(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】発光装置、表示撮像装置、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 50/852 20230101AFI20240610BHJP
G03B 7/00 20210101ALI20240610BHJP
G03B 13/06 20210101ALI20240610BHJP
G03B 17/20 20210101ALI20240610BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240610BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240610BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240610BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20240610BHJP
【FI】
H10K50/852
G03B7/00
G03B13/06
G03B17/20
G09F9/30 348
G09F9/30 349D
G09F9/30 365
H10K59/12
H10K59/35
H10K59/95
(21)【出願番号】P 2020020600
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】河野 章宏
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-032327(JP,A)
【文献】特開2019-179716(JP,A)
【文献】特開2017-220452(JP,A)
【文献】特開2012-054091(JP,A)
【文献】特開2010-140787(JP,A)
【文献】国際公開第2018/188227(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0125496(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0016287(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
H05B 33/00-33/28
G03B 7/00
G03B 13/06
G03B 17/18-17/20
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色の光を発する第1副画素、及び前記第1の色とは異なる第2の色の光を発する第2副画素を有する第1画素と、
前記第1の色の光を発する第3副画素、及び前記第2の色の光を発する第4副画素を有する第2画素と、を有する画素領域を有する発光装置であって、
前記第1画素は前記画素領域の中央部に配され、前記第2画素は前記画素領域の周辺部に配され、
前記第1乃至第4副画素それぞれは、基板の上に配される反射部材と、前記反射部材の上に配される第1電極と、前記第1電極の上に配され、発光層を有する有機層と、前記有機層を挟んで前記第1電極の上に配される第2電極と、を有し、
前記反射部材、前記第1電極、及び前記有機層を通る断面において、前記第1副画素の前記反射部材と前記発光層との間の光学距離と、前記第2副画素の前記反射部材と前記発光層との間の光学距離が互いに異なり、
前記第1の色の光のピーク波長は、前記第2の色の光のピーク波長より長く、
前記断面において、前記第1副画素の前記光学距離と前記第3副画素の前記光学距離の差は、前記第2副画素の前記光学距離と前記第4副画素の前記光学距離の差より大き
く、
前記第1乃至第4副画素のそれぞれの前記光学距離の関係は、
前記第1の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、前記第2の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、の差を低減する関係である発光装置。
【請求項2】
前記第1副画素の前記光学距離と前記第2副画素の前記光学距離の差は、前記第2副画素の前記光学距離と前記第4副画素の前記反射部材と前記発光層との間の光学距離の差より大きい請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1副画素の前記光学距離は、前記第3副画素の前記光学距離より小さい請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1副画素において、前記反射部材と前記第1電極の間に第1絶縁層が配され、
前記第2副画素において、前記反射部材と前記第1電極の間に第2絶縁層が配される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1画素は、前記第1の色及び前記第2の色と異なる第3の色の光を発光する第5副画素を有し、
前記第2画素は、前記第3の色の光を発光する第6副画素を有し、
前記断面において、
前記第1副画素の前記光学距離と前記第3副画素の前記光学距離との差は、前記第5副画素の反射部材と発光層との間の光学距離と前記第6副画素の反射部材と発光層との間の光学距離との差より大きい請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
第1の色の光を発する第1副画素、及び前記第1の色とは異なる第2の色の光を発する第2副画素を有する第1画素と、
前記第1の色の光を発する第3副画素、及び前記第2の色の光を発する第4副画素を有する第2画素と、を有する画素領域を有する発光装置であって、
前記第1画素は前記画素領域の中央部に配され、前記第2画素は前記画素領域の周辺部に配され、
前記第1乃至第4副画素それぞれは、基板の上に配される反射部材と、前記反射部材の上に配される第1電極と、前記第1電極の上に配され、発光層を有する有機層と、前記有機層を挟んで前記第1電極の上に配される第2電極と、を有し、
前記第1副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第1絶縁層が配され、
前記第2副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第2絶縁層が配され、
前記第3副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第3絶縁層が配され、
前記第4副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第4絶縁層が配され、
前記第1の色の光のピーク波長は、前記第2の色の光のピーク波長より長く、
前記反射部材、前記第1電極、及び前記有機層を通る断面において、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の膜厚は互いに異なり、かつ、前記第1絶縁層と前記第3絶縁層の膜厚の差は、前記第2絶縁層と前記第4絶縁層の膜厚の差より大きく、
前記第1乃至第4絶縁層の前記膜厚の関係は、
前記第1の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、前記第2の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、の差を低減する関係であり、
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、前記第3絶縁層、及び前記第4絶縁層のそれぞれは互いに同じ材料から成る層を有する発光装置。
