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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240610BHJP
   G06F 13/14 20060101ALI20240610BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G06F3/12 336
G06F3/12 321
G06F3/12 329
G06F3/12 385
G06F3/12 384
G06F13/14 310F
B41J29/38 401
B41J29/38 104
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019172320
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021051393
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-09-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000107642
【氏名又は名称】スター精密株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】511001035
【氏名又は名称】盈碼科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】時田 大介
(72)【発明者】
【氏名】邱 堂恩
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-034482(JP,A)
【文献】特開2019-062321(JP,A)
【文献】特開2014-106581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
G06F 13/14
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークと情報処理端末とに接続されるプリンタであって、
前記情報処理端末からネットワーククラスに従うデータを取得すると、前記プリンタと前記ネットワークとの間の通信に用いられる第1通信規格に基づく第1フレームを前記データから抽出し、
前記第1フレームに含まれる宛先情報が前記プリンタ宛であると判定すると、前記第1フレームに含まれる印刷情報又は設定情報を抽出して解釈してから前記プリンタにおける印刷処理又は設定処理をそれぞれ実行し
前記第1フレームに含まれる前記宛先情報が前記プリンタ宛でないと判定すると、前記第1フレームを前記ネットワークに送信する、
制御部を備える、
プリンタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末との間の通信に用いられる第2通信規格に基づく第2フレームから前記第1フレームを抽出する、
請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末との間の通信に用いられる第2通信規格に基づいて前記情報処理端末から第2フレームに基づく第2通信プロトコルに従うデータを取得すると、前記データに含まれる前記印刷情報を抽出して解釈する、
請求項1又は2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末とが接続されるときに前記情報処理端末から要求信号を取得すると、前記ネットワーククラス及び第2通信プロトコルに従って通信可能であることを示す階層構造のデータを前記情報処理端末に出力する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記情報処理端末に対して電力を供給する給電部を備え、
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末とが接続されると、前記給電部によって前記情報処理端末に前記電力を供給する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1フレームに基づく第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、前記給電部によって前記情報処理端末に供給される前記電力を低下させる、
請求項5に記載のプリンタ。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1通信プロトコルに従う通信を終了すると、前記給電部によって前記情報処理端末に供給される前記電力を復帰させる、
請求項6に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記制御部は、前記宛先情報が前記プリンタ宛でないと判定し、かつ前記第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、前記電力を低下させる、
請求項6又は7に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークと情報処理端末とに接続されるプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、情報処理端末に接続されると共に、ネットワークにも接続されるプリンタが知られている。例えば、特許文献1には、通信回線に接続する第1インタフェース及び第1インタフェースを介して受信したデータを処理する処理部に対し、第1インタフェースとは異なるプロトコルで通信する第2インタフェースを介して受信したデータを、プロトコルの相違を吸収して提供する情報処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-184299
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような従来のプリンタでは、2つの異なる通信路から異なる通信規格に基づくデータを受信して、これらのデータを自装置内で処理して自装置内で完結させる点については考慮されている。しかしながら、ユーザによっては、情報処理端末とプリンタとが接続されている状態で、プリンタを介してネットワークにアクセスしたいという要求も存在する。従来のプリンタでは、このような要求が満たされておらず、ユーザに対する利便性が低かった。
【0005】
このような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、ユーザに対する利便性が向上するプリンタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の観点に係るプリンタは、
