(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/387 20060101AFI20240610BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240610BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240610BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240610BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240610BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B41J29/387
B41J29/393 105
B41J29/42 F
B41J29/38 301
G03G21/00 500
H04N1/00 002Z
H04N1/00 567Q
(21)【出願番号】P 2020032031
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】及川 敏史
(72)【発明者】
【氏名】松井 規明
(72)【発明者】
【氏名】横谷 貴司
(72)【発明者】
【氏名】水主村 清治
(72)【発明者】
【氏名】町田 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】本橋 瞬
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 正朗
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-042521(JP,A)
【文献】特開2012-223947(JP,A)
【文献】特開2017-056668(JP,A)
【文献】特開2019-084770(JP,A)
【文献】特開2019-093550(JP,A)
【文献】特開2014-178282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像形成されたシートの画像を検査するシート検査手段と、
前記画像形成手段により複数枚のシートに画像を形成して前記シート検査手段により検査するジョブにおいて、前記シート検査手段が所定回数連続してシートの画像を画像不良であると判定した場合に、当該ジョブを中止する中止処理を実行する制御手段と、
ユーザの操作を受け付ける操作手段と、を備え、
前記制御手段は、前記シート検査手段により画像不良であると判定されたシートの画像を前記画像形成手段に再び形成させるリカバリ処理を実行可能であり、
前記操作手段は、前記ジョブにおいて前記中止処理が実行された場合に、当該ジョブを再開して前記リカバリ処理を実行する第1モードと、前記リカバリ処理を実行せずに当該ジョブを終了する第2モードと、を選択可能な画面を表示する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記制御手段が前記中止処理を実行するための前記所定回数の値を前記制御手段に入力する
操作を受付ける、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記ジョブにおいて、前記シート検査手段が所定回数連続してシートの画像を画像不良であると判定した場合、または、前記シート検査手段がシートを検査した回数に対する画像不良の割合が所定割合となった場合に、前記中止処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記シート検査手段により画像不良と判定されなかったシートを第1排出トレイに排出し、前記シート検査手段により画像不良と判定されたシートを前記第1排出トレイとは異なる第2排出トレイに排出する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第2モードにおいて、前記第2排出トレイにシートが排出された回数を初期化して当該ジョブを終了する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記中止処理を実行することなく前記ジョブが終了した場合において、当該ジョブにおいて前記シート検査手段により画像不良であると判定されたシートがあるときに前記リカバリ処理を実行する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記シート検査手段により画像不良であると判定されたシートに関する情報を操作手段に表示させる表示処理を実行可能である、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、複数枚のシートに対してそれぞれ異なる画像を形成する第1設定と、複数枚のシートに対して同一の画像を形成する第2設定と、を設定可能である、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像が形成されたシートの搬送中にシートの検査を行う検査機能を備える画像形成装置や画像形成システムが知られている。シートを検査する際には、シートの画像を読み取って、読み取ったシートの画像を解析し、シートにおける画像不良の発生の有無を判定する。シートにおける画像不良とは、例えば、シートに形成された画像の画像欠け、ページ抜け、色ずれ等のことである。画像不良であると判定されたシート(以下、「不良シート」とする)は、画像不良ではないと判定されたシート(以下、「正常シート」とする)とは別の排出先に排出されるため、印刷成果物から不良シートのみを選択的に廃棄することができる。
【0003】