【請求項7】
前記断面において、
前記第1絶縁層の膜厚は前記第3絶縁層の膜厚より小さい請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第1絶縁層は、第5絶縁層と前記第5絶縁層の上に配される第6絶縁層を有し、
前記第2絶縁層は、前記第5絶縁層を介さずに前記反射部材の上に配される前記第6絶縁層を有する請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第3絶縁層及び前記第4絶縁層はそれぞれ、前記第5絶縁層を介さずに前記反射部材の上に配される前記第6絶縁層を有する請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1画素は第3の色の光を発光する第5副画素を有し、
前記第2画素は前記第3の色の光を発光する第6
副画素を有し、
前記第5副画素及び前記第6副画素は、前記第5絶縁層を介さずに反射部材と第1電極の間に配される前記第6絶縁層を有する請求項8または9に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1の色は赤色である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第2の色は青色である請求項1乃至4及び6乃至10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記中央部及び前記周辺部は、複数の画素を有し、
前記周辺部における、前記複数の画素に対する前記第1画素と同じ構成を有する画素の割合は、前記中央部における、前記複数の画素に対する前記第1画素と同じ構成を有する画素の割合より高い請求項1乃至12のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1画素及び前記第2画素は、それぞれ前記第1電極に接続されたトランジスタを有する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項15】
撮像装置と、
表示部として請求項1乃至14のいずれか1項に記載の発光装置と、を備え、
前記撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて前記表示部の表示画像が制御される表示撮像装置。
【請求項16】
複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は請求項1乃至14のいずれか1項に記載の発光装置を有する光電変換装置。
【請求項17】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の発光装置を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有する電子機器。
【請求項18】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の発光装置を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルムと、を有する照明装置。
【請求項19】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の発光装置を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有する移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、表示撮像装置、表示光電変換装置、電子機器、照明装置、及び移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス(以下有機EL)素子を用いた発光装置など、有機化合物を含む有機機能層を備えた有機デバイスが知られている。これらの有機デバイスでは、発光する色毎に副画素が形成されており、各副画素は色毎に異なる波長の光を出射する。光の放出効率を向上させるため、副画素毎に設けられた光学調整層の膜厚を調整する例が開示されている。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL素子を用いた発光装置では、正面方向の輝度、色度に対して、斜め方向の輝度や色度が異なる場合がある。変化の度合いは色によって異なったり、あるいは、特定の色だけに差が生じたりする可能性がある。これにより、発光装置の視野角特性が低下してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一様態は、第1の色の光を発する第1副画素と、前記第1の色とは異なる第2の色の光を発する第2副画素と、を有する第1画素と、前記第1の色の光を発する第3副画素と、前記第2の色の光を発する第4副画素と、を有する第2画素と、を有し、前記第1乃至第4副画素それぞれは、基板の上に配される反射部材と、前記反射部材の上に配される第1電極と、前記第1電極の上に配され、発光層を有する有機層と、前記有機層を挟んで前記第1電極の上に配される第2電極と、を有し、前記反射部材、前記第1電極、及び前記有機層を通る断面において、前記第1副画素の前記反射部材と前記発光層との間の光学距離と、前記第2副画素の前記反射部材と前記発光層との間の光学距離が互いに異なり、前記第1副画素の前記光学距離と、前記第3副画素の前記反射部材と前記発光層との間の光学距離との差が、前記第2副画素の前記光学距離と前記第4画素の前記光学距離との差より大きく、前記第1乃至第4副画素のそれぞれの前記光学距離の関係は、前記第1の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、前記第2の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、の差を低減する関係である発光装置に関する。
【0006】
別の一様態は、第1の色の光を発する第1副画素、及び前記第1の色とは異なる第2の色の光を発する第2副画素を有する第1画素と、前記第1の色の光を発する第3副画素、及び前記第2の色の光を発する第4副画素を有する第2画素と、を有する発光装置であって、前記第1乃至第4副画素それぞれは、基板の上に配される反射部材と、前記反射部材の上に配される第1電極と、前記第1電極の上に配され、発光層を有する有機層と、前記有機層を挟んで前記第1電極の上に配される第2電極と、を有し、前記第1副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第1絶縁層が配され、前記第2副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第2絶縁層が配され、前記第3副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第3絶縁層が配され、前記第4副画素の前記反射部材と前記第1電極の間には第4絶縁層が配され、前記反射部材、前記第1電極、及び前記有機層を通る断面において、前記第1絶縁層と前記第2絶縁層の膜厚は互いに異なり、かつ、前記第1絶縁層と前記第3絶縁層の膜厚の差は、前記第2絶縁膜と前記第4絶縁膜の差より大きく、
前記第1乃至第4絶縁層の前記膜後の関係は、
前記第1の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、前記第2の色の光における、前記画素領域の正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度の差と、の差を低減する関係であり、
