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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】複合材部品の製造の最適化
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240610BHJP
   B29C 70/38 20060101ALI20240610BHJP
   G06N 3/08 20230101ALI20240610BHJP
   G05B 19/4155 20060101ALI20240610BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20240610BHJP
   G05B 19/404 20060101ALI20240610BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20240610BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALN20240610BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C70/38
G06N3/08
G05B19/4155 V
B23Q15/00 301C
G05B19/404 K
B29K105:08
B33Y50/02
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020055642
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021002324
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】16/380,215
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】マイケル イエーチー ワン
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ローレンス ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス ボイヘルト
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー エル シアング チェン
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149805(JP,A)
【文献】特開2018-030226(JP,A)
【文献】国際公開第2015/015554(WO,A1)
【文献】特開2017-107902(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0331402(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/404
B29C 64/00
B29C 70/38
G06N 3/08
G05B 19/4155
B23Q 15/00
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材部品の製造を容易にするための方法であって、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムをロードすることと、前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を抽出することと、レイアップされた他の積層体についての公差外の誤差を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用することと、前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告することと、を含む方法。
【請求項2】
前記積層体を複数の部位に細分化することをさらに含み、前記積層体における前記複数の部位の各々について、公差外の製造誤差の尤度が報告される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
報告は、前記積層体を視覚的に示すヒートマップを提供することを含み、前記複数の部位の各々における公差外の製造誤差の尤度が、前記ヒートマップにおける色として報告される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記入力は、
前記積層体の所与の部位における曲率、トウの長さ、現在位置からトウの端までの距離、所与の部位における層の数、トウ内のファイバ角度、所与の部位における前記ファイバ配置マシンに設けられたヒータの温度、帯条内のトウの相対配置、及び、層内における帯条の配置からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
帯条ごとにバイナリ画像を生成することをさらに含み、前記バイナリ画像は、前記ファイバ配置マシンにおけるレーンごとの行を有する、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
製造誤差は、トウ間の間隙が所定寸法を超えた状態、帯条間の間隙が所定寸法を超えた状態、トウ間の重なりが所定寸法を超えた状態、帯条間の重なりが所定寸法を超えた状態、製造速度の遅延、トウの皺、トウの捻じれ、トウの分離、及び所定量未満の充填率からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記NCプログラムを修正することと、
抽出、適用、及び報告のステップを繰り返すことと、をさらに含む、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
複合材部品の製造を容易にするための装置であって、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムを保存するメモリと、
請求項1~7のいずれか1つに記載の方法を実行するコントローラと、を含む装置。
【請求項9】
前記測定値を取得するセンサをさらに含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
プロセッサによって実行されると、複合材部品の製造を容易にするための方法を実行させるようプログラムされた命令を具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法は、
硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムをロードすることと、
前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を抽出することと、
レイアップされた他の積層体についての公差外の誤差を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用することと、
前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告することと、を含む非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
複合材部品の製造を容易にするためのシステムであって、
硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムを保存するメモリと、
コントローラと、を含み、当該コントローラは、
前記積層体の公差外状態を特徴付ける定義を取得し、
前記定義に基づいて、ニューラルネットワークを学習させ、
前記ニューラルネットワークを操作して、新たな積層体について、前記NCプログラムによって規定された公差外状態の第1組の予測部位を特定し、
前記定義を変更し、
変更された前記定義に基づいて、前記ニューラルネットワークを再学習させ、
