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特許7500183非侵襲的な定量的多層評価方法および結果として得られる多層構成要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】非侵襲的な定量的多層評価方法および結果として得られる多層構成要素
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20240610BHJP
   B32B 38/10 20060101ALI20240610BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01B11/06 H
B32B38/10
G01N21/88 Z
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019206603
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2020106520
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-11-08
(31)【優先権主張番号】18210779
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス・クレメンス・スチャブ
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー・ベティ・クレール・デュバル
(72)【発明者】
【氏名】ピエローダニエル・グラッソ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン・レネ・アンドレ・ツィンマーマン
(72)【発明者】
【氏名】ノルベルト・リュッケ
【審査官】國田 正久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146511(JP,A)
【文献】特開2008-266698(JP,A)
【文献】特開2010-43351(JP,A)
【文献】実開昭58-039509(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108571934(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103075972(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 - 11/30
G01N 21/84 - 21/958
B32B 38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層構成要素(100)の層厚を分析する方法であって、当該方法
前記多層構成要素(100)の表面(154)上の選択された場所において、前記多層構成要素(100)に部分的に所定の幾何学的形状を有する開口部(120)を作成するステップであって、前記多層構成要素(100)、基板(104)ボンドコート(110)及び空乏層(118)少なくとも含む複数の材料層を含み、前記開口部(120)、前記基板(104)を含む前記複数の材料層の各々を露出させるステップと、
デジタル顕微鏡(150)を使用して、前記開口部(120)の前記露出した複数の材料層の画像(152)を作成するステップと、
前記画像(152)から、前記開口部(120)の前記所定の幾何学形状に基づいて、少なくとも、前記露出した複数の材料層の前記ボンドコート(110)の厚さ(T及び前記空乏層(118)の厚さ(T を計算するステップ
前記空乏層(118)の前記厚さ(T )及び前記ボンドコート(110)の前記厚さ(T )に基づいて、前記ボンドコート(110)の平均余命を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ボンドコート(110)MrCrAlYを含み、前記空乏層(118)が前記ボンドコート(110)上にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の材料層、前記空乏層(118)上に酸化物層(116)をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記開口部(120)の作成の後に存在するコントラストから前記開口部(120)のみで前記露出した複数の材料層のコントラストを増加させるステップをさらに含む、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記コントラストを増加させるステップが
前記露出した複数の材料層を研磨するステップと、
前記露出した複数の材料層をエッチングするステップ(144)と
