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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】二重偏心型バタフライ弁とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16K 1/42 20060101AFI20240610BHJP
   F16K 1/226 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
F16K1/42 A
F16K1/226 F
F16K1/226 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020063931
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021162082
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】390002381
【氏名又は名称】株式会社キッツ
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】宮下 幸博
(72)【発明者】
【氏名】横澤 直角
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/056535(WO,A1)
【文献】特開2017-180742(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形状のボデー内にステムを通してジスクが流路の中心かつ封止面からそれぞれ偏心した位置に回動自在に軸支され、このジスクがボデー内にシートリテーナで固定された弾性材料よりなるシートリングにより密封状態でシール可能に設けられた二重偏心型バタフライ弁において、前記シートリングに形成されるテーパ面と、前記ボデーに形成された段差部の傾斜面とが径方向において互いに交差する傾斜角度で対向しており、組み立て時には、前記テーパ面に前記段差部の前記テーパ面側の角部が食い込むことで前記シートリングが前記傾斜面の形状に沿うように弾性変形し、環状のシール部が前記ボデーと前記シートリングとの対向面に形成されることを特徴とする二重偏心型バタフライ弁。
【請求項2】
前記シートリテーナには、前記テーパ面と前記段差部との対向部分付近に突出する突出部が形成され、この突出部の一部又は全部が前記流路方向において前記段差部に重なる位置に設けられた請求項1に記載の二重偏心型バタフライ弁。
【請求項3】
前記シートリングは、シートリング本体と、このシートリング本体の外周側に一体に延設されたガスケット部とから成り、前記シートリング本体と前記ガスケット部との境界部付近において前記シートリングの前記テーパ面と前記ボデーの前記段差部とが対向している請求項1又は2に記載の二重偏心型バタフライ弁。
【請求項4】
前記テーパ面と前記段差部との対向領域において、前記テーパ面に前記段差部が食い込んで潰される領域の体積と、前記段差部が前記テーパ面に食い込まない空間領域の体積とが略同等の大きさである請求項1乃至3の何れか1項に記載の二重偏心型バタフライ弁。
【請求項5】
筒形状のボデー内にステムを通してジスクが流路の中心かつ封止面からそれぞれ偏心した位置に回動自在に軸支され、このジスクがボデー内にシートリテーナで固定された弾性材料よりなるシートリングにより密封状態でシール可能に設けられた二重偏心型バタフライ弁の製造方法であって、前記ジスクを閉状態にすると共に前記シートリテーナを前記ボデーに形成した環状の装着凹部に収容し、この装着凹部と前記シートリテーナの外周との間に形成されるクリアランスの範囲内で前記シートリングを前記ジスクの位置に合わせて調心し、前記シートリングに形成したテーパ面と、前記ボデーに形成した段差部の傾斜面とを径方向において互いに交差する傾斜角度で対向させ、組み立て時には、前記テーパ面に前記段差部の前記テーパ面側の角部を食い込ませることで、前記シートリングを前記傾斜面の形状に沿うように弾性変形させ、環状のシール部を前記ボデーと前記シートリングとの対向面に形成しつつ、前記シートリングの内周側端面のシール面と前記ジスクの外周面の封止面とを環状シール可能とした状態で、前記シートリテーナと前記ボデーとを固定するようにしたことを特徴とする二重偏心型バタフライ弁の製造方法。
【請求項6】
前記シートリングは、シートリング本体と、このシートリング本体の外周側に一体に延設されたガスケット部とから成り、前記シートリング本体と前記ガスケット部との境界部付近において前記シートリングの前記テーパ面と前記ボデーの前記段差部とが対向している請求項5に記載の二重偏心型バタフライ弁の製造方法。
【請求項7】
