(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】農業支援システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20240610BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01B69/00 303M
(21)【出願番号】P 2020115082
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2022-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】島本 出
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 博和
(72)【発明者】
【氏名】小藤 寛士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文宏
(72)【発明者】
【氏名】渡部 克彦
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-041357(JP,A)
【文献】特開2004-008187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A01B 69/00-69/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業車両が圃場を走行したときの
当該作業車両の接地面の高さを取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した前記高さであって複数の高さに基づいて、前記圃場の
作土深を演算する圃場情報演算部と、
を備え
、
前記情報取得部は、前記作業車両を第1時期に走行させたときの前記高さである第1高さと、前記作業車両を第2時期に走行させたときの前記高さである第2高さとを取得し、
前記圃場情報演算部は、前記複数の高さとして、前記情報取得部が取得した前記第1高さと前記第2高さとに基づいて、前記圃場の作土深を演算する農業支援システム。
【請求項2】
前記圃場情報演算部は、前記第1高さと前記第2高さとの差に基づいて、前記圃場の
作土深を演算する請求項
1に記載の農業支援システム。
【請求項3】
前記情報取得部は、前記作業車両が前記第1時期に所定の基準位置に位置しているときの前記高さである第1基準高さと、前記作業車両が前記第2時期に前記基準位置に位置しているときの前記高さである第2基準高さとを取得し、
前記圃場情報演算部は、前記第1高さを前記第1基準高さで補正した高さと、前記第2高さを前記第2基準高さで補正した高さと、の差に基づいて、前記圃場の
作土深を演算する請求項
2に記載の農業支援システム。
【請求項4】
作業車両に設けられ且つ、測位衛星の信号に基づいて前記作業車両が圃場を走行したときの
当該作業車両の接地面の高さを検出する高さ検出装置と、
前記高さ検出装置が検出した前記高さを取得する情報取得部と、前記情報取得部が取得した前記高さであって複数の高さに基づいて前記圃場の
作土深を演算する圃場情報演算部と、を有する支援装置と、
を備え
、
前記高さ検出装置は、第1時期に作業を行う作業車両である第1作業車両に設けられた第1検出装置と、第2時期に作業を行う作業車両である第2作業車両に設けられた第2検出装置とを含み、
前記情報取得部は、前記第1検出装置が検出した前記高さである第1高さと、前記第2検出装置が検出した前記高さである第2高さとを取得し、
前記圃場情報演算部は、前記複数の高さとして、前記情報取得部が取得した前記第1高さと前記第2高さとに基づいて、前記圃場の作土深を演算する農業支援システム。
【請求項5】
前記圃場情報演算部は、前記第1高さと前記第2高さとの差に基づいて、前記圃場の
作土深を演算する請求項
4に記載の農業支援システム。
【請求項6】
前記情報取得部は、前記第1作業車両が所定の基準位置に位置しているときに前記第1検出装置が検出した前記高さである第1基準高さと、前記第2作業車両が前記基準位置に位置しているときに前記第2検出装置が検出した前記高さである第2基準高さとを取得し、
前記圃場情報演算部は、前記第1高さを前記第1基準高さで補正した高さと、前記第2高さを前記第2基準高さで補正した高さと、の差に基づいて、前記圃場の
作土深を演算する請求項
5に記載の農業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農業支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された圃場給水予約システムは、圃場の集合体である圃場群に対して灌漑用水の給水を予約する圃場給水予約システムであって、所定期間内の圃場群ごとの許容最大給水量を取得する許容最大給水量取得手段と、圃場識別情報、給水日時情報及び必要給水量を含む給水予約情報に基づいて、圃場群ごとに必要給水量の合計が許容最大給水量を下回る給水可能量及び給水可能日時を含む給水可能スケジュールを生成する給水スケジュール管理手段と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の給水スケジュール管理手段では必要な時期に必要な量の灌漑用水を圃場に給水できる。
しかしながら、特許文献1のような給水スケジュール管理手段を利用して圃場に適切な量の給水を行ったり、圃場の凹凸や傾斜がある場合であってもトラクタやコンバイン等の作業車両が正確に走行させたりするためには、予め圃場の高さを含む圃場の状態を正確に取得する必要があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、圃場の状態を容易に取得する農業支援システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る農業支援システムは、作業車両が圃場を走行したときの当該作業車両の接地面の高さを取得する情報取得部と、情報取得部が取得した高さであって複数の高さに基づいて、圃場の作土深を演算する圃場情報演算部と、を備え、情報取得部は、作業車両を第1時期に走行させたときの高さである第1高さと、作業車両を第2時期に走行させたときの高さである第2高さとを取得し、圃場情報演算部は、複数の高さとして、情報取得部が取得した第1高さと第2高さとに基づいて、圃場の作土深を演算する。
【0007】
また、圃場情報演算部は、第1高さと第2高さとの差に基づいて、圃場の作土深を演算する。
【0008】
また、情報取得部は、作業車両が第1時期に所定の基準位置に位置しているときの高さである第1基準高さと、作業車両が第2時期に基準位置に位置しているときの高さである第2基準高さとを取得し、圃場情報演算部は、第1高さを第1基準高さで補正した高さと、第2高さを第2基準高さで補正した高さと、の差に基づいて、圃場の作土深を演算する。
【0009】