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記研磨するステップが、ダイヤモンドペースト(142)を有するフェルト(140)を使用するステップを含み、前記エッチングするステップ(144)、エッチング液を使用するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の材料層前記空乏層(118)上の酸化物層(116)と、前記ボンドコート(110)上の前記空乏層(118)と、前記基板(104)上の前記ボンドコート(110)とを含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記開口部(120)作成するステップが、円錐形の穴(122)を作成するために穿孔するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
記多層構成要素(100)をその所定の目的に使用することができるように、前記開口部(120)を修復するステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記穿孔するステップの前に、前記多層構成要素(100)、前記酸化物層(116)上に遮熱コーティング(TBC)層(114)をさらに含み、前記穿孔するステップの前に前記TBC層(114)の少なくとも一部を除去するステップをさらに含み、前記修復するステップが、前記TBC層(114)の前記少なくとも一部を修復するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
当該方法、前記多層構成要素(100)の使用前に実行される、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
当該方法、前記多層構成要素(100)の使用現場の地理的場所で実行される、請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記開口部(120)を修復するステップが、少なくとも1つの手持ち式デバイスを使用するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、非破壊材料試験に関し、より具体的には、多層構成要素の層に関する定量的データを分析する方法、および結果として得られる多層構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
材料性質の定量的調査および品質チェックは、例えば、適用されたコーティング厚さ、空乏レベルなどを決定するために必要とされることがある。そのような評価は、プロセスの認定、定期的な生産監視、多層構成要素の残りの寿命の決定のために、または多層構成要素の修復範囲を決定するための初期評価としてしばしば必要である。これらの評価を実施するために、商用構成要素からの切断採取が行われる。その結果、構成要素は破壊(破棄)され、新しい部品と交換する必要がある。例えば、金属基板上のセラミック層の界面剥離やサーモグラフィなどによる層厚を評価するための限定的な非破壊試験が利用可能である。しかし、これらのアプローチには、寿命に関連する性質、特にボンドコートの空乏に関する定量的データを提供する能力がない。さらに、そのような評価は、現場で(現場でも取り外された部品でも)実行することができない。
【発明の概要】
【0003】
本開示の第1の態様は、多層構成要素の層厚を分析する方法を提供し、方法は、多層構成要素の表面上の選択された場所において、多層構成要素に部分的に所定の幾何学的形状を有する開口部を作成することであって、多層構成要素は、基板およびボンドコートを含む複数の材料層を含み、開口部は、基板を含む複数の材料層の各々を露出させることと、デジタル顕微鏡を使用して、開口部の露出した複数の材料層の画像を作成することと、画像から、開口部の所定の幾何学形状に基づいて、露出した複数の材料層のボンドコートの少なくとも厚さを計算することとを含む。
【0004】
本開示の第2の態様は、基板と、基板上のボンドコートと、ボンドコート上の遮熱コーティング(TBC)層であって、TBC層は、高温ガス経路環境への暴露の徴候を有する第1の外側表面を有するTBC層と、基板、ボンドコートおよびTBC層の被充填開口部であって、被充填開口部は、基板の被充填開口部を充填する基板修復充填物、ボンドコートの被充填開口部を充填するボンドコート修復充填物、およびTBC層の被充填開口部を充填する遮熱コーティング(TBC)プラグであって、TBCプラグは、高温ガス経路環境への暴露の徴候を全くまたはほとんど有さない第2の外側表面を有するTBCプラグを含む被充填開口部とを備える、多層構成要素を提供する。
【0005】
本開示の第3の態様は、多層構成要素の層厚を分析する方法を含み、方法は、多層構成要素の表面上の選択された場所において、多層構成要素に部分的に所定の幾何学的形状を有する開口部を作成するために穿孔することであって、多層構成要素は、基板、基板上のボンドコートを含む複数の材料層を含み、開口部は、複数の材料層の各々を露出させることと、露出した複数の材料層を研磨することによって、開口部の作成の後に存在するコントラストから開口部のみで露出した複数の材料層のコントラストを増加させ、露出した複数の材料層をエッチングすることと、デジタル顕微鏡を使用して、開口部の露出した複数の材料層の画像を作成することと、画像から、開口部の所定の幾何学形状に基づいて、ボンドコートの少なくとも厚さを計算することと、開口部を修復し、多層構成要素をその意図された目的に使用することができるようにすることとを含む。
