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特許7500214レンズ装置、撮像装置、カメラシステム、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】レンズ装置、撮像装置、カメラシステム、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20240610BHJP
   G03B 7/091 20210101ALI20240610BHJP
   G03B 17/14 20210101ALI20240610BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20240610BHJP
   H04N 23/667 20230101ALI20240610BHJP
   H04N 23/70 20230101ALI20240610BHJP
   H04N 23/68 20230101ALI20240610BHJP
【FI】
H04N23/60 100
G03B7/091
G03B17/14
H04N23/66
H04N23/667
H04N23/70
H04N23/68
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020023224
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021129230
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 瑠美
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-129589(JP,A)
【文献】特開2007-193155(JP,A)
【文献】特開2012-065360(JP,A)
【文献】特開2008-233325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60 - 23/76
G03B 7/00 - 7/30
G03B 17/14
G03B 17/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像素子、およびメカニカルシャッタを備える撮像装置に装着可能なレンズ装置であって、
前記撮像装置の情報、および現在の撮影条件に関する情報を用いて前記撮像素子の撮像開始のために前記メカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを判断すると共に、判断結果を前記撮像装置に通知する判断部を有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記撮像装置の情報は、前記撮像装置の種類、シャッタスピード、連写設定、コマ速、手振れ補正機能の有無、ジャイロセンサ情報、三脚設置状態、およびシャッタ衝撃に関する情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記現在の撮影条件に関する情報は、前記レンズ装置の種類、焦点距離、被写体距離、F値、手振れ補正機能の有無、およびジャイロセンサ情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記判断部は、シャッタスピードが所定範囲外である場合、前記メカニカルシャッタを使用すると判断し、前記シャッタスピードが所定範囲内である場合、前記電子シャッタを使用すると判断することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記所定範囲は、前記撮像装置の情報、および現在の撮影条件に関する情報に応じて変更されることを特徴とする請求項4に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記判断部は、被写体距離が所定値より大きい場合、前記メカニカルシャッタを使用すると判断し、前記被写体距離が前記所定値より小さい場合、前記電子シャッタを使用すると判断することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記所定値は、前記撮像装置の情報、および現在の撮影条件に関する情報に応じて変更されることを特徴とする請求項6に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記判断部は、三脚が使用されていない場合、前記メカニカルシャッタを使用すると判断し、前記三脚が使用されている場合、前記電子シャッタを使用すると判断することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記判断部は、連写モードが設定されていない場合、前記メカニカルシャッタを使用すると判断し、前記連写モードが設定されている場合、前記電子シャッタを使用すると判断することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のレンズ装置。
【請求項10】
被写体像を撮像する撮像素子と、
メカニカルシャッタと、
前記撮像素子の撮像開始のためのシャッタ方式を選択する選択部とを有し、
