(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】カートリッジおよび画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
G03G21/18 178
G03G21/18 185
(21)【出願番号】P 2020144891
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深澤 悠
(72)【発明者】
【氏名】久保 行生
(72)【発明者】
【氏名】樫出 陽介
【審査官】鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109732(JP,A)
【文献】特開2022-013378(JP,A)
【文献】特開2021-196407(JP,A)
【文献】特開2008-284884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
B41J 2/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
前記カートリッジに関する情報を記憶するメモリ部材と、
前記メモリ部材が取り付けられるメモリ取付部を有する支持体と、
を有し、
前記メモリ部材は、第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面と交差する方向に延びる側面を有し、
前記第1の面には、前記カートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに前記画像形成装置本体が有する本体電極部と接続される接点部が設けられており、
前記メモリ取付部は、前記メモリ部材が取り付けられたときに前記第2の面と対向する面である第1の対向部と、前記側面と対向する第2の対向部と、を有し、
前記メモリ部材は、前記第2の面と前記第1の対向部の間、および、前記側面と前記第2の対向部の間に接着剤が配置されることにより、前記メモリ取付部に取り付けられる
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記第1の対向部の面に垂直な方向を高さ方向とすると、前記第2の対向部の高さは、前記メモリ部材が前記メモリ取付部に取り付けられたときの前記側面の高さより低い
ことを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記メモリ取付部は、前記第2の対向部に接続され、前記第2の対向部よりも前記側面から離れており、前記第2の対向部よりも高い位置にある第3の対向部をさらに有する
ことを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記第2の対向部と前記第3の対向部は、前記高さ方向に対して傾斜している傾斜面により接続される
ことを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記傾斜面と前記第3の対向部が接続している部分の高さは、前記メモリ部材が前記メモリ取付部に取り付けられた時の前記第1の面の高さよりも低い
ことを特徴とする請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
前記メモリ取付部は、前記第2の対向部よりも前記第1の対向部から離れた位置に設けられた溜め溝部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ。
【請求項7】
前記高さ方向において、前記溜め溝部の底面の高さは、前記第2の対向部の上面よりも低い
ことを特徴とする請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記溜め溝部は、前記第1の対向部から前記第2の対向部の上面を超えてあふれ出た前記接着剤を収容できる
ことを特徴とする請求項6または7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記メモリ部材は、複数の前記側面を持つ形状であり、
前記メモリ取付部は、複数の前記側面のそれぞれに対応する複数の前記第2の対向部を有し、
前記溜め溝部は、複数の前記第2の対向部のうち少なくとも一部に対応する位置に設けられる
ことを特徴とする請求項6または7に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記メモリ取付部は、複数の前記第2の対向部のうち、前記溜め溝部が設けられた前記第2の対向部と、前記溜め溝部が設けられていない前記第2の対向部とが接続する部分に設けられた段差部を有する
ことを特徴とする請求項9に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記高さ方向において、前記段差部の高さは、前記第2の対向部の上面よりも低く、前記溜め溝部よりも高い
ことを特徴とする請求項10に記載のカートリッジ。
【請求項12】
前記段差部は、前記第1の対向部から前記第2の対向部の上面を超えてあふれ出た前記接着剤を前記溜め溝部に流す
ことを特徴とする請求項10または11に記載のカートリッジ。
【請求項13】
前記メモリ取付部は、前記第2の対向部の上面に設けられた、前記第1の対向部に近い側が低く、前記第1の対向部から離れた側が高い斜面部を有する
ことを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項14】
前記第1の対向部には、前記接着剤を前記第1の対向部の面に広げる流路溝が設けられている
ことを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載のカートリッジ。
【請求項15】
前記流路溝は、前記第1の対向部の中央部に設けられた部分を含む
ことを特徴とする請求項14に記載のカートリッジ。
【請求項16】
前記流路溝は、前記第1の対向部の外側を囲むように設けられた部分を含む
ことを特徴とする請求項14または15に記載のカートリッジ。
【請求項17】
画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジと、を備える画像形成装置であって、
