(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20240610BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240610BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240610BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240610BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20240610BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20240610BHJP
G03G 15/01 20060101ALN20240610BHJP
【FI】
B65H5/06 F
H04N1/12 Z
H04N1/00 567Q
G03G15/00 460
B65H7/02
B41J29/393 103
G03G15/01 N
(21)【出願番号】P 2020069413
(22)【出願日】2020-04-07
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関川 明人
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123556(JP,A)
【文献】特開2016-166916(JP,A)
【文献】特開2020-040820(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0089150(US,A1)
【文献】特開2016-152493(JP,A)
【文献】実開昭57-070229(JP,U)
【文献】特開2005-075509(JP,A)
【文献】米国特許第06135446(US,A)
【文献】特開2017-040702(JP,A)
【文献】特開2001-341887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02
B65H 5/06
B65H 5/22
B65H 29/12-29/24
G03G 15/00
B41J 29/00-29/19
B41J 29/26-29/373
B41J 29/377
B41J 29/54-29/70
H04N 1/00
H04N 1/04-1/207
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成装置から排出されたシートの画像情報を読み取る画像読取装置であって、
シートを挟持搬送する第1ニップ部を形成する第1回転体対と、
シート搬送方向における前記第1回転体対の下流側にて、シートを挟持搬送する第2ニップ部を形成する第2回転体対と、
前記第2回転体対によって搬送されたシートの画像情報を読み取る読取手段と、
前記シート搬送方向における前記読取手段の上流にてシートを検出する検出センサと、を備え、
前記第2ニップ部は、シートを挟持する第1
ニップ領域及び第2ニップ領域と、前記第1
ニップ領域及び
前記第2ニップ領域との間にて、前記第2回転体対
がシートを挟持しない凹部領域と、を備え、
前記検出センサは、少なくとも一部が前記凹部領域に入り込むように配置され、
前記第1回転体対は、
前記シート搬送方向から視て、前記
シート搬送方向に直交する回転軸線方向において前記凹部領域と重なる領域にてシートを挟持するように前記第1ニップ部を形成し、前記第1ニップ部にて挟持搬送された状態で、前記第2ニップ部にシートを受け渡すように構成された、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第1
ニップ部及び
前記第2ニップ部との間の前記シート搬送方向における距離は、前記画像読取装置が搬送可能な最小サイズのシートの前記シート搬送方向における長さよりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第2ニップ部の前記回転軸線方向における一端と他端との距離は、前記画像読取装置が搬送可能な最大サイズのシートの前記回転軸線方向における長さよりも大きい、
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第1ニップ部の前記回転軸線方向における一端と他端との距離は、前記凹部領域の前記回転軸線方向における長さよりも大きい、
ことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記凹部領域は、前記第2ニップ部の前記回転軸線方向における中央部に形成されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第2回転体対は、
第1回転体と、
前記第1回転体との間に前記第1ニップ領域を形成する第1回転部と、前記第1回転体との間に前記第2ニップ領域を形成する第2回転部と、前記第1
回転部及び
前記第2回転部との間に形成された
前記凹部
領域と、を有する第2回転体と、を有
する、
ことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2回転体は、前記第1回転体よりも上方に配置されており、
前記第1回転体は、前記第1ニップ領域と前記第2ニップ領域との間に亘って前記回転軸線方向に連続して延設された回転部を備えている、
ことを特徴とする、請求項6記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第1回転体対が搬送するシートを受け入れる受入口と、
前記第2回転体対によって搬送されたシートを排出する排出口と、
前記受入口から前記排出口に向けて前記シート搬送方向に沿って直線状に形成され、前記第1
回転体対及び
前記第2回転体対によってシートが搬送されるシート搬送路と、を備え、
前記第1回転体対、前記第2回転体対及び前記読取手段は、前記シート搬送路上に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記読取手段は、前記第2回転体対によって搬送されたシートの第1面の画像情報を読み取る第1読取手段であり、
前記第2回転体対によって搬送されたシートの第1面とは反対の第2面の画像情報を読み取る第2読取手段を備え、
前記第2読取手段は、前記シート搬送路上に配置されている、
ことを特徴とする、請求項8記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記排出口は、第1排出口であり、
前記シート搬送路は、第1シート搬送路であり、
前記第2回転体対によって搬送されたシートを排出する第2排出口と、
前記第1シート搬送路から分岐して前記第2排出口へ向かう第2シート搬送路と、
前記第2排出口から排出されたシートを積載するシート積載手段と、を備え、
前記第2シート搬送路は、前記第1
読取手段及び
前記第2読取手段よりも下流で前記第1シート搬送路から分岐するように形成されている、
ことを特徴とする、請求項9記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記第1回転体対は、前記受入口に臨んで配置され、
前記第2回転体対は、前記第1回転体対と隣接して配置され、
前記読取手段は、前記第2回転体対と隣接して配置されている、
ことを特徴とする、請求項10記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記第1ニップ部の前記回転軸線方向における一端と他端との距離は、前記第2ニップ部の前記回転軸線方向における一端と他端との距離よりも小さい、
ことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記第1ニップ部の前記回転軸線方向における一端と他端との距離は、前記画像読取装置が搬送可能な最大サイズのシートの前記回転軸線方向における長さよりも大きい、
ことを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記第1回転体対
を構成する一対の回転体の一方の回転体は、前記第1回転体対を構成する一対の回転体の他方の回転体との間で前記第1ニップ部を形成し、前記回転軸線方向に互いに間隙を存して配置された複数の回転部を有する、
ことを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項15】
前記第1回転体対
を構成する一対の回転体の一方の回転体は、前記第1ニップ部の前記回転軸線方向における一端から他端に亘って連続して延設された回転部を有する、
ことを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項記載の画像読取装置。
【請求項16】
シートに画像を形成する画像形成部を有する画像形成装置と、
前記画像形成装置から排出されたシートの画像情報を読み取る請求項1乃至15のいずれか1項記載の画像読取装置と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項17】
前記画像形成装置は、前記画像読取装置によって読み取られた画像情報に基づいて、シートに画像を形成する際のシートに対する画像の位置を補正する、
