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特許7500366超音波診断装置およびスキャン条件決定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】超音波診断装置およびスキャン条件決定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240610BHJP
   A61B 8/06 20060101ALI20240610BHJP
   A61B 8/08 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B8/14
A61B8/06
A61B8/08
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020154015
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022047949
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広樹
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140357(JP,A)
【文献】特開2020-069301(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0138401(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
G01N 29/00 -29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信開口合成の実行指示の情報を含み、且つ、関心領域の情報、流速レンジの情報、および交互段スキャンに関する情報のうちの少なくとも一つに関する情報を含む、所定の映像モードに関するパラメータを取得する取得部と、
前記パラメータに基づいて、前記交互段スキャンに関する送信方向数およびグループ数と、前記送信開口合成に関するビーム合成数とを算出する算出部と、
前記送信方向数、前記グループ数、および前記ビーム合成数に基づいて、交互段スキャンの実行と共に前記送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する決定部と
を具備する、超音波診断装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記流速レンジの情報に基づいて前記ビーム合成数を算出する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記取得部は、変更されたパラメータを取得し、
前記算出部は、前記変更されたパラメータに基づいて、第2の送信方向数、第2のグループ数、および第2のビーム合成数を算出し、
前記決定部は、前記第2の送信方向数、第2のグループ数、および第2のビーム合成数に基づいて、前記スキャン条件を決定する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記変更されたパラメータは、変更された流速レンジの情報を含み、
前記算出部は、前記変更された流速レンジの情報に基づいて前記第2のビーム合成数を算出する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
信開口合成の実行指示の情報を含み、且つ、関心領域の情報、流速レンジの情報、および交互段スキャンに関する情報を含む、所定の映像モードに関するパラメータを取得する取得部と、
前記パラメータに基づいて、前記交互段スキャンに関する送信方向数および第1のグループ数を算出し、前記第1のグループ数に基づいて、前記送信開口合成に関するビーム合成数を算出し、前記ビーム合成数に基づいて、第2のグループ数を算出する算出部と、
前記送信方向数、前記第2のグループ数、および前記ビーム合成数に基づいて、交互段スキャンの実行と共に前記送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する決定部と
を具備する、超音波診断装置。
【請求項6】
前記取得部は、変更されたパラメータを取得し、
前記算出部は、前記ビーム合成数を維持したまま、前記変更されたパラメータに基づいて、第2の送信方向数および第3のグループ数を算出する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記ビーム合成数が維持可能か否かを判定する判定部
を更に具備し、
前記ビーム合成数が維持可能と判定された場合、
前記決定部は、前記第2の送信方向数、前記第3のグループ数、および前記ビーム合成数に基づいて、前記スキャン条件を決定する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記ビーム合成数が維持可能ではないと判定された場合、
前記算出部は、
前記第3のグループ数に基づいて、第2のビーム合成数を算出し、
前記第2のビーム合成数に基づいて、第4のグループ数を算出し、
前記決定部は、前記第2の送信方向数、前記第4のグループ数、および前記第2のビーム合成数に基づいて、前記スキャン条件を決定する、
請求項に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記算出部は、前記所定の映像モードの撮像レートが所定の値以上になるように前記ビーム合成数を制約する、
請求項から請求項までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記算出部は、前記所定の映像モードの撮像レートが所定の値以上になるように前記ビーム合成数および前記第2のビーム合成数を制約する、
請求項、請求項、および請求項のいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記交互段スキャンに関する情報は、前記交互段スキャンにおけるグループ内においてスキャンを繰り返す回数であるアンサンブル数を含む、
請求項から請求項10までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記所定の映像モードは、超音波プローブによって取得された血流信号を表示する血流映像モードであり、
前記スキャン条件によって取得された前記血流信号を用いて、血流の速度、血流の分散、および血流のパワーの少なくとも一つの血流情報の分布を表示する表示制御部
を更に具備する、
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記所定の映像モードは、生体に剪断波(Shear Wave)を発生させ、発生した剪断波の伝搬速度を計測することによって、組織の硬さ情報を取得するShear Wave Elastography(SWE)モードであり、