【0006】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面と併せて、本開示の様々な態様に関する以下の詳細な説明から、より容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】タービンブレードの形態の例示的な多層構成要素の斜視図である。
図2】多層構成要素の例示的な層の断面図である。
図3】本開示の一実施形態による、開口部を作成する断面図である。
図4】本開示の別の実施形態による、開口部を作成する断面図である。
図5】本開示の一実施形態による、開口部の層のコントラストを任意に増加させる断面図である。
図6】本開示の一実施形態による、開口部の層の画像を作成する断面図である。
図7】本開示の一実施形態による、開口部の層の例示的な画像を示す図である。
図8】本開示の一実施形態による、層厚を計算するための開口部の層の概略図である。
図9】本開示の一実施形態による、修復された多層構成要素の層の断面図である。
図10】本開示の別の実施形態による、修復された多層構成要素の層の断面図である。
【0008】
本開示の図面は、原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを示すことを目的としており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではない。図面では、図面間で類似する符号は、類似する要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初の問題として、本開示を明確に説明するために、多層構成要素の関連する部品を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。これを行う場合、可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0010】
ある要素または層が別の要素または層に対して「上に」、「係合される」、「係合解除される」、「接続される」、または「結合される」と言及される場合には、他の要素または層に対して直接上に、係合され、接続され、または結合されてもよいし、あるいは介在する要素または層が存在してもよい。逆に、ある要素が別の要素または層に対して「直接上に」、「直接係合される」、「直接接続される」、または「直接結合される」と言及される場合には、介在する要素または層は存在しなくてもよい。要素間の関係について説明するために使用される他の語も、同様に解釈されるべきである(例えば、「~の間に」に対して「直接~の間に」、「~に隣接して」に対して「直接~に隣接して」など)。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のいずれかおよび1つまたは複数のすべての組合せを含む。
【0011】
本開示の実施形態は、多層構成要素の層厚などの定量的データを分析する方法を提供する。方法は、多層構成要素の侵襲的影響が少ない状態で必要な定量的データを得る。特に、必要に応じて、商用多層構成要素の再利用を可能にしつつ利用可能な(局所)修復手順を使用して、完全に復元することができる多層構成要素に開口部が作成される。加えて、構成要素の評価は、構成要素の製造中および使用現場で実行することができる。構成要素は、現場修復ソリューションを使用して現場で修復可能である。
【0012】
図1は、タービンブレードの形態の例示的な多層構成要素100の斜視図を示す。本開示の教示は、層の任意の形成方法、例えば、溶接、ろう付け、溶射などを使用して作られた任意の多層構成要素に適用することができる。図2の断面図に示すように、多層構成要素100は、複数の材料層を含むことができる。図示の例では、1つまたは複数の保護層106が基板104上にあり得る。基板104は、金属基板として作用する任意の金属もしくは金属合金、またはセラミックマトリックス複合材などのセラミックを含むことができる。タービンブレードの目的のために、基板104は、例えば、超合金を含むことができ、これは、限定はしないが、高い機械的強度、高い熱クリープ変形抵抗など、従来の合金と比較して多数の優れた物理的特性を有する合金を指し得る。超合金は、限定はしないが、Rene 108、CM247、Haynes合金、Incalloy、MP98T、TMS合金、CMSX単結晶合金、N5、GTD 444、MarM 247およびIN 738を含む。あるいは、基板104は、様々な他の金属または合金を含んでもよい。「ガンマプライム」(γ’)は、ニッケル基合金の主要な強化相である。例示的な高ガンマプライム超合金は、限定はしないが、Rene 108、N5、GTD 444、MarM 247およびIN 738を含む。一実施形態では、ボンドコート110は、ガンマ-ガンマプライム構造(例えば、ガンママトリックスγ-Ni(Co、Cr)中のγ’相[Ni3(Al、Ti)]相)を含んでもよく、別の実施形態では、基板104は、ガンマ-ベータ構造、例えば、ガンママトリックスγ-Ni(Co、Cr)中のβ-NiAl相を含んでもよい。セラミックに関して、基板104は、高温ガス経路環境で機能するように構成された任意の現在知られているまたは今後開発されるセラミックを含んでもよい。
【0013】