ことを特徴とする、請求項16記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシートの画像を読み取る画像読取装及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する画像形成装置と、イメージスキャナーによって画像形成装置がシートに形成した画像を読み取る画像読取装置と、を備えた画像形成システムが開示されている(特許文献1参照)。この画像形成システムは、画像読取装置が読み取った画像データ(画像情報)と、画像形成装置が画像を形成するときの画像データと、を比較して、表裏位置調整、濃度調整、色味調整等を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、シートの画像を光学的に読み取る画像読取装置においては、回転する回転体対等によってシートを挟持して搬送しながら、シートの画像情報を読み取る構成が知られている。このような画像読取装置において、例えば、幅方向の一部にシートを挟持できない凹部が形成された回転体対等でシートを挟持して搬送する場合、この凹部でシートにしわや撓みが発生しやすくなり、十分な読取精度を得ることが難しい。
【0005】
そこで、本発明は、画像の読取精度を向上させることが可能な画像読取装置及び画像形成システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートに画像を形成する画像形成装置から排出されたシートの画像情報を読み取る画像読取装置であって、シートを挟持搬送する第1ニップ部を形成する第1回転体対と、シート搬送方向における前記第1回転体対の下流側にて、シートを挟持搬送する第2ニップ部を形成する第2回転体対と、前記第2回転体対によって搬送されたシートの画像情報を読み取る読取手段と、前記シート搬送方向における前記読取手段の上流にてシートを検出する検出センサと、を備え、前記第2ニップ部は、シートを挟持する第1ニップ領域及び第2ニップ領域と、前記第1ニップ領域及び前記第2ニップ領域との間にて、前記第2回転体対がシートを挟持しない凹部領域と、を備え、前記検出センサは、少なくとも一部が前記凹部領域に入り込むように配置され、前記第1回転体対は、前記シート搬送方向から視て、前記シート搬送方向に直交する回転軸線方向において前記凹部領域と重なる領域にてシートを挟持するように前記第1ニップ部を形成し、前記第1ニップ部にて挟持搬送された状態で、前記第2ニップ部にシートを受け渡すように構成された、ことを特徴とする画像読取装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像の読取精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施の形態に係る画像形成システムの概略図。
【
図2】画像形成システムの制御構成を示すブロック図。
【
図5】(a)シートライブラリの表示画面を示す画像図、(b)幾何調整値の補正方法の選択画面を示す画像図。
【
図6】(a)表面に形成される表裏見当用のテストパターンを示す図、(b)裏面に形成される表裏見当用のテストパターンを示す図。
【
図7】画像形成システムの制御例を示すフローチャート。
【
図8】通常ジョブにおけるシート搬送動作を説明するための概略図で、(a)、(b)はそれぞれ異なる状態を示す。
【
図9】表裏見当ジョブにおけるシート搬送動作を説明するための概略図で、(a)~(c)はそれぞれ異なる状態を示す。
【
図10】表裏見当部及び入口搬送ローラ対の斜視図。
【
図11】表裏見当部及び入口搬送ローラ対の平面図。
【
図12】(a)上流搬送ローラ対によって搬送される撓んだ状態のシートを示すシートの搬送方向に視た図、(b)上流搬送ローラ対によって搬送される撓みが抑制された状態のシートを示すシートの搬送方向に視た図。
【
図13】第2の実施の形態に係る表裏見当部を示す平面図。
【
図14】第3の実施の形態に係る表裏見当部を示す平面図。
【
図15】第4の実施の形態に係る表裏見当部を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、各実施の形態に係る画像読取装置及び画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、本技術の適用範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
<第1の実施の形態>
[画像形成システムの概略構成]
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム100Sを示す概略図である。画像形成システム100Sは、画像形成装置100と、調整ユニット400と、フィニッシャ600とを備えている。本実施の形態では、画像形成装置として、電子写真方式のレーザービームプリンタである画像形成装置100を例に説明をするが、これに限らず、画像形成装置は、インクジェット式のプリンタや、昇華型のプリンタであってもよい。また、調整ユニット400は、本実施の形態の画像読取装置である。
【0011】
画像形成装置100の筐体101には、画像形成エンジン102と、画像形成システム100Sの動作を制御するプリンタコントローラ103(
図2参照)を収容する制御ボード収納部(不図示)と、が搭載されている。画像形成部としての画像形成エンジン102は、画像形成プロセスにより記録材に画像を形成する光学処理機構10及び定着処理機構20と、記録材として用いられる矩形状のシート1の給送及び搬送を行う給送処理機構30及び搬送処理機構40と、を含む。記録材としては、普通紙や厚紙等の紙、コート紙やエンボス紙等の表面処理が施された紙、プラスチックフィルム、布等のシートが使用可能である。
【0012】
光学処理機構10は、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各色のトナー像を形成するステーション120,121,122,123と、中間転写ベルト106とを備えている。各ステーション120~123では、ドラム状の感光体である感光ドラム105の表面を一次帯電器111が帯電させる。レーザスキャナ部107は、画像データに基づいて生成されレーザスキャナ部107に送信される指令信号に基づいて感光ドラム105の露光処理を行う。レーザスキャナ部107は、不図示の半導体レーザから放射されるレーザ光をオン、オフに駆動するレーザドライバを有する。レーザスキャナ部107は、半導体レーザからのレーザ光を回転多面鏡により主走査方向(シートの幅方向)に振り分けつつ反射ミラー109を介して感光ドラム105に導く。これにより、感光ドラム105の表面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
【0013】
現像器112は、トナーを含む現像剤を内部に収容し、帯電したトナー粒子を感光ドラム105に供給する。表面電位分布に応じてトナー粒子がドラム表面に付着することにより、感光ドラム105に担持された静電潜像はトナー像として可視化される。感光ドラム105に担持されたトナー像は、トナーの正規帯電極性とは逆極性の電圧が印加される中間転写ベルト106に転写(一次転写)される。カラー画像を形成する場合、4つのステーション120~123によって形成されたトナー像が中間転写ベルト106の上で互いに重なるように多重転写されることで、ベルト上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0014】
一方、給送処理機構30は、画像形成装置100の筐体101に対して引出可能に挿入されたシート収納庫113から転写ローラ114へ向けて1枚ずつシート1を給送する。中間転写体である中間転写ベルト106に担持されたトナー像は、転写ローラ114によってシート1に転写(二次転写)される。
【0015】
中間転写ベルト106の周りには、画像形成を行う際の印字開始位置を決めるための画像形成開始位置検出センサ115、シート1の給送タイミングを図るための給送タイミングセンサ116、及び濃度センサ117が配置されている。濃度センサ117は、中間転写ベルト106に担持されたテスト用のパッチ画像の濃度を測定する。プリンタコントローラ103は、濃度センサ117の検知結果に基づいて光学処理機構10の動作条件(例えば、一次帯電器111の帯電目標電位や現像器112のバイアス電圧の設定)を調整する。
【0016】
本実施の形態の定着処理機構20は、第1定着器150及び第2定着器160によって構成されている。第1定着器150は、シート1に熱を加えるための定着ローラ151、シート1を定着ローラ151に圧接させるための加圧ベルト152、及び第1定着器150による定着処理の完了を検知する第1定着後センサ153を含む。定着ローラ151は中空ローラであり、内部にヒータを有する。第1定着器150は、回転体対である定着ローラ151及び加圧ベルト152によってシート1を挟持して搬送しながら、シート上のトナー像に熱及び圧力を加える。これによりトナー粒子が溶融し、その後固着することで、シート1に画像が定着する。
【0017】
第2定着器160は、第1定着器150よりもシート1の搬送経路における下流側に配置されている。第2定着器160は、第1定着器150による定着処理が施された画像の光沢度を高めたり、シート1に対する画像の定着性を確保したりする機能を有する。第2定着器160は、第1定着器150同様に、シート1を搬送しながら加熱及び加圧する回転体対としての定着ローラ161及び加圧ローラ162と、第2定着器160による定着処理の完了を検知する第2定着後センサ163とを有している。
【0018】
なお、シート1の種類によっては第2定着器160を通す必要が無い場合がある。画像形成装置100は、このような場合に、エネルギー消費量低減の目的で第2定着器160を経由せずシート1を排出するための迂回搬送路130を有している。第1定着器150から送り出されたシート1は、第1切替フラッパ131によって第2定着器160又は迂回搬送路130のいずれかに誘導される。
【0019】