前記カートリッジは、請求項1~16のいずれか1項に記載のカートリッジであり、
前記画像形成装置本体は、前記接点部と接続される前記本体電極部を有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式などにより紙などのシート状の記録媒体に画像を形成する、画像形成装置が知られている。画像形成装置の例としては、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ(レーザービームプリンタ、LEDプリンタ等)、及びこれらの複合機(マルチファンクションプリンタ)などが挙げられる。
【0003】
かかる画像形成装置の中に、カートリッジ方式のものが存在する。カートリッジは画像形成装置に着脱可能なユニットであり、例えばプロセスカートリッジがある。プロセスカートリッジは、感光体や、感光体に作用するプロセス手段(例えば、帯電部材、現像部材、クリーニング部材等)などを備えている。カートリッジを用いることで、画像形成装置の現像剤補給作業や、各種プロセス手段のメンテナンスが容易になる。すなわち、感光体、帯電部材、現像部材、クリーニング部材等を枠体内にまとめてカートリッジ化しておき、このカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能とする。これにより、カートリッジを交換するという形でユーザ自身が装置をメンテナンスできるため、操作性が向上する。
【0004】
このようなカートリッジにICメモリ等のメモリを搭載し、カートリッジを装置本体に装着した際に、装置本体とカートリッジとの間で情報の送受信を可能にしているものがある。カートリッジに搭載したメモリが記憶する情報としては、例えば、カートリッジのロット番号、画像形成装置の特性、および、プロセス手段の特性等が挙げられる。これにより、装置本体、あるいは、カートリッジのメンテナンスが容易になる。さらに、メモリに記録された情報に応じて画像形成の制御を行うことで、最良の条件で画像形成を行うことができる。
【0005】
特許文献1は、このようなメモリを搭載したカートリッジを用いる画像形成装置において、メモリを接着剤などによってカートリッジの枠体や部品に固定する方法を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メモリを画像形成装置のカートリッジに設ける場合において、メモリの脱落をより確実に防止する方法が求められている。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成装置に装着されるカートリッジに設けられるメモリの脱落を防止するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の構成を採用する。すなわち、
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジであって、
前記カートリッジに関する情報を記憶するメモリ部材と、
前記メモリ部材が取り付けられるメモリ取付部を有する支持体と、
を有し、
前記メモリ部材は、第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面と、前記第1の面と前記第2の面と交差する方向に延びる側面を有し、
前記第1の面には、前記カートリッジが前記画像形成装置本体に装着されたときに前記画像形成装置本体が有する本体電極部と接続される接点部が設けられており、
前記メモリ取付部は、前記メモリ部材が取り付けられたときに前記第2の面と対向する面である第1の対向部と、前記側面と対向する第2の対向部と、を有し、
前記メモリ部材は、前記第2の面と前記第1の対向部の間、および、前記側面と前記第2の対向部の間に接着剤が配置されることにより、前記メモリ取付部に取り付けられる
ことを特徴とするカートリッジである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像形成装置に装着されるカートリッジに設けられるメモリの脱落を防止するための技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図11】メモリ部材のメモリ取付部への取り付け断面図
【
図12】変形例のカートリッジにおけるメモリ取付部の位置を示す斜視図
【
図13】従来のメモリタグの取り付け後の接着剤の状態を説明する図
【
図16】第2実施形態のメモリタグ取付の様子を説明する図
【
図17】第2実施形態のメモリタグの挿入を説明する図
【
図18】第2実施形態のメモリタグの収容部への取り付けを説明する断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、図面および実施形態を参照して、この発明を実施するための形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の機能、材質、寸法、形状、その相対配置などは、特定の記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての機能、材質、寸法、形状、その相対配置などは、特に改めて記載しない限りは初めの説明と同様のものである。
【0013】
以下の説明では電子写真方式の画像形成装置として、レーザービームプリンタを例に挙げ、カートリッジとして、レーザービームプリンタに用いられるプロセスカートリッジを例に挙げる。本発明は、メモリ部材を取付可能なカートリッジに関する発明と捉えてもよく、かかるカートリッジと画像形成装置本体を含む画像形成装置に関する発明と捉えてもよい。本発明はまた、かかるカートリッジにメモリ部材を取り付ける工程を含む、カートリッジの製造方法または画像形成装置の製造方法としても捉えられる。
【0014】
なお、以下の説明において、カートリッジの長手方向とは、電子写真用の感光体ドラムの回転軸線方向であり、カートリッジを画像形成装置本体に着脱する方向と実質的に直交する方向である。また、長手方向において、画像形成装置本体から感光体ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。そして、画像形成装置の「正面」とは、その方向から見たときに、右側に駆動側、左側に非駆動側が位置する方向とする。