前記撮像素子の撮像開始のために前記メカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを判断する判断部を備えるレンズ装置に互いに通信可能に装着される撮像装置であって、
前記選択部は、前記判断部による判断結果を用いて前記シャッタ方式を選択することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
レンズ装置に装着可能であり、前記レンズ装置と通信を行う撮像装置であって、
被写体像を撮像する撮像素子と、
メカニカルシャッタと
記撮像素子の撮像開始のために前記メカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを判断する判断部と、
前記判断部による判断結果を用いて前記撮像素子の撮像開始のためのシャッタ方式を選択する選択部とを有し、
前記判断部は、前記レンズ装置から送信される、前記メカニカルシャッタの使用を禁止するシャッタスピードまたは被写体距離に関する情報に基づいて、前記メカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを判断することを特徴とする撮像装置。
【請求項12】
前記判断部は、前記レンズ装置から送信される情報、および現在の撮影条件に関する情報を用いて前記メカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを判断することを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記現在の撮影条件に関する情報は、前記撮像装置の種類、シャッタスピード、連写設定、コマ速、手振れ補正機能の有無、ジャイロセンサ情報、三脚設置状態、およびシャッタ衝撃に関する情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記撮像装置に対してメカシャッタモード、電子シャッタモード、および自動切替モードのいずれかのモードを設定可能であり、
前記選択部は、前記撮像装置に対して前記自動切替モードが設定されている場合、前記判断部による判断結果を用いて前記シャッタ方式を選択することを特徴とする請求項10乃至13の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記判断部は、シャッタスピードが所定範囲外である場合、前記メカニカルシャッタを使用すると判断し、前記シャッタスピードが所定範囲内である場合、前記電子シャッタを使用すると判断することを特徴とする請求項11乃至14の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記所定範囲は、現在の撮影条件に関する情報に応じて変更されることを特徴とする請求項15に記載のレンズ装置。
【請求項17】
前記判断部は、被写体距離が所定値より大きい場合、前記メカニカルシャッタを使用すると判断し、前記被写体距離が所定値より小さい場合、前記電子シャッタを使用すると判断することを特徴とする請求項11乃至16の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項18】
前記所定値は、前記撮像装置の情報、および現在の撮影条件に関する情報に応じて変更されることを特徴とする請求項17に記載の撮像装置。
【請求項19】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のレンズ装置と、
請求項10に記載の撮像装置とを有することを特徴とするカメラシステム。
【請求項20】
被写体像を撮像する撮像素子、およびメカニカルシャッタを備える撮像装置に装着可能なレンズ装置の制御方法であって、
前記撮像装置の情報、および現在の撮影条件に関する情報を用いて前記撮像素子の撮像開始のために前記メカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップでの判断結果を前記撮像装置に通知する通知ステップとを有することを特徴とする制御方法
【請求項21】
請求項20に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
レンズ装置に装着可能であり、前記レンズ装置と通信を行う撮像装置であり、被写体像を撮像する撮像素子、およびメカニカルシャッタを備える撮像装置の制御方法であって、
前記メカニカルシャッタの使用を禁止するシャッタスピードまたは被写体距離に関する情報を前記レンズ装置から取得する取得ステップと、
前記撮像素子の撮像開始のために前記メカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを、前記メカニカルシャッタの使用を禁止するシャッタスピードまたは被写体距離に関する情報に基づいて判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおける判断結果を用いて前記撮像素子の撮像開始のためのシャッタ方式を選択する選択ステップを有することを特徴とする制御方法。
【請求項23】