前記スキャン条件によって取得された前記組織の硬さ情報を用いて、前記組織の粘性パラメータの分布を表示する表示制御部
を更に具備する、
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
信開口合成の実行指示の情報を含み、且つ、関心領域の情報、流速レンジの情報、および交互段スキャンに関する情報のうちの少なくとも一つに関する情報を含む、所定の映像モードに関するパラメータを取得することと、
前記パラメータに基づいて、前記交互段スキャンに関する送信方向数およびグループ数と、前記送信開口合成に関するビーム合成数とを算出することと、
前記送信方向数、前記グループ数、および前記ビーム合成数に基づいて、交互段スキャンの実行と共に前記送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定することと
を具備する、スキャン条件決定方法。
【請求項15】
信開口合成の実行指示の情報を含み、且つ、関心領域の情報、流速レンジの情報、および交互段スキャンに関する情報を含む、所定の映像モードに関するパラメータを取得することと、
前記パラメータに基づいて、前記交互段スキャンに関する送信方向数および第1のグループ数を算出し、前記第1のグループ数に基づいて、前記送信開口合成に関するビーム合成数を算出し、前記ビーム合成数に基づいて、第2のグループ数を算出することと、
前記送信方向数、前記第2のグループ数、および前記ビーム合成数に基づいて、交互段スキャンの実行と共に前記送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定することと
を具備する、スキャン条件決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置およびスキャン条件決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血流など生体組織の変位量・速度を推定し映像化するドプライメージング機能では、交互段スキャン(或いは、パケットスキャン)と呼ばれる送受信制御方法が一般的に用いられている。交互段スキャンは、同一位置のデータ列を収集する際に、同一のビーム位置を連続して送受信するのではなく、複数のビーム位置を1つの組とし、この組に含まれる複数のビーム位置を順番に送受信する方式である。これにより、フレームレートを落とさずに、サンプリング周期を長くして、低速の血流速度の計測に対応することが可能となる。
【0003】
また、医用超音波診断における並列同時受信の方法として、送信開口合成と呼ばれる技術がある。送信開口合成は、送信集束点が異なる送信ビーム間で、同一の観測点に送受焦点を合わせた受信エコー信号を複数取得し、加算合成する手法のことである。送信開口合成を用いることで、S/Nの向上に加えて、深さ方向に均一な送信ビーム幅を高精度に形成することが可能となり、空間分解能及びコントラスト分解能に優れた超音波画像を生成することができる。
【0004】
しかし、超音波診断装置において、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するための最適なスキャン条件を決定する技術は知られていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-312632号公報
【文献】特開2019-118715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、超音波診断に関する映像モードの最適なスキャン条件を決定することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係る超音波診断装置は、取得部と、決定部とを備える。取得部は、少なくとも送信開口合成の実行指示の情報を含む、所定の映像モードに関するパラメータを取得する。決定部は、パラメータに基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態におけるスキャン条件決定処理を実行する処理回路の動作を説明するためのフローチャートである。
図3図3は、第1の実施形態における全体のスキャン領域および関心領域を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態における関心領域の分割を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態における超音波走査チャートを説明するための図である。
図6図6は、第1の実施形態における送信開口合成を実行する場合の超音波走査チャートを説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態における送信開口合成による送信制御の動作を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施形態における送信開口合成による受信制御の動作を説明するための図である。
図9図9は、第1の実施形態の応用例におけるスキャン条件決定処理を実行する処理回路の動作を説明するためのフローチャートである。
図10図10は、第1の実施形態の応用例における超音波走査チャートを説明するための図である。
図11図11は、第2の実施形態におけるスキャン条件決定処理を実行する処理回路の動作を説明するためのフローチャートである。
図12図12は、第2の実施形態の応用例における超音波走査チャートを説明するための図である。
図13図13は、送信開口合成による送信制御の動作を説明するための図である。
図14図14は、送信開口合成による受信制御の動作を説明するための図である。
図15図15は、スキャン領域を説明するための図である。
図16図16は、超音波走査チャートを説明するための図である。
図17図17は、簡略化した超音波走査チャートを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、超音波診断装置の各実施形態について詳細に説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図1の超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101とを有している。装置本体100は、入力装置102および出力装置103と接続されている。また、装置本体100は、ネットワークNWを介して外部装置104と接続されている。外部装置104は、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication Systems)を搭載したサーバなどである。
【0011】