また、農業支援システムは、作業車両に設けられ且つ、測位衛星の信号に基づいて作業車両が圃場を走行したときの当該作業車両の接地面の高さを検出する高さ検出装置と、高さ検出装置が検出した高さを取得する情報取得部と、情報取得部が取得した高さであって複数の高さに基づいて圃場の作土深を演算する圃場情報演算部と、を有する支援装置と、を備え、高さ検出装置は、第1時期に作業を行う作業車両である第1作業車両に設けられた第1検出装置と、第2時期に作業を行う作業車両である第2作業車両に設けられた第2検出装置とを含み、情報取得部は、第1検出装置が検出した高さである第1高さと、第2検出装置が検出した高さである第2高さとを取得し、圃場情報演算部は、複数の高さとして、情報取得部が取得した第1高さと第2高さとに基づいて、圃場の作土深を演算する。
【0010】
また、圃場情報演算部は、第1高さと第2高さとの差に基づいて、圃場の作土深を演算する。
【0011】
また、情報取得部は、第1作業車両が所定の基準位置に位置しているときに第1検出装置が検出した高さである第1基準高さと、第2作業車両が基準位置に位置しているときに第2検出装置が検出した高さである第2基準高さとを取得し、圃場情報演算部は、第1高さを第1基準高さで補正した高さと、第2高さを第2基準高さで補正した高さと、の差に基づいて、圃場の作土深を演算する。
【発明の効果】
【0012】
上記農業支援システムによれば、圃場の状態を容易に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態における農業支援システムを示す図である。
【
図2】マップ演算部による分割データの割り当てを説明する図である。
【
図4】表示装置に表示される第1画面を説明する図である。
【
図5】第1画面に表示される表示変更部を説明する図である。
【
図6】第1画面に表示される最頻値選択部を説明する図である。
【
図7】第1画面に表示される凡例表示部を説明する図である。
【
図8】表示装置に表示される第2画面を説明する図である。
【
図9】表示装置に表示される第3画面を説明する第1図である。
【
図10】表示装置に表示される第3画面を説明する第2図である。
【
図11】表示装置に表示される第4画面を説明する図である。
【
図12】第2実施形態における農業支援システムを示す図である。
【
図13】表示装置に表示される第5画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、農業支援システム1を示している。農業支援システム1は、例えば、作業車両2が圃場を走行したときの高さに基づいて、圃場の状態を演算するシステムである。作業車両2は、インプルメント等の作業装置10が装着されたトラクタ2A、田植機2B、及び収穫を行うコンバイン2C等の農業機械を含んでいる。
【0015】
図1に示すように、トラクタ2Aは、走行装置7を有する走行車両3と、原動機4と、変速装置(図示略)とを備えている。走行装置7は、タイヤ型の走行装置又はクローラ型の走行装置である。原動機4は、ディーゼルエンジン、電動モータ等である。変速装置は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。走行車両3には運転席6が設けられている。
【0016】
また、走行車両3の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部8が設けられている。連結部8には、作業装置10が着脱可能である。作業装置10を連結部8に連結することによって、走行車両3によって作業装置10を牽引することができる。作業装置10は、耕耘する耕耘装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。本実施形態において、作業装置10は耕耘装置であり、耕耘装置はトラクタ2Aに牽引されて圃場の耕耘を行う。
【0017】
図1に示すように、田植機2Bは、走行装置17を有する走行車両13と、原動機14と、変速装置(図示略)と、苗植付装置18とを備えている。走行装置17は、タイヤ型の走行装置である。原動機14は、ディーゼルエンジン、電動モータ等である。変速装置は、変速によって走行装置17の推進力を切換可能であると共に、走行装置17の前進、後進の切換が可能である。走行車両13には運転席16が設けられている。苗植付装置18は走行車両13の後部に設けられている。苗植付装置18は、苗が搭載される苗載せ台18aを有し、当該苗載せ台18aから苗を取り出して、圃場等に植え付ける。
【0018】
図1に示すように、コンバイン2Cは、走行装置27を有する走行車両23と、原動機24と、変速装置(図示略)と、作物(例えば、穀物)を刈り取る刈取部28と、脱穀処理する脱穀装置(図示略)と、脱穀された作物を貯留するグレンタンク30と、を備えている。原動機24は、ディーゼルエンジン、電動モータ等である。変速装置は、変速によって走行装置27の推進力を切換可能であると共に、走行装置27の前進、後進の切換が可能である。走行車両23には運転席26が設けられている。なお、作業車両2は圃場を走行する車両であればよく、前述した作業車両2は一例であり限定されず、また、トラクタ2A、田植機2B、及びコンバイン2Cの構成は上述した構成に限定されない。
【0019】
図1に示すように、作業車両2は、制御装置40と、記憶部41と、通信部42と、位置検出装置43と、を備えている。制御装置40は、作業車両2を制御する装置であって、CPU等である。例えば、制御装置40は作業車両2に設けられた操作装置の操作に基づいて原動機等の機器の制御を行う。
記憶部41は、不揮発性のメモリ等であって、情報を記憶する記憶領域を構成する。記憶部41は、制御装置40の制御プログラムや外部から取得した情報を記憶する。
【0020】
通信部42は、外部(例えば、後述の支援装置60)と直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信モジュールであって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信部42は、例えば、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行うことができる。
【0021】
位置検出装置43は、作業車両2に装着されている。なお、位置検出装置43の作業車両2における装着場所は限定されず、別の場所であってもよい。位置検出装置43は、衛星測位システムによって自己の位置(緯度、経度、高度を含む測位情報)を検出する装置である。即ち、位置検出装置43は、測位衛星Zから送信された信号(測位衛星Zの位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて位置(緯度、経度、及び高度)を検出する。なお、位置検出装置43は、測位衛星Zからの信号を受信可能な基地局(基準局)からの補正等の信号に基づいて補正した位置を、自己の位置(緯度、経度、及び高度)として検出してもよい。また、位置検出装置43がジャイロセンサや加速度センサ等の慣性計測装置を有し、慣性計測装置によって補正した位置を、自己の位置として検出してもよい。
【0022】
