(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】共同住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/04 20060101AFI20240610BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
E04H1/04 B
E04H1/12 302Z
(21)【出願番号】P 2019226226
(22)【出願日】2019-12-16
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】野口 伸
(72)【発明者】
【氏名】大平 滋彦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 祐紀
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-088438(JP,A)
【文献】特開平11-350749(JP,A)
【文献】特開2005-113639(JP,A)
【文献】特開平06-323007(JP,A)
【文献】特開2005-124742(JP,A)
【文献】特開2006-118218(JP,A)
【文献】特開平06-346611(JP,A)
【文献】“新しい未来をつくる人”を育てる「深江竹友寮」の建替に着手,[online],2018年03月26日,インターネット<URL:https://www.takenaka.co.jp/news/2018/03/03/index.html>
【文献】選べるお部屋と、充実の設備・サービス,[online],2016年07月09日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20160709184422/https://www.leopalace21.com/houjin/service.html>
【文献】連続するシェアリビングで交流を誘発,[online],2023年07月31日,インターネット<URL:https://www.takenaka.co.jp/design/works/fukae-chikuyu-dormitory/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02,1/04
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁方向に連結されて縦列を構成する複数の個室と、隔壁方向に連結されて横列を構成する複数の個室とを、廊下を挟んで平面視略L型となるように配し、かつ、前記略L型の内側にできるスペースをリビングとし、
前記個室は、寝台部の下方に該寝台部の長手方向に通過可能な通路部を形成し、この通路部が該個室の入口から室内側に向かって延びるように構成してあり、
前記個室は、前記入口からみて前記通路部の左右の何れか一方に位置し、前記通路部又は前記通路部に連なるスペースから前記寝台部にアクセスするための昇降部を有し、該昇降部は、前記寝台部の平面視における長辺に連なる位置に
この長辺の全体に沿うように設けられ、この寝台部より一段下がった踊り場と、該踊り場の長手方向の一端から下方に向かって延びる梯子又は階段を含む共同住宅。
【請求項2】
前記略L型に配した複数の個室を一つの群として、複数の群を設け、
また、各個室は平面視長方形状を呈し、その長手方向の一端側には屋内側へと向かう扉が前記入口の位置に設けられ、他端側には屋外側へと向かう扉が設けられ、各個室の屋外側へと向かう扉の外側に屋外スペースが連なるようにした請求項1に記載の共同住宅。
【請求項3】
複数の前記リビングが平面視において繋がるように複数の前記群を並べた請求項2に記載の共同住宅。
【請求項4】
前記個室は、前記昇降部の少なくとも一部の下方に設けられた収納部を有する請求項1~3の何れか一項に記載の共同住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、企業の独身寮やシェアハウス等として利用可能な共同住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、企業の独身寮やシェアハウス等において、居住者どうしのコミュニケーション(ソーシャルコミュニケーション)の促進が重視される場合がある。例えば、特許文献1に係る共同住宅は、居住部と共用部とからなり、両者を通路等によって接続し、居住者が外出するときや帰ってきて入室する前には必ず共用部を通過する構成とすることにより、居住者同士の積極的なコミュニケーションを促進しようというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記共同住宅では、居住部の個室から共用部までの平均距離が長くなる傾向にあり、このことがコミュニケーションの促進を阻害する要因になる恐れがある。