第2定着器160又は迂回搬送路130を通過したシート1は、第2切替フラッパ132によって排出搬送路139又は反転搬送路135のいずれかに誘導される。反転搬送路135に搬入されたシート1は、反転センサ137によってシート1の位置を検出され、反転部136が行うスイッチバック動作によって副走査方向(シートの搬送される方向)の下流端(先端)と上流端(後端)とが入れ替えられる。両面印刷の場合、表面に画像が形成されたシート1は、反転部136によって先後端を入れ替えられた状態で、再搬送路138を介して再び転写ローラ114へ向けて搬送され、表面とは反対の裏面に画像を形成される。
【0020】
片面印刷の画像形成が終了したシート1又は両面印刷における裏面の画像形成が終了したシート1は、排出搬送路139に設けられた排出ローラ139a(排出部)によって画像形成装置100の外部に排出される。なお、反転搬送路135と排出搬送路139の間には、反転部136によってスイッチバックしたシート1を排出搬送路139へ向けて誘導可能な切替フラッパ134が設けられ、画像形成装置から排出される際のシート1の表裏を選択可能に構成されている。なお、画像形成装置100の上部には、原稿から画像情報を読み取る画像読取装置190が設置されている。
【0021】
図2に示すように、画像形成装置100は、画像形成システム100S(
図1参照)の動作を統括制御する制御手段としてのプリンタコントローラ103と、画像形成エンジン102(
図1参照)を制御するエンジン制御部312と、を備えている。プリンタコントローラ103は、少なくとも1つのプロセッサ(以下、CPU)301と、メモリ302と、外部インタフェース(以下、I/F)303と、が実装された制御ボードである。メモリ302は、一過性の記憶媒体及び非一過性の記憶媒体を含み、プログラム及びデータの保管場所となると共に、CPU301がプログラムを実行する際の作業スペースとなる。
【0022】
エンジン制御部312は、プリンタコントローラ103からの指令信号等に基づいて、画像形成エンジン102に上述の画像形成プロセスを行わせてシートに画像を形成させる。例えば、エンジン制御部312は、第1定着後センサ153、第2定着後センサ163及び反転センサ137の検知信号に基づいて、シートを搬送するローラを駆動する搬送モータ311、第1切替フラッパ131及び第2切替フラッパ132の動作を制御する。
【0023】
画像形成装置100には、画像形成システム100Sのユーザインタフェースとなる操作部180が設けられている(
図1参照)。操作部180は、ユーザに対して情報を表示する表示手段としてのディスプレイを備えている。また、操作部180は、ユーザが画像形成システム100Sに対して指令やデータを入力可能な入力手段として、例えば、テンキー及び印刷実行ボタン等の物理キーや、ディスプレイのタッチパネル機能を備えている。操作部180の操作により、ユーザは、あるシート収納庫113(
図1参照)にセットされているシートの名称、坪量及び表面処理の有無等のシート属性を表す情報をプリンタコントローラ103に入力することができる。入力されたシート属性は、メモリ302に格納されているシートライブラリ900に登録される。
【0024】
プリンタコントローラ103は、外部インタフェース(I/F)303を介して外部の有線又は無線通信網に接続され、外部のコンピュータ(不図示)との間で通信可能である。また、プリンタコントローラ103は、画像形成装置100に接続されて画像形成システム100Sを構成する装置(本実施の形態では、調整ユニット400及びフィニッシャ600)の制御回路とも接続される。プリンタコントローラ103は、これらの装置と通信を行って、画像形成装置100及び各装置の動作を協調させる。なお、調整ユニット400の制御構成については後述する。
【0025】
[調整ユニットの概略構成]
次に、
図1に示す本実施の形態の画像読取装置であり、画像形成装置100から排出されたシートの画像情報を読み取る調整ユニット400の概略構成について説明する。一般に、電子写真方式やインクジェット方式等、裁断済みのシートに対して画像の形成を行う印刷方式を用いた画像形成装置は、矩形状のシートの一辺を基準としてシートに画像形成を行う。このため、シートの輪郭とシートに形成された画像との位置精度や、シートの表面の画像と裏面の画像との相対的な位置精度、所謂表裏見当精度は、シートの裁断精度(長さ、幅、直角性、平行性)に依存する。
【0026】
本実施の形態の画像形成システム100Sは、画像形成装置100がシートに画像を形成する際に、シートの輪郭(外形)に対する画像の位置や画像の倍率等を調整することで、シートの表面の画像と裏面の画像との相対位置の調整(表裏見当)を行う。具体的には、画像形成システム100Sは、表裏見当を行う際、まず画像形成装置100によって、シートの表面及び裏面にテストパターン820(
図6(a)参照)を形成する。例えば、テストパターン820は、シートの外縁近傍に形成された複数の長方形の画像(パッチ画像)を含む。
【0027】
その後、調整ユニット400は、シートのテストパターン820を読み取り、読取結果に基づいた情報を画像形成装置100へ送信(フィードバック)する。画像形成装置100は、調整ユニット400から受け取った情報に基づいて表裏見当を行う。本実施の形態の画像形成システム100Sは、このような表裏見当を行うことにより、シートの裁断にばらつきがある場合でも、表裏見当精度を向上させることができる。
【0028】
このような本実施の形態の画像形成システム100Sにおいて、調整ユニット400は、水平方向(
図1の左右方向、Y方向)における画像形成装置100とフィニッシャ600との間に設置されている。即ち、本実施の形態における調整ユニット400の上流装置は画像形成装置100であり、調整ユニット400の下流装置はフィニッシャ600である。フィニッシャ600は、シートの余白の裁断処理、綴じ処理及びサドル処理等の処理を施す処理部601を有し、処理を施したシート又はシート束を(処理が不要な場合は上流装置から受け取ったシートを)画像形成システム100Sの成果物として排出する。
【0029】
なお、調整ユニット400の上流装置及び下流装置は画像形成システム100Sの構成によって変化する。例えば、調整ユニット400は画像形成装置100に直接的に接続されるとは限らず、画像形成装置100と調整ユニット400との間に中間ユニットが配置され、中間ユニットから調整ユニット400がシートを受け取る構成としてもよい。中間ユニットの例としては、画像形成されたシートの画像面に透明なトナーを付着させて光沢を付与するコーティング処理を行う装置が挙げられる。また、調整ユニット400の下流側にフィニッシャ600以外のシート処理装置が連結される場合がある。このようなシート処理装置の例としては、シート束に表紙となるシートを差し込むインサーター、大量の成果物を収容した状態で台車によって移動可能なスタッカーが挙げられる。
【0030】
図3に示すように、調整ユニット400は、画像形成装置100から排出されたシートを調整ユニット400の内部に受け入れる受入口441と、シートをフィニッシャ600(
図1参照)に向けて排出する第1排出口(排出口)442と、を備える。また、調整ユニット400は、受入口441と第1排出口442とを略水平方向(Y方向)に沿って直線状に接続するように形成されたスルーパス430と、スルーパス430の途中から分岐して上方に向けて形成された排出パス432と、を備えている。また調整ユニット400は、受入口441から受け入れたシートを排出パス432を介して装置外へ排出する第2排出口443と、調整ユニット400の上部に設けられ、第2排出口443から排出されたシートが積載される排出トレイ423と、を備えている。スルーパス430は、本実施の形態の第1シート搬送路(シート搬送路)であり、排出パス432は、本実施の形態の第2シート搬送路であり、排出トレイ423は、本実施の形態のシート積載手段である。
【0031】
スルーパス430上には、受入口441に臨んで配置され、受入口441から受け入れたシートを調整ユニット400の内部に向けて搬送する入口搬送ローラ対401が設けられている。また、スルーパス430上には、第1排出口442に臨んで配置され、シートを第1排出口442からフィニッシャ600に向けて搬送する出口搬送ローラ対405が設けられている。また、スルーパス430上には、入口搬送ローラ対401によるシートの搬送方向Y2において、入口搬送ローラ対401よりも下流かつ出口搬送ローラ対405よりも上流に、シートを搬送しながらシートの読み取りを行う表裏見当部700が設けられている。
【0032】
第1回転体対(第1搬送手段)としての入口搬送ローラ対401は、互いに対向配置されて回転する回転体としての駆動ローラ401aと、回転体としての従動ローラ401bと、を有している。例えば、入口搬送ローラ対401は、一対の回転体の一方の回転体である駆動ローラ401aと、一対の回転体の他方の回転体である従動ローラ401bと、によって構成されている。駆動ローラ401aは、駆動手段としての搬送モータ452(
図2参照)によって駆動され、主走査方向(X方向)に沿って配置された回転軸線C1(
図10参照)を中心として回転するように支持されている。なお、本実施の形態において、主走査方向は、略水平方向となっている。駆動ローラ401aは、シートの厚さ方向(
図3に示す上下方向)におけるスルーパス430の上方に配置されている。
【0033】
従動ローラ401bは、駆動ローラ401aの回転軸線C1と平行な回転軸線を中心として回転自在となるように支持されており、シートの厚さ方向におけるスルーパス430の下方に配置されている。これら駆動ローラ401aと従動ローラ401bとの間には、シートを挟持する第1ニップ部としての入口ニップ部N1が形成されている。
【0034】