前記テーパ面の径方向の幅よりも、前記クリアランスの径方向の長さを短くした請求項5又は6に記載の二重偏心型バタフライ弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、高圧流体に適した二重偏心型バタフライ弁とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特に、高圧流体に適したバルブとして、偏心型バタフライ弁が一般に知られている。このうち、特に、二重偏心型バタフライ弁では、弁体の回転軸(弁軸)が流路の中心線から偏心され、さらに回転軸が弁体の封止面から流路方向に偏心されていることで、高圧時においてもシートリングによる良好な封止性能が確保されると同時に、シートリングのシール面の摩耗が防止される。
【0003】
この種のバルブでは、耐高温性を高めるためにシートリングがフッ素樹脂で形成されることが多く、このシートリングは、シートリテーナとボデーとの間に挟まれた状態で、上記の二重偏心された位置に配置される。この二重偏心構造により、小口径から大口径までの各種サイズにおいて、正圧及び逆圧の何れの流れ方向にも弁閉時のシール漏れを高精度に防ぐことが可能となる。これに加えて、近年では、いわゆる「裏漏れ」を阻止することも要求されるようになってきている。「裏漏れ」とは、ボデーとシートリングとの隙間により、シートリングの裏側を通って漏れが生じる現象をいう。
【0004】
裏漏れ対策を施したものとして、本出願人は、特許文献1の偏心型バタフライ弁を提案している。この偏心型バタフライ弁では、シートリングが、シートリング本体と、このシートリング本体の外周側に縁切り部を通して一体に延設されたガスケット部とを有し、縁切り部には、ボデーとガスケット部とが係合状態でこのガスケット部の裏漏れを防止する係合部が設けられている。
【0005】
係合部は、ガスケット部に形成されるテーパ段部面と、ボデーに形成されるテーパ面とが係合される部位であり、これらテーパ段部面、テーパ面は双方共に、同じ傾斜角度の斜面によって形成される。シートリングをボデーとシートリテーナとの間に装着した後には、テーパ段部面とテーパ面とが全面に渡って面接触し、強いシール面圧力を発揮して裏漏れを防止することができる。
【0006】
ところで、二重偏心型バタフライ弁では、通常、シートリテーナの外周側とこのシートリテーナ外周側が対向するボデー内周側との間に環状のクリアランスが設けられる。バルブの組み立て時には、クリアランスを通してシートリテーナを弁体の位置に合わせて移動させ、このシートリテーナに装着されたシートリングを弁体に対して調心することで、仮に、部品間に寸法誤差が生じている場合であっても、弁閉時における弁体とシートリングとの封止面同士のずれを防ぎつつ一体に組み込み可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2017-180742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、二重偏心型バタフライ弁では、例えば、弁体や弁軸をボデーに組み付けるときに、これら弁体及びボデーのそれぞれの軸穴と流路の中心線との間に寸法誤差が生じた場合には、ボデーに対して弁体が正規の位置からその寸法誤差分ずれて配置されることになる。この場合、シートリングを弁体に位置合わせするときに、この寸法誤差分ボデーに対するシートリテーナにもズレが発生する。
【0009】
このように部品の寸法誤差が生じると、特許文献1において、シートリングのテーパ段部面とボデーのテーパ面とが所定の面接触状態で係合できなくなり、これらテーパ段部面とテーパ面とが重なる円周方向において、テーパ段部面がテーパ面に乗り上げる箇所と、テーパ段部面とテーパ面との間に隙間が生じる箇所とが発生することがある。これらの切り替わり部分では、テーパ段部面とテーパ面との面圧が部分的に途切れ、高圧流体が流れるときなどは、この面圧が途切れた部分から裏漏れを生じるおそれがある。
【0010】
さらに、テーパ段部面がテーパ面に乗り上げている箇所では、これらの間に隙間が生じた箇所よりもシール面圧が大きくなるなど、シートリテーナとボデーとによるシートリングの環状のシール部を均一に形成することが困難である。これらの現象は、例えばシートリングに潰れや変形が生じ難い材料(充填剤入りのPTFE等)を使用したり、シートリテーナによりシートを十分に締付けることができなかったりする場合に発生する。すなわち、潰れや変形を生じ易いシートリング(充填剤の無いPTFE等)であれば、シートリングが適度に変形できるので隙間を埋めることができ、また、シートリングを過大な力で締め付けても、シートリングの隙間を潰し切ることができるので、上述したような問題は発生し難い。しかし、例えば通常よりも高圧の流体をシールしたり、正圧及び逆圧の何れの流れ方向もシールしたりする場合、剛性が高いシートリングを用いる必要があるため容易に変形できず、締め付け力を上げることも困難となる。
【0011】
