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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】偏心多軸シールド掘進機
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/087 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
E21D9/087 A
E21D9/087 B
E21D9/087 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019223531
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021092079
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-07-22
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521478094
【氏名又は名称】地中空間開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】花岡 泰治
(72)【発明者】
【氏名】石黒 剣二
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-310091(JP,A)
【文献】特開2006-112165(JP,A)
【文献】特開2002-206393(JP,A)
【文献】特開平10-280879(JP,A)
【文献】特開2004-084384(JP,A)
【文献】実開平02-018594(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/087
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削領域と略相似形のカッタヘッドを、駆動軸に対し同一方向に同一距離偏心した複数の軸で支持して回転駆動することにより、前記カッタヘッドを平行クランク運動をさせ、前記掘削領域の軌跡に沿って移動させることによりトンネルを掘削する偏心多軸シールド掘進機であって、
1つの前記カッタヘッドと、
各々が駆動ギヤを含み、掘進方向に延びる各中心軸線回りに回転する複数の前記駆動軸と、
前記複数の駆動軸毎に1つずつ設けられ、前記駆動軸の前記中心軸線の周りを公転するように、前記駆動軸の前記中心軸線に対して偏心した位置で回転可能に前記駆動軸に支持されるとともに、前記カッタヘッドを支持する偏心体と、
前記複数の駆動軸の前記駆動ギヤに噛み合うことにより、前記1つのカッタヘッドを駆動させる前記複数の駆動軸の駆動を同期させて、前記1つのカッタヘッドの回転を円滑にする中間ギヤとを備え
前記偏心体は、掘進方向に貫通する貫通穴が設けられるとともに、前記カッタヘッドを直接または間接的に支持する座部と、前記座部を前記駆動軸側から支持する複数の支柱部とを有している、偏心多軸シールド掘進機。
【請求項2】
前記駆動ギヤは、前記中間ギヤの両側に一対設けられている、請求項1に記載の偏心多軸シールド掘進機。
【請求項3】
前記中間ギヤは、前記複数の駆動軸の前記駆動ギヤの間に1つ設けられている、請求項1または2に記載の偏心多軸シールド掘進機。
【請求項4】
前記偏心体は、前記駆動軸の前記中心軸線と前記偏心体の中心軸線との間の距離を示す偏心量の2倍以上の径よりも大きな領域で前記カッタヘッドを支持している、請求項1~3のいずれか1項に記載の偏心多軸シールド掘進機。
【請求項5】
前記座部は、掘進方向と交差する方向に延びる板状に形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の偏心多軸シールド掘進機。
【請求項6】
前記偏心体は、掘進方向に直交する方向に離間して設けられ、前記1つのカッタヘッドを支持する複数の支持軸部を有している、請求項1~5のいずれか1項に記載の偏心多軸シールド掘進機。
【請求項7】
前記支持軸部は、4つ設けられ、
前記偏心体は、掘進方向と直交する方向に延びる略矩形の平板形状に形成され、四隅に前記支持軸部が1つずつ固定される前記座部を有している、請求項6に記載の偏心多軸シールド掘進機。
【請求項8】
前記カッタヘッドは、前記支持軸部が挿入される穴部を含み、