入口搬送ローラ対401は、画像形成装置100から排出されたシートを、回転する駆動ローラ401a及び従動ローラ401bによって入口ニップ部N1で挟持しながら、表裏見当部700へ向けてスルーパス430に沿って搬送方向Y2に搬送する。なお、シート搬送方向としての搬送方向Y2は、スルーパス430に沿って左方へ向かう方向(副走査方向)であり、主走査方向(回転軸線C1方向)と直交している。この際、入口搬送ローラ対401は、画像形成装置100と調整ユニット400とのシートの搬送速度差を吸収して、表裏見当部700におけるシートの読み取りに適した搬送速度でのシートの搬送可能としている。これにより、本実施の形態の調整ユニット400は、表裏見当部700でシートの読み取りを行う際の読取精度を向上させている。
【0035】
出口搬送ローラ対405は、互いに対向配置されて回転する駆動ローラ405aと、駆動ローラ405aに対向配置された従動ローラ405bと、を有している。駆動ローラ405aは、搬送モータ452によって駆動され、駆動ローラ405aと従動ローラ405bとの間には、シートを挟持する出口ニップ部N5が形成されている。出口搬送ローラ対405は、表裏見当部700で読み取りが行われたシートを出口ニップ部N5で挟持しながらフィニッシャ600へ向けて搬送する。
【0036】
排出パス432とスルーパス430との分岐部431には、スルーパス430の上流部を搬送されたシートの搬送経路を、スルーパス430の下流部と排出パス432との間で切替可能な案内部材である切替フラッパ422が配置されている。また、排出パス432には、排出パス432におけるシートが搬送される方向に沿って複数の位置に、シートを搬送するための搬送ローラ対415,416,417,418が配置されている。これら搬送ローラ対415~418は、シートを排出パス432に沿って第2排出口443に向けて搬送する。
【0037】
図4に示すように、表裏見当部700は、コンタクトイメージセンサ(以下、CIS)701(表面CIS)と、搬送方向Y2においてCIS701よりも下流に配置されたCIS702(裏面CIS)と、を有している。CIS701は、スルーパス430に沿って搬送されたシートの輪郭やシートに形成された画像を、第1読取位置P1においてシートの下面(表面、第1面)から読み取る。第1読取位置P1は、具体的には、シートの下面からの反射光をCIS701の撮像素子に導くための光学系(本実施の形態ではレンズアレイ7c)の光軸位置である。なお、本実施の形態において、シートの輪郭やシートに形成された画像の読み取りを、シートの読み取りともいう。
【0038】
また、CIS702は、スルーパス430に沿って搬送されたシートを、第2読取位置P2においてシートの上面(裏面、第2面)から読み取る。第2読取位置P2は、具体的には、シートの上面からの反射光をCIS702の撮像素子に導くための光学系(本実施の形態ではレンズアレイ7c)の光軸位置である。CIS701は、シートの第1面の画像情報を読み取る本実施の形態の第1読取手段(読取手段)であり、CIS702は、シートの第1面とは反対の第2面の画像情報を読み取る本実施の形態の第2読取手段である。
【0039】
本実施の形態では、シートの読み取りにCISを用いることで、センサを移動させることなくシートを搬送しながらシートの読み取りを行うことが可能となり、シートの読み取りに要する時間を短縮している。また、等倍光学系のイメージセンサを用いることで、縮小光学系のセンサ(所謂CCD等)に比べて、装置の小型化が可能である。
【0040】
CIS701,702は、配置されている位置が互いに異なるが、それぞれの構成は共通である。具体的には、CIS701,702は、光源としてのLEDアレイ7aと、CMOS等の撮像素子からなるセンサアレイ7bと、搬送されるシートからの反射光をセンサアレイ7bに結像するレンズアレイ7cと、をそれぞれ備える。レンズアレイ7cは、等倍光学系を構成する複数の屈折率分布型レンズからなる。これらLEDアレイ7a、センサアレイ7b及びレンズアレイ7cは、主走査方向(シートの幅方向)においてCIS701,702が画像情報を読み取り可能な範囲の全域に亘り、主走査方向に配列されている。
【0041】
表裏見当部700は、更に、第1読取位置P1において、搬送されるシートを案内する透明ガイド703と黒色ガイド705とを有している。透明ガイド703は、シートの厚さ方向(
図4に示す上下方向)におけるスルーパス430の下方かつCIS701よりも上方に配置されており、黒色ガイド705は、シートの厚さ方向におけるスルーパス430の上方に配置されている。
【0042】
また、表裏見当部700は、第2読取位置P2において、搬送されるシートを案内する透明ガイド704と黒色ガイド706とを有している。透明ガイド703は、シートの厚さ方向におけるスルーパス430の上方かつCIS701よりも下方に配置されており、黒色ガイド706は、シートの厚さ方向におけるスルーパス430の下方に配置されている。
【0043】
透明ガイド703,704は、シートからの反射光を透過する透明な材料で形成されている。黒色ガイド705,706は、CIS701,702がシートを走査する際の背景となる部材であり、シートとのコントラストが明確となるように明度の低い色、例えば黒色の部材である。黒色ガイド705,706は、それぞれ、透明ガイド703,704に対してシートが通過可能な所定の間隙を空けて対向配置されている。
【0044】
透明ガイド703及び黒色ガイド705は、読取位置P1におけるシートの焦点深度方向(シートの厚さ方向)の位置を規制し、透明ガイド704及び黒色ガイド706は、読取位置P2におけるシートの焦点深度方向の位置を規制する。なお、透明ガイド703及び透明ガイド704が、CIS701,702とは別個に設けられている構成に変えて、透明ガイドが、センサアレイを収容する筐体の一部としてCISと一体化されていてもよい。
【0045】
また、表裏見当部700は、シートをスルーパス430に沿って搬送方向Y2に搬送するための、上流搬送ローラ対402、中間搬送ローラ対403及び下流搬送ローラ対404を有している。第2回転体対(第2搬送手段)としての上流搬送ローラ対402は、搬送方向Y2において、入口搬送ローラ対401よりも下流かつ透明ガイド703及び黒色ガイド705よりも上流に配置されている。また、上流搬送ローラ対402は、入口搬送ローラ対401、透明ガイド703及び黒色ガイド705と隣接配置されている。
【0046】
上流搬送ローラ対402は、互いに対向配置されて回転する第3回転手段としての駆動ローラ402aと、第4回転手段としての従動ローラ402bと、を有している。例えば、上流搬送ローラ対402は、一対の回転体の一方の回転体である駆動ローラ402aと、一対の回転体の他方の回転体である従動ローラ402bと、によって構成されている。第2回転体としての駆動ローラ402aは、搬送モータ452によって駆動され、主走査方向に沿って配置された回転軸線C2(
図10参照)を中心として回転するように支持されている。
【0047】
第1回転体としての従動ローラ402bは、主走査方向に沿って配置された回転軸線を中心として回転自在となるように支持されている。駆動ローラ402aは、シートの厚さ方向におけるスルーパス430の上方に配置されており、従動ローラ402bは、シートの厚さ方向におけるスルーパス430の下方に配置されている。言い換えると、主走査方向から視て、駆動ローラ402aは、駆動ローラ402aと従動ローラ402bとの共通接線であるニップ線Naよりも上方に配置されており、従動ローラ402bは、ニップ線Naよりも下方に配置されている。これら駆動ローラ402aと従動ローラ402bとの間には、シートを挟持する第2ニップ部としての上流ニップ部N2が形成されている。
【0048】
入口搬送ローラ対401の入口ニップ部N1と、上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2と、の搬送方向Y2における距離L1は、調整ユニット400(画像形成装置100)が搬送可能な最小サイズのシートの副走査方向における長さよりも小さい。このため、入口搬送ローラ対401は、入口ニップ部N1にて挟持搬送された状態で、上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2にシートを受け渡すように構成されている。また、上流ニップ部N2の主走査方向における一端N2a1と他端N2b2との距離L4(
図11参照)は、調整ユニット400(画像形成装置100)が搬送可能な最大サイズのシートの主走査方向の長さ(以下、最大シート幅ともいう)よりも大きい。上流搬送ローラ対402は、入口搬送ローラ対401によって搬送されたシートを、読取位置P1へ向けて搬送する。
【0049】
中間搬送ローラ対403は、搬送方向Y2において、透明ガイド703及び黒色ガイド705よりも下流かつ透明ガイド704及び黒色ガイド706よりも上流に配置されている。また、中間搬送ローラ対403は、透明ガイド703及び黒色ガイド705と隣接配置されると共に、透明ガイド704及び黒色ガイド706と隣接配置されている。
【0050】
中間搬送ローラ対403は、互いに対向配置されて回転する駆動ローラ403a及び従動ローラ403bを有している。駆動ローラ403aは、搬送モータ452によって駆動され、主走査方向に沿って配置された回転軸線を中心として回転するように支持されている。従動ローラ403bは、主走査方向に沿って配置された回転軸線を中心として回転自在に支持されている。これら駆動ローラ403aと従動ローラ403bとの間には、シートを挟持する中間ニップ部N3が形成されている。
【0051】
上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2と、中間搬送ローラ対403の中間ニップ部N3と、の搬送方向Y2における距離L2は、調整ユニット400(画像形成装置100)が搬送可能な最小サイズのシートの副走査方向における長さよりも小さい。中間搬送ローラ対403は、上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2と共に中間ニップ部N3で挟持しながらシートを読取位置P2へ向けて搬送する。
