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特許7500296画像形成装置、給紙制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】画像形成装置、給紙制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240610BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240610BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
B41J29/38 202
G03G21/00 376
H04N1/00 567H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020103281
(22)【出願日】2020-06-15
(65)【公開番号】P2021194861
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】若菜 徹
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058211(JP,A)
【文献】特開2018-065379(JP,A)
【文献】特開2018-062087(JP,A)
【文献】特開2019-098712(JP,A)
【文献】特開2019-085207(JP,A)
【文献】特開2011-198119(JP,A)
【文献】特開2018-099840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0156061(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置であって、
前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙手段と、
前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定手段と、
前記第一の判定手段により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が所定の差を超えるか否かを判定する第二の判定手段とを備え、
前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行せず、
前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えないと判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記坪量に応じて所定の数の区分に分けた場合に、前記第二の判定手段は、前記第一の用紙タイプの坪量の区分と前記第二の用紙タイプの坪量の区分との差が所定の区分数を超えた場合に、前記所定の差を超えると判定することを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置であって、
前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙手段と、
前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定手段と、
前記第一の判定手段により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの表面性と、前記第二の用紙タイプの表面性とが同じであるか否かを判定する第二の判定手段とを備え、
前記第一の用紙タイプの表面性と、前記第二の用紙タイプの表面性とが異なると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行せず、
前記第一の用紙タイプの表面性と、前記第二の用紙タイプの表面性とが同じであると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置であって、
前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙手段と、
前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定手段と、
前記第一の判定手段により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの形状と、前記第二の用紙タイプの形状とが同じであるか否かを判定する第二の判定手段とを備え、
前記第一の用紙タイプの形状と、前記第二の用紙タイプの形状とが異なると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行せず、
前記第一の用紙タイプの形状と、前記第二の用紙タイプの形状とが同じであると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置であって、
前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙手段と、
前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定手段と、
前記第一の判定手段により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの搬送速度と、前記第二の用紙タイプの搬送速度とが同じであるか否かを判定する第二の判定手段とを備え、