保護層106は、例えば、高温の腐食環境から基板104を保護するために、任意の現在知られているまたは今後開発される保護層を含んでもよい。一実施形態では、保護層106は、ボンドコート110(単独で使用される場合はオーバレイコートとしても知られる)、およびボンドコート上のトップコート112(注、「トップコート」は、最外コーティングとして層112を必ずしも示すとは限らない)の少なくとも1つを含んでもよい。ボンドコート110は、限定はしないが、ニッケルまたは白金アルミナイド、ニッケルクロムアルミニウムイットリウム(NiCrAlY)またはニッケルコバルトクロムアルミニウムイットリウム(NiCoCrAlY)など、任意の現在知られているまたは今後開発されるボンドコート材料を含んでもよい。ボンドコート110は、ガンマ-ガンマプライム構造(例えば、ガンママトリックスγ-Ni(Co、Cr)中のγ’相[Ni3(Al、Ti)]相)を含むことができる。一実施形態では、ボンドコート110は、モデル番号4522A、および4522CとしてAmdryから市販されているものなどのクロム-アルミニウム-イットリウム合金(MCrAlY)を有する金属(M)を含んでもよい。ボンドコート110は、例えば、高速酸素燃料(HVOF)の適用、低圧プラズマ溶射(LPPS)または大気圧プラズマ溶射(APS)を使用して適用することができる。
【0014】
遮熱コーティング(TBC)層114は、ボンドコート110上に設けられてもよい。TBC層114の材料は、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ムライトおよびアルミナを含み得る。
【0015】
操作中、図3に示すように、要素は、ボンドコート110から拡散して空乏層118を作成することができ、その一部は最終的に酸化し、熱成長酸化物層116(以下「酸化物層116」)を作成し得る。基板104の組成およびボンドコート110の形成方法に応じて、酸化物層116は、操作中、アルミニウム、例えば、ボンドコート110からのガンママトリックスγ-Ni(Co、Cr)中のγ’相[Ni3(Al、Ti)]相の拡散によって形成されてもされなくてもよい。
【0016】
本開示の実施形態が有利である基板104およびボンドコート110の3つの例示的な配置は、以下を含む。A)ボンドコート110に空乏を示し、本開示の教示を使用して識別可能な空乏層118を作成する、HVOFまたはLPPSによって適用されたガンマ-ガンマプライム構造のMCrAlYボンドコート110を有する基板104。ここで、例えば、アルミニウムは拡散し、酸化されて酸化物層116を形成する。本開示の実施形態は、ボンドコート110の空乏の測定を可能にする。B)APSによって適用されたガンマ-ベータ構造のMCrAlYボンドコート110を有する基板104。ここで、図4に示すように、空乏は発生せず、ボンドコート110の厚さのみが本開示の実施形態を使用して測定される、すなわち、ボンドコート110の劣化はこの方法では測定することができないためである。C)HVOFまたはLPPSによって適用されたガンマ-ベータ構造のMCrAlYボンドコート110を有する基板104。この後者の配置は、本開示の教示を使用して識別可能な操作(配置Aのような)により、図3に示すようにボンドコート110に空乏層118を示す、すなわち、アルミニウムが拡散および酸化して酸化物層116を形成する。2つから3つの保護層106が示されているが、本開示の教示は、任意の数の層および様々な拡散要素に適用可能であることが強調される。TBC以外の材料もまた、用いることができる。
【0017】
また、図3および図4は、多層構成要素100の表面上の選択された場所において、多層構成要素100に部分的に所定の幾何学的形状を有する開口部120、すなわち、試験部位開口部を作成することを示す。開口部120を形成する前に、図3に示すようにほとんどの場合、TBC層114の少なくとも一部は、例えば、グリットまたはサンドブラストによって除去される。例えば、穿孔によって開口部120を作成するのに必要なTBC層114の領域のみを除去する必要がある。すなわち、TBC層114のすべてを除去する必要はなく、開口部120を作るために使用されるツールの領域よりもわずかに大きい領域のみを除去する必要がある。開口部120は、多層構成要素100に所定の幾何学的形状を形成するためのいくつかの方法で作成することができる。図3に示す一実施形態では、開口部120は、穿孔によって作成され、円錐形の穴122を作成する。異なる形状の他の穴もまた、可能である。例えば、図4は、球形セグメント開口部124を作成するために、キャロット研削(calotte grinding)によって作成された開口部120を示す。他の材料除去ツール、例えば、ミリングツールもまた、多層構成要素100に所定の幾何学的形状を作成するために使用することができる。「所定の幾何学的形状」は、先端、線、表面、角度、長さおよび他の寸法がわかっている任意の形状を含み得る。以下で説明するように、所定の幾何学的形状により、開口部120の画像から得られた寸法を使用して、限定はしないが、層厚、空乏レベル、相互拡散レベル、または熱影響ゾーンの存在など、層、特にボンドコート110に関する定量的データを計算することが可能になる。図3の実施形態の一例では、ドリルビットは、約130~150°の正確な先端角と、例えば、約2.5ミリメートル~7ミリメートルの直径とを有し得る。開口部120の場所は、例えば、構成要素の視覚的評価を可能にし(新規/使用後)、所望に応じて材料性質を定義するように、ユーザが選択可能である。複数の開口部120を使用して、多層構成要素100の様々な局所的な領域を試験することができる。構成要素の条件に応じて、破壊試験を使用した場合に必要となる構成要素の特定の切断計画に基づいた従来の制限なしに、異なる場所で異なるパラメータを評価することができる。マスク(図示せず)は、再現可能な場所での定期的なチェックに使用可能である。