【0052】
下流搬送ローラ対404は、搬送方向Y2において、透明ガイド704及び黒色ガイド706よりも下流、かつスルーパス430と排出パス432との分岐部431よりも上流に配置されている。下流搬送ローラ対404は、互いに対向配置されて回転する駆動ローラ404a及び従動ローラ404bを有している。駆動ローラ403aは、搬送モータ452によって駆動され、主走査方向に沿って配置された回転軸線を中心として回転するように支持されている。これら駆動ローラ404aと従動ローラ404bとの間には、シートを挟持する下流ニップ部N4が形成されている。
【0053】
搬送方向Y2において、中間搬送ローラ対403の中間ニップ部N3と下流搬送ローラ対404の下流ニップ部N4との間の距離L3は、上流ニップ部N2と中間ニップ部N3との距離L2と略同じ長さとなっている。下流搬送ローラ対404は、中間搬送ローラ対403の中間ニップ部N3と共に下流ニップ部N4で挟持しながら、シートをスルーパス430と排出パス432との分岐部431へ向けて搬送する。
【0054】
表裏見当部700は、更に、上流搬送ローラ対402によって搬送されたシートの下流端(先端)を検出するための検出手段としてのシート検出センサS700を有している。シート検出センサS700は、搬送方向Y2において上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2よりも下流、かつ読取位置P1よりも上流に配置されている。シート検出センサS700は、上流搬送ローラ対402によって搬送されたシートの下流端が、上流ニップ部N2と読取位置P1との間の検出位置P3に達した際に、検出信号を出力する。シート検出センサS700が検出信号を出力したことに基づいて、CIS701,702のシート読み取り開始タイミングが決定される。
【0055】
表裏見当部700に到達し、上流搬送ローラ対402によって搬送されたシートは、搬送されながら第1読取位置P1でCIS701によって下面が走査されて読み取られ、中間搬送ローラ対403によって更に搬送される。中間搬送ローラ対403によって搬送されたシートは、搬送されながら第2読取位置P2でCIS702によって上面が走査されて読み取られ、下流搬送ローラ対404によって更に搬送される。
【0056】
[シートの読み取り及び読取結果のフィードバック]
次に、
図1、
図2、
図5乃至
図7を参照して、この表裏見当部700によるシートの読み取りと、読取結果のフィードバックについて説明する。プリンタコントローラ103がメモリ302に保持しているシートライブラリ900(
図2参照)は、画像形成装置100が記録材として使用可能なシートの一覧を、副/主走査方向長さ及び坪量等の属性情報と関連付けて保存したデータである。このシートライブラリ900には、各シートに対して画像形成プロセスを実行する際に用いられる幾何調整値が含まれている。幾何調整値は、画像形成プロセスを実行する際に、シートに対する画像の位置や画像の倍率等を補正するためのパラメータである。
【0057】
図5(a)に示すように、シートライブラリ900の内容は、操作部180(
図1参照)にライブラリ表示画面1001を表示させることで確認可能である。また、ライブラリ表示画面1001の「印字位置調整」ボタン1002を操作すると、
図5(b)に示す幾何調整値の補正方法の選択画面1003が表示される。ユーザが「手動で調整」の選択肢1004を選んだ場合、ユーザは操作部180に設けられたテンキー181(
図1参照)等を用いて数値を入力することで幾何調整値を直接指定することができる。
【0058】
一方、ユーザが「テストページを読み込んで調整」の選択肢1005を選んだ場合、画像形成システム100S(
図1参照)は、シートの読取結果に基づいて表裏見当を行う表裏見当処理を実行する。表裏見当処理において、画像形成装置100は、シートに対し表裏見当用のテストパターン820(
図6(a)、(b)参照)を形成する。また、表裏見当処理において、調整ユニット400の表裏見当部700(
図1参照)は、画像形成装置100から搬送されたシートの読み取りを行って読取結果を画像形成装置100にフィードバックする。画像形成装置100は、調整ユニット400からのフィードバックに基づいて、幾何調整値の調整(補正)を行う。
【0059】
具体的には、本実施の形態に係る画像形成装置100は、表裏見当処理が開始されると、まず表裏見当処理の対象として指定されたシートを収納しているシート収納庫113からシート1を給送する。その後、画像形成装置100は、画像形成エンジン102によって、シート面の四隅付近に長方形のパッチ画像が配置されたテストパターン820(
図6(a)、(b)参照)をシート1の両面に形成する。テストパターン820の形成を行った後、画像形成装置100は、シート1を調整ユニット400に向けて排出する。なお、テストパターンは、複数の長方形のパッチ画像から構成されているものに限定されず、複数の正方形のパッチ画像から構成されていてもよい。また、テストパターンは、裁ち落とし位置目印あるいは折り位置目印である所謂トンボマークから構成されていてもよいし、他の形状の画像から構成されていてもよいし、これらの組合せであってもよい。また、テストパターンの色や濃度は均一であるものに限定されず、テストパターンは、複数色、複数濃度のパッチ画像を含んでいてもよい。
【0060】
画像形成装置100からシート1を受け取ると、調整ユニット400は、シート1を各搬送ローラ対によって搬送しながら、CIS701,702(
図4参照)によってシート1の表面及び裏面をライン画像として読み取る。そして、読み取ったライン画像を調整ユニット400の画像処理部460(
図2参照)が副走査方向(シート1の搬送方向)につなぎ合わせることにより、テストパターン820を含むシート1の表面及び裏面の画像データが合成される。このように、調整ユニット400は、CIS701,702によって搬送されるシートを読み取る際、テストパターン820の画像情報を読み取っている。
【0061】
調整ユニット400の画像処理部460(
図2参照)は、シート1の輪郭及びシートに形成されたパッチ画像の輪郭、並びにこれらの位置関係を特定する。具体的には、合成された画像データから、シート1の表面及び裏面について、角部座標及びテストパターン820の各パッチ画像の座標を特定する。
図6(a)、(b)に示すように、シート1の角部座標とは、X軸を主走査方向とし、Y軸を副走査方向としたときの、シート1の4つの角部の位置{(X01,Y01)~(X31,Y31),(X02,Y02)~(X32,Y32)}を表す。また、テストパターン820の座標とは、角部の座標と同じ座標系における、パッチ画像の特定部位の位置{(X41,Y41)~(X71,Y71),(X42,Y42)~(X72,Y72)}を表す。
【0062】
シート1の角部座標からは、シートの主走査方向の長さ(短辺長さ)(A)及び副走査方向の長さ(長辺長さ)(B)及び角部の直角度等を幾何的に算出可能であるため、角部座標は、シート1の輪郭(外形)に関する情報を含んでいるといえる。また、角部座標及びテストパターン820の座標からは、シートの輪郭に対する画像の位置ずれや歪みを幾何的に算出可能であるため、角部座標及びテストパターン820の座標は、シートに対する画像の位置及び歪みに関する情報を含んでいるといえる。
【0063】
画像処理部460は、更にシート1の角部座標とテストパターン820の座標とを用いて、このシート1に対する幾何調整値を決定(算出)する。例えば、画像処理部460は、幾何調整値として、リード位置、サイド位置、主走査倍率、副走査倍率を決定する。リード位置とは、シート1に対する副走査方向の画像位置を規定するパラメータである。サイド位置とは、シート1に対する主走査方向の画像位置を規定するパラメータである。主走査倍率とは、画像データを主走査方向に拡大又は縮小する倍率を規定するパラメータである。また、副走査倍率とは、画像データを副走査方向に拡大又は縮小する倍率を規定するパラメータである。幾何調整値は、画像形状の補正を行った場合に、テストパターン820からシートの端部までの距離(
図6(a)、(b)の(C)~(J))が予め設定された値と等しくなるように決定される。
【0064】
なお、ここでは幾何調整値としてリード位置・サイド位置・主走査倍率・副走査倍率の4つのパラメータを挙げたが、画像処理部460が他のパラメータを算出するようにしてもよい。他のパラメータとしては、例えば、画像の直角性の補正を行うためのパラメータ、画像の台形補正を行うためのパラメータ、シートに対する画像の回転角度を規定するパラメータ等が考えられる。
【0065】
画像処理部460で決定された幾何調整値は、通信部450を通じて画像形成装置100のプリンタコントローラ103に送られてシートライブラリ900に登録される。画像形成装置100が画像形成ジョブを実行する場合、画像形状補正部320は、シートライブラリ900を参照して記録材として指定されているシートのシート情報910,911,912,…(
図5参照)及び幾何調整値を取得する。そして、画像形状補正部320は、取得したシートの幾何調整値に基づいて画像データを補正する。シートの表面及び裏面の画像データが補正されることにより、シートの表裏見当が行われる。
【0066】
