(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ポジションセンサ及びポジション検出方法
(51)【国際特許分類】
G01D 5/245 20060101AFI20240610BHJP
F02D 11/02 20060101ALI20240610BHJP
G01D 5/244 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01D5/245 H
F02D11/02 Z
G01D5/245 110L
G01D5/244 K
(21)【出願番号】P 2020124358
(22)【出願日】2020-07-21
【審査請求日】2023-04-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(72)【発明者】
【氏名】篠原 広廉
【審査官】藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-060238(JP,A)
【文献】特開2001-041086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 ~ 5/252
F02D 9/00 ~ 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と共に回転する磁石と、
前記磁石から生じる磁束を検出する複数の磁気センサと、
前記磁気センサによる検出値に基づいて、前記回転体の回転角度、及び、前記磁気センサの異常、を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、前記磁気センサによる検出値の値に対応する前記回転体の回転角度の値を検出すると共に、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出
し、
さらに前記検出部は、
外部磁界が作用していないときにおける2つの前記磁気センサからの検出値が、前記回転体の回転角度に応じた前記磁気センサからの検出値を表す予め設定された同一の軌跡上の値となるよう検出すると共に、前記軌跡は、前記回転体の回転角度の所定の範囲毎に設定された区間毎に、前記回転体の回転角度の変化に応じた前記磁気センサからの検出値の変化率が異なるよう設定されており、
さらに、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値の差が予め設定された閾値以上である場合に前記磁気センサの異常を検出すると共に、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値の差が前記閾値よりも小さい値であって前記磁気センサの異常を検出していない場合に、前記軌跡上の特定の前記区間において、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジションセンサ。
【請求項2】
請求項
1に記載のポジションセンサであって、
前記検出部は、前記磁気センサの異常を検出していない場合に、前記軌跡上の前記変化率が他の前記区間よりも大きく設定された前記区間において、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジションセンサ。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のポジションセンサであって、
複数の前記磁気センサは、それぞれが異なる位置に配置されている、
ポジションセンサ。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載のポジションセンサであって、
複数の前記磁気センサは、前記磁石から受ける磁束の値がそれぞれ異なるよう配置されている、
ポジションセンサ。
【請求項5】
回転体と共に回転する磁石から生じる磁束を、複数の磁気センサによって検出すると共に、前記磁気センサによる検出値に基づいて、前記回転体の回転角度、及び、前記磁気センサの異常、を検出するポジション検出方法であって、
前記磁気センサによる検出値の値に対応する前記回転体の回転角度の値を検出すると共に、外部磁界が作用したときに検出する磁束の値に差が生じるようそれぞれ配置された複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出
し、
外部磁界が作用していないときにおける2つの前記磁気センサからの検出値が、前記回転体の回転角度に応じた前記磁気センサからの検出値を表す予め設定された同一の軌跡上の値となるよう検出すると共に、前記軌跡は、前記回転体の回転角度の所定の範囲毎に設定された区間毎に、前記回転体の回転角度の変化に応じた前記磁気センサからの検出値の変化率が異なるよう設定されており、
さらに、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値の差が予め設定された閾値以上である場合に前記磁気センサの異常を検出すると共に、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値の差が前記閾値よりも小さい値であって前記磁気センサの異常を検出していない場合に、前記軌跡上の特定の前記区間において、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジション検出方法。
【請求項6】
請求項
5に記載のポジション検出方法であって、
