IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-像加熱装置及び画像形成装置 図1
  • 特許-像加熱装置及び画像形成装置 図2
  • 特許-像加熱装置及び画像形成装置 図3
  • 特許-像加熱装置及び画像形成装置 図4
  • 特許-像加熱装置及び画像形成装置 図5
  • 特許-像加熱装置及び画像形成装置 図6
  • 特許-像加熱装置及び画像形成装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】像加熱装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020079239
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021173924
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 征児
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-054071(JP,A)
【文献】特開2004-047177(JP,A)
【文献】特開2018-054898(JP,A)
【文献】特開2018-025660(JP,A)
【文献】特開2009-037133(JP,A)
【文献】特開2019-207379(JP,A)
【文献】特開2020-060677(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0111457(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転体と、
前記第1の回転体と接触し、前記第1の回転体との間に記録材を挟持するニップ部を形成する第2の回転体と、
前記第1の回転体の内部に配置され、前記ニップ部に挟持された記録材に形成された画像を加熱するためのヒータを有するヒータユニットと、
前記ヒータの一部に重なるように配置され、前記ヒータと電気的に接続される導電性のシート部材と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体を回転駆動するための駆動部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記ヒータの長手方向における一方の端部に接続される第1のシート部材と、前記ヒータの他方の端部に接続される第2のシート部材と、を含み、
前記第1のシート部材は、前記ヒータの前記一方の端部から前記長手方向と交差する方向に延伸し、
前記第2のシート部材は、前記ヒータの前記他方の端部から前記長手方向に延伸し、
前記駆動部材は、前記長手方向において、前記ヒータの前記一方の端部側に配置されることを特徴とする像加熱装置。
【請求項2】
前記ヒータユニットは、前記ヒータを保持するヒータ保持部材をさらに有し、
前記ヒータ保持部材は、前記一方の端部側において、前記ヒータが前記長手方向に突き当てられる突き当て部を有することを特徴とする請求項1に記載の像加熱装置。
【請求項3】
前記第1のシート部材が延伸する方向は、前記長手方向と直交する方向であることを特徴とする請求項1または2に記載の像加熱装置。
【請求項4】
前記長手方向は、前記ニップ部における前記記録材の搬送方向と直交する方向であることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項5】
前記第1の回転体は、内面に前記ヒータユニットが接触する筒状のフィルムであることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項6】
前記ヒータは、前記ニップ部における前記記録材の搬送方向と直交する方向を長手方向とする基板と、前記基板に前記長手方向に並ぶ複数の発熱抵抗体と、を有することを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の像加熱装置。
【請求項7】
前記記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された画像を前記記録材に定着させる定着部と、
を備え、
前記定着部が、請求項1~のいずれか1項に記載の像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の電子写真記録方式の画像形成装置に搭載される定着装置や、記録材に定着されたトナー画像を再度加熱することによりトナー画像の光沢度を向上させる光沢付与装置、などの像加熱装置に関する。特に、像加熱装置の一例としての定着装置において、加熱定着に用いるヒータの温度検知構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の像加熱装置の一例である、複写機やプリンタ等の画像形成装置に搭載する定着装置は、熱を記録材に伝達する円筒状のフィルムと、セラミック製の基板上に発熱抵抗体を有してフィルムの内面に接触するヒータと、フィルムを介してヒータと共にニップ部を形成するローラとを有する構成を備えている。