超音波プローブ101は、例えば、装置本体100からの制御に従い、被検体である生体P内のスキャン領域について超音波スキャンを実行する。超音波プローブ101は、例えば、複数の圧電振動子、複数の圧電振動子とケースとの間に設けられる整合層、および複数の圧電振動子から放射方向に対して後方への超音波の伝搬を防止するバッキング材等を有する。超音波プローブ101は、例えば、複数の超音波振動子が所定の方向に沿って配列された一次元アレイリニアプローブである。超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。超音波プローブ101には、オフセット処理、および超音波画像をフリーズさせる操作(フリーズ操作)等の際に押下されるボタンが配置されてもよい。
【0012】
複数の圧電振動子は、装置本体100が有する後述の超音波送信回路110から供給される駆動信号に基づいて超音波を発生する。これにより、超音波プローブ101から生体Pへ超音波が送信される。超音波プローブ101から生体Pへ超音波が送信されると、送信された超音波は、生体Pの体組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流または心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向の速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。超音波プローブ101は、生体Pからの反射波信号を受信して電気信号に変換する。
【0013】
図1には、一つの超音波プローブ101と装置本体100との接続関係を例示している。しかしながら、装置本体100には、複数の超音波プローブを接続することが可能である。接続された複数の超音波プローブのうちいずれを超音波スキャンに使用するかは、例えば、後述するタッチパネル上のソフトウェアボタンによって任意に選択することができる。
【0014】
装置本体100は、超音波プローブ101により受信された反射波信号に基づいて超音波画像を生成する装置である。装置本体100は、超音波送信回路110と、超音波受信回路120と、内部記憶回路130と、画像メモリ140と、入力インタフェース150と、出力インタフェース160と、通信インタフェース170と、処理回路180とを有している。
【0015】
超音波送信回路110は、超音波プローブ101に駆動信号を供給するプロセッサである。超音波送信回路110は、例えば、トリガ発生回路、遅延回路、およびパルサ回路等により実現される。トリガ発生回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返して発生する。遅延回路は、超音波プローブから発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な複数の圧電振動子毎の遅延時間を、トリガ発生回路が発生する各レートパルスに対し与える。パルサ回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に設けられる複数の超音波振動子へ駆動信号(駆動パルス)を印加する。遅延回路により各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、複数の圧電振動子の表面からの送信方向が任意に調整可能となる。
【0016】
また、超音波送信回路110は、駆動信号によって、超音波の出力強度を任意に変更することができる。超音波診断装置では、出力強度を大きくすることにより、生体P内での超音波の減衰の影響を小さくすることができる。超音波診断装置は、超音波の減衰の影響を小さくすることによって、受信時において、S/N比の大きい反射波信号を取得することができる。
【0017】
一般的に、超音波が生体P内を伝播すると、出力強度に相当する超音波の振動の強さ(これは、音響パワーとも称する)が減衰する。音響パワーの減衰は、吸収、散乱および反射などによって起こる。また、音響パワーの減少の度合いは、超音波の周波数および超音波の放射方向の距離に依存する。例えば、超音波の周波数を大きくすることにより、減衰の度合いは大きくなる。また、超音波の放射方向の距離が長くなるほど、減衰の度合いは大きくなる。
【0018】
超音波受信回路120は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を施し、受信信号を生成するプロセッサである。超音波受信回路120は、超音波プローブ101によって取得された超音波の反射波信号に対する受信信号を生成する。具体的には、超音波受信回路120は、例えば、プリアンプ、A/D変換器、復調器、およびビームフォーマ等により実現される。プリアンプは、超音波プローブ101が受信した反射波信号をチャネル毎に増幅してゲイン補正処理を行う。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をディジタル信号に変換する。復調器は、ディジタル信号を復調する。ビームフォーマは、例えば、復調されたディジタル信号に受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与えて、遅延時間が与えられた複数のディジタル信号を加算する。ビームフォーマの加算処理により、受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調された受信信号が発生する。
【0019】
内部記憶回路130は、例えば、磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体、または半導体メモリ等、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等を有する。内部記憶回路130は、超音波送受信を実現するためのプログラム、後述するスキャン条件決定処理に関するプログラムおよび各種データ等を記憶している。プログラムおよび各種データは、例えば、内部記憶回路130に予め記憶されていてもよい。また、プログラムおよび各種データは、例えば、非一過性の記憶媒体に記憶されて配布され、非一過性の記憶媒体から読み出されて内部記憶回路130にインストールされてもよい。また、内部記憶回路130は、入力インタフェース150を介して入力される操作に従い、処理回路180で生成されるBモード画像データ、造影画像データ、および血流映像に関する画像データ等を記憶する。内部記憶回路130は、記憶している画像データを、通信インタフェース170を介して外部装置104等に転送することも可能である。
【0020】
なお、内部記憶回路130は、CDドライブ、DVDドライブ、およびフラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であってもよい。内部記憶回路130は、記憶しているデータを可搬性記憶媒体へ書き込み、可搬性記憶媒体を介してデータを外部装置104に記憶させることも可能である。