前記磁気センサの異常を検出していない場合に、前記軌跡上の前記変化率が他の前記区間よりも大きく設定された前記区間において、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジション検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転位置を検出するポジションセンサ及びポジション検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車では、運転者がスロットルグリップを回転させることで、アクセル開度を調整してアクセル操作を行う。そして、アクセル開度の検出は、スロットルグリップの回転角度を検出することで行われるが、近年では、スロットルグリップと共に回転する磁石から生じる磁束を磁気センサによって検出することで行われることが多々ある。
【0003】
ここで、特許文献1には、磁気センサを用いてアクセル開度を検出するアクセルポジションセンサの一例が開示されている。特許文献1に開示のアクセルポジションセンサは、グリップと一体的に回動する磁石と、磁石に対峙させて固定している磁気センサであるホール素子と、を備えている。これにより、特許文献1では、ホール素子による検出値を用いてグリップの回転角度を検出し、アクセル開度を検出することとしている。
【0004】
また、特許文献1では、磁気センサであるホール素子を2つ備えており、特に、2つのホール素子を相互に距離を空けて配置して、2つのホール素子が受ける磁束密度に差を持たせるようにしている。これにより、特許文献1では、外部磁界が作用すると、2つのホール素子の検出値の差が大きくなり、かかる検出値の差が閾値を超えたときに、センサ自体の異常を検知することとしている。そして、センサの異常を検知した場合には、例えば、エンジンをアイドリング状態とするなど、予め設定された異常時のスロットル制御を行うこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、2つの磁気センサの出力差が閾値を超えたときに異常が検知されるだけである。このため、外部磁界が作用している状況において、2つの磁気センサの出力差が閾値を超えない場合には、磁気センサが外部磁界の影響を受け、誤検出が行われる可能性がある。その結果、ポジションセンサによって誤検出された検出値による車両などの操作対象の意図しない動作が生じる可能性がある。
【0007】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、磁気センサを用いて回転体のポジションを検出する場合において、外部磁界の影響による回転位置の誤検出により生じうる操作対象の意図しない動作を抑制することができるポジションセンサ及びポジション検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態であるポジションセンサは、
回転体と共に回転する磁石と、
前記磁石から生じる磁束を検出する複数の磁気センサと、
前記磁気センサによる検出値に基づいて、前記回転体の回転角度、及び、前記磁気センサの異常、を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
という構成をとる。
【0009】
また、本発明の一形態であるポジション検出方法は、
回転体と共に回転する磁石から生じる磁束を、複数の磁気センサによって検出すると共に、前記磁気センサによる検出値に基づいて、前記回転体の回転角度、及び、前記磁気センサの異常、を検出するポジション検出方法であって、
外部磁界が作用したときに検出する磁束の値に差が生じるようそれぞれ配置された複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上のように構成されることにより、磁気センサを用いて回転体のポジションを検出する場合において、外部磁界の影響による回転位置の誤検出により生じうる操作対象の意図しない動作を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施形態におけるスロットル装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示すスロットル装置の一部破断斜視図である。
【
図3】
図2に示す磁石と基板との位置関係を示す図である。
【
図4】
図2に示す磁石と基板との位置関係を示す図である。
【
図5】第1の実施形態におけるポジションセンサの構成を示すブロック図である。
【
図6】
図5に示すポジションセンサを構成する磁気センサにて検出した検出値の一例を示す図である。
【
図7】
図5に示すポジションセンサを構成する磁気センサにて検出した検出値の一例を示す図である。
【
図8】
図5に示すポジションセンサを構成する磁気センサにて検出した検出値の一例を示す図である。
【
図9】
図5に示すポジションセンサを構成する磁気センサにて検出した検出値の差分の一例を示す図である。
【
図10】
図5に示すポジションセンサの動作を示すフローチャートである。
【
図11】
図5に示すポジションセンサの動作を示すフローチャートである。
【
図12】
図5に示すポジションセンサを構成する磁気センサにて検出した検出値の他の例を示す図である。
【
図13】
図5に示すポジションセンサを構成する磁気センサにて検出した検出値の他の例を示す図である。
【
図14】
図5に示すポジションセンサを構成する磁気センサにて検出した検出値の他の例を示す図である。
【
