回転軸を中心として無接触に磁気的に駆動可能であり、前記支承・駆動ステータを用いて、前記ロータ(3)が前記ステータ(2)を基準として無接触に磁気的に空中浮揚可能であり、前記ロータ(3)が前記軸方向(A)に対して垂直なラジアル面において能動的に磁気的に空中浮揚させられ、前記軸方向(A)において傾斜に対して受動的に磁気的に安定化される、電磁ロータリー駆動装置であって、前記ロータ(3)が磁気有効ベアリング・リング(34)を備え、前記磁気有効ベアリング・リング(34)が前記ロータ(3)の前記磁気有効コア(31)の径方向外側に配置されて離間されるように構成され、磁気有効ステータ・リング(71)を有する追加のベアリング・ステータ(7)が前記ベアリング・リング(34)と相互作用するために設けられ、前記追加のベアリング・ステータ(7)が、前記ステータ・リング(71)により前記ロータ(3)を傾斜に対して受動的に磁気的に安定化させるように、設計及び配置され、前記ベアリング・リング(34)が低透過材料で作られる接続要素(35)を介して前記ロータ(3)の前記磁気有効コア(31)に接続される、ことを特徴とする、電磁ロータリー駆動装置。
【請求項2】
前記ロータ(3)の前記ベアリング・リング(34)及び前記追加のベアリング・ステータ(7)の前記ステータ・リング(71)の各々が、少なくとも1つの永久磁石(341、711)を備える、請求項1に記載のロータリー駆動装置。
【請求項3】
前記ロータ(3)の前記ベアリング・リング(34)が、前記ロータ(3)の前記磁気有効コア(31)の前記磁気中心面(C)内に配置される、請求項1から2までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項4】
前記ベアリング・リング(34)が、前記軸方向(A)において、前記ロータ(3)の前記磁気有効コア(31)の前記磁気中心面(C)からゼロではない距離(D)のところに配置され、前記距離(D)が、前記ベアリング・リング(34)の内半径(LR)の、最大4分の1、好適には最大5分の1である、請求項1から2までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項5】
前記追加のベアリング・ステータ(7)の前記ステータ・リング(71)が、前記ステータ・リング(71)により前記ベアリング・リング(34)を径方向外側に配置されて囲むような形で、前記ロータ(3)の前記ベアリング・リング(34)と同心となるように配置される、請求項1から4までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項6】
前記追加のベアリング・リング(7)の前記ステータ・リング(71)が前記軸方向(A)において前記ロータ(3)の前記ベアリング・リング(34)から離間されて配置され、前記ステータ・リング(71)が好適には前記ベアリング・リング(34)と等しい内半径(SR)を有する、請求項1から4までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項7】
前記接続要素(35)がディスク形状の設計を有し、任意選択で複数の凹部(351)を有する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項8】
前記接続要素(35)が複数のスポーク(352)を備え、前記複数のスポーク(352)の各々が前記ロータ(3)の前記磁気有効コア(31)と前記ロータ(3)の前記磁気有効ベアリング・リング(34)との間で径方向に延在する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項9】
前記ステータ・リング(71)及び前記ベアリング・リング(34)の各々が永久磁石材料から構成され、各々が複数の永久磁石(341、711)でセグメント化されるように設計される、請求項1から8までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項10】
前記ステータ・リング(71)及び前記ベアリング・リング(34)の各々が軸方向(A)に磁化され、前記ステータ・リング(71)の前記磁化が前記ベアリング・リング(34)の前記磁化の反対方向に方向付けられる、請求項2から9までのいずれから一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項11】
前記ステータ・リング(71)及び前記ベアリング・リング(34)の各々が径方向に磁化され、前記ステータ・リング(71)の前記磁化及び前記ベアリング・リング(34)の前記磁化が同じ方向に方向付けられ、好適には、前記ステータ・リング(71)の前記磁化及び前記ベアリング・リング(34)の前記磁化の各々が径方向外側に方向付けられる、請求項2から9までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項12】
前記ステータ・リング(71)が軸方向(A)に磁化されて前記ベアリング・リング(34)が径方向に磁化されるか、又は前記ステータ・リング(71)が径方向に磁化されて前記ベアリング・リング(34)が軸方向(A)に磁化される、請求項2から9までのいずれか一項に記載のロータリー駆動装置。
【請求項13】
回転デバイスを用いてディスク形状のボディ(110)が処理のために回転可能である、前記ディスク形状のボディ(110)の表面(111)を処理するための回転デバイスであって、前記回転デバイス(100)が、請求項1から12までのいずれか一項に従って設計される電磁ロータリー駆動装置(1)を備え、前記ロータ(3)が前記ディスク形状のボディ(110)のホルダ(120)を備える、ことを特徴とする、回転デバイス。
【請求項14】
流体を、運搬、混合、又は撹拌するための回転デバイスであって、前記回転デバイス(200)が、請求項1から12までのいずれか一項に従って設計される電磁ロータリー駆動装置(1)を備え、前記ロータリー駆動装置(1)の前記ロータ(3)が前記回転デバイス(200)のロータ(3)として設計される、ことを特徴とする、回転デバイス。
【請求項15】
前記ロータ(3)が流体を混合又は撹拌するための複数の羽根(210)を有し、前記羽根が接続要素(35)上に配置される、請求項14に記載の回転デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、それぞれのカテゴリーの独立特許請求項のプリアンブルによる電磁ロータリー駆動装置(electromagnetic rotary drive)及び回転デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ベアリングレス・モータの原理に従って設計されて動作させられる電磁ロータリー駆動装置が知られている。この点に関してのベアリングレス・モータという用語は、別個の磁気ベアリングを設けない状態でステータを基準としてロータが完全に磁気的に空中浮揚させられるような電磁ロータリー駆動装置を意味する。この目的のため、ステータが支承・駆動ステータ(bearing and drive stator)として設計され、したがって、電気駆動のステータと磁気浮揚のステータとの両方としてのものである。ステータの電気巻線を使用して、回転する電場が発生させられ得、この回転する電場が、一方で、ロータの回転を生じさせるトルクをロータに対して作用させ、他方で、所望される通りに設定され得る剪断力をロータに対して作用させ、その結果、ロータの径方向位置が能動的に制御及び管理され得る。ロータの少なくとも3自由度が能動的に管理され得、つまり、ロータの回転及びロータの径方向位置が能動的に管理され得る(2自由度)。さらなる3自由度に関しては、つまり、その軸方向位置と、所望の回転軸に対して垂直なラジアル面に対しての傾斜と、に関しては(2自由度)、ロータがリラクタンス力により受動的に磁気的に空中浮揚させられるか又は安定化させられ、つまりロータが制御され得ない。ロータの完全な磁気浮揚を用いる別個の磁気ベアリングが存在しないことは、ベアリングレス・モータにその名前を与えるような特性である。
【0003】
現在、ベアリングレス・モータは当業者には十分に知られているが、多くの異なる用途で使用されている。いくつかの基本的原理を、例えば、EPA0860046及びEP-A-0819330で見ることができる。
【0004】
図1では、例示的なかたちの、現況技術で知られている、ベアリングレス・モータの考えられる設計を斜視図で見ることができる。さらに良好に理解することができるように、
図2がさらに
図1からのベアリングレス・モータの斜視断面図を示しており、ここでは、断面が軸方向A’に作られている。
図1及び
図2の図が現況技術のデバイスであることを示すために、ここでの参照符号の各々には引用符又はダッシュが付されている。ベアリングレス・モータが全体として参照符号1’で示され、ここでは外部ロータとして設計されている。これは、ステータ2’が径方向内側に配置されてロータ3’によって囲まれていることを意味する。
【0005】
ステータ2’が、複数の(ここでは6つの)目立つステータ棒21’を備え、各々のステータ棒21’がリング形状のリフラックス22’から径方向外側に延在する。この点に関して、径方向は軸方向A’に対して垂直の方を向く方向を意味し、軸方向A’がロータ3’の所望の回転軸によって画定され、つまりステータ2’を基準としてロータ3’が傾斜位置にはなく中心に配置されているときに動作状態においてロータ3’が回転するときの中心となる回転軸によって画定される。リフラックス22’及びステータ棒21’が、例えば鉄などの、強磁性材料で作られる。
【0006】
図1及び
図2では、ロータ3’の磁気有効コア(magnetically effective core)31’のみが示されており、この磁気有効コア31’が環状に設計されており、永久的に磁性を有する。この目的のために、磁気有効コア31’が複数の永久磁石311’を備え、永久磁石311’の各々がリング・セグメントとして設計されており、ここでは、すべての永久磁石311’が互いを補完してリングを形成する。各永久磁石311’が径方向に磁化され、ここでは、隣接する永久磁石311’が各々の事例で反対方向に磁化され、その結果、円周方向で見ると、永久磁石311’が径方向内側及び径方向外側に交互に磁化されることになる。個別の永久磁石311’の磁化が、各々の事例において、永久磁石311’内で参照符号を有さない矢印によって示されている。
【0007】
磁気有効コア31’が鉄などの強磁性材料で作られるリフラックス・リング312’をさらに有し、リフラックス・リング312’が永久磁石311’を囲み、リフラックス・リング312’が磁束を案内するように機能する。
【0008】
ロータ3’の磁気駆動及び磁気浮揚のために必要な回転する電磁場を発生させるために、ステータ棒21’が巻線を担持する。
図1及び
図2に示される設計を用いる場合、巻線は例えば、各ステータ棒21’の周りに個別のコイル61’を巻き付けるように、設計される。これらのコイル61’を用いる場合の、動作状態では、回転する電磁場が発生され、この回転する電磁場によりロータ3’に対してトルクが生じ、またこの回転する電磁場により、任意に設定可能である径方向の剪断力がロータ3’に対して作用させられ得、その結果、ロータ3’の径方向位置、つまり軸方向A’に対して垂直なそのラジアル面内でのその位置が、能動的に制御又は管理され得る。
【0009】
さらなる3自由度に関しては、つまり、軸方向A’におけるロータ3’の位置、及び傾斜に関しては(2自由度)、ロータ3’がリラクタンス力により受動的に磁気的に空中浮揚させられるか又は安定化させられ、つまりロータ3’が制御され得ない。
【0010】
ロータ3’の受動的な磁気浮揚に関しては、好適には、ロータ3’の磁気有効コア31’の内径が、軸方向A’の磁気有効コア31’の高さh’の少なくとも2.6倍の大きさとなるように、寸法決定される。
図2では、R’が、ロータ3’のリング形状の磁気有効コア31’の内半径を示す。したがって、2×R’≧2.6×h’という条件を満たさなければならず、つまり、磁気有効コア31’の内径が軸方向A’のその高さh’の2.6倍より大きくなければならないか又は少なくともその2.6倍の大きさでなければならない。
【0011】
ベアリングレス・モータの原理に従って設計される電磁ロータリー駆動装置は多様な用途を有することが分かっている。
【0012】