【0015】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態の全体構成および画像形成プロセスについて説明する。
図2は、電子写真方式の画像形成装置10の装置本体Aおよびプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。
図3は、カートリッジBの断面図である。ここで、装置本体Aとは、画像形成装置からカートリッジBを除いた部分である。
【0016】
<全体構成>
図2に示す画像形成装置10は、カートリッジBを装置本体Aに着脱可能なレーザービームプリンタである。装置本体Aは、カートリッジBが装着されたとき、カートリッジBが備える感光体ドラム1に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)を有する。また、紙面でカートリッジBの下側には、画像形成対象となる記録媒体であるシート材Pを収納した、シートトレイ17が配置されている。画像形成装置10は、制御部15の制御に従い、装置外部からの受信等により取得した画像情報に基づいてシート材Pに対する画像形成プロセスを実行する。
【0017】
装置本体Aにはさらに、シート材Pの搬送方向に沿って、ピックアップローラ7a、給送ローラ対7b、転写ローラ6、搬送ガイド8、定着装置21、排出ローラ22、排出トレイ23等が順次配置されている。定着装置21は、加熱ローラ21aおよび加圧ローラ21bにより構成されている。装置本体Aはさらに、後述するカートリッジ押圧部材27およびカートリッジ押圧バネ28を備える。
【0018】
カートリッジBは像担持体としての感光体ドラム1、帯電部材としての帯電ローラ2、現像装置としての現像ユニット4、クリーニング手段としてのクリーニングユニット5を有する。現像ユニット4は、マグネットローラ36を内包した現像ローラ40(現像剤担持体)と、トナーT(現像剤)をトナー室29に収容し保持する現像容器41と、撹拌部材としても機能する搬送部材43と、現像ブレード43を有する。クリーニングユニット5は廃トナー室51a等を含むクリーニング枠体51とクリーニングブレード52を含む。
【0019】
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスについて説明する。制御部15のプリントスタート信号に基づいて、装置本体Aの駆動カップリング26(
図6B参照)が回転する。駆動カップリング26はカートリッジBの感光体ドラム1に係合されているため、駆動カップリング26の回転に伴い、感光体ドラム1も矢印R方向(
図2および
図3参照)に所定の周速度(プロセススピード)で回転する。このとき
図3に示すように、バイアス電圧が印加された帯電ローラ2は感光体ドラム1の外周面に接触し、感光体ドラム1の外周面を一様、均一に帯電する。
【0020】
装置本体Aの露光装置3は、制御部15の制御により、画像情報に応じたレーザー光Lを出力する。レーザー光Lが感光体ドラム1の外周面を走査露光することにより、感光体ドラム1の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0021】
一方、現像ユニット4のトナー室29に収容されたトナーTは、搬送部材43の回転に
よって撹拌および搬送され、トナー供給室31に送り出される。トナー供給室31のトナーTは、マグネットローラ36(固定磁石)の磁力により、現像ローラ40の表面に担持される。現像ブレード42は、現像ローラ40に担持されたトナーTを摩擦帯電しつつ、現像ローラ40周面上での層厚を規制する。そして感光体ドラム1へ供給されたトナーTが静電潜像を現像し、トナー像として可視像化する。
【0022】
また、レーザー光Lの出力タイミングと合わせて、ピックアップローラ7aおよび給送ローラ対7bが、装置本体A下部のシートトレイ17に収納されたシート材Pを、感光体ドラム1と転写ローラ6との間の転写位置に搬送する。感光体ドラム1上のトナー像は、この転写位置においてシート材Pに転写される。トナー像が転写されたシート材Pは、感光体ドラム1から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置21に搬送される。定着装置21は、加熱ローラ21aと加圧ローラ21bの間のニップ部を通過するシート材Pに加圧・加熱定着処理を行うことで、トナー像をシート材Pに定着させる。続いてシート材Pは、排出ローラ22まで搬送され、排出トレイ23に排出される。
【0023】
一方、
図3に示すように、クリーニングブレード52は、トナー像を転写した後の感光体ドラム1の外周面上の残留トナーを除去し、廃トナー室51aに貯蔵する。その後、感光体ドラム1は再び、画像形成プロセスに使用される。上記プロセスにおいて、帯電ローラ2、現像ローラ40、転写ローラ6、クリーニングブレード52は、感光体ドラム1に作用するプロセス手段だと言える。
【0024】
<カートリッジ全体の構成>
次にカートリッジBの全体構成について説明する。
図3はカートリッジBの断面図、
図4、
図5は、カートリッジBの構成を説明する分解斜視図である。なお本実施形態においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。
【0025】
図4および
図5では、カートリッジBをクリーニングユニット5と現像ユニット4に分
解して示している。クリーニングユニット5は、感光体ドラム1、帯電ローラ2およびクリーニングブレード52と、これらを支持するクリーニング枠体51を有する。感光体ドラム1の駆動側においては、ドラム軸受73の穴部73a(
図4参照)にドラム軸78が圧入される。また感光体ドラム1の非駆動側においては、クリーニング枠体51に設けられた穴部51c(
図5参照)にドラム軸78が圧入される。これにより感光体ドラム1が回転可能に支持される。なお、ドラム軸受73とクリーニング枠体51を総称して、広義のクリーニング枠体と呼ぶこともできる。
【0026】
図3に示すように、帯電ローラ2とクリーニングブレード52が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置される。帯電ローラ2は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68により感光体ドラム1に向けて加圧されることで感光体ドラム1に圧接されている。帯電ローラ2は、感光体ドラム1の回転に従動回転する。