請求項22に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ装置、撮像装置、カメラシステム、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メカニカルシャッタおよび電子シャッタを併用して撮像を実現する撮像装置が提案されている。特許文献1には、撮像素子から出力される信号に基づいてフリッカー検知を行い、その結果に基づいて連続撮影の2枚目以降の撮像においてメカニカルシャッタを用いるか電子シャッタを用いるかを選択する撮像装置が開示されている。特許文献1の撮像装置は、フリッカーが生じている場合に、電子シャッタを用いて撮像動作の効率化を図ることで、連続撮影時のコマ速向上を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-216636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、メカニカルシャッタ、又は電子シャッタを用いるのが好ましい撮影条件は、コマ速以外の要件にも依存する。例えば、ローリングシャッタ歪みの影響が大きくなるシャッタスピードで撮像を行う場合、メカニカルシャッタを用いるのが望ましい。また、シャッタ衝撃が撮像期間中に持続するシャッタスピードで撮像を行う場合、像ブレを抑制するために電子シャッタを用いるのが望ましい。一方、メカニカルシャッタを使用した場合の音や撮影感覚を好むユーザも存在する。
【0005】
本発明は、ユーザが手動で設定を変更することなく、最適なシャッタ方式での撮像が可能なレンズ装置、撮像装置、カメラシステム、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのレンズ装置は、被写体像を撮像する撮像素子、およびメカニカルシャッタを備える撮像装置に装着可能なレンズ装置であって、撮像装置の情報、および現在の撮影条件に関する情報を用いて撮像素子の撮像開始のためにメカニカルシャッタおよび電子シャッタのいずれを使用するかを判断すると共に、判断結果を撮像装置に通知する判断部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザが手動で設定を変更することなく、最適なシャッタ方式での撮像が可能なレンズ装置、撮像装置、カメラシステム、およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のカメラシステムのブロック図である。
図2】シャッタ方式を選択する際に表示されるメニュー画面の一例を示す図である。
図3】実施例1のシャッタ方式選択動作を示すフローチャートである。
図4】実施例1のメカシャッタ使用可否判断のフローチャートである。
図5】実施例2のシャッタ方式選択動作を示すフローチャートである。
図6】実施例2のメカシャッタ使用可否判断のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【実施例1】
【0010】
図1は、本実施例のカメラシステム10のブロック図である。カメラシステム10は、カメラ本体(撮像装置)100、およびカメラ本体100に装着可能な交換レンズ(レンズ装置)101を有する。カメラ本体100と交換レンズ101は、互いに通信可能に構成されている。
【0011】
カメラ本体100は、カメラMPU102、カメラ操作部103、撮像素子104、メカシャッタ(メカニカルシャッタ)105、シャッタ駆動部106、液晶モニタ107、およびカメラ側接点端子108を有する。
【0012】
カメラMPU102は、カメラ本体100の制御全般を行う制御装置であり、カメラ本体100に具備された各種操作スイッチであるカメラ操作部103からの入力に応じて測光や露光等の様々な処理を行う。
【0013】
撮像素子104は、CMOSなどのセンサであり、交換レンズ101によって結像された被写体像を電気信号に変換する。カメラMPU102は、撮像素子104の各ラインのリセット制御を行うことで電子シャッタ機能を実現することができる。また、カメラMPU102は、シャッタ駆動部106を制御することでメカシャッタ105を、撮像素子104を遮光する位置と撮像素子104を露光する位置との間で移動させることが可能である。
【0014】
液晶モニタ107は、カメラ本体100の背面に配置されており、カメラMPU102で処理された画像やカメラシステム10の設定等を表示する。カメラシステム10では、シャッタ方式を選択可能である。図2は、シャッタ方式を選択する際に液晶モニタ107に表示されるメニュー画面の一例を示している。本実施例では、4種類のモードに応じたシャッタ方式を選択可能である。4種類のモードには、先幕電子シャッタモード、電子シャッタモード、メカシャッタモード、および自動切替モードが含まれる。先幕電子シャッタモードでは、露光開始時のシャッタ制御(先幕シャッタ制御)は撮像素子104で電子的に行われ、露光終了時のシャッタ制御(後幕シャッタ制御)はメカシャッタ105で行われる。電子シャッタモードでは、先幕シャッタ制御、および後幕シャッタ制御は共に撮像素子104で電子的に行われる。メカシャッタモードでは、先幕シャッタ制御、および後幕シャッタ制御は共にメカシャッタ105で行われる。自動切替モードでは、先幕シャッタ制御、および後幕シャッタ制御を電子シャッタで実現するか、メカシャッタで実現するかが自動で切り替えられる。自動切替モードに設定されている場合、本実施例では後述するようにカメラMPU102がメカシャッタ使用可否判断に基づいてシャッタ方式を選択する選択部として機能する。
【0015】
なお、自動切替モードでは、先幕電子シャッタ、電子シャッタ、およびメカシャッタのいずれかのモードに自動で切り替えられるが、他のシャッタ方式を含む異なる組み合わせからシャッタ方式が自動で切り替えられてもよい。