前記穴部と前記支持軸部との間には、前記支持軸部に対する前記カッタヘッドの位置ずれを許容する隙間が設けられている、請求項6または7に記載の偏心多軸シールド掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削領域と略相似形のカッタヘッドを、駆動軸に対し同一方向に同一距離偏心した複数の軸で支持して回転駆動することにより、カッタヘッドを平行クランク運動させ、掘削領域の軌跡に沿って移動させることによりトンネルを掘削する偏心多軸シールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掘削領域と略相似形のカッタヘッドを、駆動軸に対し同一距離で同一方向に偏心した複数の軸で支持して回転駆動することにより、カッタヘッドを平行クランク運動させ、掘削領域の軌跡に沿って移動させることによりトンネルを掘削するシールド掘進機が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、掘削盤(カッタヘッド)と、複数の自転軸(駆動軸)と、自転軸に対して偏心して設けられ、掘削盤を支持する公転軸(偏心体)とを備えるシールド掘進機が開示されている。公転軸は、複数の自転軸毎に1つずつ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平6-96948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のシールド掘進機では、掘削盤(カッタヘッド)などが掘削時に大きな荷重を受けた場合に所定の自転軸(駆動軸)の回転に対して他の自転軸の回転にずれが生じたり、複数の自転軸または複数の公転軸(偏心体)の製作時における互いの軸心の製作誤差やその誤差に対応するために設けたクリアランスおよび構造の変形などに起因して、掘削盤の円滑な回転が妨げられるという不都合があった。なお、掘削盤の円滑な回転が妨げられた場合、掘削盤が回転不能になったり、あるいは掘削盤のねじれ等が発生することがあり、好ましくない。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数の駆動軸の駆動を確実に同期させることによって、カッタヘッドを円滑に回転させることが可能な偏心多軸シールド掘進機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の偏心多軸シールド掘進機は、掘削領域と略相似形のカッタヘッドを、駆動軸に対し同一方向に同一距離偏心した複数の軸で支持して回転駆動することにより、カッタヘッドを平行クランク運動をさせ、掘削領域の軌跡に沿って移動させることによりトンネルを掘削する偏心多軸シールド掘進機であって、1つのカッタヘッドと、各々が駆動ギヤを含み、掘進方向に延びる各中心軸線回りに回転する複数の駆動軸と、複数の駆動軸毎に1つずつ設けられ、駆動軸の中心軸線の周りを公転するように、駆動軸の中心軸線に対して偏心した位置で回転可能に駆動軸に支持されるとともに、カッタヘッドを支持する偏心体と、複数の駆動軸の駆動ギヤに噛み合うことにより、1つのカッタヘッドを駆動させる複数の駆動軸の駆動を同期させて、1つのカッタヘッドの回転を円滑にする中間ギヤとを備え、偏心体は、掘進方向に貫通する貫通穴が設けられるとともに、カッタヘッドを直接または間接的に支持する座部と、座部を駆動軸側から支持する複数の支柱部とを有している
【0008】
この発明の偏心多軸シールド掘進機では、上記のように、複数の駆動軸の駆動ギヤに噛み合うことにより、複数の駆動軸の駆動を同期させる中間ギヤを設ける。これにより、所定の駆動軸が回転した際に、中間ギヤを介して他の駆動軸を強制的に適切な方向に回転させることができるとともに、中間ギヤを介して複数の駆動軸を略同時に回転させることができる。その結果、複数の駆動軸の駆動を確実に同期させることによって、カッタヘッドを円滑に回転させることができる。また、複数の駆動軸の駆動ギヤに略同平面で噛み合う中間ギヤという構成により、複数の駆動軸の同期を図ることができ、駆動ギヤ後部の空間を占有することがないので、カッタヘッドに通される配線や配管を設けるための空間を容易に確保することができる。
【0009】
上記偏心多軸シールド掘進機において、好ましくは、駆動軸は、中間ギヤの両側に一対設けられている。このように構成すれば、駆動軸の数を、カッタヘッドを円形状の軌跡に沿って移動させることが可能な最小の数(2つ)にすることができるので、駆動軸の数が3つ以上である場合と比較して、いずれかの駆動軸に発生する同期不良などの不具合を低減することができるとともに、構造の簡素化することができる。その結果、構造の簡素化を図りながら、カッタヘッドをより円滑に回転させることができる。
【0010】
上記偏心多軸シールド掘進機において、好ましくは、中間ギヤは、複数の駆動軸の駆動ギヤの間に1つ設けられている。このように構成すれば、簡易な構成により、複数の駆動軸の駆動を確実に同期させることができる。また、複数の中間ギヤが設けられた際の中間ギヤ同士の回転のずれを防止することができる。
【0011】
上記偏心多軸シールド掘進機において、好ましくは、偏心体は、駆動軸の中心軸線と偏心体の中心軸線との間の距離を示す偏心量の2倍以上の径よりも大きな領域でカッタヘッドを支持している。このように構成すれば、比較的広い範囲でカッタヘッドを支持することができるので、安定してカッタヘッドを支持することができる。