前記第一の用紙タイプの搬送速度と、前記第二の用紙タイプの搬送速度とが異なると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行せず、
前記第一の用紙タイプの搬送速度と、前記第二の用紙タイプの搬送速度とが同じであると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置であって、
前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙手段と、
前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定手段と、
前記第一の判定手段により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの定着温度と、前記第二の用紙タイプの定着温度とが同じであるか否かを判定する第二の判定手段とを備え、
前記第一の用紙タイプの定着温度と、前記第二の用紙タイプの定着温度とが異なると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行せず、
前記第一の用紙タイプの定着温度と、前記第二の用紙タイプの定着温度とが同じであると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷ジョブはページ記述言語で記述されている事を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷ジョブはジョブ制御言語で記述されている事を特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置の給紙制御方法であって、
前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙工程と、
前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定工程と、
前記第一の判定工程により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が所定の差を超えるか否かを判定する第二の判定工程とを備え、
前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えると判定された場合に、前記給紙工程は、前記給紙を実行せず、
前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えないと判定された場合に、前記給紙工程は、前記給紙を実行することを特徴とする給紙制御方法。
【請求項10】
印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置を制御するためのプログラムであって、
前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙工程と、
前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定工程と、
前記第一の判定工程により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が所定の差を超えるか否かを判定する第二の判定工程とをコンピュータに実行させ、
前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えると判定された場合に、前記給紙工程は、前記給紙を実行せず、
前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えないと判定された場合に、前記給紙工程は、前記給紙を実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、給紙制御方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが任意のアプリケーションで生成したドキュメントデータを、プリンタドライバを介して画像形成装置に送信し、前記画像形成装置内で生成された画像を用いて、印刷することができる画像形成装置が知られている。また、画像形成装置の給紙部に収納された用紙の用紙サイズと用紙タイプよりも、プリンタドライバで指定した用紙サイズと用紙タイプを優先させて給紙制御を行うプリンタドライバ設定優先モードについても知られている。特許文献1には、当該プリンタドライバ設定優先モードにおける給紙制御について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-099840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置をプリンタドライバ設定優先モードで動作させる場合には、画像形成装置の給紙部に収納された用紙の設定とプリンタドライバで指定した用紙情報とが異なる場合がある。この場合、画像形成装置は、プリンタドライバで指定した用紙情報に従って給紙を行うため、給紙部に収納された用紙の用紙タイプが大きく異なる場合には、ジャムや印字不良といった不具合が発生する可能性がある。
【0005】