また、このようなシートの検査機能を備える画像形成システムとして、例えば、特許文献1には、不良シートを再印刷するリカバリ機能を備える構成が開示されている。特許文献1では、不良シートと判定されたシートの後続のシートに対しても検査処理を継続して実行し、ジョブに含まれる全ページについて検査処理を実行する。そして、ジョブに含まれる全ページの印刷が終了した後に不良シートと判定されたシートの画像を再印刷する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、ジョブに含まれる全ページについて検査処理を実行すると、ジョブが終了するまでに不良シートの発生が増加し続ける可能性がある。不良シートが発生し続けると、シートの廃棄枚数も増加する。また、再印刷によって、更に不良シートの枚数が増加して廃棄枚数が増加してシートの無駄が多くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、シートを検査する際に、シートの無駄を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により画像形成されたシートの画像を検査するシート検査手段と、前記画像形成手段により複数枚のシートに画像を形成して前記シート検査手段により検査するジョブにおいて、前記シート検査手段が所定回数連続してシートの画像を画像不良であると判定した場合に、当該ジョブを中止する中止処理を実行する制御手段と、ユーザの操作を受け付ける操作手段と、を備え、前記制御手段は、前記シート検査手段により画像不良であると判定されたシートの画像を前記画像形成手段に再び形成させるリカバリ処理を実行可能であり、前記操作手段は、前記ジョブにおいて前記中止処理が実行された場合に、当該ジョブを再開して前記リカバリ処理を実行する第1モードと、前記リカバリ処理を実行せずに当該ジョブを終了する第2モードと、を選択可能な画面を表示する、ことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検品機能を備える画像形成装置において、シートを検査する際に、シートの無駄を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1の画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【
図2】実施例1のプリンタエンジン及びフィニッシャの概略構成図。
【
図3】実施例1の検査処理の態様を例示した説明図。
【
図4】実施例1の検査ユニットからコントローラに送信される信号を表した模式図。
【
図5】参考例のプリンタにおける検査処理及びリカバリ処理の流れを説明する図(a、b)。
【
図6】実施例1の画像形成ジョブの流れを示すフローチャート。
【
図8】実施例1の画像形成ジョブを例示した説明図(a、b、c)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示に含まれる実施例の画像形成装置としてのプリントシステム1000について説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1の画像形成装置の構成の一例としてのプリントシステム1000のハードウェア概略構成を表すブロック図である。なお、本実施例で説明する機能が実行可能構成であれば、LAN、WAN等のネットワークを介して相互に通信を行って処理を実行するシステムに対しても本実施例を適用することができる。つまり、本実施例の構成を、複数の印刷装置を含んで構成される画像形成システムに対しても適用することができる。また、画像形成手段と、シート検査手段とが実装され、シートの排出先となるトレイが複数あるプリンタに対しても本実施例の構成を適用することができる。
【0013】
図1に示すように、プリントシステム1000は、印刷ユニット100と、検査ユニット150とを備える。また、通信回線105を介して印刷ユニット100と、検査ユニット150と、ホストコンピュータ101とが相互に接続される構成としてもよい。なお、ホストコンピュータ101、印刷ユニット100、検査ユニット150の台数は、
図1に示している台数に限らず、複数台接続される構成としてもよい。ホストコンピュータ101は、不図示の入力装置に対するユーザの操作を受け付けて、操作に応じた信号を生成する。ホストコンピュータ101では、印刷ユニット100に送信される印刷指示等を含むジョブが生成される。ジョブは、ホストコンピュータ101から印刷ユニット100へ送信され、コントローラ110に入力される。
【0014】
印刷ユニット100は、コントローラ110と、操作パネル120と、プリンタエンジン130とを備える。本実施例の制御手段としてのコントローラ110は、ジョブや後述の操作パネル120から入力される情報に基づいて、印刷ユニット100及び印刷ユニット100に接続される装置の動作を制御することができる。なお、
図1では、コントローラ110が、印刷ユニット100内に内蔵される構成としているが、コントローラ110が印刷ユニット100に対して独立して接続される装置に実装されている構成としてもよい。操作パネル120は、タッチパネル等のユーザインタフェースを備え、ユーザの操作を受け付けて、操作に応じた信号を生成してコントローラ110に出力する。なお、操作パネル120の代わりに、印刷ユニット100に接続された情報処理端末(例えば、ホストコンピュータ101等)からユーザの操作に応じた信号がコントローラ110に入力される構成としてもよい。また、操作パネル120のディスプレイ等の表示部にプリントシステム1000の状態を表示するようにしてもよい。印刷ユニット100では、プリンタエンジン130において、コントローラ110で生成された画像データの印刷が行われる。プリンタエンジン130の構成については後述する。
【0015】