【0012】
上記偏心多軸シールド掘進機において、好ましくは、座部は、掘進方向と交差する方向に延びる板状に形成されている。このように構成すれば、偏心体の中間部(座部の駆動軸側)は、複数の支柱部によって構成されて、座部の中央に貫通穴(開口)が設けられるので、カッタヘッドの前面より偏心体の内側を土砂が通過することが可能になる。その結果、偏心体が掘進方向に直交する方向において大きな範囲で構成されていても、カッタヘッドの前面からの土砂の流入を阻害することなく、貫通穴(開口)と複数の支柱部の間の隙間とを介して、効果的に土砂をチャンバ内に流入させることができる。
【0013】
上記偏心多軸シールド掘進機において、好ましくは、偏心体は、掘進方向に直交する方向に離間して設けられ、1つのカッタヘッドを支持する複数の支持軸部を有している。このように構成すれば、偏心体が1箇所でカッタヘッドを支持する場合と比較して、偏心体が互いに掘進方向に直交する方向において比較的広い範囲でカッタヘッドを支持することができるので、偏心体によって安定してカッタヘッドを支持することができる。その結果、カッタヘッドをより円滑に回転させることができる。
【0014】
この場合、好ましくは、支持軸部は、4つ設けられ、偏心体は、掘進方向と直交する方向に延びる略矩形の平板形状に形成され、四隅に支持軸部が1つずつ固定される座部を有している。このように構成すれば、4つの支持軸部を共通の座部に固定することができるので、4つの支持軸部における互いの軸心の狂いを抑制することができる。このため、偏心体によって、より安定してカッタヘッドを支持して、カッタヘッドをより一層円滑に回転させることができる。
【0015】
上記偏心体が1つのカッタヘッドを支持する複数の支持軸部を有する構成において、好ましくは、カッタヘッドは、支持軸部が挿入される穴部を含み、穴部と支持軸部との間には、支持軸部に対するカッタヘッドの位置ずれを許容する隙間が設けられている。このように構成すれば、互いに異なる構造であるカッタヘッドと偏心体の支持軸部との連結箇所に隙間が設けられるので、製作時に発生する複数の駆動軸における互いの軸心の狂いを、隙間により吸収することができる。その結果、カッタヘッドをより円滑に回転させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、複数の駆動軸の駆動を確実に同期させることによって、カッタヘッドを円滑に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態による偏心多軸シールド掘進機を前方側から示した斜視図である。
図2】実施形態による偏心多軸シールド掘進機を掘進方向から示した正面図である。
図3図2の500-500線に沿った断面図である。
図4】実施形態による偏心多軸シールド掘進機のカッタヘッド駆動機構およびカッタヘッドの模式図であり、(A)は正面図であり、(B)は左右方向からの側面図であり、(C)は前方側からの斜視図である。
図5】実施形態による偏心多軸シールド掘進機のカッタヘッド駆動機構の分解斜視図である。
図6図2の510-510線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1図6を参照して、実施形態による偏心多軸シールド掘進機100について説明する。
【0020】
なお、各図では、偏心多軸シールド掘進機100の前後方向をX方向により示す。X方向のうち、偏心多軸シールド掘進機100の掘進方向(前方)をX1方向により示し、後方をX2方向により示す。また、上下方向をZ方向により示す。Z方向のうち、上方をZ1方向により示し、下方をZ2方向により示す。また、掘進方向および上下方向に直交する方向(左右方向)をY方向により示す。
【0021】
(偏心多軸シールド掘進機の構成)
図1および図2に示すように、偏心多軸シールド掘進機100は、縦断面(掘進方向に直交する方向の断面)が非円形形状である異形断面を有するシールド掘進機である。詳細には、偏心多軸シールド掘進機100のカッタヘッド2は、概して、上下方向を長手方向とする楕円形状の異形断面を有している。
【0022】
偏心多軸シールド掘進機100は、掘削領域と略相似形のカッタヘッド2を、駆動軸3に対し同一方向に同一距離偏心した複数の軸で支持して同時に回転駆動することにより、カッタヘッド2を平行クランク運動をさせ、掘削領域の軌跡に沿って移動させることによりトンネルを掘削するように構成されている。したがって、偏心多軸シールド掘進機100により掘削されるトンネルの断面形状は、カッタヘッド2と略相似形状(概して、上下方向を長手方向とする楕円形状)になる。
【0023】
図3に示すように、偏心多軸シールド掘進機100は、胴体10と、隔壁11と、カッタヘッド2と、カッタヘッド2を駆動させるカッタヘッド駆動機構100aとを備えている。