本発明は前述の問題点に鑑み、プリンタドライバで指定した用紙情報を優先して給紙制御を行う場合に、ジャムや印字不良などの不具合の発生頻度を減少できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る印刷ジョブの設定情報を優先させるモードにおいて、前記設定情報に基づいて印刷を行う画像形成装置は、前記印刷ジョブの設定情報に従って給紙を実行する給紙手段と、前記印刷ジョブの設定情報である第一の用紙タイプと給紙部に設定されている第二の用紙タイプとが一致するか否かを判定する第一の判定手段と、前記第一の判定手段により前記第一の用紙タイプと前記第二の用紙タイプとが一致しないと判定された場合に、前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が所定の差を超えるか否かを判定する第二の判定手段とを備え、前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えると判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行せず、前記第一の用紙タイプの坪量と、前記第二の用紙タイプの坪量との差が前記所定の差を超えないと判定された場合に、前記給紙手段は、前記給紙を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プリンタドライバで指定した用紙情報を優先して給紙制御を行う場合に、ジャムや印字不良などの不具合の発生頻度を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像形成装置の内部構成例を説明するための図である。
図2】画像形成装置の制御部の内部構成例を示すブロック図である。
図3】プリンタドライバ設定優先の設定画面の一例を示す図である。
図4】印刷ジョブの構成例を示す図である。
図5】給紙トレイごとの用紙設定例を示す図である。
図6】坪量区分の例を示す図である。
図7】画像形成処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態における画像形成装置100の内部構成を説明するための図である。
図1において、画像形成装置100は、印刷装置101、フィニッシャー102により構成される。
印刷装置101は、画像を形成し印刷する。
フィニッシャー102は、印刷装置101で印刷した用紙の排紙先を備える。
【0010】
制御部103は、画像形成装置100の各種制御を行うためのソフトウェアを稼動させる。
操作部104は、タッチパネルを搭載した表示装置を備えており、画像形成装置100に対して操作の指示を行う。操作部104は、タッチパネルとハードキーを備えており、画像形成装置100に関する情報を表示装置に表示したり、タッチパネルやハードキーから設定を入力したりすることが可能である。
トナー供給部105は、画像形成装置100の画像形成部106に対して印刷剤であるトナーを供給する。トナー供給部105には、開閉扉が装備されており、操作者が開閉扉からトナーを供給することが可能である。
【0011】
画像形成部106は、トナー供給部105より供給されたトナーを用いて、印刷データで指示されている画像を形成し、中間転写ベルト107に転写する処理を行う。中間転写ベルト107に転写された画像は、用紙に転写される。
定着装置108は、中間転写ベルト107によって画像が転写された用紙に熱及び圧力を加えることにより、用紙にトナーを定着させる。
中間転写ベルト107において用紙に転写されなかったトナーは余剰トナー回収部109に蓄積される。
給紙装置110~114は、用紙を供給する。給紙装置110~114のいずれかから給紙された用紙は用紙搬送部115を通ってトナーの転写、定着処理を施される。
スイッチバック部116は、用紙を反転させる。
用紙投入口117は、外部の給紙装置から用紙を投入するための投入口である。
用紙排出部118は、定着処理された用紙をフィニッシャー102へ排出する。
【0012】
投入口119は印刷装置101からの用紙を受けとるフィニッシャー102の投入口である。
スイッチバック部120は用紙を反転させる。フィニッシャー102の投入口119から受け取った用紙は搬送部121を介して排出部122に排出され、排紙トレイ123に積載される。
【0013】
図2は本実施形態における画像形成装置100の制御部103の内部構成例を示すブロック図である。
CPU(Central Processing Unit)203は制御部103全体を制御するためのプログラムを動作させる。
RAM(Random Access Memory)204はCPU203上で動作するプログラムによって管理される。RAM204には外部から受信したデータを一時的に蓄えるための受信バッファの目的で使用される。RAM204はさらに、後述のRIP(Raster Image Processor)212によってラスタライズされた画像データを一時的に蓄えるためのバッファ等の目的でも使用される。
【0014】
操作部I/F205は操作部104と制御部103を接続するためのインターフェースである。
ネットワークI/F206は、ネットワーク201を介して制御部103と外部機器とを接続するためのインターフェースである。
MODEM(Modulator Demodulator)207は、電話回線202を介して制御部103と外部機器とを接続するためのインターフェースである。
【0015】
ROM(Read Only Memory)208はCPU203上で動作するプログラムやデータ等を格納するためのROMである。
HDD(ハードディスクドライブ)209はさまざまなデータを長期的に保存することが可能な不揮発性の記憶装置である。
CPU203~HDD209は、CPUバス210によって接続されている。
【0016】
イメージバスI/F211はCPUバス210とイメージバス218とを接続するためのインターフェースである。
RIP212は外部から入力されるページ記述言語(PDL)データをビットマップイメージデータに変換する機能を有するラスタライズ部である。