これらのことから、特許文献1では、テーパ段部面とテーパ面とを所定の状態に面接触させるために各部品に寸法誤差が生じないレベルの寸法精度が要求され、組み立て時においては、シートリングを装着したシートリテーナをボデーに正確に位置に合わせした状態で一体化する必要も生じる。しかも、この高精度の寸法精度と、シートリングと弁体との調心の双方を満足させることは困難であり、実際の調心では、テーパ段部面とテーパ面との位置がずれてしまい上記の問題を生じるおそれもある。
そのため、弁体やボデーの弁軸穴などの部品の寸法誤差が大きくなった場合にも、シートリングとボデーとを位置合わせして裏漏れを阻止し、かつ、シートリングと弁体とを調心してシール性を確保できる二重偏心型バタフライ弁の開発が要望されていた。
【0012】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、特に、高圧流体に適しており、部品の寸法誤差が大きい場合であっても、シートリングとボデーとのシール性を確保しつつシートリングをジスクに調心し、正圧又は逆圧の何れの場合にも、ジスクとシートリングとのシール面圧を確保してシール性を発揮し、ボデーとシートリングとの間に連続的なシール部を確保することで、流体漏れを確実に阻止する偏心型バタフライ弁とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、筒形状のボデー内にステムを通してジスクが流路の中心かつ封止面からそれぞれ偏心した位置に回動自在に軸支され、このジスクがボデー内にシートリテーナで固定された弾性材料よりなるシートリングにより密封状態でシール可能に設けられた二重偏心型バタフライ弁において、シートリングに形成されるテーパ面と、ボデーに形成された段差部の傾斜面とが径方向において互いに交差する傾斜角度で対向しており、組み立て時には、テーパ面に段差部のテーパ面側の角部が食い込むことでシートリングが傾斜面の形状に沿うように弾性変形し、環状のシール部がボデーとシートリングとの対向面に形成される二重偏心型バタフライ弁である。
【0014】
請求項2に係る発明は、シートリテーナには、テーパ面と段差部との対向部分付近に突出する突出部が形成され、この突出部の一部又は全部が流路方向において段差部に重なる位置に設けられた二重偏心型バタフライ弁である。
【0015】
請求項3に係る発明は、シートリングは、シートリング本体と、このシートリング本体の外周側に一体に延設されたガスケット部とから成り、シートリング本体とガスケット部との境界部付近においてシートリングのテーパ面とボデーの段差部とが対向している二重偏心型バタフライ弁である。
【0016】
請求項4に係る発明は、テーパ面と段差部との対向領域において、テーパ面に段差部が食い込んで潰される領域の体積と、段差部がテーパ面に食い込まない空間領域の体積とが略同等の大きさである二重偏心型バタフライ弁である。
【0017】
請求項5に係る発明は、筒形状のボデー内にステムを通してジスクが流路の中心かつ封止面からそれぞれ偏心した位置に回動自在に軸支され、このジスクがボデー内にシートリテーナで固定された弾性材料よりなるシートリングにより密封状態でシール可能に設けられた二重偏心型バタフライ弁の製造方法であって、ジスクを閉状態にすると共にシートリテーナをボデーに形成した環状の装着凹部に収容し、この装着凹部とシートリテーナの外周との間に形成されるクリアランスの範囲内でシートリングをジスクの位置に合わせて調心し、シートリングに形成したテーパ面と、ボデーに形成した段差部の傾斜面とを径方向において互いに交差する傾斜角度で対向させ、組み立て時には、テーパ面に段差部のテーパ面側の角部を食い込ませることで、シートリングを傾斜面の形状に沿うように弾性変形させ、環状のシール部をボデーとシートリングとの対向面に形成しつつ、シートリングの内周側端面のシール面とジスクの外周面の封止面とを環状シール可能とした状態で、シートリテーナとボデーとを固定するようにした二重偏心型バタフライ弁の製造方法である。
【0018】
請求項6に係る発明は、シートリングは、シートリング本体と、このシートリング本体の外周側に一体に延設されたガスケット部とから成り、シートリング本体とガスケット部との境界部付近においてシートリングのテーパ面とボデーの段差部とが対向している二重偏心型バタフライ弁の製造方法である。
【0019】
請求項7に係る発明は、テーパ面の径方向の幅よりも、クリアランスの径方向の長さを短くした二重偏心型バタフライ弁の製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に係る発明によると、二重偏心型であることから、特に、高圧流体に適しており、シートリング側に形成されるテーパ面と、ボデー側に形成される段差部とからなる環状のシール部を形成していることにより、部品の寸法誤差が大きい場合であっても、テーパ面の幅内で位置合わせされつつ段差部の角部が確実に食い込むことでシートリングとボデーとのシール性を確保し、かつシートリングをジスクに対して調心した状態で一体化し、正圧又は逆圧の何れの場合にも、弁閉時のジスクとシートリングとのシール面圧を確保してシール性を発揮でき、ボデーとシートリングとによる円周方向の連続的なシール部を確保することで、これらの間からの漏れを確実に阻止することが可能になる。シートリングのテーパ面と、ボデーの傾斜面とが径方向において互いに交差する傾斜角度で対向していることから、シートリングをボデーに組み合わせるときには、テーパ面に段差部の角部が食い込んでテーパ面と段差部とを円周方向に少なくとも線接触させた状態で確実に当接させ、この状態からシートリングが傾斜面の形状に沿うように弾性変形することで、線接触を維持した状態から徐々に設置面積を増加しつつ面接触させてシートリングとボデーとを一体化することで環状のシール部を形成しているため、このシール部により円周方向のシール力を一定に確保して流体漏れを確実に阻止できる。