【0005】
本発明は、各個室からリビングまでの平均距離の縮小を図ることができ、ひいては居住者どうしの人的交流を大いに促進することが可能な共同住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る共同住宅は、隔壁方向に連結されて縦列を構成する複数の個室と、隔壁方向に連結されて横列を構成する複数の個室とを、廊下を挟んで平面視略L型となるように配し、かつ、前記略L型の内側にできるスペースをリビングとし、前記個室は、寝台部の下方に該寝台部の長手方向に通過可能な通路部を形成し、この通路部が該個室の入口から室内側に向かって延びるように構成してあり、前記個室は、前記入口からみて前記通路部の左右の何れか一方に位置し、前記通路部又は前記通路部に連なるスペースから前記寝台部にアクセスするための昇降部を有し、該昇降部は、前記寝台部の平面視における長辺に連なる位置にこの長辺の全体に沿うように設けられ、この寝台部より一段下がった踊り場と、該踊り場の長手方向の一端から下方に向かって延びる梯子又は階段を含む(請求項1)。
【0007】
上記共同住宅において、前記略L型に配した複数の個室を一つの群として、複数の群を設け、また、各個室は平面視長方形状を呈し、その長手方向の一端側には屋内側へと向かう扉が前記入口の位置に設けられ、他端側には屋外側へと向かう扉が設けられ、各個室の屋外側へと向かう扉の外側に屋外スペースが連なるようにしてもよい(請求項2)。
【0008】
上記共同住宅において、複数の前記リビングが平面視において繋がるように複数の前記群を並べてもよい(請求項3)。
【0009】
上記共同住宅において、前記個室は、前記昇降部の少なくとも一部の下方に設けられた収納部を有していてもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、各個室からリビングまでの平均距離の縮小を図ることができ、ひいては居住者どうしの人的交流を大いに促進することが可能な共同住宅が得られる。
【0011】
すなわち、本願の各請求項に係る発明の共同住宅では、縦列を構成する複数の個室と横列を構成する複数の個室とは廊下を挟み、かつ、略L型となるように配するので、略L型の内側のリビングに自然光や風を入れる配置プラン(構成)とするのが容易となる。
【0012】
また、各個室を略L型に配する本例の共同住宅では、例えば各個室を中廊下型に配する場合(複数の個室を中廊下の両側に並べる場合)に比べ、所定の床面積の範囲内で各個室からリビングまでの平均距離の縮小を図ることができ、かつ、リビングに開放感を持たせることができるので、略L型をなす縦列及び横列を構成する複数の個室が例えば寮室の場合、略L型の内側に設けたリビングにより寮生どうしの人的交流を大いに促進することが可能となる。
【0013】
請求項2に係る発明の共同住宅では、人的交流の促進に資するリビングを複数設けることができ、それだけ人的交流の更なる活発化を図ることが可能となる。
【0014】
請求項3に係る発明の共同住宅では、複数のリビングを繋げることにより、各リビングへの通風(排煙)及び採光の確保の確実化をより容易に図ることが可能となる。
【0015】
請求項1に係る発明の共同住宅では、寝台部の下方空間を通路部として利用可能とするので、こうした利用が不可能な場合に比べ、平面視における各個室のミニマム化、ひいては略L型に配した複数の個室からなる群のミニマム化を図ることができ、配置プランの自由度の向上に資するとともに、1フロアに設置可能な個室の数を最大化し、階数の低減をも図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る共同住宅の要部の構成を概略的に示す平面図、(B)及び(C)はそれぞれ変形例に係る共同住宅の要部の構成を概略的に示す平面図である。
【
図2】(A)及び(B)は、前記共同住宅の個室の構成を示す床上2500mm及び1500mmの高さでの平面図である。
【
図3】
図2(A)におけるF3矢視図(展開図)である。
【
図4】
