IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トッパンTDKレーベルの特許一覧

<>
  • 特許-ラベル受け渡し装置 図1
  • 特許-ラベル受け渡し装置 図2
  • 特許-ラベル受け渡し装置 図3
  • 特許-ラベル受け渡し装置 図4
  • 特許-ラベル受け渡し装置 図5
  • 特許-ラベル受け渡し装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ラベル受け渡し装置
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/18 20060101AFI20240610BHJP
   B65C 9/26 20060101ALI20240610BHJP
   B65C 1/04 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B65C9/18
B65C9/26
B65C1/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020096070
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021102482
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2019233893
(32)【優先日】2019-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591186888
【氏名又は名称】株式会社トッパンインフォメディア
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(72)【発明者】
【氏名】高津 知央
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/150002(WO,A1)
【文献】特開2012-116490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/18
B65C 9/26
B65C 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セパレータを除去しつつラベルを繰り出すラベル供給部と、
前記ラベル供給部から供給された前記ラベルが載置されるラベル載置部と、
前記ラベルを吸着支持可能に構成され、前記ラベル載置部の上方に移動可能に設けられた吸着部と、
前記ラベル供給部から前記吸着部に至る経路の間に設けられた検査部と、
を備え、
前記ラベル載置部は、
前記ラベルの搬送方向に延び、前記搬送方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の搬送ベルトと、
前記幅方向における前記搬送ベルト間に設けられ、前記搬送方向に延びる複数の押し上げ板と、を有し、
前記複数の押し上げ板の上面は、前記搬送ベルトの上端よりも低い位置と前記搬送ベルトの上端よりも高い位置との間を移動可能に構成され、
前記検査部は、前記幅方向における前記搬送ベルト間に設けられ、前記搬送方向に延びる複数の第二押し上げ板を有し、
前記複数の第二押し上げ板の上面は、前記搬送ベルトの上端よりも低い位置と前記搬送ベルトの上端よりも高い位置との間を、前記複数の押し上げ板の上面と独立して移動可能に構成されている、
ラベル受け渡し装置。
【請求項2】
前記幅方向における前記複数の押し上げ板の寸法は、前記幅方向における前記搬送ベルトの間隔の50%以上90%以下である、
請求項1に記載のラベル受け渡し装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトおよび前記押し上げ板の少なくとも一方において、前記ラベルと接触する表面が非粘着処理されている、
請求項1に記載のラベル受け渡し装置。
【請求項4】
前記ラベル載置部は、
上部に開口を有するチャンバーと、
前記チャンバーに取り付けられて前記チャンバー内を負圧とする負圧発生部と、を有し、
前記押し上げ板は前記チャンバー内に配置され、
前記搬送ベルトが前記開口に配置され、前記ラベルが前記負圧により前記搬送ベルトに向かって付勢されるよう構成されている、
請求項3に記載のラベル受け渡し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベラー等に適用されるラベル受け渡し装置に関する。
このラベル受け渡し装置は、特に長尺なラベルの受け渡しに優れるが、ラベル全般に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