ネットワークと情報処理端末とに接続されるプリンタであって、
前記情報処理端末からネットワーククラスに従うデータを取得すると、前記プリンタと前記ネットワークとの間の通信に用いられる第1通信規格に基づく第1フレームを前記データから抽出し、
前記第1フレームに含まれる宛先情報が前記プリンタ宛であると判定すると、前記第1フレームに含まれる印刷情報を抽出して解釈し、
前記第1フレームに含まれる前記宛先情報が前記プリンタ宛でないと判定すると、前記第1フレームを前記ネットワークに送信する、
制御部を備える。
【0007】
第2の観点に係るプリンタでは、
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末との間の通信に用いられる第2通信規格に基づく第2フレームから前記第1フレームを抽出してもよい。
【0008】
第3の観点に係るプリンタでは、
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末との間の通信に用いられる第2通信規格に基づいて前記情報処理端末から第2フレームに基づく第2通信プロトコルに従うデータを取得すると、前記データに含まれる印刷情報を抽出して解釈してもよい。
【0009】
第4の観点に係るプリンタでは、
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末とが接続されるときに前記情報処理端末から要求信号を取得すると、前記ネットワーククラス及び第2通信プロトコルに従って通信可能であることを示す階層構造のデータを前記情報処理端末に出力してもよい。
【0010】
第5の観点に係るプリンタは、
前記情報処理端末に対して電力を供給する給電部を備え、
前記制御部は、前記プリンタと前記情報処理端末とが接続されると、前記給電部によって前記情報処理端末に前記電力を供給してもよい。
【0011】
第6の観点に係るプリンタは、
前記制御部は、前記第1フレームに基づく第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、前記給電部によって前記情報処理端末に供給される前記電力を低下させてもよい。
【0012】
第7の観点に係るプリンタでは、
前記制御部は、前記第1通信プロトコルに従う通信を終了すると、前記給電部によって前記情報処理端末に供給される前記電力を復帰させてもよい。
【0013】
第8の観点に係るプリンタでは、
前記制御部は、前記宛先情報が前記プリンタ宛でないと判定し、かつ前記第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、前記電力を低下させてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一実施形態に係るプリンタによれば、ユーザに対する利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタを含むシステムの構成の一例を示す構成図である。
図2図1のプリンタの概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図3図1の情報処理端末の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4図1のプリンタが有する階層構造のデータの一例を示す模式図である。
図5図2の制御部におけるソフトウェア処理の構成の一例を含む機能ブロック図である。
図6図1のプリンタによって実行される情報処理方法の第1例を説明するためのフローチャートである。
図7図1のプリンタによって実行される情報処理方法の第2例を説明するためのフローチャートである。
図8図1のプリンタによって実行される情報処理方法の第3例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンタ10を含むシステム1の構成の一例を示す構成図である。図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係るプリンタ10を含むシステム1の概要について主に説明する。プリンタ10は、印刷処理を実行可能な任意のプリンタを含む。
【0018】
例えば、システム1は、プリンタ10によってルータ及びスイッチングハブを含む外部機器に接続され、インターネット等を含むネットワーク30を介してサーバと通信可能に接続されている。プリンタ10とネットワーク30との間の通信に用いられる第1通信規格は、例えばEthernet通信規格等の任意の通信規格を含む。プリンタ10とネットワーク30との間の通信に用いられる第1通信プロトコルは、例えばTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)等の任意の通信プロトコルを含む。
【0019】
システム1は、プリンタ10に加えて、情報処理端末20を有する。情報処理端末20は、例えばスマートフォン又はPC(Personal Computer)等の汎用の電子機器である。情報処理端末20は、例えばスマートフォンである場合、スマートフォン向けの任意のOS(Operating System)によって動作してもよい。情報処理端末20は、例えばPCである場合、PC向けの任意のOSによって動作してもよい。情報処理端末20は、これらに限定されず、システム1に専用の電子機器であってもよい。
【0020】
プリンタ10と情報処理端末20とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル等の任意のケーブルによって通信可能に接続されている。プリンタ10と情報処理端末20との間の通信に用いられる第2通信規格は、例えばUSB通信規格等の任意の通信規格を含む。プリンタ10と情報処理端末20との間の通信に用いられる第2通信プロトコルは、例えばUSBに関する通信プロトコル等の任意の通信プロトコルを含む。
【0021】
システム1では、例えば情報処理端末20からネットワーク30上のサーバに向けて情報が送信されると、当該情報を含み、第2通信規格に基づいて送信されたデータから第1通信規格に基づく第1フレームを抽出してネットワーク30に送信する処理がプリンタ10において実行される。このように、プリンタ10を介して情報処理端末20からネットワーク30上のサーバに情報が送信される。
【0022】
システム1では、例えば情報処理端末20からプリンタ10に向けて印刷情報が送信されると、プリンタ10によって受信され、プリンタ10内で処理される。印刷情報は、例えば印刷コマンド及び印刷に関する設定情報を含む。印刷に関する設定情報は、例えば印字速度及び印字濃度を含む。例えば、プリンタ10は、情報処理端末20から受信した印刷コマンドに基づいて、印刷処理を実行する。例えば、プリンタ10は、情報処理端末20から受信した印刷に関する設定情報に基づいて、印刷に関する設定処理を実行する。