なお、ここではユーザからの明示的な指示に基づいて表裏見当用のテストパターン820が形成されて、調整ユニット400が幾何調整値を取得する場合を説明したが、これに限定されない。例えば、画像形成ジョブが投入された場合に、ジョブを実行する前の準備動作として、ジョブで指定されたものと同一のシートに対してテストパターン820を形成して幾何調整値を取得するようにしてもよい。また、大量の成果物を要求する画像形成ジョブの実行中に、一定枚数の成果物を出力する度にテストパターン820を形成するジョブを自動的に挿入して補正(キャリブレーション)を行うようにしてもよい。また、調整ユニット400がシートの読み取りを行う目的としては、幾何調整値を取得してシートに対する画像の位置ずれや歪みを補正することに限定されない。例えば、調整ユニットは、シートに対する画像の位置ずれや歪みが所定値以内に収まっていることを監視するために、連続的に搬送される成果物の画像が形成されたシートの読み取り(シートからの画像情報の読み取り)を行うようにしてもよい。
【0067】
[制御方法]
以上のように構成された画像形成システム100Sにおいて、調整ユニット400でシートの搬送や読み取りを行う際の制御方法について、
図2、
図7及び
図8を参照して説明する。
【0068】
以下の説明において、画像形成ジョブの内、成果物の出力を要求するものであって調整ユニット400がシートの読み取りを行わないジョブを「通常ジョブ」とする。また、画像形成ジョブの内、表裏見当を行うために調整ユニット400がCIS701,702(
図4参照)によってシートの読み取りを行うジョブを「表裏見当ジョブ」とする。なお、通常ジョブは、外部I/F303(
図2参照)を介して外部のコンピュータから入力された場合、及び操作部180を介してユーザが複写動作の開始を指令した場合等に、プリンタコントローラ103に投入される。また、表裏見当ジョブは、上述したように、ユーザの明示的な指令によって実行される場合と、画像形成システム100Sが自発的に実行する場合とがあり得る。
【0069】
画像形成ジョブの開始にあたり(S1)、プリンタコントローラ103はジョブが通常ジョブ及び表裏見当ジョブのいずれであるかを判別する(S2)。通常ジョブの場合(S2:Y)、画像形成装置100及び調整ユニット400は、シートの搬送に関与する部材(例えば、フラッパ等)をデフォルトの位置(ホームポジション)で待機させる。例えば、調整ユニット400は、シートをスルーパス430(
図8(a)参照)に沿って第1排出口442へ案内するための位置に切替フラッパ422を位置決めする(S4)。つまり、
図8(a)に示すように、切替フラッパ421は上方位置に保持される。
【0070】
画像形成装置100は、画像形成ジョブによって出力することを要求された画像データに従ってシート1に画像を形成し(S5)、調整ユニット400は、画像が形成されたシート1を受け取る(S6)。すると、
図8(a)、(b)に示すように、調整ユニット400は、シート1を各搬送ローラ対によって順に受け渡し、スルーパス430を通過させる。そして、調整ユニット400は、シート1を出口搬送ローラ対405によって第1排出口442からフィニッシャ600(
図1参照)に排出する(S7)。フィニッシャ600は、シート1を受け取ると、シート1に処理部601で処理を施して、処理が施されたシートを積載トレイ602に成果物として積載する。
【0071】
表裏見当ジョブの場合(S3:N)、調整ユニット400は、シートを排出パス432(
図9(a)参照)へ案内するための位置に切替フラッパ421を位置決めする(S10)。つまり、
図9(a)に示すように、切替フラッパ422は下方位置に保持される。
【0072】
画像形成装置100は、表裏見当用のテストパターン820(
図6(a)、(b)参照)をシートの両面に形成し(S11)、調整ユニット400は、テストパターン820が形成されたシートを受け取る(S12)。調整ユニット400は、スルーパス430に搬入されたシート1を、CIS701,702の読取位置P1,P2(
図4参照)を通過させる際、CIS701,702によってシート1の読み取りを行う(S13、
図9(a)、(b))。なお、シート上のテストパターン820がCIS701の読取位置P1に到達する前に、調整ユニット400の制御部451は、シート1の搬送速度をCIS701,702の読み取りに適した搬送速度まで減速するようにしてもよい。
【0073】
CIS701,702が読み取った画像データは画像処理部460によって処理され、幾何調整値が算出される。算出された幾何調整値は、通信部450を介して画像形成装置100に送信され、シートライブラリ900に格納される(S14)。
【0074】
読取位置P1,P2を通過したシート1がスルーパス430から排出パス432への分岐部431に到達すると、調整ユニット400は、切替フラッパ422に案内されたシート1を排出パス432に沿って第2排出口443へ向けて搬送する。調整ユニット400は、排出パス432に沿って搬送したシート1を、第2排出口443から排出トレイ423に排出する(S15)。このように、本実施の形態の調整ユニット400は、表裏見当部700で画像が読み取られたシートをフィニッシャ600ではなく排出トレイ423に排出可能となっている。これにより、例えば、大量の成果物を要求する画像形成ジョブの実行中に、成果物としてのシートとは別の表裏見当を行うためのシートを挿入する場合においても、成果物に表裏見当用のシートが混入することを防止できる。
【0075】
以上の処理は、ジョブで指定されたシート枚数の各シートに対して繰り返し実行され、最終シートに対する処理が完了した後(S8:Y)、ジョブが終了する(S9)。なお、
図7に示す制御例では同一ジョブの処理中に、シート毎にジョブの種類を判別しているが、ジョブの開始時に種類を判別し、ジョブの処理中は判別を行わずに前のシートと同じ処理を適用するようにしてもよい。また、
図7に示す制御例では、表裏見当を行うジョブにおいてシートの読み取り後にシートを排出トレイ423へ排出しているが、これに限定されない。画像形成システムは、表裏見当を行うジョブにおいてシートの読み取り後にシートをフィニッシャに排出する制御を実行可能であってもよい。例えば、画像形成装置が成果物の画像と余白に配置されるテストパターンとをシートに形成し、調整ユニットが当該シートを読み取った後でフィニッシャに排出し、フィニッシャがテストパターンと共に当該シートの余白を裁断するようにしてもよい。
【0076】
[表裏見当部及び入口搬送ローラ対の詳細]
次に、表裏見当部700及び入口搬送ローラ対401の詳細について説明する。一般に、上述したシートの裁断精度(画像形成前のシートの裁断精度)は、シートの材質、周囲環境(温度、湿度)等による影響を受けるため、シートの裁断ロットによって変化する。調整ユニット400等の画像読取装置において高精度な読取結果を得るためには、シートの裁断ロット毎に複数枚のシートの読み取りを行い、平均化した読取結果に基づいて表裏見当を行うことが望ましい。
【0077】
このような表裏見当の作業効率を向上させる構成としては、本実施の形態の画像形成システム100Sのように、画像形成からシートの読み取りまでを連続して行う構成が考えられる。しかしながら、画像形成プロセスの高速なシート搬送速度に合わせてシートの読み取りを行うためには、読み取りの際に十分な光量の確保が重要であり、光量を確保するためには光源や光源を有するCIS等が大型化しやすく、装置の小型化が難しかった。
【0078】
また、一般に、画像が形成されたシートを大きな曲率の搬送路に沿って搬送すると、シートに反りが発生する場合があるため、画像形成後のシートは、直線状の搬送路に沿って搬送されることが望ましい。しかしながら、直線状の搬送路に沿って搬送されるシートを読み取り可能な画像読取装置においては、この直線状の搬送路に沿って各搬送ローラ対や読み取りを行うセンサ等を配置しなければならず、装置の小型化がより難しかった。
【0079】
このような課題を解決するため、本実施の形態の表裏見当部700は、シート検出センサS700及び上流搬送ローラ対402を好適な配置とすることにより、装置の小型化を図っている。以下、装置の小型化を図るための表裏見当部700の具体的な構成について説明する。
【0080】
図10及び
図11に示すように、本実施の形態の上流搬送ローラ対402の駆動ローラ402aは、搬送モータ452によって回転駆動される駆動軸402a3と、駆動軸402a3に支持された第1回転部402a1及び第2回転部402a2と、を有する。駆動軸402a3は、主走査方向に沿って形成されており、第1回転部としての第1回転部402a1と、第2回転部としての第2回転部402a2と、を駆動軸402a3の回転方向に位置決めしている。駆動軸402a3、第1回転部402a1及び第2回転部402a2は、回転軸線C2を中心として一体的に回転する。
【0081】
第1回転部402a1及び第2回転部402a2は、互いに同一径かつ主走査方向に沿った長さが略同一の円筒状に形成されており、第2回転部402a2は、第1回転部402a1に対して主走査方向の一方側(
図10に示すX1方向側)に配置されている。一方で、上流搬送ローラ対402の従動ローラ402bは、主走査方向に延在する従動軸402b2と、この従動軸402b2に対して回転自在に支持された回転部402b1と、を有している。回転部402b1は、主走査方向におけるニップ部(上流ニップ部N2)の一端から他端までが同一径の円筒状に一体的に形成されている。言い換えると、回転部402b1は、第1上流ニップ領域N2aと第2上流ニップ領域N2bとの間に亘って回転軸線C1方向に連続して延設されており、従動ローラ402bは、所謂通しローラとなっている。
【0082】
第1回転部402a1と従動ローラ402bとの間には、シートを挟持する第1上流ニップ領域N2aが形成され、第2回転部402a2と従動ローラ402bとの間には、シートを挟持する第2上流ニップ領域N2bが形成されている。言い換えると、駆動ローラ402aと従動ローラ402bとの間に形成された上流ニップ部N2は、シートを挟持する第1ニップ領域としての第1上流ニップ領域N2aと、第2ニップ領域としての第2上流ニップ領域N2bと、を有している。
【0083】