機械的軸受が存在しないことから、ベアリングレス・モータ1’は、例えば血液ポンプなどの、非常に敏感な物質を運搬するのに用いられるような、或は例えば製薬産業又はバイオテクノロジ産業などにおいての純度において非常に高い要求のあるような、さらに或は例えば半導体産業におけるスラリーのためのポンプ又は混合器などの、機械的軸受を非常に迅速に破壊してしまう摩耗物質又は攻撃的な物質(aggressive substance)を運搬するのに用いられるような、圧送デバイス、混合デバイス、及び撹拌デバイスに特に適する。また、ベアリングレス・モータは、例えばフォトレジスト物質又は他の物質を用いてウエハーを被覆するか又は処理するときに、ウエハーを空中浮揚及び回転させるために、半導体製造で使用されている。
【0013】
ベアリングレス・モータの原理の別の利点が、インテグラル・ロータ(integral rotor)としてのロータの設計から得られる。インテグラル・ロータは、電磁駆動装置のロータと、ポンプの、攪拌機の、混合器の、又はウエハーを回転させるためのホルダの、ロータとの両方としてのものである。この利点により、無接触の磁気浮揚に加えて、構成が非常にコンパクトになり、空間が節約されることになる。
【0014】
加えて、ベアリングレス・モータの原理は、ステータ2’からロータ3’を容易に分離させるのを可能にする設計も可能にする。これには非常に有利である。というのは、ロータ3’が例えば使い捨て用の1回使用の部品として設計され得るからである。このような1回使用の用途は、現在、非常に高い純度を要求されることを理由としてプロセス中に処理されるべき物質に接触するすべての構成要素を例えば蒸気消毒により複雑な形で洗浄及び消毒する必要があるようなプロセスに頻繁に取って代わっている。1回使用の設計では、処理されるべき物質に接触する構成要素は正確に1回のみ使用され、次の用途においては未使用の1回使用の新しい部品に交換される。
【0015】
ここでは、例として製薬産業又はバイオテクノロジ産業を挙げることができる。これらでは、溶液及び懸濁液が頻繁に製造され、溶液及び懸濁液は物質を注意深く混ぜたり運搬したりする必要がある。
【0016】
製薬産業では、例えば、医薬的に有効な物質を製造することにおいて、清浄度に関して非常に高い要求があり、物質に接触する構成要素でもしばしば消毒する必要がある。バイオテクノロジでも、例えば、生体物質、細胞、又は微生物の製造、処理、又は培養などにおいて、同様の要求があり、製造される製品の有用性を危険にさらさないようにするために、非常に高い程度の清浄度が保証される必要がある。ここでは別の例として生物反応器を挙げることもできる。生物反応器では、例えば、組織又は特殊な細胞、或は他の非常に敏感な物質のための生物学的代用物(biological substitute)が培養される。圧送デバイス、撹拌デバイス、又は混合デバイスは、例えば、栄養液を継続的に混ぜるのを保証することが必要であるか、又は混合タンク内でのその継続的な循環を保証することが必要である。この点に関して、物質又は製造される製品を汚染から保護するために非常に高い純度を保証する必要がある。
【0017】
したがって、このような用途では、圧送デバイス、撹拌デバイス、又は混合デバイスは、1回使用のデバイス、及び再使用可能なデバイスから構成される。この点に関して、1回使用のデバイスは、使い捨て用の1回使用の部品として設計される、物質に接触する構成要素を含む。これは例えばロータ3’を備える圧送タンク又は混合タンクであり、ロータ3’が中に設けられ、例えば、物質を運搬するためのインペラを備える。再使用可能なデバイスは、例えばステータ2’などの、永久的に使用される、つまり複数回使用される、構成要素を含む。このようなデバイスは例えばEP-B-2065085に開示されている。
【0018】
ベアリングレス・モータが成功裏に使用されるこれらのすべての用途では、原則的に、内部ロータとして、つまり内側に配置されるロータ及びその周りに配置されるステータを備える、ベアリングレス・モータを設計すること、又は外部ロータ(
図1を参照)として、つまり内側に配置されるステータ2’及びその周りに配置されるロータ3’を備える、ベアリングレス・モータを設計することが可能である。しかし、具体的には外部ロータとしての設計において、一部の用途においては、特には傾斜に対してロータ3’の受動的な磁気的安定化が限界に達するか、又はさらには、ロータリー駆動装置の安全でトラブル・フリーの動作を保証するのに不十分であることも示されている。内部ロータと比較すると、外部ロータを用いて達成され得る、傾斜安定化のため最大トルク(maximum tilt stabilizing torque)が非常に低い。外部ロータとして設計する場合における、このように傾斜に対しての受動的な磁気的安定化が非常に弱く、一部の用途においては実際には不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【文献】EPA0860046
【文献】EP-A-0819330
【文献】EP-B-2065085
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、このような現況技術から、本発明の目的は、無接触で磁気的に駆動され得さらには無接触で磁気的に空中浮揚させられ得るロータを備える、外部ロータとして構成される電磁ロータリー駆動装置を提案することであり、ここでは、特には傾斜に対してのロータの受動的な磁気的安定化が大幅に改善される。加えて、本発明の目的は、このようなロータリー駆動装置を備える回転デバイスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的に適合する本発明の主題が、それぞれのカテゴリーの独立請求項の特徴によって特徴付けられる。
【0022】
したがって、本発明によると、電磁ロータリー駆動装置が提案され、この電磁ロータリー駆動装置が、ステータの周りに配置されて磁気中心面を有するリング形状の磁気有効コアを備えるロータを有する外部ロータとして構成され、ここでは、ステータが支承・駆動ステータとして設計され、支承・駆動ステータを用いて、動作状態において、ロータが軸方向を画定する所望の回転軸を中心として無接触に磁気的に駆動可能であり、支承・駆動ステータを用いて、ロータがステータを基準として無接触に磁気的に空中浮揚可能であり、ここでは、ロータが軸方向に対して垂直なラジアル面において能動的に磁気的に空中浮揚させられ、軸方向において傾斜に対して受動的に磁気的に安定化され、ここでは、ロータが磁気有効ベアリング・リングを備え、磁気有効ベアリング・リングがロータの磁気有効コアの径方向外側に配置されて離間されるように構成され、ここでは、磁気有効ステータ・リングを有する追加のベアリング・ステータがベアリング・リングと相互作用するために設けられ、ここでは、追加のベアリング・ステータが、ステータ・リングによりロータを傾斜に対して受動的に磁気的に安定化させるように、設計及び配置され、ここでは、ベアリング・リングが低透過材料で作られる接続要素を介してロータの磁気有効コアに接続される。
【0023】
ロータの磁気有効ベアリング・リングと、追加のベアリング・ステータとの、またより正確には追加のベアリング・ステータの磁気有効ステータ・リングとの相互作用により、具体的には、ラジアル面を基準とした傾斜に対してのロータの安定化を大幅に改善することが達成され得、ここでは、ラジアル面が、その中でロータの径方向位置を能動的に磁気的に管理するところの平面である。追加のベアリング・ステータ及びロータのベアリング・リングが、原理的に、ロータの追加の受動的な磁気的軸方向支承のように機能し、これが、具体的には、ロータの傾斜に対する硬直性(tilting rigidity)を大幅に向上させる。本発明による設計を用いて補償され得るロータの傾斜を引き起こす最大トルクは、磁気的に空中浮揚させられるディスク形状の又はリング形状の磁気有効ロータ・コアを備える外部ロータとして設計される既知の電磁ロータリー駆動装置と比較して大幅に大きく、例えば少なくとも20倍大きい。これを理由として、本発明によるロータリー駆動装置が、既知の設計では適さないような又は決して適さないような用途のために使用され得る。その理由は、傾斜に対してロータを安定化させるための受動的な力がこれらの既知の設計では十分な大きさではないからである。
【0024】
本発明によるロータリー駆動装置が、ベアリングレス・モータの原理のよく知られている利点を、ロータの追加的な受動的な磁気的軸方向支承又は軸方向安定化に、有利な形で組み合せる。この目的のため、本発明によるロータリー駆動装置のロータが2つの異なる磁気有効領域を有し、これらの2つの異なる磁気有効領域が、低透過材料で作られる接続要素により少なくとも実質的に互いから磁気的に切り離される。ロータのリング形状の磁気有効コアが、ベアリングレス・モータの原理に従う既知の手法で、支承・駆動ステータとして設計されるステータと相互作用する。磁気有効コアを基準として径方向外側に配置されるように構成されるロータの磁気有効ベアリング・リングが、追加のベアリング・ステータの磁気有効ステータ・リングと相互作用し、それによりロータの追加的な受動的な磁気的軸方向支承が行われるようになり、それにより具体的には、ロータの傾斜に対する硬直性を大幅に向上させる。
【0025】
追加的な受動的な磁気的軸方向支承の設計に関しては、複数の基本的な変形形態が可能である。
【0026】
例えば、永久磁気を有する磁気有効ベアリング・リング及び強磁性(ferromagnetic magnetism)を有する追加のベアリング・ステータのステータ・リングを設計することが可能である。この点に関して、ベアリング・リングが永久磁石材料で全体として構成され得、つまり、例えば一部片の永久磁石リングとして設計され得るか、或は複数の永久磁石セグメントからなるか又は強磁性の中間部片によって互いに接続される1つ又は複数の永久磁石を備える永久磁石リングとして設計され得る。ステータ・リングが、例えば一部片としての又はセグメント化されるリングとしての、強磁性リングとして設計され得、具体的には鉄のリングとして設計され得る。
【0027】
別の変形形態は、永久磁石の方式で追加のベアリング・ステータの磁気有効ステータ・リングを設計して、強磁性の方式でロータのベアリング・リングを設計することである。ステータ・リングが永久磁石材料で全体として構成され得、つまり、例えば一部片の永久磁石リングとして設計され得るか、或は複数の永久磁石セグメントからなるか又は強磁性中間部片によって互いに接続される1つ又は複数の永久磁石を備える永久磁石リングとして設計され得る。ベアリング・リングが、例えば一部片としての又はセグメント化されるリングとしての、強磁性リングとして設計され得、具体的には鉄のリングとして設計され得る。
【0028】
別の好適な変形形態では、ロータのベアリング・リング及び追加のベアリング・ステータのステータ・リングの両方が、各々、少なくとも1つの永久磁石を備え、つまり永久磁石の方式で各々が設計される。ステータ・リング及びベアリング・リングの各々が全体として永久磁石材料で作られ得、つまり、ステータ・リング及びベアリング・リングが、各々、例えば、一部品の永久磁石リングとして設計され得るか又は複数の永久磁石セグメントからなる永久磁石リングとして設計され得るか、或は例えば強磁性の中間部片によって互いに接続される1つ又は永久磁石を各々が備えることができる。
【0029】
好適な実施例によると、ロータのベアリング・リングがロータの磁気有効コアの磁気中心面内に配置される。これは、ロータのベアリング・リング及びロータのリング形状の磁気有効コアが同一平面内にある同心リングとして配置されることを意味し、その結果、ベアリング・リングが軸方向において磁気有効コアをその中心で囲む。
【0030】
別のやはり好適な実施例では、ベアリング・リングが軸方向においてロータの磁気有効コアの磁気中心面からゼロではないいくらかの距離のところに配置され、ここでは、上記距離が、ベアリング・リングの内半径の、最大4分の1、好適には最大5分の1である。この実施例では、ロータのリング形状の磁気有効コア及びロータのベアリング・リングが互いに平行に配置され、各々が軸方向に関して中心に配置され、その結果それらの中心が同一軸上に配置されるようになり、ここでは、磁気コア及びベアリング・リングが軸方向において離間される。ベアリング・リングが磁気有効コアの磁気中心面の上方又は下方に配置され得る(使用の通常位置において)。好適には、磁気中心面からのベアリング・リングの距離が、ベアリング・リングの内半径の、最大4分の1、特に好適には最大5分の1であり、その結果、追加的な軸方向支承の不安定化作用が、傾斜に対する追加的な安定化を上回ることがなくなる。磁気中心面からのベアリング・リングの距離は、軸方向におけるベアリング・リングの中心面と磁気中心面との間の距離を意味する。