そして、一方のローラ端部に設けたギア等の駆動手段によってローラが回転駆動されフィルムがヒータと摺動しながら従動回転する。ヒータは、ヒータの長手方向に発熱領域が分割され、それぞれ独立に温度調節可能に構成されたものがある。そのような定着装置において、発熱領域毎に温度検知素子としてのサーミスタを形成し、発熱領域毎に温度を検知する構成が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-054071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載の構成において、各温度検知素子は導電体を介してヒータ長手端部で電気接点を持ち、電線によって制御基板に接続される。この電線に、仮にFPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Flat Cable)といったフレキシブルシートを用いる。そして、電気接点を半田付けすることで温度検知素子やヒータと、フレキシブルシートとを接続する。このようにフレキシブルシートを用いることで、電線のはい回しのしやすさから定着装置の組立性が向上する効果が見込まれる。
【0005】
フレキシブルシートをヒータ端部の電気接点から制御基板に向けて延伸する方向はヒータの長手方向と同じ方向にすることが一般的である。しかしながら、一方のローラ端部には駆動手段を配置しているため、フレキシブルシートと駆動手段を接触させないために、駆動手段をヒータ端部、及びフレキシブルシートから離す必要がある。その場合、定着装置がヒータ長手方向に大きくなり装置の大型化やコストアップが懸念される。
【0006】
また、円筒状のフィルム内部にフレキシブルシートを接続したヒータや支持部品などを挿入する際にフィルム内部とフレキシブルシートが接触し損傷する懸念がある。
【0007】
本発明の目的は、装置を大型化することなく、ヒータに接続したフレキシブルシート等のシート部材やフィルムの損傷を防止することができる構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の像加熱装置は、
第1の回転体と、
前記第1の回転体と接触し、前記第1の回転体との間に記録材を挟持するニップ部を形成する第2の回転体と、
前記第1の回転体の内部に配置され、前記ニップ部に挟持された記録材に形成された画像を加熱するためのヒータを有するヒータユニットと、
前記ヒータの一部に重なるように配置され、前記ヒータと電気的に接続される導電性のシート部材と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体を回転駆動するための駆動部材と、
を備え、
前記シート部材は、前記ヒータの長手方向における一方の端部に接続される第1のシート部材と、前記ヒータの他方の端部に接続される第2のシート部材と、を含み、
前記第1のシート部材は、前記ヒータの前記一方の端部から前記長手方向と交差する方向に延伸し、
前記第2のシート部材は、前記ヒータの前記他方の端部から前記長手方向に延伸し、
前記駆動部材は、前記長手方向において、前記ヒータの前記一方の端部側に配置されることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、
前記記録材に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部によって形成された画像を前記記録材に定着させる定着部と、
を備え、
前記定着部が、本発明の像加熱装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、装置を大型化することなく、ヒータに接続したフレキシブルシート等のシート部材やフィルムの損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明を適用可能な画像形成装置の概要を示す断面図
図2】本発明の実施例に係る定着ニップ構成を示す断面図
図3】本発明の実施例に係る定着ニップ構成を示す斜視図
図4】本発明の実施例に係るヒータ構成を示す図
図5】ヒータをヒータ保持部材に固定した状態の斜視図
図6】ヒータユニットをフィルムに挿入する際の様子を示す斜視図
図7】本発明の実施例に係る定着装置の概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0012】
(実施例1)
<画像形成装置の概要>
図1は、本実施例における電子写真方式の画像形成装置の例示的な構成図(縦断面図)である。本発明が適用可能な画像形成装置としては、電子写真方式や静電記録方式を利用したプリンタ、複写機などが挙げられ、ここではレーザプリンタに適用した場合について説明する。
【0013】
プリンタ1の下部には、カセット2が引き出し可能に収納されている。そして、プリンタ1の右側には手差し給送部3が配設されている。カセット2、手差し給送部3にそれぞれ記録材Pを積載収容し記録材Pを1枚毎に分離し、レジストローラ4に給送するようになっている。プリンタ1はイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応する画像形成ステーション5Y、5M、5C、5Kを、横一列に並設している画像形成部5を備え
