IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

<>
  • 特許-浴槽 図1
  • 特許-浴槽 図2
  • 特許-浴槽 図3
  • 特許-浴槽 図4
  • 特許-浴槽 図5
  • 特許-浴槽 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】浴槽
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/02 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
A47K3/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020153643
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047717
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西尾 公一
(72)【発明者】
【氏名】川井 悠暉
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-070878(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0215654(US,A1)
【文献】特開2001-157641(JP,A)
【文献】特開2017-119008(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105747954(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽本体の上面の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第1傾斜面を有する第1辺部と、
前記浴槽本体の上面の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第2傾斜面を有する第2辺部と、を備え、
前記第1傾斜面の上端の高さ位置は、前記第2傾斜面の上端の高さ位置よりも高く、
前記浴槽本体の上面は、浴室の壁が載置される壁載置面を有し、
前記壁載置面は、前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面よりも外周側、かつ前記第1傾斜面及び前記第2傾斜面よりも上側に位置し、
前記第1傾斜面の上端と前記壁載置面との間の高さの差は、前記第2傾斜面の上端と前記壁載置面との間の高さの差よりも小さい浴槽。
【請求項2】
浴槽本体の上面の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第1傾斜面を有する第1辺部と、
前記浴槽本体の上面の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第2傾斜面を有する第2辺部と、を備え、
前記第1傾斜面の上端の高さ位置は、前記第2傾斜面の上端の高さ位置よりも高く、
前記第1辺部及び前記第2辺部の間に形成される角部は、前記第1傾斜面の上端と前記第2傾斜面の上端との間に、高さ位置が少しずつ変化する調整部を有する浴槽。
【請求項3】
前記第1傾斜面の下端の高さ位置と、前記第2傾斜面の下端の高さ位置とは、ほぼ等しい請求項1から請求項2までの何れか一項に記載の浴槽。
【請求項4】
前記第1傾斜面の内外方向の寸法は、前記第2傾斜面の内外方向の寸法よりも大きい請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の浴槽。
【請求項5】
前記第1傾斜面は、機器が載置される載置部を有する請求項1から請求項4までの何れか一項に記載の浴槽。
【請求項6】
前記第1傾斜面は、内周側に位置する内周領域と、外周側に位置する外周領域とを有し、
前記内周領域及び前記外周領域は、勾配が異なる請求項1から請求項5までの何れか一項に記載の浴槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽本体の上面に、外周側から内周側に向かって下がる傾斜面が形成された浴槽が知られている(例えば下記特許文献1に記載)。浴槽本体の上面に傾斜面を設けることによって、浴槽本体の上面に水を留まりにくくできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-208928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば浴槽の意匠性や機能性を高めるために、浴槽本体の上面の一部を他の部分よりも幅広にしたい(内外方向の寸法を増したい)場合がある。この場合、幅広にする部分の傾斜を、他の部分の傾斜よりも緩くすると排水性が悪くなる。そこで、幅広にする部分の傾斜と他の部分の傾斜とを同等にしようとすると、幅広にする部分の傾斜面の下端が、他の部分の傾斜面の下端よりも低くなる。これは、見た目などから望ましくない。