図1に示すように、農業支援システム1は、表示装置50を備えている。表示装置50は、様々な情報を表示可能な装置であって、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネルのいずれかを有する装置である。例えば、表示装置50は、作業車両2に搭乗する作業者の周囲に設けられたターミナル表示装置である。ターミナル表示装置は、車載ネットワークを介して、制御装置40、及び通信部42等に接続されている。ターミナル表示装置は、通信部42等を介して支援装置60から様々な情報を取得して、当該情報を表示することが可能である。なお、表示装置50は、支援装置60から取得した情報を表示することができればよく、上述したターミナル表示装置に限定されず、作業車両2に搭乗して当該作業車両2を操作する運転者が所持する携帯端末や、管理者が有する管理端末であってもよい。携帯端末及び管理端末は、PCや比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)等で構成されている。斯かる場合において、携帯端末及び管理端末は、支援装置60と直接通信及び間接通信のいずれかを行う装置を有し、当該装置を介して支援装置60から様々な情報を取得して、当該情報を表示することが可能である。
【0023】
図1に示すように、支援装置60は、例えば、農家、営農会社、作業機械(農業機械)メーカ、農業のサービス等に設置されたサーバである。支援装置60は、外部から受信(取得)した情報(データ)の記憶、演算処理や管理を行う。支援装置60は、演算処理装置61と、記憶装置62と、通信装置63と、を有している。演算処理装置61は、CPUや電子回路等から構成され、外部から取得した様々情報の演算処理を行う。
【0024】
記憶装置62は、不揮発性のメモリ等であって、情報を記憶する記憶領域を構成する。記憶装置62は、演算処置装置61の処理プログラムや外部から取得した情報を記憶する。
通信装置63は、作業車両2と直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信モジュールであって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置63は、例えば、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行うことができ、通信部42及び車載ネットワークを介して間接通信を行い、演算処理を行った様々な情報を表示装置50に出力する。なお、表示装置50が携帯端末及び管理端末である場合、支援装置60は、表示装置50と直接通信を行い、演算処理を行った様々な情報を表示装置50に出力することが可能である。
【0025】
図1に示すように、農業支援システム1は、高さ検出装置43aと、情報取得部61aと、圃場情報演算部61bと、を備えている。高さ検出装置43aは、作業車両2に設けられ且つ、測位衛星Zの信号に基づいて作業車両2が圃場を走行したときの高さを検出する。本実施形態において、高さ検出装置43aは、位置検出装置43が兼用する。高さ検出装置43a(位置検出装置43)は、測位衛星Zから送信された信号(測位衛星Zの位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、受信した信号に基づいて位置(緯度、経度、及び高度)を検出し、制御装置40は、当該緯度、経度、及び高度を作業車両2の個別情報や検出した日付等と対応付けて位置情報として記憶部41に記憶する。
【0026】
なお、本実施形態において、位置検出装置43が高さ検出装置43aを兼用するが、高さ検出装置43aは、位置検出装置43と別に設けられていてもよく、位置検出装置43が受信した衛星信号に基づいて緯度及び経度を検出して、高さを検出しない場合、高さ検出装置43aは、位置検出装置43とは別に作業車両2に設けられ、衛星信号や加速度情報等に基づいて高さを検出してもよい。記憶部41に記憶された位置情報は、通信部42によって支援装置60に出力される。
【0027】
情報取得部61a及び圃場情報演算部61bは、演算処理装置61が兼用しており、当該演算処理装置61のCPUや電子回路等から構成されている。情報取得部61aは、作業車両2が圃場を走行したときの高さを取得する。具体的には、情報取得部61aは、通信装置63及び通信部42を介して作業車両2から位置情報を取得する。情報取得部61aは、記憶装置62に予め記憶された補正値に基づいて、位置情報のうち高さを作業車両2の接地面の高さに補正する。補正値は、接地面を基準とした位置検出装置43の高さである。これにより、情報取得部61aは、作業車両2が圃場を走行したときの高さを取得する。情報取得部61aが取得した高さは、当該高さが検出された位置における緯度、経度、作業車両2の個別情報、及び検出した日付等と対応付けて高さデータとして記憶装置62に記憶される。このため、記憶装置62には複数の高さデータが蓄積され、記憶装置62には緯度及び経度と対応付けられた高さの情報が複数記憶される。なお、情報取得部61aは、作業車両2が圃場を走行したときの高さを取得すればよく、その取得方法は上記方法に限定されない。
【0028】
圃場情報演算部61bは、情報取得部61aが取得した高さであって複数の高さに基づいて、圃場の状態を演算する。圃場情報演算部61bは、情報取得部61aが取得した高さデータに所定の演算処理を行う。具体的には、圃場情報演算部61bは、例えばマップ演算部70と、グループ設定部71と、を有している。マップ演算部70及びグループ設定部71は、演算処理装置61が有する電気・電子部品、電気回路、及び記憶装置62に格納されたプログラム等から構成されている。
【0029】
マップ演算部70は、情報取得部61aが取得した高さに基づいて、当該高さに基づく情報を圃場内に割り当てる処理を行う。マップ演算部70は、情報取得部61aが取得した高さに基づいて、情報取得部61aが取得した高さ、又は当該高さと任意の基準に基づいて当該基準からの高さを圃場の高さとして圃場内に割り当てる。
具体的には、マップ演算部70は、情報取得部61aが取得した高さであって複数の高さのうち、基準として最小値を取得する。マップ演算部70は、最小値を取得すると、情報取得部61aが取得した高さであって複数の高さと最小値との差分を算出する。即ち、当該差分は、取得した最小値を基準とした圃場の高さである。マップ演算部70は、それぞれの差分を分割データ(第1分割データD1n,n=1,2,3・・・n)として、高さデータの緯度及び経度に基づいて、高さを検出した位置ごとに第1分割データD1nを割り当てる。
【0030】
例えば、
図2に示すように、マップ演算部70は、1つの圃場内を複数のエリアQn(n=1,2,3・・・n)に区分したメッシュ型のマップを作成して、複数のエリアQnにそれぞれ対応する分割データ(第1分割データD1n)を割り当てる。例えば、
図2に示すように、メッシュサイズが10mである場合、マップ演算部70は、エリアQnの1辺の幅(縦幅、横幅)を10mに設定して、10mごとに作業場を複数のエリアQnに区切り、当該メッシュサイズで区切ることで形成したエリアQnに入るデータとして高さと最小値との差分を分割する。ここで、マップ演算部70は、エリアQnに入る差分が複数ある場合には、例えば、データの値(差分)を平均し、平均値をエリアQnに対応する第1分割データD1nとして割り当てる。また、マップ演算部70は、エリアQnに入るデータが1つである場合には、当該データをエリアQnに対応する第1分割データD1nとして割り当てる。マップ演算部70がエリアQn毎に第1分割データD1nを割り当てたマップ情報は、圃場の状態マップとして記憶装置62に記憶される。