データ圧縮部213はデータを圧縮するためのデータ圧縮部である。
デバイスI/F214はデータバス216、217によって印刷装置101及びフィニッシャー102をイメージバス218に接続するためのインターフェースである。
【0017】
画像処理部215はRIP212によって生成されたビットマップイメージデータに各種画像処理を施す。画像処理部215では、2ページのビットマップイメージデータを1ページのビットマップイメージデータに合成する機能等のビットマップイメージデータをデジタル的に処理する機能を備える。CPU203は、操作部104もしくは外部機器からネットワーク201を介して指示される信号に従い、データバス216、217を介して印刷装置101、及びフィニッシャー102へ印刷を行うための命令を発行しながら印刷を行う。
イメージバス218は画像処理を行うためのハードウェア群に接続されたイメージバスである。
【0018】
図3は、本実施形態のプリンタドライバ設定優先の設定画面の一例を示す図であり、操作部104に表示されるものとする。ここで、プリンタドライバ設定優先とは、給紙装置110~115のそれぞれの給紙トレイで設定されている用紙タイプおよび用紙サイズよりも、印刷ジョブで指定されている用紙サイズおよび用紙タイプの方を優先して給紙制御を行うモードである。
【0019】
設定画面301は、プリンタドライバ設定優先の設定画面全体であり、操作部104内のタッチパネルを搭載した表示装置に表示される。
ONキー302は、プリンタドライバ設定優先を有効にするためのキーである。
OFFキー303は、プリンタドライバ設定優先を無効にするためのキーである。
図3に示す画面では、ONキー302が反転表示され、プリンタドライバ設定優先が有効であることを示している。
OKキー304は、この画面設定を有効にすると同時に、この画面を閉じるためのキーである。図3に示す画面を介して、ユーザはプリンタドライバ設定優先をONまたはOFFに設定することができる。
【0020】
図4は、印刷ジョブの構成例を示す図である。図4において、印刷ジョブの一例としてホストコンピュータ等からネットワーク201を介して入力される印刷ジョブを示している。なお、画像形成装置100に装備されている不図示の読み取り装置によって読み取られたコピージョブや、HDD209やRAM204に一時的に蓄積された印刷ジョブであってもよい。
【0021】
ジョブチケット401には、用紙サイズ指定や用紙タイプ指定、給紙段指定等の印刷設定に係る情報が格納される。なお、本実施形態では、ジョブチケットはジョブ制御言語で記述されているものとする。
印刷データ部402は、本実施形態ではページ記述言語(PDL)データである。なお、印刷データは前述のように、不図示の読み取り装置で読み取られたコピージョブや、記憶装置(HDD209やRAM204等)に一時的に蓄積された印刷ジョブの印刷データであっても構わない。
【0022】
次に、ジョブチケット401に格納されている情報について説明する。
給紙トレイ指定情報403は、印刷設定として給紙トレイの指定情報を示している。図5の例では、給紙トレイとして「手差しトレイ」が指定されている。
用紙サイズ指定情報404は、印刷設定として用紙サイズの指定情報を示している。図5の例では、用紙サイズとして「A4」が指定されている。
用紙タイプ指定情報405は、印刷設定として用紙タイプの指定情報を示している。図5の例では、用紙タイプとして「普通紙1」が指定されている。
【0023】
図5は、給紙装置110~114の各給紙トレイにおける用紙情報設定の例を示す図である。用紙情報の設定は、用紙サイズと用紙タイプの組み合わせを示しているものとする。なお、用紙情報の設定情報は、HDD209に格納されているものとする。
給紙装置110の「給紙トレイ1」には、用紙サイズが「A4」で、用紙タイプが「普通紙1」が設定されている状態を示している。
給紙装置111の「給紙トレイ2」には、用紙サイズが「A4」で、用紙タイプが「普通紙2」が設定されている状態を示している。
給紙装置112の「給紙トレイ3」には、用紙サイズが「A4」で、用紙タイプが「普通紙3」が設定されている状態を示している。
給紙装置113の「給紙トレイ4」には、用紙サイズが「A4」で、用紙タイプが「普通紙4」が設定されている状態を示している。
給紙装置114の「手差しトレイ」には、用紙サイズが「A4」で、用紙タイプが「普通紙5」が設定されている状態を示している。
【0024】
次に、図7のフローチャートを参照しながら、本実施形態の画像形成の処理手順について説明する。なお、図中のS701~S721は各ステップを表す。
S701で、本処理系のフローを開始する。
S702では、CPU203は、操作部104からの指示に応じて、プリンタドライバ設定優先の設定を行う。本実施形態では、例えば図3に示す画面から、ユーザの操作によってプリンタドライバ設定優先の設定がなされ、プリンタドライバ設定優先の設定値は、HDD209またはRAM204に格納されるものとする。
【0025】
S703では、CPU203は、印刷ジョブの解析を行う。まず、CPU203は、ネットワーク201を介して印刷ジョブを受信し、受信した印刷ジョブをHDD209やRAM204に格納する。その後、CPU203は、HDD209やRAM204に格納されている印刷ジョブを読み出し、印刷ジョブの解析を行なう。そして、CPU203は、印刷ジョブ内のジョブチケット401から給紙トレイ指定情報403、用紙サイズ指定情報404、および用紙タイプ指定情報405を読み出し、その各々をHDD209またはRAM204に格納する。また、CPU203は、印刷データ部402のPDLデータを解析し、それをもとに中間データに変換し、HDD209またはRAM204に格納する。