【0031】
ステータ・リングの構成に関して複数の変形形態が存在する。好適な変形形態によると、追加のベアリング・ステータのステータ・リングが、ステータ・リングによりベアリング・リングを径方向外側に配置されて囲むような形で、ロータのベアリング・リングと同心となるように配置される。これは、ロータのベアリング・リング及び追加のベアリング・ステータのステータ・リングが同一平面内にある同心リングとして配置されることを意味し、その結果、ステータ・リングが軸方向においてベアリング・リングをその中心で囲む。
【0032】
別のやはり好適な変形形態では、追加のベアリング・リングのステータ・リングが軸方向においてロータのベアリング・リングから離間されて配置され、ここでは、ステータ・リングが好適にはベアリング・リングと等しい内半径を有する。この変形形態では、追加のベアリング・ステータのステータ・リング及びロータのベアリング・リングが互いに平行に配置され、各々が軸方向に関して中心に配置され、その結果それらの中心が同一軸上に配置されるようになり、ここでは、ステータ・リング及びベアリング・リングが軸方向において離間される。この点に関して、ステータ・リングがベアリング・リングの上方又は下方に配置され得(使用の通常位置において)、ベアリング・リング及びステータ・リングが特に好適には軸方向において互いに位置合わせされて配置される。
【0033】
ロータの磁気有効コアをロータのベアリング・リングに接続する接続要素の設計に関して複数の変形形態が可能である。例えば、接続要素が完全なリング・ディスクとして設計され得、この完全なリング・ディスクが径方向においてロータのリング形状の磁気有効コアとロータのベアリング・リングとの間に配置される。好適には、接続要素がディスク形状の形式で設計され、任意選択で、接続要素のための所要材料及びその重量を低減するために複数の凹部を有する。
【0034】
別のやはり好適な変形形態では、接続要素が複数のスポークを備え、複数のスポークの各々がロータの磁気有効コアとロータの磁気有効ベアリング・リングとの間で径方向に延在する。
【0035】
可能な限り強力である追加の安定化に関して、及び単純な製造に関して、好適には、ステータ・リング及びベアリング・リングの各々が永久磁石材料から構成され、各々が複数の永久磁石でセグメント化されるように設計される。この好適な実施例では、ステータ・リング及びベアリング・リングの両方が全体として永久磁石材料で作られる。製造のために、好適には、ベアリング・リング及びステータ・リングがセグメント化されるように設計され、つまり、ステータ・リング及びベアリング・リングの各々が複数の永久磁石を備え、これらの複数の永久磁石の各々がリング・セグメントとして設計され、これらの永久磁石のすべてが互いを補完してリングを形成する。
【0036】
ステータ・リング及びベアリング・リングの磁化に関して複数の変形形態が存在する。
【0037】
第1の好適な変形形態によると、ステータ・リング及びベアリング・リングの各々が軸方向に磁化され、ステータ・リングの磁化がベアリング・リングの磁化の反対方向に方向付けられる。
【0038】
別のやはり好適な変形形態によると、ステータ・リング及びベアリング・リングの各々が径方向に磁化され、ステータ・リングの磁化及びベアリング・リングの磁化が同じ方向に方向付けられ、好適には、ステータ・リングの磁化及びベアリング・リングの磁化の各々が径方向外側に方向付けられる。
【0039】
別の好適な変形形態では、ステータ・リングが軸方向に磁化されてベアリング・リングが径方向に磁化されるか、又はステータ・リングが径方向に磁化されてベアリング・リングが軸方向に磁化される。
【0040】
ディスク形状のボディの表面を処理するための回転デバイスが本発明によりさらに提案され、この回転デバイスを用いて処理のためにボディが回転可能であり、この回転デバイスが本発明に従って設計される電磁ロータリー駆動装置を備え、ここでは、ロータがディスク形状のボディのためのホルダを備える。ボディがホルダによりロータ上で保持され得るか、又はボディがホルダによりロータ上で固定され得る。このような回転デバイスが、例えば半導体産業において、例えば電子構成要素の製造のためにウエハーの表面に対してなどの、基板の表面に対して、それらの表面を処理することを目的として制御する形で例えば懸濁液などの流体を適用するのに使用され得る。例としては、スラリーによる化学的機械研磨プロセス(CMP:chemical-mechanical polishing process)、ウエハーの洗浄及び/又はエッチング、溶媒を用いてのフォトレジストへの適用又はフォトレジストの除去、がここでは挙げられる。ウエハーに対して流体を適用するこれらの湿潤プロセスに加えて、回転デバイスは乾燥プロセスにも適し、特には半導体産業の乾燥プロセスにも適する。ウエハー或は他の構成要素又は基板を回転させるこのような乾燥プロセスの例には:プラズマ・エッチング、急熱プロセス(RTP:rapid thermal processing)、原子層堆積(ALD:atomic layer deposition)、化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)、又は物理蒸着(PVD:physical vapor deposition)、がある。
【0041】
このような湿潤プロセス又は乾燥プロセスでは、薄いディスクの形態のウエハーが、通常、プロセス・チャンバ内で高速回転するように設定され、次いで処理のためにそれぞれの流体を適用される(湿潤プロセス)か、或は放射線を適用されるか又は基板が分離される(乾燥処理)。この目的のため、処理されることになるウエハーがホルダにより本発明による回転デバイスのロータの上に取り付けられ得、次いで回転させられ得る。
【0042】
さらに、本発明により、流体を、運搬、混合、又は撹拌するための回転デバイスが提案され、ここでは、回転デバイスが電磁ロータリー駆動装置を備え、この電磁ロータリー駆動装置が本発明に従って設計され、ここでは、ロータリー駆動装置のロータが回転デバイスのロータとして設計される。インテグラル・ロータとも称されるこの設計が回転機械を特にコンパクトな設計にすることを可能にする。その理由は、電磁ロータリー駆動装置のロータも回転機械のロータであり、このロータを用いて、運搬又は撹拌されることになる流体に力を作用させる、からである。
【0043】
実施例によると、ロータが流体を混合又は撹拌するための複数の羽根を有し、羽根が接続要素上に配置される。
【0044】
具体的には、本発明による回転デバイスが1回使用のための構成要素を備えるようにも設計され得る。このような設計では、回転デバイスが、好適には、使い捨てのための設計される1回使用のデバイスと、複数回使用のための設計される再使用可能なデバイスとを有し、ここでは、1回使用のデバイスが、流体を、運搬、圧送、混合、又は撹拌するための複数の羽根を任意選択で有する少なくともロータを備え、ここでは、再使用可能なデバイスが、少なくとも、ステータ及び追加のベアリング・ステータを備え、この追加のベアリング・ステータを用いて運動状態においてロータが駆動可能であり、磁気的に無接触に空中浮揚され得る。回転デバイスが混合デバイス又は撹拌デバイスとして設計される場合、1回使用のための構成要素が、好適には、可撓性の混合タンクをさらに備え、例えばその中にロータが配置される。
【0045】
本発明のさらなる有利な処置及び実施例が従属請求項から明らかとなる。
【0046】
以下では、実施例を参照して及び図面を参照して本発明を本明細書の下記においてより詳細に説明する。部分的な概略図で示される(一部、断面図)。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】現況技術によるベアリングレス・モータとして設計される電磁ロータリー駆動装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1からの駆動装置を示す斜視断面図である。
【
図3】本発明による電磁ロータリー駆動装置の第1の実施例を示す斜視断面図である。
【
図4】
図3からの第1の実施例を通る軸方向を示す概略断面図である。
【
図5】第1の実施例の変形形態を示す斜視断面図である。
【
図6】
図5からの変形形態を通る軸方向を示す概略断面図である。
【
図7】本発明による電磁ロータリー駆動装置の第2の実施例を示す斜視断面図である。
【
図8】
図7からの第2の実施例を通る軸方向を示す概略断面図である。
【
図9】第2の実施例の変形形態を示す斜視断面図である。
【
図10】
図9から変形形態を通る軸方向を示す概略図である。
【
図11】接続要素の設計のための第1の変形形態を示す斜視図である。
【
図12】
図11からの第1の変形形態を示す斜視断面図である。
【
図13】接続要素の設計のための第2の変形形態を示す斜視図である。
【
図14】
図13からの第2の変形形態を示す斜視断面図である。
【
図15】ベアリング・リング及びステータ・リングの設計のための変形形態を示す斜視図である。
【
図17】ベアリング・リング及びステータ・リングの磁化のための多様な変形形態を各々が示す概略断面図である。
【
図18】ベアリング・リング及びステータ・リングの磁化のための多様な変形形態を各々が示す概略断面図である。
【
図19】ベアリング・リング及びステータ・リングの磁化のための多様な変形形態を各々が示す概略断面図である。
【
図20】ベアリング・リング及びステータ・リングの磁化のための多様な変形形態を各々が示す概略断面図である。
【
図21】ベアリング・リング及びステータ・リングの磁化のための多様な変形形態を各々が示す概略断面図である。
【
図22】ディスク形状のボディの表面を処理するように設計される、本発明による回転デバイスの実施例を示す斜視図である。
【
図24】
図22からの実施例を通る軸方向を示す概略断面図である。
【
図27】
図25からの変形形態を通る軸方向を示す概略断面図である。
【
図28】流体を、運搬、混合、又は撹拌するための、本発明による回転デバイスの実施例を示す斜視図である。
【
図30】
図28からの実施例を通る軸方向を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
既に言及して説明したが、現況技術から知られている、ベアリングレス・モータとして設計される電磁ロータリー駆動装置が
図1及び
図2に示される。
【0049】
図3が本発明による電磁ロータリー駆動装置の第1の実施例の斜視断面図を示しており、電磁ロータリー駆動装置が全体として参照符号1で示される。より良好に理解することができるように、
図4が第1の実施例を通る軸方向の概略断面図をさらに示す。ロータリー駆動装置1が外部ロータとして設計され、ステータ2と、ステータ2を基準として無接触で磁気的に空中浮揚させられるロータ3とを備える。さらに、ロータ3が、ステータ2により、所望の回転軸を中心として回転するように無接触で磁気的に駆動可能である。所望の回転軸が、ロータ3を中心に配置してステータ2を基準として傾斜位置にないときに動作状態においてロータ3が回転するときに中心となる軸を意味する。この所望の回転軸が軸方向Aを画定する。通常、軸方向Aを画定する所望の回転軸がステータ2の中央軸に一致する。
【0050】
以下では、径方向が、軸方向Aに対して垂直の方を向く方向を意味する。
【0051】
ステータ2が複数の(ここでは6つの)目立つステータ棒21を備え、各々のステータ棒21が径方向内側に配置されるリング形状のリフラックス22から径方向外側に延在する。ステータ棒21が、ロータ3の磁気駆動のために及び磁気浮揚のために必要な回転する電磁場を発生させる巻線を担持する。
図3及び
図4に示される実施例では、巻線が、例えば、別個のコイル61を各ステータ棒21の周りに巻き付けるように、設計される。これらのコイル6を用いて、運動状態において回転する電磁場が発生させられ、この回転する電磁場を用いてロータ3に対してトルクが作用され、またこの回転する電磁場を用いて、所望される通りに設定され得る剪断力が径方向においてロータ3に対して作用され得、その結果、ロータ3の径方向位置、つまり軸方向Aに対して垂直なラジアル面におけるロータ3の位置が、能動的に制御又は管理され得る。
