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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ひずみセンサ、及びひずみ測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G01L1/22 L
G01L1/22 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019189700
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021063764
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】石塚 寛之
(72)【発明者】
【氏名】倉島 清高
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-159515(JP,A)
【文献】特開2019-045250(JP,A)
【文献】登録実用新案第3215728(JP,U)
【文献】米国特許第04589291(US,A)
【文献】特開昭61-284390(JP,A)
【文献】特開平04-331336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00-1/26
G01L 5/00-5/28
G01L 25/00
G01B 7/00-7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の内部に設置されるひずみセンサであって、
平板状の起歪板と
前記起歪板に貼り付けられたひずみゲージと、
前記起歪板の面内方向に沿って前記起歪板から両側に突出する一対の突出部であって、前記被験体からの荷重が付加される一対の突出部と
内周面を有する筒状カバーであって、前記一対の突出部の頂部を前記内周面に当接させた状態で前記起歪板及び前記一対の突出部を収容する筒状カバーとを備え、
前記起歪板の、前記一対の突出部に挟まれた領域に前記ひずみゲージが貼り付けられており、
前記筒状カバーは前記一対の突出部に押されることによって該筒状カバーの外径が大きくなるように構成されているひずみセンサ。
【請求項2】
前記一対の突出部と前記筒状カバーとが前記筒状カバーの軸方向に相対移動することにより前記筒状カバーの外径が大きくなる請求項に記載のひずみセンサ。
【請求項3】
前記筒状カバーに、前記筒状カバーの軸方向に延びるスリットが形成されている請求項又はに記載のひずみセンサ。
【請求項4】
前記一対の突出部が前記筒状カバーの軸に関して対称に形成されている請求項のいずれか一項に記載のひずみセンサ。
【請求項5】
前記一対の突出部の頂部が、前記筒状カバーの軸方向に対してテーパ状に傾斜している請求項のいずれか一項に記載のひずみセンサ。
【請求項6】
前記筒状カバーの内周面が、前記筒状カバーの軸方向に対してテーパ状に傾斜している請求項のいずれか一項に記載のひずみセンサ。
【請求項7】
前記起歪板と前記筒状カバーとを、前記筒状カバーの軸方向に相対移動可能に接続する接続部を更に備える請求項のいずれか一項に記載のひずみセンサ。
【請求項8】
前記被験体の内部での前記起歪板の方位調整を補助する方位調整補助部を更に備え
前記方位調整補助部は、前記起歪板の方位を示し且つ作業者が前記起歪板の方位を調整する際に前記作業者によって視認されるDカット部、凸部又はマーキングである請求項1~のいずれか一項に記載のひずみセンサ。
【請求項9】
前記ひずみゲージは、前記起歪板から前記一対の突出部が突出する第1方向に生じるひずみを測定するための2つの第1方向ひずみ受感素子と、前記起歪板の面内において第1方向に直交する第2方向に生じるひずみを測定するための2つの第2方向ひずみ受感素子とを備え、
前記2つの第1方向ひずみ受感素子と前記2つの第2方向ひずみ受感素子とがホイートストンブリッジ回路を構成している請求項1~のいずれか一項に記載のひずみセンサ。
【請求項10】
被験体の測定方向に生じるひずみを測定する方法であって、
前記被験体に、前記測定方向に直交する方向に延びる孔を形成することと、
前記孔の内部に請求項のいずれか一項に記載のひずみセンサを挿入することと、
前記筒状カバーの外径を大きくして前記筒状カバーの外周面を前記孔の内周面に当接させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひずみセンサ、及びひずみ測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械、例えばプレス加工機等の構造体にひずみセンサを配置して、加工力の測定を行うことが知られている。
【0003】