【0031】
なお、メッシュサイズは、支援装置60に通信可能に接続された端末を操作して設定変更することができてもよい。また、情報取得部61aが取得した高さに基づいて圃場の高さをマップに割り当てる方法は、上述した方法に限定されず、取得した高さをエリアQnに入るデータとして分割してもよいし、マップ上に配置されるプロットとして高さを割り当ててもよいし、マップ上にグループに対応する等高線を作成して、高さを割り当てるような構成であってもよい。また、本実施形態において、第1分割データD1nは、情報取得部61aが取得した高さであって複数の高さのうち最小値を基準とした高さであるが、当該最小値以外の任意の高さを基準としてもよい。
【0032】
図2に示すように、グループ設定部71は、エリアQn毎に、それぞれのエリアQnに対応する分割データにグループを設定する。例えば、グループ設定部71は、状態マップにおいてマップ演算部70で割り当てられたエリアQn毎の第1分割データD1nに対して、グループを設定する。支援装置60に、予めグループ数とグループ毎の基準値(上限値、下限値)との関係を示すグループ設定情報が記憶されており、グループ設定部71は、グループ設定情報を参照し、分割データとグループ毎の基準値とを比較して、分割データ毎にグループを割り当てることで、グループを設定する。
【0033】
分割データは、高さの数値に応じて複数の段階のグループに分けられ、最も高さが低い(最も値が小さい)グループが「第1グループG1」、最も高さが高い(最も値が大きい)グループが「第nグループGn」に割り当てられる。本実施形態において、
図3の一覧表T1に示すように、グループは、第1グループG1から第5グループG5の5段階である。「第1グループG1」から「第5グループG5」の間に、数値の大きさの低いグループから順に、「第2グループG2」~「第4グループG4」が割り当てられている。なお、分割データを、どのグループに分けるかは任意であって、上述した例に限定されない。
図3に示した数値は、グループ分けを説明するための数値であり、限定されない。
【0034】
図4に示すように、表示装置50は、作業車両2が走行する圃場の周辺地図を示す第1画面M1を表示可能である。第1画面M1は、少なくとも情報取得部61aが取得した高さに関する高さ情報を表示する。また、第1画面M1は、高さ情報として圃場の高さを表示可能である。第1画面M1は、マップ表示部80と、表示切換部81と、操作部82と、表示変更部83と、を表示する。
【0035】
表示装置50は支援装置60から記憶装置62に記憶されている状態マップを取得し、マップ表示部80に状態マップを表示する。マップ表示部80は、複数のエリアQnにそれぞれ対応する第1分割データD1nに対して、当該第1分割データD1nの大きさ(値)に応じて、圃場の高さを示す複数のグループ(複数のランク)が割り当てられたマップである。マップ表示部80においては、複数のエリアQn毎に、グループ設定部71において予め割り当てられたグループ(ランク)が識別できるように、グループ(ランク)が色、数値、文字等で示されている。
図4の例の場合、第1画面M1の複数のエリアQn内に示した数値が圃場の高さを示している。
【0036】
表示切換部81は、操作可能な表示画像であり、操作されることで表示装置50に表示する画面を第1画面M1から異なる画面に切り換えることができる。また、表示切換部81には、遷移可能な画面の名称が表示されており、表示中の画面の名称は、グレーアウトして表示される。
操作部82は、マップ表示部80に表示される状態マップに様々な操作を行うことができる表示領域である。操作部82は、例えばマップを拡大及び縮小させる操作や、マップに作業車両2の現在地を表示させる操作を行うことができる。
【0037】
表示変更部83は、操作可能な表示画像であり、操作されることで状態マップに表示するグループの表示形態を変更することができる。表示変更部83は、例えばグループ毎に区分されたバー画像83aとスライダ画像83bと、を有している。バー画像83aは、幅方向に長尺の表示画像であり、左側から順に異なる表示形態が割り当てられている。本実施形態において、バー画像83aは、左側から順に、「1」~「10」が割り当てられている。
【0038】
スライダ画像83bは、バー画像83a上に表示される表示画像であり、バー画像83a上を左右に移動することで、マップ表示部80の状態マップに表示するグループの表示形態を選択可能である。本実施形態において、スライダ画像83bは、左右方向の長さが少なくともバー画像83aの左右方向の長さよりも短い枠状の表示画像である。スライダ画像83bの左端部は、第1グループG1と対応し、スライダ画像83bの右端部は、第5グループG5と対応している。このため、スライダ画像83bを左右方向に移動させることで、第1グループG1~第5グループG5の表示形態を選択可能である。
【0039】
表示変更部83が操作され、グループの表示形態を選択すると、表示装置50は、当該操作情報に基づいて、状態マップに表示するグループの表示形態を変更して表示する。表示変更部83は、例えば、
図4に示すように初期状態において、第1グループG1の表示形態として「1」を選択し、第2グループG2の表示形態として「2」を選択し、第3グループG3の表示形態として「3」を選択し、第4グループG4の表示形態として「4」を選択し、第5グループG5の表示形態として「5」を選択している。また、
図5に示すように、スライダ画像83bを移動させて、表示変更部83が、第1グループG1の表示形態として「3」を選択し、第5グループG5の表示形態として「7」を選択した場合、第2グループG2の表示形態として「4」が選択され、第3グループG3の表示形態として「5」が選択される。
【0040】
なお、表示変更部83は、操作されることで状態マップに表示するグループの表示形態を変更することができればよく、その変更方法や表示形態は上述した構成に限定されない。
また、表示変更部83は、最頻値選択部83cを有していても良い。最頻値選択部83cは、バー画像83aに隣接して表示される操作可能な表示画像であり、操作されることで、分割データの最頻値に対応するグループの表示形態として、バー画像83a上の中央に割り当てられた表示形態が選択されるようスライダ画像83bを移動させる。つまり、分割データの最頻値に相当するバー画像83a上の中央の表示形態が水平の基準面F1として表示される。例えば、
図6に示す例においては、最頻値は第2グループG2であるため、当該第2グループG2の表示形態として、バー画像83a上の中央に割り当てられた表示形態である「5」が選択されるようスライダ画像83bを移動される。
【0041】
また、