前記第1絶縁層、前記第2絶縁層、前記第3絶縁層、及び前記第4絶縁層のそれぞれは互いに同じ材料から成る層を少なくとも有する発光装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
視野角特性が向上した発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態に係る発光装置の一部の一例を示す断面模式図。
【
図2】第1の実施形態の発光装置の一部の画素および副画素の例を示す平面図。
【
図3】第1の実施形態に係る発光装置の表示部の一例を示す平面図。
【
図4】第1の実施形態に係る発光装置の表示部の一例を示す平面図。
【
図5】第2の実施形態に係る発光装置の一部の一例を示す断面模式図。
【
図6】第1および第2の実施形態に係る副画素の一部の一例を示す平面図。
【
図7】第3の実施形態に係る発光装置の一部の一例を示す平面図。
【
図8】第4の実施形態に係る発光装置の適用例を表す模式図。
【
図9】第4の実施形態に係る表示撮像装置の一例の概略断面図。
【
図10】第4の実施形態に係る表示装置の一例の概略断面図。
【
図11】(a)第4の実施形態に係る表示光電変換装置の一例を表す模式図、(b)電子機器の一例を表す模式図。
【
図12】(a)第4の実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図、(b)折り曲げ可能な表示装置の一例を表す模式図。
【
図13】(a)第4の実施形態に係る照明装置の一例を示す模式図、(b)車両用灯具を有する自動車の一例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本実施の形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成については共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明し、共通の符号を付した構成、材料、方法、効果等については適宜説明を省略する。
【0010】
(第1の実施形態)
画素内に互いに異なる色の光を発光する複数の副画素が配された発光装置において、各副画素のEL素子が配列されている面に対して斜めに出射する光は、該面に対して正面に出射する光より輝度が異なる場合がある。斜めに出射する光の輝度は、正面に出射する光の輝度より低いことがあり、場合によっては高くなる可能性もある。典型的には、斜めに出射する光は、該面に対して正面に出射する光より輝度が低いため、以下、その場合を例に説明する。
【0011】
また、この出射光の輝度の低下の度合いは、光の波長によって異なることがある。これにより、斜めから画面を見た場合、またはレンズを通して画像を表示した場合、斜めに出射した光により色度が低下することがある。あるいは、発光装置の構造によっては、一部の画素のみ、極端な例では1画素のみが、他の画素と比べて斜めに出射する光の輝度の低下の度合いが強くなる可能性もある。その場合、当該一部の画素が点欠陥として表示されうる。
【0012】
よって、本実施の形態の発光装置は、正面方向に対する斜め方向の光の輝度の、色による違いを低減するよう、異なる構成を有する複数の副画素を有する構成とする。一例として、斜めに出射する光において、輝度が他の波長の輝度と大きくずれる副画素を有する発光装置において、他の波長の光との輝度差が小さくなるよう構成された副画素を更に有する構成とする。
【0013】
例えば、斜め方向での輝度の低下が他の波長の光の場合より小さい光を発する副画素を有する発光装置において、より輝度が小さくなるよう構成された副画素を更に有する構成とする。または、斜め方向での輝度の低下が他の波長の光の場合より大きい光を発する副画素について、より輝度が高くなるよう構成された副画素を更に有する構成とする。このような副画素を有することで、正面方向と斜め方向における、光の波長(色)による輝度の低下の差が低減され、色度の低下が抑制される。
【0014】
なお、得たい視野角特性によっては、上述の例とは逆の関係となるように、副画素を構成することもある。つまり、本実施例では、波長ごとの輝度の変化の方向と、後述する副画素の電極間の距離や電極間に配される絶縁層の膜厚の差の関係は、いずれかに限定されるものではない。
【0015】
以下に、具体的な構成の例を示す。
図1は、本実施形態に係る発光装置の一部の一例の断面模式図を表すものであり、画素Aが副画素A1~A3を、画素Bが副画素B1~B3を有する。
【0016】
例えば、副画素A1及びB1は赤色の光を発し、副画素A2及びB2は緑色の光を発し、副画素A3及びB3は青色の光を発する。各副画素のそれぞれは、基板の上に配される反射部材と、反射部材の上に配される第1電極と、第1電極の上に配され、発光層を有する有機層と、有機層を挟んで第1電極の上に配される第2電極と、を有する。
【0017】
図1は、反射部材、第1電極、及び有機層を通る断面図であって、第1副画素(例えばB1)の反射部材と発光層との間の光学距離と、第2副画素(例えばB3またはB2)の反射部材と発光層との間の光学距離は互いに異なる。また、該断面において、副画素A1と副画素B1は同じ色の光を発するが、第1副画素(B1)の光学距離と、第3副画素(例えばA1)の反射部材と発光層との間の光学距離は、互いに異なる。
【0018】
具体的には、第1副画素(B1)の反射部材と発光層の間の光学距離と、第2副画素(B3またはB2)の反射部材と発光層の間の光学距離の差は、第2副画素の該光学距離と第4副画素(A3またはA2)の反射部材と発光層の間の光学距離の差より大きい。また、第1副画素(B1)の該光学距離と第3副画素(A1)の該光学距離の差は、第2副画素(B3またはB2)の該光学距離と第4副画素(A3またはA2)の反射部材と発光層の間の光学距離の差より大きい。
【0019】
例えば、第1副画素B1の該光学距離は、第3副画素A1の反射部材と発光層との間の光学距離より小さい。これにより、波長の長い赤色の光を発する副画素B1において、赤色の光を発する副画素A1においてより、光学距離が小さくなり、よって、赤色の光の輝度(発光強度)が低くなる。
【0020】
ここで、波長が長い赤色の光(副画素A1及びB1からの光)は、青色(または緑色)の光(副画素A3及びB3またはA2及びB2からの光)に対し、正面に出射される光と比べた場合の、斜め方向に出射される光の輝度(発光強度)が強くなる傾向がある。よって、画素Aに対し、赤色の光の輝度が低くなっている画素Bが配されることで、斜め方向における赤色の光の輝度と青色の光の輝度の差を低減することができる。したがって、正面方向の光と斜め方向の光との間で、色度の差を低減することができる。
【0021】
このように、斜め方向への出射光において他の色より発光強度が高くなる色の光の発光強度を抑える画素Bを、発光装置において画素Aに加えて配することで、発光装置に対し、斜め方向の光における色度の低下を抑制することができる。
【0022】
また、
図1において、各副画素A1~A3及びB1~B3において、反射部材と第1電極の間には絶縁層がそれぞれ配されている。該絶縁層は単層であっても積層であってもよい。副画素A1~A3及びB1~B3の絶縁層は、少なくとも1層の絶縁層を共有している。換言すると、それぞれの絶縁層は同じ材料から成る層を少なくとも有する。また、便宜的に、各副画素A1~A3及びB1~B3において、反射部材と第1電極の間には絶縁層がそれぞれ配されていると表現しているが、これらの絶縁層は全体的にあるいは部分的に連続したものであってもよい。また、これらの絶縁層が、互いに独立されたものであってもよい。
【0023】
