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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】射出成形機及び射出成形機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20240610BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240610BHJP
   B29C 33/30 20060101ALI20240610BHJP
   B22D 17/32 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/17
B29C33/30
B22D17/32 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020065113
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160278
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勝
(72)【発明者】
【氏名】山田 大将
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-159481(JP,A)
【文献】特開昭62-138221(JP,A)
【文献】特開2021-160275(JP,A)
【文献】特開平10-58509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/76
B29C 45/17
B29C 33/30
B22D 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型交換のための周辺装置とともに射出成形システムを構成する射出成形機において、
金型装置が取り付けられる型締装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、少なくとも、
前記周辺装置と通信可能に接続され、前記射出成形機の電源投入中に前記周辺装置での金型交換に関する段取作業が行われると、前記周辺装置から前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における動作状況を受け取る通信部と、
前記射出成形機での金型交換に関する段取作業における作業時間と前記通信部で受け取った前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における動作状況とに基づいて、前記射出成形機と前記周辺装置とを含む前記射出成形システムの金型交換に関する段取作業における作業時間を計測する計測部と、からなる、
射出成形機。
【請求項2】
前記計測部は、前記通信部が前記射出成形機の電源投入中に前記周辺装置から前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における動作状況を受け取った際に、前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における作業時間を計測する、
請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
金型交換のための周辺装置とともに射出成形システムを構成する射出成形機の制御方法であって、
前記射出成形機は、
金型装置が取り付けられる型締装置と、
少なくとも、前記周辺装置と通信可能に接続する通信部と、金型交換に関する段取作業における作業時間を計測する計測部と、からなる制御部と、有し、
前記制御部による制御は、
前記射出成形機の電源投入中に前記周辺装置での金型交換に関する段取作業が行われると、前記通信部が前記周辺装置から前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における動作状況を受け取る工程と、
前記射出成形機での金型交換に関する段取作業における作業時間と前記通信部で受け取った前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における動作状況とに基づいて、前記計測部が前記射出成形機と前記周辺装置とを含む前記射出成形システムの金型交換に関する段取作業における作業時間を計測する工程と、を含む、
射出成形機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機において、金型を交換して成形を行う際、金型交換等の段取作業が行われる。
【0003】
特許文献1には、金型を自動交換する金型交換手段を具備した射出成形機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-9524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、段取作業が長くなるほど射出成形機の稼働時間が短くなり、射出成形機の生産性が低下するおそれがる。このため、段取作業の短縮が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、生産性を向上する射出成形機及び射出成形機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様の射出成形機は、金型交換のための周辺装置とともに射出成形システムを構成する射出成形機において、金型装置が取り付けられる型締装置と、制御部と、を備え、前記制御部は、少なくとも、前記周辺装置と通信可能に接続され、前記射出成形機の電源投入中に前記周辺装置での金型交換に関する段取作業が行われると、前記周辺装置から前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における動作状況を受け取る通信部と、前記射出成形機での金型交換に関する段取作業における作業時間と前記通信部で受け取った前記周辺装置での金型交換に関する段取作業における動作状況とに基づいて、前記射出成形機と前記周辺装置とを含む前記射出成形システムの金型交換に関する段取作業における作業時間を計測する計測部と、からなる
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生産性を向上する射出成形機及び射出成形機の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る射出成形機システムの構成図。
図2】本実施形態に係る射出成形システムのブロック図の一例。
図3】表示装置に表示される表示画面の一例。