図15】
図5に示すポジションセンサの他の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図15を参照して説明する。
図1乃至
図9は、ポジションセンサの構成を説明するための図であり、
図10乃至
図11は、ポジションセンサの動作を説明するための図である。
図12乃至
図15は、ポジションセンサの他の構成を説明するための図である。
【0013】
[構成]
本実施形態におけるポジションセンサは、回転体の回転度合い、つまり回転方向の回転位置(ポジション)を検出するための装置である。特に、本実施形態におけるポジションセンサは、
図1に示すように、自動二輪車のアクセル操作を行うためのスロットル装置100に搭載され、スロットルグリップ1の回転角度を検出するためのものである。そして、本実施形態におけるポジションセンサは、さらに、ポジションセンサ自体の異常の発生を検知する機能も有する。但し、本発明におけるポジションセンサは、必ずしもスロットル装置に搭載されることに限定されず、いかなる回転体の回転位置を検出するために用いられてもよい。
【0014】
まず、ポジションセンサが搭載されるスロットル装置100の主な機構について、
図1乃至
図4を参照して説明する。なお、
図1は、本実施形態におけるスロットル装置100の斜視図である。
図2は、
図1に示すスロットル装置100の一部破断斜視図である。
【0015】
図1に示すスロットル装置100は、例えば、二輪車のハンドルの右側に取り付けられる。スロットル装置100の回転軸2には、回転体であるスロットルグリップ1が取り付けられる。スロットルグリップ1は、回転軸2を中心に、後述する第1位置と第2位置と第3位置との間で回転自在である。
【0016】
ここで、第1位置(特定の回転位置)とは、スロットルグリップ1が自然に戻っている位置であり、回転角度が略0度として設定されたスロットル全閉のグリップ位置である。二輪車の運転者である操作者がスロットルグリップ1を操作していないときには、グリップ位置は第1位置にあり、二輪車のエンジンはアイドリングしている状態にある。なお、本実施形態では、第1位置は、後述する
図6に示すように、スロットルグリップ1の回転角度が0度前後の所定範囲に設定されており、例えば、-2.5度から+2度の間に設定されていることとする。
【0017】
また、第2位置とは、上記第1位置から二輪車の運転者である操作者が手前方向(第2位置方向:一方向)にスロットルグリップ1をこれ以上回動できない位置まで回転させた位置であり、回転角度が正の値であるスロットル全開のグリップ位置である。操作者がスロットルグリップ1を操作して、当該スロットルグリップ1を第1位置から第2位置に向かって回転させたときには、回転角度が大きくなるにつれて二輪車のエンジンの出力が大きくなり、特に、第2位置まで回転させたときには、二輪車のエンジンは最大出力に向けて上昇している状態にある。
【0018】
また、第3位置とは、上記第1位置から二輪車の運転者である操作者が進行方向(第3位置方向:一方向とは反対回転方向)にスロットルグリップ1をこれ以上回転できない位置まで回転させた位置であり、例えば、回転角度が-10度というように回転角度が負の値となるグリップ位置である。操作者がスロットルグリップ1を操作して、当該スロットルグリップ1を第1位置から第3位置に向かって回転させたときには、二輪車の所定の機能に対する操作が行われる。例えば、操作者がスロットルグリップ1を第1位置から第3位置に向かって回転させたときには、操作者が二輪車のクルーズ・コントロール機能をキャンセルする操作が行われることとなる。
【0019】
図2に示すように、スロットル装置100の内部には、リターンスプリング3、磁石10、基板20が設けられている。リターンスプリング3は、スロットルグリップ1に接続され、第1位置からスロットル開方向(第2位置の方向)に回転しているスロットルグリップ1に戻りの付勢力を付与する。これにより、操作者がスロットルグリップ1を第1位置から第2位置あるいは第3位置のいずれかの方向に回転させる操作を行い、その後、スロットルグリップ1から手を放し回転させる操作を止めたときには、リターンスプリング3等の付勢力によって、スロットルグリップ1は第1位置まで引き戻される。
【0020】
磁石10は、スロットルグリップ1に連結され、当該スロットルグリップ1と一体的に回転する。このとき、磁石10は、リターンスプリング3の外周に沿うように回転する。磁石10は、弧を描くセグメント(C)型である。そして、磁石10の長手方向の両端がN極およびS極に磁化されている。
【0021】
基板20は、複数の磁気センサを備えており、磁石10と対峙させて固定している。磁気センサとしては、ホール素子、磁気抵抗素子、磁気インピーダンス素子、超電導量子干渉素子があるが、本実施形態では、磁気センサとしてホール素子を用いている。
【0022】
図3及び
図4は、
図2に示すスロットルグリップ1の第1位置における磁石と基板との位置関係を模式的に示す図である。
図3に示すように、磁石10はマグネットホルダー4に収容されている。マグネットホルダー4は、スロットルグリップ1(
図2参照)の一端にその回転軸2と同軸に取り付けられる。マグネットホルダー4は、スロットルグリップ1が回転すると、
図3の矢印に示す方向に連動して回転する。
【0023】
基板20は、スロットル装置100(
図2参照)のハウジング(図示せず)内に固定して取り付けられる。したがって、磁石10は、固定されている基板20の表面を沿うように回転する。また、基板20には、2つのホールIC21,22が取り付けられている。基板20の磁石10側の面には、