図7に示すように、第1画面M1は、表示変更部83の代わりにグループと第1分割データD1nとの関係を示す凡例表示部84を表示してもよい。凡例表示部84は、幅方向に長尺の表示画像であり、左側から順に異なる表示形態が割り当てられている。本実施形態において、グループを文字で表示しており、凡例表示部84は、左側から順に、第1グループG1~第5グループG5に対応する「1」~「5」がそれぞれ割り当てられおり、当該数字の近傍に第1分割データD1nを示す数値を表示する。
【0042】
また、表示装置50は、情報取得部61aが取得した高さに基づいて圃場の勾配を表示してもよい。
図1に示すように、圃場情報演算部61bは、勾配演算部72を有している。勾配演算部72は、演算処理装置61が有する電気・電子部品、電気回路、及び記憶装置62に格納されたプログラム等から構成されている。
勾配演算部72は、情報取得部61aが取得した高さに基づいて圃場の勾配を算出する。マップ演算部70が圃場内に割り当てた高さに基づいて圃場の勾配(勾配の方角及び勾配の角度)を算出する。勾配演算部72は、例えば情報取得部61aが取得した高さと最小二乗法とに基づいて最小二乗平面計算を行って圃場の勾配を算出する。詳しくは、勾配演算部72は、情報取得部61aが取得した高さに基づく第1分割データD1nによって最小二乗平面計算することで圃場の勾配を算出する。これにより、勾配演算部72が算出した圃場の勾配によって、
図14に示すように圃場の基準となる傾斜面(基準面)F1が算出される。勾配演算部72が算出した勾配は記憶装置62に記憶される。
【0043】
なお、勾配演算部72による勾配の算出方法は、上述した方法に限定されず、勾配演算部72は、情報取得部61aが取得した高さによって最小二乗平面計算することで圃場の勾配を算出してもよいし、最小二乗法によらないで勾配の算出を行ってもよい。
まず、圃場に給水を行う場所(給水部)と排水を行う場所(排水部)の位置情報を勾配演算部72が取得可能である場合について説明する。給水部及び排水部の位置情報は、例えば予め記憶装置62に記憶されたり、支援装置60と通信可能に接続されている端末によって給水部及び排水部の位置情報を入力される。端末によって給水部及び排水部の位置情報を入力する場合、例えば当該端末に表示される圃場のマップにおいて給水部及び排水部の位置をそれぞれ選択して入力を行う。
【0044】
勾配演算部72は、記憶装置62等から給水部と排水部の位置情報を取得すると、当該位置情報に基づいて給水部と排水部との間の距離と、給水部から排水部に向かう方角(勾配の方角)と、を算出する。また、勾配演算部72は、給水部に対応するエリアQaの分割データD1aと、排水部に対応するエリアQbの分割データD1bと、に基づいて、給水部との排水部の高さの差分を算出する。勾配演算部72は、算出した距離と差分との正接に基づいて勾配の角度を算出する。
【0045】
また、勾配演算部72が給水部及び排水部の位置情報を取得できない場合、勾配演算部72は、例えば圃場の周部におけるエリアの第1分割データD1nに基づいて圃場の勾配の算出を行う。まず、勾配演算部72は、圃場の周部におけるエリアQnのうち、一のエリアQnに対応する第1分割データD1nを、当該一のエリアQnに隣接するエリアQnと平均し、算出した分割データD2nを当該一のエリアQnの分割データとして割り当てる。勾配演算部72は、分割データD2nの割り当てを行うと、圃場の周部におけるエリアの分割データD2nのうち、最も高さが高いエリアを給水部に対応するエリアQaとして検出し、最も高さが低いエリアを排水部に対応するエリアQbとして検出する。勾配演算部72は、エリアQaとエリアQbとを検出すると、エリアQa及びエリアQbの位置情報に基づいて給水部と排水部との間の距離と、給水部から排水部に向かう方角と、を算出する。また、勾配演算部72は、給水部に対応するエリアQaの平均化を行う前の分割データD1aと、排水部に対応するエリアQbの平均化を行う前の分割データD1bと、に基づいて、給水部との排水部の高さの差分を算出する。勾配演算部72は、算出した距離と差分との正接に基づいて、勾配を算出する。
【0046】
図8に示すように、表示装置50は、第1画面M1に代えて、作業車両2が走行する圃場の周辺地図を示す第2画面M2を表示可能である。第2画面M2は、高さ情報として圃場の勾配を表示可能である。第2画面M2は、マップ表示部90と、表示切換部91と、操作部92と、凡例表示部93と、勾配表示部94と、を表示する。第2画面M2が表示するマップ表示部90は、第1画面M1が表示するマップ表示部80等と同様に状態マップを示す。表示切換部91は、第1画面M1が表示する表示切換部81等と同様に、操作されることで表示装置50に表示する画面を第2画面M2から異なる画面に切り換える。操作部92は、第1画面M1が表示する操作部82等と同様に、マップ表示部90に表示される状態マップに様々な操作を行うことができる。また、凡例表示部93は、第1画面M1が表示する凡例表示部84等と同様に、グループと第1分割データD1nとの関係を表示する。
【0047】
勾配表示部94は、勾配演算部72が演算した圃場の勾配を表示する表示領域である。
図8に示すように、例えば勾配表示部94は、圃場の勾配の角度を数値で表示し、勾配の方角を矢印状のアイコン94aで表示する。具体的には、表示装置50は支援装置60から記憶装置62に記憶されている勾配の角度及び勾配の方角を取得し、当該勾配の角度及び勾配の方角に基づいて勾配表示部94を表示する。本実施形態において、勾配表示部94は、勾配の角度を数値で「0.03°」と表示している。また、勾配表示部94のアイコン94aは、左側を向いており、勾配の方角が圃場の右側から左側に向かっていることを示す。
【0048】
また、表示装置50は、情報取得部61aが取得した高さによって得られた基準面F1に対する差分(凹凸)を表示してもよい。
図1に示すように、圃場情報演算部61bは、凹凸演算部73を有している。凹凸演算部73は、演算処理装置61が有する電気・電子部品、電気回路、及び記憶装置62に格納されたプログラム等から構成されている。
圃場情報演算部61bは、凹凸演算部73を有している。凹凸演算部73は、演算処理装置61が有する電気・電子部品、電気回路、及び記憶装置62に格納されたプログラム等から構成されている。
【0049】
凹凸演算部73は、高さ情報として高さによって得られた基準面F1に対する差分を算出して基準面F1に対する凹凸を算出する。本実施形態において、
図14に示すように、基準面F1は、勾配演算部72が算出した勾配に基づく傾斜面である。まず、凹凸演算部73は勾配演算部72が算出した勾配を取得する。凹凸演算部73は、勾配を取得すると、当該勾配に基づいて基準面(傾斜面)F1が水平方向を向く、即ち傾斜面F1が鉛直方向を向くように補正係数(第3分割データD3n)を算出する。斯かる場合、第3分割データD3nのうち、排水部に対応するエリアQbの第3分割データD3bは零となる。
【0050】
凹凸演算部73は、エリアQn毎の基準面F1の第3分割データD3nを算出すると、エリアQn毎にそれぞれ対応する第1分割データD1nと、算出した基準面F1の第3分割データD3nとの差分を凹凸として算出する。凹凸演算部73は算出した差分を第4分割データD4nとして圃場内への割り当てを行う。凹凸演算部73がエリアQn毎に算出した第4分割データD4nは、それぞれエリアQnごとに割り当てられ、圃場の凹凸マップとして記憶装置62に記憶される。また、記憶装置62に凹凸マップが記憶されると、グループ設定部71は、凹凸マップにおいて凹凸演算部73で割り当てられたエリアQn毎の第4分割データD4nに対して、グループを設定する。