画像読取ユニット131と共に本実施例のシート検査手段を構成する検査ユニット150は、画像読取手段の一例としての画像読取ユニット131によって読み取られたシートの画像に基づいて、シートを検査する装置である。検査ユニット150は、通信回線105に接続され、ホストコンピュータ101等から、検査項目の設定に関する情報や検査の際に用いられる画像データ等を受信する。検査ユニット150では、画像読取ユニット131によって読み取られたシートの画像に基づいてシートの検査が行われる。検査ユニット150におけるシートの検査の具体的な態様については後述する。
【0016】
次にコントローラ110の構成について説明する。コントローラ110は、通信インタフェース(I/F)111と、不揮発メモリ112と、RAM113と、CPU114と、HDD115と、第1通信ポート116と、バス117と、第2通信ポート118とを備える。通信I/F111は、通信回線105を介して接続された装置と印刷ユニット100との間の通信制御を行う。不揮発メモリ112は、ROM等の不揮発性の記憶装置であり、プリントシステム1000を起動するファームウェア等の制御プログラムなどが記憶されている。RAM113は、プリントシステム1000の動作を制御するための各種制御プログラムが展開される記憶装置である。CPU114は、不揮発メモリ112に記憶されたプログラムをロードして、RAM113上に展開してプログラムを実行する演算装置である。CPU114の演算処理によって、プリントシステム1000の画像信号や各種デバイスが統括的に制御される。HDD115は、画像データや各種設定データ等の情報を記憶する記憶装置である。
【0017】
第1通信ポート116は、検査ユニット150からコントローラ110に検査結果を示す信号が送信される通信経路である。通信インタフェース(I/F)111、不揮発メモリ112、RAM113、CPU114、HDD115、第1通信ポート116、及び第2通信ポート118は、バス117を介して互いに接続されている。また、バス117は、コントローラ110と、操作パネル120又はプリンタエンジン130とを互いに接続している。なお、プリントシステム1000の制御プログラム及びオペレーティングシステムは、不揮発メモリ112の他、HDD115にも格納されている。また、コントローラ110に、図示しないNVRAM等の記憶装置を含む構成としてもよい。
【0018】
次に、
図2を参照してプリンタエンジン130の構成について説明する。
図2は、プリンタエンジン130及びフィニッシャ250の概略構成図である。プリンタエンジン130では、画像データを記録媒体としてのシートに物理的に印刷する画像形成処理が行われる。本実施例では、プリンタエンジン130において電子写真方式で画像形成処理が行われる構成を説明するが、インクジェット方式等の画像形成手段を用いたり、いくつかの方式の画像形成手段を組み合わせて用いてもよい。プリンタエンジン130は、画像形成ユニット200と、画像定着ユニット210と、画像読取ユニット131とを備える。画像形成ユニット200において画像が形成されたシートは、画像定着ユニット210に搬送され、画像定着ユニット210において画像の定着が行われたシートは、シートの搬送方向の下流に配置される画像読取ユニット131に搬送される。そして、画像読取ユニット131を通過したシートはフィニッシャ250に搬送される。つまり、画像読取ユニット131は、シートの搬送方向において画像形成ユニット200の下流に配置されている。
【0019】
次に、本実施例の画像形成手段としての画像形成ユニット200及び画像定着ユニット210において行われる画像形成処理の流れについて説明する。画像形成ユニット200は、給送デッキ201、202と、搬送パス203と、電子写真方式の現像ステーション204、205、206、207と、中間転写ベルト208と、二次転写部209とを有する。給送デッキ201、202には、それぞれシートが収納されている。給送デッキ201、202に収納されたシートは、それぞれ給送部201a、202aによって最上位のシートが1枚ずつ搬送パス203へ向けて給送される。現像ステーション204はブラック(K)の、現像ステーション205はシアン(C)の、現像ステーション206はマゼンタ(M)の、現像ステーション207はイエロー(Y)のトナー画像をそれぞれ形成する。現像ステーション204、205、206、207で形成された各色のトナー画像は、画像の位置合わせが行われて各色が中間転写ベルト208上に重畳するように一次転写される。中間転写ベルト208は
図2中の時計回りに回転し、二次転写部209において搬送パス203から搬送されてきたシートに対してトナー像が転写される。トナー像が転写されたシートは、画像定着ユニット210へ搬送される。
【0020】
画像定着ユニット210は、第1定着部211と、搬送パス212、214と、第2定着部213と、排出パス215と、反転パス216と、両面搬送パス217とを有する。第1定着部211は、加圧ローラと加熱ローラを備え、これらのローラの間のニップ部にシートを通過させてシートに転写されたトナーを加熱及び加圧して、シートにトナー像を定着させる。第1定着部211を通過したシートは、搬送パス212を通って排出パス215へと搬送される。なお、シートの種類によって定着のためにさらに加熱及び加圧が必要な場合がある。このような場合、第1定着部211を通過したシートは、搬送パス214によって第2定着部213へと搬送され、さらに加熱及び加圧が施されたのち、排出パス215へと搬送される。なお、シートの両面に画像を形成する場合は、第1面(表面)にトナーが定着されたシートを反転パス216に搬送し、反転パス216において両面搬送パス217に向けてシートを反転搬送する。反転搬送されたシートは、再び画像形成ユニット200に搬送され、二次転写部209において2面目(裏面)へのトナー像の転写が行われる。
【0021】