このように、同じ材料を含む絶縁層の厚さを制御することには、光学距離を考慮せずに、色度の差を低減することができるという利点がある。すなわち、このような観点で本実施の形態を適用する際には、光学距離の関係は特に限定されない。
【0024】
図1に示す構成では、画素Bにおいて、副画素B1の反射部材と発光層との間の光学距離は、副画素B3の反射部材と発光層との間の光学距離より小さい。一方、画素Aにおいて、副画素A1の反射部材と発光層との間の光学距離と、副画素A3の反射部材と発光層との間の光学距離は、副画素B1とB3の反射部材と発光層との間の光学距離の差より小さい。よって、副画素B1から斜めに出射される光の発光強度は、副画素A1から斜めに出射される光の発光強度より低くなっている。すなわち、発光装置において、斜め方向への出射光において他の色より発光強度が高くなる赤色の光の発光強度が低下された画素Bが、画素Aに加えて配されている。
【0025】
具体的には、
図1において、例えば、副画素B2、B3、及びA1~A3は絶縁層3として絶縁層3a、3b、及び3cを有し、副画素B1は絶縁層3として絶縁層3a及び3bを有する。よって、第1副画素(例えばB1)に配される絶縁層3と第2副画素(例えば副画素B3またはB2)に配される絶縁層3の膜厚は互いに異なる。また、第1副画素(例えばB1)に配される絶縁層3と第3副画素(例えば副画素A1)に配される絶縁層3の膜厚は互いに異なる。具体的には、第1副画素(B1)の絶縁層3の膜厚は、第2副画素(例えば副画素B3またはB2)に配される絶縁層3第2副画素(例えば副画素B3またはB2)に配される絶縁層3の膜厚より小さく、第3副画素(A1)の絶縁層3の膜厚より小さい。これにより、発光装置は、上記の光学距離の関係を満たすため、斜め方向の光における色度の低下を抑制することができる。
【0026】
なお、
図1では、各副画素が反射部材と第1電極の間に絶縁層を有する例を示すが、発光する色の波長が他の副画素より短い副画素(例えばB1)では、絶縁層を有さない構成としてもよい。この場合、でも、副画素B1と他の副画素における、反射部材と第1電極音間の光学距離の関係は上記を満たす。また、副画素B2とB3、及び副画素B2とA2が、同じ材料から成る層(共通の絶縁層)を有し、上記膜厚の関係を満たす構成となっていてもよい。
【0027】
図1では、副画素A1、A2、及びA3における反射部材と発光層の間の光学距離が実質的に等しい例を示す。また、
図1は、副画素A1と副画素B2及びB3の反射部材と発光層の間の光学距離も実質的に等しい例である。しかし、本実施の形態の発光装置はこの構成に限定されず、上記光学距離の関係を満たしていれば良い。
【0028】
図1の発光装置の具体例について説明する。基板1の上に主にALCuで形成される反射電極2が反射部材として配される。反射電極2の上部には、例えば酸化シリコン膜で形成された絶縁層3が光学調整層として配される。絶縁層3の膜厚は、例えば0.05~0.3μmとすることができる。絶縁層3の上には、透明電極4(第1電極)が配される。透明電極4は、透明材料であることが望ましく、例えば酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)を用いて形成することができる。
【0029】
透明電極4の上には、有機膜が配される。有機膜は、例えば、透明電極4の上から順に、正孔輸送層9、発光層10、及び電子輸送層11を有していてもよい。有機膜は、少なくとも発光層10を有していればよい。各副画素の透明電極4の間には、素子分離膜6が配されていてもよい。素子分離膜は、例えば酸化シリコンや窒化シリコンなどの無機材料や、樹脂などの有機材料を用いて形成することができる。電子輸送層11の上には対向電極12(第2電極)が配される。対向電極12は、発光層10で発光した光を遮ることなく上部に出射するため、透明であることが望ましく、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、クロム、マグネシウムまたはこれらの合金の薄膜で形成することができる。
【0030】
対向電極12の上には、封止層13が配される。封止層13は、有機膜への水分の侵入を防ぐ機能を有し、例えば、プラズマCVD法で成膜された窒化シリコン膜等を用いることができる。封止層13の上には、カラーフィルタ20が配される。カラーフィルタ20は、各副画素に配され、画素Aの副画素A1~A3にはそれぞれ、カラーフィルタ20A1~20A3が配される。同様に画素Bの副画素B1~B3にはそれぞれ、カラーフィルタ20B1~20B3が配される。カラーフィルタ20A1とカラーフィルタ20B1は同色であり、同様にカラーフィルタ20A2とカラーフィルタ20B2、カラーフィルタ20A3とカラーフィルタ20B3もそれぞれ同色である。
【0031】
本実施の形態では、カラーフィルタ20A1はピーク波長が580~680nmの赤色である例を示す。また、カラーフィルタ20A2はピーク波長が500~580nmの緑色、カラーフィルタ20A3はピーク波長が430~500nmの青色である例を示す。また、発光層10と反射電極2との距離を光学距離Dとする。例えば副画素A1では、光学距離DA1とする。発光層10から発光された白色光は、下方に出射光として出射して絶縁層3を透過し、反射電極2にて反射光として反射される。出射光と反射光が共振して対向電極12を透過してカラーフィルタ20を通して出射されることで、高い発光強度(輝度)と色純度を得ることができる。
【0032】
図2は画素Aおよび画素Bを平面からみた模式図である。画素Aは副画素A1~A3を有し、画素Bは、副画素B1~B3を有する。
図3を用いて画素Aおよび画素Bの発光装置の配置の例について説明する。画素Aは、発光装置の発光領域の中央の領域100に配置され、画素Bは、発光装置の角を含む領域110に配置される。よって、画素Bの画素領域の端からの距離は、画素Aの画素領域の端からの距離より小さい。ここでは、領域100において、画素Aが過半数を占め、領域110において、画素Bが過半数を占める例である。
【0033】
発光装置を中心から周辺に向かって見た場合、領域110に配置された画素Bは斜めから見ることになる。斜めから見る場合には斜めに出射する光を見ることになるため、中央を見る(正面から見る)場合と比較して発光強度が低下し、中央との輝度の差異や色ずれが生じ、視野角特性が悪化する。また、レンズを使用したウェアラブルディスプレイ等のように、発光素子からの光をレンズを介して結像して見る場合、レンズの周辺部に入射する光は、発光装置の画面から斜めに出射した光である。よって、結像した画像において、発光装置の中央部と周辺部で色ずれが生じ、視野角特性が悪化する。
【0034】
例えば、前述のとおり、赤色の光の波長は緑色や青色と比べ波長が長いため、斜めから見た場合に中央から見た場合よりも赤色の発光強度が強くなり、斜め方向から見た場合の光の色純度が赤色側にシフトする傾向がある。
【0035】
本実施の形態の発光装置では、光学距離DA1と光学距離DA3が実質的に同じであるのに対し、光学距離DB1と光学距離DB3は異なっている。具体的には、本実施の形態の画素Bの副画素B1では、光学距離DB1が約0.05umであり、画素Aの副画素A1の光学距離DA1の約0.2umに比べ短くなっている。すなわち、画素B1から出射される赤色の光の強度が画素A1から出射される光の強度より弱くなるよう、光学距離DA1と光学距離DB1が調整されている。
【0036】