図4】操作装置の一例。
図5】本実施形態に係る射出成形システムSのにおける段取作業の一例を説明するガントチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
【0011】
≪一実施形態に係る射出成形システム≫
一実施形態に係る射出成形システムSについて、図1を用いて説明する。図1は、一実施形態に係る射出成形システムSの平面図である。なお、図1において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向を表し、Z軸方向は鉛直方向を表す。型締装置100が横型である場合、X軸方向は型開閉方向であり、Y軸方向は射出成形機10の幅方向である。Y軸方向負側を操作側と呼び、Y軸方向正側を反操作側と呼ぶ。
【0012】
射出成形システムSは、射出成形機10を備えている。また、射出成形システムSは、周辺装置として、金型交換装置20、クランプ装置30、オートカプラ40を備えている。
【0013】
<射出成形機>
射出成形機10は、型締装置100と、エジェクタ装置(図示せず)と、射出装置300と、移動装置(図示せず)と、成形機制御装置700と、フレーム900とを有する。フレーム900は、型締装置フレーム910と、射出装置フレーム920とを含む。型締装置フレーム910および射出装置フレーム920は、それぞれ、レベリングアジャスタ(図示せず)を介して床(図示せず)に設置される。成形機制御装置700は、射出装置フレーム920の内部空間に配置される。以下、射出成形機10の各構成要素について説明する。
【0014】
(型締装置)
型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸正方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(例えばX軸負方向)を後方として説明する。
【0015】
型締装置100は、金型装置800の型閉、昇圧、脱圧および型開を行う。昇圧の開始から脱圧の終了までの動作を、型締とも呼ぶ。金型装置800は、固定金型810と可動金型820とを含む。
【0016】
型締装置100は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構(図示せず)、および型厚調整機構180を有する。
【0017】
固定プラテン110は、型締装置フレーム910に対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型810が取付けられる。
【0018】
可動プラテン120は、型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置される。型締装置フレーム910上には、可動プラテン120を案内するガイド(図示せず)が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型820が取付けられる。固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、金型装置800の型閉、昇圧、脱圧、および型開が行われる。
【0019】
トグルサポート130は、固定プラテン110と間隔をおいて配設され、型締装置フレーム910上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート130は、型締装置フレーム910上に敷設されるガイドに沿って移動自在に配置されてもよい。トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド(図示せず)と共通のものでもよい。
【0020】
尚、本実施形態では、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し固定され、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されるが、トグルサポート130が型締装置フレーム910に対し固定され、固定プラテン110が型締装置フレーム910に対し型開閉方向に移動自在に配置されてもよい。
【0021】
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔をおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば4本)用いられてよい。複数本のタイバー140は、型開閉方向に平行に配置され、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器(図示せず)が設けられてよい。タイバー歪検出器(図示せず)は、その検出結果を示す信号を成形機制御装置700に送る。タイバー歪検出器(図示せず)の検出結果は、型締力の検出などに用いられる。
【0022】
尚、本実施形態では、型締力を検出する型締力検出器として、タイバー歪検出器(図示せず)が用いられるが、本開示の技術はこれに限定されない。型締力検出器は、歪ゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
【0023】
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配置され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群などで構成される。一対のリンク群は、それぞれ、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク152と第2リンク153とを有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク(図示せず)を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152と第2リンク153とが屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
【0024】
尚、トグル機構150の構成は、前述の構成に限定されない。例えば前述では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク(図示せず)の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
【0025】
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152と第2リンク153とを屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構(図示せず)に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構(図示せず)に連結されてもよい。