画像定着ユニット210を通過したシートは、画像読取ユニット131へ搬送される。画像読取ユニット131には、本実施例の画像読取手段の一例としての画像読取センサ231、232が互いに対向して配置されている。画像読取センサ231はシートの上面を、画像読取センサ232はシートの下面の画像をそれぞれ取得する。なお、画像読取手段は、例えばCISやCCD等のイメージセンサであり、本実施例では、CISを採用している。画像読取ユニット131は、搬送パス233に搬送されたシートが所定の位置に到達したタイミングで、画像読取センサ231、232によってシートの画像を読み取る。画像読取ユニット131は、送信手段の一例としての画像送信回線131Aを有し、画像読取ユニット131によって読み取られたシートの画像データは、画像送信回線131Aによって検査ユニット150へ送信される。なお、送信手段として、画像読取ユニット131によって読み取られたシートの画像データをコントローラ110に送信し、通信回線105を介して検査ユニット150に送信する構成でもよい。そして、画像読取ユニット131を通過したシートは、フィニッシャ250へ搬送される。
【0022】
フィニッシャ250は、排出トレイ251、252と、搬送パス253とを有する。例えば、シートの排出先として、第1排出トレイとしての排出トレイ251が指定されている場合、検査ユニット150によって画像不良ではないと判定されたシートは、搬送パス253を経て、排出トレイ251に排出される。一方で、検査ユニット150によって画像不良であると判定されたシートは、搬送パス254を経て、第2排出トレイとしての排出トレイ252に排出される。
【0023】
なお、フィニッシャ250において、搬送されたシートに対してフィニッシング処理を施す構成でもよい。フィニッシャ250は、例えば、ステープル(1箇所・2箇所綴じ)やパンチ(2穴・3穴)、中とじ製本等のフィニッシング処理を実行可能である。ステープル等のフィニッシング処理を行う場合は、搬送パス254を通過したシートが後処理部255においてフィニッシング処理が施されて、排出トレイ252へ排出される。排出トレイ251、252は、昇降可能に設けられており、排出トレイ251を下降させて、後処理部255でフィニッシング処理したシートを排出トレイ251へ積載するように動作させることもできる。なお、フィニッシング処理として、中とじ製本が指定された場合には、中とじ処理部256において、シートの中央にステープル処理をした後、シートを二つ折りにして搬送パス257を経由して中とじ製本トレイ258へ排出される。中とじ製本トレイ258は、ベルトコンベア構成になっており、中とじ製本トレイ258に積載された中とじ製本束は、
図2中の左側へ搬送される構成となっている。
【0024】
次に、検査ユニット150において実行されるシートの検査処理の詳細について
図3を参照して説明する。
図3は、本実施例の検査処理の態様を例示した説明図である。検査ユニット150はあらかじめ設定された検査項目に従い、画像読取ユニット131が取得したシートの画像を検査する。検査項目の一例として、本実施例では、シートの画像に含まれるバーコード等の符号化情報の可読検査と、表裏照合検査とを行う。
図3には、シートの上面を読み取ったシート画像401、つまり画像読取センサ231によって読み取られた画像と、シートの下面を読み取ったシート画像402は、つまり画像読取センサ232によって読み取られた画像とを示している。
【0025】
図3に示すように、シート画像401には、検査対象領域410、421が、シート画像402には、検査対象領域422がそれぞれ含まれている。検査ユニット150は、まず、検査対象領域410に表現されているバーコード等の符号化情報が可読かどうかを判定する。検査ユニット150は、たとえば、検査対象領域410の画像から符号化情報を検出し、検出した符号化情報が復号できた場合に、検査対象領域410の画像が可読であると判定する。可読であった場合は、検査対象領域410に表現されたバーコードがシートに正常に印刷されている状態である。一方で、不可読であった場合は、検査対象領域410に画像不良が発生しているため、バーコードが印刷されていないと判定される。次に、検査ユニット150は、OCR(Optical Character Recognition)によって、検査対象領域421、422に表現されている数値の画像を文字データとして抽出する。
【0026】
ここで検査対象領域421、422のいずれにも画像不良が発生していない場合には、シートの表裏(上面と下面)で同じ数値が印刷されるようにジョブのオリジナルデータが構成されているものとする。これにより、シートに形成された表裏の画像に画像不良があるか否かを判定することができる。検査対象領域421、422から抽出された文字データの数値が同じである場合には、画像不良が発生しておらず、異なる場合には、画像不良が発生していると判定される。検査ユニット150は、画像読取ユニット131によって取得したシートの画像に対してこのような検査を行い、いずれの検査においても画像不良が発生していないと判定した場合に、当該シートが正常シートであると判定する。また、いずれかの検査において画像不良が発生している判定した場合に、当該シートに画像不良があると判定する。検査ユニット150は、検査結果に応じた信号を、第1通信ポート116を介してコントローラ110に送信する。
【0027】
なお、検査ユニット150は、可読検査及び表裏照合検査の他にも、例えば、シート重複検査、シート抜け検査、色ずれ検査、色味検査など、様々な検査が可能である。また、検査ユニット150は、画像読取ユニット131により読み取られたシートの画像データとオリジナルデータとを比較する比較検査等の検査を行うことも可能である。この場合、検査ユニット150は、検査処理を含むジョブを実行する前に、予め、比較対象となるリファレンス画像のデータをオリジナルデータとして登録する。そして、この登録されたリファレンス画像と、ジョブの実行中に読み取られた画像データとの比較を行い、汚れ(スジやゴミ)の検出や印刷間違い等の画像不良があるか否かを検出する。