【0026】
S704では、CPU203は、用紙を給紙する給紙トレイを確定させる。ここでは、CPU203は、印刷ジョブ内のジョブチケット401から読み出された給紙トレイ指定情報403をもとに給紙トレイを確定するものとする。例えば図4に示す印刷ジョブを受信した場合は、給紙トレイ指定情報403には「手差しトレイ」が指定されているため、給紙する給紙トレイは「手差しトレイ」で確定される。
S705では、CPU203は、S703において格納された中間データをHDD209から読み出し、RIP212を用いて画像データを生成し、HDD209に格納する。
【0027】
S706では、CPU203は、S702において設定したプリンタドライバ設定優先の設定がONになっているか否かの判定を行う。ここで、プリンタドライバ設定優先の設定がONになっている場合は、図5に示した各給紙トレイの用紙タイプおよび用紙サイズよりも、図4における印刷ジョブでの用紙サイズ指定情報404と用紙タイプ指定情報405の方が優先される。なお、この判定は、CPU203がHDD209またはRAM204からプリンタドライバ設定優先の設定値を読み出すことによって行われる。この判定の結果、プリンタドライバ設定優先の設定がOFFの場合には、S707に進み、以降プリンタドライバ設定優先がなされない制御が行われる。一方、プリンタドライバ設定優先の設定がONの場合には、S713に進み、以降プリンタドライバ設定優先の制御が行われる。
【0028】
S707では、CPU203は、印刷ジョブの用紙タイプ指定情報405をHDD209またはRAM204から読み出し、用紙タイプ指定情報405が「自動」に指定されているか否かを判定する。ここで、用紙タイプ指定情報405における「自動」とは、印刷ジョブの給紙トレイ指定情報403で指定されている給紙トレイで設定されている用紙タイプをそのまま適用することを意味する。例えば図5に示すように、S704で給紙する給紙トレイとして「手差しトレイ」が確定しており、各給紙トレイで図5に示すような設定がされている場合は、用紙タイプとして「普通紙5」を適用することになる。判定の結果、用紙タイプ指定情報が「自動」に指定されていると判定された場合には、S708に進む。一方、用紙タイプ指定情報405が「自動」に指定されていないと判定された場合には、S710に進む。
【0029】
S708では、CPU203は、印刷ジョブの用紙サイズ指定情報404で指定されている用紙サイズとS704で確定した給紙トレイに設定されている用紙サイズとを比較し、両者が一致しているか否かを判定する。判定の結果、両者が一致していると判定された場合には、S709に進む。一方、両者が一致していないと判定された場合には、S711に進む。
【0030】
S709では、CPU203は、給紙トレイに設定されている用紙サイズと用紙タイプにて給紙制御を行う。つまり、図4に示すように、印刷ジョブの用紙サイズ指定情報404で「A4」が指定され、図5に示すように、給紙トレイの用紙サイズが「A4」で設定されている場合は、用紙サイズが一致しているため、給紙する用紙サイズは「A4」となる。また、印刷ジョブの用紙タイプ指定情報405で「自動」が指定され、給紙トレイの用紙タイプが「普通紙5」に設定されている場合は、給紙する用紙タイプは「普通紙5」になる。
【0031】
S710では、CPU203は、印刷ジョブの用紙タイプ指定情報405で指定されている用紙タイプと給紙トレイに設定されている用紙タイプとを比較し、両者が一致しているか否かの判定を行う。判定の結果、両者が一致していると判定された場合には、S708に進む。一方、両者が一致していないと判定された場合には、S711に進む。
【0032】
S711では、CPU203は、操作部104に対して用紙交換要求を表示させる。用紙交換が必要な場合とは、用紙タイプ指定情報405で指定されている用紙タイプと給紙トレイに設定されている用紙タイプとが不一致の場合(S710でNo)がある。さらに、用紙サイズ指定情報404で指定されている用紙サイズと給紙トレイに設定されている用紙サイズとが不一致の場合(S708でNo)の場合がある。
【0033】
S712では、CPU203は、給紙トレイに新たに用紙がセットされまで待機し、そして、新たな用紙がセットされたら操作部104に対して用紙交換要求の表示を解除させる。そして、S710に戻る。
【0034】
S713では、CPU203は、印刷ジョブの用紙タイプ指定情報405をHDD209またはRAM204から読み出し、用紙タイプ指定情報405が「自動」に指定されているか否かを判定する。判定の結果、「自動」に指定されていると判定された場合には、S714に進む。一方、「自動」に指定されていないと判定された場合には、S715に進む。
【0035】
S714では、CPU203は、プリンタドライバ設定優先で給紙するための用紙情報を確定させる。まず本実施形態では、S713において、用紙タイプ指定情報405が「自動」であると判定されたため、図5に示すように各給紙トレイに用紙サイズおよび用紙タイプが設定されている場合には、用紙タイプは「普通紙5」に設定される。次に、用紙サイズは、プリンタドライバ設定優先がONであるため、用紙サイズ指定情報404に基づき「A4」に設定される。その結果、用紙タイプは「普通紙5」、用紙サイズは「A4」として、給紙制御が行われる。
【0036】
S715では、CPU203は、印刷ジョブの用紙タイプ指定情報405で指定されている用紙タイプと給紙トレイに設定されている用紙タイプとを比較し、両者が一致しているか否かの判定を行う。判定の結果、両者が一致していると判定された場合には、S716に進む。一方、両者が一致していないと判定された場合には、S717に進む。