【0021】
請求項2に係る発明によると、突出部でテーパ面を段差部側に押圧することで確実な局圧部位ができ、この局圧部位を備えたシール部の面圧力の増加によりシートリングとボデーとの間からの漏れを確実に阻止する。
【0022】
請求項3に係る発明によると、シートリングを、シートリング本体と、ガスケット部とにより設けていることで、正圧又は逆圧の何れの方向に流体が流れる場合にも、弁閉時にシートリング本体が可撓してジスクとのシール性を確保しつつ、ガスケット部により裏漏れを阻止することができる。このとき、シートリング本体とガスケット部との境界部付近でテーパ面と段差部とが対向していることで、シートリング本体からガスケット部を機能的に分断させ、このガスケット部がシートリング本体の変形の影響を受けにくくなるため、ガスケット部によるシール性が高まって漏れ防止性能が一層向上する。
【0023】
請求項4に係る発明によると、テーパ面と段差部との対向領域において、テーパ面の潰される領域の体積と、それ以外の空間領域の体積とが略同等の大きさであることにより、空間領域への潰された領域から押し出されるシートリングによる充填率をほぼ100%以上としながらシートリングを取付けでき、充填が過大になったり、未充填の領域が残存したりすることを防いで、シール部の面圧力を円周方向に略均一に確保してシール性を向上できる。
【0024】
請求項5に係る発明によると、部品の寸法誤差が大きい場合であっても、環状のシール部によりシートリングとボデーとの均一なシール性を確保しつつ、シートリングのシール面とジスクの封止面とを環状シール可能な状態にでき、シートリングとボデー、及びシートリングとジスクの双方のシール性を満足した状態でシートリテーナとボデーとを組み立てできる。組み立て後には、正圧又は逆圧の何れの場合にも、弁閉時のジスクとシートリングとのシール性を確保し、ボデーとシートリングとの間からの流体漏れを確実に阻止できる。
【0025】
特に、シートリングのテーパ面と、ボデーの傾斜面とを径方向において互いに交差する傾斜角度で対向させていることから、シートリングをボデーに収容してこれらを組み合わせるときには、テーパ面に段差部の角部が食い込んでテーパ面と段差部とを円周方向に少なくとも線接触させた状態で確実に当接させ、この状態からシートリングが傾斜面の形状に沿って弾性変形することで、線接触を維持した状態から徐々に設置面積を増加しつつ面接触させてシートリングとボデーとを一体化することで環状のシール部を形成しているため、このシール部によりシール面圧を向上させつつ円周方向のシール力を連続的に確保して流体漏れを確実に阻止できる。



【0026】
請求項6に係る発明によると、正圧又は逆圧の何れの方向に流体が流れる場合にも、弁閉時にシートリング本体が可撓してジスクとのシール性を確保しつつ、ガスケット部により裏漏れを阻止でき、しかも、シートリング本体とガスケット部との境界部付近でテーパ面と段差部とが対向していることで、シートリング本体からガスケット部を機能的に分断させ、このガスケット部がシートリング本体の変形の影響を受けにくくなることでガスケット部によるシール性が高まって漏れ防止性能が一層向上する。
【0027】
請求項7に係る発明によると、シートリテーナをボデーに収容するときに、テーパ面から段差部が外れることがなく、テーパ面に段差部を確実に対向させ、少なくともこれらを線接触させた状態から環状のシール部を構成することで十分なシール性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の二重偏心型バタフライ弁の実施形態を示す縦断面図である。
図2図1の二重偏心型バタフライ弁の正面図である。
図3図1の要部拡大模式図である。
図4図3のA部拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明における二重偏心型バタフライ弁とその製造方法の実施形態を図面に基づいて説明する。図1図2においては、本発明の二重偏心型バタフライ弁の実施形態を示し、図3においては、図1の要部拡大模式図を示している。
【0030】
図1に示した二重偏心型バタフライ弁(以下、バルブ本体1という)は、ボデー2、ステム3、ジスク4、シートリテーナ5、シートリング6を備えている。このうち、ボデー2、ステム3、ジスク4、シートリテーナ5は、ステンレス等の金属材料により成形される。
【0031】