【0028】
なお本実施例では、検査対象領域410、421、422を示す情報や検査内容の設定情報は、通信回線105を通じてホストコンピュータ101などから設定される。そして、設定された検査対象領域410、421、422を示す情報や検査内容の設定情報が通信回線105を介して検査ユニット150に送信される。なお、検査ユニット150において、シートの画像の全体を比較するフル画像比較検査が行われる場合には、検査ユニット150は比較元画像を印刷ユニット100やホストコンピュータ101等から受け取る。また別の構成として、検査ユニット150に操作部を設け、検査ユニット150の操作部から検査対象領域の座標や検査内容の設定を行うようにしてもよい。
【0029】
次に、検査ユニット150から第1通信ポート116を介してコントローラ110に送信される信号について説明する。
図4は、通信ポート116を介して検査ユニット150からコントローラ110に送信される信号を表した模式図である。
図4に示すように、検査ユニット150から通信ポート116を介して、コントロール信号CT(上側)とリジェクト信号RJ(下側)の2つの信号が、コントローラ110に送られる。コントロール信号CTは、シートが画像読取ユニット131を通過し、読み取ったシート画像が検査ユニット150に転送されたこと、つまり、検査ユニット150が画像読取ユニット131によってシートの画像を取得したことを表す信号である。また、コントロール信号CTは、通常時の出力がLOW状態であるが、シートの画像が転送されると一定時間にわたってHIGH状態となるパルス信号である。つまり、HIGH状態のコントロール信号CTを受信した場合、コントローラ110は検査ユニット150がシートの画像を取得したと判定する。本実施例の第1信号が、HIGH状態のコントロール信号CTである。
図4では、検査ユニット150が、シート501、502、503、504、505、506、507、508の8枚分のシートの画像を順次取得したことを示している。
【0030】
一方、リジェクト信号RJは、シートに画像不良があると判定されたかどうかを表す信号である。本実施例では、コントロール信号CTがHIGH状態となっている間に、リジェクト信号RJがHIGH状態からLOW状態に切り替わった場合に、当該コントロール信号CTに対応するシートに画像不良があると識別することができる。本実施例の第2信号が、LOW状態のリジェクト信号RJである。
図4では、例えば、シート502のHIGH状態のコントロール信号CTとLOW状態のリジェクト信号RJとを重複した受信した場合に、コントローラ110は、対応するシート502に画像不良があると識別することができる。
図4では、シート502、503、506の画像に画像不良が検出されたことを表している。なお本実施例では、リジェクト信号RJは、HIGH状態からLOW状態に切り替わった後、一定時間経過すると再びHIGH状態に戻るものとする。このようにすることで、シート502の後続シート(例えば、シート503やシート504)についても、それぞれのシートに対する検査処理の結果、画像不良であるか否かをコントローラ110に通知することが可能となる。
【0031】
プリントシステム1000は、このような構成により、シートに画像を形成し、画像が形成されたシートの検査を行って、画像不良であるシートと画像不良ではないシートを区別して排出する。このような構成により、ユーザは、印刷成果物から画像不良であるシートのみを選択して廃棄することができる。
【0032】
次に、参考例として従来のプリンタにおけるシートの検査処理及びリカバリ処理の流れについて
図5を参照して説明する。
図5(a、b)では、5枚のシートに画像を形成するジョブにおいて、3枚目のシートに画像不良は発生していると仮定して説明を行う。また、
図5(a)では、シート毎に異なる画像を形成するジョブ(以後、「PDL設定のジョブ」とする)について説明を行う。また、
図5(b)では、同一の画像を連続して複数枚、例えばN枚のシートに形成するジョブ(以後、「1toN設定のジョブ」とする)について説明を行う。また、
図5(a、b)では、画像不良ではないと判定されたシートがトレイA、画像不良であると判定されたシートがトレイBに排出されると仮定して説明を行う。
【0033】
図5(a)に示すように、5枚のシートに画像を形成するPDL設定のジョブにおいて、1枚目のシート(シート1a)と、2枚目のシート(シート2b)とには、いずれも画像不良が発生していないため、トレイAに排出される。そして、3枚目のシート(シート3c)は、画像不良が発生しているため、トレイBに排出される。ここで、例えば、4枚目のシート(シート4d)に画像不良が発生していない場合には、シート4dはトレイAに排出され、トレイAに排出されたシート束において、シート3cが欠けて落丁した状態となってしまう。このようなシートの乱丁や落丁を防ぐために、従来のプリンタでは、PDL設定のジョブにおいて画像不良が発生した場合には、画像不良発生以降のシートを全てトレイBに排出してジョブを終了するようになっている。なお、画像不良発生以降のシートに対しては検査処理も行われない。そして、ジョブの終了後に、改めてシート3c、シート4d、シート5eの画像を形成するリカバリ処理が実行される。リカバリ処理によって画像が形成されたシート3c、シート4d、シート5eは、画像不良が発生していない限りトレイAに排出され、乱丁や落丁のない印刷成果物を得ることができる。
【0034】