【0021】
画像メモリ140は、例えば、磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体、または半導体メモリ等、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体等を有する。画像メモリ140は、入力インタフェース150を介して入力されるフリーズ操作直前の複数フレームに対応する画像データを保存する。画像メモリ140に記憶されている画像データは、例えば、連続表示(シネ表示)される。
【0022】
内部記憶回路130、および画像メモリ140は、必ずしもそれぞれが独立した記憶装置により実現されなくてもよい。内部記憶回路130、および画像メモリ140が単一の記憶装置により実現されてもよい。また、内部記憶回路130、および画像メモリ140のそれぞれが複数の記憶装置により実現されてもよい。
【0023】
入力インタフェース150は、入力装置102を介し、操作者からの各種指示を受け付ける。入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、パネルスイッチ、スライダースイッチ、トラックボール、ロータリーエンコーダ、操作パネル、およびタッチコマンドスクリーン(TCS:Touch Command Screen)である。入力インタフェース150は、例えばバスを介して処理回路180に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を処理回路180へ出力する。なお、入力インタフェース150は、マウスおよびキーボード等の物理的な操作部品と接続するものだけに限られない。例えば、超音波診断装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路180へ出力する回路も入力インタフェースの例に含まれる。
【0024】
出力インタフェース160は、例えば処理回路180からの電気信号を出力装置103へ出力するためのインタフェースである。出力装置103は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRTディスプレイ等の任意のディスプレイである。出力装置103は、入力装置102を兼ねたタッチパネル式のディスプレイでもよい。出力装置103は、ディスプレイの他に、音声を出力するスピーカーを更に含んでもよい。出力インタフェース160は、例えばバスを介して処理回路180に接続され、処理回路180からの電気信号を出力装置103に出力する。
【0025】
通信インタフェース170は、例えばネットワークNWを介して外部装置104と接続され、外部装置104との間でデータ通信を行う。
【0026】
処理回路180は、例えば、超音波診断装置1の中枢として機能するプロセッサである。処理回路180は、内部記憶回路130に記憶されているプログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。処理回路180は、例えば、Bモード処理機能181と、ドプラ処理機能182と、画像生成機能183と、取得機能184(取得部)と、算出機能185(算出部)と、判定機能186(判定部)、表示制御機能187(表示制御部)と、システム制御機能188(決定部)とを有している。
【0027】
Bモード処理機能181は、超音波受信回路120から受け取った受信信号に基づき、Bモードデータを生成する機能である。Bモード処理機能181において処理回路180は、例えば、超音波受信回路120から受け取った受信信号に対して包絡線検波処理、および対数圧縮処理等を施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。生成されたBモードデータは、2次元的な超音波走査線(ラスタ)上のBモードRAWデータとして不図示のRAWデータメモリに記憶される。
【0028】
また、処理回路180は、Bモード処理機能181により、造影エコー法、例えば、コントラストハーモニックイメージング(Contrast Harmonic Imaging:CHI)を実行することができる。即ち、処理回路180は、造影剤が注入された生体Pの反射波データ(高調波成分または分周波成分)と、生体P内の組織を反射源とする反射波データ(基本波成分)とを分離することができる。これにより、処理回路180は、生体Pの反射波データから高調波成分または分周波成分を抽出して、造影画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
【0029】
造影画像データを生成するためのBモードデータは、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表したデータとなる。また、処理回路180は、生体Pの反射波データから基本波成分を抽出して、組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
【0030】
なお、CHIを行う際、処理回路180は、上述したフィルタ処理を用いた方法とは異なる方法により、ハーモニック成分(高調波成分)を抽出することができる。ハーモニックイメージングでは、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)法や位相変調(PM:Phase Modulation)法、AM法及びPM法を組み合わせたAMPM法と呼ばれる映像法が行なわれる。
【0031】
AM法、PM法およびAMPM法では、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる超音波送信を複数回行う。これにより、超音波受信回路120は、各走査線で複数の反射波データを生成し、生成した反射波データを出力する。処理回路180は、Bモード処理機能181により、各走査線の複数の反射波データを、変調法に応じた加減算処理することで、ハーモニック成分を抽出する。そして、処理回路180は、ハーモニック成分の反射波データに対して包絡線検波処理などを行って、Bモードデータを生成する。
【0032】
ドプラ処理機能182は、超音波受信回路120から受け取った受信信号を周波数解析することで、スキャン領域に設定されるROI(Region Of Interest:関心領域)内にある移動体のドプラ効果に基づく運動情報を抽出したデータ(ドプラ情報)を生成する機能である。生成されたドプラ情報は、2次元的な超音波走査線上のドプラRAWデータ(ドプラデータとも称する)として不図示のRAWデータメモリに記憶される。
【0033】