【0026】
運動変換機構(図示せず)は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構(図示せず)は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
【0027】
型締装置100は、成形機制御装置700による制御下で、型閉工程、昇圧工程、脱圧工程、および型開工程などを行う。
【0028】
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型820を固定金型810にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や移動速度は、例えば型締モータエンコーダ161などを用いて検出する。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を成形機制御装置700に送る。
【0029】
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、およびクロスヘッド151の移動速度を検出するクロスヘッド移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の移動速度を検出する可動プラテン移動速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
【0030】
昇圧工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型820と固定金型810との間にキャビティ空間(図示せず)が形成され、射出装置300がキャビティ空間(図示せず)に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。
【0031】
キャビティ空間(図示せず)の数は、1つでもよいし、複数でもよい。後者の場合、複数の成形品が同時に得られる。キャビティ空間(図示せず)の一部にインサート材が配置され、キャビティ空間(図示せず)の他の一部に成形材料が充填されてもよい。インサート材と成形材料とが一体化した成形品が得られる。
【0032】
脱圧工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を型締位置から型開開始位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、型締力を減少させる。型開開始位置と、型閉完了位置とは、同じ位置であってよい。
【0033】
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定移動速度で型開開始位置から型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型820を固定金型810から離間させる。その後、エジェクタ装置(図示せず)は、可動金型820から成形品を突き出す。
【0034】
型閉工程および昇圧工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および昇圧工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)、型締力は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、移動速度切換位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。移動速度は、区間毎に設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
【0035】
脱圧工程および型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、脱圧工程および型開工程におけるクロスヘッド151の移動速度や位置(型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、移動速度切換位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、移動速度が設定される区間の始点や終点を表す。移動速度は、区間毎に設定される。移動速度切換位置は、1つでもよいし、複数でもよい。移動速度切換位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型閉完了位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
【0036】
尚、クロスヘッド151の移動速度や位置などの代わりに、可動プラテン120の移動速度や位置などが設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
【0037】
ところで、トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角(以下、「リンク角度」とも呼ぶ)に応じて変化する。リンク角度は、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度が180°のとき、トグル倍率が最大になる。
【0038】
金型装置800の交換や金型装置800の温度変化などにより金型装置800の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば可動金型820が固定金型810にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度が所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔を調整する。
【0039】
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔を調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、例えば、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸と、トグルサポート130に回転自在に且つ進退不能に保持されるねじナットと、ねじ軸に螺合するねじナットを回転させる型厚調整モータとを有する。
【0040】
ねじ軸およびねじナットは、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータの回転駆動力は、回転駆動力伝達部を介して複数のねじナットに伝達されてよい。複数のねじナットを同期して回転できる。尚、回転駆動力伝達部の伝達経路を変更することで、複数のねじナットを個別に回転することも可能である。