図5(b)に示すように、5枚のシートに同じ画像を形成する1toN設定のジョブにおいて、1枚目のシート(シート1f)と、2枚目のシート(シート2f)とには、いずれも画像不良が発生していないため、トレイAに排出される。そして、3枚目のシート(シート3f)には、画像不良が発生しているため、トレイBに排出される。ここで、例えば、4枚目のシート(シート4f)に画像不良が発生していない場合には、シート4fはトレイAに排出されるが、PDL設定のジョブとは異なり、トレイAに排出されたシート束にシートの乱丁や落丁が発生しない。そのため、従来のプリンタでは、1toN設定ジョブにおいて画像不良が発生した場合には、画像不良発生以降のシートに対しても検査処理を行って画像不良の有無を検査している。そして、ジョブの終了後に、画像不良が発生しているシート3fの画像を形成するリカバリ処理が実行される。リカバリ処理によって画像が形成されたシート3fは、画像不良が発生していない限りトレイAに排出され、ジョブで設定された所望の枚数分の印刷成果物を得ることができる。
【0035】
しかしながら、従来のプリンタでは、ジョブが終了するまでシートの検査が継続して行われるため、検査処理の結果、画像不良であると判定されたシートが連続した場合には、廃棄しなければならないシートの量が増えてしまうという課題がある。また、リカバリ処理によって新たに画像が形成されたシートに対する検査処理の結果、画像不良であると判定された場合には、廃棄するシートの量がさらに増えることとなるため、シートの無駄が生じてしまう。これに対して、本実施例では、検査ユニット150によるシートの検査結果に応じてシートの無駄を低減する制御を実行可能としている。
【0036】
次に、本実施例のプリントシステム1000においてシートに画像を形成するジョブの一連の流れについて
図6から
図8を参照して説明する。
図6は、本実施例のプリントシステム1000における画像形成ジョブの流れを示すフローチャートである。
図7は、操作パネル120やホストコンピュータ101に表示される操作キー700の一例を示す図である。
図8(a、b、c)は、本実施例の画像形成ジョブを例示した説明図である。
【0037】
プリントシステム1000では、シートに画像を形成するジョブの実行に際し、第1設定としてのPDL設定と、第2設定としての1toN設定とを設定可能である。PDL設定、又は1toN設定のどちらであるかを示す情報は、ホストコンピュータ101等から印刷ユニット100に送信されるジョブに含まれる情報として記述されている。なお、
図8(a、b、c)は、1toN設定で10枚の印刷を実行する画像形成ジョブである。また、
図8(a、b、c)では、画像不良が発生しておらず、検査処理において画像不良であると判定されなかったシートの排出先として排出トレイ251が指定されており、後述の連続発生カウンタの上限回数が2回に指定されているものとする。つまり、
図8(a、b、c)に示すジョブでは、画像不良が発生しており、検査処理において画像不良があると判定されたシートは、排出トレイ252に排出される。さらに、
図8(a、b、c)では、10枚のシートに対して画像を形成する間に、排出トレイ251へのシートの排出回数に対する後述の累積発生カウンタのカウンタ値の割合が40%となった場合にジョブが停止するものとする。
図8(a)は、ジョブにおいて3枚目のシート(シート3g)と4枚目のシート(シート4g)とにおいて画像不良が発生している画像形成ジョブを例示したものである。
図8(b)は、ジョブにおいて3枚目のシート(シート3h)と5枚目のシート(シート5h)において画像不良が発生している画像形成ジョブを例示したものである。
図8(c)は、ジョブにおいて3枚目のシート(シート3j)と6枚目のシート(シート6j)とにおいて画像不良が発生している画像形成ジョブを例示したものである。
【0038】
図6のフローチャートでは、1つの画像をN枚のシートに形成する1toN設定のジョブを実行するものとして説明を行うが、PDL設定のジョブに対しても
図6のフローチャートを適用することができる。また、画像形成ユニット200で画像が形成された後、検査ユニット150において画像不良がないと判定されたシートは、排出トレイ251に排出されるものとする。一方で、検査ユニット150において画像不良があると判定されたシートは、排出トレイ252に排出されるものとする。このように、本実施例では、検査ユニット150による検査処理の結果に応じてシートの排出先を変更して、シートに対する検査結果をプリントシステム1000のユーザに提示している。本実施例の第1処理が、検査処理において画像不良であると判定されなかったシートを排出トレイ251に排出する処理である。本実施例の第2処理が、検査処理において画像不良であると判定されたシートを排出トレイ252に排出する処理である。
【0039】
また、コントローラ110は、画像形成ジョブにおける排出トレイ251へのシートの排出回数と、排出トレイ252へのシートの排出回数をカウントしている。このうち、排出トレイ252へのシートの排出が連続して行われた連続実行回数はコントローラ110の「連続発生カウンタ」(不図示)でカウントされている。また、ジョブにおける排出トレイ252へのシートの排出回数及び排出トレイ251へのシートの排出回数は、コントローラ110の「累積発生カウンタ」(不図示)でカウントされている。つまり、ジョブにおける第1処理の実行回数及び第2処理の実行回数は、コントローラ110の「累積発生カウンタ」でカウントされている。
【0040】
コントローラ110は、検査ユニット150においてシートに画像不良があると判定され、当該シートが排出トレイ252に排出される処理が連続で発生すると連続発生カウンタを1インクリメントする。一方で、コントローラ110は、検査ユニット150においてシートに画像不良がないと判定され、当該シートが排出トレイ251に排出される処理を行うと、連続発生カウンタを0クリア(リセット)する。なお、連続発生カウンタの初期値は0である。コントローラ110は、連続発生カウンタの上限回数として2以上を設定する。連続発生カウンタの上限回数は、シートに画像不良が連続して発生した場合の許容回数を示す値である。つまり、連続発生カウンタの上限回数が本実施例の所定回数である。なお、操作パネル120やホストコンピュータ101に表示される操作キー700へのユーザの操作に応じて連続発生カウンタの上限回数を任意の値に設定するようにしてもよい。また、コントローラ110は、検査ユニット150においてシートに画像不良があると判定され、当該シートが排出トレイ252に排出される処理が発生すると累積発生カウンタを1インクリメントする。そして、コントローラ110は、累積発生カウンタのカウント値、つまり排出トレイ252へのシート排出回数と、排出トレイ251へのシートの排出回数との割合を算出する。