一般的なラベラーとして、ラベルが仮着された状態の剥離紙をピールプレートに送り、ピールプレートにより剥離紙を反転することによりラベルを繰り出しながら被着体に貼りつけるタイプのラベラーがある。
このラベラーは、サイズの小さいラベルを好適に貼り付けられるものの、ラベルが長尺であったり大面積であったりすると、被着体への貼り付け中にラベルが波打ったり折れ曲がったりして、貼り付けたラベルの外観が損なわれることがある。
【0003】
上記問題を解決する構成として、剥離紙を除去したラベルをまずベルト上に繰り出し、ベルト上にあるラベルを上方から吸着機構で吸着し、被着体に貼り付ける構成が提案されている。(例えば、特許文献1および2参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平4-43454号公報
【文献】特許第4848232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や2に記載の構成では、ベルトへのラベルの貼り付きを抑制するため、断面が円形の丸ベルトが用いられることが多い。丸ベルト上に配置されたラベルは、丸ベルトとの接触面積が少ないため、上方から吸着機構が押し当てられると、ラベルに折り目やしわが生じる可能性がある。
特許文献2では、丸ベルト上のラベルに下方から風を当て、丸ベルトから離間させつつ吸着機構に吸着させているが、特に長尺のラベルでは、風によって波打ち、位置ずれやしわを生じた状態で吸着されたり、吸着自体が失敗したりする可能性がある。
【0006】
上記事情を踏まえ、本発明は、ベルト上に配置されたラベルを、外観を損なわずに確実に吸着機構に移動させることができるラベル受け渡し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、セパレータを除去しつつラベルを繰り出すラベル供給部と、ラベル供給部から供給されたラベルが載置されるラベル載置部と、ラベルを吸着支持可能に構成され、ラベル載置部の上方に移動可能に設けられた吸着部と、ラベル供給部から吸着部に至る経路の間に設けられた検査部とを備えるラベル受け渡し装置である。
ラベル載置部は、ラベルの搬送方向に延び、搬送方向に直交する幅方向に間隔を空けて配置された複数の搬送ベルトと、幅方向における搬送ベルト間に設けられ、搬送方向に延びる複数の押し上げ板とを有する。
複数の押し上げ板の上面は、搬送ベルトの上端よりも低い位置と搬送ベルトの上端よりも高い位置との間を移動可能に構成されている。
検査部は、幅方向における搬送ベルト間に設けられ、搬送方向に延びる複数の第二押し上げ板を有する。複数の第二押し上げ板の上面は、搬送ベルトの上端よりも低い位置と搬送ベルトの上端よりも高い位置との間を、複数の押し上げ板の上面と独立して移動可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベルト上に配置されたラベルを、外観を損なわずに確実に吸着機構に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係るラベル受け渡し装置の模式図である。
図2】同ラベル受け渡し装置を異なる方向から見た模式図である。
図3】同ラベル受け渡し装置の使用時の一過程を示す図である。
図4】同ラベル受け渡し装置の使用時の一過程を示す図である。
図5】同ラベル受け渡し装置の使用時の一過程を示す図である。
図6】本発明の第二実施形態に係るラベル受け渡し装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の第一実施形態について、図1から5を参照して説明する。
図1は、本実施形態のラベル受け渡し装置1を示す模式図である。ラベル受け渡し装置1は、ラベラーに組み込まれてラベラーの一部を構成する。
ラベル受け渡し装置1は、ラベル供給部10と、ラベル載置部20と、吸着部50とを備えている。
【0011】
ラベル供給部10は、ラベル体が巻かれたロール11と、剥離部12とを有する。
ロール11に巻かれたラベル体は、粘着層を備えたラベルLがセパレータS上に仮着された公知の構成を有する。ラベルLは、切れ目を有して連続していてもよいし、繰り出し方向に間隔を空けて配置されていてもよい。
剥離部12は、図示しない巻取りロールを有する。巻取りロールには、セパレータSの一端が取り付けられている。
剥離部12において、ロール11から繰り出されたラベル体からラベルLが剥離され、ラベルLのみがラベル載置部20に供給される一方、セパレータSは、巻き取りロールにより巻き取られる。
【0012】
ラベル載置部20は、チャンバー21と、複数の搬送ベルト22と、負圧発生部23と、ラベル押し上げ機構30とを有する。
チャンバー21内は概ね密閉されており、上部の開口および負圧発生部23のみから気体が出入りできるように構成されている。
【0013】