バルブ本体1において、ボデー2は筒形状に形成され、このボデー2の上下部にはステム3装着用の軸装部10が設けられる。ボデー2の一側には環状の装着凹部11が形成され、この装着凹部11は、シートリング6が装着されたシートリテーナ5を収容可能な内径に設けられる。この装着凹部11の底面11aは、ステム3の回転軸と平行になるように設けられる。
【0032】
ジスク4は略円板形状に形成され、このジスク4の外周面には封止面12が設けられ、また、一面側にはボス部13が突設形成され、このボス部13には、ステム3取り付け用の穴部14がシール位置である封止面12から偏心した位置に形成される。図1のバルブ本体1内には流路15が設けられ、正方向の流れの場合には、バルブ本体1の右側が流路15の一次側、左側が流路15の二次側となり、バルブ本体1内を右側から左側に流体が流れる。
【0033】
ジスク4は、テーパピン16でステム3に一体に固定され、ステム3を通して流路15の中心かつ封止面12から、それぞれ偏心した位置に回動自在に軸支される。このようにジスク4が二重偏心構造により取り付けられることで、弁閉時には、ジスク4は、ボデー2内にシートリテーナ5で固定されたシートリング6により、密封状態でシール可能に設けられている。
【0034】
図2図3において、シートリング6は、弾性材料により環形状に成形され、本実施形態においては、例えば、カーボン等の充填材入りPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などの樹脂材料により形成される。このシートリング6は、シートリング本体20と、このシートリング本体20の外周側に一体に延設されるガスケット部21とを有している。
【0035】
シートリング本体20は、ボデー2とシートリテーナ5との間に外径付近が固定され、一方、内周付近が可撓するように設けられ、その内周側端面(内周先端側)がシール面となり、弁閉時のジスク3の封止面12と当接して環状シール可能に設けられる。
【0036】
シートリング本体20において、その内径側には可撓部22、この可撓部22よりも外径側には固定部23が設けられ、これら可撓部22と固定部23との間に空間部24が設けられる。可撓部22は、シール面25と傾斜面26とを有し、シール面25は、可撓部22の内径端部側に断面C面形状、或は断面R面形状により所定のシール幅により環状に設けられ、このシール接触部25に続けて、傾斜面26が緩やかな傾斜状に設けられる。
【0037】
図4(a)は、図3のA部を拡大した模式図であり、図4(b)は、ボデー2とシートリング6との装着前の状態を表している。シートリング本体20とガスケット部21との境界部27付近において、ボデー2とシートリング6との間には、径方向に段差を生じる段差面30が円周方向に対向面として形成される。段差面30においては、シートリング6側に形成されるテーパ面31と、ボデー2側に形成される段差部32とが互いに対向している。
【0038】
これらのうち、テーパ面31は、断面方向においてシートリング本体20とガスケット部21とを結ぶ緩やかなアール面により径方向の幅W1の大きさで設けられ、内径側から外径側になるにつれてボデー2側に向かうように傾斜している。
【0039】
段差部32は、テーパ面31と対向する位置に、装着凹部11の底面11aから断面略45°程度の角度で傾斜する面(傾斜面36)を有するように設けられ、段差部32は、この傾斜面36を境にして内径側がシートリング6側に突出した断面凹凸形状となっている。段差部32は、シートリング6側に突出した角部35がテーパ面31の径方向の幅W1内に位置している。この段差部31の傾斜面36は、テーパ面31の径方向の幅W1内に配置可能な幅W2を有しており、また、テーパ面31よりも径方向の傾斜が急になるように形成される。このように、段差部32の傾斜面36とテーパ面31とは、互いに交差するように対向している。また、ボデー2の段差部32の高さ(流路方向の幅)とシートリング6のテーパ面31を挟む段差の高さは略同じとなっていることで、段差面30以外でシートリング6とボデー2との対向面は互いにちょうど当接できるようになっている。
【0040】
上記した形状により、シートリング6をボデー2に押し付けたときには、テーパ面31に段差部32のテーパ面31側の角部35が食い込み、テーパ面31側が段差部32の形状に沿うようにしてシートリング6が弾性変形し、テーパ面31と角部35とにより環状のシール部33が段差面30に形成され、このシール部33によりシートリング6とボデー2とが均一にシール可能となる。
【0041】
図4(a)において、シートリング6の変形前には、テーパ面31において段差部32で潰される領域R1(実線で示したハッチング領域)と、この領域R1のシートリング6が押し出されて収容される段差部32がテーパ面31に食い込んでいない空間領域R2(破線で示したハッチング領域)とが略同等の大きさになるように設けられ、シートリング6の変形によって、段差部32で潰された領域R1が、空間領域R2内に変形可能に設けられる。