特許文献1は、ボルトと、当該ボルトに貼り付けられたひずみゲージとにより構成されたロードセルを開示している。特許文献1はまた、当該ロードセルをプレス機械のプレートに規則的に配置し、パンチからの荷重によりプレートに生じる応力の分布を求めることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6370005号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被験体に生じるひずみを高い精度で測定することのできるひずみセンサ、及びひずみ測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に従えば、
被験体の内部に設置されるひずみセンサであって、
平板状の起歪板と
前記起歪板に貼り付けられたひずみゲージと、
前記起歪板の面内方向に沿って前記起歪板から両側に突出する一対の突出部とを備え、
前記起歪板の、前記一対の突出部に挟まれた領域に前記ひずみゲージが貼り付けられているひずみセンサが提供される。
【0007】
第1の態様のひずみセンサは、内周面を有する筒状カバーであって、前記一対の突出部の頂部を前記内周面に当接させた状態で前記起歪板及び前記一対の突出部を収容する筒状カバーを更に備えてもよく、前記筒状カバーは前記一対の突出部に押されることによって該筒状カバーの外径が大きくなるように構成されていてもよい。
【0008】
第1の態様のひずみセンサにおいて、前記一対の突出部と前記筒状カバーとが前記筒状カバーの軸方向に相対移動することにより前記筒状カバーの外径が大きくなってもよい。
【0009】
第1の態様のひずみセンサにおいて、前記筒状カバーに、前記筒状カバーの軸方向に延びるスリットが形成されていてもよい。
【0010】
第1の態様のひずみセンサにおいて、前記一対の突出部が前記筒状カバーの軸に関して対称に形成されていてもよい。
【0011】
第1の態様のひずみセンサにおいて、前記一対の突出部の頂部が、前記筒状カバーの軸方向に対してテーパ状に傾斜していてもよい。
【0012】
第1の態様のひずみセンサにおいて、前記筒状カバーの内周面が、前記筒状カバーの軸方向に対してテーパ状に傾斜していてもよい。
【0013】
第1の態様のひずみセンサにおいて、前記起歪板と前記筒状カバーとを、前記筒状カバーの軸方向に相対移動可能に接続する接続部を更に備えてもよい。
【0014】
第1の態様のひずみセンサは、前記被験体の内部での前記起歪板の方位調整を補助する方位調整補助部を更に備えてもよい。
【0015】
第1の態様のひずみセンサにおいて、前記ひずみゲージは、前記起歪板から前記一対の突出部が突出する第1方向に生じるひずみを測定するための2つの第1方向ひずみ受感素子と、前記起歪板の面内において第1方向に直交する第2方向に生じるひずみを測定するための2つの第2方向ひずみ受感素子とを備えてもよく、前記2つの第1方向ひずみ受感素子と前記2つの第2方向ひずみ受感素子とがホイートストンブリッジ回路を構成していてもよい。
【0016】
本発明の第2の態様に従えば、
被験体の測定方向に生じるひずみを測定する方法であって、
前記被験体に、前記測定方向に直交する方向に延びる孔を形成することと、
前記孔の内部に第1の態様のひずみセンサを挿入することと、
前記筒状カバーの外径を大きくして前記筒状カバーの外周面を前記孔の内周面に当接させることを含む方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明のひずみセンサ、及びひずみ測定方法によれば、被験体に生じるひずみを高い精度で測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係るひずみセンサの分解斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るひずみセンサの斜視図である。
図3図3は、板部の平面図である。
図4図4(a)はひずみゲージの一例を示す平面図であり、図4(b)はひずみゲージの他の一例を示す平面図である。
図5図5(a)、図5(b)は本発明の実施形態に係るひずみセンサの、中心軸に沿った断面図である。図5(a)は通常の状態を示し、図5(b)は筒状カバーが拡げられて筒状カバーの直径が大きくなった状態を示す。
図6図6は、ひずみセンサが設置されるプレス加工機の概略図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係るひずみ測定方法の手順を示すフローチャートである。
図8図8(a)~図8(c)は、ひずみ測定方法の手順を説明するための説明図である。図8(a)はダイプレートに測定孔を形成した状態を示し、図8(b)は測定孔にひずみセンサを挿入した状態を示し、図8(c)はひずみセンサの外周面を測定孔の内周面に密接させた設置完了状態を示す。
図9図9(a)、図9(b)は、板部が有する突出部の意義を説明するための説明図である。図9(a)は突出部を有さない比較態様の板部に荷重Xが加えられる様子を示し、図9(b)は突出部を有する板部に荷重Xが加えられる様子を示す。
図10図10(a)~図10(c)はそれぞれ、板部が備える突出部の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