前記再学習させたニューラルネットワークを操作して、前記新たな積層体について、公差外状態の第2組の予測部位を特定し、
前記第1組の予測部位と前記第2組の予測部位とを比較するレポートを生成する、システム。
【請求項12】
前記定義は、公差外状態の寸法及び形状を示す、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、既にレイアップされた積層体の測定値に適用される前記定義に基づいて前記ニューラルネットワークを学習させる、請求項11又は12に記載のシステム。
【請求項14】
前記レポートは、ヒートマップとして提供される、請求項11~13のいずれか1つに記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、製造の分野に関し、特に、繊維強化複合材部品の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
構成材料(例えば、炭素繊維強化ポリマー(CFRP))の多層積層体は、様々な形状に成形することができ、これを硬化させることで複合材部品が製造される。複合材部品の製造を容易にするために、ファイバ配置マシン(例えば、高度ファイバ配置(AFP)マシンや自動テープレイアップ(ATL)マシン)を利用することができる。例えば、ファイバ配置マシンは、硬化対象である積層体を形成する構成材料の複数のトウからなる1つ以上の層をレイアップすることができる。
【0003】
ファイバ配置マシンの動作は、トウのレイアップの進行に伴ってファイバ配置マシンの動作を指示する数値制御(NC)プログラムによって制御することができる。ファイバ配置マシンは、積層体に対して一度に複数のトウを単一の帯条(course)として供給することができる。帯条は、積層体を横断するファイバ配置マシンヘッドの一回の「移動(run)」に相当する。ファイバ配置マシンヘッドは、各々がトウを配置可能な複数のレーンを含むため、NCプログラムからの命令に応じて帯条の途中で個々のトウを繰り出し又は終了することができる。
【0004】
複合材部品の仕様により、当該部品の各領域内の層の数が決定され、さらに、当該部品の各層のファイバ配向が決定されうる。NCプログラムは、仕様に基づいているが、当該仕様により支配されるものではないため、多くの異なるNCプログラムを使用して、所定仕様のレイアップを実行することになる。各NCプログラムは、所定仕様のパラメータに到達するために複数の異なる組み合わせの帯条及び/又はマシンパラメータを適用することになる。NCプログラムには、より好ましい(例えば、製造時間が短い)ものや、あまり好ましくない(例えば、公差外の状態を作り出す)ものが存在しうる。製造の観点から、他のNCプログラムと比較してどのNCプログラムがより有益であるかを事前に判断することは困難である。また、単純な複合材部品を設計する場合であっても、当該設計に使用可能なNCプログラムは無数に存在するため、単純に多くのNCプログラムのそれぞれに基づいて積層体をレイアップして、その結果を比較することは現実的でない。これらの問題は、仕様が時間の経過と共に変化又は進化することによって、並びに、複合材部品(例えば、航空機の翼)が非常に大型・複雑化すること、且つ/又は製造の長時間化によりさらに深刻化する。
【0005】
したがって、上述した問題のうちの少なくともいくつかと、その他の考えられる問題を考慮にいれた方法及び装置を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で説明する実施形態は、複合材部品の製造に使用されたことのない新たなNCプログラムと、複合材部品の製造に既に使用されたことのある先行NCプログラムと間の類似性を予測特定する。先行NCプログラムに従って動作中に取得された測定値の使用により、提案されたNCプログラムに関する製造誤差の尤度を局所的に特定することができる。本明細書で説明する技術は、このような動作を実行するために、学習させたニューラルネットワークなどの機械学習モデルを利用することができる。
【0007】
一実施形態は、複合材部品の製造を容易にするための方法である。上記方法は、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムをロードすることと、前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を抽出することと、レイアップされた他の積層体におけるトウ配置を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用することと、前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告することと、を含む。
【0008】
さらなる実施形態は、プロセッサによって実行されると、複合材部品の製造を容易にするための方法を実行させるようプログラムされた命令を具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体である。上記方法は、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムをロードすることと、前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を抽出することと、レイアップされた他の積層体におけるトウ配置を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用することと、前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告することと、を含む。
【0009】
さらなる実施形態は、複合材部品の製造を容易にするための装置である。当該装置は、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムを保存するメモリと、前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を特定し、レイアップされた他の積層体についての公差外の誤差を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用し、前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告するコントローラと、を含む。
【0010】
また、さらなる実施形態は、複合材部品の製造を容易にするための方法である。上記方法は、ファイバ配置マシンを使用して積層体をレイアップすることと、前記積層体について、公差外状態にある部位を示す測定値を取得することと、前記測定値に基づいて、ニューラルネットワークを学習させることと、前記ニューラルネットワークを介して、新たな積層体をレイアップするために数値制御(NC)プログラムを分析することと、前記ニューラルネットワークからの出力に基づいて、公差外状態を示す前記積層体上の部位の尤度を示すヒートマップを生成することと、を含む。
【0011】
他の例示的な実施形態(例えば、上記実施形態に関する方法及びコンピュータ可読媒体)については、以下で説明する。上述した特徴、機能、及び利点は、様々な実施形態において個別に達成可能であり、また、さらに別の実施形態と組み合わせることも可能である。この詳細については、以下の説明及び図面を参照することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下では、添付の図面を参照しながら、単なる例示として本開示のいくつかの実施形態を説明する。全ての図面において、同じ参照符号は同じ要素又は同じ種類の要素を示している。
【0013】
図1】例示的な実施形態における製造環境を示す図である。
図2A-2B】例示的な実施形態における製造環境において使用されるNCプログラムについて、製造誤差を予測するための方法を示すフローチャートである。