【0042】
このようにすることで、テーパ面31と段差部32との対向領域において、テーパ面31に段差部32が食い込んで潰される領域R1の体積と、段差部32がテーパ面31に食い込まない空間領域R2の体積とがほぼ同等の大きさとなり、前者の領域R1の分のシートリング6が空間領域R2にほぼ100%押し出され、この段差面30付近の充填率がほぼ100%となる。そして、後述する突出部42による押圧により、この充填率が100%以上となり、シール部33のシール面圧が高く維持される。この充填率が100%未満であると、シール部33のシール面圧が極端に低下する一方、充填率が高すぎると締め付け力が過大となるため、充填率が100%を確実に超えて且つ過大となりすぎないように、上記領域R1と空間領域R2とがほぼ同じになるように、テーパ面31と段差部32とを構成することが望ましい。
【0043】
固定部23は、可撓部22が可撓する状態でボデー2とシートリテーナ5との間に挟着され、この状態でシートリング本体20が固定される。空間部24は、円周方向に沿って溝状に切り欠き形成され、この空間部24を通して可撓部22がジスク4からの面圧や流体圧により正圧方向又は逆圧方向に撓み、シール面25がジスク4の封止面12に当接シール可能に設けられる。
【0044】
図3におけるシートリング本体20を示した実線は、弁閉時にシール面25が正圧を受けてジスク4に当接した形状を示し、破線は、弁閉時にジスク4が逆圧を受けて変形するときの形状を表している。一点鎖線は、シートリング本体20のシートリテーナ5への装着前の断面形状を表している。
【0045】
ガスケット部21は、固定部23よりも外周側に薄肉部34により一体に延設され、この薄肉部34は、熱膨張による余剰部位の流出を抑制可能な厚さに形成され、ガスケット部21と共に十分な厚さが確保されている。
【0046】
シートリテーナ5は、略環状に設けられ、ボデー2との対向側に突設部40、凹状溝41、突出部42、装着凹溝43が形成されている。突設部40は、シートリング本体20の空間部24との対向位置に、ステム3との垂直方向において空間部24の深さよりも短い長さで形成される。
【0047】
凹状溝41は、突設部40よりも外径側に形成され、ステム3との垂直方向において固定部23の長さとほぼ同じかわずかに長く、かつ、径方向において固定部23よりも長い幅で設けられる。これにより、シートリテーナ5の締付け前において、固定部23の外周面とシートリテーナ5の内周面との間に空隙部Gが設けられる。空隙部Gの容量は、シートリテーナ5固着用のリテーナボルト50で締付け、仮に、固定部23が潰されて外径側に変形してもその体積よりも大きくなるように設定される。このような構成により、シートリテーナ5の締付け後には、固定部23が凹状溝41内に固定される。
また、固定部23が凹状溝41を殆ど潰さないようにして、薄肉部34の突出部42により押し潰しやガスケット部21の装着凹溝43による押し潰しを生じやすくしている。
【0048】
突出部42は、凹状溝41よりも外径側に狭い幅により、ステム3との垂直方向において、シートリング本体20とガスケット部21との境界部27付近に突出して形成され、この突出部42の一部又は全部が、流路方向において段差部32に重なる位置、すなわちテーパ面31と段差部32との対向部分に設けられている。この場合、ガスケット部21の突出部分よりも短く、かつ、径方向において薄肉部34よりも薄い幅で設けられ、固定部23の外周側と突出部42の内周側との間に間隙Dが設けられる。
【0049】
突出部42は、シートリング本体20の固定部23とガスケット部21との間に設けられた幅の狭い装入空間51より装入され、突出部42の先端で薄肉部34がボデー2側に高い面圧で押圧される。可撓部22や固定部23に熱サイクルにより熱膨張が発生したときには、熱膨張による余剰部位は間隙Dにより吸収され、シール面25やガスケット部21に影響を及ぼさないようになっている。
【0050】
装着凹溝43は、突出部42の外径側にステム3との垂直方向において、ガスケット部21の先端側よりも長く、かつ、径方向において長い幅で形成される。このような構成により、ガスケット部21とシートリテーナ5との間には、径方向、ステム3との垂直方向のそれぞれにおいて空隙部位が形成され、この空隙部位を介してガスケット部21が充填状態で装着される。
【0051】
シートリテーナ5は、その外径が装着凹部11よりもやや小径となるように設けられ、これら装着凹部11とシートリテーナ5の外周との間に環状のクリアランスCが形成される。このクリアランスCの範囲内でシートリテーナ5がボデー2に対して移動可能となり、この範囲内でシートリング6をジスク4の位置に合わせて調心可能になっている。これによって、シートリング6のシール面25とジスク4の封止面12とを環状にシールした状態で、シートリテーナ5とボデー2とを組み立て可能になっている。
【0052】