本発明の実施形態のひずみセンサ100について、ひずみセンサ100(図1図2)をプレス加工機500(図6)のダイプレートDPに埋め込んで使用する場合を例として説明する。
【0020】
図1図2に示す通り、実施形態のひずみセンサ100は、本体部10とカバー部20とを主に有する。カバー部20は、円筒状の筒状カバー21を有し、本体部10の大部分は筒状カバー21の内部に収容されている。
【0021】
以下の説明では、筒状カバー21の中心軸をひずみセンサ100の中心軸AXとし、中心軸AXの延びる方向を軸方向と呼ぶ。筒状カバー21から本体部10の一部(後述する小径円筒部122)が突出している側を軸方向後側、その反対側を軸方向前側と呼ぶ。また。筒状カバー21の径方向、周方向をひずみセンサ100の径方向、周方向と呼ぶ。
【0022】
本体部10は、ひずみ検出部11と、ひずみ検出部11の軸方向後側に連結された本体側接続部12とを主に有する。
【0023】
ひずみ検出部11は、板部111と、板部111に貼り付けられたひずみゲージ112とを有する。
【0024】
板部111は、一例としてステンレス等の金属で形成された、略十字形の平板である。板部111の厚さは、一例として0.5mm~1.5mm程度とし得るが、これには限られず任意である。図3に示す通り、板部111は、ひずみ測定時に外部からの荷重を受けてひずみが生じる起歪部Fと、ひずみ測定時に外部からの荷重を起歪部Fに伝える一対の突出部P1、P2とを含む。
【0025】
起歪部Fは矩形であり、長手方向がひずみセンサ100の軸方向に一致し、短手方向がひずみセンサ100の径方向に一致している。また、中心軸AXは、起歪部Fの短手方向及び厚さ方向の中央部を通る。
【0026】
起歪部Fの長手方向の一端には、開口Aが形成されている。開口Aは、起歪部Fの短辺を介して板部111の周囲の空間に連通している。
【0027】
突出部P1は、起歪部Fの一方の長辺から、起歪部Fの短辺方向(即ち、起歪部Fの面内方向)に、台形状に突出している。突出部P2は、起歪部Fの他方の長辺から、起歪部Fの短辺方向に、台形状に突出している。突出部P1と突出部P2とは互いに同一の形状を有し、中心軸AXに関して線対称に配置されている。
【0028】
突出部P1、P2の頂部P1t、P2tはそれぞれ、ひずみセンサ100の軸方向の前側に進むに従って起歪部Fからの距離が大きくなるように、中心軸AXに対して所定の傾斜角を有して軸方向に延びている。これにより、突出部P1、P2の頂部P1t、P2tが、中心軸AXに関して対称なテーパを形成している。
【0029】
起歪部Fの径方向を向く各面の、突出部P1と突出部P2とによって挟まれた領域には、ひずみ集中領域(応力集中領域)SCが画成される。ひずみ集中領域SCは、外部からの荷重が板部111に加えられた時に、起歪部Fの中でも特に大きなひずみ(及び応力)が生じる領域である(詳細後述)。
【0030】
図4(a)に示す通り、ひずみゲージ112は、矩形の可撓性基材Bと、可撓性基材Bの上に形成された2つの第1方向ひずみ受感素子SE1及び2つの第2方向ひずみ受感素子SE2とを主に有する。第1方向ひずみ受感素子SE1は所定の第1方向(ここでは可撓性基材Bの長手方向)に生じたひずみを検知できるように構成されており、第2方向ひずみ受感素子SE2は第1方向に直交する第2方向(ここでは可撓性基材Bの短手方向)に生じたひずみを検知できるように構成されている。
【0031】
2つの第1方向ひずみ受感素子SE1と2つの第2方向ひずみ受感素子SE2とは、ホイートストンブリッジ回路WSBを構成するように、プリント配線PWにより接続されている。
【0032】
ひずみゲージ112は、板部111の起歪部Fの一面側のひずみ集中領域SCに、第1方向が起歪部Fの短手方向(ひずみセンサ100の径方向)に一致し、第2方向が起歪部Fの長手方向(ひずみセンサ100の軸方向)に一致するように貼り付けられている。
【0033】
本体側接続部12は、カバー部20のカバー側接続部22(後述)と協働して、本体部10とカバー部20とを、軸方向に相対移動可能に接続する。
【0034】
本体側接続部12は、一例としてステンレス等の金属で形成されており、大径円筒部121と、大径円筒部121の軸方向後側に、大径円筒部121と同軸状に連結された小径円筒部122とを含む。小径円筒部122の外径は、大径円筒部121の外径よりも小さい。大径円筒部121及び小径円筒部122の中心軸は、ひずみセンサ100の中心軸AXに一致している。
【0035】
図5(a)に示す通り、大径円筒部121の内孔121hと、小径円筒部122の内孔122hとは同一の径を有し、互いに連通して内孔12hを形成している。
【0036】
小径円筒部122の外周面122cの全域には、雄ねじMSが形成されている。また、小径円筒部122の後端部にはDカット部DCが形成されており、Dカット面DCsが中心軸AXに平行な面内に延びている。小径円筒部112の後端部に、径方向においてDカット部DCに対向するDカット部をもう一つ形成し、Dカット面DCsに平行なDカット面を形成してもよい。
【0037】