このため、浴槽本体の上面の一部を、他の部分よりも幅広にすることは難しかった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、浴槽本体の上面の一部を、他の部分よりも幅広にできる浴槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の浴槽は、浴槽本体の上面の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第1傾斜面を有する第1辺部と、前記浴槽本体の上面の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第2傾斜面を有する第2辺部と、を備え、前記第1傾斜面の上端の高さ位置は、前記第2傾斜面の上端の高さ位置よりも高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】浴室に設置された状態の浴槽を示す斜視図
図2】浴室に設置された状態の浴槽を示す平面図
図3】浴槽本体の上面を示す断面図であって、図2のA-A位置における断面に相当する断面図
図4】仮想点を説明する図であって、図3の一点鎖線で囲われた領域を拡大した図
図5】内周領域及び外周領域を示す平面図
図6】浴槽本体の上面を示す断面図であって、図5のC-C位置における断面に相当する断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
浴槽10は、図1に示すように、洗い場11を有する浴室12に設置される。浴槽10は、浴槽本体14を備える。以下、各構成部材において、図1のX軸の正方向側を前側、図1のX軸の負方向側を後側、図1のY軸の正方向側を上側、図1のY軸の負方向側を下側、図1のZ軸の正方向側を右側、図1のZ軸の負方向側を左側として説明する。
【0009】
浴槽10は、図2に示すように、平面視(上側から見て)、長方形状である。浴槽10の長手方向は、X軸方向と一致する。浴槽10の短手方向は、Z軸方向と一致する。浴槽10は、前後一対の第1縁16F、及び左右一対の第2縁16Sを有する。第1縁16F及び第2縁16Sは、浴槽10の外縁である。第1縁16Fは、左右方向に延びる。第2縁16Sは、前後方向に延びる。前後一対の第1縁16F及び左側の第2縁16Sには、浴室12の壁13が立ち上がる。右側の第2縁16Sは、洗い場11側に位置する。一対の第1縁16Fは平行である。一対の第2縁16Sは平行である。第1縁16Fと第2縁16Sとは直交する。
【0010】
浴槽本体14は、図2に示すように、底面17及び側面18を有する。底面17は、平面視、前後方向に長い長方形状である。底面17は、浴槽本体14の前後方向の中心よりも若干前側に寄った位置に配置される。側面18は、底面17の外周縁から上側に向かって外周側に傾斜する(図3参照)。
【0011】
浴槽本体14の上面15は、図2に示すように、後辺部21(第1辺部)、前辺部19(第2辺部)、左辺部22(第2辺部)及び右辺部23を有する。前辺部19及び後辺部21は、第1縁16Fに沿って左右方向に延びる。前辺部19の内周縁19A及び後辺部21の内周縁21Aは、第1縁16Fと概ね平行である。左辺部22及び右辺部23は、第2縁16Sに沿って前後方向に延びる。左辺部22の内周縁22A及び右辺部23の内周縁23Aは、第2縁16Sと概ね平行である。前辺部19と左辺部22との間、前辺部19と右辺部23との間、後辺部21と左辺部22との間、後辺部21と右辺部23との間は、角部24である。角部24は、4つ設けられる。
【0012】
後辺部21の幅寸法W1は、図2に示すように、前辺部19の幅寸法W2及び左辺部22の幅寸法W3よりも大きい。後辺部21の幅寸法W1、前辺部19の幅寸法W2及び左辺部22の幅寸法W3は、それぞれ、浴槽本体14の内周側を内側、外周側を外側としたときの内外方向の寸法である。後辺部21の幅寸法W1は、後側の第1縁16Fから内周縁21Aまでの水平面(XZ平面)上の最短距離である。前辺部19の幅寸法W2は、前側の第1縁16Fから内周縁19Aまでの水平面(XZ平面)上の最短距離である。左辺部22の幅寸法W3は、左側の第2縁16Sから内周縁22Aまでの水平面(XZ平面)上の最短距離である。後辺部21の内周縁21A、前辺部19の内周縁19A及び左辺部22の内周縁22Aは、後述する傾斜面31の下端36である。後辺部21には、機器Mが載置される。機器Mは、ユーザの首筋や肩に向かって吐水する肩湯装置である。
【0013】
後辺部21、前辺部19及び左辺部22の上面は、図3に示すように、傾斜面31及び壁載置面32を有する。傾斜面31は、外周側(図3では右側)から内周側(図3では左側)に向かって下る。壁載置面32は、浴室12の壁13が載置される水平な面である。壁13は、壁載置面32に取り付けられた水返し材32Bに載せられる。壁13の下端部は、シリコン等の軟質樹脂からなるシーリング材(図示せず)でシールされる。壁載置面32は、傾斜面31よりも外周側、かつ傾斜面31よりも上側に位置する。壁載置面32の内周縁34及び外周縁33の高さ位置は等しい。