【0041】
回転駆動力伝達部は、例えば歯車などで構成される。この場合、各ねじナットの外周に受動歯車が形成される。型厚調整モータの出力軸には駆動歯車が取付けられる。複数の受動歯車および駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。尚、回転駆動力伝達部は、歯車の代わりに、ベルトやプーリなどで構成されてもよい。
【0042】
型厚調整機構180の動作は、成形機制御装置700によって制御される。成形機制御装置700は、型厚調整モータを駆動して、ねじナットを回転させる。その結果、ねじナットを回転自在に且つ進退不能に保持するトグルサポート130のタイバー140に対する位置が調整され、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔が調整される。尚、複数の型厚調整機構が組合わせて用いられてもよい。
【0043】
間隔は、型厚調整モータエンコーダを用いて検出する。型厚調整モータエンコーダは、型厚調整モータの回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を成形機制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダの検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔の監視や制御に用いられる。尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔を検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダに限定されず、一般的なものを使用できる。
【0044】
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
【0045】
尚、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
【0046】
型締装置100は、カバー190で覆われている。カバー190には、金型装置800を搬入搬出するための開口部が設けられている。また、カバー190の開口部を開閉するためのドア195が設けられている。また、ドア195を開閉するためのドア開閉機構196と、を備えている。
【0047】
(エジェクタ装置)
エジェクタ装置(図示せず)は、可動プラテン120に取り付けられ、可動プラテン120と共に進退する。エジェクタ装置(図示せず)は、成形機制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。突き出し工程では、エジェクタロッド(図示せず)を設定移動速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材(図示せず)を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ(図示せず)を駆動してエジェクタロッド(図示せず)を設定移動速度で後退させ、可動部材(図示せず)を元の待機位置まで後退させる。
【0048】
(射出装置)
射出装置300は、金型装置800に対し進退自在に配置される。射出装置300は、金型装置800にタッチし、金型装置800内のキャビティ空間(図示せず)に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ、ノズル、スクリュ、計量モータ、射出モータ、圧力検出器などを有する。
【0049】
(移動装置)
移動装置(図示せず)は、金型装置800に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置(図示せず)は、金型装置800に対しノズルを押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。
【0050】
(成形機制御装置)
成形機制御装置700は、例えばコンピュータで構成され、CPU(Central Processing Unit)と、メモリなどの記憶媒体と、入力インターフェースと、出力インターフェースとを有する。成形機制御装置700は、記憶媒体に記憶されたプログラムをCPUに実行させることにより、各種の制御を行う。また、成形機制御装置700は、入力インターフェースで外部からの信号を受信し、出力インターフェースで外部に信号を送信する。
【0051】
また、射出成形機10は、操作装置750と、表示装置760を備える。操作装置750は、ユーザによる入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を成形機制御装置700に出力する。表示装置760は、成形機制御装置700による制御下で、操作装置750における入力操作に応じた表示画面を表示する。なお、表示装置760は、タッチパネルとして構成され、タッチパネルが操作装置750の少なくとも一部を構成していてもよい。
【0052】
<クランプ装置>
また、射出成形機10には、金型装置800を型締装置100に着脱自在に取り付けるためのクランプ装置30が設けられている。クランプ装置30は、固定側クランプ装置30aと可動側クランプ装置30bとを有する。固定側クランプ装置30aは、固定プラテン110に固定され、固定金型810を着脱自在にクランプする。可動側クランプ装置30bは、可動プラテン120に固定され、可動金型820を着脱自在にクランプする。クランプ装置30は、成形機制御装置700によって制御され、金型装置800を取り付けまたは取り外しする。なお、クランプ装置30は、油圧、空気圧等によって可動するメカニカルロック機構を有するクランプ装置であってもよく、磁力によって金型をクランプするクランプ装置であってもよく、限定されるものではない。
【0053】
また、クランプ装置30は、位置決めピン(図示せず)と、位置決めピンを駆動する駆動部(図示せず)を有していてもよい。クランプ装置30は、位置決めピンを金型装置800に挿入した後に、固定側クランプ装置30aと及び可動側クランプ装置30bで金型装置800をクランプすることにより、位置決めされた状態で、金型装置800をクランプすることができる。
【0054】
<オートカプラ>