【0052】
ロータ3が磁気有効コア31を備え、磁気有効コア31が、軸方向Aにおける高さHR及び内半径IRを有する、リング・ディスク又は円形円筒形リングの形態として設計される。外部ロータでは一般的なことであるが、ロータ3又はその磁気有効コア31がステータ2の周りに配置され、その結果、ステータ2がロータ3の磁気有効コア31を基準として径方向内側に配置されるように構成され、ステータ棒21がステータ棒21を囲む磁気有効コア31に対向する。ロータ3の「磁気有効コア31」が、トルクを発生させるために及び磁気的支承力を発生させるためにステータ棒21と磁気的に相互作用するロータ3の領域を意味する。
【0053】
図3及び
図4に示される第1の実施例では、ロータ3の磁気有効コア31がリング形状として設計され、永久磁石方式である。この目的のため、磁気有効コア31が複数の永久磁石311を備え、複数の永久磁石311の各々がリング・セグメントとして設計され、これらの永久磁石311のすべてが互いを補完してリングを形成する。各永久磁石311が径方向に磁化され、ここでは、各々の事例において隣接する永久磁石311が反対方向に磁化され、その結果、円周方向で見ると、永久磁石311が径方向内側及び径方向外側に交互に磁化されることになる。個別の永久磁石311の磁化が、各々の事例において、それぞれの永久磁石311内で参照符号を有さない矢印によって示されている。
【0054】
高い保磁力を有する、磁気的に強力である強磁性体又は強磁性材料は、通常、永久磁石と称される。保磁力は材料を消磁するのに必要な磁場強度である。この用途の枠組みでは、永久磁石は、保磁力を有する、またより正確には10,000A/mを超える量の磁気分極の保磁力を有する材料として理解される。
【0055】
磁気有効コア31が強磁性材料で作られるリフラックス・リング312をさらに有し、リフラックス・リング312が径方向外側に配置されて永久磁石311を囲み、リフラックス・リングが磁束を案内するように機能する。
【0056】
リング形状のリフラックス22及びステータ2のステータ棒21、さらにはロータ3の磁気有効コア31のリフラックス・リング312の各々が、軟磁性材料で作られる。その理由は、これらが磁束を案内するための磁束案内要素として機能するからである。適切な軟磁性材料は、例えば、強磁性体又は強磁性材料であり、つまり、具体的には、鉄、ニッケル-鉄、又はシリコン-鉄である。この事例では、具体的には、ステータ2が、好適には、ステータ・シート・スタックとして設計され、ここでは、ステータ棒21及びリフラックス22がシート金属として設計され、つまり、積み重ねられる複数の薄い要素から構成される。また、ロータ3の磁気有効コア31のリフラックス・リング312がシート金属として設計され得る。
【0057】
ロータリー駆動装置1の動作中、上述のベアリングレス・モータの原理に従って、ロータ3の磁気有効コア31がステータ2のステータ棒21と相互作用し、ここでは、ロータ3が無接触に磁気的に駆動可能であり、ステータ2を基準として無接触に磁気的に空中浮揚可能である。この目的のために、ステータ2が支承・駆動ステータとして設計され、ステータ2を用いて、動作状態において、ロータが所望の回転軸を中心として無接触に磁気的に駆動可能であり、つまり、回転するように設定され得、また、ステータ2を基準として無接触に磁気的に空中浮揚可能である。
【0058】
ベアリングレス・モータの原理は一方においては当業者には十分に良く知られていることから、その機能をさらに詳細に説明する必要はない。ベアリングレス・モータの原理とはロータ3が完全に磁気的に空中浮揚させられることを意味し、ここでは、ステータ2が支承・駆動ステータとして設計され、ステータ2が、電気駆動装置のステータと磁気浮揚のステータとの両方としてのものである。この点に関して、ステータ2がここではコイル61である巻線を備え、コイル61が駆動機能及び空中浮揚機能の両方を実現するのに使用される。回転する電磁場がコイル61によって発生させられ得、回転する電磁場が、一方で、ロータ3の回転を生じさせるトルクをロータ3の磁気有効コア31に対して作用させ、他方で、任意に設定可能である剪断力をロータ3の磁気有効コア31に対して作用させ、その結果、その径方向位置が、つまりラジアル面におけるその位置が、能動的に制御又は管理され得る。伝統的な磁気ベアリングとは異なり、ベアリングレス・モータの事例では、モータの磁気浮揚・駆動が回転する電磁場によって実現され、回転する電磁場がロータ3の磁気有効コア31に対してトルク及び設定可能な剪断力を作用させる。このために必要である回転する場が多様なコイルを用いて発生させられ得るか、又は回転する場が、この事例では、コイル61である単一コイルシステムの補助により、必要な磁束の数学的な重ね合わせによって発生させられ得る。したがって、ベアリングレス・モータの事例では、ステータ2のコイル61によって発生させられる電磁束を、ロータのみを駆動する電磁束と、ロータの磁気浮揚のみを実現する電磁束とに分割することが可能ではない。
【0059】
ベアリングレス・モータの原理によると、ロータ3の少なくとも3自由度が能動的に管理され得、つまり、ラジアル面内でのその位置及びその回転が能動的に管理され得る。軸方向Aにおけるその軸偏向に関しては、ロータ3の磁気有効コア31がリラクタンス力により受動的に磁気的に安定化され、つまり制御され得ない。また、残りの2自由度に関しては、つまり、所望の回転軸に対して垂直であるラジアル面を基準とした傾斜に関しては、ロータ3の磁気有効コア31がやはり受動的に磁気的に安定化される。したがって、ロータ3が、受動的に磁気的に空中浮揚させられるか又は受動的に磁気的に安定化され、さらには、軸方向Aにおけるステータ棒21に対しての磁気有効コア31の相互作用により、傾斜に逆らうような形で、ラジアル面において能動的に磁気的に空中浮揚(2自由度)させられる(合計で3自由度)。
【0060】
一般的に当てはまるように、能動的な磁気浮揚は、本用途の枠組みでは、例えばコイル61によって発生させられる回転する電磁場により、能動的に制御可能又は管理可能であるものということもできる。受動的な磁気浮揚又は受動的な磁気安定化は制御又は管理され得ないようなものである。受動的な磁気浮揚又は受動的な磁気安定化は、例えばロータ3が軸方向において変位させられるか又は傾斜させられるなどの場合などにおいてロータ3がその平衡位置から逸れるときにロータ3をその平衡位置に戻すリラクタンス力に例えば基づくものである。
【0061】
さらに、ロータ3の磁気有効コア31の磁気中心面Cが軸方向Aに対して垂直な平面を意味し、ここでは、ロータ3の磁気有効コア31が運動状態においてロータ3の非傾斜時に空中浮揚させられる。概して、リング形状の磁気有効コア31では、磁気中心面Cがロータ3の磁気有効コア31の幾何学的中心面であり、これが軸方向Aに対して垂直である。運動状態においてステータ2内でロータ3の磁気有効コア31が空中浮揚されるところの平面はラジアル面とも称される。ラジアル面がデカルト座標系のx-y面を画定し、デカルト座標系のz軸が軸方向Aに延びる。ロータ3の磁気有効コア31が傾斜させられない場合、ラジアル面が磁気中心面Cに一致する。
【0062】
ロータ3の磁気有効コア31の径方向位置がラジアル面におけるロータ3の位置を意味する。
【0063】
径方向支承又は径方向支持体がロータ3のベアリングを意味し、これを用いてロータ3の径方向位置が安定化させられ得、つまりこのベアリングがラジアル面においてロータ3を支持し、ひいてはその径方向位置に関してロータ3を支持する。
【0064】
軸方向支承又は軸方向支持、及び軸方向安定化又は軸方向安定化が、それぞれ、ロータ3の支承又は安定化を意味し、これを用いて、一方で、軸方向Aを基準としたロータ3の位置が安定化させられ、これを用いて、他方で、傾斜に対してロータ3が安定化させられる。このような傾斜は2自由度を表し、偏向を意味しており、ここでは、ロータ3の瞬間的な回転軸が軸方向Aの方を正確に指していないが、所望の回転軸に対してゼロではない角度で囲んでいる。傾斜の場合、磁気中心面Cがラジアル面内に存在せず、またラジアル面に平行でもないが、磁気中心面Cがラジアル面に対してゼロではない角度で囲んでいる。
【0065】
既に言及したように、ベアリングレス・モータの原理に従って、ロータ3の磁気有効コア31がステータ2のステータ棒21と相互作用する。ロータ3の回転がこの相互作用によって駆動される。さらに、この相互作用によりロータ3の能動的な磁気的な径方向の空中浮揚が実現され、ロータ3が傾斜に対して受動的に磁気的に安定化させられる。
【0066】
ロータ3の受動的な磁気浮揚に関しては、好適には、ロータ3の磁気有効コア31の内径が軸方向Aにおける磁気有効コア31の高さHRの少なくとも1.3倍となるように、寸法決定される。
図4では、IRがロータ3のリング形状の磁気有効コア31の内半径を意味する。したがって、2×IR≧1.3×HRという条件を満たさなければならず、つまり、内径が高さHRより大きくなければならず、つまり少なくとも1.3倍大きくなければならない。
【0067】
ロータの受動的な空中浮揚に関しての別の有利な処置は、ステータ2の外径SD(
図4)を軸方向Aにおけるステータ棒21の高さSHの少なくとも2.6倍の大きさにするように、ステータ棒21を寸法決定することである。ステータ2の外径SDは径方向におけるステータ棒21の延在量によって与えられる。したがって、条件SD≧2.6×SHを満たすことが有利であり、つまりステータ2の外径SDがステータ棒21の高さSHより大きく、つまりステータ棒21の高さSHの少なくとも2.6倍大きくなければならない。
【0068】
図3及び
図4の図によると、ステータ棒21の高さSHがロータ3の磁気有効コア31の高さHRに等しい。これは考えられる1つの設計であるが、決して必須ではない。考えられる設計は他にも存在し、ここでは、ステータ棒21の高さSHがロータ3の磁気有効コア31の高さHRより小さいか又は大きい。
【0069】
上述したロータ3の磁気有効コア31及びステータ2の設計は好適な設計であるが、単に一実例であると理解されたい。
【0070】
ロータの磁気有効コア31は他の形態の磁化も有することができる。磁気有効コア31は、駆動トルクに寄与するような又は支承力の発生に寄与するような永久磁石を一切有さないようにも設計され得る。したがって、磁気有効コア31は、例えばリラクタンス・ロータとして設計されるような、純粋な強磁性体であってもよい。
【0071】
ステータ2に関してはそれ自体既知である多数の設計が存在する。例えば、ステータ内に永久磁石又は複数の永久磁石が設けられてよく、又はステータ2がテンプル・モータのステータとして設計されてもよく、ここではL形のステータ棒が用いられ、ここでは、L形の長い方の脚部の各々が軸方向Aに延在し、ロータの磁気有効コアがL形の径方向外側に方向付けられる短い方の脚部の周りに配置される。さらに、コイルがこれらの長い方の脚部の周りに配置され、つまり、ロータの磁気有効コアの磁気中心面の下方に配置される。
【0072】
ベアリングレス・モータの原理に従って動作させられる電磁ロータリー駆動装置の管理又は制御、さらには例えば位置センサ及び/又は角度センサなどの、このために必要なセンサは、当業者にはよく知られていることから、さらなる説明は必要ない。
【0073】
具体的には傾斜に対しての、ロータ3の受動的な磁気安定化を有意に改善するために、本発明に従って追加のベアリング・ステータ7が設けられ、この追加のベアリング・ステータ7がロータ3の磁気有効ベアリング・リング34と相互作用する。これは第1の実施例を参照して後でより詳細に説明される。
【0074】
ロータ3が、ロータ3の磁気有効コア31の外側に配置されてロータ3の磁気有効コア31から離間されるように構成される磁気有効ベアリング・リング34を備える。ベアリング・リング34が内半径LRを有する永久磁石リングとして設計され、このリングが、軸方向Aにおいて上方に示されるように(
図3及び
図4)、軸方向Aに磁化される。ベアリング・リング34の磁化が参照符号を有さない矢印(ベアリング・リング34内にある)によって示される。ベアリング・リング34は、一部片の永久磁石リングとして設計され得るか、又はセグメント化される永久磁石リングとして設計され得、つまり、一体にベアリング・リング34を形成する複数のリング・セグメント形状の永久磁石から構成される永久磁石リングとして設計され得る(