図4に示すように第一のホールIC21が設けられ、基板20の磁石10側の面とは反対側の面には、
図3及び
図4に示すように第二のホールIC22が設けられる。
【0024】
図3に示すように、スロットルグリップ1がスロットル全閉の第1位置にあるときには、2つのホールIC21,22は、磁石10の一方の磁極(例えば、N極)の端部の手前付近側と対峙する。また、スロットルグリップ1が第1位置から回転してスロットル全開の第2位置にあるときには、磁石10は
図3の位置から回転しているので、2つのホールIC21,22は磁石10の他方の磁極(例えば、S極)側と対峙する。また、スロットルグリップ1がスロットル全閉からさらに進行方向側に回転された第3位置にあるときには、磁石10は
図3の位置から上述した第2位置とは反対側にさらに回転しているので、2つのホールIC21,22は磁石10の一方の磁極(例えば、N極)の端部側と対峙する。
【0025】
そして、図示しないが、2つのホールIC21,22には、それぞれ磁気センサであるホール素子が設けられる。このため、2つのホール素子は、磁石10に対峙するように基板20に固定されている。ここで、2つのホール素子は、基板20の表裏両面に分けて設けられる。そして、ホール素子は、外部磁界(たとえば強磁界)が作用したときに、2つのホール素子それぞれが受ける磁束密度に差を持たせるように配置されている。具体的には、
図4に示すように、2つのホール素子は、磁石10から受ける磁界の大きさが異なるように、その磁界の磁力線の方向および磁力線の方向と交差する方向の2方向に相互にオフセットされて配置されている。このように配置することで、一方のホール素子は、他方のホール素子よりも外部磁界の影響を受けやすくなる。すると、
図4の矢印Mに示すように、2つのホール素子に外部磁界が作用すると、各ホール素子の出力が大きく変動する。
【0026】
ここで、2つのホール素子を磁界の磁力線の方向にオフセットするとは、2つのホール素子の位置を基板20の面上で変えることである。また、2つのホール素子を磁力線の方向と交差する方向にオフセットするとは、2つのホール素子の表面と裏面に分けて配置し、基板20の厚みを用いてホール素子の位置を変えることである。
【0027】
次に、上述したスロットル装置100に搭載されるポジションセンサの構成を、
図5のブロック図を参照して説明する。ポジションセンサは、上述した磁石10と、それぞれホール素子が設けられた2つのホールICからなる第一センサ21及び第二センサ22を備えた基板20と、により構成される。基板20は、自動二輪車である車両側に搭載されたECU(Engine Control Unit:エンジンコントロールユニット)30に接続されており、電源の供給を受けている。そして、基板20は、上述したように第一センサ21及び第二センサ22を備えており、当該第一センサ21及び第二センサ22による検出値である電圧値をそれぞれ増幅する増幅器23,24を備えている。また、基板20は、ECU30と信号線を介して接続されており、第一センサ21及び第二センサ22にて検出し、増幅器23,24にて増幅した電圧値Va、Vbを、ECU30に入力可能なよう構成されている。
【0028】
ここで、各増幅器23,24は、第一センサ21による検出値(第一検出値)と、第二センサ22による検出値(第二検出値)と、の間の関係性が、予め設定された関係となるよう各検出値を増幅するよう構成されている。つまり、第一センサ21及び第二センサ22にて検出される検出値は、各増幅器23,24の機能により、磁石10の回転角度に応じて、予め設定された関係性を有する値となるよう設定されている。例えば、第一センサ21と第二センサ22との各検出値は、磁石10の回転角度が同一の値である場合には、同一の値となるよう設定されている。つまり、第一センサ21と第二センサ22との検出値は、各増幅器23,24の機能により、
図6の符号Lに示すように、磁石10の回転角度に応じて予め設定された同一の軌跡上の値を取るよう設定されている。但し、第一センサ21と第二センサ22との検出値の軌跡Lは、完全に同一であることに限定されず、予め設定された範囲内で差があってもよく、略同一であってもよい。
【0029】
このとき、磁石10の回転角度の範囲内に複数の区間が設定されており、区間毎に、第一センサ21と第二センサ22との各検出値の磁石10の回転角度の変化に応じた変化率が異なるよう設定されている。例えば、本実施形態では、
図6に示すように、磁石10の回転角度の区間として、-10度から-5度の第一区間(D2より小さい区間)、-5から+2度の第二区間(D2以上でありD1より小さい区間)、+2度以上の第三区間(D1以上の区間)、が設定されていることとする。なお、第二区間は、上述したグリップの第1位置を含むと共に第3位置側にも位置する区間である。そして、第一区間では、検出値の変化率は0、つまり、一定値であり、第二区間では、回転角度が大きくなるにつれて検出値が大きくなる変化率aに設定されており、第三区間では、回転角度が大きくなるにつれて検出値が大きくなる変化率bに設定されている。このとき、第三区間の変化率bつまりその傾きbは、第二区間の変化率aつまりその傾きaよりも大きく設定されている。このように、第一センサ21と第二センサ22との各検出値の軌跡Lは、設定された区間ごとに、磁石10の回転角度の変化に伴う検出値の変化率が異なるよう設定されている。
【0030】