【0024】
(胴体および隔壁の構成)
胴体10は、掘進方向(前後方向)に延びる筒形状を有している。胴体10の外縁は、概して、上下方向を長手方向とする楕円形状の異形断面を有している。
【0025】
胴体10は、内周側にチャンバ12が設けられる前胴部10aと、前胴部10aの後方に配置される後胴部10bとを含んでいる。後胴部10bの内周側には、掘進機本体を前進させるシールドジャッキ(図示せず)や、セグメントを組み付けるエレクタ装置(図示せず)などが配置されている。
【0026】
隔壁11は、前胴部10aの内周側に配置されている。隔壁11は、前方側の空間であるチャンバ12と、後方側の空間である作業空間との2つに胴体10内の空間を区画している。隔壁11には、カッタヘッド駆動機構100aが設置されている。隔壁11には、チャンバ12の土砂をスクリュコンベア(図示せず)により排出するための開口(図示せず)が設けられている。
【0027】
(カッタヘッドの構成)
図1および図2に示すように、カッタヘッド2には、複数のカッタビットBが設置されている。カッタヘッド2は、偏心多軸シールド掘進機100の前方端部に1つ設けられている。カッタヘッド2は、上記の通り、概して、上下方向を長手方向とする楕円形状を有している。
【0028】
カッタヘッド2は、複数の梁部材により形成されるフレーム型のカッタヘッド2である。詳細には、カッタヘッド2は、カッタヘッド2の楕円形状の外縁を形成する梁部材と、左右方向に延びる複数(6つ)の梁部材と、上下方向に延びる複数(2つ)の梁部材とを含み、格子状に形成されている。梁部材は、上下方向および左右方向に略等間隔で配置されている。
【0029】
上下方向に延びる複数(2つ)の梁部材と、左右方向に延びる複数(6つ)の梁部材とは、互いに交差している(交差部20を有している)。一例ではあるが、交差部20は、左右方向に2行、かつ、上下方向に6列の配列により合計12箇所に設けられている。
【0030】
交差部20(カッタヘッド2)は、カッタヘッド駆動機構100aの後述する支持軸部が挿入される穴部21を含んでいる。
【0031】
詳細には、カッタヘッド2は、上端側の2列の交差部20(合計4つの交差部20)に、前後方向に貫通する穴部21が設けられている。また、カッタヘッド2は、下端側の2列の交差部20(合計4つの交差部20)に、前後方向に貫通する穴部21が設けられている。なお、上端側の2列の交差部20(合計4つの交差部20)と、下端側の2列の交差部20(合計4つの交差部20)とは、上下方向の中間に位置する2列の交差部20(合計4つの交差部20)と比較して、穴部21を形成するために、掘進方向から見て矩形の厚肉状に形成されている。
【0032】
穴部21は、掘進方向に延びる円形状に形成されている。穴部21の前端には、内径が一回り大きくなる円形状のザグリ部21aが設けられている。ザグリ部21aには、カッタヘッド駆動機構100aの後述するピン42の移動規制部42aが配置されている。なお、ピン42は、特許請求の範囲の「支持軸部」の一例である。
【0033】
(カッタヘッド駆動機構の構成)
カッタヘッド駆動機構100aは、複数(2つ)の駆動軸3と、複数(2つ)の駆動軸3毎に1つずつ設けられた偏心体4と、各駆動軸3に1つずつ設けられた複数(2つ)の駆動ギヤ31の間に1つ設けられた中間ギヤ5(アイドルギヤ)と、複数(2つ)の駆動ギヤ31の各々を直接駆動させる複数のカッタ駆動モータ6(図4(A)参照)とを備えている。なお、図1では、実際には隔壁11により中間ギヤ5が隠れる位置にあるが、説明の便宜上、中間ギヤ5を実線により示している。
【0034】
すなわち、カッタヘッド駆動機構100aは、1つの駆動軸3、1つの偏心体4およびカッタ駆動モータ6により構成される駆動ユニットを一対備えており、一対の駆動ユニットの間に配置される中間ギヤ5により、一対の駆動ユニットの駆動を同期させるように構成されている。一対の駆動ユニットは、上下方向に並ぶように配置されている。すなわち、駆動軸3(駆動ギヤ31)および偏心体4は、中間ギヤ5の上下方向の両側に一対設けられている。
【0035】
〈カッタヘッド駆動機構の構成の概略〉
ここで、カッタヘッド駆動機構100aの各部の詳細について説明する前に、カッタヘッド駆動機構100aおよびカッタヘッド2を模式的に示した図4(A)~(C)を参照して、カッタヘッド駆動機構100aの構成の概略について説明する。説明では、上下一対の駆動ユニット(1つの駆動軸3、1つの偏心体4およびカッタ駆動モータ6)のうち、上方側の構成のみについて説明する。
【0036】
なお、図4(A)~(C)では、理解容易化のため、駆動軸3は駆動ギヤ31を含む円柱形状に、偏心体4は小径の円柱形状に、中間ギヤ5は大径の円柱形状に、カッタヘッド2を平板形状に簡略化して図示している。
【0037】