図15及び
図16も参照されたい)。第1の実施例では、ベアリング・リング34がロータ3の磁気有効コア31の磁気中心面内に配置され、つまり、軸方向Aに対して垂直に延在するベアリング・リング34の幾何学的中心面LMがロータ3の磁気有効コア31の磁気中心面C内にある。リング形状の磁気有効コア31及びベアリング・リング34が同心に配置され、つまりリング形状の磁気有効コア31及びベアリング・リング34が共通の中心を有する。軸方向Aに関して、ベアリング・リング34が磁気有効コア31に対して中心に配置される。
【0075】
軸方向Aでは、ベアリング・リング34が、磁気有効コア31の高さHRより好適には小さい高さHLを有する。しかし、ベアリング・リング34の高さHLが磁気有効コア31の高さHRと等しいか又は磁気有効コア31の高さHRより大きいような設計も可能である。
【0076】
ベアリング・リング34及び磁気有効コア31が環状ディスク形状の接続要素35を介して互いに接続され、この環状ディスク形状の接続要素35が径方向において磁気有効コア31とベアリング・リング34との間に配置される。接続要素35が、径方向において、磁気有効コア31のリフラックス・リング312からベアリング・リング34まで延在する。この目的のため、接続要素35がベアリング・リング34の内半径LRと等しい外半径を有する。
【0077】
接続要素35が低透過材料から構成され、つまり、低透磁率(磁気伝導性(magnetic conductivity))しか有さない材料から構成され、その結果、磁気有効コア31よび磁気有効ベアリング・リング34が互いから磁気的に切り離される。これは、接続要素35を通って少なくとも有意な磁束がベアリング34と磁気有効コア31との間を流れることができないことを意味する。
【0078】
例えば、この低透過材料は、プラスチック、例えばアルミニウム若しくはステンレス鋼などの常磁性金属、又は反磁性金属、或はこれらの材料の組み合わせ、であってよい。本用途の枠組みでは、一般的に当てはまるように、これらの材料は、1(真空の透過性数)からわずかにずれるか又は1からまったくずれない透過性数(比透磁率)の低透過性を有する。いずれの場合も、低透過性材料が1.1未満である透過性数を有する。接続要素35を作っている低透過性材料が磁束のためのフロー・バリアを形成する。その理由は、低透過性材料は、例えば、リフラックス・リング312を作っている強磁性材料を比較して、非常に低い磁気伝導性を有するからである。
【0079】
さらには可能性として磁気有効コア31をベアリング・リング34から磁気的に切り離すために、径方向における磁気有効コア31とベアリング・リング34との間の距離が可能な限り大きいことが有利である。有利には、ベアリング・リング34が、ベアリング・リング34の内半径LRを、リング形状の磁気有効コア31の外半径より、少なくとも1.1倍、好適には少なくとも1.3倍、特に好適には少なくとも1.6倍大きくするように、寸法決定される。
【0080】
本発明を理解するのに十分であることから、例えば
図3及び
図4などの、図面には、磁気有効コア31、接続要素35、及びロータ3のベアリング・リング34のみが示される。当然、ロータ3が、例えば、好適にはプラスチックで作られるジャケット若しくはカプセル容器、流体を混合、撹拌、若しくは圧送するための羽根(例えば、
図28を参照)、又は回転するボディのためのホルダ(例えば、
図23を参照)、或は他の構成要素などの構成要素をさらに備えることができることが理解されよう。
【0081】
追加のベアリング・ステータ7が、ロータ3のベアリング・リング34と相互作用するように設計及び構成される磁気有効ステータ・リング71を備える。ステータ・リング71は動かないように配置され、つまり、ステータ・リング71は回転しない。第1の実施例では、ステータ・リング71がロータ3のベアリング・リング34の径方向外側に配置されロータ3のベアリング・リング34から離間されるように構成され、ここではステータ・リング71がベアリング・リング34を囲む。ステータ・リング71が内半径SRを有する永久磁石リングとして設計され、ここでは、リング71が、軸方向Aにおいて下方に示されるように(
図3及び
図4)、軸方向Aに磁化される。ステータ・リング71の磁化が参照符号を有さない(ステータ・リング71内にある)矢印によって示される。したがって、ベアリング・リング34及びステータ・リング71の各々が軸方向Aに磁化され、それによりステータ・リング71の磁化がベアリング・リング34の磁化の反対方向に方向付けられる。
【0082】
ステータ・リング71は、一部片の永久磁石リングとして設計され得るか、又はセグメント化される永久磁石リングとして設計され得、つまり、一体にステータ・リング71を形成する複数のリング・セグメント形状の永久磁石から構成される永久磁石リングとして設計され得る(
図15及び16も参照されたい)。第1の実施例では、ステータ・リング71がロータ3の磁気有効コア31の磁気中心面C内に配置され、つまり、軸方向Aに対して垂直に延在するステータ・リング71の幾何学的中心面SMがロータ3の磁気有効コア31の磁気中心面C内にある。ベアリング・リング34及びステータ・リング71が同心に配置され、つまりベアリング・リング34及びステータ・リング71が共通の中心を有する。軸方向Aに関して、ステータ・リング71が、ベアリング・リング34に対して中心に配置される。
【0083】
したがって、第1の実施例では、リング形状の磁気有効コア31、ベアリング・リング34、及びステータ・リング71が磁気中心面C内で同心に配置され、磁気有効コア31の内半径IRがベアリング・リング34の内半径LRより小さく、ベアリング・リング34の内半径IRがステータ・リングの内半径SRより小さい。
【0084】
ステータ・リング71の内半径SRは、クリアランスを可能な限り小さくしてステータ・リング71によりベアリング・リング34を囲むように、寸法決定され、その結果、ベアリング・リング34とステータ・リング71と間の磁気的空隙が径方向において可能な限り小さくなる。一方で、ベアリング・リング34はステータ・リング71内で自由に回転することが可能でなければならず、他方で、ベアリング・リング34とステータ・リング71との間の隙間によって生じる磁気抵抗が、ベアリング・リング34とステータ・リング71との間の磁束の効率的な磁束案内を可能にすることを目的として可能な限り小さいものでなければならない。径方向におけるベアリング・リング34とステータ・リング71との間の隙間の幅が最大で数ミリメートルであるか、或はわずか1ミリメートルであるか又はそれ以下である。
【0085】
軸方向Aにおいて、ステータ・リング71が、ベアリング・リング34の高さHLと好適には同じである高さHSを有する。しかし、ステータ・リング71の高さHSがベアリング・リング34の高さHLより小さいか又はベアリング・リング34の高さHLより大きいような設計も可能である。
【0086】
必須ではないが、好適には、磁気有効コア31、ベアリング・リング34、及びステータ・リング71の各々が、それらの円周方向に対して垂直である長方形断面の表面を有する。
【0087】
追加のベアリング・ステータ7が、動かないステータ・リング71を支持するための支持ボディ72をさらに備える。支持ボディ72が、ステータ2と追加のベアリング・ステータ7の磁気有効ステータ・リング71との間に機械的に安定する接続部分を形成する。
【0088】
支持ボディ72が、示されるように(
図3及び
図4)、ステータ2から径方向外側に延在するディスク形状の径方向部分721と、径方向部分721の径方向外側に配置される縁部から軸方向Aの上方に延在するリング形状の軸方向部分722とを備える。ステータ・リング71が軸方向部分722上に取り付けられる。ディスク形状の径方向部分721が、その径方向内側に配置される縁部のところにおいて、リング形状の接続部片723を有し、このリング形状の接続部片723を用いて支持ボディ72がステータ2に固定される。この目的のため、接続部片723が、例えば、ステータ2のリング形状のリフラックス22に取り付けられ得るか、又はステータ2のステータ・ハウジング(図示せず)にも取り付けられ得る。
【0089】
図3及び
図4に示されるように、支持ボディ72がコイル61の下方で径方向外側に延在してロータ3のベアリング・リング34を越えて、さらに軸方向Aの上方に延在し、その結果、支持ボディ72上で固定されるステータ・リング71がベアリング・リング34に対向するか又はベアリング・リング34を囲む。ステータ・リング71が支持ボディ72によりステータ2に接続され、ステータ2に対して固定される。好適には、支持ボディ72が一部片として設計され、つまり、接続部片723、径方向部分721、及び軸方向部分722が構造的ユニットとして一部品で設計される。
【0090】
ステータ2から、また具体的にはリフラックス22及びステータ棒21から、ステータ・リング71を磁気的に切り離すことを目的として、支持ボディ72が、接続要素35のところで説明した手法に類似する同様の手法で、低透過性材料から構成され、つまり、低透磁率(磁気伝導性)しか有さない材料から構成される。例えば、低透過性材料は、プラスチック、例えばアルミニウム若しくはステンレス鋼などの常磁性金属、又は反磁性金属、或はこれらの材料の組み合わせ、であってよい。
【0091】
電磁ロータリー駆動装置1の動作状態では、ロータ3の追加的な受動的な磁気的軸方向空中浮揚及び追加的な受動的な磁気的軸方向安定化が、ベアリング・リング34とステータ・リング71との相互作用によって実現される。こうすることで、具体的には傾斜に対してのロータ3の安定化が有意に向上し、例えば少なくとも20倍向上する。このような具体的には耐傾斜性(tilt stiffness)が向上することは、ロータ3の全体の受動的な磁気的軸方向空中浮揚が傾斜を引き起こすようなトルクを吸収又は補償することができることを意味し、これは、ベアリング・リング34及びステータ・リング71を有さない同様の実施例と比較して少なくとも20倍大きい。この点に関して、ロータ3の径方向支承に対しての追加的な磁気的軸方向空中浮揚(ベアリング・リング34及びステータ・リング71)の影響が能動的な径方向支承によって補償され得ることが特に有利であり、能動的な径方向支承がステータ棒21に対してロータ3の磁気有効コア31の相互作用によって実現される。
【0092】
したがって、磁気ロータリー駆動装置1が、低透過性の接続要素35及び低透過性の支持ボディ72により互いから分離されるか又は磁気的に切り離される2つの磁気回路を備える。ベアリングレス・モータの原理に従って磁気有効コア31がステータ棒21と磁気的に相互作用し、ロータ3のベアリング・リング34がステータ・リング71と磁気的に相互作用し、それにより追加の受動的な磁気的軸方向安定化又は軸方向支承が実現される。
【0093】
図5が
図3に対応する図で第1の実施例の変形形態の斜視断面図を示す。より良好に理解することができるように、
図6が、この変形形態を通る軸方向の概略断面図をさらに示す。
【0094】
図5及び
図6に示される変形形態では、ロータ3のベアリング・リング34が、軸方向Aにおいて、ロータ3の磁気有効コア31の磁気中心面Cからゼロではない距離Dのところに配置される。これは、ベアリング・リング34の幾何学的中心面LMを磁気中心面Cに置かないがベアリング・リング34の幾何学的中心面LMを距離Dで磁気中心面Cと平行に配置するように、ベアリング・リング34が構成される、ことを意味する。図(
図5、
図6)によると、ベアリング・リング34がリング形状の磁気有効コア31の上方に配置される。もちろん、示されるのと(
図5、
図6)類似する同様の手法でベアリング・リング34が磁気有効コア31の下方に配置されもよいことを理解されたい。
【0095】
この変形形態では、2つのリング、つまり磁気有効コア31及びベアリング・リング34が、したがって、同心には配置されず、軸方向Aにおいて距離Dだけ互いからオフセットされる。この点に関して、ベアリング・リング34及び磁気有効コア31の中心が同じ軸上にあり、つまりロータ3の回転軸上にあるが、軸方向において互いから離間される。したがって、ベアリング・リング34が径方向において磁気有効コア31に対して中心に配置され、軸方向において磁気有効コア31から距離Dだけ離間される。