また、射出成形機10には、オートカプラ40が設けられている。射出成形機10のオートカプラ40は、金型装置800を射出成形機10に取り付けた際、後述する金型装置800の接続部860と接続する。具体的には、オートカプラ40は、駆動部(図示せず)を有し、金型装置800の接続部860との接続(前進)および解除(後退)を行うことができるように構成されている。これにより、例えば、金型装置800は、射出成形機10から金型装置800のヒータ(図示せず)に通電され、金型装置800を温調することができる。また、例えば、金型装置800は、オートカプラ40を介して、熱媒体を供給する温調機(図示せず)と接続されてもよい。これにより、金型装置800に設けられた流路(図示せず)に熱媒体を供給することができる。オートカプラ40は、駆動部(図示せず)を有し、金型装置800の接続部860との接続(前進)および解除(後退)を行うことができるように構成されている。
【0055】
<金型交換装置>
金型交換装置20は、走行レール21と、台車22と、ブリッジ23と、駆動ローラ24と、交換装置制御装置26と、柵27と、を備えている。
【0056】
台車22は、走行レール21上を移動する。台車22の移動は交換装置制御装置26によって制御される。また、台車22は、金型装置800を載置する第1載置部221Aと、第2載置部221Bと、を備えている。また、台車22は、図1に示す基準位置(待機位置)と、ブリッジ23へ金型装置800を受け渡す受け渡し位置Pと、を往復運動する。
【0057】
第1載置部221Aの上面には、コンベア部222Aが設けられている。なお、コンベア部222Aは、例えば駆動ローラコンベアであり、交換装置制御装置26によって制御される。コンベア部222Aは、金型装置800を第1載置部221Aに搬入する際または第1載置部221Aから搬出する際に用いられる。
【0058】
また、第1載置部221Aには、オートカプラ223Aが設けられている。オートカプラ223Aは、金型装置800を第1載置部221Aに載置した際、後述する金型装置800の接続部860と接続する。これにより、例えば、金型装置800は、台車22から金型装置800のヒータ(図示せず)に通電され、金型装置800を予備温調することができる。
【0059】
第1載置部221Aと同様に、第2載置部221Bには、コンベア部222B及びオートカプラ223Bが設けられている。
【0060】
ブリッジ23は、台車22と射出成形機10との間に配置されており、金型装置800を搬送する際に用いられる。ブリッジ23の上面には、コンベアが設けられており、交換装置制御装置26によって制御される。
【0061】
駆動ローラ24は、射出成形機10内で固定プラテン110及び可動プラテン120の下部に配置されている。駆動ローラ24は、射出成形機10に搬入された金型装置800をクランプする位置まで搬送する際、または、射出成形機10から金型装置800を搬出する際に用いられる。また、駆動ローラ24は、固定プラテン110と可動プラテン120にそれぞれ設けられている。駆動ローラ24は、金型装置800の両端部を載置して搬送する。エジェクタ装置によって突き出された成形品は、駆動ローラ24の間を通ることができる。駆動ローラ24は、交換装置制御装置26によって制御される。
【0062】
また、走行レール21および台車22の周囲は、柵27が設けられおり、台車22の移動範囲内に作業員が立ち入ることを防止する。
【0063】
<金型装置>
金型装置800は、固定金型810と、可動金型820と、接続部860と、を備えている。
【0064】
接続部860は、射出成形機10のオートカプラ40または台車22のオートカプラ223A,223Bと接続される。
【0065】
図2は、本実施形態に係る射出成形システムSのブロック図である。
【0066】
射出成形機10の成形機制御装置700は、段取作業の時間を計測する時間計測部701と、判定部702と、記憶部703と、通信ポート704と、を備える。
【0067】
時間計測部701は、段取作業の総時間及び各項目ごとの作業時間(後述する、搬出時間、搬入時間、。台車移動時間)を計測する。
【0068】
判定部702は、時間計測部701で計測した作業時間と、記憶部703に記憶された基準時間と、を比較する。
【0069】
記憶部703には、段取作業における作業時間の基準となる基準時間(閾値)が記憶されている。
【0070】
通信ポート704は、シーケンサ710の通信ポート711と接続される。
【0071】
シーケンサ710は、通信ポート711、通信ポート712、I/Oポート713と、を備える。通信ポート711は、成形機制御装置700の通信ポート704と通信可能に接続される。シーケンサ710は、あらかじめ設定されたロジックに基づいて、入力された信号を変換して、出力する装置である。
【0072】
通信ポート712は、金型交換装置20に設けられる交換装置制御装置26の通信ポート721と接続される。このような構成により、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、金型交換装置20に動作を指令することができる。また、金型交換装置20の動作状態は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に入力されるようになっている。
【0073】
I/Oポート713は、クランプ装置30のI/Oポート722と接続される。このような構成により、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、クランプ装置30に動作を指令することができる。また、クランプ装置30の動作状態は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に入力されるようになっている。
【0074】
また、I/Oポート713は、オートカプラ40のI/Oポート723と接続される。このような構成により、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、オートカプラ40に動作を指令することができる。また、オートカプラ40の動作状態は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に入力されるようになっている。
【0075】
このように、射出成形機10の成形機制御装置700は、周辺装置(金型交換装置20、クランプ装置30、オートカプラ40)を制御することができるとともに、周辺装置の動作状態を取得することができる。これにより、時間計測部701は、段取作業の各項目における作業時間を計測することができる。
【0076】
図3は、表示装置760に表示される表示画面の一例である。図3に示す表示画面は、段取作業に関する設定や実績値(動作状態)を表示する表示画面の一例である。ここで、段取作業とは、射出成形機10による成形品の量産を可能とするための作業であり、例えば、金型交換(金型取付)、金型装置800の型締力調整、金型装置800の温調、射出装置300による成形材料の計量、射出装置300の成形材料のパージ等を有する。