【0018】
図3の穿孔の実施形態について図5に示すように、開口部120は、基板104を含む材料層104、110(存在する場合、116、118)の各々を露出させる。すなわち、各層104、110(存在する場合、116、118)の少なくともいくつかの部分、例えば、表面、角、縁部などは、開口部120によって明らかにされる。開口部120のサイズは、限定はしないが、コーティング厚さ、予想される最悪の場合の壁貫通厚さ、所望の開口部120の最小および/または最大厚さなど、様々な要因に基づいてもよい。適切なドリルビットの直径および角度は、あらゆるこれらの要因に基づいて選択されてもよい。基板104は、最小限に露出されるべきであり、その中に亀裂または他の大きな損傷を生じさせないように露出されるべきである。上記の状況を達成するために、穿孔速度およびダウン圧力が正確に制御される。
【0019】
場合によっては、開口部120が作成された後に存在するコントラストと比較してコントラストを増加させることが有益である。図5はまた、開口部120のみで露出した複数の材料層104、110、118のコントラストを任意に増加させることを示す。一実施形態では、プロセスは、露出した複数の材料層104、106を研磨することを含むことができる。このプロセスは、例えば、ダイヤモンドペースト142を有するフェルト140を使用した研磨を含んでもよい。この場合、コントラストを増加させることは、例えば、研磨後に露出した複数の材料層104、106をエッチングすること144を任意に含んでもよい。エッチングは、限定はしないが、アルミニウム富化相のモリブデンエッチング液、またはクロム富化相の村上エッチング液など、任意の現在知られているまたは今後開発されるエッチング液を使用することを含んでもよい。電気化学エッチングにより、表面のコントラストを高めることも可能である。研磨は、例えば、本明細書に記載の配置A)およびC)のようにボンドコート110が空乏化している場合に有利であり得る。このようにして、本開示の実施形態は、ボンドコート110の厚さおよび空乏層118の厚さ、すなわち、空乏層118(および酸化物層116)を形成するボンドコート110の拡散量、およびボンドコート110として残る量を達成することができる。空乏層118の厚さおよびボンドコート110の厚さは、ボンドコート110の残りの寿命、すなわち、ボンドコート110の平均余命に関係し得る。他の実施形態では、コントラストを増加させる必要はない、すなわち、研磨またはエッチングは実行されない。この後者のプロセスは、空乏化していない特定のボンドコート110に適用することができ、例えば、劣化は本明細書に記載の配置B)のような内部酸化により発生する。
【0020】
図6は、デジタル顕微鏡150、例えば、手持ち式および携帯型の顕微鏡を使用して、開口部120の露出した複数の材料層104、106の画像を作成することを示す。デジタル顕微鏡150は、任意の現在知られているまたは今後開発される顕微鏡を含んでもよい。一実施形態では、デジタル顕微鏡150は、手持ち式および携帯型であり得、例えば、タービン内部などの多層構成要素の使用分野で使用することができる。
【0021】
図7は、使用された多層構成要素100の開口部120および露出された材料層の例示的な画像152を示す。新たに製造された多層構成要素100には、ボンドコート110および基板104のみが存在することが理解される。ボンドコート110の深さまたは厚さは、開口部120の所定の幾何学的形状に基づいて画像152から計算することができる。図8は、図6の開口部120について画像152から引き出された寸法、例えば、それぞれ層104、110、118の層d、dおよびdの横径の概略図を示す。開口部120の所定の幾何学的形状は、層104、110、118の露出した表面の既知の角度αを提供する。三角法を適用すると、T=((d/2)-(d/2))tanβ、およびT=((d/2)-(d/2))tanβとなる。角度βは、水平に対する開口部120の角度である。したがって、ボンドコート110の厚さ(T)を決定することができる。さらに、存在する場合、空乏層118の厚さ(T)を決定することができる。空乏層118の厚さ(T)は、ボンドコート110の空乏の量を示している。すなわち、空乏層118の厚さを使用して、ボンドコート110の残りの寿命(平均余命)を決定することができる。
【0022】