これにより、画素Bから斜め方向に出射される光において、赤色の光における、正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度(輝度)の差と、他の色の光における、正面に出射する光と斜めに出射する光の発光強度(輝度)の差と、の間の差を低減できる。すなわち、斜めから見た場合の赤色の光の発光強度を弱めることで、中央から見た場合と斜めから見た場合の発光装置の色純度の差を低減することができる。よって、視野角特性を向上させることができる。
【0037】
また、カラーフィルタ20A1及び20B1とカラーフィルタ20A3及び20B3の色を、それぞれ入れ替えてもよい。具体的には、カラーフィルタ20A1及び20B1を青色のカラーフィルタ、カラーフィルタ20A3及び20B3を赤色のカラーフィルタとしてもよい。
【0038】
この場合、副画素A1及びB1から出射される光の波長は、副画素A3及びB3から出射される光の波長より短い。よって、副画素B1の反射部材と発光層との間の光学距離を副画素B3の反射部材と発光層との間の光学距離より小さくすることで、副画素B1から出射される光の発光強度も高くすることができる。すなわち、
図1において、カラーフィルタ20B1(副画素B1)から斜めに出射される青色の光の発光強度がカラーフィルタ20A1(副画素A1)から斜めに出射される光の発光強度より強くなるように、光学距離DA1と光学距離DB1が調整されている。
【0039】
これにより、画素Bから斜め方向に出射される光において、赤色の光における、正面に出射する光と斜め方向に出射する光の発光強度(輝度)の差と、青色の光における、正面に出射する光と斜めに出射する光の発光強度(輝度)の差と、の差を低減できる。よって、視野角特性を向上させることができる。
【0040】
本実施の形態において、反射電極2と発光層との間の光学距離の調整は、絶縁層3の膜厚を異ならせることで行っている。しかし、発光装置はこの構成に限定されず、例えば、光学距離の調整を、透明電極4の膜厚を調整することで行っても良い。
【0041】
また、本実施の形態では、カラーフィルタ20A1は赤色または青色、カラーフィルタ20A2は緑色とし、光学距離DB1の調整を例としたが、発光装置はこれに限定されない。カラーフィルタ20A1及びカラーフィルタ20A2はどの色の組み合わせでも良く、光学距離も適宜変更してよい。例えばカラーフィルタ20A1を緑色とした場合、光学距離DA1は0.2um程度に対し、光学距離DB1は0.3um程度と長くしても良い。
【0042】
本実施の形態では、赤色の光が、青色または緑色の光に対し、正面に出射される光と比べた場合の、斜め方向に出射される光の輝度(発光強度)が強くなる場合の例について説明したが、発光装置はこれに限定されない。例えば、青色の光が、赤色または緑色の光に対し、正面に出射される光と比べた場合の、斜め方向に出射される光の輝度(発光強度)が強くなる場合がある。この場合には、画素Aに対し、青色の光の輝度が低くなっている画素Bが配されることで、斜め方向における青色の光の輝度と赤色または緑色の光の輝度との差を低減することができる。したがって、正面方向の光と斜め方向の光との間で、色度の差を低減することができる。
【0043】
このように、画素領域の周辺部(画素領域の端からの距離が近い領域110)に画素Bを配置することで、発光装置として視野角特性を効果的に改善することができる。領域100における画素Aの割合を高くし、領域110における画素Bの割合を高くすることで、中央部における輝度の低下を抑制しつつ、視野角特性を向上させることができる。よって、例えば、領域100における画素Aの占める割合を8割以上、より好ましくは画素Aのみとし、領域110における画素Bの割合を8割以上、より好ましくは画素Bのみとすることができる。
【0044】
また、画素Aと画素Bの配置方法について、発光装置は
図3の配列に限定されず、
図4のように千鳥配置としても良い。
図4において、画素Aの隣に画素Bが配置されており、画素Aと画素Bが交互に千鳥のように配置されている。発光装置の一面に
図4のように配置することで、発光装置の画面において、正面に出射する場合と斜めに出射する場合の異なる色の光間での輝度差が低減される。よって、斜めから見た場合と正面から見た場合との輝度差や色ずれの差の低減を、より効果的に発現することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図5に本実施形態に係る発光装置の一部の一例の断面模式図を表す。第1の実施形態の構造および説明は本実施形態においても同様に適用することが可能である。
【0046】
図5は、反射部材、第1電極、及び有機層を通る断面図であって、画素Aにおいて、副画素A1の反射部材と発光層との間の光学距離は、副画素A3の反射部材と発光層との間の光学距離より小さい。このように、各副画素の発する光の波長に合わせた光学距離とすることで、光の干渉を用いて画素が発する光の輝度を向上することができる。更に
図5では、副画素A2の光学距離も光の波長に合わせた距離となっている。
【0047】
一方、画素Aにおいて、副画素B1の反射部材と発光層との間の光学距離と、副画素B3の反射部材と発光層との間の光学距離は、副画素A1とA3の反射部材と発光層との間の光学距離の差より小さい。すなわち、画素B1は、斜め方向において他の色の光より発光強度が高くなる傾向にある赤色の光の発光強度を、抑える構成となっている。このような画素を画素Aのような構成の画素に加えて配することで、正面方向の光と斜め方向の光との輝度や色度の差を低減することができる。
【0048】
本実施の形態の発光装置について、
図5を用いてより具体的に説明する。発光層10と反射電極2との距離を光学距離Dとする。発光層10から発光された白色光は、下方に出射光として絶縁層3を透過し、反射電極2にて反射光として反射される。出射光と反射光が共振して対向電極12を透過してカラーフィルタ20を通して出射されることで、高い発光強度と色純度を得ることができる。
【0049】
このとき第1の実施形態とは違い、本実施の形態の発光装置では、画素Aではそれぞれの副画素毎に光学距離Dの長さが違う。すなわち、それぞれの副画素のカラーフィルタの色毎に、光学距離Dの光の共振のピーク波長を調整している。
【0050】
例えば、副画素A1のカラーフィルタ20A1は、ピーク波長が580~680nmの赤色であり、出射光と反射光が580~680nmで共振するように光学距離DA1を調整している。これによりカラーフィルタ20A1を透過する白色光が580~680nmでピーク波長となるため、表示画面正面方向に対し、高い発光強度と色純度を得ることができる。同様に副画素A2では、カラーフィルタ20A2はピーク波長が500~580nmの緑色のため、出射光と反射光が500~580nmで共振するように光学距離DA2が調整されている。また副画素A3では、カラーフィルタ20A3はピーク波長が430~500nmの青色のため、出射光と反射光が430~500nmで共振するように光学距離DA3が調整されている。
【0051】
しかしながら、共振された光のスペクトルは、ピークは高いが幅が狭いため、斜めから見た場合、中央から見た場合と比較して、発光強度が低下し中央との輝度の差異や色ずれが生じ、視野角特性が悪化する傾向がある。
【0052】
本実施の形態の発光装置では、副画素B1では、光学距離DB1が副画素B2の光学距離DB2と同じになっている。これにより、副画素B1のカラーフィルタ20B1を透過する白色光のピーク波長を副画素A1のカラーフィルタ20A1を透過する白色光のピーク波長とは異ならせることができ、また赤色の光の波長が弱くなる。よって、中央から見た場合と斜めから見た場合の色純度の差が少なくなり、視野角特性を向上させることができる。
【0053】