図4(B)に示すように、駆動ギヤ31は、隔壁11に固定された状態で、複数(5つ)のカッタ駆動モータ6により駆動されるように構成されている。複数(5つ)のカッタ駆動モータ6は、駆動ギヤ31の周方向に略等角度間隔で配置されている。駆動ギヤ31は、掘進方向に延びる中心軸線α回りに回転するように構成されている。
【0038】
図4(B)および(C)に示すように、偏心体4は、駆動軸3の前方で、かつ、カッタヘッド2の後方に配置されている。偏心体4は、駆動軸3の中心軸線αに対して掘進方向に直交する方向に偏心した位置で、駆動軸3に回転可能に支持されている。
【0039】
偏心体4は、駆動軸3が中心軸線α回りに回転することによって、中心軸線αの周りを公転(図4(A)の二点鎖線で示す矢印方向に移動)するように構成されている。すなわち、偏心体4は、中心軸線αの周りを公転するように、中心軸線αに対して偏心した位置で駆動軸3に支持されている。なお、偏心体4の駆動軸3に対する偏心量D1は、中心軸線αと偏心体4の掘進方向に延びる中心軸線βとの間の距離である。
【0040】
偏心体4は、後方からカッタヘッド2を支持している。偏心体4は、カッタヘッド2に対して固定されていない。すなわち、偏心体4は、偏心体4に対するカッタヘッド2の僅かな位置ずれを許容した状態でカッタヘッド2を支持している。偏心体4の中心軸線βは、左右方向において、カッタヘッド2の中間に配置されている(図4(A)参照)。
【0041】
中間ギヤ5は、隔壁11に含まれる壁部11b(図2参照)に固定されている。壁部11bは、カッタ駆動モータ6を支持している。中間ギヤ5は、軸受部11c(図2参照)により中心軸線γ(図2参照)回りに回転可能に支持されている。中間ギヤ5は、複数(2つ)の駆動ギヤ31に噛み合うことにより、複数(2つ)の駆動軸3の駆動を同期させるように構成されている。中間ギヤ5は、駆動ギヤ31が中心軸線α回りに回転することによって、掘進方向に延びる中心軸線γ回りに回転するように構成されている。中間ギヤ5は、複数(2つ)の駆動ギヤ31により駆動される駆動力を有さない従動ギヤである。中心軸線γは、複数(2つ)の駆動ギヤ31の中心軸線αの中間に配置されている。図4(A)に示すように、中間ギヤ5の直径d1は、駆動ギヤ31の直径d2と略等しい。
【0042】
中間ギヤ5の直径d1を駆動ギヤ31の直径d2と略等しくなるように構成しているが、実施例の断面形状において、適切な大きさで構成したものであり、部品の共通化を図る効果も得られている。
【0043】
また、中間ギヤの直径が駆動ギヤの直径に対して小さくなる程、中間ギヤの各外歯の噛み合い数が駆動ギヤの各外歯の噛み合い数よりも多くなり、経時的な使用に伴う中間ギヤの交換時期が早まることになる。さらに、中間ギヤが負担する接線力は大きなものとなる。したがって、中間ギヤ5の直径d1と駆動ギヤ31の直径d2とを略等しくすることにより、中間ギヤ5の劣化を抑制して、中間ギヤ5の交換時期が早まることを回避することができ、負担する接線力も同等となる。
【0044】
以下、カッタヘッド駆動機構100aの各部の詳細(具体的)な構成について順に説明する。説明では、上下一対の駆動ユニット(1つの駆動軸3、1つの偏心体4およびカッタ駆動モータ6)のうち、上方側の構成について主に説明する。
【0045】
〈カッタ駆動モータおよび駆動軸の構成〉
図3に示すカッタ駆動モータ6は、上記の通り、1つの駆動ギヤ31に対して複数(5つ)設けられている。カッタ駆動モータ6は、減速機を含んでいる。カッタ駆動モータ6の出力軸の前端には、ピニオン6aが設けられている。ピニオン6aは、駆動ギヤ31に側方(掘進方向に直交する方向)から噛み合うことにより、駆動ギヤ31を回転させるように構成されている。
【0046】
駆動軸3は、駆動軸本体30と、駆動軸本体30に後方から固定される駆動ギヤ31(被支持部)と、駆動軸本体30の前方に固定される環状の軸受部32とを備えている。
【0047】
駆動ギヤ31(駆動軸3)は、隔壁11に設けられた環状の軸受部11aに内周側から支持されることにより、掘進方向に延びる中心軸線α(軸受部11aの中心軸線)回りに回転可能に構成されている。駆動ギヤ31は、外歯を有し、外歯とピニオン6aとが噛み合うことにより、掘進方向に延びる中心軸線α回りに回転するように構成されている。駆動ギヤ31は、下端において、外歯と中間ギヤ5とが噛み合うことにより、中間ギヤ5を掘進方向に延びる中心軸線γ(図2参照)回りに回転させるように構成されている。なお、中間ギヤ5の回転方向は、2つの駆動軸3(駆動ギヤ31)とは逆である。
【0048】
軸受部32は、偏心体4を後方から駆動軸3に対して回転可能に支持している。
【0049】
〈偏心体の構成〉
偏心体4は、偏心体本体41と、偏心体本体41に前方から固定される複数(4つ)のピン42とを備えている。
【0050】