【0096】
接続要素35がベアリング・リング34と磁気有効コア31との間に配置され、ベアリング・リング34を磁気有効コア31に接続する。接続要素35が、任選選択で、
図4及び
図5に示されるように、磁気有効コア31と重なり合ってよい。これは、磁気有効コア31の径方向内側に配置される縁部まで接続要素35が径方向に延在することを意味する。
【0097】
追加のベアリング・ステータ7のステータ・リング71がベアリング・リング34と同心に配置され、その結果、ステータ・リング71の幾何学的中心面SMがベアリング・リング34の幾何学的中心面LM内に配置される。その結果、また、ステータ・リング71が軸方向Aにおいて磁気中心面Cから距離Dのところに配置される。ステータ・リング71がベアリング・リング34を囲み、その結果、ステータ・リング71及びベアリング・リング34が径方向において互いに位置合わせされる。
【0098】
傾斜に対しての追加的な安定化に対しての、追加的な軸方向支承(ベアリング・リング34及びステータ・リング71)の不安定化の影響を実際的な使用に適する値に制限することを目的として、ベアリング・リング34またより正確にはベアリング・リング34の幾何学的中心面LMと磁気中心面Cとの間の距離Dを、ベアリング・リング34の内半径LRの最大4分の1、また特に好適には最大5分の1にする、ような実施例が好適である。好適には、D≦LR/4という幾何学的条件が満たされ、また特に好適にはD≦LR/5という幾何学的条件が満たされる。
【0099】
図7が、
図3の図に対応する図として、本発明によるロータリー駆動装置の第2の実施例の斜視断面図を示す。より良好に理解することができるように、
図8がさらに、この第2の実施例を通る軸方向Aの断面の概略図を示す。以下では、第1の実施例との違いにのみ注目する。第2の実施例での、同様の機能の等しい部品は第1の実施例及びその変形形態と同じ参照符号で示される。具体的には、参照符号は実施例に関連して既に説明したものと同じ意味を有する。第1の実施例及びその変形形態のすべての上記の説明は同様の形で又は類似の形で第2の実施例にも適用されることを理解されたい。
【0100】
第2の実施例は、追加のベアリング・ステータ7のステータ・リング71が軸方向Aにおいてロータ3のベアリング・リング34から離間されて配置されるという点が、第1の実施例から異なる。これは、ステータ・リング71の幾何学的中心面SMをベアリング・リング34の幾何学的中心面LMの中に配置しないが、ステータ・リング71の幾何学的中心面SMをゼロではない距離Eでベアリング・リング34の幾何学的中心面LMに平行に配置するように、ステータ・リング71が構成される、ことを意味する。図(
図7、
図8)によると、ステータ・リング71がベアリング・リング34の下方に配置される。図において(
図7、
図8)、類似する同様の手法でステータ・リング71がベアリング・リング34の上方に配置されてもよいことを理解されたい。
【0101】
ステータ・リング71及びベアリング・リング34が同心には配置されず、軸方向Aにおいて距離Eだけ互いからオフセットされる。この点に関して、ベアリング・リング34及びステータ・リング71の中心が同じ軸上にあり、つまりロータ3の回転軸上にあるが、軸方向において互いから離間される。特に好適には、ステータ・リング71が内半径SRを有し、内半径SRがベアリング・リング34の内半径LRと等しいサイズである。ベアリング・リング34及びステータ・リング71が軸方向Aにおいて互いに位置合わせされて配置され、その結果、ベアリング・リング34及びステータ・リング71が軸方向Aにおいて互いに対向し、つまり一方がもう一方の上に配置される。
【0102】
図7及び
図8に示される実施例では、ベアリング・リング34が磁気中心面C内に配置され、つまり磁気有効コア31と同心である。この構成では、ステータ・リング71が軸方向Aにおいて磁気中心面Cからゼロではない距離Eのところに配置され、つまり、ステータ・リング71の幾何学的中心面SMが磁気中心面Cと平行に配置され、磁気中心面Cから距離Eを有する。
【0103】
図7及び
図8に示される実施例のステータ・リング71はベアリング・リング34の下方に配置されることから、軸方向部分722が任意選択で支持ボディ72上では排除されてもよい。
【0104】
図9が、
図7に対応する図として、第2の実施例の変形形態の斜視断面図を示す。より良好に理解することができるように、
図10がさらに、この変形形態を通る軸方向の概略断面図を示す。
【0105】
図9及び
図10に示される第2の実施例の変形形態では、ロータ3のベアリング・リング34が、軸方向Aにおいて、ロータ3の磁気有効コア31の磁気中心面Cからゼロではない距離Dのところに配置される。これは、ベアリング・リング34の幾何学的中心面LMを磁気中心面Cの中に配置しないが、ベアリング・リング34の幾何学的中心面LMを磁気中心面Cに対して距離Dで平行に配置するように、ベアリング・リング34が構成される、ことを意味する。図(
図9、
図10)によると、ベアリング・リング34がリング形状の磁気有効コア31の下方に配置される。例えば
図5及び
図6に関連して説明したものと類似的に対応するように、もちろん、示されるのと(
図9、
図10)類似する同様の手法でベアリング・リング34が磁気有効コア31の上方に配置されてもよいことを理解されたい。
【0106】
この変形形態では、2つのリング、つまり磁気有効コア31及びベアリング・リング34が、したがって、同心には配置されず、軸方向Aにおいて距離Dだけ互いからオフセットされる。この点に関して、ベアリング・リング34及び磁気有効コア31の中心が同じ軸上にあり、つまりロータ3の回転軸上にあるが、軸方向において互いから離間される。したがって、ベアリング・リング34が径方向において磁気有効コア31に対して中心に配置され、軸方向において磁気有効コア31から距離Dだけ離間される。
【0107】
軸方向Aにおいてベアリング・リング34の下方に配置される追加のベアリング・ステータ7のステータ・リング71が、この変形形態では、磁気中心面Cから距離D+Eを有する。3つのリング、つまり、磁気有効コア31、ベアリング・リング34、及びステータ・リング71の各々が、軸方向Aに関して多様な位置に配置されて互いに平行に配置される。これらの中心のすべてが同じ軸上に配置され、つまりロータ3の回転軸上に配置される(ステータの中心に配置されてステータに対して傾斜していない場合)。ステータ・リング71の幾何学的中心面SMが距離Eでベアリング・リング34の幾何学的中心面LMの下方にあり、この幾何学的中心面LMが距離Dで磁気中心面Cの下方にある。
【0108】
傾斜に対しての追加的な安定化に対しての、追加的な軸方向支承(ベアリング・リング34及びステータ・リング71)の不安定化の影響を実際的な使用に適する値に制限することを目的として、ベアリング・リング34またより正確にはベアリング・リング34の幾何学的中心面LMと磁気中心面Cとの間の距離Dを、ベアリング・リング34の内半径LRの最大4分の1、また特に好適には最大5分の1にする、ような実施例が好適である。したがって、好適には、D≦LR/4という幾何学的条件が満たされ、また特に好適にはD≦LR/5という幾何学的条件が満たされる。
【0109】
図9及び
図10に示される変形形態のための任意選択の設計として、ステータ・リング71が径方向外側に配置されて支持ボディ72の径方向部分721の径方向外側境界面に取り付けられる。
【0110】
第1の実施例及びその変形形態に関連させて説明した処置及び設計が、第2の実施例及びその変形形態に関連させて説明した処置及び設計に類似する形で組み合わされ得ることを理解されたい。
【0111】
以下では、接続要素35の設計のための及び/又は支持ボディ72の設計のための変形形態を
図11~
図14を参照して説明する。これらの変形形態が、第1の実施例及びその変形形態と、第2の実施例及びその変形形態と、の両方で使用され得ることを理解されたい。
【0112】
図11が、接続要素35の設計のための及び/又は支持ボディ72の設計のための第1の変形形態を斜視図で示している。
図12が、軸方向Aの断面として、この第1の変形形態を斜視断面図で示している。
【0113】
この第1の変形形態では、径方向において磁気有効コア31とロータ3のベアリング・リング34との間に配置される接続要素35が中実ディスクとして設計されず、複数の凹部351を有し、これらの複数の凹部351の各々が軸方向Aにおいて接続要素35を完全に通過するように延在する。例示的なかたちで、ここでは、8つの実質的に等しい凹部351が設けられる。凹部351が接続要素35の円周方向において等距離に配置される。各凹部351がリング・セグメントの形状を有し、すべてのリング・セグメントの共通の中心がディスク形状の接続要素35の幾何学的中心に一致する。
【0114】
接続要素35の所要材料及びひいてはその重量が凹部351によって低減され得る。凹部351が、接続要素35の間にある材料でもベアリング・リング34を磁気有効コア31に取り付けるための十分に安定した機械的な接続部分を形成するように、設計、寸法決定、及び構成される。
【0115】
同様の手法で、支持ボディ72、またより正確には支持ボディ72の径方向部分721が複数の第2の凹部724を装備し、複数の第2の凹部724の各々が軸方向Aにおいて接続要素35の径方向部分721を完全に通過するように延在する。例示的なかたちで、ここでは、8つの実質的に等しい第2の凹部724が設けられる。第2の凹部724が径方向部分721の円周方向において等距離に配置される。各第2の凹部724がリング・セグメントの形状を有し、すべてのリング・セグメントの共通の中心が支持ボディ72のディスク形状の径方向部分721の幾何学的中心に一致する。
【0116】
支持ボディ72の所要材料及びひいてはその重量が第2の凹部724によって低減され得る。第2の凹部724が、径方向部分721の間にある材料でもステータ・リング71をステータ2に取り付けるための十分に安定した機械的な接続部分を形成するように、設計、寸法決定、及び構成される。
【0117】
もちろん、凹部351のみが接続要素35内に設けられるような、又は第2の凹部724のみが支持ボディ72内に設けられるような、実施例も可能である。
【0118】
図13が、接続要素35の設計のための及び/又は支持ボディ72の設計のための第2の変形形態を斜視図で示している。
図14が、軸方向Aの断面として、この第2の変形形態を斜視断面図で示している。
【0119】
この第2の変形形態では、接続要素35が複数のスポーク352を有し、これらの複数のスポーク352の各々が、ロータ3の磁気有効コア31(又は、任意選択で、図示されない、磁気有効コア31のジャケット)と、ロータ3のベアリング・リング34(又は、任意選択で、図示されない、ベアリング・リング34のジャケット)との間を径方向に延在する。各スポーク352が磁気有効コア31をベアリング・リング34に接続する。
【0120】
例示的なかたちで、ここでは、8つの実質的に等しいスポーク352が設けられる。スポーク352が接続要素35の円周方向において等距離に配置される。スポーク352が、ベアリング・リング34を磁気有効コア31に対して取り付けるのに十分に安定する機械的な接続部分を形成するように、設計、寸法決定、及び構成される。
【0121】
同様の手法で、支持ボディ72、またより正確には支持ボディ72の径方向部分721が複数の第2のスポーク725を装備し、複数の第2のスポーク725の各々が、径方向において、ステータ2(又は、任意選択的で、図示されない、ステータ・ハウジング)と支持ボディ72のリング形状の軸方向部分722との間を延在する。各第2のスポーク725が、ステータ2(又は、図示されない、ステータ・ハウジング)を、支持ボディ72の軸方向部分722に接続する。
【0122】
例示的なかたちで、ここでは、8つの実質的に等しい第2のスポーク725が設けられる。第2のスポーク725が支持ボディ72の円周方向において等距離に配置される。第2のスポーク725が、ステータ・リング71をステータ2に取り付けるのに十分に安定する機械的な接続部分を形成するように、設計、寸法決定、又は構成される。
【0123】
もちろん、スポーク352のみが接続要素35内に設けられるような、又は第2のスポーク725のみが支持ボディ72内に設けられるような、実施例も可能である。