また、光学距離DB1と光学距離DB2を同じ距離とすることで、光学距離を調整するための光学調整層3の膜厚の変更するための半導体プロセスの工程を増やすことがなく、効率的に視野角特性を向上させることができる。さらに、光学距離DB1と光学距離DB2の距離の調整を、同じ絶縁層を配しその膜厚で調整する方法とすることで、半導体プロセスの工程を増やすことがなく、かつ膜厚制御をより正確に行うことができる。よって、効率的に視野角特性を向上させることができる。
【0054】
また、さらなる視野角の改善として、カラーフィルタを画素Aと画素Bとで変更しても良い。具体的には、例えば赤色である画素Bのカラーフィルタ20B1の膜厚を画素Aのカラーフィルタ20A1よりも薄くしてもよい。また、緑色の画素Bのカラーフィルタ20B2の膜厚を画素Aのカラーフィルタ20A2よりも厚くしてもよい。
【0055】
また、
図6に示す通り、画素Aのカラーフィルタ20A1の面積を画素Bのカラーフィルタ20B1よりも小さくし、かつ画素Aのカラーフィルタ20A2の面積を画素Bのカラーフィルタ20B2よりも大きくしてもよい。
【0056】
また、チップが大きい場合のより効果的に視野角特性が良くなる方法として、カラーフィルタ20の配置を変更してもよい。具体的には、副画素A1の発光領域の中心とカラーフィルタ20A1の中心をずらすことによるもので、発光層10から発光された白色光を斜め方向に対してカラーフィルタ20A1を透過することができる。これにより斜めから見た場合の色ずれをより生じにくくすることができる。
【0057】
(第3の実施形態)
図7に本実施形態に係る発光装置の一例の断面模式図を表す。画素Aは副画素A1~A3を有し、画素Bは副画素B1~B3を有する。実施の形態1または実施の形態2と同様の構成、機能、効果等については説明を適宜省略する。
【0058】
図7において、基板1の上に主にALCuで形成される反射電極2が反射部材として配される。反射電極2の上部には、例えば酸化シリコン膜で形成された絶縁層3が光学調整層として配される。絶縁層3の膜厚は、例えば0.05~0.3μmとすることができる。絶縁層3の上には、透明電極4(第1電極)が配される。透明電極4は、透明材料であることが望ましく、例えば、酸化インジウム錫(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)を用いて形成することができる。
【0059】
透明電極4の上には、有機膜が配される。有機膜は、例えば、透明電極4の上から、正孔輸送層9、発光層10、及び電子輸送層11の順で有する構成とすることができる。電子輸送層11の上には対向電極12(第2電極)が配される。対向電極12は、発光層10で発光した光を遮ることなく上部に出射するため、透明材料で形成されることが望ましく、例えば、金、白金、銀、アルミニウム、クロム、マグネシウムまたはこれらの合金の薄膜を用いて形成することができる。対向電極12の上には、封止層13が配される。封止層13は、有機膜への水分の侵入を防ぐため、例えば、プラズマCVD法で成膜された窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0060】
本実施の形態では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なり、発光層10が副画素毎に異なる波長の光を発し、カラーフィルタを有さない。例えば副画素A1の発光層10A1はピーク波長が580~680nmの赤色を出射する。また、副画素A2の発光層10A2はピーク波長が500~580nmの緑色、副画素A3の発光層10A3はピーク波長が430~500nmの青色の光を、それぞれ出射する。
【0061】
このような構成においても、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と同様に、斜めから見た場合、中央から見た場合に対し、光の輝度の差や色ずれが生じ、視野角特性が悪化する。例えば、斜めから見た場合、赤色の波長が緑色、青色と比べ光の波長が長いため、中央から見た場合よりも赤色の発光強度が強く、色純度が赤色になる傾向がある。よって、実施の形態1または2と同様に、発光装置が画素Aに加え画素Bを有する構成とすることで、中央から見た場合と斜めから見た場合、または中央部と周辺部における、発光装置の色純度の差を低減することができる。よって、視野角特性を向上させることができる。
【0062】
具体的には、本実施の形態の画素Bの副画素B1では、光学距離DB1は0.05um程度であり、画素Aの副画素A1の光学距離DA1の0.2umに比べて短い。すなわち、赤色の光の波長が弱くなるように、光学距離DB1が調整されている。これにより、斜めへ赤色の波長の発光強度を弱めることで中央から見た場合との色純度の差が少なくなり、視野角特性を向上させることができる。光学距離DB1の調整は、本実施の形態では、絶縁層3の膜厚を変更することで行う例を示すが、光学距離DB1の調整は、透明電極4の膜厚で調整しても良い。
【0063】
(実施の形態4)
[有機発光素子の構成]
有機発光素子は、基板の上に、陽極、有機化合物層、陰極を形成して設けられる。陰極の上には、保護層、カラーフィルタ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。
【0064】
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、陽極2と配線の導通を確保するために、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
【0065】
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
【0066】
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金が使用できる。また、例えば、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。更に、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
【0067】
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
【0068】
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
【0069】
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を抑制するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が抑制できれば、合金の比率は問わない。例えば、1:1であってよい。
【0070】
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
【0071】
[保護層]
陰極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、陰極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を抑え、表示不良の発生を抑えることができる。また、別の実施形態としては、陰極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機EL層に対する水等の浸入を抑えてもよい。例えば、陰極形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。
【0072】
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
【0073】