【0023】
次に、図2を参照しながら、システム1に含まれるプリンタ10の構成について主に説明する。図2は、図1のプリンタ10の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0024】
図2に示すように、プリンタ10は、通信部11、記憶部12、給電部13、印刷部14、及び制御部15を有する。
【0025】
通信部11は、第1通信規格に対応した通信インタフェースを含む。例えば、通信部11は、Ethernetインタフェースを含む。また、通信部11は、Ethernetコネクタ及びEthernetコントローラを含んでもよい。一実施形態において、プリンタ10は、通信部11を介してネットワーク30に通信可能に接続されている。例えば、プリンタ10は、Ethernetコネクタに接続されているLANケーブルを介して、ネットワーク30に通信可能に接続されている。通信部11は、第1通信プロトコル、例えばTCP/IPに基づいてプリンタ10とネットワーク30との間の通信を実行してもよい。
【0026】
通信部11は、第2通信規格に対応した通信インタフェースを含む。例えば、通信部11は、USBインタフェースを含む。また、通信部11は、USBコネクタ及びUSBコントローラを含んでもよい。一実施形態において、プリンタ10は、通信部11を介して情報処理端末20と通信可能に接続されている。例えば、プリンタ10は、USBコネクタに接続されているUSBケーブルを介して、情報処理端末20と通信可能に接続されている。通信部11は、第2通信プロトコル、例えばUSBに関する通信プロトコルに基づいてプリンタ10と情報処理端末20との間の通信を実行してもよい。USBに関する通信プロトコルは、例えばプリンタクラスを含む。
【0027】
記憶部12は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリを含むが、これらに限定されない。記憶部12は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、プリンタ10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部12は、例えば、ファームウェア等のシステムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部11によって受信された各種情報を記憶してもよい。記憶部12に記憶された情報は、例えば通信部11を介してネットワーク30から受信される情報で更新可能であってもよい。
【0028】
給電部13は、情報処理端末20に対して電力を供給する任意の電力供給モジュールを含む。例えば、通信部11がUSBコネクタを含む場合、給電部13は、通信部11としても機能する当該USBコネクタを含んでもよい。すなわち、給電部13は、USBコネクタに接続されているUSBケーブルを介して、情報処理端末20に電力を供給してもよい。
【0029】
印刷部14は、例えば情報処理端末20から取得した印刷コマンドに基づいて印刷処理を実行する任意の印刷モジュールを含む。印刷部14は、例えば記憶部12に格納されている印刷に関する設定情報に基づいて、印刷コマンドに従った印刷処理を実行する。
【0030】
制御部15は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部15は、プリンタ10を構成する各構成部と通信可能に接続され、プリンタ10全体の動作を制御する。
【0031】
次に、図3を参照しながら、システム1に含まれる情報処理端末20の構成について主に説明する。図3は、図1の情報処理端末20の概略構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0032】
図3に示すように、情報処理端末20は、通信部21、記憶部22、入力部23、出力部24、受電部25、及び制御部26を有する。
【0033】
通信部21は、第2通信規格に対応した通信インタフェースを含む。例えば、通信部21は、USBインタフェースを含む。通信部21は、USBコネクタ及びUSBコントローラを含んでもよい。一実施形態において、情報処理端末20は、通信部21を介してプリンタ10と通信可能に接続されている。例えば、情報処理端末20は、USBコネクタに接続されているUSBケーブルを介して、プリンタ10と通信可能に接続されている。通信部21は、第2通信プロトコル、例えばUSBに関する通信プロトコルに基づいて情報処理端末20とプリンタ10との間の通信を実行してもよい。USBに関する通信プロトコルは、例えばプリンタクラスを含む。
【0034】
記憶部22は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリを含むが、これらに限定されない。記憶部22は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部22は、情報処理端末20の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部22は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部21によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部22に記憶された情報は、例えばプリンタ10及び通信部21を介してネットワーク30から受信される情報で更新可能であってもよい。
【0035】
入力部23は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力インタフェースを含む。例えば、入力部23は、物理キー、静電容量キー、出力部24のディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクであるが、これらに限定されない。
【0036】
出力部24は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。例えば、出力部24は、情報を映像で出力するディスプレイ、又は情報を音声で出力するスピーカであるが、これらに限定されない。出力部24は、情報処理端末20がプリンタ10を介してネットワーク30に通信可能に接続されるための設定画面を出力してもよい。このとき、当該設定画面には、例えば、入力部23を用いてユーザにより設定されたEthernetの設定が表示されていてもよい。
【0037】