【0027】
現像ユニット4は、現像ローラ40と、現像ローラ40を支持する現像容器41と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ40は、両端に設けられた駆動側現像軸受46(
図4を参照)、非駆動側現像軸受47(
図5を参照)により回転可能に現像容器41に取り付けられている。また、本実施形態の非駆動側現像軸受47は、メモリ取付部200が設けられる支持体としての役割を持つ。メモリ取付部200には、メモリ部材としてのメモリタグ100が取り付けられている。
【0028】
また、現像ローラ40内にはマグネットローラ36が設けられている。現像ユニット4において、現像ローラ40上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。
図5に示すように、現像ローラ40の両端部には間隔保持部材38(38R、38
L)が取り付けられている。間隔保持部材38と感光体ドラム1が当接することで、現像ローラ40は感光体ドラム1と微少隙間をもって保持される。
【0029】
カートリッジBを構成するために現像ユニット4とクリーニングユニット5を結合する手順を述べる。まず、クリーニング枠体51の駆動側の第1吊り穴51iに対する駆動側現像軸受46の現像第1支持ボス46aの中心と、非駆動側の第2吊り穴51jに対する非駆動側現像軸受47の現像第2支持ボス47aの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット4を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴51i、第2吊り穴51jに現像第1支持ボス46a、現像第2支持ボス47aが嵌合する。これにより、クリーニングユニット5に対して現像ユニット4が回動可能に連結される。その結果、感光体ドラム1に対して現像ローラ40が接離可能な状態で連結される。この後、ドラム軸受73をクリーニングユニット5に取り付けることによってカートリッジBが構成される。
【0030】
圧縮バネで形成される現像付勢部材48(非駆動側現像付勢部材48L、駆動側現像付勢部材48R)は、付勢力により、現像ユニット4をクリーニングユニット5に付勢する。これにより、現像ローラ40に設けた間隔保持部材38が感光体ドラム1と接触した状態となる。
【0031】
<カートリッジ装着>
次にカートリッジBの装着について、
図6A、
図6B、
図7(a)、および
図7(b)を用いて説明する。
図6Aは、カートリッジBの装着時の装置本体Aを、駆動側ガイド部から見た斜視図である。
図6Bは、同じくカートリッジBの装着時の装置本体Aを、非駆動側ガイド部から見た斜視図である。
図7(a)は、カートリッジBの位置決め時の装置本体Aを駆動側から見た断面図である。
図7(b)は、カートリッジBの位置決め時の装置本体Aを非駆動側から見た断面図である。
【0032】
図6Aに示すように、カートリッジBの装着方向は感光体ドラム1の軸線と実質的に直交する方向(矢印C)である。駆動側板24は、ガイドとしての駆動側ガイドレール24hを有しており(
図6B参照)、非駆動側板25は、非駆動側上ガイドレール25dと非駆動側下ガイドレール25eを有している(
図6A参照)。
【0033】
また、カートリッジBの駆動側に設けられたドラム軸受73には被回転止め部73cが設けられている(
図4、
図6A、
図7(a)参照)。また、クリーニング枠体51は、長手方向において非駆動側に被位置決め部51dと、被回転止め部51eとを有している(
図5、
図6B、
図7(b)参照)。
【0034】
装置本体Aに挿入されたカートリッジBの駆動側にある被回転止め部73cは、装置本体Aの駆動側ガイドレール24hにガイドされる。それと同時に、カートリッジBの非駆動側にある被位置決め部51dと被回転止め部51eは、装置本体Aの非駆動側上ガイドレール25dと非駆動側下ガイドレール25eにガイドされる。
【0035】
次に、開閉扉30を閉じる状態を説明する。
図7(a)に示すように、駆動側板24は、位置決めのための機構として、位置決め部上24a、位置決め部下24b、および回転止め部24cを有している。また、ドラム軸受73は、被位置決め部上73dと、被位置決め部下73fを有している。さらに、
図7(b)に示すように、非駆動側板25は、非駆動側位置決め部25aと非駆動側回転止め部25cを有している。
【0036】
また、カートリッジ押圧部材27(27R、27L)は、開閉扉30の軸方向両端に回転可能に取り付けられている。カートリッジ押圧バネ28(28R、28L)は、それぞれ装置本体Aに設けられた前板29の長手方向において両端に取り付けられている。ドラ
ム軸受73は付勢力受け部としての被押圧部73eを有し、クリーニング枠体51は非駆動側にて被押圧部51oを有する。開閉扉30を閉じることにより、カートリッジBの被押圧部73e、51oが、装置本体Aのカートリッジ押圧バネ28(28R、28L)によって付勢されたカートリッジ押圧部材27(27R、27L)によって押圧される。
【0037】
カートリッジBが押圧力を受けると、駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部上73d、被位置決め部下73f、および回転止め部73cがそれぞれ、装置本体Aの位置決め部上24a、位置決め部下24b、および回転止め部24cに固定される。また非駆動側においては、カートリッジBの被位置決め部51dと被回転止め部51eがそれぞれ、装置本体Aの非駆動側位置決め部25aと非駆動側回転止め部25cに固定される。これにより、カートリッジBや感光体ドラム1が駆動側と非駆動側の両方で位置決めされる。
【0038】
なお、カートリッジBを装置本体Aに位置決めするための構成は上記例に限定されない。例えば、カートリッジ押圧部材27を用いずに、開閉扉30が直接的にカートリッジBを押し込んだり、ユーザがカートリッジBを押し込んだりする構成でも良い。また、装置本体A側の位置決め構成の位置や数、ならびにカートリッジB側の被位置決め構成の位置や数は、上記例に限定されない。
【0039】
<タグコネクタとメモリタグの位置決め>