【0037】
S716では、CPU203は、プリンタドライバ設定優先で給紙するための用紙情報を確定させる。まず本実施形態では、用紙タイプは、印刷ジョブの用紙タイプ指定情報405に基づき「普通紙1」が設定される。次に、用紙サイズは、プリンタドライバ設定優先がONであるため、用紙サイズ指定情報404に基づき「A4」が設定される。その結果、用紙タイプは「普通紙1」、用紙サイズは「A4」として、給紙制御が行われる。
【0038】
S717では、CPU203は、用紙タイプ指定情報405で指定されている用紙タイプと給紙トレイに設定されている用紙タイプとの不一致度の判定を行う。判定の結果、不一致度が閾値以下である場合は、用紙タイプに差があっても給紙制御に不都合はないとみなし、S716に進む。一方、不一致度が閾値を超えている場合には、用紙タイプに差があり、給紙制御に不都合があるとみなし、S718に進む。
【0039】
ここで、不一致の程度について、いくつかの例を挙げて説明する。
各々の用紙タイプには坪量が予め定義されている。用紙タイプによって坪量が異なるが、異なる用紙タイプであっても坪量が同じ場合もある。不一致度の判定の一つの例として、坪量が同じ場合には「不一致度が閾値以下」と判定し、坪量が異なる場合には「不一致度が閾値超」と判定してもよい。あるいは、坪量が所定の差以下である場合に「不一致度が閾値以下」と判定し、所定の差を超えている場合に「不一致度が閾値超」と判定してもよい。
【0040】
また、坪量区分を用いて不一致度を判定してもよい。図6は、用紙の坪量区分の例を示す図である。例えば図6に示すように坪量区分として「区分A」~「区分H」が定義されているものとする。この定義によれば、用紙タイプが異なる場合であっても坪量区分が同じである場合もある。不一致度の判定の一つの例として、坪量区分が同じである場合は「不一致度が閾値以下」と判定し、坪量区分が異なる場合は「不一致度が閾値超」と判定してもよい。あるいは、坪量区分の差が所定の区分数以下である場合は「不一致度が閾値以下」と判定し、所定の区分数を超えている場合は「不一致度が閾値超」と判定してもよい。例えば、所定の区分数を2とすれば、図6の坪量区分の「区分A」と「区分C」との差である場合は「不一致度が閾値以下」と判定し、「区分A」と「区分D」との差である場合は「不一致度が閾値超」と判定してもよい。
【0041】
また、用紙タイプには表面性が予め定義されている。例えば、表面性には「上質紙」、「再生紙」、「コート」、「エンボス」、「フィルム」といった種類がある。不一致度の判定の一つの例として、用紙タイプが異なる場合であっても表面性が同じ場合には「不一致度が閾値以下」と判定し、表面性が異なる場合には「不一致度が閾値超」と判定してもよい。
また、用紙タイプには形状が予め定義されている。例えば、形状には「ノーマル」、「タブ紙」、「パンチ済み紙」、「封筒」といった種類がある。不一致度の判定の一つの例として、用紙タイプが異なる場合であっても前記形状が同じ場合には「不一致度が閾値以下」と判定し、前記形状が異なる場合には「不一致度が閾値超」と判定してもよい。
【0042】
また、用紙を給紙搬送する場合、用紙タイプごとに搬送速度が予め定義されている。例えば、搬送速度には「等速」、「5/6速」、「1/2速」といった種類がある。不一致度の判定の一つの例として、用紙タイプが異なる場合であっても前記搬送速度が同じ場合には「不一致度が閾値以下」と判定し、前記搬送速度が異なる場合には「不一致度が閾値超」と判定してもよい。
また、用紙にトナーを定着させる場合、用紙タイプごとの特性に応じた定着温度が予め定義されている。不一致度の判定の一つの例として、用紙タイプが異なる場合であっても前記定着温度が同じ場合には「不一致度が閾値以下」と判定し、前記定着温度が異なる場合には「不一致度が閾値超」と判定してもよい。
【0043】
なお、本実施形態の不一致度の判定方法は、画像形成装置ごとに既定されているものとしてもよい。あるいは、操作部104に設定画面を表示できるようにし、ユーザの操作により不一致度の判定方法を設定できるようにしてもよい。また、印刷ジョブのジョブチケットにおいて不一致度の判定方法を指定できるようにしてもよい。
【0044】
S718およびS719は、それぞれS711およびS712と同様の処理である。
S720では、CPU203は、S705において生成された画像データをHDD209から読み出す。そして、HDD209から読み出された画像データをビデオ信号に変換し、給紙トレイから給紙された用紙に対して印字を行う。
S721で、本処理を終了する。
なお、本実施形態では、印刷ジョブとしてPDLデータを含むジョブの例を挙げたが、それ以外のジョブ種(コピージョブや蓄積ジョブ)であっても構わない。
【0045】
以上のように本実施形態によれば、プリンタドライバ設定優先がONの状態で、印刷ジョブで指定された用紙タイプと給紙トレイに設定された用紙タイプとが異なる場合に、不一致度を判定するようにした。そして、不一致度が閾値以下である場合に限り、印刷ジョブで指定された用紙タイプにて給紙制御を行うようにした。これにより、ジャムや印字不良の発生頻度を減少させることができる。
【0046】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0047】
203 CPU、102 フィニッシャー、101 印刷装置
図1
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図7