【0051】
図9に示すように、表示装置50は、第1画面M1及び第2画面M2に代えて、作業車両2が走行する圃場の周辺地図を示す第3画面M3を表示可能である。第3画面M3は、高さ情報として高さによって得られた基準面F1に対する差分(凹凸)を表示可能である。第3画面M3は、マップ表示部100と、表示切換部101と、操作部102と、凡例表示部103と、勾配表示部104と、を表示する。第3画面M3が表示するマップ表示部100は、第1画面M1及び第2画面M2が表示するマップ表示部80,90と異なり、凹凸マップを示す。表示装置50は支援装置60から記憶装置62に記憶されている凹凸マップを取得し、マップ表示部100に凹凸マップを表示する。マップ表示部100は、複数のエリアQnにそれぞれ対応する第4分割データD4nに対して、当該第4分割データD4nの大きさ(値)に応じて、圃場の高さを示す複数のグループ(複数のランク)が割り当てられたマップである。マップ表示部100においては、状態マップ等と同様に、複数のエリアQn毎に、グループ設定部71において予め割り当てられたグループ(ランク)が識別できるように、グループ(ランク)が色、数値、文字等で示されている。
図9の例の場合、第3画面M3の複数のエリアQn内に示した数値が圃場の基準面F1に対する凹凸の高さを示している。
【0052】
表示切換部101は、第1画面M1が表示する表示切換部81等と同様に、操作されることで表示装置50に表示する画面を第3画面M3から異なる画面に切り換える。操作部102は、第1画面M1が表示する操作部82等と同様に、マップ表示部100に表示される凹凸マップに様々な操作を行うことができる。また、凡例表示部103は、第1画面M1が表示する凡例表示部84等と同様に、グループと第4分割データD4nとの関係を表示する。勾配表示部104は、第2画面M2が表示する勾配表示部94と同様に勾配演算部72が演算した圃場の勾配を表示する表示領域であり、圃場の勾配の角度を数値で表示し、勾配の方角を矢印状のアイコン104aで表示する。
【0053】
図9に示すように、勾配表示部104は、勾配の角度及び勾配の方角の補正の操作が可能な勾配変更部105を有していてもよい。勾配変更部105は、勾配の角度の変更操作が可能な角度変更部105aと、勾配の方角の変更操作が可能な方角変更部105bと、を有している。角度変更部105aは、例えば「+」と表示され且つ操作されることで勾配の大きさを増加させる増加部105a1と、「-」と表示され且つ操作されることで勾配の角度を減少させる減少部105a2と、を含んでいる。
【0054】
方角変更部105bは、時計回りに向き且つ操作によって勾配の方角を時計回りに所定角度変更する第1矢印部105b1と、反時計回りに向き且つ操作によって勾配の方角を反時計回りに所定角度変更する第2矢印部105b2と、を含んでいる。
表示装置50は、通信装置63を介して勾配変更部105の操作情報を支援装置60に出力し、支援装置60が操作情報を取得すると、凹凸演算部73が補正後の勾配の角度及び勾配の方角に基づく基準面F1に対する凹凸を算出する。凹凸演算部73が補正後の第4分割データD4nを割り当てたマップ情報は、補正後の凹凸マップとして記憶装置62に記憶される。これによって、
図9から
図10に遷移にするように、マップ表示部100は、勾配変更部105の変更操作に基づいて補正された勾配の角度及び勾配の方角に基づく凹凸マップを表示することができる。
【0055】
また、
図11に示すように、表示装置50は、圃場の凹凸を均す均平化作業を行う際の理想面F2の高さを表示してもよい。さらに、表示装置50は、当該理想面F2よりも大きく且つ均平化作業で移動させる作土量(以下、移動作土量という)を表示してもよい。斯かる場合、農業支援システム1は、理想面演算部74と、作土量演算部75と、を備えている。理想面演算部74及び作土量演算部75は、演算処理装置61が兼用しており、当該演算処理装置61のCPUや電子回路等から構成されている。
【0056】
理想面演算部74は、理想面F2の高さの演算を行う。
図14に示すように、理想面F2とは圃場の凹凸の作土量が一致する面であり、基準面F1と平行である。理想面演算部74は、例えば凹凸マップに基づいて理想面F2の高さを算出する。具体的には、理想面演算部74は、凹凸演算部73がエリアQn毎に算出し且つそれぞれエリアQnごとに割り当てられた第4分割データD4nと圃場の面積とに基づいて、勾配によって補正された圃場の土壌の体積を算出する。理想面演算部74は、土壌の体積を算出すると、当該算出した土壌の体積に基づいて理想面F2の高さを算出する。理想面演算部74が理想面F2の高さは記憶装置62に記憶される。
【0057】
作土量演算部75は、理想面F2の高さを算出すると、理想面F2よりも凸であるエリアQc、即ち理想面F2の高さよりも高い第4分割データD4nが割り当てられたエリアQcを検出する。作土量演算部75は、エリアQcを検出すると、当該検出されたエリアQc毎に理想面F2の高さと第4分割データD4nとの差分を算出して、作土量を第5分割データD5nとして算出する。作土量演算部75がエリアQn毎に算出した第5分割データD5nは、それぞれエリアQnごとに割り当てられ、圃場の作土量マップとして記憶装置62に記憶される。また、記憶装置62に作土量マップが記憶されると、グループ設定部71は、作土量マップにおいて作土量演算部75で割り当てられたエリアQn毎の第5分割データD5nに対して、グループを設定する。
【0058】
図11に示すように、表示装置50は、第1画面M1等に代えて、理想面マップと移動作土量を表示する第4画面M4を表示可能である。第4画面M4は、マップ表示部110と、表示切換部111と、操作部112と、凡例表示部113と、勾配表示部114と、理想面表示部115と、を表示する。第4画面M4が表示するマップ表示部110は、第1画面M1が表示するマップ表示部80等と異なり、作土量マップを示す。表示装置50は支援装置60から記憶装置62に記憶されている作土量マップを取得し、マップ表示部110に作土量マップを表示する。マップ表示部110が作土量マップを表示する場合、マップ表示部110は、複数のエリアQnにそれぞれ対応する第5分割データD5nに対して、当該第5分割データD5nの大きさ(値)に応じて、作土量を示す複数のグループ(複数のランク)が割り当てられたマップである。マップ表示部110においては、状態マップ等と同様に、複数のエリアQn毎に、グループ設定部71において予め割り当てられたグループ(ランク)が識別できるように、グループ(ランク)が色、数値、文字等で示されている。図
11の例の場合、第4画面M4の複数のエリアQn内に示した数値が移動させる作土量を示している。なお、第4画面M4が表示するマップ表示部110は、作土量マップと凹凸マップとを切換可能に表示してもよい。
【0059】