また、基板20は、電子回路にて構成された異常検知回路25(検出部)を備えている。異常検知回路25は、第一センサ21及び第二センサ22による検出値である電圧値を用いて、第一センサ21又は第二センサ22に異常が生じたことを検知する機能を有する。具体的に、異常検知回路25は、第一センサ21及び第二センサ22にて検出した検出値を、基板20に搭載された増幅器23,24と同様に増幅した値となるよう電圧値Va,Vbに変換し、かかる電圧値Va,Vb間の関係性の変化の有無を調べる。ここでは、電圧値Va,Vb間の関係性としては、
図6の軌跡Lに示すように、両者が同一の軌跡、つまり、同一の値をとる、という関係性が設定されているため、異常検知回路25は、かかる関係性を満たすか否かを調べる。そして、異常検知回路25は、電圧値Va,Vbが異なる値であり、同一の値をとるという関係性が満たされない、つまり、予め設定された関係性が変化した場合には、第一センサ21又は第二センサ22に異常が生じたことを検知する。なお、異常とは、例えば、一方のセンサの故障であったり、外部磁界Mの発生である。特に、本実施形態では、上述したように、第一センサ21と第二センサ22にオフセットを設けて配置しているため、磁石10からの磁束とは異なる外部磁界Mが生じた場合には、第一センサ21と第二センサ22がそれぞれ異なる影響を受け、各検出値が同一の値をとるという関係性が満たされなくなる。このため、外部磁界Mの発生も検知することができる。
【0031】
具体的に、本実施形態における異常検知回路25は、第一センサ21及び第二センサ22による検出値の設定された軌跡Lは略同一であるため、実際に検出した電圧値Va,Vbが異なる値であっても、予め設定された略同一と判断できる範囲内の差であれば、異常発生を検知しない。つまり、異常検知回路25は、電圧値Va,Vbが異なる値であって、
図7に示すように、例えば、その差Dの絶対値が予め設定された閾値である0.2mVより小さい場合は異常発生を検知せず、電圧値Va,Vbの差Dの絶対値が閾値である0.2mV以上となった場合には、異常発生を検知する。
【0032】
そして、異常検知回路25は、異常発生の検知の有無に応じて、第一センサ21及び第二センサ22にて検出したときの電圧値Va,Vbの出力制御を行う。例えば、異常検知回路25は、異常発生を検知しない場合には、ECU30に対する電圧値Va,Vbの出力に関与しない。このため、基板20からは、第一センサ21及び第二センサ22にて検出して増幅器23,24にて増幅された電圧値Va,VbがECU30に対して出力される。そして、ECU30によって電圧値に応じたスロットル開度が検出され、検出されたスロットル開度に対応するスロットル制御が行われることとなる。つまり、ECU30は、スロットルグリップ1つまり磁石10の回転角度を検出する検出部として機能する。
【0033】
このとき、ECU30は、スロットルグリップ1が上述した第1位置よりも第2位置側に位置し、
図6に示すように回転角度が+2度以上に相当する電圧値V1である場合には、回転角度が大きくなるにつれて二輪車のエンジンの出力が大きくなるよう制御する。また、ECU30は、グリップが上述した第1位置に位置し、
図6に示すように回転角度が-2.5度から+2度に相当する電圧値V2からV3の間である場合には、アイドリング制御を行う。また、ECU30は、スロットルグリップ1が上述した第1位置よりも第3位置側に位置し、
図6に示すように-2.5度以下に相当する電圧値V3以下である場合には、クルーズ・コントロール機能をキャンセルする制御を行う。なお、第一センサ21にて検出した電圧値がV2以上である場合、つまり、上述した第三区間に位置する場合には、検出値の変化率bが他の区間と比較して大きく設定されている。このため、検出値に対する分解能が高く、スロットルグリップ1の回転角度に応じてより精度よくエンジン出力を制御することができる。
【0034】
一方で、異常検知回路25は、異常発生を検知した場合には、例えば、増幅器23,24に対して異常信号を出力する。これにより、増幅器23,24では、第一センサ21及び第二センサ22にて検出したときの電圧値Va,VbをLOWレベルに設定して、ECU30に対して出力する。これにより、ECU30では、スロットル制御が停止されるなど、異常検知時に設定された制御が実行されることとなる。なお、異常検知回路25は、異常発生を検知した場合には、ECU30や他の装置に対して、直接、異常信号を出力してもよく、異常を通知する他の処理を行ってもよい。
【0035】
ここで、異常発生が検知されず、ECU30によるスロットルグリップ1つまり磁石10の回転角度を検出するときの機能を説明する。ECU30は、第一センサ21及び第二センサ22により検出された電圧値Va,Vbのうち、いずれか一方の電圧値を用いてスロットル開度を検出してスロットル制御を行う。本実施形態では、第一センサ21及び第二センサ22により検出された電圧値Va,Vbが略同一となるよう設定されているため、どちらの電圧値Va,Vbを用いてもよいが、異常発生が検知されない程度の外部磁界Mの影響がある場合には、2つの電圧値Va,Vbに若干の差が生じる。このため、ECU30は、電圧値Va,Vbのうち、いずれか一方の電圧値を用いてスロットル開度を検出してスロットル制御を行うこととなる。具体的に、ECU30は、2つの磁気センサによる電圧値Va,Vbのうち、対応するスロットル開度が小さい方の電圧値、つまり、電圧値自体が小さい値を用いて、スロットル開度を検出してスロットル制御を行う。
【0036】
一例として、
図8及び