シートリテーナ5は、テーパ面31の径方向の幅W1よりもクリアランスCの径方向の長さLが短くなるような外径により形成される。このことから、シートリテーナ5を装着凹部11に収容するときに、この装着凹部11内でシートリテーナ5を最大に片寄せした場合であっても、段差部32(の特に角部付近)にテーパ面31を重ねた状態を維持しつつシートリテーナ5とボデー2とを固定可能となる。
【0053】
図2図3に示すように、シートリテーナ5には、段部状の締付穴52が8箇所に等間隔に形成され、この締付穴52が対応するボデー2側には、リテーナボルト50の雄螺子53と螺着可能な雌螺子54が設けられている。ボデー2とシートリテーナ5とは、これらの間にシートリング本体20が装着された状態でリテーナボルト50によって締付け可能に設けられ、その締付力でボデー2とシートリテーナ5との間にガスケット部21が挟持される。
この場合、リテーナボルト50の頭部55が対向する位置にガスケット部21が配置されるように、締付穴52、雌螺子54の位置が設定されることで、ガスケット部21を挟持する力が効果的に生じる。
【0054】
リテーナボルト50の締付け後には、バルブ本体1は、図示しない配管フランジに挟持され、図2に示す配管ボルト56で外周側が接合されることにより、シートリング本体20がより強固に取付けられた状態となる。
【0055】
シートリテーナ5の装着後には、図3に示すように、ボデー2と可撓部22との間に空間S1、シートリテーナ5と可撓部22との間に空間S2がそれぞれ設けられ、これら空間S1、S2により、可撓部22がシートリテーナ5やボデー2の方向に可撓変形する。
【0056】
なお、上記実施形態においては、テーパ面31を緩やかなアール面により形成しているが、このテーパ面は直線状の傾斜面により形成するようにしてもよく、或いは緩やかな凸曲面としてもよい。一方、段差部32の傾斜面36を略45°の角度で形成しており、この角度は45°以外の角度であってもよいが、少なくともテーパ面31よりも傾斜が急な傾斜面36とすることが望ましい。それによって、段差部32の角部35をテーパ面31に食い込ませることが容易となる。
【0057】
また、ボデー2側にテーパ面、シートリング6側に段差部を形成してもよく、さらに、何れの場合であっても、段差部を境にして、外径側を一次側、内径側を二次側に変位させた凹凸形状を境界部付近に設けてもよい。
【0058】
次いで、上述した二重偏心型バタフライ弁の製造方法並びに作用を説明する。
先ず、ステム3をボデー2の軸装部10、ジスク4の穴部14に挿通し、ステム3にジスク4をテーパピン16で固定し、ボデー2に対してジスク4をステム3で回動可能な状態に取り付ける。
【0059】
この状態からステム3を閉方向に回転操作してジスク4を閉状態とする。そして、シートリング6を装着したシートリテーナ5をボデー2の装着凹部11に収容する。このとき、シートリング6外周と装着凹部11の内周との間には、環状のクリアランスCが形成され、シートリング6が装着凹部11内でこのクリアランスCの分、径方向に動くことができる。
【0060】
続いて、リテーナボルト50を締付穴52に挿入して締付け、このリテーナボルト50でシートリテーナ5とボデー2とを固定する。このリテーナボルト50と締付穴52との間(頭部55も周囲も含む)にもクリアランスが設けられており、後述する調心を可能としている。
【0061】
このとき、リテーナボルト50の締付けに伴ってシール面25が封止面12の傾斜に沿って案内され、この案内によりシートリング6(シートリテーナ5)が装着凹部11をクリアランスCの範囲内で径方向に移動して、シール面25と封止面12との当たりが適度に調節されて環状に当接シール可能な状態となる。このように、リテーナボルト50の締付けにより、シートリテーナ5にはシートリング6をジスク4の位置に合わせて調心させる調心作用が働く。
【0062】
この場合、テーパ面31と段差部32とが対向し、テーパ面31が段差部32に当接し、テーパ面31が段差部32の角部付近を滑るように案内されるため、シートリング6がスムーズに調心される。それと同時に、リテーナボルト50の締付けによって段差部32の角部35がテーパ面31に食い込み、テーパ面31が段差部32に沿って弾性変形する。
【0063】
その際、段差部32の角部にテーパ面31が当接した状態を維持しつつ、段差部32の凹凸形状に沿って次第にテーパ面31が変形することで、ボデー2とシートリング6との対向面に段差部32の角部35とテーパ面31との線接触により環状のシール部33を形成しつつ、シール面25と封止面12とを環状シール可能とした状態で、シートリテーナ5とボデー2とを固定する。そのため、少なくとも線接触を維持した状態から徐々に接触面積を増加しつつ面接触してシール部33を構成可能となる。
【0064】