図2C】例示的な実施形態におけるニューラルネットワークの学習を示すフローチャートである。
図3】例示的な実施形態におけるファイバ配置マシンを示す斜視図である。
図4】例示的な実施形態におけるファイバ配置マシンによりレイアップされる複数の帯条を示す上面図である。
図5-6】例示的な実施形態において、2つの異なるNCプログラムに従ってレイアップされた2つの異なる積層体を示す図である。
図7】例示的な実施形態における複数の異なる部位での製造誤差の尤度を示すヒートマップを示す図である。
図8】例示的な実施形態における、帯条のバイナリ画像への変換を示す図である。
図9】例示的な実施形態における製造環境において使用されるNCプログラムについて、予測を行うための方法を示すフローチャートである。
図10】例示的な実施形態における航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。
図11】例示的な実施形態における航空機を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面及び以下の記載は、本開示の特定の例示的な実施形態を説明するものである。したがって、本明細書に明示的に説明又は図示されていなくても、本開示の範囲内において本開示の原理を具現化する様々な変形が可能であることは、当業者であれば理解するであろう。さらに、本明細書で説明されている例は、本開示の原理に対する理解を助けることを意図するものであり、具体的に説明された例や条件に限定されないと解釈すべきである。したがって、本開示は、以下に説明する特定の実施形態又は例に限定されるものではなく、請求の範囲及びその均等物によって限定されるものである。
【0015】
炭素繊維強化ポリマー(CFRP)部品などの複合材部品は、最初は複数の層にレイアップされるが、これらの層は、まとめてプリフォーム又は積層体と呼ばれる。プリフォームの各層内における個々のファイバは、互いに平行に配置されるが、結果として得られる複合材部品の強度を複数の異なる次元に沿って高めるために、複数の異なる層は、それぞれ異なるファイバ配向を有しうる。プリフォームは、当該プリフォームを硬化させて(例えば、航空機用の)複合材部品を形成するために、固化する粘性樹脂を含みうる。未硬化の熱硬化性樹脂、又は熱可塑性樹脂が含侵された炭素繊維は、「プリプレグ」と呼ばれる。他のタイプの炭素繊維は、熱硬化性樹脂を含侵させていないが、粘着付与材又はバインダを含みうる「ドライファイバ」を含む。ドライファイバには、硬化前に樹脂が注入される。熱硬化性樹脂の場合、当該樹脂を固化する処理は、硬化と呼ばれる不可逆的な処理であるが、熱可塑性樹脂の場合、樹脂は、再加熱されると粘性状に変化する。
【0016】
図1は、例示的な実施形態における製造システム100を示すブロック図である。製造システム100は、ファイバ配置マシンのレイアップ動作を指示するためのNCプログラムを生成及び修正するように動作可能な任意のシステム、装置、又はコンポーネントを含む。製造システム100は、NCプログラムに含まれる公差外の製造誤差の尤度を検出及び報告するように改良されている。
【0017】
本実施形態において、製造システム100は、1つ以上の積層体140のレイアップを容易にするために、ネットワーク120を介してファイバ配置マシン130(例えば、ATLマシンやAFPマシンなど)と通信する製造制御システム110を含む。例えば、製造制御システム110は、ファイバ配置マシン130の動作を指示するために、当該ファイバ配置マシン130に対してNCプログラムを供給することができる。各NCプログラム115は、ファイバ配置マシン130に指示するための命令を含む。これらの命令は、例えば、ヘッド134がトウの帯条を繰り出す位置、供給速度/レイアップ速度、ファイバ配置マシン130のヒータの温度、所与の帯条においてトウを繰り出し又は切断する位置などを指示することができる。トウは、単一の連続したプリプレグテープ片であり、帯条は、ファイバ配置マシン130のヘッド134の1回の移動により供給される一群の連続したプリプレグテープ片である。
【0018】
ファイバ配置マシン130は、受信したNCプログラムにおける命令に従って積層体140をレイアップすることができ、さらに、レイアップ中、及び/又はレイアップ後に積層体140の測定値を取得するために、センサ132(例えば、レーザセンサ、アクチュエータセンサ、カメラ、IRセンサなど)を操作することができる。測定値は、積層体140においてトウ/テープを配置した部位を示しうる。これらの測定値はまた、積層体内で複数のトウがレイアップとして物理的にどのように相対配置されているか、複数のトウが間隙により分離されているか、それとも重なり合う領域(「重なり部分(laps)」)を含んでいるか、捻じれたトウ又は結合していないトウの位置、又はそれ以外の情報を示しうる。これらの測定値は、製造制御システム110に転送され、ニューラルネットワーク117による評価のために測定値119として保存される。航空機の翼などの大型の複合材部品の場合、単一の積層体で数百万の測定値(例えば、800万の測定値)が得られ、NCプログラムを評価するための入力として用いられる。
【0019】
製造制御システムは、コントローラ112と、インターフェース(I/F)114と、メモリ116と、ディスプレイ118とを含む。コントローラ112は、メモリ116に保存された命令に基づいて、製造制御システム110の動作を管理する。例えば、コントローラ112は、メモリ116に保存されたNCプログラムを評価するために、メモリ116に保存されたニューラルネットワーク117を修正し、学習させ、又は操作することができる。また、コントローラ112は、ファイバ配置マシン130にNCプログラムを供給するために、I/F114を操作することができる。コントローラ112は、例えば、カスタム回路、プログラムされた命令を実行するハードウェアプロセッサ、又は、これらの組み合わせとして実現することができる。I/F114は、イーサネットインターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース、シリアルアタッチトSCSI(SAS)インターフェース、IEEE802.11無線プロトコルと互換性のある無線インターフェースなどを含み得る。
【0020】
ニューラルネットワーク117は、各々がノードを含む層の組み合わせと、複数の異なる層におけるノードをリンクする接続重み付け手段(connection weights)とを含む。ニューラルネットワーク117は、例えば、1~3つの隠れ層(hidden layers)と、層ごとに最大20個のニューロンとを有する浅いネットワークとして実現することができる。例えば、ニューラルネットワーク117は、10個のニューロンを有する単一層ネットワークを含みうる。なお、1つのニューラルネットワーク117のみが図示されているが、メモリ116は、様々なニューラルネットワークを含んでもよく、その各々が、異なるモデルのファイバ配置マシン130や異なるタイプの複合材部品(例えば、航空機の翼や胴体)について学習させたものであってもよい。
【0021】
積層体140は、帯条でレイアップされた一連のプリプレグテープの未硬化トウを含む。本明細書において、単一層に対して物理的に配置されるトウの組み合わせは「プライシーケンス(ply sequence)」と呼ばれ、単一層におけるトウの長さの組み合わせは「プライ形状(ply shape)」と呼ばれる。プライシーケンスは、例えば、1つのプライ形状、又は複数のプライ形状を含みうる。
【0022】
製造システム100の動作の詳細について、図2A~2Bを参照しながら詳細に説明する。本実施形態において、ニューラルネットワーク117は現時点では学習させておらず、積層体140の設計者は、積層体140のレイアップのためのNCプログラムを評価するために、ニューラルネットワーク117を学習させようとしていると仮定する。
【0023】