【0014】
壁載置面32の高さ位置は、後辺部21、前辺部19及び左辺部22において等しい。壁載置面32の幅寸法(内外方向の寸法)32Aは、後辺部21、前辺部19及び左辺部22において等しい。
【0015】
壁載置面32は、図2に示すように、浴槽10の外周縁に沿って設けられる。図2は、壁13を示した部分に壁載置面32が形成されている。壁載置面32は、前後の第1縁16Fの左端から右端まで、及び左側の第2縁16Sの前端から後端まで延びる。前後の壁載置面32と、左側の壁載置面32とは、平面視、直交する。
【0016】
傾斜面31は、図3に示すように、仮想交点(第1基点P1、第2基点P2及び第3基点P3)によって規定される。仮想交点(第1基点P1、第2基点P2及び第3基点P3)は、壁載置面32に対して垂直な面(図3の紙面に平行な面)上に規定される。後辺部21及び前辺部19の当該面は、平面視において、第1縁16Fと浴槽本体14の側面18の上端18Aとを最短距離で結ぶ線を含む。左辺部22の当該面は、第2縁16Sと浴槽本体14の側面18の上端18Aとを最短距離で結ぶ線を含む(図2参照)。
【0017】
第1基点P1は、図4に示すように、壁載置面32の外周縁33から内側にD1離れた点である。壁載置面32の外周縁33は、浴槽10の外周縁(第1縁16F及び第2縁16S)である。第1基点P1は、壁載置面32を内周側に延長した水平面(XZ平面)上に位置する。例えば、D1=21.2mmである。第1基点P1は、壁載置面32の内周縁34よりも内側に位置する。
【0018】
第2基点P2は、図4に示すように、第1基点P1から内側にD2離れた点である。第2基点P2は、第1基点P1から高さ寸法H1下側の水平面上に位置する。例えば、D2=1mmである。高さ寸法H1については、後ほど説明する。
【0019】
第3基点P3は、図3に示すように、壁載置面32の外周縁33から内側にD3離れた点である。第3基点P3は、第2基点P2から高さ寸法H2下側の水平面上に位置する。第2基点P2と第3基点P3との高さの差H2は、傾斜面31の幅寸法(内外方向の寸法)によって変わる。
【0020】
傾斜面31は、第2基点P2及び第3基点P3を通る円弧面の一部である。すなわち、傾斜面31は、緩く湾曲している。傾斜面31は、水平面に対して概ね角度α1をなす。傾斜面31の上端35は、第2基点P2よりも少し内側、かつ若干下側に位置する。
【0021】
傾斜面31の上端35と壁載置面32の内周縁34との間には、図4に示すように、第1R部60及び第2R部61が形成される。第1R部60は、第2R部61よりも上側に形成される。第1R部60は、上が凸の湾曲面である。第1R部60は、中心点が下側に位置する円弧状である。第1R部60は、壁載置面32の内周縁34に連続する。第1R部60は、第1基点P1の下側に位置する。第2R部61は、下が凸の湾曲面である。第2R部61は、中心点が上側に位置する円弧状である。第2R部61は、傾斜面31の上端35に連続する。第2R部61は、第2基点P2の上側に位置する。
【0022】
傾斜面31の下端36と浴槽本体14の側面18の上端18Aとの間には、図3に示すように、第3R部62が形成される。第3R部62は、上が凸の湾曲面である。第3R部62は、中心点が下側に位置する円弧である。第3R部62は、第3基点P3の下側に位置する。
【0023】
後辺部21の傾斜面31の幅寸法W4は、図2に示すように、前辺部19の傾斜面31の幅寸法W5、及び左辺部22の傾斜面31の幅寸法W6よりも大きい。後辺部21の傾斜面31を、第1傾斜面31Fと称する。前辺部19の傾斜面31及び、左辺部22の傾斜面31を第2傾斜面31Sと称する。第1傾斜面31Fの幅寸法W4は、第1傾斜面31Fの上端35と第1傾斜面31Fの下端36との間の水平面上の最短距離である。第2傾斜面31Sの幅寸法W5,W6は、第2傾斜面31Sの上端35と第2傾斜面31Sの下端36との間の水平面上の最短距離である。
【0024】
第1傾斜面31Fは、図5に示すように、内周側に位置する内周領域38と、外周側に位置する外周領域39とを有する。内周領域38の勾配と外周領域39の勾配とは、図6に示すように、変化点37を境に異なる。内周領域38の勾配は、外周領域39の勾配よりもきつい。内周領域38は、水平面に対して角度α2をなす。外周領域39は、水平面に対して角度α3をなす。例えば、α2=2°、α3=1°である。α2、α3は、適宜変更できる。外周領域39の勾配は、第2基点P2及び変化点37を通る面の勾配である。内周領域38の勾配は、変化点37及び第3基点P3を通る面の勾配である。
【0025】
外周領域39は、図5に示すように、左右方向に長い帯状の領域である。外周領域39の前後方向寸法は、左右方向に等しい。変化点37は、左右方向に直線状に延びる。変化点37は、外周領域39の前縁である。外周領域39は、第1傾斜面31Fの上端35から変化点37までの領域である。内周領域38は、変化点37から第1傾斜面31Fの下端36までの領域である。
【0026】