【0077】
表示画面は、射出成形機10の動作状態を表示する表示部761を有する。また、表示画面は、金型交換装置20の情報を示す表示部762を有する。表示部762は、金型交換装置20の動作状態を示す動作状態表示部762aと、金型交換装置20への指令を示す指令表示部762bと、を有する。同様に、表示画面は、クランプ装置30の情報を示す表示部763を有する。表示部763は、クランプ装置30の動作状態を示す動作状態表示部763aと、クランプ装置30への指令を示す指令表示部763bと、を有する。また、表示画面は、オートカプラ40の情報を示す表示部764を有する。表示部764は、オートカプラ40の動作状態を示す動作状態表示部764aと、オートカプラ40への指令を示す指令表示部764bと、を有する。このように、表示画面には、段取作業の進捗状況が表示されるようになっている。
【0078】
また、表示画面は、段取作業の作業時間が表示される作業時間表示部766を有している。作業時間表示部766には、段取作業の総時間である自動段取時間766aが表示される。また、作業時間表示部766には、各工程の作業時間が表示される。ここでは、搬出時間766bと、搬入時間766cと、台車移動時間766dと、が表示される。なお、自動段取時間766a、搬出時間766b、搬入時間766c、および、台車移動時間766dは、時間計測部701で計測される。
【0079】
また、表示画面は、アンクランプ型開量設定部778および金型交換中型開閉速度設定部779を有する。アンクランプ型開量設定部778は、アンクランプ時の型開量を入力することができるように構成されている。金型交換中型開閉速度設定部779は、金型交換中における型開閉速度を入力することができるように構成されている。
【0080】
図4は、操作装置750の一例である。図4に示すように、操作装置750は、スイッチ751a~751lを有している。
【0081】
スイッチ751aは、金型装置800の自動交換(金型装置800の搬出と搬入)を行うためスイッチである。スイッチ751bは、金型装置800の搬出のみを行うためスイッチである。スイッチ751cは、金型装置800の搬入のみを行うためスイッチである。
【0082】
スイッチ751dは、可動側クランプ装置30bのクランプを行うためのスイッチである。スイッチ751eは、可動側クランプ装置30bのクランプを解除するためのスイッチである。スイッチ751fは、固定側クランプ装置30aのクランプを行うためのスイッチである。スイッチ751gは、固定側クランプ装置30aのクランプを解除するためのスイッチである。スイッチ751hは、オートカプラ40を後退(接続解除)するためのスイッチである。スイッチ751iは、オートカプラ40を前進(接続)するためのスイッチである。スイッチ751jは、位置決めピンを金型装置800から抜去するためのスイッチである。スイッチ751kは、位置決めピンを金型装置800に挿入するためのスイッチである。スイッチ751lは、温調機(図示せず)を動作させるためのスイッチである。温調機が動作することにより、オートカプラ40を介して金型装置800に熱媒体が供給され、金型装置800の温度は調整される。
【0083】
図5は、本実施形態に係る射出成形システムSのにおける段取作業の一例を説明するガントチャートである。ここでは、段取作業として、金型装置800の自動交換(金型装置800の搬出と搬入)を例に説明する。なお、図5において、射出成形機10は、金型装置800Aを用いて成形品を生産しているものとする。また、台車22は待機位置に位置するものとし、射出成形機10には、金型装置800Aが取り付けられているものとし、台車22の第1載置部221Aには金型装置800Bが載置され、第2載置部221Bは空の状態であるものとして説明する。
【0084】
現型生産工程S100は、生産中工程S101と、生産最終ショット工程S102と、を有する。生産中工程S101は、現型の金型装置800Aによる成形品の生産工程である。生産最終ショット工程S102は、現型の金型装置800Aによる成形品の最終生産の工程である。
【0085】
また、最終成形に必要な充填動作を終えた時点で、射出成形機10が生産終了したと判断し、次型計量工程S103を行ってもよい。ここでは、予め設定された次型の成形条件に基づいて、射出装置300の計量動作を実行する。また、温調機停止工程S104を実行してもよい。これにより、金型装置800Aの温調が終了する。また、可塑化後退工程S105を実行してもよい。これにより、移動装置(図示せず)によって射出装置300は後退する。また、金型交換装置20は、次型である金型装置800Bの温調を起動する工程S106を実行してもよい。ここでは、オートカプラ223A、接続部860を介して、台車22に載置された金型装置800Bに熱媒体が供給され、金型装置800Bが予備温調される。なお、金型装置800Bの予備温調が終了すると、次型である金型装置800Bの温調を停止する工程S202を実行してもよい。
【0086】
準備工程S200では、オペレータが作業を行う(S201)。例えば、オペレータは、搬入する金型装置800Bを確認をする。また、オペレータは、金型装置800A,800Bの開き止めを確認する。また、オペレータは、金型装置800Bの予備温調が終了しているかを確認する。これらの確認が終了すると、オペレータは、操作装置750に設けられた金型装置800の自動交換を実行させるスイッチ751aを操作する。
【0087】
ここで、自動金型交換は、金型装置800Aを射出成形機10から取り外す金型取外工程S300、金型装置800Aを射出成形機10から搬出する金型搬出工程S400、金型装置800Bを射出成形機10へ搬入する前の搬入準備工程S500、金型装置800Bを射出成形機10へ搬入する金型搬入工程S600、金型装置800Bを射出成形機10に取り付ける金型取付工程S700を有する。
【0088】
金型取外工程S300は、カプラ後退工程S301と、金型取外(アンクランプ)工程S302と、型開工程S303と、位置決めピン戻り工程S304と、台車移動工程S305と、を有する。なお、カプラ後退工程S301、金型取外(アンクランプ)工程S302および型開工程S303は、順次実行される。
【0089】
カプラ後退工程S301は、オートカプラ40を後退させ、オートカプラ40と金型装置800の接続部860との接続を解除する。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、オートカプラ40に後退の指令を送信する。オートカプラ40が後退すると、オートカプラ40は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に動作状態を送信する。