【0124】
図15及び
図16では、ベアリング・リング34の設計のための及び/又はステータ・リング71の設計のための変形形態が説明される。この変形形態が、第1の実施例及びその変形形態と、第2の実施例及びその変形形態と、の両方で使用され得ることを理解されたい。
【0125】
この変形形態によると、ベアリング・リング34及びステータ・リング71の各々がセグメント化されるように設計される。
図15がロータリー駆動装置1の実施例の実例を使用するこの変形形態を斜視図で示しており、これはそれ以外の部分が
図3に示される実施例に対応する。より良好に理解することができるように、
図16がさらに、
図15からこの変形形態を斜視断面図で示す。
【0126】
ベアリング・リング34及びステータ・リング71の各々が永久磁石材料から構成され、各々が複数の永久磁石341又は711を有するようにセグメント化されるように設計される。
【0127】
ベアリング・リング34の永久磁石341の各々が、各々の事例で、リング・セグメントとして設計される。すべての永久磁石341が同じ方向に磁化され、ここでは軸方向Aの上方に磁化される。これが、
図16で、ベアリング・リング34内の参照符号を有さない矢印によって示され、これが磁化の方向を示している。例示的なかたちで、ベアリング・リング34が24個の等しい個別の永久磁石341から構成され、24個の等しい個別の永久磁石341の各々がリング・セグメントの形態で設計される。永久磁石341が円周方向に配置され、ここでは、2つの隣接する永久磁石341の各々が互いに直接に接触し、その結果、永久磁石341のすべてが互いを補完して永久磁石ベアリング・リング34を形成する。
【0128】
ステータ・リング71の永久磁石711の各々がリング・セグメントとして設計される。すべての永久磁石711が同じ方向に磁化され、ここでは軸方向Aの下方に磁化される。これが、
図16で、ステータ・リング71内の参照符号を有さない矢印によって示され、これが磁化方向を示している。例示的なかたちで、ステータ・リング71が24個の等しい個別の永久磁石711から構成され、24個の等しい個別の永久磁石711の各々がリング・セグメントの形態で設計される。永久磁石711が円周方向に配置され、ここでは、2つの隣接する永久磁石711の各々が互いに直接に接触し、その結果、永久磁石711のすべてが互いを補完して永久磁石ステータ・リング71を形成する。
【0129】
ベアリング・リング34又はステータ・リング71のセグメント化される設計が好適である。その理由は、製造を容易にすることが可能であるからである。しかし、もちろん、ベアリング・リング34及び/又はステータ・リング71を一部片のリングとして設計することも可能である。
【0130】
ベアリング・リング34及び/又はステータ・リング71が永久磁石として設計される場合、それぞれのリング34又は71の全体が永久磁石材料から構成される必要がなく、永久磁石のみを有する必要もない。永久磁石ベアリング・リング34及び/又は永久磁石ステータ・リング71の各々が複数の永久磁石を備え、それらの永久磁石の間に強磁性の接続部片が配置されるような、実施例も可能である。それぞれのリング34又は71のセグメント化される設計では、強磁性のリング・セグメントにより互いに接続される複数の永久磁石リング・セグメントが提供され得る。
【0131】
すでに言及したように、必須ではないが、好適には、ベアリング・リング34及びステータ・リング71の各々が永久磁石リングとして設計される。ベアリング・リング34のみ又はステータ・リング71のみが永久磁石として設計されるような実施例も可能である。ベアリング・リング34のみが永久磁石である場合、ステータ・リング71が強磁性となるように設計され、例えば、鉄のリングとして設計されるか、又は別の強磁性材料で作られるリングとして設計される。ステータ・リング71のみが永久磁石である場合、ベアリング・リング34が強磁性となるように設計され、例えば、鉄のリングとして設計されるか、又は別の強磁性材料で作られるリングとして設計される。
【0132】
ベアリング・リング34又はステータ・リング74が強磁性となるように設計される場合、このリング34又は71が一部片のリングとして設計され得るか、又は上述したものと類似の同様の手法でセグメント化されるリングとして設計され得る。
【0133】
ベアリング・リング34及びステータ・リング71の両方の各々が永久磁石として設計されるような好適な実施例の場合、ステータ・リング71又はベアリング・リング34の同様の形態の磁化が
図3~
図16に常に示されており、つまりベアリング34及びステータ・リング71の各々が軸方向Aに磁化され、ステータ・リング71の磁化(図によると、下向き)が、ベアリング・リング34の磁化(図によると、上向き)と反対に方向付けられる。この好適な実施例に加えて、ステータ・リング71及びベアリング・リング34の磁化に関して他の好適な実施例も存在する。以下では、
図17~
図21を参照して、ベアリング・リング34及びステータ・リング71の磁化のための多様な変形形態を説明する。これらの変形形態が、第1の実施例及びその変形形態と、第2の実施例及びその変形形態と、の両方で使用され得ることを理解されたい。
【0134】
図17~
図21の各々が、ロータリー駆動装置1の実施例の概略断面図を示す。
図17~
図21の各々で、ベアリング・リング34の中の参照符号を有さない矢印がベアリング・リング34の磁化の方向を示しており、ステータ・リング71の中の参照符号を有さない矢印がステータ・リング71の磁化の方向を示す。
【0135】
第1の実施例を参照すると、
図17が変形形態を示しており、ここでは、ステータ・リング71及びベアリング・リング34の各々が径方向に磁化され、ステータ・リング71の磁化及びベアリング・リング34の磁化が同じ方向に方向付けられ、つまり各々の事例において径方向外側に方向付けられる。
【0136】
第1の実施例を参照すると、
図18が変形形態を示しており、ここでは、ステータ・リング71が径方向に磁化され、ベアリング・リング34が軸方向Aに磁化される。ステータ・リング71の磁化が径方向外側に方向付けられ、ベアリング・リング34の磁化が軸方向Aの上方に方向付けられる。
【0137】
第1の実施例を参照すると、
図19が変形形態を示しており、ここでは、ステータ・リング71が軸方向Aに磁化され、ベアリング・リング34が径方向に磁化される。ステータ・リング71の磁化が軸方向Aの下方に方向付けられ、ベアリング・リング34の磁化が径方向外側に方向付けられる。
【0138】
第2の実施例を参照すると、
図20が変形形態を示しており、ここでは、ステータ・リング71及びベアリング・リング34の各々が軸方向に磁化され、ステータ・リング71の磁化及びベアリング・リング34の磁化が反対に方向付けられる。ステータ・リング71の磁化が軸方向Aの下方に方向付けられ、ベアリング・リング34の磁化が軸方向Aの上方に方向付けられる。
【0139】
第2の実施例を参照すると、
図21が変形形態を示しており、ここでは、ステータ・リング71及びベアリング・リング34の各々が径方向に磁化され、ステータ・リング71の磁化及びベアリング・リング34の磁化が同じ方向に方向付けられ、つまり各々の事例の径方向外側に方向付けられる。
【0140】
ディスク形状のボディの表面を処理するための回転デバイスが本発明によりさらに提案され、この回転デバイスを用いて処理のためにボディが回転可能であり、この回転デバイスが本発明に従って設計される電磁ロータリー駆動装置1を備えることを特徴とし、ここでは、ロータ3がディスク形状のボディのためのホルダを備える。
【0141】
図22が、ディスク形状の表面を処理するための回転デバイスの実施例を斜視図で示している。回転デバイスが全体として参照符号100で示され、ディスク形状のボディが参照符号110を有する。より良好に理解することができるように、
図23がさらに、軸方向Aの断面において、回転デバイス100の斜視断面図を示しており、
図24が、軸方向Aに沿う断面において、回転デバイス100の概略断面図を示している。
【0142】
以下では、実施において重要であるような、半導体産業からの用途の事例に対して例示的なかたちで参照すると、処理されるべきボディ110が電子構成要素の製造のためのウエハー110であり、つまり薄いディスク形状のボディである。回転デバイス100が、例えば、制御される手法で表面111に対して懸濁液などの流体を適用することなどを目的として、ウエハー110の表面111を処理するのに使用され得る。例としては、ここでは、スラリーによる化学的機械研磨プロセス(CMP)、ウエハー110の洗浄及び/又はエッチング、溶媒を用いてのフォトレジストへの適用又はフォトレジストの除去、が挙げられる。ウエハー110に対して流体を適用するこれらの湿潤プロセスに加えて、回転デバイス100は乾燥プロセスにも適する。ウエハー110を回転させるこのような乾燥プロセスの例には:プラズマ・エッチング、急熱プロセス(RTP)、原子層堆積(ALD)、化学蒸着(CVD)、又は物理蒸着(PVD)、がある。
【0143】
このようなプロセスでは、通常、ウエハー110がプロセス・チャンバ20内で高速回転するように設定され、次いで処理のためにそれぞれの流体を適用されるか、或は例えばプラズマなどのそれぞれの放射線を適用されるか又は基板が分離される。本発明による回転デバイス100はプロセス・チャンバ20を空にしなければならないようなプロセスに特に適し、さらに特には高真空で実行されるプロセスに適する。
【0144】
通常、これらのすべてのプロセスで、ステータ2及び追加のベアリング・ステータ7がプロセス・チャンバ20の外側に配置され、対してロータ3がプロセス・チャンバ20の内側に配置される。
【0145】
図22~
図24に示される実施例では、回転デバイス100が、ここでは第1の実施例(
図3)に従って設計される電磁ロータリー駆動装置1を備える。加えて、プロセス・チャンバ20が提供され、このプロセス・チャンバ壁の領域のみが
図22~
図27に示されており、このプロセス・チャンバ壁がロータ3からステータ2を分離する。プロセス・チャンバ20の全体が、ウエハー110を備えるロータ3をロック可能なプロセス・チャンバ20の完全に内側に配置するように、設計されることを理解されたい。ステータ2及び追加のベアリング・ステータ7がプロセス・チャンバ20の外側に配置される。
図23及び
図24で最も良好に見ることができるように、プロセス・チャンバ20が、一方においてロータ3の間を延在し、他方においてステータ2と追加のベアリング・ステータ7との間を延在する、ように設計され、つまり、ステータ2及び追加のベアリング・ステータ7がプロセス・チャンバ20の外側に配置され、対して、ウエハー110を備えるロータ3がプロセス・チャンバ20の内側に配置される。この目的のために、プロセス・チャンバ20が壁部分201(
図24)と、中央に配置される中空円筒部分202とを備え、中央に配置される中空円筒部分202がステータ2のリング形状のリフラックス22内に配置される。壁部分201が中空円筒部分202から径方向外側に延在し、最初にステータ2のコイル61の上方を延びて、次いで、磁気有効コア31と、接続要素35と、ベアリング・リング34とに沿ってロータ3の下方を延びて、次いで追加のベアリング・ステータ7のステータ・リング71の上方を延びる。
【0146】
この設計は、その中でウエハー110を処理するところのプロセス・チャンバ20の外側にステータ2及び追加のベアリング・ステータ7が配置され得、対してウエハー110を備えるロータ3がプロセス・チャンバ20の内側に配置され得る、という利点を有する。この点に関して、プロセス・チャンバ20の中空円筒部分202がプロセス・チャンバ20へのアクセス経路を提供し、例えば、このアクセス経路を通って流体がプロセス・チャンバ20から排出され得るか又はプロセス・チャンバ20の中に導入され得る。さらに、中空円筒部分202が、一般には、例えば、加熱器、又はプラズマ源又は放射線源、或はセンサなど、に接続される電気供給線又は信号線のための、プロセス・チャンバ20へのアクセス経路として使用され得る。また、中空円筒部分202が、プロセス・チャンバ20の中に冷却剤を供給したり又はプロセス・チャンバ20から冷却剤を排出したりするのにも使用され得る。
【0147】