図2(A)におけるF4矢視図(展開図)である。
【
図5】
図2(A)におけるF5矢視図(展開図)である。
【
図7】他の変形例に係る共同住宅の要部の構成を概略的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0018】
図1(A)は、本発明の共同住宅の一例を示す要部の平面図であり、本例の共同住宅では、隔壁方向に連結されて縦列1を構成する複数の個室Rと、隔壁方向に連結されて横列2を構成する複数の個室Rとを、廊下3を挟んで平面視略L型となるように配し、かつ、前記略L型の内側にできるスペースをリビング4としてある。なお、リビング4には、例えばソファやテーブルといった適宜の家具(据え置き型か可動型かは問わない)等を配することが考えられる。
【0019】
このように、縦列1を構成する複数の個室Rと横列2を構成する複数の個室Rとは廊下3を挟み、かつ、略L型となるように配するので、略L型の内側のリビング4に自然光や風を入れる配置プラン(構成)とするのが容易となる。
図1(A)の例では、各個室Rを建物の外壁に沿う位置に設けてあり、廊下3の一端も必然的に建物の外壁に至ることになるので、この廊下3の一端(外壁に至る部分)に窓や扉を設ければ、リビング4に自然光や風を入れることができる。
【0020】
また、上記のように各個室Rを略L型に配する本例の共同住宅では、例えば各個室Rを中廊下型に配する場合(複数の個室Rを中廊下の両側に並べる場合)に比べ、所定の床面積の範囲内で各個室Rからリビング4までの平均距離の縮小を図ることができ、かつ、リビング4に開放感を持たせることができるので、略L型をなす縦列1及び横列2を構成する複数の個室Rが例えば寮室の場合、略L型の内側に設けたリビング4により寮生どうしの人的交流を大いに促進することが可能となる。
【0021】
そして、
図1(A)に示す本例の共同住宅は、上述したように、略L型に配する複数の個室Rを一つの群Gとして、単数階において、あるいは複数階にわたって複数の群Gを設けるものである。なお、
図1(A)には、複数の群Gとして、群G1~G8を示してある。
【0022】
このように、複数の群Gを設ける本例の共同住宅では、人的交流の促進に資するリビング4を複数設けることができ、それだけ人的交流の更なる活発化を図ることが可能となる。
【0023】
さらに、本例の共同住宅では、複数のリビング4が平面視において繋がるように複数の群Gを並べるのであり、複数のリビング4を繋げることにより、各リビング4への通風(排煙)及び採光の確保の確実化をより容易に図ることが可能となる。
【0024】
ここで、
図1(A)に示す例では、各群Gにおける縦列1及び横列2の向きは敢えて統一しておらず、例えば、
図1(A)において、群G1における縦列1及び横列2の向きを基準とした場合、群G2ではこれを上下に反転させてあり、群G3ではこれを左右に反転させてあり、群G6では180度回転させてあるとみることができる。加えて、各群Gの縦列1及び横列2を構成する個室Rの数も適宜に変更可能である。このように、各群Gにおける縦列1及び横列2の向き及び個室Rの数は適宜に変更可能であるので、設計プランの自由度を高めることも可能である。
【0025】
なお、群Gを構成する個室Rの数は、人的交流の促進の面から、例えば6~15室が好ましく、8~12室とするのがより好ましい。
【0026】
また、
図1(A)には、本例の共同住宅(建物)において平面視長方形状を呈する部分を示してあり、本例の共同住宅はこの部分に、長手方向に延びる群Gの列を二つ(2列)設けてあり、群G1、G3、G5、G7からなる列と、群G2、G4、G6、G8からなる列とで、縦列1及び横列2の並べ方を対称とはせず、リビング4がいわばジグザグ状に繋がるようにしてある。こうした並べ方を採用することにより、各リビング4に対して満遍なく通風及び採光を確保することが容易となる。なお、上記のように平面視長方形状を呈する部分を有する共同住宅(建物)は、その全体の平面視が長方形状になっているものに限らず、例えば、その全体の平面視がL型になっているものや、中庭を有する額縁型になっているもの等を挙げることができる。
【0027】
一方、
図2~
図6に示すように、本例の共同住宅の各個室Rは、個室Rの入口5から室内側に向かって延びる通路部6と、通路部6の上方に配された寝台部7と、入口5からみて通路部6の左右の何れか一方に位置し、通路部6に連なるスペースSから寝台部7にアクセスするための昇降部8と、昇降部8の少なくとも一部の下方に設けられた収納部9とを有する。