受電部25は、プリンタ10から電力を取得する任意の電力受給モジュールを含む。例えば、通信部21がUSBコネクタを含む場合、受電部25は、通信部21としても機能する当該USBコネクタを含んでもよい。すなわち、受電部25は、USBコネクタに接続されているUSBケーブルを介して、プリンタ10から電力を取得してもよい。
【0038】
制御部26は、1つ以上のプロセッサを含む。一実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限定されない。制御部26は、情報処理端末20を構成する各構成部と通信可能に接続され、情報処理端末20全体の動作を制御する。
【0039】
図4は、図1のプリンタ10が有する階層構造のデータの一例を示す模式図である。図4を参照しながら、プリンタ10が有する階層構造のデータ、例えばDescriptorについて主に説明する。さらに、プリンタ10に情報処理端末20が接続されたときのシステム1における処理について主に説明する。
【0040】
例えば、プリンタ10のUSBコネクタに対して対応するUSBケーブルにより情報処理端末20を接続すると、情報処理端末20は、USBホストとして動作する。このとき、情報処理端末20の制御部26は、USB標準リクエストであるGET_DESCRIPTORをUSBケーブル経由でプリンタ10に送信する。
【0041】
プリンタ10は、USBホストである情報処理端末20に対してUSBデバイスとして動作する。プリンタ10の制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とが接続されるときに情報処理端末20から要求信号、すなわちGET_DESCRIPTORを取得すると、階層構造のデータを含むDescriptorを、情報処理端末20にUSBケーブル経由で出力する。Descriptorは、ネットワーククラス及び第2通信プロトコルに従って通信可能であることを示す階層構造のデータを含む。
【0042】
ネットワーククラスは、プリンタ10がUSBインタフェースを介してEthernet通信規格に従って通信可能であり、例えばUSBインタフェースを介してTCP/IPに従って通信可能であるということを、情報処理端末20に認識させるためのものである。ネットワーククラスは、例えばCDC(Communication Device Class)-ECM(Ethernet Networking Control Model)又はRNDIS(Remote Network Driver Interface Specification)を含む。
【0043】
プリンタ10が構成するDescriptorは、Configuration、Interface Association、Interface、及びEndpointに関する情報を含む。図4に示す例では、Configurationは「cfg=1」である。プリンタクラスにおけるInterfaceは、「IF=0/ALT=0」である。プリンタクラスにおける当該InterfaceのEndpointは、「ENDP=1」である。同様に、ネットワーククラスにおけるInterfaceは、「IF=1/ALT=0」、「IF=2/ALT=0」、及び「IF=2/ALT=1」である。ネットワーククラスにおけるInterface「IF=1/ALT=0」のEndpointは、「ENDP=2」である。ネットワーククラスにおけるInterface「IF=2/ALT=1」のEndpointは、「ENDP=3」である。ネットワーククラスにおけるInterface Associationは、さらに、Class、SubClass、及びProtocolに関する情報を含む。図4に示す例では、Classは「02h:Communication」であり、SubClassは「06h:Ethernet Networking Control Model」であり、Protocolは「00h:(unknown)」である。
【0044】
プリンタ10は、USBインタフェースの「ENDP=3」を介してネットワーククラスに従って通信可能であり、かつUSBインタフェースの「ENDP=1」を介してプリンタクラスに従って通信可能である、ということを示すDescriptorを情報処理端末20にUSBケーブル経由で送信する。USBインタフェースの「ENDP=3」を介してネットワーククラスに従って通信可能であるとは、USBインタフェースの「ENDP=3」を介して例えばEthernet通信規格に従って通信可能であり、暗黙的にUSBインタフェースの「ENDP=3」を介してTCP/IPに従って通信可能であることを意味する。これにより、情報処理端末20は、プリンタ10がUSBインタフェースの「ENDP=3」を介してネットワーククラスに従って通信可能であり、かつUSBインタフェースの「ENDP=1」を介してプリンタクラスに従って通信可能である、ということを認識する。
【0045】
図5は、図2の制御部15におけるソフトウェア処理の構成の一例を含む機能ブロック図である。図5を参照しながら、プリンタ10の制御部15によって実行されるソフトウェア処理について主に説明する。
【0046】
例えば、プリンタ10のIPアドレスは「192.168.0.1(プライベートIPアドレス)」であるとする。例えば、情報処理端末20のIPアドレスは「192.168.0.2(プライベートIPアドレス)」であるとする。例えば、デフォルトゲートウェイのIPアドレスは「192.168.0.254(プライベートIPアドレス)」であるとする。例えば、ネットワーク30上のサーバのIPアドレスは「0.0.0.1(グローバルIPアドレス)」であるとする。
【0047】
制御部15は、USB通信規格に基づいて情報処理端末20から第2フレームに基づく第2通信プロトコル、例えばプリンタクラスに従うデータを取得すると、当該データに含まれる印刷情報を抽出して解釈する。このときの制御部15に関連する処理フローのイメージとしては、図5における情報処理端末20、USBケーブル、USBコネクタ、USBコントローラ、USBドライバ、第2通信プロトコル、及び印刷コマンドの順に処理フローが従う。
【0048】
例えば、情報処理端末20の制御部26は、印刷コマンドをプリンタクラスのデータパケットに変換して、「ENDP=1」宛てにUSBケーブル経由で送信する。プリンタ10の制御部15は、USBケーブル経由で「ENDP=1」で受信したプリンタクラスのデータパケットを解析し、当該データパケットに含まれる印刷コマンドを抽出して解釈し、印刷コマンドに従った印刷処理を実行する。
【0049】
情報処理端末20の制御部26は、プリンタ10のネットワーククラスに従って通信を行うとき、データをTCP/IPのパケットに変換する。制御部26は、パケットに変換されたデータを、Ethernet通信規格に基づく第1フレームにカプセル化し、さらに、USB通信規格に基づく第2フレームにカプセル化する。制御部26は、プリンタ10の「ENDP=3」宛てにUSBケーブル経由でプリンタ10にデータを送信する。