図6Aに示したように、装置本体Aの非駆動側板25には、カートリッジBのメモリ取付部200と対応する位置に、メモリタグ100と電気的に接続可能な電気接点を含むタグコネクタ32が設けられている。
図8(a)および
図8(b)は、カートリッジBに設けられたメモリタグ100と、装置本体Aに設けられたタグコネクタ32との位置決め構成を示す拡大斜視図である。タグコネクタ32は、非駆動側板25に支持されており、コネクタバネ35によって非駆動側板25からカートリッジBの方向に押圧されている。また、タグコネクタ32には、メモリタグ100に設けられた接点部101と接触可能な本体電極部33が設けられている。タグコネクタ32にはさらに、本体電極部33を挟んで両側に形成された接点位置決め部34(34a、34b)が設けられている。
【0040】
一方、カートリッジBの非駆動側現像軸受47には、メモリタグ100を取り付けるためのメモリ取付部200が設けられている。このメモリ取付部200において、カートリッジBが装着されたときにタグコネクタ32の接点位置決め部34a、34bと対向する位置には、位置決めリブ202aおよび202b、ならびに側壁部200aおよび200bが設けられている。
【0041】
カートリッジBを装置本体Aに挿入していくと、側壁部200a、200bおよび側壁部位置決めリブ202a、202bが、対向する接点位置決め部34a、34bに係合する。こうして、メモリ取付部200がタグコネクタ32に対して位置決めされることで、カートリッジBが装置本体Aに位置決めされる。その結果、メモリタグ100の接点部101がタグコネクタ32の本体電極部33と接触して電気的な接続が行われる。これにより、カートリッジBと装置本体Aの間で情報の送受信が可能になる。
【0042】
<メモリタグおよびメモリ取付部の構成>
メモリタグ100およびメモリ取付部200の詳細な構成について説明する。
図1(a)はメモリタグ100を取り付ける前のメモリ取付部200の平面図であり、
図1(b)は接着剤300によってメモリタグ100を固定した状態のメモリ取付部200の断面図である。
図9はメモリタグ100の斜視図である。
図10はメモリタグ100を取り付ける前のメモリ取付部200の斜視図である。
図11(a)、
図11(b)は接着剤300を塗布してメモリタグ100をメモリ取付部200に取り付ける過程を示す断面図である
。
【0043】
(メモリタグ)
メモリタグ100は、カートリッジBに関する情報を格納する記憶素子を含む。情報として例えば、カートリッジのロット番号、カートリッジの特性情報、装着する画像形成装置の特性情報等がある。これらの情報を参照することで、装置本体AやカートリッジBのメンテナンスを容易にすることができる。
【0044】
図9に例示するメモリタグ100は、上面の各辺が5.5mm×5mmであり、厚みが1.4mmの板状の部材である。メモリタグ100は、接点面100a(第1の面)、接点面100aと対向する底面100b(第2の面)、接点面100aおよび底面100bと交差する方向に延びる4つの側面100cからなる。また、メモリタグ100は、不図示の記憶素子が取り付けられたメモリ基板102と、メモリ基板102に一体的に設けられ、記憶素子を覆って保護する保護部103の2層によって構成されている。メモリ基板102の上面の接点面100aには、記憶素子と電気的に接続した接点部101が露出して形成されている。なおメモリタグ100の形状は略直方体に限られない。
【0045】
(メモリ取付部)
メモリタグ100をカートリッジBに取り付けるための構成について、
図1、
図5、
図9~
図11を参照して具体的に説明する。
【0046】
メモリタグ100を収容、固定するためのメモリ取付部200は、カートリッジBの外装部となる非駆動側現像軸受47の所定位置に、平面視で略四角形の凹部として形成される(
図1、
図5、
図10参照)。メモリ取付部200の凹部は、装置本体Aへのカートリ
ッジ装着方向側が開放されており、この凹部がメモリタグ100を収容する収容部201となる。収容部201は、メモリタグ100の収容時に底面100bと対向する底面対向部201b(第1の対向部)を含む。収容部201はまた、メモリタグ100の収容時に側面100cと対向する、側面規制部201c(第2の対向部)、側面バッファ部201d、傾斜面201e(第3の対向部)を含む。
【0047】
なお便宜上、以下の説明では、底面対向部201bの面に垂直な方向を高さ方向とし、高さ方向における底面対向部201bの面からの距離を高さとする。
【0048】
図11(a)、
図11(b)に示すように、側面バッファ部201dは側面規制部201cよりも側面100cから離れた位置にある。また、傾斜面201eは側面規制部201cと側面バッファ部201dを繋ぐように設けられている。また、側面規制部201cのメモリタグ100の厚み方向の高さLcは、メモリタグ100の側面100cの厚みLmcを超えない範囲(Lc<Lmc)である。本実施形態においては、Lmc=1.4mm、Lc=0.8mmとする。
【0049】
メモリタグ100の各側面100cは、それぞれと対向する側面規制部201cによって、収容部201の中での位置が規制される。ここで、装置本体Aの本体電極部33とメモリタグ100の接点部101を確実に接触させるためには、収容部201内でのメモリタグ100の移動をできるだけ抑制する必要がある。そこで本実施形態では、対向する側面規制部201c間の幅Lbを、メモリタグ100の幅Lmbより僅かに大きくした(Lb<Lmb)。これにより、メモリタグ100の収容部201へのスムーズな収容と、メモリタグ100の収容部201内での自由な移動の防止とを両立させている。
【0050】
(メモリ取付部へのメモリタグの取り付けおよび固定)
メモリタグ100は、接着剤300を介してメモリ取付部200に固定される。固定状
態では、底面100bと底面対向部201bの間、および、側面100cと側面規制部201cの間には、接着剤300が存在している。接着剤300としては、メモリタグ100とメモリ取付部200それぞれの材料に対して十分な接着強度を有するものが好ましい。例えば、メモリタグ100としてエポキシ樹脂またはガラスエポキシ樹脂を使用し、メモリ取付部200としてPPE樹脂(ポリフェニレンエーテル)、PE樹脂(ポリエチレン)、PS樹脂(ポリスチレン)またはPP樹脂(ポリプロピレン)を用いる場合、シアノアクリレート系接着剤を用いるとよい。ただし、メモリタグ100、メモリ取付部200および接着剤300の材料の種類は、これらに限られない。