第1傾斜面31Fは、機器Mが載置される載置部25を有する(図2参照)。載置部25は、内周領域38に設けられる。内周領域38の傾き角度α2は、機器Mの載置に適している。外周領域39の傾き角度α3は、排水に適している。
【0027】
第1傾斜面31Fの上端35の高さ位置は、第2傾斜面31Sの上端35の高さ位置よりも高い。後辺部21の第2基点P2の高さ位置は、前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置よりも高い。後辺部21の第2基点P2の高さ位置と前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置との差は、1mmである。
【0028】
第1傾斜面31Fの上端35と壁載置面32との間の高さの差H3(図6参照)は、第2傾斜面31Sの上端35と壁載置面32との間の高さの差H4(図3参照)よりも小さい。第1傾斜面31Fの上端35と壁載置面32との間の高さの差H3は、後辺部21における第1基点P1と第2基点P2との高さ寸法の差H1と近似である。第2傾斜面31Sの上端35と壁載置面32との間の高さの差H4は、前辺部19及び左辺部22における第1基点P1と第2基点P2との高さ寸法の差H1と近似である。H3=4mm、H4=5mmである。
【0029】
第1傾斜面31Fの下端36の高さ位置は、第2傾斜面31Sの下端36の高さ位置と、ほぼ等しい。ほぼ等しいとは、第1傾斜面31Fの下端36と第2傾斜面31Sの下端36の高さ位置が同じ、もしくは高さ位置に差があるとしても、その差は目に見えるほど大きくないことを指す。例えばその差は、浴槽本体14の上面15に風呂蓋を載せた場合に、風呂蓋との間に隙間が見えるほど大きくない程度である。
【0030】
後辺部21と左辺部22との間の角部(第1角部24Fと称する。)は、図5に示すように、傾斜面31の上端35の高さ位置が少しずつ変化する第1調整部54F及び第2調整部54Sを有する。後辺部21と右辺部23との間の角部(第2角部24Sと称する。)は、傾斜面31の上端35の高さ位置が少しずつ変化する第3調整部54Tを有する。
【0031】
傾斜面31の上端35の高さ位置は、第1角部24Fの交点50において最も高い。交点50は、第1傾斜面31Fの上端35を左右方向に延長した線と、左辺部22の第2傾斜面31Sの上端35を前後方向に延長した線との交点である。傾斜面31の上端35の高さ位置は、交点50から前側に向かって一定の勾配で低くなる。傾斜面31の上端35の高さ位置は、第1角部24Fの前端51において左辺部22の第2傾斜面31Sの上端35の高さ位置と等しくなる。第1調整部54Fは、交点50から前端51までを含む。
【0032】
傾斜面31の上端35の高さ位置は、交点50から右側に向かって一定の勾配で低くなる。傾斜面31の上端35の高さ位置は、第1角部24Fの右端52において、第1傾斜面31Fの上端35の高さ位置と等しくなる。第1角部24Fの右端52は、後辺部21の左端と一致する。第2調整部54Sは、交点50から右端52までを含む。第1角部24Fの右端52の高さ位置は、前端51の高さ位置よりも高い。
【0033】
第2角部24Sの傾斜面31の上端35の高さ位置は、交点55において最も低い。交点55は、第1傾斜面31Fの上端35を左右方向に延長した線と、右側の第2縁16Sとの交点である。交点55における傾斜面31の上端の高さ位置は、第2傾斜面31Sの上端35の高さ位置と等しい。第2角部24Sの左端56における傾斜面31の上端35の高さ位置は、第1傾斜面31Fの上端35の高さ位置と等しい。第2角部24Sの左端56は、後辺部21の右端と一致する。第3調整部54Tは、交点55から左端56までを含む。
【0034】
第1角部24Fの交点50から右端52に向かって、傾斜面31の幅寸法(傾斜面31の上端35と傾斜面31の下端36との間の水平面上の最短距離)は小さくなる。第1角部24Fの交点50から前端51に向かって、傾斜面31の幅寸法は小さくなる。第2角部24Sの交点55から左端56に向かって、傾斜面31の幅寸法は小さくなる。第1角部24F及び第2角部24Sは、それぞれ稜線が形成されないように滑らかに形成される。
【0035】
傾斜面31の上端35の高さ位置は、第2基点P2の高さ位置と近似である(図4参照)。交点50近傍の第2基点P2の高さ位置は、前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置よりも2mm高い。前端51近傍の第2基点P2の高さ位置は、前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置と等しい。交点50と前端51との間の前後方向における中心点53近傍の第2基点P2の高さ位置は、前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置よりも1mm高い。右端52近傍の第2基点P2の高さ位置は、前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置よりも1mm高い。第1傾斜面31Fの上端35の高さ位置は、前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置よりも1mm高い。交点55近傍の第2基点P2の高さ位置は、前辺部19及び左辺部22の第2基点P2の高さ位置と等しい。