計算された厚さに基づいて、限定はしないが、ボンドコート110の厚さ、すなわち、無傷のボンドコート110の厚さ、および拡散プロセスから生じる空乏層118の厚さなどの定量的データの決定を確認することができる。新規製造の場合、ボンドコート110の厚さを使用して、例えば、製品の品質を確認し、後で評価するためにボンドコートの厚さをベンチマークすることができる。使用された多層構成要素100については、ボンドコート110の空乏の量を使用して、例えば、従来のアルゴリズム的技法または経験に基づいたモデリング技法を使用して残りの平均余命を予測することができる。例えば、既知のボンドコート材料について、ボンドコート110の50%が使用されている場合、多層構成要素100の予想される動作条件の下で1200時間の動作時間が残っていることを示し得る。さらに、ボンドコート110の厚さおよび/または空乏層118の厚さを使用して、ボンドコート110の平均余命を決定することもできる。
【0023】
従来の破壊材料試験とは対照的に、必要に応じて、多層構成要素100を評価することができ、かつ修復することができる。すなわち、開口部120を修復することができ、多層構成要素100をその意図された目的のために、例えば、翼形部として使用することが可能になる。修復プロセスは、提供される材料の開口部120のための任意の現在知られているまたは今後開発される修復プロセスを含むことができる。例えば、基板104およびボンドコート110の修復は、レーザワイヤ溶接またはタングステン不活性ガス(TIG)溶接の少なくとも1つを含み得る。修復デバイスは、手持ち式であってもよい。あるいは、基板104および/またはボンドコート110は、溶射プロセス、例えば、APS、火炎溶射などによって修復されてもよい。TBC層114の修復は、APSおよび火炎溶射のいずれかなどの任意の溶射プロセスを含むことができる。あるいは、TBC114は、スラリーコーティングプロセスを含んでもよい。酸化物層116は、修復されない。図9は、(図3の実施形態の)修復された開口部120を示す。
【0024】
上述のように、本明細書に記載の方法の実施形態は、適切な構築および/またはベンチマーク層の厚さを確認するために、多層構成要素100の使用前に、すなわち、製造後に実行することができる。あるいは、本開示の実施形態は、多層構成要素100の使用の地理的場所、例えば、タービンロータブレードの場合の発電所で実行することができる。多層構成要素100が現場にある場合、その使用設定から取り外すことができるが、または例えば、タービン内のその使用設定のままであってもよい。所定の位置のままである場合、多層構成要素100は、開口部120の修復後に、例えば、再設置なしで使用することができる。現場にある場合、開口部120の修復は、少なくとも1つの手持ち式デバイス、例えば、TIG溶接機、火炎溶射などを使用することを含み得る。
【0025】
図9は、本開示の実施形態による方法を行った後の、使用された(すなわち、使用済み)多層構成要素100の断面図を示す。多層構成要素100は、基板104、基板104上のボンドコート110、およびボンドコート110上のTBC層114を含むことができる。TBC層114は、例えば、ガスタービンでの使用から高温ガス経路環境への暴露の徴候を有する第1の外側表面170を有する。すなわち、第1の外側表面170は、例えば、汚れていたり、摩耗していたり、かつ/または異なる色もしくは陰影を有していたりすることがある。被充填開口部172は、基板104、ボンドコート110、および設けられる場合、TBC層114にある。酸化物層116および/または空乏層118は、被充填開口部172の外側に存在し得る。被充填開口部172は、基板104、すなわち、開口部120の基板部分160の被充填開口部172を充填する、基板104の金属と同一または同様の(あるいはより良好な性質の)材料を含む基板修復充填物164を含む。多層構成要素100はまた、ボンドコート110、すなわち、開口部120のボンドコート部分168の被充填開口部172を充填するボンドコート修復充填物174を含む。ボンドコート修復充填物174は、ボンドコート110と同一または同様の(あるいはより良好な性質の)材料を含む。示すように、基板104の開口部120が非常に小さいので、基板修復充填物164は、ボンドコート修復充填物174と同じ材料であり得る、すなわち、修復充填物164および174は同じである。この状況では、ボンドコート修復充填物174は、基板104内に延びる。遮熱コーティング(TBC)プラグ176は、TBC層114の被充填開口部172、すなわち、TBC層114が除去された場所を充填する。TBCプラグ176は、TBC層114の第1の外側表面170よりも暴露の徴候を全くまたはほとんど有さない第2の外側表面176を有するが、これは第2の外側表面176が操作雰囲気および温度が確認されていないか、異なる製造プロセスが適用されているため、すなわち、新しくて(わずかに異なる性質、例えば、多孔性を有する場合がある)汚れが少なく、TBC層114とは異なる色/陰影を有し得るためである。TBCプラグ176(図示)またはボンドコート修復充填物174のいずれかは、酸化物層116および/または空乏層118の被充填開口部172を充填し得る。図9の例では、開口部120は、少なくとも円錐形の部分を有する周辺部を有する。図4の実施形態による開口部120が用いられる場合、開口部120は、少なくとも球形部分を有する周辺部を有することが理解される。しかし、いずれにしても、図9に示すように、開口部120の周辺部は、最外層、例えば、TBC層114およびTBCプラグ176では肉眼では見えない。最終的な修復プロセスは、例えば、研削または研磨によって多層構成要素100の外側表面170、176を輪郭付けすることを含んでもよい。