ひずみ検出部11と本体側接続部12とは、ひずみ検出部10の板部111の後縁が、本体側接続部12の大径円筒部121の前面に固定された状態で互いに一体に連結されている。板部111は、大径円筒部121の中心軸を通るように、大径円筒部121に接続されている。この状態において、板部111の起歪部Fの開口Aと、本体側接続部12の内孔12hとが連通する。
【0038】
また、ひずみ検出部11と本体側接続部12とは、板状の起歪部Fの径方向を向く表面とDカット面DCsとが互いに同一の方向を向くように、即ち互いに平行となるように連結されている。
【0039】
ひずみ検出部11の板部111と、本体側接続部12とは、例えばステンレス等の金属の丸棒から、削り出しにより一体成形したものであってもよい。
【0040】
カバー部20は、円筒状の筒状カバー21と、筒状カバー21の後端21r近傍に回動可能に内挿されたカバー側接続部22とを主に有する。
【0041】
図2及び図5(a)に示す通り、筒状カバー21は、本体部10の径方向外側に配置され、ひずみ検出部11の全体と、本体側接続部12の大部分を覆っている。換言すれば、本体部10のひずみ検出部11の全体と、本体側接続部12の大部分とは、筒状カバー21の内部に収容されている。
【0042】
筒状カバー21は、一例としてステンレス等の金属により形成されている。筒状カバーの外径は、一例として5mm~30mm程度とし得る。
【0043】
図5(a)に示す通り、筒状カバー21は、後端21rから前端21fに向かって、第1領域AR1、第2領域AR2、第3領域AR3の三つの領域に区画され、各領域において内径が異なる。
【0044】
第1領域AR1、及び第2領域AR2の各領域内においては、内径は一定であり、第1領域AR1における内径は、第2領域AR2における内径よりも大きい。第3領域AR3における内径は、軸方向後側から前側に進むに従って次第に大きくなっている。即ち、第3領域においては、筒状カバー21の内周面21iは中心軸AXに関して対称なテーパを形成している。
【0045】
筒状カバー21の周方向の3か所に、等間隔で、前端21fから後方に延びるスリットSLが形成されている。スリットSLの各々は、第3領域AR3の全域と、第2領域AR2の略前側半分の領域にわたって延びている。
【0046】
カバー側接続部22は、本体部10の本体側接続部12と協働して、本体部10とカバー部20とを、軸方向に相対移動可能に接続する。
【0047】
カバー側接続部22は、一例としてステンレス等の金属で形成されている。カバー側接続部22は、小径円筒部221と、小径円筒部221の軸方向後側に小径円筒部221と同軸状に連結された大径円筒部222と、大径円筒部222の軸方向後側に大径円筒部222と同軸状に連結された係合筒部223とを含む。小径円筒部221、大径円筒部222、及び係合筒部223の中心軸は、ひずみセンサ100の中心軸AXに一致している。
【0048】
小径円筒部221の外径は大径円筒部222の外径よりも小さい。
【0049】
係合筒部223は、外周面223cの一部を中心軸に平行な面で切り落として平面部223cfを形成した略円筒状である。係合筒部223の後端223rには、平面部223cfから径方向に突出する長方体の係合凸部EPが設けられている。また、係合筒部223の後端223rの近傍には、一対のDカット部が形成されており、Dカット面DC1s、DC2sが、互いに平行に、且つ平面部223cfに直交して中心軸AXに平行な面内に延びている。
【0050】
図5(a)に示す通り、小径円筒部221の内孔221hと、大径円筒部222の内孔222hと、係合筒部223の内孔223hとは互いに同一の径を有し、互いに連通して内孔22hを形成している。内孔22hを画定する内周面には、雌ねじFSが形成されている。
【0051】
カバー側接続部22は、筒状カバー21の後端21rの近傍に、筒状カバー21と同軸状に挿入されて、切り欠きリングRにより、脱落が防止されている。カバー側接続部22が筒状カバー21に挿入された状態においては、小径円筒部221の全体、大径円筒部222の全体、及び係合筒部223の前端近傍が筒状カバー21の内部に収容され、係合筒部223の後端223r側が筒状カバー21の後側に突出する。
【0052】
具体的には、図5(a)に示すように、小径円筒部221は筒状カバー21の第2領域AR2に、小径円筒部221の外周面が筒状カバー21の内周面21iに当接した状態で配置される。大径円筒部222は筒状カバー21の第1領域AR1に、大径円筒部222の外周面が筒状カバー21の内周面21iに当接した状態で配置される。切り欠きリングRは筒状カバー21の後端21r近傍の第1領域AR1に配置され、筒状カバー21に固定されている。これにより、カバー側接続部22は、軸方向の移動が規制されて回転移動のみが可能な状態で、筒状カバー21内に保持される。
【0053】
本体部10とカバー部20とは、本体部10の本体側接続部12の小径円筒部122を、カバー部20のカバー側接続部22の内孔22hに挿入し、雄ねじMSと雌ねじFSとを螺合することにより、同軸状に、且つねじの作用により軸方向に相対移動可能に接続される。このように、本体側接続部12とカバー側接続部22とにより本体部10と筒状カバー21とを軸方向に相対移動可能に接続する接続部(接続機構)が構成される。