【0090】
金型取外(アンクランプ)工程S302は、クランプ装置30による金型装置800Aのクランプを解除する。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、クランプ装置30にアンクランプの指令を送信する。クランプ装置30のクランプが解除されると、クランプ装置30は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に動作状態を送信する。
【0091】
型開工程S303は、固定プラテン110と可動プラテン120との間隔を広げることにより、金型装置800Aを搬出可能な状態とする。具体的には、成形機制御装置700は、型締装置100の型締モータ160を制御して、アンクランプ型開量設定部778で設定された型開量で可動プラテン120を後退させることにより固定プラテン110と可動プラテン120との間隔を広げる。
【0092】
位置決めピン戻り工程S304は、位置決めピンを金型装置800Aから抜去する。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、クランプ装置30に位置決めピン戻りの指令を送信する。位置決めピンが抜去されると、クランプ装置30は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に動作状態を送信する。この際、時間計測部701は、位置決めピン戻り工程S304の時間を計測する。なお、位置決めピン戻り工程S304は、型開工程S303とオーバーラップして実行してもよい。
【0093】
台車移動工程S305は、受け渡し位置Pまで第2載置部221Bが移動するように台車22を移動させる。具体的には、成形機制御装置700は、金型交換装置20の交換装置制御装置26に指令を送信する。交換装置制御装置26は、指令に基づいて、台車22を移動させる。台車22移動が完了すると、交換装置制御装置26は成形機制御装置700に動作状態を送信する。なお、台車移動工程S305は、カプラ後退工程S301~型開工程S303とオーバーラップして実行してもよい。
【0094】
金型搬出工程S400は、ドア開き工程S401と、金型搬出動作工程S402と、ドア閉じ工程S403と、台車移動工程S404と、を有する。なお、ドア開き工程S401、金型搬出動作工程S402およびドア閉じ工程S403は、順次実行される。
【0095】
ドア開き工程S401は、ドア195を開く。具体的には、成形機制御装置700は、ドア開閉機構196を制御して、ドア195を開く。
【0096】
金型搬出動作工程S402は、金型装置800Aを搬出する。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、金型交換装置20(交換装置制御装置26)に金型装置の搬出の指令を送信する。交換装置制御装置26は、駆動ローラ24およびコンベア部222Bを制御して、金型装置800Aを第2載置部221Bに載置させる。金型装置800Aの搬出が完了すると、交換装置制御装置26は成形機制御装置700に動作状態を送信する。
【0097】
ドア閉じ工程S403は、ドア195を閉じる。具体的には、成形機制御装置700は、ドア開閉機構196を制御して、ドア195を閉じる。
【0098】
台車移動工程S404は、受け渡し位置Pまで第1載置部221Aが移動するように台車22を移動させる。具体的には、成形機制御装置700は、金型交換装置20の交換装置制御装置26に指令を送信する。交換装置制御装置26は、指令に基づいて、台車22を移動させる。台車22移動が完了すると、交換装置制御装置26は成形機制御装置700に動作状態を送信する。なお、台車移動工程S404は、金型搬出動作工程S402の後に実行されればよく、ドア閉じ工程S403および搬入準備工程S500とオーバーラップして実行してもよい。
【0099】
搬入準備工程S500は、金型交換作業の一部である台車移動工程S404が引き続き実行される。また、金型交換中に他の段取作業として、次型である金型装置800Bの型締力調整を行ってもよい。ここでは、搬入準備工程S500は、次金型条件呼出工程S501と、型厚調整工程S502と、を有する。なお、次金型条件呼出工程S501および型厚調整工程S502は、順次実行される。
【0100】
次金型条件呼出工程S501は、射出成形機10に次に搬入される金型装置800Bの条件を呼び出す。具体的には、成形機制御装置700は、予め設定された金型装置800Bの成形条件を記憶部703から呼び出す。
【0101】
型厚調整工程S502は、金型装置800Bの成形条件に基づいて、型締装置100を調整する。具体的には、成形機制御装置700は、型締装置100の型厚調整機構180を制御して、次型の型厚条件表示部776の型締力発生型厚位置に基づいて、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔を調整する。
【0102】
金型搬入工程S600は、ドア開き工程S601と、金型搬入動作工程S602と、ドア閉じ工程S603と、位置決めピン入り工程S604と、台車移動工程S605と、を有する。なお、ドア開き工程S601、金型搬入動作工程S602およびドア閉じ工程S603は、順次実行される。
【0103】
ドア開き工程S601は、ドア195を開く。具体的には、成形機制御装置700は、ドア開閉機構196を制御して、ドア195を開く。
【0104】
金型搬入動作工程S602は、金型装置800Bを搬入する。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、金型交換装置20(交換装置制御装置26)に金型装置の搬入の指令を送信する。交換装置制御装置26は、駆動ローラ24およびコンベア部222Aを制御して、金型装置800Bを第1載置部221Aから型締装置100内に搬入させる。金型装置800Bの搬入が完了すると、交換装置制御装置26は成形機制御装置700に動作状態を送信する。
【0105】
ドア閉じ工程S603は、ドア195を閉じる。具体的には、成形機制御装置700は、ドア開閉機構196を制御して、ドア195を閉じる。
【0106】
位置決めピン入り工程S604は、位置決めピンを金型装置800Bに挿入する。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、クランプ装置30に位置決めピン入りの指令を送信する。位置決めピンが挿入されると、クランプ装置30は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に動作状態を送信する。なお、位置決めピン入り工程S604は、金型搬入動作工程S602とオーバーラップして実行してもよい。