偏心体4は、カッタヘッド2を掘進方向に直交する方向に離間した複数(4)箇所(4つの交差部20)で支持することにより(図1参照)、偏心体4に対してカッタヘッド2を回転することがない状態で支持している。
【0051】
偏心体本体41は、駆動軸3の環状の軸受部32に内周側から支持される被支持部41aと、被支持部41aに前方から固定される複数(4つ)の支柱部41bと、支柱部41bに前方から固定される座部41cとを含んでいる。
【0052】
被支持部41a(偏心体4)は、軸受部32に内周側から支持されることにより、掘進方向に延びる中心軸線β(軸受部11aの中心軸線)回りに駆動軸3に対して回転可能に構成されている。この際、2つの偏心体4がカッタヘッド2を上方側および下方側の2箇所を支持していることから、駆動軸3が中心軸線α回りに回転した場合に、偏心体4は、カッタヘッド2の姿勢を保持しながら(掘進方向から見て、カッタヘッド2を傾かせることなく)、中心軸線αの周りを公転するように構成されている(図4(A)に示す二点鎖線のカッタヘッド2を参照)。すなわち、カッタヘッド2は平行クランク運動を行う。
【0053】
図5に示すように、複数(4つ)の支柱部41bは、掘進方向(前後方向)に延びる円柱形状を有している。複数(4つ)の支柱部41bは、掘進方向(前後方向)から見て、2行2列となる略矩形形状(略正方形形状)に配列されている。複数(4つ)の支柱部41bは、座部41cを駆動軸3側(後方)から支持している。
【0054】
座部41cは、掘進方向と直交(交差)する方向に延びる略矩形(略正方形)の平板形状(板状)に形成されている。座部41cには、中心に前後方向に貫通する貫通穴4aが設けられている。貫通穴4aは、掘削した土砂をチャンバ12内に取り込む機能を有している。座部41cは、ピン42を介してカッタヘッド2を間接的に支持している。座部41cは、前方から四隅にピン42が1つずつ固定されるように構成されている。この際、ピン42は、溶接またはボルトによる螺合などの手段により座部41cに固定される。
【0055】
複数(4つ)のピン42は、掘進方向に直交する方向に離間して設けられている。複数(4つ)のピン42は、掘進方向(前後方向)から見て、2行2列となり、複数(4つ)の支柱部41bよりも一回り大きい略矩形形状(略正方形形状)に配列されている。複数(4つ)のピン42は、カッタヘッド2の交差部20に設けられた穴部21に前方から挿入されて、偏心体本体41に固定されることにより、1つのカッタヘッド2を支持している。
【0056】
ピン42は、前後方向に延びる円柱形状を有している。ピン42の前端には、外径が一回り大きくなる円形状の移動規制部42aが設けられている。ピン42は、移動規制部42aをカッタヘッド2のザグリ部21aに配置することにより、移動規制部42aによりカッタヘッド2の前方への移動を規制して、カッタヘッド2の脱落を防止している。
【0057】
詳細には、偏心多軸シールド掘進機100は、カッタヘッド2が前方に移動しようとした場合に、ザグリ部21aに配置された移動規制部42aにカッタヘッド2が後方から当接して、カッタヘッド2の前方への移動が規制されるように構成されている。
【0058】
図6に示すように、ピン42とカッタヘッド2の穴部21との間には、ピン42に対するカッタヘッド2の位置ずれを許容する隙間(クリアランス)C1およびC2が設けられている。すなわち、カッタヘッド2は、偏心体4に固定されてはおらず、偏心体4に対して僅かな移動(位置ずれ)が許容された状態で偏心体4に支持されている。
【0059】
隙間C1は、ピン42の半径方向の隙間であり、ピン42の外径に対して十分に小さく設定されている。隙間C2は、ピン42の掘進方向の隙間であり、ピン42の掘進方向の長さに対して十分に小さく設定されている。一例ではあるが、ピン42の外径が300mmである場合に、隙間C1は、半径方向3mm(片側3mm)に設定される。この場合、隙間C2は、片側1mmに設定される。
【0060】
図2に示すように、偏心体4は、駆動軸3の中心軸線αと偏心体4の中心軸線δとの間の距離を示す偏心量D1の2倍以上の径よりも大きな領域Rでカッタヘッド2を支持している。すなわち、上下方向(左右方向)における2つのピン42の中心軸線δ間の間隔D2は、偏心体4の駆動軸3に対する偏心量D1の2倍よりも大きい。すなわち、偏心体4は、複数のピン42により、カッタヘッド2を掘進方向に直交する方向において、比較的大きく離間した複数の位置で支持することによって、カッタヘッド2を安定して支持することが可能に構成されている。
【0061】
偏心体4は、掘進方向から見て、複数(4つ)のピン42に囲まれた領域Rに駆動軸3の中心軸線αを配置した状態で、中心軸線αの周りを公転するように構成されている。すなわち、2つの中心軸線δ間の間隔D2は、内側に駆動軸3の中心軸線αが収まるように、比較的大きく設定されている。
【0062】
〈中間ギヤの構成〉