【0054】
本体部10とカバー部20とが接続され、板部111が筒状カバー21の内部に収容された状態においては、図5(a)に示す通り、突出部P1、P2の頂部P1t、P2tがそれぞれ、筒状カバ-21の第3領域AR3において、筒状カバー21の内周面21iに当接している。
【0055】
この状態で、カバー側接続部22を回転させると、本体部10は軸方向に移動する。本体部10を軸方向後側に移動させると、突出部P1、P2が筒状カバー21を径方向外側に押し広げ、筒状カバー21の外径が大きくなる(図5(b))。
【0056】
板部111の起歪部Fに貼り付けられたひずみゲージ112から延びる配線W(図8(b)、(図8(c))は、開口A、内孔12hを通って、ひずみセンサ100の後方に引き出されている。なお、配線Wは図8(b)、図8(c)以外の図では図示を省略している。
【0057】
次に、実施形態のひずみセンサ100を用いて、プレス加工機500のダイプレートDPに生じたひずみを測定する方法を説明する。
【0058】
プレス加工機500は、図6に示す通り、ダイプレートDP、ダイプレートDPを保持するダイプレートホルダDH、パンチPN、パンチPNを保持するパンチホルダPH、及びパンチホルダPHをダイプレートホルダDHに対して上下移動可能に支持する複数のガイドポストGPを有する。プレス加工機500を用いたプレス加工を行う際には、被加工物の塑性加工や切断のため、ダイプレートDP上の被加工物にパンチPNによる圧力が加えられる。
【0059】
本実施形態のひずみ測定方法は、図7に示す通り、ダイプレートDPにひずみセンサ100が内部に設置される測定孔Hを形成する測定孔形成工程S1と、測定孔Hの内部にひずみセンサ100を固定的に設置するセンサ設置工程S2と、測定孔Hの内部のひずみセンサ100を用いてダイプレートDPに生じたひずみを測定する測定工程S3とを含む。
【0060】
測定孔形成工程S1においては、ダイプレートDPに、電動ドリル等を用いて測定孔Hを形成する。本実施形態においては筒状カバー21が円筒であるため、測定孔Hはひずみセンサ100の外径よりもわずかに大きな内径を有する円孔とすることが望ましい。
【0061】
図8(a)に示すように、測定孔Hは、測定対象のひずみが生じる方向(測定方向MD)に直交して延びるように形成する。本実施形態では、ダイプレートDPに生じる、パンチPNの移動方向(即ち垂直方向)のひずみを測定対象とし、ダイプレートDPには水平方向に延びる測定孔Hを形成するものとする。
【0062】
測定孔Hを形成する位置、及び測定孔Hの数は、測定目的に応じて任意に設定し得る。一般に、測定対象のひずみがより大きく生じる位置に測定孔Hを形成することで、測定対象のひずみがより大きく生じる位置にひずみセンサ100を配置することが可能となり、ひずみ測定の精度を高めることができる。ひずみが最も大きく生じる位置は、プレス加工機500のダイプレートDPにおいては、通常は、パンチPNがダイプレートDPを押圧する位置の直下である。
【0063】
センサ設置工程S2においては、まず、測定孔Hの入口近傍にひずみセンサ100を前側から挿入し、測定方向MDを考慮して板部111の方位を調整する。
【0064】
板部111の方位の調整は、具体的には、起歪部Fの径方向を向く面、即ちひずみゲージ112が貼り付けられた面が測定方向MDと平行となるように行う。板部111をこのように配置することにより、測定方向MDにおいて起歪部Fの両側に突出部P1、P2が配置され、測定方向MDに生じたひずみを、起歪部Fのひずみ集中領域SCに貼り付けられたひずみゲージ112を用いて、より高い精度で検出することができる(詳細後述)。なお、起歪部Fのひずみゲージ112が貼り付けられた面が測定方向MDに対して10°程度傾斜していても、十分な精度でひずみ検出を行うことが可能である。
【0065】
板部111の方位の調整は、本体側接続部12の小径円筒部122の後端に形成されたDカット面DCsを用いて容易に行うことができる。上述の通り、ひずみ検出部11と本体側接続部12とは、起歪部Fの径方向を向く面とDカット面DCsとが互いに平行となるように連結されている。そのため、Dカット面DCsを測定方向MDに平行とすることで、起歪部Fの径方向を向く面を測定方向MDに平行とすることができる。即ち、Dカット部DCは、板部111及び起歪部Fの方位調整を補助する方位調整補助部として機能する。
【0066】
板部111の方位を調整した後、ひずみセンサ100を、測定孔H内の設置予定位置まで押し込む。押し込みには、二重円筒状の挿入具50(図8(b))を用いる。
【0067】
挿入具50は、先端部がひずみセンサ100のカバー側接続部22の係合凸部EPに係合可能に形成された外側円筒51と、先端部がひずみセンサ100の本体側接続部12のDカット部DCに係合可能に形成された内側円筒52とを含む。
【0068】