【0050】
制御部15は、情報処理端末20からUSBケーブル経由でネットワーククラスに従うデータを宛先「ENDP=3」で取得すると、プリンタ10とネットワーク30との間の通信に用いられるEthernet通信規格に基づく第1フレームをデータから抽出する。より具体的には、制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20との間の通信に用いられるUSB通信規格に基づく第2フレームからEthernet通信規格に基づく第1フレームを抽出する。このときの制御部15に関連する処理フローのイメージとしては、図5における情報処理端末20、USBケーブル、USBコネクタ、USBコントローラ、USBドライバ、及びネットワーククラスの順に処理フローが従う。
【0051】
制御部15は、Ethernet通信規格に基づく第1フレームからTCP/IPのパケットを抽出して解析する。制御部15は、情報処理端末20から取得した第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ宛であると判定すると、第1フレームに含まれる印刷情報を抽出して解釈する。このときの制御部15に関連する処理フローのイメージとしては、図5における情報処理端末20、USBケーブル、USBコネクタ、USBコントローラ、USBドライバ、ネットワーククラス、第1通信プロトコル、ポート#9100、及び印刷コマンドの順に処理フローが従う。
【0052】
例えば、情報処理端末20の制御部26は、プリンタ10のIPアドレス「192.168.0.1」宛てに印刷コマンドを送信する。このとき、制御部26は、印刷コマンドをTCP/IPのパケットに変換、さらに第1フレームにカプセル化し、さらに第2フレームにまでカプセル化して、「ENDP=3」宛てにUSBケーブル経由でプリンタ10に送信する。プリンタ10の制御部15は、USBケーブル経由で「ENDP=3」で受信したデータから抽出された第1フレームのTCP/IPパケットを解析し、第1フレームに含まれる宛先情報、例えばIPアドレスがプリンタ10宛であると判定する。制御部15は、IPアドレスがプリンタ10宛であると判定すると、第1フレームに含まれる印刷コマンドを抽出して解釈し、印刷コマンドに従った印刷処理を実行する。
【0053】
制御部15は、情報処理端末20から取得した第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ宛でないと判定すると、第1フレームをネットワーク30に送信する。このときの第1フレームに含まれる情報は、例えば店舗における在庫情報及び店舗が提供するサービスに対する顧客の決済情報を含む。このときの制御部15に関連する処理フローのイメージとしては、図5における情報処理端末20、USBケーブル、USBコネクタ、USBコントローラ、USBドライバ、ネットワーククラス、第1通信プロトコル、Ethernetドライバ、Ethernetコントローラ、Ethernetコネクタ、LANケーブル、スイッチングハブ、及びネットワーク30の順に処理フローが従う。
【0054】
例えば、情報処理端末20の制御部26は、ネットワーク30上のサーバのIPアドレス「0.0.0.1」宛てに情報を送信する。このとき、制御部26は、情報をTCP/IPのパケットに変換、さらに第1フレームにカプセル化し、さらに第2フレームにまでカプセル化して、「ENDP=3」宛てにUSBケーブル経由でプリンタ10に送信する。プリンタ10の制御部15は、USBケーブル経由で「ENDP=3」で受信したデータから抽出された第1フレームのTCP/IPパケットを解析し、第1フレームに含まれる宛先情報、例えばIPアドレスがプリンタ10宛でないと判定する。制御部15は、IPアドレスがプリンタ10宛でないと判定すると、第1フレームをネットワーク30に送信する。より具体的には、制御部15は、当該第1フレームを、デフォルトゲートウェイのIPアドレス「192.168.0.254」宛てにLANケーブル経由で送信する。デフォルトゲートウェイは、LANケーブル経由で受信したEthernet通信規格に基づく第1フレームを、ネットワーク30上のサーバのIPアドレス「0.0.0.1」宛てにネットワーク30経由で送信する。
【0055】
制御部15は、情報処理端末20から取得した第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、第1フレームに含まれるポート番号を識別する。制御部15は、第1フレームがポート番号9100に送られた場合、例えば印刷情報に含まれる印刷コマンドを抽出して印刷処理を実行する。制御部15は、第1フレームがポート番号80に送られた場合、例えばIPアドレスの設定情報等を抽出してIPアドレスの設定処理等を含む任意の設定処理を実行する。
【0056】
例えば、プリンタ10のUSBコネクタにUSBケーブルを介して情報処理端末20を接続すると、プリンタ10は情報処理端末20に電力を供給する。例えば、プリンタ10の制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とがUSBケーブルを介して接続されると、給電部13によって情報処理端末20に電力を供給してもよい。例えば、制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とがUSBケーブルを介して接続されてから任意のタイミングで、給電部13によって情報処理端末20に電力を供給してもよい。
【0057】
例えば、プリンタ10の制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とがUSBケーブルを介して接続されている間、常に情報処理端末20に電力を供給してもよい。このとき、プリンタ10の制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信の開始及び終了に基づいて、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を制御してもよい。制御部15は、給電部13によって情報処理端末20に供給される電流及び電圧の少なくとも一方を制御してもよい。
【0058】
例えば、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を低下させる。例えば、制御部15は、プリンタ10のUSBコネクタにUSBケーブルを介して情報処理端末20を接続した初期段階では9V2A=18Wで電力を供給し、第1通信プロトコルに従う通信を開始すると5V1A=5Wに電力を低下させてもよい。また、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を開始すると同時に電力を低下させてもよいし、第1通信プロトコルに従う通信を開始してから所定時間が経過した後に電力を低下させてもよい。