第2回転部402a2は、第1回転部402a1に対して主走査方向に間隙を存して配置されている。これにより、第1回転部402a1と第2回転部402a2との間には、回転軸線C2を中心とする径方向の寸法(半径)が第1回転部402a1及び第2回転部402a2よりも小さい凹部402a4が形成されている。言い換えると、上流ニップ部N2は、第1上流ニップ領域N2aと第2上流ニップ領域N2bとの間にて、駆動ローラ402aが外面(円筒面)から回転軸線に向けて凹んでシートを挟持しない凹部領域N2cを有している。また、第1回転部402a1及び第2回転部402a2は、主走査方向に沿った長さが略同一であるため、凹部402a4(凹部領域N2c)は、駆動ローラ402aの主走査方向における中央部402a5に形成されている。
【0084】
上述したシート検出センサS700は、このような駆動ローラ402aの凹部402a4に対し、一部が入り込むように配置されている。言い換えると、シート検出センサS700は、主走査方向から視て、回転軸線C1方向において一部が駆動ローラ402aの凹部402a4と重なるように配置されている(
図4参照)。また、言い換えると、シート検出センサS700は、主走査方向から視て、第1回転部402a1と第2回転部402a2との間で、回転軸線C1方向において一部が第1回転部402a1及び第2回転部402a2と重なるように配置されている。
【0085】
これにより、本実施の形態の調整ユニット400は、上流搬送ローラ対の駆動ローラが通しローラである場合よりも、シート検出センサS700を駆動ローラ402aの回転軸線C2と近い位置に配置することが可能となり、装置の小型化が可能となる。また、これにより、上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2と、中間搬送ローラ対403の中間ニップ部N3と、の搬送方向Y2における距離L2を短縮することが可能となり、より小さいサイズのシートを含む多様なサイズのシートを搬送可能となる。
【0086】
なお、本実施の形態の上流搬送ローラ対402の駆動ローラ402aは、駆動軸402a3、第1回転部402a1、第2回転部402a2を有し第1回転部402a1と第2回転部402a2との間に凹部402a4が形成されているがこれに限定されない。上流搬送ローラ対402は、駆動ローラ402a及び従動ローラ402bの少なくとも一方が、凹部を有していればよい。例えば、駆動ローラ402aが、駆動軸と、駆動軸に支持された1つの回転部と、を有し、当該回転部の主走査方向の一部(例えば、中央部)において他の部分よりも径方向の寸法が小さい凹部を有していてもよい。
【0087】
また、従動ローラ402bが凹部を有しており、従動ローラ402bの凹部に入り込むようにシート検出センサS700が配置されていてもよいし、従動ローラ402bが駆動ローラ402aよりも上方に配置されていてもよい。また、駆動ローラ402aと従動ローラ402bとの両方が凹部を有していてもよい。また、シート検出センサS700は、回転軸線方向から視て、少なくとも一部が駆動ローラ402a又は従動ローラ402bに形成された凹部と重なっていればよい。言い換えると、シート検出センサS700は、少なくとも一部が凹部に入り込むように配設されていればよい。例えば、シート検出センサS700と凹部との一部同士が重なっていてもよいし、凹部の一部とシート検出センサS700の全部とが重なっていてもよい。
【0088】
ところで、本実施の形態の駆動ローラ402aのように、凹部が形成されたローラを有するローラ対のニップ部には、凹部に対応する位置にシートを挟持しない凹部領域が形成される。
図12(a)に示すように、このようなローラ対によって搬送されるシートは、一部(本実施の形態ではシートの幅方向の中央部)が凹部に入り込むようにして、幅方向にしわや撓み(波打ち)が発生する場合がある。特に、薄紙等、剛性が低いシートを搬送する場合、シートにしわや撓みが発生しやすい。また、撓みが形成された状態で搬送されるシートの読み取りを行う場合、十分な読取精度を得ることが難しい。
【0089】
このため本実施の形態の調整ユニット400は、入口搬送ローラ対401を好適な構成とすることで、上流搬送ローラ対402の凹部402a4でのシートのしわや撓みの抑制を図っている。以下、
図10乃至
図12を参照して、入口搬送ローラ対401の具体的な構成について説明する。
【0090】
図10、
図11及び
図12(b)に示すように、本実施の形態の入口搬送ローラ対401の駆動ローラ401aは、互いに主走査方向に間隙を存して配置され、それぞれが従動ローラ401bとの間で入口ニップ部N1の一部を形成する複数の回転部を有する。具体的には、駆動ローラ401aは、搬送モータ452によって回転駆動される駆動軸401a4と、駆動軸401a4に支持されている第1入口回転部401a1、第2入口回転部401a2及び第3入口回転部401a3と、を有している。駆動軸401a4は、主走査方向に沿って形成され、第1入口回転部401a1~第3入口回転部401a3を駆動軸401a4の回転方向に位置決めしている。駆動軸401a4、第1入口回転部401a1~第3入口回転部401a3は、回転軸線C1を中心として一体的に回転する。
【0091】
第1入口回転部401a1~第3入口回転部401a3は、互いに同径でかつ主走査方向に沿った長さが略同一の円筒状に形成されており、互いに主走査方向に間隙を存して配置されている。具体的には、第2入口回転部401a2は、第1入口回転部401a1よりも主走査方向の一方側(X1方向側)に配置されており、第3入口回転部401a3は、第2入口回転部401a2よりも主走査方向の一方側(X1方向側)に配置されている。なお、第1回転部~第3回転部の主走査方向に沿った長さは、互いに異なる長さとなっていてもよい。
【0092】
また、従動ローラ401bは、互いに主走査方向に間隙を存して配置された複数の回転部を有する。具体的には、従動ローラ401bは、主走査方向に延在する従動軸401cと、従動軸401cに回転自在に支持された第1従動回転部401b1、第2従動回転部401b2及び第3従動回転部401b3を有する。
【0093】
第1入口回転部401a1と第1従動回転部401b1との間には、シートを挟持する第1入口ニップ領域N1aが形成されている。第2入口回転部401a2と第2従動回転部401b2との間には、シートを挟持する第2入口ニップ領域N1bが形成されている。第3入口回転部401a3と第3従動回転部401b3との間には、シートを挟持する第3入口ニップ領域N1cが形成されている。言い換えると、駆動ローラ401aと従動ローラ401bとの間に形成された入口ニップ部N1は、シートを挟持する第1入口ニップ領域N1a、第2入口ニップ領域N1b及び第3入口ニップ領域N1cを有している。
【0094】
図12(b)に示すように、第1入口ニップ領域N1aと第3入口ニップ領域N1cとの間に配置されている第2入口ニップ領域N1bは、搬送方向Y2に視て、上流搬送ローラ対402の主走査方向の中央部402dと一部が重なる位置に配置されている。言い換えると、第2入口回転部401a2は、搬送方向Y2に視て、回転軸線C1方向において上流搬送ローラ対402の凹部402a4と一部が重なるように配置されている。また、言い換えると、入口搬送ローラ対401は、主走査方向と直交する方向から視て、回転軸線C1方向において上流ニップ部N2の凹部領域N2cと重なる領域401a5でシートを挟持するように入口ニップ部N1を形成している。入口搬送ローラ対401は、入口ニップ部N1にてシートが挟持搬送されることにより、凹部領域N2cと重なる領域401a5でのシートの撓みを抑制した状態で、上流ニップ部N2にシートを受け渡す。
【0095】
これにより、本実施の形態の調整ユニット400は、上流搬送ローラ対402が凹部402a4を有している場合であっても、搬送されるシートのしわや撓みを抑制し、表裏見当部700によるシートの読取精度を向上させることができる。なお、入口搬送ローラ対401は、主走査方向と直交する方向から視て、回転軸線C1方向において凹部領域N2cの一部と重なる領域でシートを挟持するように入口ニップ部N1を形成していてもよい。
【0096】
また、入口ニップ部N1の主走査方向における一端N1a1と他端N1c2との距離L5は、凹部402a4(凹部領域N2c)の主走査方向における長さL6よりも大きい。即ち、第1入口ニップ領域N1aの主走査方向における一端N1a1と第3入口ニップ領域N1cの主走査方向における他端N1c2との距離は、第1上流ニップ領域N2aの他端N2a2と第2上流ニップ領域N2bの一端N2b1との距離よりも大きい。これにより、入口搬送ローラ対401は、上流搬送ローラ対402がシートを挟持しない凹部領域N2cよりも広い領域でシートを挟持するので、凹部402a4でのシートの撓みを効果的に抑制し、シートの読取精度を向上させることができる。
【0097】
また、入口ニップ部N1の主走査方向における一端N1a1と他端N1c2との距離L5は、最大シート幅よりも小さい。したがって、距離L5は、上流ニップ部N2の主走査方向における一端N2a1と他端N2b2との距離L4よりも小さい。これにより、入口搬送ローラ対の駆動ローラ及び従動ローラの主走査方向における長さが最大シート幅よりも大きい場合と比較して、駆動ローラ401a及び従動ローラ401bの構成部品を小型化することができ、コストを削減することができる。
【0098】
また、上述したように、上流搬送ローラ対402の従動ローラ402bは、駆動ローラ402aよりも下方に配置されていると共に、通しローラとなっている。これにより、上流搬送ローラ対402は、搬送されるシートの幅方向における中央部を支持して、シートが凹部領域N2cにて重力によって下方に撓むことを防止し、シートの読取精度を向上させることができる。なお、本実施の形態における上流搬送ローラ対402は、駆動ローラ402aの下方に配置された従動ローラ402bが通しローラとなっているが、これに限定されない。上流搬送ローラ対402を構成する一対の回転体のうち、上方に配置された回転体の凹部によって形成された凹部領域の少なくとも一部の領域で、下方に配置された回転体がシートを支持可能であればよい。例えば、従動ローラ402bが互いに主走査方向に間隙を存して配置された複数の回転部を有し、これら複数の回転部のうちの一つが凹部領域でシートを支持可能であってもよい。