図2Aは、例示的な実施形態における製造環境において使用されるNCプログラムについて、公差外の製造誤差を予測するための方法200を示すフローチャートである。方法200のステップは、図1に示す製造システム100を参照して説明しているが、当業者であれば、他のシステムにおいても方法200を実行可能であると理解するであろう。本明細書で説明するフローチャートには全てのステップが含まれているわけではなく、図示していない他のステップが含まれることもありうる。本明細書で説明するステップは、別の順序で実行することも可能である。
【0024】
方法200は、学習と評価の段階に分けられる。学習の段階においては、ニューラルネットワーク117は、当該ニューラルネットワーク117の予測機能を有効にするために、既知のNCプログラムに従って既に製造された1つ以上の積層体(及び/又は、結果として得られる複合材部品)の測定値119に基づいて学習させられる。この学習は、既知のNCプログラムを入力として利用し、その出力を検証するために測定値を利用する。評価の段階においては、ニューラルネットワーク117の学習済バージョンを利用して、1つ以上のNCプログラムを評価する。したがって、多くの実施形態において、学習段階は1度のみ、又は周期的に(例えば、既知の時間間隔で、或いは新たな積層体が測定されるたびに)実行され、評価段階は、学習が完了した後に複数回実行される。
【0025】
ステップ201~206は、学習段階を表す。201において、技術者は、先行するNCプログラムを設定する。ステップ202において、1つ以上の先行NCプログラムに従ってファイバ配置マシン130を操作して、積層体をレイアップする。先行NCプログラムの各々は、積層体を製造するためのNCプログラムを含みうる。しかしながら、多くの実施形態において、先行NCプログラムは、後にニューラルネットワーク117によって評価される新たなNCプログラムとして、同じロボットを指示するか、或いは同じ設計の積層体の製造に使用されることが好ましい場合がある。
【0026】
ステップ204において、先行NCプログラムからトウ情報及びパラメータが抽出される。ステップ205において、コントローラ112は、先行NCプログラムに従ってレイアップされた積層体の公差外の製造誤差についての測定値を取得する。一実施形態において、測定値は、前処理されており、積層体で検出された(例えば、サイズや程度に基づく)公差外の製造誤差の部位及びタイプを示し、さらに、積層体のレイアップに費やされた時間、設計パラメータに対する積層体の適合量などを報告することができる。
【0027】
設計パラメータとの適合性は、使用されるNCプログラムによって異なると理解されている。例えば、ある設計は、領域が、所定のファイバ配向を有するプリプレグテープのトウで満たされるべきであることを示しうる。しかしながら、この領域の幅は、トウの幅で均等に分割できない場合があるため、NCプログラムの設計者は、当該領域をトウで若干満たし過ぎるか、或いは満たし足りないかのうちのいずれかを選択しなければならない場合がある。この結果、領域内(例えば、領域の境界)に隙間ができるか、トウが領域の境界を越えて延びるか、或いは、この両方が発生する。
【0028】
測定値には、例えばレーザ、カメラ、赤外線、又は超音波を用いた検査により実行される非破壊イメージング(NDI)技術などの、製造物として得られる複合材部品に対して実行される検査処理の結果も含まれうる。これらの結果は、製造誤差が発見された部位を示すために、部位ごとに報告されてもよい。コントローラ112は、さらに、受信した測定値と、積層体の設計に使用されたNCプログラムにおける命令とを関連付けてもよい。例えば、コントローラ112は、NCプログラムにおける命令が、積層体のある部位におけるレイアップに関するものであると判断し、当該部位における測定値とNCプログラムにおける命令とを関連付ける。測定値はまた、(例えば、複数の部位の各々において公差外の状態が生じているか否かを示すバイナリフラグを適用することにより)公差外である製造誤差の有無を示してもよい。分析可能なNCプログラム内のパラメータは、ツール経路中心線、個々の開始位置及び停止位置、供給速度、ヒータ設定などを含む。
【0029】
ステップ206において、コントローラ112は、抽出したトウ情報及び測定値に基づいて(例えば、測定値及び先行NCプログラムを含む学習データに基づいて)、ニューラルネットワーク117を学習させる。ニューラルネットワークの学習は、測定値に基づいて、ニューラルネットワークにおけるノード間の重み付けを調節することを含む。例えば、ニューラルネットワーク117への入力は、積層体の各部位について、積層体の形状又は曲率、現在位置からトウの端までの距離、当該位置における層の数、トウ内のファイバ角度、ファイバ配置マシンに設けられたヒータの温度、供給速度又はレイアップ速度、帯条内のトウの相対配置、層内における帯条の配置、並びに、間隙、重なり、折れ、捻じれ、及び/又は皺が生じる可能性を予測するために用いられる他の入力を含みうる。すなわち、ニューラルネットワーク117は、第1部位に関連付けられた第1組の入力を用いて第1部位についての結果を生成するように操作され、次に、第2組の入力を用いて第2部位についての結果を追加的に生成するように操作されてもよい。積層体ごとに多数の測定値(例えば、数千以上)が取得される環境においては、ニューラルネットワーク117は、多数の測定部位を有する少数の積層体(例えば、1~4つの積層体)についての測定値を用いて学習させてもよい。さらなる実施形態において、ニューラルネットワークは、多数の積層体からのデータを用いて(例えば、各積層体からの測定値の一部を用いて)学習させてもよい。
【0030】
ニューラルネットワーク117の学習中、ニューラルネットワークの出力(例えば、複数の部位の各々において、製造誤差が公差外である可能性を示す推定パーセンテージ尤度の形態)と、学習データに含まれる製造誤差の既知の部位とを比較してもよい。出力で予測される製造誤差の部位が不正確である場合、ニューラルネットワーク117の複数の層におけるノード間の接続重み付けが調節される。例えば、ニューラルネットワークによる不正確な予測は、コスト関数で特定される高コストに関連付けられてもよく、これによって、学習中に接続重み付けが調節される。ニューラルネットワークによって生成される出力は、複数の部位(例えば、積層体の表面全体のグリッドに沿って等間隔に配置された複数の点)の各々について、例えば、トウ間の間隙が所定寸法を超えており公差外である状態、帯条間の間隙が所定寸法を超えた状態、トウ間の重なりが所定寸法を超えた状態(例えば、任意の寸法の重なり)、帯条間の重なりが所定寸法を超えた状態(例えば、任意の寸法の重なり)、製造速度/レイアップ速度の遅延、トウの皺、トウの捻じれ、トウの分離、所定量未満の充填率、などの製造誤差の尤度を含みうる。これらの様々なパラメータは、必要に応じて単一の尤度値に集約することも可能である。
【0031】
学習が完了した後、ニューラルネットワーク117を検証して、当該ニューラルネットワークの出力が、製造誤差の尤度を正確に示すことを確認してもよい。これは、相互検証技術によって実現可能である。例えば、学習データに含まれていなかったNCプログラムについて予測を行うようにニューラルネットワーク117を操作してもよい。ニューラルネットワーク117によって行われた予測は、NCプログラムに従って実行されたレイアップ動作の実際の結果と比較することができる。部位ごとに予測の精度を統計的に判断することにより、ニューラルネットワーク117を検証することができる。ニューラルネットワーク117に対する検証が不合格である場合、追加の学習データについてステップ204~206を再度実行して当該ニューラルネットワークを再学習させる。
【0032】