搬送ベルト22は、断面形状が円形の無端の丸ベルトであり、チャンバー21内に配置されたローラ25に掛けられている。
図2は、ラベル受け渡し装置1を異なる方向から見た模式図である。複数の搬送ベルト22は、搬送方向MD(図1参照)に直交する幅方向Wに、概ね等間隔で配置されている。
搬送ベルト22の表面は、ラベル供給部10から供給されたラベルLの粘着層が貼り付きにくいように非粘着処理されている。非粘着処理としては、シボ加工や非粘着性コーティング等を例示できる。ローラ25が不図示のモータ等により駆動されることで、搬送ベルト22は、ラベル供給部10から供給されたラベルLを方向MDに送ったり、所望の位置で停止したりできる。
【0014】
負圧発生部23は、例えばチャンバー21の下部に配置されており、公知のファン等で構成できる。負圧発生部23がチャンバー21内の気体をチャンバー外に排出すると、チャンバー21内が負圧となり、チャンバー21の上部開口に配置された搬送ベルト22間からの外気の流入を促す。
【0015】
ラベル押し上げ機構30は、複数の押し上げ板31と、押し上げ板31を駆動するシリンダ32とを有する。押し上げ板は、図2に示すように、チャンバー21内であって、搬送ベルト22間の下方に配置されており、搬送方向MDに延びている。
各押し上げ板31の下部は、共通の支持部材33に支持されており、支持部材33がシリンダ32に接続されている。シリンダ32を上下駆動することにより、複数の押し上げ板31を同時に上下移動させることができる。
押し上げ板31の上面は、ラベル受け渡し装置1の使用時にラベルLの粘着層と接触するため、粘着層が貼り付きにくいように処理されている。この処理は、搬送ベルト22の表面処理と同様の方法や、表面に微細な凹凸を形成する等により、粘着層との接触面積を減少させる等の方法により行える。押し上げ板31の上面は、シリンダ32の駆動により、搬送ベルト22の上端よりも高い位置まで移動できる。
【0016】
吸着部50は、吸着面に吸気口(不図示)を複数有する公知の構造を備え、対象物が吸気口を覆うことにより、対象物を吸着保持できる。
吸着面の面積や寸法は、対象物であるラベルLの形状や寸法に応じて適宜決定できる。
本実施形態の吸着部50は、第一吸着部51と、第二吸着部52とを有する。第一吸着部51および第二吸着部52は、それぞれラベル載置部20に対向する側に吸着面を有する。第二吸着部52は、貼り付けローラ53を有し、第一吸着部51に対して相対移動可能に構成されている。
吸着部50は、上記構成により、立方体状や直方体状の被着物の隣接する2つの面にわたってラベルLを貼り付けられる。具体的には、第一吸着部51のみが被着物の第一面に押し当てられてラベルLの一部が被着物に貼り付けられた状態で第二吸着部52が移動することにより、貼り付けローラ53が第一面と隣接する第二面に沿って移動する。これにより、ラベルLの残部が第二面に押し当てながら貼り付けられる。
本発明において、吸着部の上記構成は必須ではなく、必要に応じて設けられればよい。
【0017】
上記の様に構成されたラベル受け渡し装置1の使用時の動作について説明する。
まず、ロール11から繰り出されたラベルLは、剥離部12においてセパレータSが除去され、ラベル載置部20の搬送ベルト22上に供給される。
ラベル載置部20では、負圧発生部23が駆動され、チャンバー21内に発生した負圧によって、ラベル載置部20に載置されたラベルLが搬送ベルト22と接触した状態が保持される。この状態でローラ25が回転することにより、ラベルLはラベル載置部20上において搬送方向MDに搬送される。
【0018】
ラベルLの全体がラベル載置部20上に位置したところで、ローラ25が停止する。
この時の状態を図3に模式的に示す。ラベルLは、負圧により搬送ベルト22に向かって付勢されているため、搬送ベルト22と接触する部位が上方に凸となるように若干波打っている。この状態で吸着部50がラベルLに押し当てられると、ラベルLに折れやしわが生じる可能性がある。
図3に示す状態において、押し上げ板31の上面31aは、搬送ベルト22の上端よりも低い位置にある。このとき、上面31aは、負圧に付勢されたラベルLと接触してもよい。
【0019】
次に、シリンダ32が駆動して複数の押し上げ板31が上昇する。これと並行して、吸着部50が下降する。その結果、吸着部50の吸着面と押し上げ板31の上面とが接近する。上昇した押し上げ板31は、ラベルLの下面に接触する。さらに押し上げ板31が上昇すると、ラベルLは押し上げ板31に支持され、平坦な状態を保ちつつ搬送ベルト22から離間する。
【0020】
吸着部50の吸着面と押し上げ板31の上面31aとが十分に接近すると、図4に示すように、吸着部50の吸着面50aとラベルLとが接触する。その結果、吸着面50aの吸気口がラベルLに覆われて、ラベルLが吸着部50に吸着保持される。