【0051】
メモリタグ100の取り付け時には、まず、
図11(a)に示したように、収容部201に接着剤300を塗布する。次に、
図11(b)に示したようにメモリタグ100を収容部201に挿入していく。収容部201へのメモリタグ100の挿入によって、接着剤300がメモリタグ100によって押し広げられ、接着剤300がメモリタグの底面100bと底面対向部201bの間に広がる。押し広げられた接着剤300は、さらに、少なくとも、側面100cと側面規制部201cの間にも広がる。
【0052】
図1(b)は、メモリタグ100の挿入が完了した様子を示す。図示例では、メモリタグ100の複数の面(ここでは、底面100b、および、側面100cの少なくとも側面規制部201cと対向する範囲)が接着される。これにより、底面100bのみを接着する場合と比較して、メモリタグ100をメモリ取付部200に対してより強固に固定することができる。
【0053】
また、接着剤300の上面300aが接点面100aよりも低い位置になるような接着剤の塗布量とすれば、接着剤300が接点面100aに付着することはない。したがって、タグコネクタ32の本体電極部33と、メモリタグ100の接点部101との電気的な接続を確保できる。
【0054】
本実施形態では、
図1(b)に示したように、側面規制部201cよりも接点面100aに近い領域に、側面バッファ部201dおよび傾斜面201eを設けている。これらの部分は、側面規制部201cよりもメモリタグ100から離れた位置にある。よって、側面バッファ部201dおよび傾斜面201eを設けない場合(すなわち、側面100cと対向面が平行な場合)と比べて、接着剤300を収容可能なメモリタグ100と収容部201の間の空間の体積を大きくできる。
【0055】
ここで、図示したように、傾斜面201eと側面バッファ部201dの接続する部分の高さを、接点面100aの高さより低くすることにより、側面バッファ部201dと側面100cの間のバッファ領域がバッファ効果を発揮するタイミングを早くできる。
【0056】
ここで、多数のカートリッジBを製造するに当たっては、各カートリッジBの接着剤300の上面300aの高さを所定の高さとすることが好ましい。しかし、製造工程において、接着剤300の塗布量に多少のばらつきが出ることにより、上面300aの高さもばらつく可能性がある。そこで本実施形態のように収容部201に側面バッファ部201dおよび傾斜面201eを設けることにより、接着剤300の塗布量にばらつきがあったとしても、上面300aの高さのばらつきを少なくできる。
【0057】
さらに、本実施形態によれば、メモリタグ100を収容部201に挿入する際に、メモリタグ100が収容部201に接触したとしても、メモリタグ100が傾斜面201eに沿って側面規制部201cに収まる。これにより底面100bと底面対向部201bが密着するため、メモリタグ100を確実にメモリ取付部200に取り付けられる。
【0058】
以上のように、本実施形態によれば、接着剤300によってメモリタグ100をメモリ取付部200に強固に固定し、メモリタグのメモリ取付部からの脱落を防止することができる。さらに、接着剤300の上面300aの高さのばらつきを抑制することができる。さらに、メモリタグ100のメモリ取付部200にスムーズに取り付けることができる。
【0059】
<変形例>
上記の説明では、メモリ取付部200を設ける支持体として、現像ユニット4の非駆動側現像軸受47を挙げたが、本発明はこの限りではない。例えば
図12(a)、
図12(b)には、本発明を適用可能な別の例として、感光体ドラム1、帯電装置としての帯電ユニット1002、現像装置としての現像ユニット4を備えるカートリッジBを示す。このカートリッジBは、駆動側ドラム軸受73および非駆動側ドラム軸受74で感光体ドラム1および現像ユニット4を回転可能に支持する。図示例ではメモリ取付部200は非駆動側ドラム軸受74に設けているが、駆動側ドラム軸受73、帯電ユニット1002、あるいは現像ユニット4に設けてもよい。
【0060】
さらに、本実施形態のメモリタグ取り付け構成は、プロセスカートリッジ以外のカートリッジにも適用できる。他のカートリッジの例としては、感光体ドラムを有するドラムカートリッジ、トナー像が形成される像担持体に現像剤を供給するための現像剤担持体と現像剤を収容した現像剤収容部を備えた現像カートリッジがある。さらに、現像剤を収容した現像剤カートリッジ、インクジェット記録装置に用いられるインクを収納したインクジェットカートリッジなどがある。その他、画像形成装置の装置本体に着脱可能なカートリッジにメモリタグを取り付ける場合であれば、本発明を適用できる。
【0061】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態について説明する。本実施形態においては概略、メモリ取付部の構成や、メモリタグの取り付けおよび固定の手法に特徴があるため、その部分を中心に説明を行い、第1実施形態と同様の構成については説明を簡略化する。
【0062】
<接着剤の波打ちおよび飛散>
ここで、粘度の低い材料特性を持つ接着剤1300を用いて実施形態1に示すような収容部1201にメモリタグ100を取り付ける場合に発生し得る、接着剤1300の波打ちや飛散などについて説明する。
図13(a)~
図13(c)は、接着剤1300が塗布された収容部1201へメモリタグ100を挿入したときの接着剤1300の挙動を示す。
図13(a)は、メモリタグ100が取り付けられた直後の状態を示す。
図13(b)は、
図13(a)のK-K断面図であり、接着剤1300がメモリタグ100の取り付けによって波打っている様子を示す。
図13(c)も、
図13(a)のK-K断面図であり、接着剤がメモリタグ取り付けによって飛散した様子を示す。
【0063】
接着剤1300が塗布された収容部1201へメモリタグ100を挿入すると、接着剤1300はメモリタグ100に押し広げられる。ここで、接着剤1300の粘度が低い(例えば、粘度:約2mpa・s)場合、