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
【0074】
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
【0075】
[対抗基板]
平坦化層の上には、対抗基板を有してよい。対抗基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対抗基板と呼ばれる。対抗基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。
【0076】
[有機層]
一実施の形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
【0077】
一実施の形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
【0078】
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
【0079】
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。上記は例であり、バインダー樹脂は、これらに限定されるものではない。
【0080】
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
【0081】
[半導体装置の用途]
第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る発光装置は各種電子機器の表示部として用いることができる。たとえば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、ゲーム機、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、電子書籍、テレビ受像機等が挙げられる。以下に図面を用いて具体例を説明する。
【0082】
図8は、半導体装置の表示装置としての適用例の一例である。第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る半導体装置を用いた表示装置は、カメラのビューファインダ、ヘッドマウントディスプレイ、スマートグラスのような情報表示装置に適用できる。
【0083】
図8(a)は、カメラ等の撮像装置のビューファインダとして用いた一例の概略構成図である。表示装置212からは表示光217と赤外光218が出射され、表示光と赤外光とが同一の光学部材222を通って、ユーザーの眼球6に達する。ユーザーの眼球216で反射した赤外光は撮像素子を有する撮像装置223で電気情報に変換され、その情報に基づいて視線の検出がなされる。撮像装置を設ける代わりに、表示装置1の絶縁層上に撮像素子を設けて、表示撮像装置として用いてもよい。
【0084】
図8(b)は、カメラ等の撮像装置の一例である。撮像装置224は、ビューファインダ225、ディスプレイ226、操作部227、筐体228を有する。
図8(a)の表示装置は、ビューファインダ225に設けられている。
【0085】
図8(a)では、表示光217と赤外光218が同一の光学部材222を通る例を示したが、表示光と赤外光で別の光学部材を設けてもよい。また、撮像装置を設ける代わりに、表示装置212の基板上に撮像素子を設けて、表示撮像装置として用いてもよい。検出した視線情報は、カメラのピント制御、表示画像の解像度制御、ボタン操作の代替など、表示装置や表示装置と接続される種々の機器の制御に用いることができる。
【0086】
本実施の形態に係る半導体装置を有する表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。
【0087】
具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
【0088】
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域を決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
【0089】
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
【0090】
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
【0091】
他にも、赤外光を受光する受光素子を有する第一の撮像装置と、第一の撮像装置と異なる受光素子を備え、外部を撮像するための第二の撮像装置とを有し、第一の撮像装置のユーザーの視線情報に基づいて、第二の撮像装置の撮像解像度を制御してよい。撮像の解像度を優先された領域に比べて、他の領域を低下させることで、情報量を低減できる。このため、消費電力の低減、表示遅延の低減が図れる。優先される領域を第一の撮像領域、第一の撮像領域よりも優先度が低い領域を第二の撮像領域としてよい。
【0092】
図8(c)は、スマートグラスの一例を示す模式図である。スマートグラスに代表される撮像表示装置229は、制御部230と透明表示部231と不図示の外部撮像部とを有している。スマートグラスに適用した場合、検出された視線情報に基づいて、表示装置と外部撮像装置の両方を制御することができ、消費電力や表示遅延の低減が図れる。例えば、表示領域の内、ユーザーが注視している領域以外の領域の表示と撮像の解像度を低下させることで、撮像と表示の双方の情報量を削減でき、消費電力や表示遅延が低減できる。
【0093】
また、第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る半導体装置を有する表示装置は、下記表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
【0094】
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。
【0095】
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
【0096】
次に、図面を参照しながら本実施の形態に係る表示装置につい説明する。
図9は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるTFT素子とを有する表示装置の例を示す断面模式図である。TFT素子は、能動素子の一例である。
【0097】
図9の表示装置300は、ガラス等の基板301とその上部にTFT素子又は有機化合物層を保護するための防湿膜302が設けられている。また符号303は金属のゲート電極303である。符号304はゲート絶縁膜304であり、305は半導体層である。
【0098】
TFT素子308は、半導体層305とドレイン電極306とソース電極307とを有している。TFT素子308の上部には絶縁膜309が設けられている。コンタクトホール310を介して有機発光素子を構成する陽極311とソース電極307とが接続されている。
【0099】
尚、有機発光素子に含まれる電極(陽極、陰極)とTFTに含まれる電極(ソース電極、ドレイン電極)との電気接続の方式は、
図9に示される態様に限られるものではない。つまり陽極又は陰極のうちいずれか一方とTFT素子ソース電極またはドレイン電極のいずれか一方とが電気接続されていればよい。
【0100】
図9の表示装置300では有機化合物層を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層312は、複数層であってもよい。陰極313の上には有機発光素子の劣化を抑制するための第一の保護層314や第二の保護層315が設けられている。