具体的には、処理回路180は、ドプラ処理機能182により、例えば移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値、平均パワー値などを複数のサンプル点それぞれで推定し、推定した運動情報を示すドプラデータを生成する。移動体は、例えば、血流や、心壁などの組織、造影剤である。第1の実施形態に係る処理回路180は、ドプラ処理機能182により、血流の運動情報(血流情報)として、血流の平均速度、血流速度の分散値、血流信号のパワー値などを、複数のサンプル点それぞれで推定し、推定した血流情報を示すドプラデータを生成する。
【0034】
さらに、処理回路180は、ドプラ処理機能182により、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法とも呼ばれるカラードプラ法を実行することができる。CFM法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行われる。そして、CFM法では、例えば、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、静止している組織、又は動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号を抽出する。そして、CFM法では、抽出した血流信号を用いて、血流の速度、血流の分散、血流のパワーなどの血流情報を推定する。後述する画像生成機能183では、推定した血流情報の分布を、例えば、2次元でカラー表示した超音波画像データ(カラードプラ画像データ)として生成する。以降では、カラードプラ法を用いた超音波診断装置のモードを血流映像モードと称する。尚、カラー表示とは、血流情報の分布を所定のカラーコードに対応させて表示させるものであり、グレースケールもカラー表示に含まれるものとする。
【0035】
血流映像モードには、所望する臨床情報によって様々な種類がある。一般的には、血流の方向や血流の平均速度が可視化可能な速度表示用血流映像モードや、血流信号のパワーを可視化可能なパワー表示用血流映像モードがある。
【0036】
速度表示用血流映像モードは、血流の方向や血流の平均速度によってドプラシフト周波数に対応した色を表示するモードである。例えば、速度表示用血流映像モードは、流れの方向として、向かってくる流れを赤系色、遠ざかる流れを青系色で表し、それぞれの速度の違いを色相の違いで表す。速度表示用血流映像モードは、カラードプラモードや、カラードプライメージング(Color Doppler Imaging:CDI)モードと呼ばれることもある。
【0037】
パワー表示用血流映像モードは、例えば、血流信号のパワーを赤系色の色相、色の明るさ(明度)または彩度の変化で表すモードである。パワー表示用血流映像モードは、パワードプラ(Power Doppler:PD)モードと呼ばれることもある。パワー表示用血流映像モードは、速度表示用血流映像モードと比べて高感度に血流を描出できることから、高感度血流映像モードと呼ばれてもよい。
【0038】
画像生成機能183は、Bモード処理機能181により生成されたデータに基づいて、Bモード画像データを生成する機能である。例えば、画像生成機能183において処理回路180は、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の画像データ(表示用画像データ)を生成する。具体的には、処理回路180は、RAWデータメモリに記憶されたBモードRAWデータに対してRAW-ピクセル変換、例えば、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じた座標変換を実行することで、ピクセルから構成される2次元Bモード画像データ(超音波画像データとも称する)を生成する。換言すると、処理回路180は、画像生成機能183により、超音波の送受信によって、連続する複数のフレームにそれぞれ対応する複数の超音波画像(医用画像)を生成する。
【0039】
また、処理回路180は、例えば、RAWデータメモリに記憶されたドプラRAWデータに対してRAW-ピクセル変換を実行することで、血流情報が映像化されたドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、平均速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又はこれらを組み合わせた画像データである。処理回路180は、ドプラ画像データとして、血流情報がカラーで表示されるカラードプラ画像データ、および一つの血流情報がグレースケールで波形状に表示されるドプラ画像データを生成する。カラードプラ画像データは、前述の血流映像モードの実行時に生成される。
【0040】
取得機能184は、超音波診断装置1のスキャン条件を決定するために用いられるパラメータを取得する機能である。例えば、取得機能184において処理回路180は、ユーザによって入力されたパラメータを受け付ける。換言すると、処理回路180は、取得機能184により、ユーザによって入力されたパラメータを取得する。尚、処理回路180は、超音波診断装置1によるスキャンの実行中に、変更されたパラメータを取得してもよい。
【0041】
なお、第1の実施形態では、血流映像モードの実施を前提としているため、以降では、処理回路180は、ユーザによって入力された血流映像モードに関するパラメータ(血流映像パラメータ)を取得するものとする。血流映像パラメータには、例えば、関心領域の情報、流速レンジの情報、交互段スキャンに関する情報、および送信開口合成に関する情報などがある。尚、超音波診断装置1が実行する交互段スキャンおよび送信開口合成については、後述される。
【0042】
関心領域の情報は、例えば、スキャン方向の関心領域の幅および超音波放射方向の関心領域の深さ(ROIの下端の位置)の情報を含む。関心領域の幅および深さは、例えば、全体のスキャン領域に対する関心領域の位置情報から算出される。全体のスキャン領域は、例えば、超音波プローブ101で取得可能な超音波画像のサイズに対応する。流速レンジの情報は、例えば、血流の平均速度の表示上限(最大検出流速)の情報を含む。送信開口合成に関する情報は、例えば、送信開口合成を実行するか否かの情報を含む。交互段スキャンに関する情報は、例えば、アンサンブル数の情報を含む。尚、アンサンブル数については、後述される。
【0043】
算出機能185は、ユーザから入力されたパラメータに基づいて、スキャン条件を決定するための複数の数値情報を算出する機能である。複数の数値情報は、例えば、交互段スキャンに関する送信方向数(交互段送信方向数)、グループ数、およびビーム合成数の情報を含む。これらの情報については、何れも後述される。処理回路180は、算出機能185により、血流映像パラメータに基づいて、交互段スキャンに関する送信方向数およびグループ数を算出する。また、処理回路180は、算出機能185により、グループ数に基づいて、送信開口合成に関するビーム合成数を算出する。また、処理回路180は、算出機能185により、ビーム合成数に基づいて、送信方向数およびグループ数を算出(再算出)する。尚、処理回路180は、所定の映像モードの撮像レートが所定の値以上になるように算出されるビーム合成数を制約してもよい。ビーム合成数を制約するとは、算出されるビーム合成数に上限を設けることと同様の意味である。