【0099】
以上説明したように、本実施の形態によれば、入口搬送ローラ対401は、主走査方向と直交する方向から視て、回転軸線C1方向において上流ニップ部N2の凹部領域N2cと重なる領域401a5でシートを挟持するように入口ニップ部N1を形成している。入口搬送ローラ対401は、この入口ニップ部N1にて挟持搬送された状態で、上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2にシートを受け渡す。これにより、搬送されるシートの凹部402a4でのしわや撓みを抑制し、シートの輪郭やシートに形成された画像の読み取りを行う際の読取精度を向上させることができる。また、画像の読取精度を向上させることにより、画像形成装置100においてシートに画像形成を行う際の画質を向上させることができる。
【0100】
また、駆動ローラ402aが凹部402a4を有していても読取精度を向上させることができるので、主走査方向から視て、回転軸線C1方向においてシート検出センサS700を凹部402a4と重なるように配置することで、装置の小型化が可能となる。また、これにより、より光量の大きな大型の光源を搭載可能となり、画像の読取速度を向上させることができる。また、小型化が可能となることで、画像の読み取りを行うスルーパス430を直線状に形成しやすくなる。スルーパス430を直線状に形成することで、成果物であるシートの読み取り後に当該シートをフィニッシャに排出する場合においてもシートに反りが発生しにくく、成果物の品質を向上させることができる。また、スルーパス430を直線状に形成することで、読み取りやシートの搬送に必要な時間を短縮して、作業効率を向上させることができる。また、小型化が可能となることで、より小さいサイズのシートを含む多様なサイズのシートを搬送することが可能となる。
【0101】
なお、シート搬送路(パス)が直線状に形成されている、とは、シート搬送路が完全な直線に沿って形成されているもののみに限定されない。受入口から排出口に向けて形成されて読取手段が配置されるシート搬送路は、概ね直線に沿って形成されていればよい。例えば、シート搬送路は、回転軸線方向から視て、所定の仮想直線からの距離がいずれかの回転体(ローラ)の直径以下(好ましくは半径以下)となる範囲内に収まるように形成されていてもよい。また、例えば、シート搬送路は、回転軸線方向から視て、受入口から排出口までシートが搬送される方向の変化が最大で30°以内となるように形成されていてもよい。このように、シートに反りが発生しない程度、僅かにシート搬送路を曲げることにより、読取位置での読取手段と搬送中のシートとの距離の変化を抑制することが可能となる。
【0102】
また、本実施の形態においては、画像読取装置として、表裏見当を行うためのテストパターン820やシートの輪郭を読み取る調整ユニット400について説明をしたが、これに限定されない。画像読取装置としては、挟持搬送されたシートの画像情報を読み取る読取手段を備えたものであればよく、シートの輪郭を読み取りするものでなくてもよいし、表裏見当を行うためのものでなくてもよい。例えば、画像読取装置としては、色味調整や濃度調整等を行うため、シートに形成されたテストパターン(画像)の色情報(濃度情報)を読み取る読取手段としてのカラーセンサを備えたものであってもよい。また、画像読取装置としては、一般的な画像や原稿等を読み取って内容を電子データに変換することを目的とした画像読取装置であってもよい。
【0103】
また、本実施の形態においては、入口搬送ローラ対401、上流搬送ローラ対402、中間搬送ローラ対403、下流搬送ローラ対404及び出口搬送ローラ対405は、いずれも搬送モータ452によって駆動されているが、これに限定されない。画像読取装置は、上述したローラ対の駆動手段として、これらのローラ対をそれぞれ独立して駆動可能な複数の搬送モータを備えていてもよい。
【0104】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、第1の実施の形態に対し、入口搬送ローラ対の構成が異なり、第1の実施の形態と同一の構成については説明を省略する。第1の実施の形態では、入口搬送ローラ対401の駆動ローラ401aは、互いに主走査方向に間隙を存して配置され、従動ローラ401bとの間で入口ニップ部N1を形成する3つの回転部を有しているが、これに限定されない。入口搬送ローラ対は、回転軸線と直交する方向から視て、回転軸線C1方向において上流搬送ローラ対402の上流ニップ部N2の凹部領域N2cと重なる領域でシートを挟持するようにニップ部を形成していればよい。例えば、
図13に示す第2の実施の形態の第1回転体対としての入口搬送ローラ対406のように、回転体としての駆動ローラ406aが406a1~406a7からなる7つの回転部を有していてもよいし、他の数の回転部を有していてもよい。
【0105】
また、この駆動ローラ406aとニップ部を形成する従動ローラは、駆動ローラ406aと同数の回転部を有していてもよいし、異なる数の回転部を有していてもよいし、通しローラとなっていてもよい。なお、主走査方向においてシートに与える搬送力が偏らないようにするため、入口搬送ローラ対の駆動ローラ及び従動ローラの回転部の数は、奇数であることが望ましい。また、入口搬送ローラ対は、駆動ローラと従動ローラとの間に形成されるニップ部の主走査方向における長さが、最大シート幅より大きいように形成されていてもよい。このように形成された場合、入口搬送ローラ対は、搬送されるシートのサイズに寄らず、主走査方向に均一な搬送力を与えることが可能となり、搬送されるシートの直進性を向上させることができる。
【0106】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態は、第1の実施の形態に対し、入口搬送ローラ対の構成が異なり、第1の実施の形態と同一の構成については説明を省略する。第1の実施の形態では、入口搬送ローラ対401は、駆動ローラ401aが3つの回転部を有し、入口ニップ部N1の主走査方向における長さが最大シート幅より小さいが、これに限定されない。例えば、
図14に示す第3の実施の形態の第1回転体対としての入口搬送ローラ対407のように、回転体としての駆動ローラ407aの回転部407a1や従動ローラが通しローラであってもよい。即ち、入口搬送ローラ対407の駆動ローラ407aが、入口ニップ部N1の回転軸線方向における一端から他端に亘り同一径の円筒状に一体的に形成され、従動ローラとの間でニップ部を形成する回転部407a1を有していてもよい。また、入口搬送ローラ対407の従動ローラは、通しローラであってもよいし、複数の回転部を有していてもよい。
【0107】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態は、第1の実施の形態に対し、入口搬送ローラ対の構成が異なり、第1の実施の形態と同一の構成については説明を省略する。第1の実施の形態では、入口搬送ローラ対401の駆動ローラ401aは、互いに主走査方向に間隙を存して配置され、従動ローラ401bとの間で入口ニップ部N1を形成する3つの回転部を有しているが、これに限定されない。例えば、
図15に示す第4の実施の形態の第1回転体対としての入口搬送ローラ対408のように、回転体としての駆動ローラ408aや従動ローラが、最大シート幅よりも短い入口ニップ部を形成する1つの回転部によって構成されていてもよい。即ち、最大シート幅よりも短い入口ニップ部の主走査方向における一端から他端に亘り同一径の円筒状に一体的に形成された回転部408a1を有していてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1…シート/100…画像形成装置/100S…画像形成システム/102…画像形成部(画像形成エンジン)/400…画像読取装置(調整ユニット)/401…第1回転体対(入口搬送ローラ対)/401a…回転体(駆動ローラ)/401a1…回転部(第1入口回転部)/401a2…回転部(第2入口回転部)/401a3…回転部(第3入口回転部)/401a5…領域/401b…回転体(従動ローラ)/402…第2回転体対(上流搬送ローラ対)/402a…第2回転体(駆動ローラ)/402a1…第1回転部/402a2…第2回転部/402a4…凹部/402b…第1回転体(従動ローラ)/402b1…回転部/406…第1回転体対(入口搬送ローラ対)/406a…回転体(駆動ローラ)/406a1…回転部/406a2…回転部/406a3…回転部/406a4…回転部/406a5…回転部/406a6…回転部/406a7…回転部/407…第1回転体対(入口搬送ローラ対)/407a…回転体(駆動ローラ)/407a1…回転部/408…第1回転体対(入口搬送ローラ対)/408a…回転体(駆動ローラ)/408a1…回転部/423…シート積載手段(排出トレイ)/430…第1シート搬送路(スルーパス)/432…第2シート搬送路(排出パス)/441…受入口/442…第1排出口(排出口)/443…第2排出口/701…第1読取手段(CIS)/702…第2読取手段(CIS)/C1…回転軸線/L1…距離/L4…距離/L5…距離/L6…長さ/N1…第1ニップ部(入口ニップ部)/N1a1…一端/N1c2…他端/N2…第2ニップ部(上流ニップ部)/N2a…第1ニップ領域(第1上流ニップ領域)/N2a1…一端/N2b…第2ニップ領域(第2上流ニップ領域)/N2b2…他端/N2c…凹部領域/S700…検出手段(シート検出センサ)/Y2…搬送方向