【0041】
コントローラ110は、ジョブに含まれる情報に基づいて、ジョブの設定として、PDL設定、又は1toN設定を設定した上で、ジョブを開始する。
図6のフローチャートは、RAM113に展開されたプログラムに従ってCPU114が演算を行うことにより、コントローラ110が主体となって実行される。ジョブを受信すると、コントローラ110は、ジョブを開始して(S601)、ジョブに含まれる画像情報に基づいて画像形成ユニット200によるシートへの画像形成処理を実行する(S602)。S601で開始されるジョブは、上述したように、1toN設定のジョブである。画像形成ユニット200によって画像が形成されたシートは、画像読取ユニット131に搬送され、画像読取ユニット131はシートの画像を取得する。検査ユニット150は、画像読取ユニット131が取得した画像形成ユニット200によって画像が形成されたシートの画像に基づいて検査処理(
図3参照)を実行し、シートにおける画像不良の発生の有無を判定する(S603)。
【0042】
検査ユニット150においてシートに画像不良があると判定された場合(S603/N)、当該シートはエスケープトレイとしての排出トレイ252に排出される(S604)。そして、連続発生カウンタを1インクリメントして(S605)、さらに累積発生カウンタを1インクリメントする(S606)。次に、連続発生カウンタのカウント値が連続発生カウンタの上限回数になったかどうかを確認する(S607)。例えば、本実施例の所定回数としての上限回数が2回であると設定された場合に、S605でインクリメントされた連続発生カウンタのカウント値が2回になったとき(S607/Y)は、ジョブを中止する中止処理を行う(S608)。
【0043】
例えば、
図8(a)に示すように、シート3gとシート4gとで画像不良があると判定された場合には、連続発生カウンタが2となる。つまり、
図8(a)の例では、シート4gに画像不良があると判定されると、中止処理が行われてジョブが中止している。なお、
図8(a)では、シート3g、4gは、排出トレイ252に排出されることとなる。この場合、例えば、シート4gの後続のシート5gに対して画像が形成されている途中やシートの給送が行われている間にジョブが中止した場合には、シート5gを排出トレイ252に排出するようにしてもよい。このように、本実施例では、シートの画像不良の連続発生回数が所定回数となった場合にジョブを中止する中止処理を行い、画像不良となるシートの発生を抑制している。
【0044】
そして、操作パネル120又はホストコンピュータ101の表示部に、排出トレイ252に排出された画像不良が発生しているシートの詳細表示(S609、不図示)を行う。また、ジョブを継続する第1キー710又はジョブを終了する第2キー720をユーザに選択させる操作手段としての操作キー700を表示する(S610)。操作パネル120又はホストコンピュータ101に表示された操作キー700に対して、第1キー710が操作されると(S610/Y)、1toN設定のシート枚数Nを累積発生カウンタで更新する(S619)。その後、S601にリターンし(
図6のA)、検査処理の結果、画像不良であると判定されたシート枚数分のリカバリ処理を実行する。ジョブの中止後、ジョブを再開してリカバリ処理を実行する動作モードが本実施例の第1モードである。また、ジョブの中止後、ジョブを再開してリカバリ処理を実行するための第1キー710の操作が、本実施例の第1操作である。
【0045】
一方で、操作キー700に対して第2キー720が操作されると(S610/N)、連続発生カウンタを0クリアし(S616)、さらに累積発生カウンタを0クリアして(S617)、ジョブを終了する(S618)。なお、操作キー700に、リカバリ処理を行う場合に、画像不良の種類に対応した調整を行うか否かをユーザに選択させるためのキー(不図示)を含める構成としてもよい。ジョブの中止後、連続発生カウンタと累積発生カウンタと、つまり、排出トレイ252へのシートの排出回数を初期化してジョブを終了する動作モードが本実施例の第2モードである。また、ジョブの中止後、連続発生カウンタと累積発生カウンタと、つまり、排出トレイ252へのシートの排出回数を初期化してジョブを終了するための第2キー720の操作が本実施例の第2操作である。
【0046】
一方、S607において、連続発生カウンタが上限回数になっていない場合(S607/N)、累積発生カウンタのカウンタ値と排出トレイ251へのシートの排出回数との割合が所定割合となっているかどうかを確認する(S611)。例えば、排出トレイ251へのシートの排出回数に対する累積発生カウンタのカウンタ値の割合が所定割合の一例である40%となっている場合(S611/Y)、中止処理によってジョブを中止する(S608)。S608以降については、すでに説明した通りである。
【0047】
例えば、
図8(b)に示すように、シート3hとシート5hとで画像不良があると判定された場合には、連続発生カウンタは0であるものの、累積発生カウンタが2となる。つまり、
図8(b)の例では、5枚のシートに対して画像を形成する間に2枚のシートに対して画像不良があると判定されると、排出トレイ251へのシートの排出回数に対する累積発生カウンタのカウンタ値の割合が40%となる。これにより、中止処理が行われてジョブが中止する。なお、