ている。
【0014】
画像形成部5には、像担持体である感光ドラム6Y、6M、6C、6K(以後、感光ドラム6で統一)、感光ドラム6の表面を均一に帯電する帯電装置7Y、7M、7C、7Kが配設されている。画像情報に基づいてレーザービームを照射して感光ドラム6上に静電潜像を形成するスキャナユニット8、静電潜像にトナーを付着させてトナー像として現像する現像装置9Y、9M、9C、9Kも配設されている。更に、感光ドラム6上のトナー像を静電転写ベルト10に転写する一次転写部11Y、11M、11C、11K(以後、一次転写部11で統一)が配設されている。一次転写部11でトナー像が転写された転写ベルト10のトナー像は、二次転写部12で記録材Pに転写される。その後、その転写画像は定着部(像加熱部)としての定着装置(像加熱装置)100を通過する際に、加熱ユニット101と、加熱ユニット101に圧接する加圧ローラ102とにより、加熱されながら挟持搬送され、記録材Pに定着される。その後、両面フラッパ13によって任意に搬送路が切り替えられ、排紙ローラ対14、反転ローラ対15のどちらかに搬送される。反転ローラ対15側に搬送された記録材Pは、所定のタイミングで反転ローラ対15で反転搬送して、再度レジストローラ4、二次転写部12、定着装置100を通過した後、排紙ローラ対14側に搬送され両面印刷される。最後に記録材Pは排紙ローラ対14を通過後、記録材P積載部16に排出される。
【0015】
なお、画像形成装置として感光ドラム6を複数備えたフルカラーレーザービームプリンタを取り上げたが、感光ドラム6を一つ備えたモノクロの複写機やプリンタに搭載する定着装置にも適用することができる。
【0016】
<定着装置>
図2図3を用いて、本発明の実施例に係る定着装置(像加熱装置)100について説明する。図2は、加熱ユニット101と加圧ローラ102からなる定着ニップ部の構成を示す模式的断面図であり、図3は、当該ニップ部の構成を示す概略斜視図である。加熱ユニット101は、概略、第1の回転体としての筒状のフィルム103と、フィルム103の内面に摺動接触するヒータユニット111と、から構成される。
【0017】
ヒータユニット111は、フィルム103の内面と摺動層207にて接触するヒータ200と、ヒータ200を保持するヒータ保持部材105と、金属製のステイ部材104と、ステイ部材104に取り付けられフィルム両端を回転自在に支持するフランジ部材109と、を有する。ヒータ200は、フィルム103とは基板201を挟んだ反対側(以下、裏面と称する)に第1の発熱抵抗体202a、第2の発熱抵抗体202bを含む発熱体を有し、基板201と摺動層207とを介してフィルム103に熱を伝える。
【0018】
第2の回転体としての加圧ローラ102は、金属性の芯金部とシリコンゴム等からなる弾性層を有し、ゴム層で定着ニップを形成する。ヒータ保持部材105は、不図示の加圧手段によってステイ部材104とフランジ部材109を介して加圧ローラ102方向に付勢されている。
【0019】
すなわち、加熱ユニット101が加圧ローラ102に付勢されており、加熱ユニット101と加圧ローラ102によって搬送された記録材Pを挟持する定着ニップ部が形成される。加圧ローラ102は、不図示の駆動手段によって加圧ローラ102端部に設けた駆動部材108が回転駆動され、加圧ローラ102の回転に伴いフィルム103が回転方向Rに駆動される。
【0020】
<ヒータ>
図4を用いて、本実施例におけるヒータの特徴について説明する。図4(A)は、ヒー
タ200の短手方向(記録材Pの搬送方向と垂直方向)の1断面を示している。ヒータ200は、記録材Pの搬送方向に直交する方向を長手方向とするセラミック製の基板201上の通電層に設けられた第1の発熱抵抗体202aと第2の発熱抵抗体202bによって加熱される。通電層には、第1導電体203と第2導電体204がヒータ長手方向に沿って設けられる。第1導電体203は記録材Pの搬送方向上流側と下流側にそれぞれ203aと203bとに分岐している。第2導電体204は第1の発熱抵抗体202aと第2の発熱抵抗体202bとの間に設けられる。
【0021】
また、ヒータ200の裏面には2つの発熱抵抗体202a、bや導電体203、204を覆う絶縁性の保護層206が設けられている。ヒータ200がフィルム103と摺動する摺動面側には摺動性の良好なガラスやポリイミドなどのコーティングによる摺動層207が設けられている。
【0022】
図4(B)、(C)、(D)はヒータ200の各層((B)保護層、(C)通電層、(D)摺動層)における平面図を示している。ヒータ200は、通電層に第2導電体204と第1の発熱抵抗体202aおよび第2の発熱抵抗体202bを含む発熱ブロックがヒータ200の長手方向で複数並んでいる。本実施例のヒータ200においてはヒータ200の長手方向に沿って合計5つの発熱ブロックを有する。
【0023】