【0016】
また、自動切替モードで優先的に選択されるモードは、本実施例ではメカシャッタモードに設定されているが、他のモードに設定されていてもよい。
【0017】
また、本実施例では、1種類の自動切替モードを選択可能であるが、シャッタ方式の選択条件や選択されるシャッタ方式の組み合わせが異なる複数の自動切替モードを選択可能であってもよい。
【0018】
また、本実施例では、先幕電子シャッタモード、電子シャッタモード、メカシャッタモード、および自動切替モードのいずれかを選択可能だが、強制的に自動切替モードとなるようにしてもよい。
【0019】
カメラMPU102は、カメラ側接点端子108を通じて交換レンズ101との間で各種情報のやり取りを行ったり、交換レンズ101に電源を供給したりする。カメラ操作部103は、撮影モードの設定等を行うためのスイッチ類である。また、カメラ操作部103は、押し込み量に応じて第1スイッチ(SW1)と第2スイッチ(SW2)が順にオンするように構成されたレリーズスイッチを有する。カメラシステム10は、SW1のオンを検出すると自動合焦、および自動露出の動作を行い、更にSW2のオンを検出すると露光開始の指示を行う。レリーズスイッチの状態は、カメラ側接点端子108、およびレンズ側接点端子119を介した通信により、カメラMPU102からレンズMPU109に通知される。
【0020】
交換レンズ101は、レンズMPU109、フォーカスレンズ110、フォーカスレンズ駆動部111、ズームレンズ112、ズームレンズ駆動部113、像振れ補正レンズ114、像振れ補正レンズ駆動部115、絞り116、および絞り駆動部117を有する。また、交換レンズ101は、ジャイロセンサ118、レンズ側接点端子119、およびレンズ操作部120を有する。
【0021】
レンズ操作部120は、オートフォーカス機能のオンオフを切り替えるためのフォーカススイッチ、および像振れ補正機能のオンオフを切り替えるための像振れ補正スイッチを有する。また、レンズ操作部120は、交換レンズ101のズーム倍率を調整するためのズームリング、およびピント位置を調整するためのフォーカスリングを有する。
【0022】
レンズMPU109は、レンズ操作部120のフォーカスリングの操作やカメラMPU102からの指示に従ってフォーカスレンズ駆動部111を制御することでフォーカスレンズ110を駆動する。また、レンズMPU109は、レンズ操作部120のズームリングの操作に従ってズームレンズ駆動部113を制御することでズームレンズ112を駆動する。また、レンズMPU109は、ジャイロセンサ118からの信号に従って像振れ補正レンズ駆動部115を制御することで像振れ補正レンズ114を駆動する。また、レンズMPU109は、絞り駆動部117を制御することで絞り118の開口径を変更させる露出制御を行う。
【0023】
また、本実施例では、レンズMPU109は、カメラ本体100の情報、および現在の撮影条件に関する情報を用いて撮像素子104の撮像開始のためにメカシャッタ105を使用するかどうかを判断する判断部として機能する。カメラ本体100の情報は、カメラ本体100の種類、シャッタスピード、連写設定、コマ速、手振れ補正機能の有無、ジャイロセンサ情報、三脚設置状態、およびシャッタ衝撃に関する情報(大きさ、周波数、および継続時間)の少なくとも一つを含む。現在の撮影条件に関する情報は、交換レンズ101の種類、焦点距離、被写体距離、F値、手振れ補正機能の有無、およびジャイロセンサ情報の少なくとも一つを含む。
【0024】
以下、図3および図4のフローチャートを用いて、本実施例のカメラシステム10のシャッタ方式選択動作について説明する。
【0025】
図3は、自動切替モードに設定されている場合のカメラMPU102によるシャッタ方式選択動作を示すフローチャートである。
【0026】
ステップS301では、カメラMPU102は、設定されているシャッタスピードが所定値(例えば1/2000秒)よりも速いかどうかを判断する。シャッタスピードが所定値よりも速い場合、ステップS302に進み、シャッタスピードが所定値よりも遅い場合、ステップS303に進む。シャッタスピードが所定値に等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0027】
ステップS302では、カメラMPU102は、電子シャッタモードを選択する。
【0028】
ステップS303では、カメラMPU102は、カメラ本体100の種類に関する情報を、カメラ側接点端子108、およびレンズ側接点端子119を介して交換レンズ101に送信する。カメラ本体100の種類に関する情報は、カメラIDに限定されない。最大のシャッタ速度に関する情報、最大のコマ速に関する情報、撮像素子の画素数や画素ピッチ等のカメラ本体100の機能を特定するための情報であればよい。
【0029】
ステップS304では、カメラMPU102は、シャッタスピードに関する情報を、カメラ側接点端子108、およびレンズ側接点端子119を介して交換レンズ101に送信する。
【0030】
ステップS305では、連写モードに設定されているか否かに関する情報(連写設定に関する情報)を、カメラ側接点端子108、およびレンズ側接点端子119を介して交換レンズ101に送信する。
【0031】
ステップS306では、カメラMPU102は、メカシャッタ使用可否判断結果を交換レンズ101から受信する。