ニューラルネットワーク117の学習が完了すると、ニューラルネットワーク117を用いて新たなNCプログラムを評価することができる。このとき、新たなNCプログラムに従って新たな積層体をレイアップする必要はない。したがって、方法200は、学習段階から評価段階へと移行する。評価段階においては、1つ以上の新たなNCプログラムを用いて複合材部品をレイアップした場合に生じうる公差外の製造誤差の部位を予測するために、ニューラルネットワーク117を用いてこの1つ以上の新たなNCプログラムが評価される。公差外状態の各々を規定するために使用されるパラメータは、変更することができる。例えば、公差外状態について大きいパラメータ値を選択すると、最終的な複合材部品の所望の特性に影響を及ぼす場合があり、公差外状態について小さいパラメータ値を選択すると、生産時間が長くなる等の影響がある。設計者は、次に、評価用として少なくとも1つの新たなNCプログラムを生成する。新たなNCプログラムは、例えば、先行NCプログラムと同じ設計に従って積層体をレイアップするためのNCプログラムであって、先行NCプログラムに従って積層体をレイアップするために使用されたものと同じファイバ配置マシンによって使用されることが意図されている。
【0033】
ステップ207において、新たなNCプログラムは、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示するように設計される。ステップ208において、コントローラ112は、新たなNCプログラムをロードする。新たなNCプログラムは、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する。新たなNCプログラムは、例えば、類似した複合材部品、又は先行NCプログラムで使用されたものと同じ複合材部品を作製することが意図されている。ステップ210において、コントローラ112は、ロードされた新たなNCプログラムからトウ情報(例えば、トウの供給に関連するか、或いはこれを容易にするヘッド134の動作パラメータ)及びパラメータを抽出する。これは、新たなNCプログラムにおいて、各帯条に対する複数組の命令を特定して、これらの組の命令に基づいて、ニューラルネットワーク117への入力を決定することを含みうる。例えば、命令は、ステップ206に関して先に説明したニューラルネットワーク117への入力を計算するために使用されてもよい。
【0034】
ステップ212において、コントローラ112は、(例えば、トウ情報及びパラメータに基づいて)新たなNCプログラムからの入力をニューラルネットワーク117に適用する。上述したように、ニューラルネットワーク117は、先行NCプログラムに関する測定値に基づいて既に学習させており、当該NCプログラムには、トウ配置、及び/又は既にレイアップされた1つ以上の他の積層体における公差外の製造誤差の部位が記述されている。したがって、ニューラルネットワーク117は、入力として用いられた新たなNCプログラムにおける命令及び他の情報に基づいて、新たなNCプログラムで示される部位における公差外の製造誤差の尤度を決定する。例えば、ニューラルネットワークは、評価される新たなNCプログラムについての部位固有の結果を生成することができる。分析される部位は、グリッド全体に均一に分散されていてもよいし、所定の対象領域の周りに集中していてもよいし、所望の解像レベルに従って間隔が空けられていてもよい。
【0035】
部位ごとに決定されたニューラルネットワーク117からの出力により、製造誤差の尤度を知ることができる。したがって、ステップ214は、ニューラルネットワーク117の出力に基づいて、製造誤差の1つ以上の尤度を報告することを含む。例えば、尤度は、テキスト形式(例えば、尤度及び部位のリスト)、グラフィック形式(例えば、積層体のヒートマップ)などで示すことができる。このデータは、新たなNCプログラムが製造及び評価される反復ループで考慮される。尤度が閾値範囲(例えば、5パーセント)未満である場合(ステップ216)、コントローラ112は、新たなNCプログラムについて製造の準備ができていると報告する(ステップ218)。また、尤度が閾値を超える場合、新たなNCプログラムが再設計され、処理はステップ208に進む。
【0036】
方法200は、(同じ設計の積層体をレイアップするための)様々なNCプログラムからの出力を製造性の観点から比較できるため、従来のシステムや技術よりも技術的に優れている。これにより、設計者は、各NCプログラムについて新たな積層体を製造する必要性を考慮することなく、レイアップ設計についてNCプログラムを迅速に評価することができる。
【0037】
図2Bは、例示的な実施形態における公差外の製造誤差を予測するための方法250を示すフローチャートである。方法250は、オペレータが、公差条件を調節して、これらの公差条件に基づいて公差外の製造誤差の尤度を決定する点で、方法200とは異なる。このようにして、設計者は、設計処理において公差を厳格化又は緩和した場合の影響を確認することができる。この方法は、設計者の自由度を高めるものであり、また、反復設計処理の一部として実現することができる。
【0038】
方法250によれば、ステップ252において、コントローラ112は、積層体の公差外状態を特徴付ける定義を取得する。例えば、上記定義は、公差外状態の各カテゴリ(例えば、捻じれ、折れ、重なり、間隙)の形状及びサイズを示してもよいし、公差外状態を示す測定値を示してもよい。
【0039】
ステップ254において、コントローラ112は、上記定義に基づいてニューラルネットワーク117を学習させる。例えば、ニューラルネットワーク117は、既にレイアップされた積層体の測定値に適用される定義に基づいて学習させてもよい。ステップ256において、コントローラ112は、ニューラルネットワーク117を操作して、新たな積層体について、数値制御(NC)プログラムによって規定された公差外状態の第1組の予測部位を特定する。このとき、第1組の予測部位を示す報告がエンジニアに提供され、検討される。
【0040】
エンジニアは、変更後の公差の定義によって、予測される公差外状態の数、タイプ、及び部位がどのように変化するかについて関心を持つ場合がある。したがって、ステップ258は、コントローラ112が定義を変更することを含み、ステップ260は、変更された定義に基づいてニューラルネットワークを再学習させることを含む。ステップ262において、コントローラ112は、再学習させたニューラルネットワークを操作して、新たな積層体について、公差外状態の第2組の予測部位を特定し、また、ステップ264において、コントローラ112は、第1組の予測部位と第2組の予測部位とを比較するレポートを生成する。このレポートは、設計に関する知見とフィードバックを与えるためにエンジニアに提供してもよい。このレポートはまた、ヒートマップとして提供することもできる。
【0041】
図2Cは、例示的な実施形態におけるニューラルネットワークを学習させるための方法280を示す。図2Cは、ステップ282においてニューラルネットワークアーキテクチャ(層の数、各層におけるノードの数、及び複数の異なる層におけるノード間の接続)を設計することと、ステップ284においてノード間の接続のための重み付けを初期化することと、ステップ286において入力に基づいて予測値を計算することと、ステップ288において予測値と測定値とを比較することと、を含む。上記方法は、ステップ290において、予測値と測定値との対応が許容可能であるか否かを判断することをさらに含む。許容可能な対応関係が存在する場合、学習を終了してもよい。これに代えて、対応のレベルが許容可能でない場合、ステップ292において、重み付けを更新して、予測値と測定値との対応を強化する。
【0042】
上述したNCプログラムを評価するための方法に関連する説明とともに、図3~6は、NCプログラムを用いた積層体の製造を示しており、図7~8は、NCプログラムを評価するシステムの様々な追加の構成要素を示す。
【0043】