図13(b)に示すように、押し広げられた接着剤1300に波打ち1301が発生しやすくなる。この波打った接着剤1300は、側面バッファ部1201dに当たって跳ね返り、メモリタグ100の接点面100a上に乗り上げて接点部101へ付着することがある。
【0064】
さらに、メモリタグ100を取り付けるときのスピードが速いと、
図13(c)に示すように、メモリタグ100によって押し出された接着剤が滴1302となって外に飛び出すことがある。その結果、接着剤1300が接点面100aの接点部101へ付着したり、収容部外部に飛散したりする可能性がある。
【0065】
よって、実施形態1の構成で粘度の低い接着剤1300を用いる場合、接着剤1300の塗布量を精度良く管理して、波打った接着剤1300の接点面100aへの乗り上げを防止する必要が生じる。また、メモリタグ100の取り付けスピードを遅くして、接着剤1300の飛散を抑えたりする必要が生じる。
【0066】
<メモリ取付部>
そこで本実施形態では、粘度の低い接着剤1300を用いた場合でも安定的にメモリタグ100をカートリッジBに取り付けるための構成を提供する。
図14(a)はメモリ取付部周辺の斜視図である。
図14(b)は、メモリ取付部周辺を底面対向部正面からみた図である。
図15(a)は、メモリ取付部周辺を、
図14(b)のKX-KX断面および、KY-KY断面からみた断面図である。
図15(b)は、メモリ取付部周辺を、
図14(b)のKZ-KZ断面からみた断面図である。
【0067】
第1実施形態と同様に、メモリタグ100はメモリ取付部1200に収容され接着剤1300によって固定されることで、カートリッジBに取り付けられる。また本実施形態のメモリ取付部1200も、カートリッジBの外装部となる非駆動側現像軸受47に、一方が開放された略四角形の凹部として設けられる。この凹部が、収容部1201として構成される。収容部1201は、メモリタグ100の底面100bに対向する底面対向部1201b(第1の対向部)と、側面100cに対向する側面規制部1201c(第2の対向部)を含む。
【0068】
さらに、
図14(a)、
図14(b)、
図15(a)および
図15(b)に示すように、本実施形態の底面対向部1201bには流路溝1201fが設けられている。流路溝1201fは、四角形状の部分と十字形状の部分を含む。四角形状の部分は、底面対向部1201bと側面規制部1201cとの接続部分に当たる、底面対向部1201bの外側4辺を結んだ部分である。十字形状の部分は、底面対向部1201bの中央に設けられている。接着剤1300をスムーズに広げるために、十字形状の溝と四角形状の溝を接続させとより好ましい。かかる流路溝1201fの存在により、接着剤1300を塗布した際に、接着剤1300が底面対向部1201bの全面にまんべんなく回り込む。
【0069】
なお流路溝1201fの形状は図示例に限定されず、接着剤1300が拡散できる形状であればよい。流路溝1201fの配置や形状は、接着剤1300の種類、接着剤1300の塗布条件、接着される両部材の材質やサイズ、必要とされる接着強度などに応じて適宜設計されるものである。
例えば、底面対向部1201cの中央部において、縦横2本の溝による十字形状に限らず、縦方向および/または横方向における溝の本数を増やしてもよいし、斜め方向の溝を加えてもよい。また例えば、流路溝1201fは、底面対向部1201bの中央部だけに設けられていてもよく、その場合の形状も十字形状に限られない。また逆に、底面対向部1201bを囲むような流路溝1201fだけを設けてもよい。
【0070】
本実施形態ではさらに、側面規制部1201cよりも底面対向部1201bから離れた位置に、側面バッファ部1201d、溜め溝部1201g、斜面部1201e、および、あふれ段差部1201hが設けられている。
【0071】
側面規制部1201cの、底面対向部1201bをなす面に対する垂直方向における高さは、メモリタグの厚みを超えない範囲とする。このような高さとすることで、メモリタグ100の挿入時に接着剤1300が側面規制部1201cに当たって跳ね返ることを防止できる。本実施形態においては、メモリタグの厚み1.4mmに対して、側面規制部1201cの高さ0.8mmとしている(
図17(b)を参照)。
【0072】
溜め溝部1201gは、底面対向部1201bをなす面に対する垂直方向において、側面規制部1201cの頂点よりも低い位置に形成された溝状の部分である。本実施形態では
図15(b)で示すように、底面対向部1201bの4辺のうちの一部である左右2か所に溜め溝部1201gを設けている。しかし、溜め溝部1201gを、底面対向部1201bの3辺に対応するよう3か所設けてもよいし、底面対向部1201bを全方向囲むよう4か所に配置してもよい。
【0073】
側面バッファ部1201dは、側面規制部1201cよりも底面対向部1201bから離れた位置に、側面規制部1201cの全方位を囲むように設けられる。溜め溝部1201gを設けている箇所に関しては、側面バッファ部1201dは、溜め溝部1201gよりも底面対向部1201bから離れた位置に設けられる。側面バッファ部1201は、概ね収容部1201全体の最外周を規定すると言える。
【0074】
側面規制部1201cの上面を、側面規制上面部1201iと呼ぶ。この側面規制上面部1201i上には、斜面部1201eと、あふれ段差部1201hが設けられている。
あふれ段差部1201hは、側面規制部1201cと溜め溝部1201gを繋ぐように設けられる。あふれ段差部1201hの高さは、底面対向部1201bの面の垂直方向において、側面規制上面部1201iの高さよりも低く、溜め溝部1201gおよび底面対向部1201bの高さよりも高い。
斜面部1201eは、側面規制部1201cの底面対向部1201bの面の垂直方向において、側面規制部1201cに近い側が低くなり、溜め溝部1201g側が高くなるような斜面の形状をしている。斜面部1201eは、メモリタグ100の取り付け時にメモリタグ100を誘い込む役割を果たす。
【0075】
<メモリ取付部へのメモリタグの取り付けおよび固定>
図16(a)は、接着剤1300の塗布時にメモリ取付部1201全域に接着剤1300が行き渡る様子を示す。
図16(b)は、メモリタグ100が斜面部1201eに誘い込まれながら収容部1201へ挿入される様子を示した断面図である。
図17(a)は、メモリタグ100の収容部1201への挿入過程を示す。
図17(b)は、