【0032】
ステップS307では、カメラMPU102は、メカシャッタ使用可否判断結果に基づいてメカシャッタの使用が許可されているかどうかを判断する。メカシャッタの使用が許可されている場合、ステップS308に進み、メカシャッタの使用が許可されていない場合、ステップS309に進む。
【0033】
ステップS308では、カメラMPU102は、メカシャッタモードを選択する。
【0034】
ステップS309では、カメラMPU102は、電子先幕シャッタモードを選択する。なお、本実施例では、メカシャッタの使用が許可されていない場合に電子先幕シャッタモードを選択するが、電子シャッタモードを選択するようにしてもよい。
【0035】
図4は、レンズMPU109によるメカシャッタ使用可否判断を示すフローチャートである。レンズMPU109は、図3のステップS303~ステップS305において、メカシャッタ使用可否判断に必要な各種情報を受信すると、メカシャッタ使用可否判断を開始する。
【0036】
ステップS401では、レンズMPU109は、カメラ本体100の種類が所定の機種であるかどうかを判断する。カメラ本体100の種類が所定の機種である場合、ステップS402に進み、そうでない場合、ステップS407に進む。なお、本実施例では、カメラ本体100の機種によって判断するが、例えばカメラ本体100に対するシャッタ衝撃の大きさや周波数等の情報を用いて判断してもよい。
【0037】
ステップS402では、レンズMPU109は、シャッタスピードが所定範囲(例えば1/250~1/30秒)内であるかどうかを判断する。シャッタスピードが所定範囲内である場合、ステップS403に進み、所定範囲外である場合、ステップS407に進む。
【0038】
ステップS403では、レンズMPU109は、被写体距離が所定値より小さいかどうかを判断する。被写体距離が所定値より小さい場合、ステップS406に進み、被写体距離が所定値より大きい場合、ステップS404に進む。被写体距離が所定値に等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0039】
ステップS404では、レンズMPU109は、カメラシステム10が、三脚が設置されている状態(三脚設置状態)であるかどうかを判断する。レンズMPU109は、本実施例ではジャイロセンサ118の信号を用いてカメラシステム10が三脚設置状態であるかどうかを判断しているが、カメラMPU102が検出した情報を用いてカメラシステム10が三脚設置状態であるかどうかを判断してもよい。カメラシステム10が三脚設置状態である場合、ステップS405に進み、そうでない場合、ステップS407に進む。
【0040】
ステップS405では、レンズMPU109は、カメラシステム10が連写モードに設定されているかどうかを判断する。カメラシステム10が連写モードに設定されている場合、ステップS406に進み、そうでない場合、ステップS407に進む。
【0041】
ステップS406では、レンズMPU109は、メカシャッタ105の使用を禁止する。
【0042】
ステップS407では、レンズMPU109は、メカシャッタ105の使用を許可する。
【0043】
なお、本実施例では、ステップS401でカメラ本体100の機種が所定の機種でない場合、ステップS407に進むが、ステップS402に進んでもよい。ただし、この場合、カメラ本体100の情報、および現在の撮影条件に関する情報に応じてステップS402の所定範囲、およびステップS403の所定値を変更する必要がある。
【0044】
なお、メカシャッタ使用可否判断に必要な各種情報は、本実施例で使用したものに限定されず、前述した他の情報を用いてもよい。
【0045】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、ユーザが手動で設定を変更することなく、最適なシャッタ方式での撮像が可能である。
【実施例2】
【0046】
本実施例では、メカシャッタ使用可否判断をカメラMPU102が実施する場合について説明する。すなわち、本実施例では、カメラMPU102は、交換レンズ101の情報、および現在の撮影条件に関する情報を用いて撮像素子104の撮像のためにメカシャッタ105および電子シャッタのいずれを使用するかを判断する判断部として機能する。交換レンズ101の情報は、交換レンズ101の種類、焦点距離、被写体距離、F値、手振れ補正機能の有無、およびジャイロセンサ情報の少なくとも一つを含む。現在の撮影条件に関する情報は、カメラ本体100の種類、シャッタスピード、連写設定、コマ速、手振れ補正機能の有無、ジャイロセンサ情報、三脚設置状態、およびシャッタ衝撃に関する情報(大きさ、周波数、および継続時間)の少なくとも一つを含む。本実施例のカメラシステムの構成は実施例1のカメラシステム10と同じであり、共通する構成要素には実施例1と同符号を付して説明に代える。
【0047】
以下、図5および図6のフローチャートを用いて、本実施例のカメラシステムのシャッタ方式選択動作について説明する。
【0048】
図5は、シャッタ方式のモードが自動切替モードに設定されている場合のカメラMPU102によるシャッタ方式選択動作を示すフローチャートである。
【0049】