図9に、第一センサ21及び第二センサ22による実際の検出値である電圧値Va,Vbを示す。
図8は、第一センサ21及び第二センサ22の電圧値Va,Vbと、外部磁界Mの距離と、の関係を示すグラフである。このグラフに示すように、第一センサ21と第二センサ22とは上述したように取付位置が異なることにより(オフセット)、外部磁界Mの距離に応じてその電圧値Va,Vbは相互に異なる値となる。
図8の例では、第一センサ21のよる電圧値Vaは、外部磁界の距離が45mmから近くなるにつれて徐々に大きくなり、第二センサ22のよる電圧値Vbは、外部磁界の距離が30mmから近くなるにつれて徐々に大きくなる。すると、第一センサ21による電圧値Vaと第二センサ22による電圧値Vbとの差Dは、外部磁界の距離が35mm以下から異常検知する閾値(0.2V)以上となり、かかる外部磁界距離の領域R3で異常発生と検知される。また、
図8の例では、外部磁界の距離が45mm以上の領域R1では、第一センサ21による電圧値Vaと第二センサ22による電圧値Vbとが同一、つまり、電圧値Va,Vbの差Dが0となり、正常領域である。一方で、正常領域R1と異常検知領域R3の間、つまり、第一センサ21のよる電圧値Vaと第二センサ22による電圧値Vbとの差Dが0より大きく閾値(0.2V)より小さい場合には、異常検知されない領域R2となり、誤作動が生じる可能性がある誤作動領域R2となる。この誤作動領域R2で検出した第一センサ21及び第二センサ22の電圧値Va,Vbは、例えば、
図9の実線Vaと点線Vbで示すように、相互に若干の差が生じることとなる。
【0037】
そして、第一センサ21及び第二センサ22による実際の検出値である電圧値Va,Vbが、
図9に示すように若干の差が生じている場合には、電圧値は実際のスロットル開度に対応せず、実際のスロットル開度よりも大きいスロットル開度に対応する電圧値となっている可能性がある。すると、実際のスロットル開度とは異なるスロットル開度が検出され、操作者が意図しないスロットル制御となる場合がある。
【0038】
このようなことから、ECU30は、
図9に示すように第一センサ21及び第二センサ22から異なる値の電圧値Va,Vbが検出された場合には、スロットル開度の区間T1においては、点線で示す値が小さい方の電圧値Vbを用い、スロットル開度の区間T2においては、実線で示す値が小さい方の電圧値Vaを用いて、スロットル開度を検出してスロットル制御を行う。これにより、実際のスロットル開度よりも大きいスロットル開度に相当するスロットル制御が行われるといった、操作者が意図しないスロットル制御が行われることを抑制することができる。
【0039】
[動作]
次に、上述したポジションセンサの動作を、主に
図10乃至
図11のフローチャートを参照して説明する。まず、第一センサ21及び第二センサ22は、スロットルグリップ1の回転に連動して回転する磁石10から生じる磁束の向きを常に検出し、その検出値を異常検知回路25に出力する。異常検知回路25は、第一センサ21及び第二センサ22にて検出した検出値を、基板20に搭載された増幅器23,24と同様に増幅した値となるよう電圧値Va、Vbに変換し、かかる電圧値Va,Vbを入力する(ステップS1)。
【0040】
そして、異常検知回路25は、電圧値Va,Vb間の関係性の変化を調べる。具体的に、異常検知回路25は、電圧値Va,Vbが同一の軌跡上の値をとる、つまり、値が略一致する、という関係性を満たすか否かを調べる(ステップS2)。このとき、電圧値Va,Vbが略同一の値ではない、つまり、電圧値Va,Vbの差Dの絶対値が閾値以上というように、予め設定された関係性を満たさない場合(ステップS2でYes)には、異常発生を検知する。この場合、異常検知回路25は、例えば、増幅器23,24に対して異常信号を出力することで、当該増幅器23,24からECU30に異常信号が伝達され、ECU30は出力異常制御を行う(ステップS5)。例えば、ECU30は、スロットル制御を停止するなど、異常発生を検知した時に設定された出力異常制御を行う。
【0041】
一方で、異常検知回路25は、電圧値Va,Vbが略同一の値である場合には(ステップS2でNo)、異常検知回路25は異常発生を検知しない。この場合、基板20からは、第一センサ21及び第二センサ22にて検出した検出値が増幅器23,24に増幅された電圧値Va,Vbが、ECU30に対して出力される。
【0042】
続いて、ECU30では、車速や所定の車両信号など他のユニットから車両関連データが入力され(ステップS3)、これらのデータに基づいて出力通常制御を行う(ステップS4)。
【0043】
ECU30は、出力通常制御として、基板20から出力された電圧値Va,Vbを比較し(ステップS11)、スロットル開度が小さくなる電圧値、例えば値が小さい電圧値を用いてスロットル開度の検出を行う。例えば、第一センサ21の電圧値Vaの方が小さい場合には(ステップS11でYes)、かかる第一センサ21の電圧値Vaを用いてスロットル開度の検出を行い(ステップS12)、第二センサ22の電圧値Vbの方が小さい場合には(ステップS11でNo)、かかる第二センサ22の電圧値Vbを用いてスロットル開度の検出を行う(ステップS13)。なお、第一センサ21の電圧値Vaと第二センサ22の電圧値Vbが等しい場合には、どちらの電圧値を用いてもよいが、ここでは第一センサ21の電圧値Vaを用いてスロットル開度の検出することとしている(ステップS12)。
【0044】