第1発熱ブロック202-1は、ヒータ200の短手方向に対称に形成された第1の発熱抵抗体202-1a及び第2の発熱抵抗体202-1b、第2導電体204の一部である204-1、後述の電極205-1で構成されている。また、第2~第5の発熱ブロック202-2~202-5も同様に構成されている。
【0024】
第1導電体203は、ヒータ200の長手方向に沿って設けられており、導電体203aと203bで構成されている。導電体203aは、各発熱ブロックの第1発熱抵抗体202-1a、202-2a、202-3a、202-4a、202-5aと接続する。導電体203bは、各発熱ブロックの第2発熱抵抗体202-1b、202-2b、202-3b、202-4b、202-5bと接続する。
【0025】
ここで、第1導電部としての導電体203aは、各発熱ブロックにおいて電極205C1と第1の発熱抵抗体202-1a~202-5aの図4(C)に示す上側端部とを電気的に接続する。また、第2導電部としての導電体203bは、各発熱ブロックにおいて電極205C2と第2の発熱抵抗体202-1b~202-5bの図4(C)に示す下側端部とを電気的に接続する。第2導電体204は各発熱ブロックとそれぞれ接続する204-1、204-2、204-3、204-4、204-5に分割されている。この204-1~5が、図4(B)に示す電極205-1~5と、第1の発熱抵抗体202-1a~202-5aの図4(C)に示す下側端部とを電気的に接続する。また、同様に電極205-1~5と第2の発熱抵抗体202-1b~202-5bの図4(C)に示す上側端部を電気的に接続しており、第3導電部となる。
【0026】
各電極205C1、205C2、205-1、205-2、205-3、205-4、205-5は、電力を第1の発熱抵抗体202aと第2の発熱抵抗体202bに供給するために保護層に設けられている。各電極205C1、205C2、205-1~205-5は、図4(B)に示す保護層206に設けられた開口部に配置され露出している。第1電気接点部としての電極205C1は、基板の長手方向一端付近に、第2電気接点部としての電極205C2は基板の長手方向他端付近にそれぞれ設けられている。これらの電極205C1及び電極205C2は、導電体203a及び導電体203bを介して5つの発熱ブロック202-1~202-5に電力を供給するための共通の電極である。一方、電極205-1~5は、それぞれの発熱ブロック202-1~5に電力を供給するための電
極である。そして、電極205C1と電極205C2の間に設けられた前述の電極205-1~5が各発熱ブロックにおける第3電気接点部に相当する。これらの電極に対して、電源に接続された接点部材300を、接触させ導通をとることで、導電体203aと導電体203bに対して互いに並列に接続している第1~5発熱ブロックに電力を供給する。
【0027】
ヒータ200の分割された発熱ブロック202-1~5への電力供給比率をそれぞれ変化させることにより記録材P幅サイズによって非通紙領域の端部昇温を抑制することができる。例えば発熱ブロック202-3に対応する幅をもった記録紙を定着する際に、発熱ブロック202-3の電力供給を維持し、他の発熱ブロックの電力供給を下げることにより、非通紙部領域の端部昇温を抑制できる。
【0028】
<温度検知構成>
図4(D)を用いて、本実施例における温度検知構成の特徴について説明する。ヒータ200の摺動面層には、温度検知素子としてのサーミスタTp1~Tp5、Ts1~Ts5が各発熱ブロックに配置されている。これらのサーミスタにより各発熱ブロックの温度を検知し、発熱ブロックに供給される電力の制御を行う。また、ヒータ200の摺動面層には各サーミスタと接続される導電体も形成されている。導電体EG1、EG2は、サーミスタTp1~Tp5、Ts1~Ts5の一端に接続され、制御回路のサーミスタ温度検知部のグランド電位に接続される。導電体ET1~ET5は、サーミスタTs1~Ts5にそれぞれ接続され、ヒータ200の長手方向の端部まで形成される。導電体EP1は、サーミスタTp1~Tp5の導電体EG1と接続していない方の端部に接続される。摺動面層207には保護ガラスがヒータ200の長手方向の端部を除いて構成されている。保護ガラスに覆われない各導電体の一部は、導電性のシート部材であるフレキシブルシート107と接続する電極となる。図4(E)は、フレキシブルシート107がヒータ端部の電極に接合された様子を示している。フレキシブルシート107には、サーミスタに接続された導電体と同様の導電体パターンEF1、EF2が形成されており、半田によってフレキシブルシート107がヒータの一部と重なるようにヒータ端部の接点に接合される(半田接合部EJ1、EJ2)。
【0029】
<ヒータに接合したフレキシブルシート延伸方向>
次に、本実施例の特徴となるヒータ200接合したフレキシブルシート107の延伸方向に関して説明する。
【0030】