その後、図5に示すように、吸着部50はラベルLを保持したまま上昇し、押し上げ板31は下降する。吸着部50は、図示しない被着体に接近して、被着体にラベルLを押し当てて貼り付けた後、ラベル載置部20の上方に戻る。
以上の一連の動作を繰り返すことで、ラベル受け渡し装置1は、ラベルLの被着体への貼り付けを連続的に行う。
【0021】
以上説明したように、本実施形態に係るラベル受け渡し装置1では、搬送ベルト22間に配置された複数の押し上げ板31が、ラベルLを平坦な状態で保持しつつ搬送ベルト22よりも上方に移動させるため、吸着部50に保持される際に折れやしわ等を生じにくく、良好な外観を保持して吸着支持できる。
搬送ベルト22の表面および押し上げ板31の上面は、ラベルの粘着層が貼り付きにくい非粘着処理されているため、上記の動作中にラベルが搬送ベルト22や押し上げ板31に貼り付いてしまう事態が防止されている。
【0022】
段ボール等に貼り付けられる、追跡用のバーコード等が印刷されたラベルは、コンベア上における段ボールの姿勢に関わらずコードが読み取れるように、段ボールの隣接する2面にわたってL字状に貼り付けられることがある。このようなラベルは2面にわたるため、例えば200mm以上の長尺になることがある。また、貼り付ける際にしわや折れ等を生じると、コードの読み取り不良の原因となるため、しわや折れ等を生じさせずに被着体に貼り付けることが要求される。
ラベル受け渡し装置1では、このような長尺のラベルであっても、吸着部50および押し上げ板31の寸法や形状をラベルに合わせて適切に設定することにより、折れやしわ等のない状態で吸着支持し、良好な外観を保って被着体に貼り付けることに寄与できる。
【0023】
本実施形態において、ラベル受け渡し装置1の各部の動作は、操作者による手動操作で行われてもよいし、装置自体が自動で行ってもよい。例えばチャンバー21内に発光部と受光部を備えたセンサを配置してラベルLがラベル載置部20上の所定位置に配置されたことを検出可能にし、センサの検出信号がラベル供給部10、ラベル載置部20、および吸着部50の各部に接続されたコンピュータやソフトウェア、ロジック回路等の制御部に入力される構成にすることで、ラベル受け渡し装置1の動作を自動制御することができる。
ラベルが載置されたことを検出するセンサの出力に代えて、ローラ25の回転量等の他のパラメータに基づいて装置が自動制御されてもよい。
【0024】
本発明の第二実施形態について、図6を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0025】
図6は、本実施形態に係るラベル受け渡し装置101の構成を示す模式図である。ラベル受け渡し装置101は、ラベル供給部10から吸着部50に至る経路の途中に、検査部110を備えている。
【0026】
検査部110は、カメラ111と、ラベル押し上げ機構30Aとを有する。ラベル押し上げ機構30Aの構成は、ラベル押し上げ機構30と同様であり、複数の押し上げ板(第二押し上げ板)31Aおよびシリンダ32Aを有する。ラベル押し上げ機構30Aは、チャンバー21内に配置され、搬送ベルト22は、ラベル押し上げ機構30Aおよびラベル押し上げ機構30を含む範囲に設置されている。ラベル押し上げ機構30Aは固有のシリンダ32Aを備えるため、ラベル押し上げ機構30とは独立して動作できる。
【0027】
カメラ111は、ラベル押し上げ機構30Aの上方に設置されている。ラベル供給部10とラベル押し上げ機構30Aとの間には第一センサ112が設置されている。ラベル押し上げ機構30Aとラベル押し上げ機構30との間には第二センサ113が設置されている。第一センサ112および第二センサ113は、ラベルLが通過することを検知できればよく、例えば発光部と受光部とを備えた公知のセンサを使用できる。
カメラ111、ラベル供給部10、および吸着部50を含むラベル受け渡し装置101の各部は、ラベル受け渡し装置101全体の動作を制御する制御部(不図示)に接続されている。
【0028】
ラベル受け渡し装置101の使用時の動作について説明する。
まず、ラベル供給部10から、印字されつつラベルLが繰り出される。ラベルLは、搬送ベルト22により搬送される。
【0029】
第一センサ112によりラベルLが検知されると、所定のタイミングでラベル押し上げ機構30Aが駆動し、第二押し上げ板31AによりラベルLがカメラ111に向かって持ち上げられる。カメラ111は、ラベルLの印字面を撮像し、取得した画像が制御部に送られる。制御部は、画像に基づき、文字やバーコード等を含むラベルLの印字が適切に行われているかを判定する。この間、搬送ベルト22は停止せずに駆動し続ける。
カメラ111の撮像が終了した後、ラベル押し上げ機構30Aは元の位置まで下降する。すると、ラベルLが搬送ベルト22と接触し、搬送ベルト22によって吸着部50の下方まで搬送される。
【0030】