【0026】
図10は、被充填開口部172において、修復が基板修復充填物164を有する基板104、およびボンドコート修復充填物174を有するボンドコート110のみを修復することを含む別の実施形態を示す。ここで、空乏層118、酸化物層116およびTBC層114は存在しない。再び、基板104の開口部120が非常に小さいので、基板修復充填物164は、ボンドコート修復充填物174と同じ材料であり得る、すなわち、修復充填物164および174は同じである。TBC層114は、提供も修復もされていない。最終的な修復プロセスは、例えば、研削または研磨によって多層構成要素100の表面154を輪郭付けすることを含んでもよい。図10では、開口部120の存在は、表面154において肉眼では見えない。しかし、切り開かれた場合、開口部120の残部が多層構成要素100に観察され得る。
【0027】
本開示の実施形態は、必要に応じて、局所的な材料復元によるその再利用を可能にしつつ、商用構成要素に対する破壊的影響が最小限である多層構成要素(例えば、コーティング、ろう付け、溶接などを有する基板)の定量的評価(例えば、厚さ、空乏、結合、熱影響ゾーンなど)を提供する。したがって、方法は、商用部品のセクショニング/破壊による完全な冶金学的調査を回避し、多層構成要素の冶金学的調査のための破棄部品を回避する。加えて、方法は、条件ベースの修復を可能にし、破壊試験技法と比較して修復範囲を縮小することができる。方法は、製造中または使用後、現場で使用することができる。
【0028】
上記の図面は、本開示のいくつかの実施形態による関連する処理のいくつかを示す。これに関連して、いくつかの代替の実施態様では、記載している動作が記載した順序から外れて実行されることがあり、または例えば、関連する動作に応じて実質的に同時に、または逆の順序で実際に実施される場合があることにも留意されたい。また、当業者であれば、処理を説明する付加的なステップを追加することができることを認識するであろう。
【0029】
本明細書で使用している専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意の」または「任意に」は、後で述べられる事象または状況が、起こる場合も起こらない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こる事例と、起こらない事例とを含むことを意味する。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動できる任意の定量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組合せおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両方の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0031】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作および均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を遂行するための、一切の構造、材料、または動作を包含することを意図している。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されたもので、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。当業者には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく多くの変更および変形が明らかであろう。本開示の原理および実際の応用を最もよく説明し、想定される特定の使用に適するように様々な変更を伴う様々な実施形態の開示を他の当業者が理解できるようにするために、実施形態を選択し説明した。完全を期すために、本発明の様々な態様を以下の番号付きの節で説明する。
1.多層構成要素の層厚を分析する方法であって、前記方法は、
前記多層構成要素の表面上の選択された場所において、前記多層構成要素に部分的に所定の幾何学的形状を有する開口部を作成することであって、前記多層構成要素は、基板およびボンドコートを含む複数の材料層を含み、前記開口部は、前記基板を含む前記複数の材料層の各々を露出させることと、
デジタル顕微鏡を使用して、前記開口部の前記露出した複数の材料層の画像を作成することと、
前記画像から、前記開口部の前記所定の幾何学形状に基づいて、前記露出した複数の材料層の前記ボンドコートの少なくとも厚さを計算することと
を含む、方法。
2.前記ボンドコートは、MrCrAlYを含み、前記複数の材料層は、前記ボンドコート上に空乏層をさらに含み、
前記空乏層の厚さを決定することをさらに含む、
節1に記載の方法。
3.前記空乏層の前記厚さおよび前記ボンドコートの前記厚さの少なくとも1つに基づいて、前記ボンドコートの平均余命を決定することをさらに含む、節2に記載の方法。