表示切換部111は、第1画面M1が表示する表示切換部81等と同様に、操作されることで表示装置50に表示する画面を第4画面M4から異なる画面に切り換える。操作部112は、第1画面M1が表示する操作部82等と同様に、マップ表示部110に表示される作土量マップに様々な操作を行うことができる。凡例表示部113は、第1画面M1が表示する凡例表示部84等と同様に、グループとマップ表示部110に表示するマップに対応する分割データ(第4分割データD4n又は第5分割データD5n)との関係を表示する。勾配表示部114は、第2画面M2が表示する勾配表示部94等と同様に勾配演算部72が演算した圃場の勾配を表示する表示領域であり、圃場の勾配の角度を数値で表示し、勾配の方角を矢印状のアイコン114aで表示する。
【0060】
理想面表示部115は、理想面演算部74が算出した理想面F2の高さを表示する表示画像である。本実施形態において、理想面表示部115は、矢印状のアイコンであり、第4画面M4のマップ表示部110が凹凸マップを表示する場合において凡例表示部113が表示する高さを指し示すことで理想面F2の高さを表示する。
上述した農業支援システム1は、作業車両2が圃場を走行したときの高さを取得する情報取得部61aと、情報取得部61aが取得した高さであって複数の高さに基づいて、圃場の状態を演算する圃場情報演算部61bと、を備えている。上記構成によれば、作業車両2の走行時に取得した高さによって圃場の状態を演算することができ、圃場状態の把握の効率性を向上させることができる。
【0061】
また、農業支援システム1は、情報取得部61aが取得した高さに関する高さ情報を表示する表示装置50を備え、表示装置50は、高さ情報として圃場の勾配を表示する。上記構成によれば、作業車両2の走行によって取得した高さ(高さ情報)によって圃場の勾配を容易に認識することができる。
また、表示装置50は、高さ情報として高さによって得られた基準面F1に対する差分を表示する。上記構成によれば、圃場の勾配等によって、圃場の凹凸の情報が埋もれてしまうことを抑制することができる。
【0062】
また、農業支援システム1は、作業車両2に設けられ且つ、測位衛星Zの信号に基づいて作業車両2が圃場を走行したときの高さを検出する高さ検出装置43aと、高さ検出装置43aが検出した高さを取得する情報取得部61aと、情報取得部61aが取得した高さであって複数の高さに基づいて圃場の状態を演算する圃場情報演算部61bと、を有する支援装置60と、を備えている。上記構成によれば、作業車両2の走行時に取得した高さによって圃場の状態を演算することができ、圃場状態の把握の効率性を向上させることができる。
【0063】
また、農業支援システム1は、情報取得部61aが取得した高さに関する高さ情報を表示する表示装置50を備え、表示装置50は、高さ情報として圃場の勾配を表示する。上記構成によれば、作業車両2の走行によって取得した高さ(高さ情報)によって圃場の勾配を容易に認識することができる。
また、農業支援システム1は、情報取得部61aが取得した高さに関する高さ情報を表示する表示装置50を備え、表示装置50は、高さ情報として高さによって得られた基準面F1に対する差分を表示する。上記構成によれば、圃場の勾配等によって、圃場の凹凸の情報が埋もれてしまうことを抑制することができる。
[第2実施形態]
図12は、農業支援システム1の別の実施形態(第2実施形態)を示す。第1実施形態における農業支援システム1において、圃場情報演算部61bは、圃場の状態として圃場の勾配や凹凸を演算するが、圃場の勾配や凹凸に代えて或いは加えて、圃場の状態として圃場の作土深を演算するような構成であってもよい。斯かる場合、表示装置50は、圃場情報演算部61bが演算した圃場の作土深を表示する。
【0064】
以下、第2実施形態の農業支援システム1について、上述した実施形態(第1実施形態)と異なる構成を中心に説明し、第1実施形態と共通する構成については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図12に示すように、圃場情報演算部61bは、作土深演算部76を有している。作土深演算部76は、演算処理装置61が有する電気・電子部品、電気回路、及び記憶装置62に格納されたプログラム等から構成されている。
【0065】
作土深演算部76は、複数の高さとして、情報取得部61aが取得した第1高さと第2高さとに基づいて、圃場の状態を演算する。第1高さ及び第2高さについて詳しく説明すると、第1高さは、作業車両2を所定の第1時期に走行させたときの高さであり、第2高さは、作業車両2を第1時期と異なる第2時期に走行させたときの高さである。以下の説明の都合上、第1時期に走行する作業車両2を第1作業車両2Aとして説明し、第2時期に走行する作業車両2を第2作業車両2Bとして説明する場合がある。例えば、第1作業車両2Aは、耕耘する耕耘装置を牽引するトラクタ2Aであり、第2作業車両2Bは、田植機2Bである。このため、
図14に示すように、第1作業車両(トラクタ)2Aは、圃場における作土の表面を走行し、第1高さは、作土の表面の高さである。一方、第2作業車両(田植機)2Bは、圃場における硬盤層の表面を走行し、第2高さは、硬盤層の表面の高さである。
【0066】
第1時期は、トラクタ2Aが耕耘装置を牽引して圃場の耕耘作業を行う時期であり、第2時期は、田植機2Bが圃場に田植を行う時期である。また、第1作業車両2Aに設けられた高さ検出装置43a(以下、第1検出装置43a1という)が第1高さの検出を行い、第2作業車両2Bに設けられた高さ検出装置43a(以下、第2検出装置43a2という)が第2高さの検出を行う。
【0067】
なお、第1作業車両2A及び第2作業車両2Bの組み合わせは上述した組み合わせに限定されず、第1作業車両2Aがトラクタ2Aであって第2作業車両2Bがコンバイン2Cであってもよいし、演算する圃場の状態によって選択されていればよい。
以下、作土深演算部76による圃場の状態(作土深)の演算について詳しく説明する。まず、第1時期において、第1作業車両2Aが圃場で走行を行い、第1検出装置43a1が第1高さを検出する。また、第1作業車両2Aは、好ましくは作業車両2の接地面が水平であり且つ比較的硬質である任意の基準位置に移動し、第1検出装置43a1が当該基準位置において第1基準高さを検出する。基準位置は、例えば圃場に隣接し、且つコンクリートやアスファルト等で構成された道路である。つぎに、第2時期において、第2作業車両2Bが圃場で走行を行い、第2検出装置43a2が第2高さを検出する。また、第2作業車両2Bは、第1検出装置43a1が第1基準高さを検出した基準位置に移動し、第2検出装置43a2が当該基準位置において第2基準高さを検出する。
【0068】
作土深演算部76は、マップ演算部70が複数のエリアQnにそれぞれ分割データを割り当てた圃場の状態マップを記憶装置62から取得し、当該状態マップに基づいて圃場における作土深を演算する。なお、以下の説明において、第1高さに基づく第1分割データD1nを第1データD7nといい、第2高さに基づく第1分割データD1nを第2データD8nという。また、以下の説明において、第1高さに対応する状態マップを第1状態マップといい、第2高さに対応する状態マップを第2状態マップといい、第1状態マップと第2状態マップのメッシュサイズは一致しており、且つ第1状態マップのエリアQnと第2状態マップのエリアQnは、共通である。