ステップS501では、カメラMPU102は、設定されているシャッタスピードが所定値(例えば1/2000秒)よりも速いかどうかを判断する。シャッタスピードが所定値よりも速い場合、ステップS502に進み、シャッタスピードが所定値よりも遅い場合、ステップS503に進む。シャッタスピードが所定値に等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0050】
ステップS502では、カメラMPU102は、電子シャッタモードを選択する。
【0051】
ステップS503では、カメラMPU102は、交換レンズ101の種類に関する情報を、レンズ側接点端子119、およびカメラ側接点端子108を介して交換レンズ101から受信する。
【0052】
ステップS504では、カメラMPU102は、メカシャッタ105の使用を禁止すべきシャッタスピードに関する情報(例えば1/250~1/30秒)を、レンズ側接点端子119、およびカメラ側接点端子108を介して交換レンズ101から受信する。なお、本実施例では、カメラMPU102は、メカシャッタ105の使用を禁止すべきシャッタスピードに関する情報を交換レンズ101から受信するが、あらかじめ保持していてもよい。また、メカシャッタ105の使用を禁止とするシャッタスピードの条件と交換レンズ101の種類との条件を紐づけしておき、交換レンズ101の種類に応じて判断するようにしてもよい。
【0053】
ステップS505では、カメラMPU102は、メカシャッタ105の使用を禁止すべき被写体距離に関する情報を、レンズ側接点端子119、およびカメラ側接点端子108を介して交換レンズ101から受信する。
【0054】
ステップS506では、カメラMPU102は、現在の被写体距離に関する情報を、レンズ側接点端子119、およびカメラ側接点端子108を介して交換レンズ101から受信する。
【0055】
ステップS507では、カメラMPU102は、三脚設置状態に関する情報を、レンズ側接点端子119、およびカメラ側接点端子108を介して交換レンズ101から受信する。なお、本実施例では、カメラMPU102は、三脚設置状態に関する情報を交換レンズ101から受信するが、自ら三脚設置状態を検出してもよい。
【0056】
ステップS508では、カメラMPU102は、後述するメカシャッタ使用可否判断を実施する。
【0057】
ステップS509では、カメラMPU102は、メカシャッタ使用可否判断結果に基づいてメカシャッタ105の使用が許可されているかどうかを判断する。メカシャッタ105の使用が許可されている場合、ステップS510に進み、メカシャッタ105の使用が許可されていない場合、ステップS511に進む。
【0058】
ステップS510では、カメラMPU102は、メカシャッタモードを選択する。
【0059】
ステップS309では、カメラMPU102は、電子先幕シャッタモードを選択する。
【0060】
図6は、カメラMPU102によるメカシャッタ使用可否判断を示すフローチャートである。カメラMPU102は、図5のステップS503~ステップS507において、メカシャッタ使用可否判断に必要な各種情報を受信すると、メカシャッタ使用可否判断を開始する。
【0061】
ステップS601では、カメラMPU102は、交換レンズ101の種類が所定の機種であるかどうかを判断する。交換レンズ101の種類が所定の機種である場合、ステップS602に進み、そうでない場合、ステップS607に進む。
【0062】
ステップS602では、カメラMPU102は、シャッタスピードが所定範囲(例えば1/250~1/30秒)内であるかどうかを判断する。シャッタスピードが所定範囲内である場合、ステップS603に進み、シャッタスピードが所定範囲外である場合、ステップS607に進む。
【0063】
ステップS603では、カメラMPU102は、被写体距離が所定値より小さいかどうかを判断する。被写体距離が所定値より小さい場合、ステップ に進み、被写体距離が所定値より大きい場合、ステップS604に進む。被写体距離が所定値に等しい場合、どちらのステップに進むかは任意に設定可能である。
【0064】
ステップS604では、カメラMPU102は、カメラシステム10が三脚設置状態であるかどうかを判断する。カメラシステム10が三脚設置状態である場合、ステップS605に進み、そうでない場合、ステップS607に進む。
【0065】
ステップS605では、カメラMPU102は、カメラシステム10が連写モードに設定されているかどうかを判断する。カメラシステム10が連写モードに設定されている場合、ステップS606に進み、そうでない場合、ステップS607に進む。
【0066】
ステップS606では、カメラMPU102は、メカシャッタ105の使用を禁止する。
【0067】
ステップS607では、カメラMPU102は、メカシャッタ105の使用を許可する。
【0068】
なお、メカシャッタ使用可否判断に必要な各種情報は、本実施例で使用したものに限定されず、前述した他の情報を用いてもよい。
【0069】
以上説明したように、本実施例の構成によれば、ユーザが手動で設定を変更することなく、最適なシャッタ方式での撮像が可能である。
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0071】
100 カメラ本体(撮像装置)
101 交換レンズ(レンズ装置)
103 カメラ操作部
104 撮像素子
105 メカシャッタ(メカニカルシャッタ)
109 レンズMPU(判断部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6