【0036】
上記のように構成された実施形態の作用および効果について説明する。浴槽10は、後辺部21、前辺部19、及び左辺部22を備える。後辺部21は、浴槽本体14の上面15の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第1傾斜面31Fを有する。前辺部19及び左辺部22は、浴槽本体14の上面15の一部であり、外周側から内周側に向かって下る第2傾斜面31Sを有する。第1傾斜面31Fの上端35の高さ位置は、第2傾斜面31Sの上端35の高さ位置よりも高い。
【0037】
浴槽本体14の上面15は、浴室12の壁13が載置される壁載置面32を有する。壁載置面32は、第1傾斜面31F及び第2傾斜面31Sよりも外周側、かつ第1傾斜面31F及び第2傾斜面31Sよりも上側に位置する。第1傾斜面31Fの上端35と壁載置面32との間の高さの差H3は、第2傾斜面31Sの上端35と壁載置面32との間の高さの差H4よりも小さい。
【0038】
この構成によれば、第1傾斜面31Fの勾配と、第2傾斜面31Sの勾配を同等にしながら、第1傾斜面31Fの下端36と第2傾斜面31Sの下端36との境に段差を形成することなく、後辺部21を前辺部19及び左辺部22よりも幅広にできる。
【0039】
第1傾斜面31Fの下端36の高さ位置と、第2傾斜面31Sの下端36の高さ位置とは、ほぼ等しい。傾斜面の下端の高さ位置に高低差がある場合、風呂蓋を外周部の上面に載置すると、傾斜面の下端の高さ位置が低いところと風呂蓋との間に隙間があいてしまう。本実施形態の構成によれば、第1傾斜面31Fの下端36の高さ位置と、第2傾斜面31Sの下端36の高さ位置とはほぼ等しいから、そのような隙間があくことを防ぐことができる。
【0040】
第1傾斜面31Fの幅寸法W4は、第2傾斜面31Sの幅寸法W5,W6よりも大きい。この構成によれば、第1傾斜面31Fに機器Mを容易に設置できる。
【0041】
第1傾斜面31Fは、機器Mが載置される載置部25を有する。この構成によれば、第1傾斜面31Fに機器Mを設置することによって、浴槽10の機能性を高めることができる。
【0042】
第1傾斜面31Fは、内周側に位置する内周領域38と、外周側に位置する外周領域39とを有する。内周領域38及び外周領域39は、勾配が異なる。この構成によれば、内周領域38を機器Mの載置に適した勾配にすることによって、機器Mを安定して設置できる。外周領域39を排水に適した勾配にすることによって、排水性を確保できる。
【0043】
後辺部21及び左辺部22の間に形成される第1角部24Fは、第1傾斜面31Fの上端35と第2傾斜面31Sの上端との間に、高さ位置が少しずつ変化する第1調整部54F及び第2調整部54Sを有する。この構成によれば、第1傾斜面31Fの上端35と左辺部22の第2傾斜面31Sの上端35とを緩やかに連続させることができる。
【0044】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において浴槽本体14の底面17は、前後方向に長い長方形状である。これに限らず、浴槽本体の底面は、円形状、楕円形状などであってもよい。
(2)上記実施形態において壁載置面32は、第1傾斜面31Fの上端35及び第2傾斜面31Sの上端35より上側に位置する。これに限らず、壁載置面は、第1傾斜面の上端及び第2傾斜面の上端より下側に位置してもよい。この場合、第1傾斜面の上端と壁載置面との間の高さの差は、第2傾斜面の上端と壁載置面との間の高さの差よりも大きくなる。
(3)上記実施形態において浴槽本体14の上面15に関し具体的な数値を示した。これに限らず、浴槽本体の上面に関する数値は変更できる。
(4)上記実施形態では、後辺部21に機器Mを載置する場合を示した。これに限らず、後辺部に機器を載置しなくてもよい。
(5)上記実施形態において第1傾斜面31Fは内周領域38及び外周領域39を有する。これに限らず、第1傾斜面は、上端から下端まで一定の勾配であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
H3…第1傾斜面の上端と壁載置面との間の高さの差、H4…第2傾斜面の上端と壁載置面との間の高さの差、M…機器、W4…第1傾斜面の幅寸法(内外方向の寸法)、W5,W6…第2傾斜面の幅寸法(内外方向の寸法)、10…浴槽、12…浴室、13…壁、14…浴槽本体、15…浴槽本体の上面、19…前辺部(第2辺部)、21…後辺部(第1辺部)、22…左辺部(第2辺部)、24…第1角部、25…載置部、31F…第1傾斜面、31S…第2傾斜面、32…壁載置面、35…第1傾斜面及び第2傾斜面の上端、36…第1傾斜面及び第2傾斜面の下端、38…内周領域、39…外周領域、54F…第1調整部、54S…第2調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6