【0059】
例えば、制御部15は、第1フレームに基づく第1通信プロトコルに従う通信を終了すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を復帰させる。すなわち、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信の開始に伴って小さくなった電力値を、第1通信プロトコルに従う通信の開始前の元の値に戻す。制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を終了すると同時に電力を復帰させてもよいし、第1通信プロトコルに従う通信を終了してから所定時間が経過した後に電力を復帰させてもよい。例えば、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を終了すると5V1A=5Wに電力を低下させていた給電を3秒経過後、最大給電量である9V2A=18Wで供給してもよい。
【0060】
制御部15による給電制御は、上記の方法に限定されない。例えば、印刷実行によるプリンタ10への電力負荷が、第1フレーム関連の通信増大による電力負荷よりも小さいようなプリンタ機種の場合、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛でないと判定し、かつ第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を低下させてもよい。このとき、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を維持してもよい。
【0061】
逆に、印刷実行によるプリンタ10への電力負荷が、第1フレーム関連の通信増大による電力負荷よりも大きいようなプリンタ機種の場合、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛であると判定し、かつ第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を低下させてもよい。このとき、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛でないと判定すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を維持してもよい。
【0062】
制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量に基づいて、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を制御してもよい。
【0063】
例えば、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値以上になると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を低下させる。制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値以上になったと同時に電力を低下させてもよいし、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値以上になってから所定時間が経過した後に電力を低下させてもよい。閾値は、ユーザ等によって適宜定められてもよい。例えば、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が5秒間の平均値で毎秒2MBを超えた場合、3秒後に9V2A=18Wで供給していた給電を、5V1A=5Wに電力を低下させてもよい。
【0064】
例えば、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値以上になった後、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値よりも小さくなると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を復帰させる。すなわち、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値以上になったことに伴って小さくなった電力値を元の値に戻す。制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値よりも小さくなると同時に電力を復帰させてもよいし、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値よりも小さくなってから所定時間が経過した後に電力を復帰させてもよい。例えば、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が5秒間の平均値で毎秒2MBを下回った場合、5V1A=5Wに電力を低下させていた給電を3秒経過後、最大給電量である9V2A=18Wで供給してもよい。
【0065】
制御部15による給電制御は、上記の方法に限定されない。例えば、印刷実行によるプリンタ10への電力負荷が、第1フレーム関連の通信増大による電力負荷よりも小さいようなプリンタ機種の場合、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛でないと判定し、かつ第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値以上になると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を低下させてもよい。このとき、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を維持してもよい。
【0066】
逆に、印刷実行によるプリンタ10への電力負荷が、第1フレーム関連の通信増大による電力負荷よりも大きいようなプリンタ機種の場合、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛であると判定し、かつ第1通信プロトコルに従う通信のデータ量が閾値以上になると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を低下させてもよい。このとき、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛でないと判定すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を維持してもよい。