本発明の上記実施形態におけるバルブ本体1は、テーパ面31を緩やかなアール面によって幅W1で形成し、段差部32を装着凹部底面11aから略45°の傾斜面36を有するように形成しつつその幅W2をテーパ面31の幅W1内に配置可能な大きさに設けると共に、段差部32の径方向の傾斜をテーパ面31よりも急に設けている。これにより、前記のように、組み立て時には、テーパ面31と段差部32の角部35により生じた環状のシール部33で接触させた状態としつつ、クリアランスCの範囲内でシートリテーナ5が移動しながらシートリング6をジスク4に調心できるため、シール部33の円周方向のシール性を均一に確保した状態で、ジスク4とシートリング6とのシール面圧を向上できる。
【0065】
この場合、テーパ面31の径方向の幅W1よりも、クリアランスCの径方向の長さLを短くしていることで、シートリテーナ5を装着凹部11に収容するときに、このシートリテーナ5がクリアランスC内で最大に移動した場合であっても、流路15方向においてテーパ面31の一部が段差部32に重なった状態を維持できるため、テーパ面31と段差部32の角部35とを少なくとも線接触させた状態から環状のシール部33を確実に形成できる。幅W1は、クリアランスの長さLの4~6倍であると、環状のシール部33を確実に形成でき、さらに高いシール面圧も得ることが可能となる。
【0066】
組み立て後においては、弁閉時のジスク4に正圧又は逆圧の何れの方向に流体圧が加わる場合にも対応可能となる。
ジスク4に正圧が加わる場合、流体圧力で可撓部22が左側に傾倒しつつジスク4との当接状態を確保してシール状態を維持する。この状態からさらなる高圧が加わった場合にも、可撓部22がジスク4側に弾性変形して倒れることでシール面25がジスク4に強く圧接する。しかも、流体が空間S2から空間部に入り込んで下流側に押圧する、いわゆる、セルフシール機能が働くため、圧力の上昇に比例するようにシール部分におけるシール面圧が高まる。
【0067】
一方、ジスク4に逆圧が加わる場合には、流体圧力で可撓部22が右側に傾倒することで、ジスク4との当接状態を確保しながらシール面圧が向上する。この状態から、さらに高圧が加わると、可撓部22がシートリテーナ5に当接することによりシートリング本体20の内部応力の増加を防ぎ、材料が有する弾性を維持してシール性を確保できる。
【0068】
これら正圧、逆圧の何れの場合にも、封止面12とシール面25とが調心状態で配置されることから、ジスク4とシートリング6との間に円周方向に均一なシール面圧を発揮し、これらジスク4とシートリング6との間からの漏れを確実に防止する。
【0069】
この場合、特に、逆圧時には、可撓部22には図3の矢印に示した方向の力Fが働き、この力Fは、バルブ本体1の口径が250Aや300Aなどの大口径になるにつれてジスク4の移動が大きくなるため、より大きくなる。力Fが増加した場合、その増加に伴って可撓部22の傾倒に伴う内径方向への引張力F1も大きくなり、ガスケット部21付近には甚大な引き抜き力が加わる。
【0070】
これに対して、テーパ面31と段差部32とを備えたシール部33を段差面30近傍に設けていることで、このシール部33により円周方向のシール力を発揮して裏漏れを確実に阻止し、かつ、流体の流れによるシートリング本体20の傾倒の影響がガスケット部21に及ぶことを阻止する。
【0071】
段差部32で潰される領域R1と、この領域R1が収容される段差部32との間の空間領域R2とが略同等の大きさであるため、テーパ面31が変形する際には、段差部32で潰された領域R1が空間領域R2に逃げるように変形しながら段差面30近傍にシール部33が設けられ、このシール部33でテーパ面31と段差部32との面圧力を円周方向に連続的に途切れなく略均一に発揮しつつシールする。このため、テーパ面31の一部に段差部32から過度な圧力が加わったり、テーパ面31と段差部32との間に隙間が発生したりすることを防いでシール部33によって優れたシール性を発揮できる。
【0072】
シートリテーナ5に、境界部27付近に突出する突出部42を形成し、この突出部42の一部又は全部を流路15方向で段差部32に重なる位置に設けているので、シートリテーナ5をボデー2に固定するときに、突出部42で薄肉部34を通してテーパ面31を段差部32に押圧し、これらを強く押し付けることでテーパ面31を段差部32の形状に沿って変形させ、均一な面圧力を発揮するシール部33を構成可能となる。
【0073】
ボデー2とシートリテーナ5とをリテーナボルト50で締付け、このリテーナボルト50の締付力でガスケット部21を挟持していることで、特に、大口径の場合に配管ボルト56で不足しやすいガスケット部21への締付力を大きくして、このガスケット部21によるシール力を高めて裏漏れ防止機能を向上できる。
【0074】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0075】
1 バルブ本体
2 ボデー
3 ステム
4 ジスク
5 シートリテーナ
6 シートリング
12 封止面
15 流路
20 シートリング本体
21 ガスケット部
25 シール面
31 テーパ面
32 段差部
33 シール部
35 角部
42 突出部
43 装着凹部
C クリアランス
L クリアランスの径方向の長さ
R1 潰される領域
R2 空間領域
W1 テーパ面の径方向の幅
W2 幅
図1
図2
図3
図4