【0107】
台車移動工程S605は、待機位置(図1参照)まで台車22を移動させる。具体的には、成形機制御装置700は、金型交換装置20の交換装置制御装置26に指令を送信する。交換装置制御装置26は、指令に基づいて、台車22を移動させる。台車22移動が完了すると、交換装置制御装置26は成形機制御装置700に動作状態を送信する。なお、台車移動工程S605は、金型搬入動作工程S602の後に実行されればよく、ドア閉じ工程S603および金型取付工程S700とオーバーラップして実行してもよい。
【0108】
金型取付工程S700は、型閉工程S701と、金型取付(クランプ)工程S702と、カプラ前進工程S703と、待機工程S704と、温調機起動工程S705と、パージ工程S706と、を有する。なお、型閉工程S701~待機工程S704は、順次実行される。
【0109】
型閉工程S701は、固定プラテン110と可動プラテン120との間隔を狭めることにより、金型装置800Bを挟む状態とする。具体的には、成形機制御装置700は、型締装置100の型締モータ160を制御して、可動プラテン120を前進させることにより固定プラテン110と可動プラテン120との間隔を狭める。
【0110】
金型取付(クランプ)工程S702は、クランプ装置30で金型装置800Bをクランプする。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、クランプ装置30にクランプの指令を送信する。クランプ装置30によって金型装置800Bがクランプされると、クランプ装置30は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に動作状態を送信する。
【0111】
カプラ前進工程S703は、オートカプラ40を前進させ、オートカプラ40と金型装置800の接続部860とを接続する。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、オートカプラ40に前進の指令を送信する。オートカプラ40が前進すると、オートカプラ40は、シーケンサ710を介して、成形機制御装置700に動作状態を送信する。
【0112】
待機工程S704は、金型交換終了後、全段取作業が完了するまで待機する。
【0113】
また、金型交換中に他の段取作業として、金型装置800Bの温調を行ってもよい。温調機起動工程S705は、温調機(図示せず)を起動して金型装置800Bを温調する工程である。具体的には、成形機制御装置700は、シーケンサ710を介して、温調機(図示せず)に起動の指令を送信する。温調機は、オートカプラ40、接続部860を介して、金型装置800Bに温調流体を供給する。なお、温調機起動工程S705は、カプラ前進工程S703の後に実行されればよく、待機工程S704とオーバーラップして実行してもよい。
【0114】
また、金型交換中に他の段取作業として、射出装置300のパージを行ってもよい。パージ工程S706は、射出装置300内の成形材料をパージする。具体的には、成形機制御装置700は、射出装置300を制御して、成形材料をパージする。なお、パージ工程S706は、カプラ前進工程S703の後に実行されればよく、待機工程S704とオーバーラップして実行してもよい。
【0115】
このように、時間計測部701は、段取作業の各工程における作業時間を計測することができる。例えば、金型取外工程S300の作業時間である台車移動時間を計測することができる。また、金型取外工程S300から金型搬出工程S400までの作業時間である搬出時間を計測することができる。また、搬入準備工程S500から金型取付工程S700までの作業時間である搬入時間を計測することができる。また、金型取外工程S300から金型取付工程S700までの全作業時間である自動段取時間を計測することができる。
【0116】
以上、本実施形態に係る射出成形機10によれば、段取時間を計測することができる。また、図3に示すように、計測された各時間は、表示装置760の表示画面の作業時間表示部766に表示される。これにより、オペレータは、段取作業の作業時間を容易に把握することができる。また、段取作業のロスの発見に役立てることができる。したがって、段取作業を見直すことができ、段取作業の作業時間を短縮させることができる。さらには、射出成形機10の休止時間(段取時間)を減らし、稼働時間を増やすことができるので、射出成形機10の生産性を向上させることができる。
【0117】
また、判定部702は、時間計測部701で計測した段取時間(または各工程の作業時間)と記憶部703に記憶されている基準時間(閾値)とを比較してもよい。これにより、基準時間よりも超過した工程を特定することができ、段取作業の改善に役立てることができる。また、成形機制御装置700は、判定部702の判定結果を報知する報知部(図示せず)を有していてもよい。例えば、報知部は、基準時間を超過した時点で、オペレータに報知してもよい。これにより、オペレータは段取作業の遅れを容易に把握することができる。
【0118】
また、成形機制御装置700は、判定部702の判定結果に基づいて、段取作業のスケジュールを再調整してもよい。例えば、前工程で作業時間が基準時間を超過した場合には、後工程の作業時間が短くなるように射出成形機10または周辺装置の動作速度を早くしてもよい。例えば、図3に示す表示画面の金型交換中型開閉速度設定部779で設定される金型交換中における型開閉速度を変更してもよい。また、台車22の移動速度を変更してもよい。これにより、段取作業の遅れを取り戻すことができる。
【0119】
また、成形機制御装置700は、判定部702の判定結果に基づいて、射出成形機10および周辺装置(金型交換装置20、クランプ装置30、オートカプラ40)の少なくとも1つの動作を制限してもよい。例えば、作業時間が基準時間を超過した場合には、金型装置800の自動交換を停止してもよい。
【0120】
以上、射出成形システムSの実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【符号の説明】
【0121】
S 射出成形システム
100 型締装置
10 射出成形機
20 金型交換装置
22 台車
26 交換装置制御装置
30 クランプ装置
40 オートカプラ
195 ドア
196 ドア開閉機構
700 成形機制御装置(制御部)
701 時間計測部(計測部)
702 判定部
703 記憶部
704 通信ポート
710 シーケンサ
711,712,721 通信ポート(通信部)
713,722,723 I/Oポート(通信部)
750 操作装置
760 表示装置
800 金型装置
図1
図2
図3
図4
図5