【0067】
制御部15は、上述した通信の開始及び終了に基づく給電制御、及び通信のデータ量に基づく給電制御の一方のみを実行してもよいし、両方を並行して実行してもよい。
【0068】
次に、一実施形態に係るプリンタ10の制御部15が実行する情報処理方法について、図6乃至図8を参照しながら説明する。図6は、図1のプリンタ10によって実行される情報処理方法の第1例を説明するためのフローチャートである。
【0069】
ステップS101において、制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とが接続されたか否かを判定する。制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とが接続されたと判定すると、ステップS102の処理を実行する。制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とが接続されていないと判定すると、ステップS101の処理を再度実行する。
【0070】
ステップS102において、制御部15は、ステップS101においてプリンタ10と情報処理端末20とが接続されたと判定すると、情報処理端末20から要求信号を取得したか否かを判定する。制御部15は、情報処理端末20から要求信号を取得したと判定すると、ステップS103の処理を実行する。制御部15は、情報処理端末20から要求信号を取得していないと判定すると、ステップS102の処理を再度実行する。
【0071】
ステップS103において、制御部15は、ステップS102において情報処理端末20から要求信号を取得したと判定すると、ネットワーククラス及び第2通信プロトコルに従って通信可能であることを示す階層構造のデータを情報処理端末20に出力する。
【0072】
図7は、図1のプリンタ10によって実行される情報処理方法の第2例を説明するためのフローチャートである。
【0073】
ステップS201において、制御部15は、第2通信規格に基づいて情報処理端末20から取得したデータが、プリンタクラスに従うか否かを判定する。制御部15は、プリンタクラスに従うと判定すると、ステップS206の処理を実行する。制御部15は、プリンタクラスに従わないと判定すると、ステップS202の処理を実行する。
【0074】
ステップS202において、制御部15は、ステップS201においてプリンタクラスに従わないと判定すると、第2通信規格に基づいて情報処理端末20から取得したデータが、ネットワーククラスに従うか否かを判定する。制御部15は、ネットワーククラスに従うと判定すると、ステップS204の処理を実行する。制御部15は、ネットワーククラスに従わないと判定すると、ステップS203の処理を実行する。
【0075】
ステップS203において、制御部15は、ステップS202においてネットワーククラスに従わないと判定すると、データを破棄する。
【0076】
ステップS204において、制御部15は、ステップS202においてネットワーククラスに従うと判定すると、プリンタ10と情報処理端末20との間の通信に用いられる第2通信規格に基づく第2フレームから、プリンタ10とネットワーク30との間の通信に用いられる第1通信規格に基づく第1フレームを抽出する。
【0077】
ステップS205において、制御部15は、情報処理端末20から取得したデータに含まれる宛先情報が、プリンタ10宛であるか否かを判定する。制御部15は、宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、ステップS206の処理を実行する。制御部15は、宛先情報がプリンタ10宛でないと判定すると、ステップS207の処理を実行する。
【0078】
ステップS206において、制御部15は、ステップS201においてプリンタクラスに従うと判定し、又はステップS205において宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、情報処理端末20から取得したデータに含まれる印刷情報を抽出して解釈する。
【0079】
ステップS207において、制御部15は、ステップS205において宛先情報がプリンタ10宛でないと判定すると、情報処理端末20から取得したデータに含まれる第1フレームを抽出してネットワーク30に送信する。
【0080】
図8は、図1のプリンタ10によって実行される情報処理方法の第3例を説明するためのフローチャートである。
【0081】
ステップS301において、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を開始したか否かを判定する。制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を開始したと判定すると、ステップS302の処理を実行する。制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を開始していないと判定すると、ステップS301の処理を再度実行する。
【0082】
ステップS302において、制御部15は、ステップS301において第1通信プロトコルに従う通信を開始したと判定すると、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛であるか否かを判定する。制御部15は、宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、ステップS303の処理を実行する。制御部15は、宛先情報がプリンタ10宛でないと判定すると、ステップS304の処理を実行する。
【0083】
ステップS303において、制御部15は、ステップS302において宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を維持する。
【0084】
ステップS304において、制御部15は、ステップS302において宛先情報がプリンタ10宛でないと判定すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を低下させる。
【0085】
ステップS305において、制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を終了したか否かを判定する。制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を終了したと判定すると、ステップS306の処理を実行する。制御部15は、第1通信プロトコルに従う通信を終了していないと判定すると、ステップS305の処理を再度実行する。
【0086】