【0101】
図9の表示装置300ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えてMIM素子をスイッチング素子として用いてもよい。
【0102】
また
図9の表示装置300に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。尚、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
【0103】
図9の表示装置300に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
【0104】
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。尚、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
【0105】
図10は、本実施の形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
【0106】
本実施の形態に係る表示装置1000は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する光電変換装置の表示部に用いられてよい。光電変換装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、撮像素子が取得した情報を用いて情報を取得し、表示部は、それとは別の情報を表示するものであってもよい。表示部は、光電変換装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。光電変換装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
【0107】
図11(a)は、本実施の形態に係る光電変換装置の一例を表す模式図である。光電変換装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、第1乃至第3のいずれかの実施の形態に係る半導体装置を表示装置として有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
【0108】
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本発明の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
【0109】
光電変換装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。
【0110】
本実施の形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
【0111】
本実施の形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレットの他、先に説明したヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
【0112】
図11(b)は、本実施の形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。表示部は、実施の形態1または2の半導体装置を有することができる。
【0113】
図12は、本実施形態に係る半導体装置が表示装置である場合の一例を表す模式図である。
図12(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、第1乃至第3のいずれかの実施の形態に係る半導体装置が用いられてよい。
【0114】
額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、
図12(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。
【0115】
また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
【0116】
図12(b)は本実施の形態に係る半導体装置が表示装置である場合の他の例を表す模式図である。
図12(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、実施の形態に係る半導体装置を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点1314で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
【0117】
図13(a)は、本実施の形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光学フィルム1404と、光拡散部1405と、を有してよい。光源は、第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る半導体装置を有してよい。この場合、各画素に入力される画像データは、表示された際に像を形成するものではなく、同一の輝度に対応した信号であってもよい。
【0118】
光学フィルム1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ、光拡散部は、透過性を有し、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
【0119】
照明装置1400は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置1400は第1乃至第3の実施の形態のいずれかに記載の半導体装置を有していてよく、例えば、有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
【0120】
また、本実施形態に係る照明装置1400は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
【0121】
図13(b)は、本実施の形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
【0122】
テールランプ1501は、第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る半導体装置を照明装置として有してよい。テールランプは、有機EL素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
【0123】
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る半導体装置を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
【0124】
本実施の形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る半導体装置を照明装置として有する。
【0125】
以上説明した通り、第1乃至第3の実施の形態のいずれかに係る半導体装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
【符号の説明】
【0126】
A 画素
B 画素
A1 画素Aの副画素
A3 画素Aの副画素
B1 画素Bの副画素
B3 画素Bの副画素
1 基板
2 反射電極
3 絶縁層
4 透明電極
DA1 副画素A1の光学距離
DA3 副画素A3の光学距離
DB1 副画素B1の光学距離
DB3 副画素B3の光学距離