挿入具50を用いてひずみセンサ100を押し込む際には、まず、ひずみゲージ112から延びる配線Wを内側円筒52の内孔(或いは、内側円筒52と外側円筒51との間)に通す。次いで、内側円筒52の先端部をDカット部DCに、外側円筒51の先端部を係合凸部EPにそれぞれ係合させた状態で挿入具50を測定孔H内に挿入し、ひずみセンサ100を測定孔Hに押し込む。
【0069】
ひずみセンサ100を設置予定位置まで押し込んだのち、内側円筒52を固定した状態で、外側円筒51のみを回転させる。これにより、本体部10の回転が規制された状態でカバー側接続部22が回転され、本体部10が筒状カバー21に対して後方に移動される。この時、ひずみ検出部11の板部111の突出部P1、P2が筒状カバー21の内周面21iを径方向外側に押圧することにより筒状カバー21の外径が大きくなり(図5(b))、筒状カバー21の外周面21cが測定孔Hを画成する内周面Hiに密接される(図8(c))。本体部10の回転が規制されているため、調整済である板部111の方位は維持されている。
【0070】
筒状カバー21の外周面21cが測定孔Hを画成する内周面Hiに密接することにより、ひずみセンサ100が、測定孔Hの内部に、固定的に設置される。また、この状態においては、板部111の突出部P1、P2の頂面P1t、P2tが筒状カバー21の内周面21iに密接し、筒状カバー21の外周面21cが測定孔Hを画成する内周面Hiに密接しているため、ダイプレートDPに生じたひずみは良好に起歪部Fに伝わる。そのため、ひずみ検出の精度は向上する。
【0071】
ひずみセンサ100を測定孔H内に固定的に設置した後、挿入具50を取り除き、配線Wを制御装置CONT(図8(c))に接続する。
【0072】
ひずみセンサ100を複数配置する場合は、測定孔形成工程S1とセンサ設置工程S2を同様に繰り返す。
【0073】
測定工程S3においては、ダイプレートDPの測定方向MDに生じたひずみの測定値を、本体部10のひずみ検出部11と、制御装置CONTとを主に用いて行う。具体的には次の手順による。
【0074】
ダイプレートDPに測定方向MDのひずみが生じると、設置孔Hの径が小さくなり、筒状ケース21を介して突出部P1、P2が起歪部Fに向けて押圧される。これにより起歪部Fが測定方向MDに圧縮されて起歪部Fにひずみが生じる。起歪部Fに生じるひずみは、具体的には、測定方向MD(ひずみセンサ100の径方向)に生じる圧縮ひずみと、測定方向MDに直交する方向(ひずみセンサ100の軸方向)に生じる伸びひずみである。
【0075】
起歪部Fのひずみ集中領域SCに貼り付けられたひずみゲージ112は、2つの第1方向ひずみ受感素子SE1と、2つの第2方向ひずみ受感素子SE2とを用いて、ひずみ集中領域SCに生じたひずみを検出する。具体的には、2つの第1方向ひずみ受感素子SE1の抵抗値が測定方向MDに生じる圧縮ひずみにより変化し、2つの第2方向ひずみ受感素子SE2の抵抗値が測定方向MDに直交する方向に生じる伸びひずみにより変化する。
【0076】
これらの抵抗値の変化により、ホイートストンブリッジWSBが出力する出力電圧の値が変化する。制御装置CONTは、配線Wを介して受け取った出力電圧の値の変化に基づいて、所定の演算式を用いて、ダイプレートDPに生じたひずみの測定値を求める。
【0077】
ここで、本実施形態のひずみセンサ100において、ひずみ検出部11の板部111が、起歪部Fから突出する突出部P1、P2を備えるのは次の理由による。
【0078】
まず、図9(a)に示すように、矩形板である起歪部Fの長辺側の側面が、測定孔Hを画成する内周面Hiに、接触面積A[mm]を有して当接している態様を考える。この態様においては、ダイプレートDPに測定方向MDのひずみが生じて荷重X[N]が起歪部Fに与えられた場合、起歪部Fに生じる圧縮応力の大きさは、σ=X/A[N/mm]となる。
【0079】
次に、図9(b)にように、矩形の起歪部Fの長辺から突出する一対の突出部Pの頂面が、測定孔Hを画成する内周面Hiに、接触面積A[mm]を有して当接している態様を考える。この態様においては、ダイプレートDPに測定方向MDのひずみが生じて荷重X[N] が起歪部Fに与えられた場合、一対の突出部Pに挟まれた起歪部Fの領域SCに生じる圧縮応力の大きさは、σ=X/A[N/mm]となる。
【0080】
ここで接触面積の大きさを比較するとA<Aであるため、圧縮応力の大きさはσ>σである。そして、矩形板である起歪部Fに生じる圧縮ひずみをε、起歪部Fの領域SCに生じる圧縮ひずみをεとすると、フックの法則により部材に生じる圧縮ひずみの大きさは部材に生じる圧縮応力の大きさに比例するため、ひずみの大きさはε>εである。
【0081】
このように、本実施形態の板部111のように、突出部P1、P2を設けて測定孔Hの内周面Hiとの接触面積を小さくすることで、突出部P1、P2の間に比較的大きなひずみが生じる部分(ひずみ集中部、応力集中部)が生じる。このようなひずみ集中部にひずみゲージを貼り付けることで、ダイプレートDP(被験体)に生じたひずみを増幅して高い感度で検出することができるため、より正確にひずみの検出及び測定を行うことができる。
【0082】
本実施形態のひずみセンサ100、及びひずみ測定方法の効果を以下にまとめる。
【0083】