図8(b)では、シート3h、5hは、排出トレイ252に排出されることとなる。この場合、例えば、シート5hの後続のシート6hに対して画像が形成されている途中やシートの給送が行われている間にジョブが中止された場合には、シート6hを排出トレイ252に排出するようにしてもよい。このように、本実施例では、排出トレイ251にシートが排出される回数に対して、排出トレイ252にシートが排出される回数の割合が所定割合となった場合にジョブを中止する中止処理を行い、画像不良となるシートの発生を抑制している。
【0048】
一方で、排出トレイ251への排出回数に対する累積発生カウンタのカウンタ値の割合が40%になっていない場合(S611/N)、ジョブの全てのページの画像形成が終了したかどうかを確認する(S614)。ジョブに含まれる全てのページの画像形成が終了していない場合(S614/N)には、S602にリターンする(
図6のB)。ジョブに含まれる全てのページの画像形成が終了した場合(S614/Y)には、累積発生カウンタが0であるかどうかを判断し、画像不良であると判定されたシートが発生しているか確認する(S615)。
【0049】
累積発生カウンタが0でない場合(S615/N:
図6のC)、1toN設定のシート枚数Nを累積発生カウンタのカウント値で更新して(S619)、S601にリターンし(
図6のA)、画像不良が発生しているシートの枚数分のリカバリ処理を実行する。例えば、
図8(c)に示すように、シート3jとシート6jとで画像不良があると判定されると、累積発生カウンタが2となる。また、シート6jで画像不良が発生したときに、排出トレイ251へのシートの排出回数に対する累積発生カウンタのカウンタ値の割合は33%であるため、ジョブが継続することとなる。つまり、
図8(c)の例では、10枚のシートに対して画像を形成する間に2枚のシートに対して画像不良があると判定されてジョブが終了している。この場合、リカバリ処理として、2枚のシートに対して再び画像が形成される。このように、本実施例では、シートの画像不良が発生した場合でも、発生割合が少ないときにはリカバリ処理を実行して、ジョブの生産性を維持している。
【0050】
一方で、累積発生カウンタが0である場合(S615/Y)、連続発生カウンタを0クリアし(S616)、さらに累積発生カウンタを0に維持して(S617)、ジョブを終了する(S618)。
【0051】
図6では、連続発生カウンタのカウント値が連続発生カウンタの上限回数になった場合、及び、排出トレイ251へのシート排出回数に対する排出トレイ252へのシート排出回数が所定割合となった場合に、ジョブを中止する中止処理を実行する構成とした。これ以外にも、例えば、累積発生カウンタに上限回数を設定して排出トレイ252へのシートの排出回数、つまり画像不良が発生しているシートの累積発生回数に許容値を設ける構成としてもよい。また、画像不良が発生しているシートの累積発生回数の許容値を、操作パネル120やホストコンピュータ101に表示される操作キー700へのユーザの操作に応じて任意の値に設定するようにしてもよい。さらに、排出トレイ251にシートが排出される回数に対する排出トレイ252にシートが排出される回数の所定割合も、操作パネル120やホストコンピュータ101に表示される操作キー700へのユーザの操作に応じて任意の値に設定することができる。
【0052】
以上説明したように、プリントシステム1000では、検査ユニット150によるシートの検査結果に応じてジョブを中止することにより、画像不良となるシートの発生を抑制している。これにより、ジョブが終了するまでシートに画像を形成し続ける場合と比較して、シートの無駄を低減することが可能となる。また、リカバリ処理を行うことなくジョブを終了することができるため、リカバリ処理で画像不良となるシートが発生せず、よりシートが無駄にならずに済むという効果がある。
【0053】
<その他の実施例>
実施例1では、連続発生カウンタと累積発生カウンタとを使用してジョブを中止する中止処理を実行した。これ以外にも、例えば、連続発生カウンタだけを使用して、ジョブの中止処理を行ってもよい。また、例えば、累積発生カウンタだけを使用して、ジョブの中止処理を行ってもよい。
【0054】
実施例1でリカバリ処理を行う場合には、検査結果に基づいて画像形成ユニット200への調整を行うことなく、シートへの画像の形成を行った。これ以外にも、例えば、検査結果に基づいて、画像の色調補正や濃度補正等を行ってリカバリ処理を行うようにしてもよい。
【0055】
また、検査ユニット150によるシートの検査処理の結果を提示するために、例えば、ホストコンピュータ101の表示部や操作パネル120に、画像不良があるシートを示す情報を表示させる表示処理を実行するようにしてもよい。この場合、ホストコンピュータ101や操作パネル120が表示手段として機能する。
【0056】
また、画像が形成されたシートに対してステープル処理や合紙を挿入するインサート処理を行う装置や、シートを裁断する装置をプリントシステム1000に含む構成としてもよい。
【0057】
また、検査処理の実行主体は検査ユニット150に限らない。例えば、画像読取ユニット131に設けられたCPU等の制御部や、ホストコンピュータ101で検査処理を行う構成としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
100:印刷ユニット/101:ホストコンピュータ(操作手段)/105:通信回線(送信手段)/110:コントローラ(制御手段、送信手段)/120:操作パネル(操作手段)/130:プリンタエンジン/131:画像読取ユニット(画像読取手段)/131A:画像送信回線(送信手段)/150:検査ユニット/200:画像形成ユニット(画像形成手段)/251:排出トレイ(第1排出トレイ)/252:排出トレイ(第2排出トレイ)/253、254:搬送パス/700:操作キー(操作手段)/1000:プリントシステム(画像形成装置)