図17(a)のSB-SB断面から見た断面図であり、メモリタグ100が収容部1201へ挿入される際の接着剤1300の流れを示す。
図18(a)は、
図17(a)のSA-SA断面から見た断面図であり、メモリタグ100が収容部1201へ挿入される際の接着剤1300の流れを示す。
図18(b)は、メモリタグ100の取り付けが完了した様子を示す断面図である。
【0076】
まず、
図16(a)に示したように、メモリ取付部1200の収容部1201に接着剤1300を塗布する。図示例では、底面対向部1201bの中央付近に接着剤1300を塗布している。本実施形態では接着剤1300として、メモリタグ100とメモリ取付部1200それぞれの材料に対して十分な接着強度を有するシアノアクリレート系接着剤(粘度が約2mpa・s)を用いた。
【0077】
塗布された接着剤1300は、底面対向部1201bの中央に十字状に設けた流路溝1201fを伝って底面対向部1201bの面に行き渡り(
図16(a)の矢印Ya)、続いて底面対向部1201bの外側4辺の流路溝1201fを伝って移動する。これにより、接着剤1300が底面対向部1201b全域に満遍なく行き渡る。したがって、後にメモリタグ100が取り付けられた際の接着剤1300の回り込みの偏りを低減できるため、メモリタグ100の接着固定が安定し、さらに接着剤1300の偏りによるあふれ出しも抑制できる。
【0078】
さらに本実施形態の構成であれば、接着剤1300の塗布量に面内でのばらつきがあり
、部分的に接着剤1300のあふれが発生した場合でも対応できる。すなわち、あふれ出た接着剤1300は、側面規制上面部1201iよりも一段高さを低くしている、あふれ段差部1201hを伝って溜め溝部1201gへ流れ込む(
図16(a)の矢印Yb)。
【0079】
次に、
図16(b)に示したように、メモリタグ100を収容部1201に挿入する(矢印F)。このとき、メモリタグ100の中心が底面対向部1201bの中心から多少ずれていたとしても、斜面部1201eが存在することにより、メモリタグ100が矢印Sの方向に滑りながら移動し、収容部1201に挿入される。すなわち、メモリタグ100と収容部1201の取り付け時の位置ばらつきを吸収できる。
【0080】
そして、
図17(a)、
図17(b)に示すように、収容部1201へのメモリタグ100の挿入が完了すると、接着剤1300がメモリタグ100によって押し広げられる。このとき接着剤1300は、底面100bと底面対向部1201aの間、および、側面100cと少なくとも側面規制部1201cの間に広がる。これによりメモリタグ100を固定するのに必要な部分に接着剤1300が配置される。
【0081】
さらに、メモリタグ100によって押し広げられてあふれ出た余剰分の接着剤1300は、側面規制上面部1201iを乗り超えて側面バッファ部1201dの方向へ流れ出す。このとき、溜め溝部1201gを設けていることで、あふれ出た余剰分の接着剤1300は、側面バッファ部1201dの側壁に当たる前に、溜め溝部1201gに流れ落ちる(
図17(b)矢印Yc)ため、接着剤1300の波打ちを抑制できる。
【0082】
また、
図18(a)に示す様に、溜め溝部1201gを設けていない側の辺の両端には、側面規制上面部1201iよりも高さが一段階低い、あふれ段差部1201hを設けられている。そのため、あふれ出た接着剤1300は、あふれ段差部1201hを伝って溜め溝部1201gへ流れ込む(
図18(a)の矢印Yd)。
メモリタグ100の挿入が完了すると、
図18(b)に示したように、メモリタグ100の複数の面(底面100bおよび、側面100cのうち少なくとも側面規制部201cと対向する範囲)が接着される。
【0083】
実施形態1と同様に、メモリタグ100の各側面100cは、それぞれ対向した側面規制部1201cによって収容部1201の中での位置が規制される。そこで本実施形態においても、装置本体Aの本体電極部33とメモリタグ100の接点部101が確実に接触して情報通信が行われるようにするために、対向する側面規制部1201c間の幅を、メモリタグ100の幅より僅かに大きくするとよい。
【0084】
以上の構成にすれば、接着剤1300の塗布時や、メモリタグ100の取り付け時にあふれ出た余剰分の接着剤1300を、積極的に溜め溝部1201gへ流れ込ませることができる。そのため、接着剤1300の波打ちや、メモリタグ100の接点面100aへのあふれ出しを抑制できる。その結果、あふれ出た余剰分の接着剤1300が、メモリタグ100の接点面100aの接点面100aに付着したり、収容部1201やカートリッジBの外部に飛散したりすることを防止できる。したがって、タグコネクタ32の本体電極部33とメモリタグ100接点部101の間での電気的な接続を、安定して確保できる。
【0085】
さらに、上記の構成にすることにより、メモリタグ100の取り付け時の、接着剤1300の波打ちや、接着剤1300のメモリタグ100の接点面100aの接点部101への飛散を抑制できる。そのため、取り付け時の接着剤1300の塗布ばらつきをより抑制し、安定した取り付けが可能になる。また、メモリタグ100の取り付けスピードを上げても飛散が発生しにくいため、生産性が向上する。
【0086】
なお、メモリ取付部1200の設置場所は、現像ユニット4の非駆動側現像軸受47に設けたが、これに限定されない。実施形態1の変形例で
図12(a)、
図12(b)を用いて説明したのと同様のカートリッジBに対しても、本実施形態の構成は適用できる。さらに、メモリ取付部1200の構成が、プロセスカートリッジ以外のカートリッジや電子写真方式以外の画像形成装置にも適用できる点も、実施形態1と同様である。
【0087】
以上のように、本発明の各実施形態によれば、接着剤によってメモリタグをメモリ取付部に強固に固定し、メモリタグのメモリ取付部からの脱落を防止できる。
なお、本発明の各実施形態に記載したメモリ取付部の形状に関する構成要素は、互いに矛盾を生じさせない限りにおいて、任意に組み合わせて利用できる。
【符号の説明】
【0088】
10:画像形成装置、A:装置本体、B:カートリッジ、33:本体電極部、47:非駆動側現像軸受
100:メモリタグ、100a:接点面、100b:底面、100c:側面、101:接点部
200:メモリ取付部、201b:底面対向部、201c:側面規制部、300:接着剤