以上のように、本実施形態では、まず、磁気センサである第一センサ21及び第二センサ22から検出される磁石10の回転角度に応じた検出値である電圧値Va,Vbは、略同一となるよう設定されている。かかる状況において、本実施形態では、異なる値の電圧値Va,Vbが検出された場合には、小さい方の電圧値を用いて、スロットル開度を検出してスロットル制御を行うこととしている。これにより、実際のスロットル開度よりも大きいスロットル開度に相当するスロットル制御が行われるといった、操作者が意図しないスロットル制御が行われることを抑制することができる。
【0045】
[変形例]
ここで、上記では、各増幅器23,24の機能により、第一センサ21による検出値と、第二センサ22による検出値と、の間の関係性として、磁石10の回転角度が同一の値である場合には両検出値が略同一の値となる、つまり、
図6に示すように両検出値が同一の軌跡L上の値を取る、という関係性が設定されている場合を例示したが、他の関係性を有するよう設定されていてもよい。例えば、
図12に示すように、各増幅器23,24の機能により、第一センサ21による検出値と、第二センサ22による検出値と、の間の関係性として、相互に平行となる軌跡L1,L2上の値を取る、という関係性が設定されていてもよい。換言すると、各軌跡L1,L2は、一致しないものの、上述した各区間において、各検出値の変化率が同一に設定されている。具体的に、
図12の例では、まず、第一センサ21の検出値の軌跡L1は、上述した
図6の例と同一である。そして、第二センサ22の検出値の軌跡L2は、第一センサ21の軌跡L1に対して全体的に値が低く設定されており、磁石10の回転角度が同一の値である場合には、第一センサ21の検出値と第二センサの検出値との差が一定となるよう設定されている。但し、第一センサ21と第二センサ22との検出値の軌跡L1,L2は、完全に平行であることに限定されず、略平行であってもよい。つまり、磁石10の同一の回転角度における第一センサ21と第二センサ22との検出値の差が、予め設定された範囲内の差であってもよい。
【0046】
そして、上述した
図12に示す軌跡L1,L2である場合には、異常検知回路25は、第一センサ21及び第二センサ22による検出値である電圧値Va,Vbの差が、予め設定された一定値(あるいは、所定範囲の値)であるか否かを調べ、一定値ではない(あるいは、所定範囲に収まっていない)場合には、異常発生を検知する。なお、異常発生を検知しない場合には、ECU30は、いずれか一方のセンサの検出値に基づいて、磁石10の回転角度を検出してもよい。
【0047】
このとき、第一センサ21及び第二センサ22による実際の検出値である電圧値Va,Vbは、例えば外部磁界の影響により、
図13の実線Vaと点線Vbで示すように、軌跡L1,L2に対して若干の差が生じることとなる。この場合、ECU30は、スロットル開度の区間T1においては、対応するスロットル開度の値が小さくなる実線で示す第一センサ21の電圧値Vaを用い、スロットル開度の区間T2においては、対応するスロットル開度の値が小さくなる点線で示す第二センサ22の電圧値Vbを用いて、スロットル開度を検出してスロットル制御を行う。これにより、実際のスロットル開度よりも大きいスロットル開度に相当するスロットル制御が行われるといった、操作者が意図しないスロットル制御が行われることを抑制することができる。
【0048】
また、各増幅器23,24の機能により、第一センサ21による検出値と、第二センサ22による検出値と、の間の関係性は、
図14に示すような関係性であってもよい。具体的に、
図14の例では、まず、第一センサ21の検出値の軌跡L1は、上述した
図6の例と同一である。そして、第二センサ22の検出値の軌跡L2は、第一センサ21の軌跡L1に対して全体的に値が低く設定されており、磁石10の回転角度が同一の値である場合には、第一センサ21の検出値に対して第二センサの検出値が1/2となるよう設定されている。つまり、軌跡L1,L2のうち傾きが正の値である第二区間と第三区間では、第一センサ21の検出値の変化率に対して第二センサの検出値の変化率が1/2となるよう設定されている。但し、第一センサ21と第二センサ22との検出値の軌跡L1,L2は、第一センサ21の検出値に対して第二センサ22の検出値が完全に1/2となるよう設定されていることに限定されず、略1/2であってもよい。
【0049】
そして、上述した
図14に示す軌跡L1,L2である場合には、異常検知回路25は、第一センサ21による検出値である電圧値に対して第二センサ22による検出値である電圧値が略1/2となっているか否かを調べ、1/2ではない場合には、異常発生を検知する。そして、異常発生を検知しない場合には、ECU30は、電圧値Va,Vbのうち、対応するスロットル開度の値が小さくなる方の電圧値を用いて、スロットル開度を検出してスロットル制御を行う。
【0050】
なお、本実施形態では、各増幅器23,24の機能により設定される、第一センサ21による検出値と、第二センサ22による検出値と、の間の関係性は、上述した関係性であることに限定されず、いかなる関係性であってもよい。そして、異常検知回路25は、各センサ21,22の検出値を比較し、予め設定された関係性を満たしていない場合に、異常発生を検知する。異常発生を検知しない場合には、ECU30は、電圧値Va,Vbのうち、対応するスロットル開度の値が小さくなる方の電圧値を用いて、スロットル開度を検出してスロットル制御を行う。
【0051】
なお、
図5に示す増幅器23,24、異常検知回路25の機能は、