【0028】
仮に、例えば寝台部7を低い位置に配してあり寝台部7の下方空間が通路部6として利用不可能な場合、寝台部7の横に通路部6となる空間を確保する必要が生じ、それだけ個室Rの間口(入口5からみたときの左右方向の幅)を、例えば寝台部7の短手方向の幅の約2倍以上となるように、大きくしなければならなくなる。
【0029】
しかし、寝台部7の下方空間を通路部6として利用可能とする本例の共同住宅では、斯かる利用が不可能な場合に比べ、個室Rの間口が狭くてもよく(例えば寝台部7の短手方向の幅の1.5倍以下であってもよく)、平面視における各個室Rのミニマム化、ひいては略L型に配した複数の個室Rからなる群Gのミニマム化を図ることができ、配置プランの自由度の向上に資するとともに、1フロアに設置可能な個室Rの数を最大化し、階数の低減をも図ることが可能となる。
【0030】
そして、本例では、個室Rの内部に一台のロフトベッド10を配することにより、上記通路部6、寝台部7、昇降部8及び収納部9を個室Rが有する状態となるようにしてある。
【0031】
すなわち、ロフトベッド10は、
図2(A)、
図3、
図4及び
図6に示すように、寝台部7の平面視における長辺に連なる位置に、この寝台部7より一段下がった踊り場11を有し、この踊り場11の長手方向の一端から下方に向かって梯子12が延びている。そして、この踊り場11と梯子12とが、通路部6に連なるスペースSから寝台部7にアクセスするための昇降部8を構成している。
【0032】
本例では、寝台部7の下方空間を通路部6として利用可能とするものであるため、寝台部7の高さ位置は一般的なロフトベッドの寝台部のそれよりも高くなり、この寝台部7に対して床から直接昇降しようとすると、人によってはその高さに起因する強い不安感を覚えることも懸念される。しかし、本例では、踊り場11の長手方向の幅を、寝台部7の長手方向の幅と略同一とし、また、踊り場11の短手方向の幅を、寝台部7の短手方向の幅の3分の1~2分の1程度とするのであって、このように踊り場11の面積がある分、踊り場11と寝台部7との高低差を比較的大きくしても(例えば梯子12の各段(踏ざん)の高さより大きくしても)使用者は両者11,7間の昇降を安心して行うことができる。そして、このことを利用して、踊り場11をなるべく低い位置(例えば一般的なロフトベッドの寝台部の高さと同等かそれより低い位置)に設けることにより、梯子12を用いたこの踊り場11への昇降も安心して行うことができる。すなわち、踊り場11は、寝台部7への昇降の安全性や安心感を大いに高めるものとなっている。
【0033】
そして、踊り場11の下方には、
図3、
図4及び
図6に示すように、収納部9としてのクローゼットと、机13とが設けられており、机13の上方には、照明用開口13aを介して下方に照明可能なデスクライト13bが配されている(
図2(B)、
図4参照)
【0034】
また、ロフトベッド10は、
図2(B)に示すように、複数の支柱14を有する。ここで、例えば平面視において踊り場11の無い長辺の両端に設けられる二本の支柱14A,14Bは、
図6に示すようにその下端どうしを繋いでもよいが、寝台部7において踊り場11側に設けられる支柱14と、その反対側に設けられる支柱14(図示例では支柱14A,14B)との下端どうしは繋がないようにする。なぜなら、このようにして繋ぐと、その繋いだ部分が通路部6の通行の邪魔になり、ひいては通路部6が形成されなくなるからであり、こうした通行の邪魔になるような部分を設けないのが好ましい。
【0035】
なお、本例では、複数の支柱14のうち、二本の支柱14Cは、梯子12を構成するものとなっている。また、複数の支柱14のうち、二本の支柱14Eはケーシング15によって隠蔽されており(
図2(B)参照)、このケーシング15内には分電盤16も設けられている。
【0036】
以上のように構成された個室Rは、平面視長方形状を呈し(
図1参照)、
図2(A)及び(B)に示すように、その長手方向の一端側には屋内(リビング4)側へと向かう扉(本例では引き戸)17が設けられ、他端側には屋外(ベランダ、バルコニー又はテラス)側へと向かう扉(本例では開き戸)18が設けられている。すなわち、各個室Rは、屋外側へと向かう扉18を備え、各個室Rの外側にベランダ、バルコニー又はテラスといった屋外スペースが連なるようにしてあり、洗濯物の天日乾燥の行い易さ等の点で利便性を高めてある。
【0037】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0038】