図3は、例示的な実施形態において支持体370に取り付けられたAFPマシン300を示す図である。AFPマシン300は、硬化させて複合材部品にするための材料で構成されるトウ352をレイアップするための任意のシステム又は装置を含む。AFPマシン300は、レイアップ中(例えば、同時に)、硬化性の構成材料(例えば、CFRP)からなるトウ352を供給するヘッド380を含む。トウ352は、積層体350を形成するためにレイアップされる。この積層体は、1つ以上の材料層を含み、当該材料層を硬化させて、単一の一体型複合材部品が形成される。本実施形態において、積層体350は、航空機の胴体セクションを含み、回転ホルダ360によって所定位置に保持されている。センサ390は、積層体のレイアップが行われているときに当該積層体の測定を行い、上述したセンシング技術のいずれかを利用することができる。センサ390は、(上述した学習データのための)測定値を取得することができる。
【0044】
AFPマシン300が、積層体350にトウ352をレイアップするように動作するとき、AFPマシン300は、X軸366に沿って積層体350に対して真っ直ぐに近づく/遠ざかるように移動したり、Y軸364に沿って垂直に上下移動したり、Z軸362に沿って横方向に移動したりする。積層体350はまた、その中心軸を中心として回転させたり、AFPマシン300に対して軸方向に移動させたりすることができる。本明細書において、AFPマシン300が、ヘッド380の一回の「移動」中に同時に複数のトウ352をレイアップするとき、これらのトウ352は、まとめて単一の「帯条(course)」と呼ばれる。順次敷設される1組の重なり合わない帯条は、層と呼ばれる。積層体350に層が追加されるにつれて、結果として得られる複合材部品の強度が効果的に向上する。
【0045】
胴体セクションなどの大型の積層体350に対する材料のレイアップは、時間がかかる複雑な処理である。トウ352が迅速且つ効率的にレイアップされるように、AFPマシン300の動作は、NCプログラムによって制御される。一実施形態において、NCプログラムは、AFPマシン300の位置合わせ/位置変更、ヘッド380の移動、及び積層体350に対するトウ352のレイアップを行うために、帯条ごとに命令を与える。このようにして、NCプログラムからの命令を実行することによって、AFPマシン300は、硬化させて複合部品にするための積層体を製造する。
【0046】
図4は、例示的な実施形態におけるファイバ配置マシンによりレイアップされる複数の帯条450を示す上面図であり、図3に示す矢印4に対応している。図4に示すように、ヘッド380は、方向420に進みながら、積層体400に対して帯条450をレイアップする。各帯条450は、複数のトウ352を含む。単一の帯条内のトウ352間には間隙440が存在し、帯条間には間隙430が存在する。間隙440又は間隙430が所定の制限値を超える場合、積層体に公差外の製造誤差が生じている可能性がある。さらに、帯条450が、トウ352の配置設計に示される所望の領域を十分に占有していない(又は、過度に占有している)場合もまた、製造誤差が生じている可能性がある。領域のエッジとそれに隣接するトウ352のエッジと間に間隙が存在する場合、公差外の状態が存在する可能性がある。
【0047】
図5~6は、例示的な実施形態において、2つの異なるNCプログラムに従ってレイアップされた2つの異なる積層体を示す。図5に示すように、積層体500は、帯条550間に間隙530を有しており、帯条内のトウ352間に間隙540を有する。一方、積層体600は、異なる配置でレイアップされた帯条650について、異なる組み合わせの間隙630及び間隙640を有する。
【0048】
図7は、例示的な実施形態における複数の異なる部位での製造誤差の尤度を示すヒートマップ700を示す。ヒートマップ700の形状は、当該ヒートマップが示す積層体の形状に対応している。ヒートマップ700は、硬化させて航空機の翼にするための積層体における様々な部位の各々について、ニューラルネットワーク117に対して入力を適用し、各部位における製造誤差の尤度を示す色分けを行うことによって生成される。本実施形態において、ヒートマップ700は、公差外の製造誤差が生じやすい領域710と、製造誤差が生じにくい領域720とを含む。
【0049】
図8は、例示的な実施形態における、帯条810のバイナリ画像820への変換を示す図面800である。バイナリ画像820は、各帯条について生成されてもよく、各行(又は、列)は、帯条の個々のレーンを示しており、これらの行(又は列)内のデータは、それぞれのレーン内のトウの開始位置及び終了位置を示す。図8に示すように、個々のトウ812は、X方向に沿って異なる距離に延びている。バイナリ画像820の各行822において、「1」は、トウが存在することを示し、「0」は、特定の長さ単位(例えば、1インチ、1センチメートルなど)でトウが存在しないことを示す。したがって、一実施形態において、各帯条は、帯条内のトウの最大数と等しい所定幅を有するバイナリ画像で表される。バイナリ画像内では、1つのピクセル行が各トウに対応する。バイナリ画像は、ベクトルに作り直して、パターン認識ネットワークの形式でニューラルネットワークの入力として使用することができる。また、このベクトルに対して、追加の入力パラメータを付与することができる。このようにして、コントローラ112は、バイナリ画像820に基づいたパターン認識ネットワークを操作して、帯条間、及び帯条内のトウ間における公差外の間隙の尤度を予測することができる。
【0050】
図9は、例示的な実施形態における製造環境において使用されるNCプログラムについて、予測を行うための方法900を示すフローチャートである。ステップ902において、方法900は、ファイバ配置マシンを使用して積層体をレイアップすることを含む。ステップ904は、積層体の測定値を取得することを含み、当該測定値は、公差外状態にある部位を示す。ステップ906は、測定値に基づいてニューラルネットワークを学習させることを含み、ステップ908は、ニューラルネットワークを介して、新たな積層体をレイアップするためにNCプログラムを分析することを含む。ステップ910は、ニューラルネットワークからの出力に基づいて、公差外状態を示す積層体上の部位の尤度を示すヒートマップを生成することを含む。
<実施例>
【0051】
以下の実施例においては、製造誤差の尤度を特定するためにNCプログラムを予測分析する製造環境に関連させて、追加の処理、システム、及び方法を説明する。
【0052】
より具体的に図面を参照すると、本開示の実施形態は、図10に示すように航空機の製造及び保守方法1000に関連させ、図11に示すように航空機1002に関連させて説明することができる。生産開始前の工程として、方法1000は、航空機1002の仕様決定及び設計1004と、材料調達1006とを含みうる。生産中の工程としては、航空機1002の部品及びサブアセンブリの製造1008、並びに、システムインテグレーション1010が行われる。その後、航空機1002は、認証及び納品1012の工程を経て、就航期間1014に入る。顧客による就航期間中、航空機1002は、定例の整備及び保守1016(これは、改良、再構成、改修などを含みうる)に組み込まれる。本明細書で具体化した装置及び方法は、方法1000で説明した製造及び保守における任意の1つ以上の適切な段階(例えば、仕様決定及び設計1004、材料調達1006、部品及びサブアセンブリの製造1008、システムインテグレーション1010、認証及び納品1012、就航期間1014、並びに、整備及び保守1016)、及び/又は航空機1002の任意の適切なコンポーネント(例えば、機体1018、システム1020、内装1022、推進系1024、電気系1026、油圧系1028、環境系1030)において採用することができる。
【0053】
上記方法1000の各工程は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実行又は実施することができる。なお、システムインテグレータは、限定するものではないが、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよい。第三者は、限定するものではないが、売主、下請業者、及び供給業者をいくつ含んでいてもよい。オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織などであってもよい。