中間ギヤ5は、複数(2つ)の駆動軸3の回転方向を一致させた状態で、駆動を同期させるように構成されている。同期とは、複数(2つ)の駆動軸3(駆動ギヤ31)の駆動タイミングを(略)一致させるとともに、複数(2つ)の駆動軸3の同一の回転方向における駆動量(回転量)を(略)一致させることを意味する。
【0063】
中間ギヤ5は、外歯を有し、外歯と複数(2つ)の駆動ギヤ31とが噛み合うことにより、掘進方向に延びる中心軸線γ回りに回転するように構成されている。
【0064】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0065】
本実施形態では、上記のように、複数の駆動軸3の駆動ギヤ31に噛み合うことにより、複数の駆動軸3の駆動を同期させる中間ギヤ5を設ける。これにより、所定の駆動軸3が回転した際に、中間ギヤ5を介して他の駆動軸3を強制的に適切な方向に回転させることができるとともに、中間ギヤ5を介して複数の駆動軸3を略同時に回転させることができる。その結果、複数の駆動軸3の駆動を確実に同期させることによって、カッタヘッド2を円滑に回転させることができる。また、複数の駆動軸3の駆動ギヤ31に略同平面で噛み合う中間ギヤ5という比較的簡易な構成(複雑ではない構成)により、複数の駆動軸3の同期を図ることができ、駆動ギヤ後部の空間を占有することがないので、カッタヘッド2に通される配線や配管を設けるための空間を容易に確保することができる。
【0066】
本実施形態では、上記のように、駆動軸3は、中間ギヤ5の両側に一対設けられている。これにより、駆動軸3の数を、カッタヘッド2を円形状の軌跡に沿って移動させることが可能な最小の数(2つ)にすることができるので、駆動軸の数が3つ以上である場合と比較して、いずれかの駆動軸3に発生する同期不良などの不具合を低減することができるとともに、構造の簡素化することができる。その結果、構造の簡素化を図りながら、カッタヘッド2をより円滑に回転させることができる。
【0067】
本実施形態では、上記のように、中間ギヤ5は、複数の駆動軸3の駆動ギヤ31の間に1つ設けられている。これにより、簡易な構成により、複数の駆動軸3の駆動を確実に同期させることができる。また、複数の中間ギヤが設けられた際の中間ギヤ同士の回転のずれを防止することができる。
【0068】
本実施形態では、上記のように、偏心体4は、駆動軸3の中心軸線αと偏心体4の中心軸線βとの間の距離を示す偏心量D1の2倍以上の径よりも大きな領域でカッタヘッド2を支持している。これにより、比較的広い範囲でカッタヘッド2を支持することができるので、安定してカッタヘッド2を支持することができる。
【0069】
本実施形態では、上記のように、偏心体4は、中央に掘進方向に貫通する貫通穴4aが設けられるとともに、掘進方向と交差する方向に延びる板状に形成され、カッタヘッド2を間接的に支持する座部41cと、座部41cを駆動軸3側から支持する複数の支柱部41bとを有している。これにより、偏心体4の中間部(座部41cの駆動軸3側)は、複数の支柱部41bによって構成されて、座部41cの中央に貫通穴4a(開口)が設けられるので、カッタヘッド2の前面より偏心体4の内側を土砂が通過することが可能になる。その結果、偏心体4が掘進方向に直交する方向において大きな範囲で構成されていても、カッタヘッド2の前面からの土砂の流入を阻害することなく、貫通穴4a(開口)と複数の支柱部41bの間の隙間とを介して、効果的に土砂をチャンバ12内に流入させることができる。
【0070】
本実施形態では、上記のように、偏心体4は、掘進方向に直交する方向に離間して設けられ、1つのカッタヘッド2を支持する複数のピン42を有している。これにより、偏心体が1箇所でカッタヘッドを支持する場合と比較して、偏心体4が互いに掘進方向に直交する方向において比較的広い範囲でカッタヘッド2を支持することができるので、偏心体4によって安定してカッタヘッド2を支持することができる。その結果、カッタヘッド2をより円滑に回転させることができる。
【0071】
本実施形態では、上記のように、ピン42は、4つ設けられ、偏心体4は、掘進方向と直交する方向に延びる略矩形の平板形状に形成され、四隅にピン42が1つずつ固定される座部41cを有している。これにより、4つのピン42を共通の座部41cに固定することができるので、4つのピン42における互いの軸心の狂いを抑制することができる。このため、偏心体4によって、より安定してカッタヘッド2を支持して、カッタヘッド2をより一層円滑に回転させることができる。
【0072】
本実施形態では、上記のように、カッタヘッド2は、ピン42が挿入される穴部21を含み、穴部21とピン42との間には、ピン42に対するカッタヘッド2の位置ずれを許容する隙間(クリアランス)C1およびC2が設けられている。これにより、互いに異なる構造であるカッタヘッド2と偏心体4のピン42との連結箇所に隙間C1およびC2が設けられるので、製作時に発生する複数の駆動軸3(駆動ギヤ31)における互いの軸心の狂いを、隙間C1およびC2により吸収することができる。その結果、カッタヘッド2をより円滑に回転させることができる。