【0044】
判定機能186は、ユーザから入力されたパラメータおよび算出された数値情報が所定の条件を満たしているか否か判定する機能である。具体的には、処理回路180は、判定機能186により、送信開口合成の実行指示があるか否かを判定する。また、処理回路180は、判定機能186により、ビーム合成数が2以上であるか否かを判定する。例えば、ビーム合成数がゼロとは、異なる時刻の送信で得られた受信信号間の合成を行わないことを意味する。このことは、ビーム合成数が1の場合も実質的に同様である。
【0045】
表示制御機能187は、画像生成機能183により生成された各種超音波画像データに基づく画像を出力装置103としてのディスプレイに表示させる機能である。具体的には、例えば、処理回路180は、表示制御機能187により、画像生成機能183により生成されたBモード画像データ、ドプラ画像データ、又はこれらの両方を含む画像データに基づく画像のディスプレイにおける表示を制御する。
【0046】
より具体的には、処理回路180は、表示制御機能187により、例えば、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用画像データを生成する。また、処理回路180は、表示用画像データに対し、ダイナミックレンジ、輝度(ブライトネス)、コントラスト、及びγカーブ補正、並びにRGB変換等の各種処理を実行してもよい。また、処理回路180は、表示用画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディマーク等の付帯情報を付加してもよい。また、処理回路180は、操作者が入力装置により各種指示を入力するためのユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)を生成し、GUIをディスプレイに表示させてもよい。
【0047】
また、表示制御機能187により処理回路180は、後述するシステム制御機能188において決定されたスキャン条件によって取得された血流信号を用いて、血流の速度、血流の分散、および血流のパワーの少なくとも一つの血流情報の分布を表示してもよい。
【0048】
なお、表示制御機能187により処理回路180は、血流映像モード中において送信開口合成を実行していることを示す情報を表示してもよい。具体的には、処理回路180は、送信開口合成を実行していることをユーザへ通知するための表示をしてもよい。
【0049】
システム制御機能188は、超音波診断装置1全体の動作を統括して制御する機能である。例えば、システム制御機能188において処理回路180は、血流映像パラメータに基づいて、交互段スキャンの実行と共に前記送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定し、スキャン条件に基づいて超音波送信回路110および超音波受信回路120を制御する。
【0050】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の基本的な構成について説明した。次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が実行可能な送信開口合成について図13及び図14を用いて説明する。
【0051】
図13は、送信開口合成による送信制御の動作を説明するための図である。図13の例では、送信焦点位置をずらして、送信#1、送信#2、送信#3、送信#4の順で超音波を超音波プローブ101から4回送信する場合について示す。
【0052】
図14は、送信開口合成による受信制御の動作を説明するための図である。図14の例では、図13における送信#1から送信#4の各超音波送信に対して超音波プローブ101で反射波信号を受信し、指向性の異なる3つの受信信号を生成する場合を示す。また、図14の例では、送信#1から送信#4の各超音波送信にそれぞれ対応する受信#1、受信#2、受信#3、受信#4の順で反射波信号を超音波プローブ101で受信するものとする。
【0053】
具体的には、超音波診断装置1は、受信#1において送信#1の超音波送信に対する受信信号#1a、受信信号#1b及び受信信号#1cを生成する。また、超音波診断装置1は、受信#2において送信#2の超音波送信に対する受信信号#2a、受信信号#2b及び受信信号#2cを生成する。同様にして、超音波診断装置1は、受信#3において送信#3の超音波送信に対する受信信号#3a、受信信号#3b及び受信信号#3cを生成する。また、超音波診断装置1は、受信#4において送信#4の超音波送信に対する受信信号#4a、受信信号#4b及び受信信号#4cを生成する。
【0054】
そして、超音波診断装置1は、異なる送信で得られた同一チャネルの受信信号を合成する。例えば、図14に示すように、超音波診断装置1は、送信開口が異なり、同一走査線における受信信号#1cと、受信信号#2bと、受信信号#3aとを合成する。また、例えば、超音波診断装置1は、送信開口が異なり、同一走査線における受信信号#2cと、受信信号#3bと、受信信号#4aとを合成する。上述のビーム合成数は、異なる送信で得られた同一チャネルの受信信号を合成する数に相当する。尚、ビーム合成数は、図14に例示した3つに限らず、2つ、或いは4つ以上でもよい。
【0055】
次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が実行可能な交互段スキャンについて図15から図17を用いて説明する。
【0056】
図15は、スキャン領域を説明するための図である。図15には、超音波プローブ101によってカラードプラ画像データが収集される関心領域Rを例示する。尚、説明の都合上、スキャン領域全体をカラードプラ画像の関心領域とする。
【0057】
図15に示すように、超音波診断装置1は、例えば、1フレーム分のカラードプラ画像データを収集するために、関心領域Rのカラードプラモードスキャンを実行する。この関心領域Rは、例えば、六カ所のビーム位置で送受信される6本のビーム(走査線)により構成される。具体的には、超音波診断装置1は、関心領域Rを、6本のビームそれぞれに対応する領域R1からR6に分ける。
【0058】
さらに、超音波診断装置1は、関心領域Rを複数のグループに分割して走査する。具体的には、超音波診断装置1は、領域R1からR3までの第1のグループと、領域R4から領域R6までの第2のグループとの2つのグループに分割して関心領域Rを走査する。よって、それぞれのグループは、3本のビームにより構成される。