本実施形態のひずみセンサ100は、板部111の起歪部Fの径方向両側に突出部P1、P2を設け、起歪部Fの突出部P1、P2に挟まれたひずみ集中領域SCにひずみゲージ112を貼り付けている。したがって、ダイプレートDP等の被験体に生じたひずみを、当該ひずみに起因するひずみ集中部SCの比較的大きなひずみ(増幅されたひずみ)を介して高い感度で検出できるため、ひずみ検出、及びひずみ測定を高い精度で行うことができる。
【0084】
本実施形態のひずみセンサ100は、ダイプレートDP等の被験体に形成された測定孔Hの内部の、比較的大きなひずみが生じる位置に設置することができる。このように、測定孔Hを形成して、比較的大きなひずみが生じる位置、即ち高い感度でひずみ検出が行える位置にひずみセンサ100を設置することで、ひずみ検出、及びひずみ測定の精度をより高めることができる。
【0085】
本実施形態のひずみセンサ100は、外径を大きくすることのできる筒状カバー21を備えている。そのため、板部111の突出部P1、P2で筒状カバー21を押圧して外径を大きくすることで、板部111の突出部P1、P2、筒状カバー21、及び測定孔Hの内周面Hiが互いに密接した状態を容易に実現することができる。ひずみセンサ100をこのような状態で設置することにより、ダイプレートDP等の被験体に生じたひずみが良好に起歪部Fに伝わるため、ひずみ検出及びひずみ測定の精度をより高めることができる。
【0086】
特に本実施形態では、突出部P1、P2の頂部P1t、P2tがテーパを形成しており、筒状カバー21の内周面21iもテーパを形成しているため、突出部P1、P2と筒状カバー21の内周面21iは良好に密接する。
【0087】
本実施形態のひずみセンサ100は、板部111が起歪部Fを備えており、起歪部Fが板状である。そのため、起歪部Fに4つのひずみ受感素子を設けて、2つのひずみ受感素子で測定方向MDに生じる圧縮ひずみを検出し、残る2つのひずみ受感素子で測定方向MDに直交する方向に生じる伸びひずみを検出する態様を用いることができる。このような態様を採用して、当該4つのひずみ受感素子によりホイートストンブリッジを構成することで、ひずみ検出、及びひずみ測定の精度をより高めることができる。
【0088】
<変形例>
上記実施形態のひずみセンサ100において、次の変形態様を用いることもできる。
【0089】
上記実施形態のひずみセンサ100においては、突出部P1、P2はそれぞれ平面視台形であり、頂部P1t、P2tによりテーパを形成していたがこれには限られない。突出部の形状は任意であり、例えば、図10(a)に示す板部111aのように起歪部Faの両側に平面視矩形の突出部P1a、P2aを備えてもよく、図10(b)に示す板部111bのように起歪部Fbの両側に平面三角形の突出部P1b、P2bを備えてもよく、図10(c)に示す板部111cのように起歪部Fcの両側に略正方形の突出部P1c、P2cを備えてもよい。
【0090】
また、突出部P1、P2は、必ずしも起歪部Fと一体の板部として形成される必要はなく、板状の起歪部Fに取り付けられて起歪部Fから突出する、円柱形状、角柱形状、球状等の突出部でもよい。
【0091】
このように突出部P1、P2は、起歪部Fが筒状カバー21の内周面21iに直接接触する場合よりも小さい接触面積で内周面21iに当接するように構成された任意の突出部(即ち、径方向を向く頂部の面積が、径方向を向く起歪板の側面の面積よりも大きい任意の突出部)であってよい。また、起歪部Fの両側の一対の突出部は、必ずしも互いに同一の形状である必要はなく、中心軸AXを中心として対称でなくてもよい。
【0092】
上記実施形態のひずみセンサ100においては、2つの第1方向ひずみ受感素子SE1と2つの第2方向ひずみ受感素子SE2とを備えるひずみゲージ112を起歪部Fの片面に張っているが、これには限られない。図4(b)に示すような、単一の第1方向ひずみ受感素子SE1と単一の第2方向ひずみ受感素子SE2とを備えるひずみゲージ112’を、第1方向ひずみ受感素子SE1、第2方向ひずみ受感素子SE2がそれぞれ径方向、軸方向のひずみを検出するように起歪部Fの両面に1つずつ張って、2つのひずみゲージ112’を繋いでホイートストンブリッジを形成してもよい。
【0093】
また、起歪部Fに設けられたひずみ受感素子のみでホイートストンブリッジを構成する必要はなく、単一の第1方向ひずみ受感素子SE1又は単一の第2方向ひずみ受感素子SE2のみを備える単ゲージのひずみゲージ等、任意のひずみゲージを、起歪部Fの片面、又は両面に貼り付けることができる。
【0094】
上記実施形態のひずみセンサ100においては、筒状カバー21は円筒状であったがこれには限られない。筒状カバー21は、軸に直交する断面形状が四角形の筒や多角形の筒等、任意の筒状部材とし得る。
【0095】
上記実施形態のひずみセンサ100においては、筒状カバー21に複数のスリットSLを設けて筒状カバー21の外径を可変としている。しかしながらこれには限られず、単一のスリットSLを設けるのみでもよい。
【0096】