【0073】
本実施形態では、上記のように、偏心体4は、掘進方向から見て、複数のピン42に囲まれた領域Rに駆動軸3の中心軸線αを配置した状態で、中心軸線αの周りを公転するように構成するとともに、偏心体4を、駆動軸3の外径の中に略含まれるように構成する。これによって、安定してカッタヘッド2を支持することができるので、カッタヘッド2をより円滑に回転させることができる。
【0074】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0075】
たとえば、上記実施形態では、偏心多軸シールド掘進機(カッタヘッド)を異形断面のトンネルを掘削するように構成した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、偏心多軸シールド掘進機(カッタヘッド)を円形断面のトンネルを掘削するように構成してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、偏心多軸シールド掘進機が駆動軸を2つ備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、偏心多軸シールド掘進機が駆動軸を3つ以上備えていてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、偏心多軸シールド掘進機が中間ギヤを1つ備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、偏心多軸シールド掘進機が中間ギヤを2つ以上備えていてもよい。なお、複数の中間ギヤは、複数の駆動軸の回転方向が同じになるように設けられる。
【0078】
また、上記実施形態では、駆動ギヤの直径と中間ギヤの直径とを略等しくする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動ギヤの直径と中間ギヤの直径とを互いに異ならせてもよい(略等しくなくてもよい)。
【0079】
また、上記実施形態では、中間ギヤを駆動ギヤにより駆動される従動ギヤとする例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、中間ギヤを直接駆動させる駆動源を設けてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、偏心体のピンとカッタヘッドとの間に隙間を設けて、偏心体に対するカッタヘッドの位置ずれを許容するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、偏心体に対するカッタヘッドの位置ずれを許容することなく、たとえば、偏心体とカッタヘッドとを互いに溶接して、偏心体にカッタヘッドを固定してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、1つの偏心体(1つの偏心体の4つのピン)により、カッタヘッドを4箇所において支持する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、1つの偏心体により、カッタヘッドを1以上3以下、または5以上の箇所において支持してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、駆動ギヤに対して偏心体を固定することなく、駆動ギヤにより偏心体を回転可能なように支持した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、駆動ギヤに対して偏心体が動くことがないように、駆動ギヤに対して偏心体を固定してもよい。この場合、偏心体によりカッタヘッドを回転可能なように支持する。
【0083】
また、上記実施形態では、座部により、支持軸部を介して間接的にカッタヘッドを支持した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、支持軸部を設けることなく、座部により、カッタヘッドを直接支持してもよい。この場合、たとえば、座部とカッタヘッドとを、溶接により直接接合したり、ボルトなどの固定部材を用いて直接固定する。
【符号の説明】
【0084】
2 カッタヘッド
3 駆動軸
4 偏心体
4a 貫通穴
5 中間ギヤ
21 穴部
31 駆動ギヤ
41b 支柱部
41c 座部
42 ピン(支持軸部)
100 偏心多軸シールド掘進機
C1 (ピンの半径方向の)隙間
C2 (ピンの掘進方向の)隙間
R (複数のピンに囲まれた)領域
α (駆動軸の)中心軸線
β (偏心体の)中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6