【0069】
第2実施形態において、マップ演算部70が第1高さに基づいて複数のエリアQnに第1データD7nを割り当てる場合、当該マップ演算部70は、第1実施形態と異なり、第1高さを第1基準高さで補正し、第2高さを第2基準高さで補正する。具体的には、マップ演算部70は、情報取得部61aが取得した第1高さであって複数の第1高さと第1基準高さとの差分を算出し、それぞれ第1データD7nとして、高さデータの緯度及び経度に基づいて、高さを検出した位置ごとに分割データを割り当てる。また、マップ演算部70が第2高さに基づいて複数のエリアQnに第2データD8nを割り当てる場合、当該マップ演算部70は、第1実施形態と異なり情報取得部61aが取得した第2高さであって複数の第2高さと第2基準高さとの差分を算出し、それぞれ第2データD8nとして、高さデータの緯度及び経度に基づいて、高さを検出した位置ごとに分割データを割り当てる。
【0070】
作土深演算部76は、第1状態マップと第2状態マップとを記憶部41から取得して、当該第1状態マップ及び第2状態マップに基づいてそれぞれのエリアQnごとに作土深を算出する。つまり、作土深演算部76は、第1高さを第1基準高さで補正した高さと、第2高さを第2基準高さで補正した高さと、の差に基づいて、作土深を算出する。詳しくは、作土深演算部76は、第1データD7nと第2データD8nとの差分を算出することで、エリアQnごとに作土深を算出する。即ち、本実施形態において、エリアQnごとの作土深は、田植機2B(第2作業車両2B)の第2検出装置43a2が検出した第2高さと第2基準高さとの差分(第2高さ-第2基準高さ)と、トラクタ2A(第1作業車両2A)の第1検出装置43a1が検出した第1高さと第1基準高さとの差分(第1高さ-第1基準高さ)と、の差分によって算出される作土深演算部76がエリアQn毎に算出した作土深(第7分割データD9n)は、それぞれエリアQnごとに割り当てられ、圃場の作土深マップとして記憶装置62に記憶される。また、記憶装置62に作土深マップが記憶されると、グループ設定部71は、作土深マップにおいて作土深演算部76で割り当てられたエリアQn毎の第7分割データD9nに対して、グループを設定する。
【0071】
図13に示すように、表示装置50は、作業車両2が走行する圃場の周辺地図を示す第5画面M5を表示可能である。第5画面M5は、高さ情報として圃場情報演算部61bが演算した圃場の作土深を表示可能である。第5画面M5は、マップ表示部120と、表示切換部121と、操作部122と、凡例表示部123と、を表示する。第5画面M5が表示するマップ表示部120は、第1画面M1が表示するマップ表示部
80と異なり、作土深マップを示す。表示装置50は支援装置60から記憶装置62に記憶されている作土深マップを取得し、マップ表示部120に作土深マップを表示する。マップ表示部120は、複数のエリアQnにそれぞれ対応する第7分割データD9nに対して、当該第7分割データD9nの大きさ(値)に応じて、圃場の
作土深を示す複数のグループ(複数のランク)が割り当てられたマップである。マップ表示部120においては、状態マップ等と同様に、複数のエリアQn毎に、グループ設定部71において予め割り当てられたグループ(ランク)が識別できるように、グループ(ランク)が色、数値、文字等で示されている。
図13の例の場合、第5画面M5の複数のエリアQn内に示した数値が作土深を示している。表示切換部121は、第1画面M1が表示する表示切換部
81等と同様に、操作されることで表示装置50に表示する画面を第5画面M5から異なる画面に切り換える。操作部122は、第1画面M1が表示する操作部
82等と同様に、マップ表示部120に表示される状態マップに様々な操作を行うことができる。また、凡例表示部123は、第1画面M1が表示する凡例表示部
84等と同様に、グループと第7分割データD9nとの関係を表示する。
【0072】
上述した情報取得部61aは、作業車両2を第1時期に走行させたときの高さである第1高さと、作業車両2を第2時期に走行させたときの高さである第2高さとを取得し、圃場情報演算部61bは、複数の高さとして、情報取得部61aが取得した第1高さと第2高さとに基づいて、圃場の状態を演算する。上記構成によれば、圃場の状態の演算精度を向上させることができる。
【0073】
また、圃場情報演算部61bは、第1高さと第2高さとの差に基づいて、圃場の状態として圃場の作土深を演算する。上記構成によれば、比較的簡単に作土深を演算することができる。
また、情報取得部61aは、作業車両2が第1時期に所定の基準位置に位置しているときの高さである第1基準高さと、作業車両2が第2時期に基準位置に位置しているときの高さである第2基準高さとを取得し、圃場情報演算部61bは、第1高さを第1基準高さで補正した高さと、第2高さを第2基準高さで補正した高さと、の差に基づいて、圃場の状態として圃場の作土深を演算する。上記構成によれば、第1時期と第2時期とで第1高さと第2高さとの基準の高さが変化した場合であっても、所定の基準位置でキャリブレーションを行うことができる。これにより、圃場の作土深を精度よく演算できる。
【0074】
また、高さ検出装置43aは、第1時期に作業を行う作業車両2である第1作業車両2Aに設けられた第1検出装置43a1と、第2時期に作業を行う作業車両2である第2作業車両2Bに設けられた第2検出装置43a2とを含み、情報取得部61aは、第1検出装置43a1が検出した高さである第1高さと、第2検出装置43a2が検出した高さである第2高さとを取得し、圃場情報演算部61bは、複数の高さとして、情報取得部61aが取得した第1高さと第2高さとに基づいて、圃場の状態を演算する。上記構成によれば、圃場の状態の演算精度を向上させることができる。
【0075】
また、圃場情報演算部61bは、第1高さと第2高さとの差に基づいて、圃場の状態として圃場の作土深を演算する。上記構成によれば、比較的簡単に作土深を演算することができる。
また、情報取得部61aは、第1作業車両2Aが所定の基準位置に位置しているときに第1検出装置43a1が検出した高さである第1基準高さと、第2作業車両2Bが基準位置に位置しているときに第2検出装置43a2が検出した高さである第2基準高さとを取得し、圃場情報演算部61bは、第1高さを第1基準高さで補正した高さと、第2高さを第2基準高さで補正した高さと、の差に基づいて、圃場の状態として圃場の作土深を演算する。上記構成によれば、第1検出装置43a1と第2検出装置43a2の基準の高さが異なる場合であっても、所定の基準位置でキャリブレーションを行うことができる。これにより、圃場の作土深を精度よく演算できる。
【0076】
以上、本発明について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
1 農業支援システム
2 作業車両
2A トラクタ(第1作業車両)
2B 田植機(第2作業車両)
43a 高さ検出装置
44a1 第1検出装置
44a2 第2検出装置
50 表示装置
60 支援装置(サーバ)
61 演算処理装置
61a 情報取得部
61b 圃場情報演算部
F1 傾斜面(基準面)
Z 測位衛星