また、スリットSLを設けることなく筒状カバー21の外径を可変とすることもできる。具体的には例えば、筒状カバーの厚さを十分に薄くすることによって、本体部10から加えられる内圧に応じて外径が大きくなる筒状カバーを構成することができる。
【0097】
上記実施形態のひずみセンサ100は、本体部10の突出部P1、P2の頂部P1t、P2t、及びカバー部20の筒状カバー21の内周面21iをそれぞれ、軸方向前側に向かうにしたがって広がるテーパ状とし、本体部10を筒状カバー21に相対して後方に移動させることにより筒状カバー21の外径を大きくするように構成されている。しかしながらこれには限られず、本体部10の突出部P1、P2の頂部P1t、P2t、及びカバー部20の筒状カバー21の内周面21iをそれぞれ、軸方向後ろ側に向かうにしたがって広がるテーパ状としてもよい。この構成によれば、本体部10を筒状カバー21に相対して前方に移動させることにより、筒状カバー21の外径が大きくなる。
【0098】
上記実施形態のひずみセンサ100は、本体部10が有する本体側接続部12とカバー部20が有するカバー側接続部22とによって、ひずみ検出部11と筒状カバー21とが、互いに相対移動可能に一体接続されているが、これには限られない。
【0099】
本体側接続部12及びカバー側接続部22を省略して、筒状カバー21の中に、ひずみ検出部11が、筒状カバー21から分離可能な状態で収容されたひずみセンサとすることもできる。このようなひずみセンサを測定孔H内に設置する際には、例えば、ひずみセンサを測定孔H内に押し込んだのち、所定の挿入具を用いて、筒状カバー21の移動を規制しつつひずみ検出部11を手前に引く。これにより、ひずみ検出部11が筒状カバー21に相対して軸方向に移動し、筒状カバー21の外径が拡げられる。
【0100】
上記実施形態のひずみセンサ100においては、本体部10の本体側接続部12に形成されたDカット部DCが方位調整補助部として機能していたが、これには限られない。板部111及び起歪部Fの方位調整を補助するための構造は任意であり、例えば本体側接続部12の小径円筒部122の後端に設けられた凸部やマーキング等の目印であってよい。
【0101】
上記実施形態のひずみセンサ100は、必ずしも筒状カバー21を備える必要はなく、例えば、本体部10のひずみ検出部11のみによりひずみセンサを構成することもできる。
【0102】
このようなひずみセンサを測定孔Hの内部に配置する場合は、例えば測定孔Hを奥に進むに従って径が小さくなるテーパ状に形成して、当該テーパ孔にひずみセンサを押し込む。
【0103】
以上、実施形態及び変形態様のひずみセンサ及びひずみ測定方法を、プレス加工機500への適用を例として説明したがこれには限られない。実施形態及び変形態様のひずみセンサ及びひずみ測定方法は、プレス加工機とは異なる任意の工作機械に対して用いることができ、工作機械とは異なる任意の被験体に対して用いることができる。被験体は、金属には限られず、コンクリートや樹脂など、任意の材料であってよい。
【0104】
具体的には例えば、実施形態又は変形態様のひずみセンサをコンクリートや樹脂の内部に予め埋め込んでおき、必要な時点で筒状カバーの外径を拡げてその際のプレロード値(反力)を測定すれば、当該測定値に基づいてコンクリートや樹脂の硬度を測定することができる。このような硬度測定は、コンクリートや樹脂への適用に限られず、例えばパン生地などの食品に対して用いることもできる。また、実施形態又は変形態様のひずみセンサを予め建築物等に埋め込んでおき、定期的にこのような硬度測定をすることで、当該建築物等の経年劣化を監視することができる。
【0105】
実施形態又は変形態様のひずみセンサを水中に配置して、水圧の測定を行うこともできる。この場合は、本体部が備えるひずみ検知部を筒状カバーにより密封する構成とすることが望ましい。
【0106】
被験体に振動が生じれば、被験体内部のわずかな変位がひずみセンサの出力に影響を及ぼし得るため、実施形態又は変形態様のひずみセンサにより、被験体に生じた振動を測定することもできる。
【0107】
実施形態又は変形態様のひずみセンサを用いて嵌め合いの確認を行うこともできる。具体的には例えば、所定の外径を有する筒状カバーを備えたひずみセンサを穴の中に挿入し、その際に測定されるひずみの値が適切であるか否かに基づいて、穴の寸法が適切であるか否かを判定することができる。
【0108】
実施形態又は変形態様のひずみセンサを用いて糸やケーブルの張力等を測定することもできる。具体的には例えば、糸やケーブルを架設する際に、実施形態又は変形態様のひずみセンサに巻き付いた部分を設けておき、ひずみセンサの測定値に基づいて糸やケーブルの張力を算出する。
【0109】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
10 本体部、11 ひずみ検出部、111 板部、112 ひずみゲージ、12 本体側接続部、20 カバー部、21 筒状カバー、22 カバー側接続部、500 プレス加工機、DP ダイプレート、F 起歪部、P1,P2 突出部
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