第二センサ113によりラベルLが検知されると、第一実施形態と同様にラベル押し上げ機構30が駆動し、吸着部50にラベルLが受け渡される。
吸着部50は、制御部から受信した判定結果に基づいて動作する。制御部の判定結果が「OK」の場合、吸着部50は、被着体に接近してラベルLを貼り付ける。制御部の判定結果が「NG」の場合、吸着部50は、被着体に向かわず、図示しない処理板に接近してラベルLを貼り付け、ラベル押し上げ機構30の上方に戻る。処理板には、NGと判定されたラベルLが順次貼り付けられ、適宜のタイミングで廃棄、交換される。さらに制御部は、ラベル供給部10に印字をやり直させ、NG判定されたラベルと同一の印字内容のラベルを再度供給する。
【0031】
本実施形態のラベル受け渡し装置101によれば、ラベル押し上げ機構30Aが上方に移動している間も搬送ベルト22が駆動し続けているため、検査部110での検査が終了したラベルLの搬送が後続のラベルLの検査により停止されない。したがって、印字内容の変更等によりラベル間の距離が変化した場合でも、効率よく検査および被着体への貼り付けを行うことができ、ラベル間ピッチの厳密な管理等も不要である。
【0032】
また、検査部110がラベル押し上げ機構30Aを備えるため、第二押し上げ板31Aにより押し上げられた平坦な状態でラベルLを検査できる。その結果、搬送ベルト上では波打ち等により精度低下の可能性があるバーコードのような印字内容であっても、精度よく検査することができる。
【0033】
本実施形態において、NGと判定されたラベルの処理方法は、上述した処理板を用いるものには限られない。例えば、搬送ベルトの終点に廃棄箱を設置し、NGと判定されたラベルに対してはラベル押し上げ機構30および吸着部50が作動しないように制御して、ラベルが搬送ベルトにより廃棄箱まで搬送されて廃棄される構成としてもよい。
【0034】
本実施形態においては、検査部110に加えて、ラベル押し上げ機構を有さない第二の検査部が設けられてもよい。例えば、ラベルが搬送ベルトで移動されながら撮像されても検査精度が落ちにくい文字等については、第二の検査部でラベルを止めずに検査されてもよい。これにより、長尺なラベル等における検査時間を短縮することができる。
【0035】
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。以下にいくつか変更を例示するが、これらはすべてではなく、それ以外の変更も可能である。これらの変更が2以上適宜組み合わされてもよい。
【0036】
・押し上げ板の幅方向Wにおける寸法は、搬送ベルトと干渉しない範囲においてできるだけ大きくすると、ラベルの支持状態が良好になり好ましい。例えば、図3に示す、押し上げ板31の幅方向Wにおける寸法D1は、搬送ベルト22の間隔G1の50%以上であると好ましい。あるいは、間隔G1の値によらず、寸法D1が10mm以上であると好ましい。
・押し上げ板と搬送ベルトとの意図しない接触を防止する観点からは、寸法D1は間隔G1の90%以下であることが好ましい。
・押し上げ板の搬送方向MDにおける寸法は、ラベルの搬送方向MDにおける寸法の80%以上であることが好ましく、ラベルの搬送方向MDにおける寸法以上(すなわち100%以上)であることがより好ましい。
【0037】
・ラベルの受け渡し過程における吸着部および押し上げ板の相互接近態様は、上述した内容に限られない。すなわち、押し上げ板の上面が搬送ベルトの上面よりも上方に位置する状態で吸着部がラベルを吸着する限り、押し上げ板だけが移動して両者が接近してもよいし、押し上げ板が移動して停止した後に吸着部が移動する、またはその逆の態様で両者が同時に移動することなく接近してもよい。
【0038】
・複数の搬送ベルトのすべてが等間隔で配置されなくてもよい。この場合、搬送ベルト間の間隔に応じて、一部の押し上げ板の寸法が異なってもよい。
・さらに、複数の搬送ベルトの一部が、他と異なる断面形状や寸法を有してもよい。
【0039】
・ラベルの受け渡し時に吸着部がラベル載置部の上方に位置していれば、吸着部の初期位置はラベル載置部の上方でなくてもよい。
・押し上げ板全体を上昇させるのに代えて、押し上げ板が上方に伸びることにより、押し上げ板の下部は移動せずに上面のみが搬送ベルトよりも高い位置に移動可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1、101 ラベル受け渡し装置
10 ラベル供給部
20 ラベル載置部
22 搬送ベルト
31 押し上げ板
31A 押し上げ板(第二押し上げ板)
31a (押し上げ板の)上面
50 吸着部
110 検査部
D1 押し上げ板の幅方向寸法
G1 搬送ラベルの幅方向間隔
L ラベル
MD 搬送方向
W 幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6