図3に示すようにヒータ200に接合されたフレキシブルシート107は、駆動ギア配置側(以下、駆動側と称する)の第1のシート部材としてのフレキシブルシート107Aと、その反対側(以下、反駆動側と称する)の第2のシート部材としてのフレキシブルシート107Bと、から構成される。駆動側のフレキシブルシート107Aは、ヒータ200の長手方向一方の端部側に電気的に接続される。すなわち、フレキシブルシート107Aは、ヒータ200の一方の端部と一部重なるように配置され、ヒータ300の一方の端部と電気的に接続されるとともに、該一方の端部からヒータ長手方向に対して略直交方向に延伸している。また、反駆動側のフレキシブルシート107Bは、ヒータ200の長手方向他方の端部側に電気的に接続される。すなわち、フレキシブルシート107Bは、ヒータ200の他方の端部と一部重なるように配置され、ヒータ300の他方の端部と電気的に接続されるとともに、該他方の端部からヒータ長手方向と同じ方向に延伸している。ヒータ200はフィルム103を介して加圧ローラ102に近接しているため、駆動側のフレキシブルシート107Aを、ヒータ長手方向に延伸すると駆動ギア108と接触してしまう。また、駆動側のフレキシブルシート107Aをヒータ長手方向に延伸するために、これと接触しないように駆動ギア108をヒータ200やフレキシブルシート107から離して配置した場合、装置が大型化する。
【0031】
そのため、駆動側のフレキシブルシート107Aは、ヒータ長手方向に対して交差する方向に延伸している。尚、本実施例では、駆動側のフレキシブルシート107Aが略直交するように延伸しているが、同様の効果を得ることができる構成はこれに限定されるものではない。すなわち、駆動側のフレキシブルシート107Aの延伸方向を変化させる角度は、ヒータ長手方向と直交する方向に限定されるものではない。例えば、フレキシブルシート107が駆動ギア108に接触しないようにヒータ200に対して適度に交差する方向に延伸するように構成してよい。
【0032】
図5にヒータ200をヒータ保持部材105に固定した状態の上面図を示す。ヒータ200が記録材Pに対して位置がずれていると記録材P上のトナー像に対して加熱ユニット101の加熱領域がずれて、トナー像の一部が定着できなくなる。また、加熱領域と記録材Pの相対位置がずれていると加圧ローラ両端に温度差が生じて記録材Pを安定して搬送できない。そのため、ヒータ200は、長手方向両端の搬送方向下流側端部と、駆動側長手方向端部を、ヒータ保持部材105に設けた突き当て部105a、105b、105cに突き当て、ヒータ裏面とヒータ保持部材105の間にシリコンゴム製の耐熱接着剤を塗布して固定している。その時、ヒータ突き当て部105a、105b、105cがフレキシブルシート107に覆われていると突き当て部105a、105b、105cが見えず、ヒータ200をヒータ保持部材105に確実に突き当てることができない可能性がある。そのため、突き当て部105cは、フレキシブルシート107に覆われないようにフレキシブルシート107がヒータ長手方向に交差する方向に延伸する駆動側に設けている。突き当て部105cに、ヒータ200がヒータ長手方向(記録材Pの搬送方向と直交する方向)に突き当たることで、少なくとも、加熱領域のヒータ長手方向の位置決めが担保される。
【0033】
図6に、ヒータユニット111として内部部品をフィルム103に挿入する際の様子を概略的に示す。加熱ユニット101を組み立てる際には、フィルム103の内部(内筒部)にフレキシブルシート107を接合したヒータ200やヒータ保持部材105、ステイ部材104等の内部部品を挿入する。この時、ヒータ長手方向に交差する方向に延伸した駆動側のフレキシブルシート107Aからフィルム103内に挿入しようとすると、駆動側のフレキシブルシート107Aをフィルム103内部の断面積に収めるように折り曲げることが必要となる。その場合、フィルム103やフレキシブルシート107Aに折り目がつくなどして損傷してしまう。そのため、ヒータ長手方向に延伸している反駆動側のフレキシブルシート107Bから行うのが好適である。フィルム103の長手方向と反駆動側フレキシブルシート107Bの延伸方向とが同じ方向であるため、フィルム107の円筒形状に沿ってフレキシブルシート107Bを挿通し、損傷等を生じさせることなく挿入することができる。
【0034】
図7に示すように、ヒータユニット111がフィルム103に挿入された加熱ユニット101と、加圧ローラ102は、定着装置100の枠体100aに装着される。そして、駆動側、反駆動側にそれぞれ延伸した各フレキシブルシート107A、107Bは、枠体100aに配置した電気基板110に電気的に接続される。
【0035】
このように駆動側のフレキシブルシート107Aは、駆動ギア108との接触防止やヒータ200をヒータ保持部材105に確実に突き当て固定するためにヒータ長手方向に交差する方向に延伸している。また、反駆動側フレキシブルシート107Bは、フィルム103への挿入時の損傷を防止するためにヒータ長手方向に延伸している。これにより、定着装置の組立時において部品を損傷させることなく、装置の小型化を実現することができる。
【符号の説明】
【0036】
100…定着装置、101…加熱ユニット、102…加圧ローラ、103…フィルム、105…ヒータ保持部材、107…フレキシブルシート、111…ヒータユニット、200‥‥ヒータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7