【0054】
図11に示すように、方法1000によって製造される航空機1002は、複数のシステム1020と内装1022とを備えた機体1018を含みうる。システム1020の例としては、推進系1024、電気系1026、油圧系1028、及び環境系1030のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでいてもよい。また、航空宇宙産業に用いた場合を例として説明したが、本発明の原理は、例えば自動車産業などの他の産業に適用してもよい。
【0055】
既に述べたように、本明細書で具現化される装置及び方法は、方法1000で説明した製造及び保守における任意の1つ以上の段階で採用することができる。例えば、部品及びサブアセンブリの製造1008に対応する部品又はサブアセンブリは、航空機1002の就航期間中に製造される部品又はサブアセンブリと同様に作製又は製造することができる。また、1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、例えば、サブアセンブリの製造1008及びシステムインテグレーション1010で用いることにより、実質的に航空機1002の組立速度を速めたりコストを削減したりすることもできる。同様に、1つ以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はそれらの組み合わせを、航空機1002の就航期間中に、例えば、限定するものではないが、整備及び保守1016に用いてもよい。例えば、本明細書で説明した技術及びシステムを材料調達1006、部品及びサブアセンブリの製造1008、システムインテグレーション1010、就航期間1014、及び/又は整備及び保守1016で用いてもよいし、機体1018及び/又は内装1022に用いてもよい。これらの技術及びシステムは、例えば、推進系1024、電気系1026、油圧系1028、及び/又は環境系1030を含む複数のシステム1020に利用することもできる。
【0056】
一実施形態において、部品は、機体1018の一部であり、部品及びサブアセンブリの製造1008の工程中に製造される。その後、上記部品は、システムインテグレーション1010において航空機に組み込まれ、就航期間1014において、摩耗により使用不可となるまで使用される。その後、整備及び保守1016において、上記部品が廃棄され、新たに製造された部品と交換される。本発明のコンポーネント及び方法は、部品及びサブアセンブリの製造1008において、部品の製造に使用可能な新たなNCプログラムを評価するために利用してもよい。
【0057】
図示又は本明細書で説明した様々な制御要素(例えば、電気部品や電子部品)はいずれも、ハードウェア、ソフトウェアを実行するプロセッサ、ファームウェアを実行するプロセッサ、又はこれらの組み合わせとして実現することができる。例えば、ある要素は、専用ハードウェアとして実現することができる。専用ハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラ」、又は他の同様の用語で呼ばれる。プロセッサの形で提供される場合、その機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、又は共有可能なものを含む複数の個別プロセッサにより提供されうる。さらに、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのみに言及すると解釈されるべきではない。これらの用語は、限定するものではないが、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェア保存用の読取専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、論理回路、又は他の物理的なハードウェア部品若しくはモジュールを暗黙的に含みうる。
【0058】
さらに、制御要素は、当該要素の機能を実行するためのプロセッサ又はコンピュータにより実行可能な命令として実現することもできる。命令の例をいくつか挙げると、ソフトウェア、プログラムコード、及びファームウェアがある。命令は、プロセッサにより実行されると稼働して、当該プロセッサに対して要素の機能を実行するように指示する。命令は、プロセッサによる読み取りが可能な記憶装置に保存することができる。記憶装置の例としては、デジタル若しくはソリッドステートメモリ、磁気ディスクや磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、又は光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体などが挙げられる。
【0059】
さらに、本開示は、以下の付記による例も含む。
【0060】
付記1.複合材部品の製造を容易にするための方法であって、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムをロードすることと、前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を抽出することと、レイアップされた他の積層体についての公差外の誤差を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用することと、前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告することと、を含む方法。
【0061】
付記2.前記積層体を複数の部位に細分化することをさらに含み、前記積層体における前記複数の部位の各々について、公差外の製造誤差の尤度が報告される、付記1に記載の方法。
【0062】
付記3.報告は、前記積層体を視覚的に示すヒートマップを提供することを含み、前記複数の部位の各々における公差外の製造誤差の尤度が、前記ヒートマップにおける色として報告される、付記2に記載の方法。
【0063】
付記4.前記入力は、前記積層体の所与の部位における曲率、トウの長さ、現在位置からトウの端までの距離、所与の部位における層の数、トウ内のファイバ角度、所与の部位における前記ファイバ配置マシンに設けられたヒータの温度、帯条内のトウの相対配置、及び、層内における帯条の配置からなる群から選択される、付記1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
付記5.帯条ごとにバイナリ画像を生成することをさらに含み、前記バイナリ画像は、前記ファイバ配置マシンにおけるレーンごとの行を有する、付記1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
付記6.製造誤差は、トウ間の間隙が所定寸法を超えた状態、帯条間の間隙が所定寸法を超えた状態、トウ間の重なりが所定寸法を超えた状態、帯条間の重なりが所定寸法を超えた状態、製造速度の遅延、トウの皺、トウの捻じれ、トウの分離、及び所定量未満の充填率からなる群から選択される、付記1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
付記7.前記NCプログラムを修正することと、抽出、適用、及び報告のステップを繰り返すことと、をさらに含む、付記1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
付記8.付記1~7のいずれか1つに記載の方法に従って組み立てられた航空機の部品。
【0068】
付記9.プロセッサによって実行されると、複合材部品の製造を容易にするために付記1~7のいずれか1つに記載の方法を実行させるようプログラムされた命令を具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0069】