ステップS306において、制御部15は、ステップS305において第1通信プロトコルに従う通信を終了したと判定すると、給電部13によって情報処理端末20に供給される電力を復帰させる。
【0087】
以上のような一実施形態に係るプリンタ10によれば、ユーザに対する利便性が向上する。例えば、プリンタ10は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛でないと判定すると、第1フレームをネットワーク30に送信する。これにより、情報処理端末20は、情報処理端末20とプリンタ10とが接続されている状態で、プリンタ10を介してネットワーク30に通信接続することができる。加えて、プリンタ10は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛であると判定すると、第1フレームに含まれる印刷情報を抽出して解釈する。これにより、プリンタ10は、第1通信規格に基づく印刷処理を実行することもできる。
【0088】
例えば、プリンタ10がTCP/IPに基づく印刷処理を実行可能であることで、情報処理端末が無線通信によってルータ等の外部機器を介してプリンタへTCP/IP通信で印刷情報を送信する従来のシステムに対しても、本発明の適用が容易である。例えば、従来のプリンタのハードウェアを変更する必要なく、ファームウェアを変更するだけで本発明を適用することができる。
【0089】
制御部15が第2通信規格に基づく第2フレームから第1通信規格に基づく第1フレームを抽出することで、プリンタ10は、例えば、USBインタフェースを介してEthernet通信規格に従って通信可能である。
【0090】
プリンタ10は、第2通信規格に基づいて情報処理端末20から第2フレームに基づく第2通信プロトコルに従うデータを取得すると、当該データに含まれる印刷情報を抽出して解釈する。これにより、プリンタ10は、第2通信規格に基づく印刷処理を実行することもできる。
【0091】
例えば、プリンタ10がプリンタクラスに基づく印刷処理を実行可能であることで、情報処理端末がUSBケーブルによってプリンタへ印刷情報を直接送信する従来のシステムに対しても、本発明の適用が容易である。例えば、従来のプリンタのハードウェアを変更する必要なく、ファームウェアを変更するだけで本発明を適用することができる。
【0092】
制御部15が、ネットワーククラス及び第2通信プロトコルに従って通信可能であることを示す階層構造のデータを情報処理端末20に出力することで、情報処理端末20は、ネットワーククラス及びプリンタクラスに基づく複合デバイスが接続されたものとしてプリンタ10を認識する。
【0093】
プリンタ10は、第1通信規格及び第2通信規格に基づく両方の通信が可能であるので、例えば、いずれか一方の通信のみを行っていた従来のプリンタと比較してより多様な情報を送受信可能である。これにより、プリンタ10において通信負荷が増大したとしても、制御部15が、上述した給電制御を実行することで、プリンタ10の消費電力の増大を抑制可能である。したがって、プリンタ10の消費電力の増大に伴って基板温度が上昇し回路部品が劣化する可能性を抑制できる。同様に、電源アダプタの定格を超えてプリンタ10の電源が落ちたりする可能性を抑制できる。
【0094】
例えば、制御部15が、プリンタ10と情報処理端末20とが接続されると、給電部13によって情報処理端末20に電力を供給することで、ユーザは、プリンタ10を介して情報処理端末20を充電できる。
【0095】
例えば、制御部15が、第1通信プロトコルに従う通信を開始すると電力を低下させることで、第1通信プロトコルに従う通信のデータ量に関係なくプリンタ10の消費電力を抑制可能である。
【0096】
例えば、制御部15が、第1通信プロトコルに従う通信を終了すると電力を復帰させることで、情報処理端末20に対する給電が効率的に行われる。
【0097】
例えば、制御部15は、第1フレームに含まれる宛先情報がプリンタ10宛でないと判定し、かつ第1通信プロトコルに従う通信を開始すると、電力を低下させることで、ネットワーク30に向けた通信の場合に限定して給電制御を実行することができる。したがって、情報処理端末20に対する給電がより効率的に行われる。
【0098】
プリンタ10は、USBケーブルを介して情報処理端末20と接続され、LANケーブルを介してネットワーク30と接続されている。したがって、情報処理端末20からプリンタ10への印刷情報の送信、プリンタ10から情報処理端末20への給電制御、及び情報処理端末20からネットワーク30へのアクセスが全て有線で行われる。これにより、無線通信と異なり、様々な電波がノイズとして飛び交っている周辺環境の中でも安定した通信が実現可能である。
【0099】
図1に示すとおり、システム1では配線が単純化され、プリンタ10と情報処理端末20との接続にあたり変換アダプタ等の付加的な部品を用いる必要がない。したがって、ユーザに対するコストが低減する。
【0100】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本発明に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形及び修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0101】
例えば、本発明は、上述したシステム1の各機能を実現する処理内容を記述したプログラム又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得る。本発明の範囲には、これらも包含されると理解されたい。
【0102】
例えば、プリンタ10の制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20との間の通信に用いられる第2通信規格が第1通信規格と同一であれば、図7におけるステップS204の処理を実行しなくてもよい。
【0103】
例えば、プリンタ10の制御部15は、プリンタ10と情報処理端末20とが接続されるときに情報処理端末20から要求信号を取得すると、ネットワーククラス及び第2通信プロトコルに従って通信可能であることを示す階層構造のデータを情報処理端末20に出力すると説明したが、これに限定されない。制御部15は、任意のデータを情報処理端末20に出力してもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 システム
10 プリンタ
11 通信部
12 記憶部
13 給電部
14 印刷部
15 制御部
20 情報処理端末
21 通信部
22 記憶部
23 入力部
24 出力部
25 受電部
26 制御部
30 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8