上記実施の形態において、リビング4の大きさは、これを内側に有する略L型を構成する群Gの個室Rの数によっておおよそ決まるが、例えば一部のリビング4(好適には建物の中央部付近にあるリビング4)を、略L型の内側に収まらない大きさのリビングとし、より大人数での団らん等にも対応可能となるようにすることにより、人的交流のさらなる活性化を図るようにしてもよい。
【0039】
リビング4の照明を、リビングに滞在する人数に応じ、例えば比較的少人数の場合は暗めに、多人数の場合は明るめにする、といった制御をすれば、人的交流の促進を照明環境面からも図ることが可能となる。同様に、リビング4の室温についても、滞在人数に応じた制御を行うようにしてもよい。
【0040】
本例の共同住宅内に、リビング4以外の共用スペース(バスルーム、トイレ、ランドリー、キッチン等)を設けてもよいのはもちろんである。
【0041】
図1(A)の例では、共同住宅において平面視長方形状を呈する部分の一端側の短辺(図示例では右辺)に沿ってその全長にわたって縦列1を設け、この縦列1に対してそれぞれ廊下3を挟んで位置し、長辺に沿って延びる二つの横列2の長さを異ならせることにより、上述したように、複数のリビング4がいわばジグザグ状に繋がるようにしてある。しかし、複数のリビング4をジグザグ状に繋ぐための配置はこれに限らない。
【0042】
例えば、
図1(B)に示すように、共同住宅において平面視長方形状を呈する部分の一端側の短辺(図示例では右辺)に、縦列1と横列2とを一つずつ設けるようにしてもよい。また、
図1(C)に示すように、共同住宅において平面視長方形状を呈する部分の一端側の短辺(図示例では右辺)に、一つの縦列1と、これを挟む二つの横列2とを設けるようにしてもよく、この場合、二つの横列2の長さを異ならせることにより、リビング4をジグザグ状に繋がるようにするのが容易となる。
【0043】
すなわち、
図1(A)~(C)の例のように、群Gを二列設ける場合、一方の群Gの列の横列2に対して他方の群Gの列の縦列1が近接するように配することにより、リビング4をジグザグ状に繋げて、個室Rの数の最大化を図ることが容易となる。
【0044】
しかし、共同住宅において平面視長方形状を呈する部分に設ける群Gの列を二つに限らず、一つでも三つ以上でもよい。また、群Gを設ける部分は平面視長方形状を呈する部分に限らず、平面視正方形状等、他の形状を呈する部分であってもよい。
【0045】
ここで、
図1(B)の例において、群G1を構成する横列2は群G3を構成する横列2を兼ねており、このように特定の横列2あるいは縦列1が複数の群Gを構成していてもよい。
【0046】
図1(A)の例では、各縦列1及び横列2は群Gを構成しているが、例えば
図7に示すように、群Gを構成しない縦列1である準縦列1Aを設けてもよく、同様に、群Gを構成しない横列2である準横列を設けるようにしてもよい。なお、
図7の準縦列1Aは対向する縦列1と中廊下3Aを挟むことになり、この中廊下3Aが長くなる程、中廊下3Aの奥側の個室Rからリビング4までの距離は長くなるので、準縦列1Aが中廊下3Aに面するような場合には、準縦列1Aを構成する個室Rの数は例えば五つ以下とするのが好ましい。
【0047】
図2(A)及び(B)、
図3の例の昇降部8は、入口5からみて通路部6の奥側に連なるスペースSから寝台部7にアクセス可能に構成してあるが、これに限らず、例えば
図3の梯子12を左側に寄せ(机13を無くすか幅狭とし)、通路部6から梯子12に直接アクセス可能となるように構成してもよい。この場合、入口5からみて通路部6の奥側に連なるスペースSを、他の家具の配置などに利用し易くなる。
【0048】
また、
図3に示す梯子12の代わりに階段を設けるようにしてもよく、この場合、階段をスペースS側に突出するように設けてもよいし、踊り場11の長手方向の長さを短くし、階段がスペースS側に突出しないように設けてもよい。
【0049】
なお、本明細書で説明した変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1 縦列
1A 準縦列
2 横列
3 廊下
3A 中廊下
4 リビング
5 入口
6 通路部
7 寝台部
8 昇降部
9 収納部
10 ロフトベッド
11 踊り場
12 梯子
13 机
13a 照明用開口
13b デスクライト
14 支柱(14A~14E)
15 ケーシング
16 分電盤
17 扉
18 扉
G 群
R 個室
S スペース