【0059】
ここで、CFM法では、1フレーム分の血流情報を生成するために、同一位置における反射波データのデータ列が用いられる。このため、超音波診断装置1は、関心領域Rのカラードプラモードスキャンを繰り返し実行することにより、関心領域R内の各位置(サンプル点)のデータ列を収集する。例えば、超音波診断装置1は、関心領域Rのカラードプラモードスキャンを、所定の繰り返し周期で3回実行することにより、1フレーム分のカラードプラ画像データを収集する。図15に示す例では、超音波診断装置1は、分割された第1のグループおよび第2のグループについて、カラードプラモードスキャンを3回ずつ実行する。言い換えると、繰り返し周期は、カラードプラモードスキャンを繰り返す周期に対応する。尚、グループ内において、カラードプラモードスキャンを繰り返す回数は、アンサンブル数Nensと呼ばれる。このアンサンブル数Nensは、ユーザによって指定される。
【0060】
ここで、音響PRF(Pulse Repetition Frequency)は、あるビームが送信されてから次のビームが送信されるまでの期間(時間)の逆数に対応する。つまり、音響PRFの逆数「f-Inv」は、例えば、超音波送受信が実行されてから、次の超音波送受信が実行されるまでの時間に対応するので、各ビームの送受信にかかる送受信時間T1に対応すると言える。尚、音響PRFは、例えば関心領域Rの下端の位置(深さ)と、流速レンジと、超音波の受信周波数とのうちの少なくとも一つに基づいて決定される。換言すると、超音波診断装置1は、関心領域Rの深さ(ROIの深さ)、流速レンジ、および超音波の受信周波数の少なくとも一つに基づいて送受信時間T1を決定する。
【0061】
次に、超音波診断装置1は、カラードプラモードスキャンの繰り返し周期T2を算出する。ここで、繰り返し周期T2は、ある領域での送受信が繰り返し実行される期間(時間)に対応する。つまり、繰り返し周期T2は、例えば、グループ内におけるカラードプラモードスキャンを複数回実行する際の、ある領域での超音波送受信が実行されてから、他の領域での超音波送受信の期間を経て、再び同じ領域での超音波送受信が実行されるまでの時間に対応する。この繰り返し周期T2は、最大検出流速が高流速であれば小さくなり、低流速であれば大きくなる。このため、超音波診断装置1は、設定された流速レンジの最大検出流速に基づいて、繰り返し周期T2を算出する。尚、繰り返し周期T2は、関心領域を分割した各領域において同一の値となる。
【0062】
次に、超音波診断装置1は、繰り返し周期T2と音響PRF(或いは、送受信時間T1)とに基づいて、交互段スキャンの交互段数(交互段送信方向数)Ndirを算出する。ここで、交互段スキャンとは、CFM法により所定の領域(例えば、一つの領域)のデータ列を収集する際に、一つの領域について連続して超音波送受信を実行するのではなく、複数の領域を1つのグループとし、このグループに含まれる複数の領域で順番に超音波送受信を実行する方式である。図15では、例えば、3つの領域R1からR3を1つのグループとして、第1の受信エコーに対応する領域R1からR3の超音波送受信を順番に実行した後に、第2の受信エコーに対応する領域R1からR3の超音波の送受信を順番に実行し、これを所定の回数繰り返す。この交互段スキャンにおいて、各受信エコーに含まれる領域の数が交互段送信方向数Ndirと呼ばれる。つまり、交互段送信方向数Ndirは、各グループに含まれる領域の数に対応する。次の図16に示す例では、ユーザによってアンサンブル数Nens「3」が指定され、超音波診断装置1によって交互段送信方向数Ndir「3」が算出された場合を例示する。
【0063】
図16は、超音波走査チャートを説明するための図である。図16の超音波走査チャートUSC1は、超音波送受信の順序を示したものである。超音波走査チャートUSC1の横方向は、スキャン方向であり、図15の領域R1からR6における超音波送受信に対応する。超音波走査チャートUSC1の縦方向は、時間方向であり、領域R1からR6における超音波送受信の順序に対応する。また、超音波走査チャートUSC1内の数字は、超音波送受信の順番に対応する。尚、説明の都合上、並列同時受信を行わないこととする。
【0064】
まず、超音波診断装置1は、第1のグループGP1についてカラードプラモードスキャンを3回ずつ実行する。具体的には、超音波診断装置1は、時刻t1からt3において領域R1からR3に対応する超音波送受信を行い、時刻t4からt6において領域R1からR3に対応する超音波送受信を行い、時刻t7から時刻9において領域R1からR3に対応する超音波送受信を行う。
【0065】
第1のグループGP1についてのスキャンが実行された後、超音波診断装置1は、第2のグループGP2についてカラードプラモードスキャンを3回ずつ実行する。具体的には、超音波診断装置1は、時刻t10からt12において領域R4からR6に対応する超音波送受信を行い、時刻t13からt15において領域R4からR6に対応する超音波送受信を行い、時刻t16から時刻18において領域R4からR6に対応する超音波送受信を行う。
【0066】
第2のグループGP2についてのスキャンが実行された後、超音波診断装置1は、再び第1のグループGP1についてのカラードプラモードスキャンを3回ずつ実行する。以降同様に第1のグループGP1および第2のグループGP2のそれぞれについて交互にカラードプラモードスキャンが実行される。
【0067】
図16において、前述の送受信時間T1および繰り返し周期T2は、次のように表すことができる。送受信時間T1は、例えば、時刻t1において領域R1での超音波送受信が実行されてから、時刻t2において領域R2での超音波送受信が実行されるまでの時間に対応する。繰り返し周期T2は、時刻t4において領域R1での超音波送受信が実行されてから、時刻t7において再び領域R1での超音波送受信が実行されるまでの時間に対応する。
【0068】
図17は、簡略化した超音波走査チャートを説明するための図である。図17の超音波走査チャートUSC2は、図16の超音波走査チャートUSC1と同様の内容を有する。具体的には、超音波走査チャートUSC2は、超音波走査チャートUSC1の時間方向の図示を圧縮したものである。例えば、超音波走査チャートUSC2において、横方向は、交互段送信方向数Ndirの組に対応する。そのため、超音波走査チャートUSC2の1行目は、超音波走査チャートUSC1の時刻t1からt3の3行分に相当する。よって、超音波走査チャートUSC1では18行で図示していた超音波送受信の順序を、超音波走査チャートUSC2では6行で図示することができる。以降では、この超音波走査チャートUSC2の図示が利用される。