ロータ3が、ロータ3上でウエハー110を保持又は固定するためのホルダ120を備える。ホルダ120が複数の支持アーム121を備え、複数の支持アーム121が円周方向で見てロータ3の上方に等距離に分布される。ここで説明される実施例では、8つの実質的に等しい支持アーム121が設けられる。各支持アーム121がロータ3の接続要素35上に配置され、接続要素35に固定され、その結果、各支持アーム121が耐トルク的(torque-proof manner)に接続要素35に接続され、ひいては耐トルク的にロータ3に接続される。また、すべての支持アーム121が接続要素35の一体部分であることも可能であり、つまり接続要素35がすべての支持アーム121と一体部片として設計されることも可能である。
【0148】
各支持アーム121が、各々の事例で、ロータ3のベアリング・リング34の上方で、接続要素35から径方向外側に延在する。各支持アーム121の径方向外側に配置される端部がウエハー110を受けるように設計される。この目的のため、各支持アーム121の径方向外側に配置される端部の各々が、ウエハー110のための、停止部又は凹部、或は多様な形で構成される保持機構を有し、その結果、支持アーム121のすべてにより、ウエハー110がロータ3上で保持され得るか又はロータ3上で固定され得る。支持アーム121の径方向外側に配置される端部は、ウエハー110の直径DKに一致する直径を有する円の上に配置される。
【0149】
ウエハー110又はその表面111を処理するために、ウエハー110がホルダ120の中に挿入されて次いでロータ3によって回転させられる。
【0150】
図22~
図24に示される回転デバイス100の実施例は、ステータ・リング71又はベアリング・リング34の外径より大きい直径DKを有する大きいウエハー110の処理に特に適する。
【0151】
図25が、
図22~
図24に示されるディスク形状のボディの表面111を処理するための、本発明による回転デバイス100の実施例の変形形態の斜視図を示す。より良好に理解することができるように、
図26がさらに、軸方向Aにおける断面で、この変形形態の斜視断面図を示しており、
図27が、軸方向Aに沿う断面で、この変形形態の概略断面図を示している。
【0152】
回転デバイス100のこの変形形態は、ウエハー110のためホルダ120の設計が異なっている。この変形形態は、ベアリング・リング34の内径より小さい外径DKを有するより小さいウエハー110のために設計されている。円周方向で見て接続要素上に等距離に配置される支持アーム121の各々が、ここでは、軸方向Aに延在する棒形状の支持アーム121として設計される。
【0153】
ディスク形状のボディ110の表面111を処理するための本発明による回転デバイス100がまた、第2の実施例(
図7)に従って設計される電磁ロータリー駆動装置1を用いるようにも設計され得ることを理解されたい。ここでは、したがって、ステータ・リング71が軸方向Aにおいてベアリング・リング34から離間されて配置され、具体的にはベアリング・リング34の下方に配置される。
【0154】
流体を運搬、混合、又は撹拌するための回転デバイスが本発明によりさらに提案され、この回転デバイスが本発明に従って設計される電磁ロータリー駆動装置1を備えることを特徴とし、ここでは、ロータリー駆動装置1のロータ3が回転デバイスのロータ3として設計される。
【0155】
図28が、混合デバイスとして設計される本発明による回転デバイスの実施例を斜視図で示している。混合デバイスが全体として参照符号200で示される。より良好に理解することができるように、
図29がさらに、軸方向Aの断面において、混合デバイス200の斜視断面図を示しており、
図30が、軸方向Aに沿う断面において、混合デバイス200の概略断面図を示している。
【0156】
図28~
図30に示される実施例では、混合デバイス200がここでは第2の実施例(
図7)に従って設計される電磁ロータリー駆動装置1を備え、ここでは、ステータ・リング71が軸方向Aにおいてベアリング・リング34から離間されて配置される。ステータ・リング71が、軸方向Aにおいてステータ・リング71及びベアリング・リング34を互いに位置合わせするような形で、示されるように(
図29、
図30)、ベアリング・リング34の下方に配置される。
【0157】
ロータ3が流体を混合又は撹拌するための複数の羽根210を備える。ここで説明される実施例では、合計で4つの羽根210が設けられ、ここではこの数字が例示の特徴である。すべての羽根210が接続要素35上に配置され、ロータ3の円周方向において等距離に配置される。各羽根210が径方向外側に延在し、耐トルク的に接続要素35に接続され、ひいては耐トルク的にロータ3に接続される。羽根210は離間される構成要素であってよく、接続要素35に固定される。もちろん、すべての羽根210が接続要素35の一体部分であることも可能であり、つまり、接続要素35がすべての羽根210と一体部片として設計されることも可能である。羽根210を備えるロータ3が混合デバイス200のインペラ・ホイール又はインペラを形成し、インペラ・ホイール又はインペラが流体に作用する。
【0158】
有利な態様ではロータ3がインテグラル・ロータとして設計される。その理由は、電磁ロータリー駆動装置1のロータ3及び混合デバイス200のロータ3の両方が、流体を運搬、混合、又は撹拌するのを可能にするのに用いられるからである。したがって、まとめると、ロータ3が1つで3つの機能を果たすことになる:電磁駆動装置のロータ、磁気浮揚のロータ、及び流体に作用するインペラ。インテグラル・ロータとしてのこの設計は、非常にコンパクトであり、空間を節約する設計である、という利点を提供する。
【0159】
混合デバイス200が、寸法的に安定する底部221を有する混合タンク220をさらに備える。
図28及び
図29では、混合タンク220の底部221のみが示されている。混合タンク220が、混合又は撹拌されることになる流体を受け取るように機能する。寸法的に安定する底部221に加えて、混合タンク220が別の壁223(
図30)を少なくとも備え、この別の壁223が混合タンク220を制限する。この壁223は
図28及び
図29で示されておらず、
図30に示されている。この点に関して、壁223は寸法的に安定する壁として設計され得、例えばプラスチックから構成される。しかし、壁223は可撓性の壁223としても設計され得、好適にはプラスチックで作られる。この可撓性の壁223は、寸法的に安定する底部221と共に、混合又は撹拌されることになる物質を受け取るための混合タンク220を形成し、ここでは、この混合タンク220が可撓性のバッグとして設計され、例えばプラスチック・バッグ又は合成物質のバッグであり、保管時に占有することになる空間を可能な限り小さくするために折り畳まれ得る。混合タンク220のこの設計は1回使用の用途に特に適し、ここでは、混合タンク220の中に配置されるロータ3を備える混合タング220が意図される通りに1回のみ使用され、別の用途のためには新しい混合タンクに交換される。
【0160】
混合デバイス200又は混合タンク220が、複数回の用途、つまり複数回使用のためにも設計され得ることを理解されたい。複数回の用途の場合、混合タンク220の全体が寸法的に安定するように設計されることが好適である。
【0161】
したがって、好適には、混合タンク220がステンレス鋼で作られるか、プラスチック、ガラス、又は別の材料で作られもよい。
【0162】
混合タンク220の寸法的に安定する底部221がロータリー駆動装置1のステータ2を受けるための収容缶222を備える。収容缶222が底部221の中央に位置し、ロータ3のリング形状の磁気有効コア31の中にあり、その結果、動作状態においてロータ3の磁気有効コア31が収容缶222を囲む。この目的のために、クリアランスを可能な限り小さくしてロータ3の磁気有効コア31又は図示されないジャケットにより収容缶222を包囲することになるように、収容缶222が寸法決定される。
【0163】
特に
図29及び
図30に示されるように、混合デバイス200内に収容缶222を備える寸法的に安定する底部221が、ステータ2のステータ棒21とロータ3の磁気有効コア31との間に収容缶222を配置するように、並びに寸法的に安定する底部221を、一方において、ロータ3の磁気有効コア31と、接続要素35と、ベアリング・リング34との間で、また他方において、追加のベアリング・ステータ7の支持ボディ72とステータ・リング71との間で、径方向に延在させるように、設計及び構成される。したがって、組み立て状態では、ステータ2及び追加のベアリング・ステータ7が混合タンク220の外側に配置され、対して羽根210を備えるロータ3が混合タンク220の内側に配置される。
【0164】
また、混合デバイス200のこの設計は、1回使用のための構成要素を含む実施例に特に適する。混合デバイスが、好適には、使い捨て用に設計される1回使用のデバイスと、複数回使用のために設計される再使用可能なデバイスとを有する。
【0165】
「1回使用のデバイス」という用語、及び「1回使用」の構成要素との他の複合物は、1回使用のために設計される構成要素又は部品を意味し、つまり意図される通りに1回のみ使用されてその後廃棄され得る構成要素又は部品を意味する。新しい用途では、新しい依然として未使用の1回使用の部品が使用されなければならない。したがって、1回使用のデバイスを構成又は設計する場合、本質的な態様として、混合デバイス200を形成するために、1回使用のデバイスが再使用可能なデバイスと可能な限り容易に組み合わされ得る。したがって、1回使用のデバイスは、高い組み立てコストを必要とすることなく非常に容易に交換されることが可能でなければならない。特に好適には、1回使用のデバイスは、工具を使用することなく、再使用可能なデバイスと組み立てられたり再使用可能なデバイスから分離されたりすることが可能でなければならない。
【0166】
混合デバイス200では、1回使用のデバイスが、ロータ3を内部に備える混合デバイス220を含み、再使用可能なデバイスが、ステータ2及び追加のベアリング・ステータ7を含む。
【0167】
1回使用のデバイス及び再使用可能なデバイスの、可能な限り単純な設計、並びに可能な限り単純な組み立て又は可能な限り単純な分離に関しては、ロータリー駆動装置1が第2の実施例(
図7)に従って設計されることが有利であり、ここでは、ステータ・リング71が軸方向Aにおいてベアリング・リング34から離間されて配置される。こうすることで、非常に単純な形で、混合タンク220がステータ2及び追加のベアリング・ステータ7と組み立てられ得たりステータ2及び追加のベアリング・ステータ7から分離され得たりする。組み立てる場合、ステータ2の上に収容缶222を配置することのみが必要であり、それにより混合デバイス200の使用の準備が整う。使用後、混合タンク210がステータ2及び追加のベアリング・ステータ7から再び容易に分離され得る。
【0168】
混合デバイス200の全体が、再使用可能なデバイスとして、つまり複数回使用のために、設計されてもよいことを理解されたい。このような設計を用いる場合、具体的には、その中にロータ3を配置する混合タンク220も複数回使用のために設計される。
【0169】
混合デバイス200として設計される回転デバイスは、具体的には、製薬産業及びバイオテクノロジ産業で使用され得る。混合デバイス200は、混合されることになる物質に接触する構成要素の非常に高い程度の純度又は無菌状態が必要不可欠であるような用途に特に適する。混合デバイス200は生物反応器又は発酵槽としても設計され得る。しかし、混合デバイス200がこのような設計のみに限定されずに、概して、媒体又は物質を混合又は撹拌するのを可能にするのに用いられる混合デバイス200として設計され得る、ことを理解されたい。具体的には、これらの物質は流体又は固定であってよく、好適には粉末であってよい。混合デバイス200は、液体を互いに対して混合するのに、及び/又は少なくとも1つの液体を粉末若しくは他の固体と混合するのに、並びに/或は気体を液体及び/又は固体と混合するのに、適する。
【0170】
本発明による、流体を、運搬、混合、又は撹拌するための回転デバイス200が、第1の実施例(
図3)に従って設計される電磁ロータリー駆動装置1と共に設計されてもよいことを理解されたい。ここでは、ステータ・リング71がベアリング・リング34と同心に配置され、その結果、ステータ・リング71がベアリング・リング34を囲む。