付記10.付記9に記載のコンピュータ可読媒体に保存された前記命令によって規定された前記方法に従って組み立てられた航空機の部品。
【0070】
付記11.複合材部品の製造を容易にするための装置であって、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムを保存するメモリと、付記1~7のいずれか1つに記載の方法を実行するコントローラと、を含む装置。
【0071】
付記12.複合材部品の製造を容易にするための装置であって、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムを保存するメモリと、前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を特定し、レイアップされた他の積層体についての公差外の誤差を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用し、前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告するコントローラと、を含む装置。
【0072】
付記13.前記コントローラは、前記積層体を複数の部位に細分化し、前記複数の部位の各々について、公差外の製造誤差の尤度を報告する、付記12に記載の装置。
【0073】
付記14.前記入力は、前記積層体の所与の部位における曲率、トウの長さ、現在位置からトウの端までの距離、所与の部位における層の数、トウ内のファイバ角度、所与の部位における前記ファイバ配置マシンに設けられたヒータの温度、帯条内のトウの相対配置、及び、層内における帯条の配置からなる群から選択される、付記12又は13に記載の装置。
【0074】
付記15.前記測定値を取得するセンサをさらに含む、付記11~14のいずれか1つに記載の装置。
【0075】
付記16.付記11~15のいずれか1つに記載の装置を使用した、航空機の部品の製造。
【0076】
付記17.複合材部品の製造を容易にするための方法であって、ファイバ配置マシンを使用して積層体をレイアップすることと、前記積層体について、公差外状態にある部位を示す測定値を取得することと、前記測定値に基づいて、ニューラルネットワークを学習させることと、前記ニューラルネットワークを介して、新たな積層体をレイアップするために数値制御(NC)プログラムを分析することと、前記ニューラルネットワークからの出力に基づいて、公差外状態を示す前記積層体上の部位の尤度を示すヒートマップを生成することと、を含む方法。
【0077】
付記18.前記ニューラルネットワークを学習させることをさらに含み、前記ニューラルネットワークの学習は、前記測定値に基づいて、前記ニューラルネットワークにおけるノード間の重みを調節することを含む、付記17に記載の方法。
【0078】
付記19.前記積層体のレイアップは、ファイバ強化材料のトウを敷設することをさらに含む、付記17又は18に記載の方法。
【0079】
付記20.前記ヒートマップの形状は、前記積層体の形状に対応している、付記17~19のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
付記21.付記17~20のいずれか1つに記載の方法に従って組み立てられた航空機の部品。
【0081】
付記22.複合材部品の製造を容易にするための装置であって、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムを保存するメモリと、付記17~20のいずれか1つに記載の方法を実行するコントローラと、を含む装置。
【0082】
付記23.複合材部品の製造を容易にするための方法であって、積層体の公差外状態を特徴付ける定義を取得することと、前記定義に基づいて、ニューラルネットワークを学習させることと、前記ニューラルネットワークを操作して、新たな積層体について、数値制御(NC)プログラムによって規定された公差外状態の第1組の予測部位を特定することと、前記定義を変更することと、変更された前記定義に基づいて、前記ニューラルネットワークを再学習させることと、前記再学習させたニューラルネットワークを操作して、前記新たな積層体について、公差外状態の第2組の予測部位を特定することと、前記第1組の予測部位と前記第2組の予測部位とを比較するレポートを生成することと、を含む方法。
【0083】
付記24.前記定義は、公差外状態の寸法及び形状を示す、付記23に記載の方法。
【0084】
付記25.前記ニューラルネットワークは、既にレイアップされた積層体の測定値に適用される前記定義に基づいて学習させられる、付記23又は24に記載の方法。
【0085】
付記26.前記レポートは、ヒートマップとして提供される、付記23~25のいずれか1つに記載の方法。
【0086】
付記27.付記23~26のいずれか1つに記載の方法に従って組み立てられた航空機の部品。
【0087】
付記28.プロセッサによって実行されると、複合材部品の製造を容易にするための方法を実行させるようプログラムされた命令を具現化する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法は、硬化させて複合材部品にするための積層体を製造するために、ファイバ配置マシンによるトウのレイアップを指示する数値制御(NC)プログラムをロードすることと、前記NCプログラムに書き込まれたトウ情報を抽出することと、レイアップされた他の積層体についての公差外の誤差を示す測定値で学習させたニューラルネットワークに対して、前記トウ情報に基づく入力を適用することと、前記NCプログラムについての前記ニューラルネットワークの出力に基づいて、公差外の製造誤差の尤度を報告することと、を含む非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0088】
付記29.前記積層体を複数の部位に細分化することをさらに含み、前記積層体における前記複数の部位の各々について、公差外の製造誤差の尤度が報告される、付記28に記載の媒体。
【0089】
付記30.報告は、前記積層体を視覚的に示すヒートマップを提供することを含み、前記複数の部位の各々における公差外の製造誤差の尤度が、前記ヒートマップにおける色として報告される、付記29に記載の媒体。
【0090】
付記31.前記入力は、前記積層体の所与の部位における曲率、トウの長さ、現在位置からトウの端までの距離、所与の部位における層の数、トウ内のファイバ角度、所与の部位における前記ファイバ配置マシンに設けられたヒータの温度、帯条内のトウの相対配置、及び、層内における帯条の配置からなる群から選択される、付記28~30のいずれか1つに記載の媒体。
【0091】
付記32.帯条ごとにバイナリ画像を生成することをさらに含み、前記バイナリ画像は、前記ファイバ配置マシンにおけるレーンごとの行を有する、付記28~31のいずれか1つに記載の媒体。
【0092】
付記33.製造誤差は、トウ間の間隙が所定寸法を超えた状態、帯条間の間隙が所定寸法を超えた状態、トウ間の重なりが所定寸法を超えた状態、帯条間の重なりが所定寸法を超えた状態、製造速度の遅延、トウの皺、トウの捻じれ、トウの分離、及び所定量未満の充填率からなる群から選択される、付記28~32のいずれか1つに記載の媒体。
【0093】
付記34.前記方法は、前記NCプログラムを修正することと、抽出、適用、及び報告のステップを繰り返すことと、をさらに含む、付記28~33のいずれか1つに記載の媒体。
【0094】
付記35.付記28~34のいずれか1つに記載のコンピュータ可読媒体に保存された前記命令によって規定された前記方法に従って組み立てられた航空機の部品。
【0095】
本明細書において特定の実施形態を説明したが、本開示の範囲は、これらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、以下の請求の範囲及びその均等物によって規定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11