図15の符号23’,24’,25’に示すように、ECU30に設ける構成としてもよい。また、上記では、異常検知回路25は、第一センサ21の検出値と第二センサ22の検出値とを増幅器23,24で増幅した値となる電圧値Va,Vbに変換して、かかる電圧値Va,Vb間の関係性の変化の有無を調べることとしているが、増幅器23’,24’で増幅した電圧値Va,Vbを用いて、これらの関係性の変化の有無を調べ、異常発生を検知してもよい。
【0052】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明におけるポジションセンサ、ポジション検出方法の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0053】
(付記1)
回転体と共に回転する磁石と、
前記磁石から生じる磁束を検出する複数の磁気センサと、
前記磁気センサによる検出値に基づいて、前記回転体の回転角度、及び、前記磁気センサの異常、を検出する検出部と、
を備え、
前記検出部は、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジションセンサ。
(付記2)
付記1に記載のポジションセンサであって、
前記検出部は、前記磁気センサによる検出値に基づいて当該磁気センサの異常を検出していない場合に、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジションセンサ。
(付記3)
付記1又は2に記載のポジションセンサであって、
前記検出部は、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値間の予め設定された関係性が変化した場合に前記磁気センサの異常を検出すると共に、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値間の前記関係性が変化していない場合に、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジションセンサ。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載のポジションセンサであって、
前記検出部は、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値の差が予め設定された閾値以上である場合に前記磁気センサの異常を検出すると共に、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値の差が前記閾値よりも小さい値である場合に、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジションセンサ。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載のポジションセンサであって、
前記検出部は、外部磁界が作用していないときにおける2つの前記磁気センサからの検出値がほぼ同一の値となるよう検出すると共に、前記磁気センサによる検出値に基づいて当該磁気センサの異常を検出していない場合に、2つの磁気センサによる検出値のうち小さい値である検出値に基づいて前記回転体の回転角度を検出する、
ポジションセンサ。
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載のポジションセンサであって、
複数の前記磁気センサは、それぞれが異なる位置に配置されている、
ポジションセンサ。
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載のポジションセンサであって、
複数の前記磁気センサは、前記磁石から受ける磁束の値がそれぞれ異なるよう配置されている、
ポジションセンサ。
(付記8)
回転体と共に回転する磁石から生じる磁束を、複数の磁気センサによって検出すると共に、前記磁気センサによる検出値に基づいて、前記回転体の回転角度、及び、前記磁気センサの異常、を検出するポジション検出方法であって、
外部磁界が作用したときに検出する磁束の値に差が生じるようそれぞれ配置された複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジション検出方法。
(付記9)
付記8に記載のポジション検出方法であって、
前記磁気センサによる検出値に基づいて当該磁気センサの異常を検出していない場合に、複数の前記磁気センサによる検出値のうち、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジション検出方法。
(付記10)
付記8又は9に記載のポジション検出方法であって、
2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値間の予め設定された関係性が変化した場合に前記磁気センサの異常を検出すると共に、2つの前記磁気センサによるそれぞれの検出値間の前記関係性が変化していない場合に、それぞれの検出値に対応する前記回転体の回転角度が小さい値となる検出値に基づいて当該回転体の回転角度を検出する、
ポジション検出方法。
【0054】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 スロットルグリップ
2 回転軸
3 リターンスプリング
4 マグネットホルダー
10 磁石
20 基板
21 第一センサ(ホールIC)
22 第二センサ(ホールIC)
23,24,23’,24’ 増幅器
25 異常検知回路
30 ECU
100 スロットル装置