4.前記複数の材料層は、前記空乏層上に酸化物層をさらに含む、節2に記載の方法。
5.前記開口部の作成は、円錐形の穴を作成するために穿孔することを含む、節1に記載の方法。
6.前記開口部の作成の後に存在するコントラストから前記開口部のみで前記露出した複数の材料層のコントラストを増加させることをさらに含む、節1に記載の方法。
7.コントラストを前記増加させることは、
前記露出した複数の材料層を研磨することと、
前記露出した複数の材料層をエッチングすることと
を含む、節6に記載の方法。
8.前記研磨することは、ダイヤモンドペーストを有するフェルトを使用することを含み、前記エッチングすることは、エッチング液を使用することを含む、節7に記載の方法。
9.前記複数の材料層は、前記ボンドコート上の酸化物層と、前記基板上の前記ボンドコートとを含む、節1に記載の方法。
10.前記開口部を修復し、前記多層構成要素をその意図された目的に使用することができるようにすることをさらに含む、節1に記載の方法。
11.前記穿孔することの前に、前記多層構成要素は、前記酸化物層上に遮熱コーティング(TBC)層をさらに含み、前記穿孔することの前に前記TBC層の少なくとも一部を除去することをさらに含み、前記修復することは、前記TBC層の前記少なくとも一部を修復することを含む、節1に記載の方法。
12.前記方法は、前記多層構成要素の使用前に実行される、節1に記載の方法。
13.前記穿孔することの前に、前記多層構成要素は、前記ボンドコート上に遮熱コーティング(TBC)層をさらに含み、前記穿孔することの前に前記TBC層の少なくとも一部を除去することをさらに含み、前記修復することは、前記TBC層の前記少なくとも一部を修復することを含む、節12に記載の方法。
14.前記方法は、前記多層構成要素の使用現場の地理的場所で実行される、節1に記載の方法。
15.前記開口部を前記修復することは、少なくとも1つの手持ち式デバイスを使用することを含む、節14に記載の方法。
16.基板と、
前記基板上のボンドコートと、
前記ボンドコート上の遮熱コーティング(TBC)層であって、前記TBC層は、高温ガス経路環境への暴露の徴候を有する第1の外側表面を有するTBC層と、
前記基板、前記ボンドコートおよび前記TBC層の被充填開口部であって、前記被充填開口部は、
前記基板の前記被充填開口部を充填する基板修復充填物、
前記ボンドコートの前記被充填開口部を充填するボンドコート修復充填物、および
前記TBC層の前記被充填開口部を充填する遮熱コーティング(TBC)プラグであって、前記TBCプラグは、前記第1の外側表面よりも前記高温ガス経路環境への暴露の徴候を全くまたはほとんど有さない第2の外側表面を有するTBCプラグ
を含む被充填開口部と
を備える、多層構成要素。
17.前記基板の前記被充填開口部を充填する前記基板修復充填物は、前記ボンドコートの前記被充填開口部を充填する前記ボンドコート修復充填物と同じ材料である、節16に記載の多層構成要素。
18.多層構成要素の層厚を分析する方法であって、前記方法は、
前記多層構成要素の表面上の選択された場所において、前記多層構成要素に部分的に所定の幾何学的形状を有する開口部を作成するために穿孔することであって、前記多層構成要素は、基板、前記基板上のボンドコートを含む複数の材料層を含み、前記開口部は、前記複数の材料層の各々を露出させることと、
前記露出した複数の材料層を研磨することによって、前記開口部の作成の後に存在するコントラストから前記開口部のみで前記露出した複数の材料層のコントラストを増加させ、前記露出した複数の材料層をエッチングすることと、
デジタル顕微鏡を使用して、前記開口部の前記露出した複数の材料層の画像を作成することと、
前記画像から、前記開口部の前記所定の幾何学形状に基づいて、前記ボンドコートの厚さを計算することと、
前記開口部を修復し、前記多層構成要素をその意図された目的に使用することができるようにすることと
を含む、方法。
19.前記方法は、前記多層構成要素の使用現場の場所の地理的場所で実行される、節18に記載の方法。
20.前記穿孔することの前に、前記多層構成要素は、前記酸化物層上に遮熱コーティング(TBC)層をさらに含み、前記穿孔することの前に前記TBC層を除去することをさらに含み、前記修復することは、前記TBC層を修復することを含む、節18に記載の方法。
【符号の説明】
【0032】
100 多層構成要素
104 基板、材料層
106 保護層、材料層
110 ボンドコート、材料層
112 トップコート、層
114 遮熱コーティング(TBC)層
116 熱成長酸化物層、材料層
118 空乏層、材料層
120 開口部
122 円錐形の穴
124 球形セグメント開口部
140 フェルト
142 ダイヤモンドペースト
144 エッチング
150 デジタル顕微鏡
152 画像
154 表面
160 基板部分
164 基板修復充填物
168 ボンドコート部分
170 第1の外側表面
172 被充填開口部
174 ボンドコート修復充填物
176 遮熱コーティング(TBC)プラグ、第2の外側表面
厚さ
厚さ



α 角度
β 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10