【0069】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1が実行可能な送信開口合成および交互段スキャンについて説明した。次に、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の動作について説明する。
【0070】
図2は、第1の実施形態におけるスキャン条件決定処理を実行する処理回路の動作を説明するためのフローチャートである。第1の実施形態におけるスキャン条件決定処理は、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行する際の最適なスキャン条件を決定する。図2に示すスキャン条件決定処理は、例えば、血流映像モードの実行前にユーザが任意の血流映像モードを実行することにより開始される。
【0071】
(ステップST110)
スキャン条件決定処理が開始すると、処理回路180は、取得機能184を実行する。取得機能184を実行すると、処理回路180は、パラメータを受け付ける。具体的には、処理回路180は、ユーザによって入力された血流映像パラメータを取得する。血流映像パラメータは、例えば、関心領域の幅、関心領域の深さ、流速レンジ、アンサンブル数、および送信開口合成の実行指示などである。次に、関心領域の幅および深さについて図3を用いて説明する。
【0072】
図3は、第1の実施形態における全体のスキャン領域および関心領域を説明するための図である。図3には、全体のスキャン領域であるBモード領域BRと、超音波プローブ101によってカラードプラ画像データが収集される関心領域CRを例示する。関心領域の幅Wは、関心領域CRのスキャン方向の長さである。関心領域の深さDは、超音波プローブ101の接触面から関心領域CRの下端までの長さである。
【0073】
関心領域の幅Wが設定されると、処理回路180は、関心領域CRを複数の部分領域に分割する。複数の部分領域のそれぞれは、例えば、超音波プローブ101の複数の素子のそれぞれに対応する。よって、処理回路180は、関心領域の幅Wに対応する超音波プローブ101の素子数に基づいて、関心領域CRを複数の部分領域に分割する。
【0074】
図4は、第1の実施形態における関心領域の分割を説明するための図である。図4には、関心領域CRと、関心領域CR内をスキャン方向に分割した、15個の部分領域CR1からCR15までとを例示する。以降では、関心領域の幅Wが変更されない限り、関心領域CR内は15個の部分領域CR1からCR15までに分割されているものとして説明する。尚、関心領域内の分割領域の数は、「関心領域の分割数」に言い換えられてもよい。
【0075】
(ステップST120)
血流映像パラメータを取得した後、処理回路180は、算出機能185を実行する。算出機能185を実行すると、処理回路180は、パラメータに基づいて、交互段スキャンに関する送信方向数およびグループ数を算出する。
【0076】
具体的には、処理回路180は、関心領域の深さに基づいて超音波スキャンの送受信時間T1を算出し、流速レンジの最大検出流速に基づいて超音波スキャンの繰り返し周期T2を算出する。次に、処理回路180は、送受信時間T1および繰り返し周期T2に基づいて、交互段スキャンに関する送信方向数を算出する。そして、処理回路180は、送信方向数と関心領域の分割数とに基づいて、交互段スキャンに関するグループ数を算出する。上記の算出結果により、例えば、送信方向数「5」およびグループ数「3」と算出された場合の超音波走査チャートについて図5を用いて説明する。また、図5の例では、ユーザによってアンサンブル数「4」が入力されているものとする。
【0077】
図5は、第1の実施形態における超音波走査チャートを説明するための図である。図5の超音波走査チャートUSC10は、ステップST120による処理結果に基づくものである。超音波走査チャートUSC10には、3つのグループGPa1からGPa3までが例示されている。グループGPa1は、5つの部分領域CR1からCR5までに対応する。グループGPa2は、5つの部分領域CR6からCR10までに対応する。グループGPa3は、5つの部分領域CR11からCR15までに対応する。
【0078】
各グループに含まれる超音波スキャンの総数は、送信方向数「5」およびアンサンブル数「4」により20回となる。また、全てのグループを合わせた超音波スキャンの総数は60回となる。尚、全てのグループを合わせた超音波スキャンの総数は、「関心領域内の超音波スキャンの総数」に言い換えられてもよい。
【0079】
ところで、関心領域内の超音波スキャンの途中には、通常、全体のスキャン領域の超音波スキャン(Bモード画像を取得するための超音波スキャン)が行われる。以降では、説明の便宜上、Bモード画像を取得するための超音波スキャンは、一定の時間間隔で行われるものとする。これにより、関心領域内を表示するための撮像レートは、全てのグループを合わせた超音波スキャンの総数に略対応する。
【0080】
(ステップST130)
送信方向数およびグループ数を算出した後、処理回路180は、判定機能186を実行する。判定機能186を実行すると、処理回路180は、送信開口合成の実行指示が有るか否かを判定する。
【0081】
具体的には、処理回路180は、血流映像パラメータの送信開口合成に関する情報に基づいて判定を行う。処理回路180は、送信開口合成に関する情報が送信開口合成を実行する旨の情報であれば、送信開口合成の実行指示が有ると判定する。他方、処理回路180は、送信開口合成に関する情報が送信開口合成を実行しない旨の情報であれば、送信開口合成の実行指示がないと判定する。
【0082】
送信開口合成の実行指示が有ると判定された場合、処理はステップST140へと進む。送信開口合成の実行指示が無いと判定された場合、処理はステップST170へと進む。
【0083】
(ステップST140)
送信開口合成の指示が有ると判定した後、処理回路180は、算出機能185により、グループ数に基づいて、送信開口合成に関するビーム合成数を算出する。
【0084】
具体的には、処理回路180は、グループ数に基づいて送信開口合成をするか否かを判定する。例えば、処理回路180は、グループ数が3つ以下の場合、送信開口合成をすると判定し、ビーム合成数を算出する。送信開口合成をしないと判定された場合、処理回路180は、ビーム合成数をゼロとする。
【0085】
通常、送信開口合成をする場合、関心領域内の超音波スキャンの総数は、送信開口合成をしない場合に比べて増加する(詳細は後述される)。さらに、関心領域の幅およびアンサンブル数が一定で有る場合、送受信時間T1または繰り返し周期T2が変化すると、関心領域内の超音波スキャンの総数は一定のまま、グループ数が変化することがある。仮に、関心領域内の超音波スキャンの総数が同じで、グループ数が異なる場合、グループ数が多い条件は、グループ数が少ない条件に比べて、送信開口合成をする際の超音波スキャンの増加数が増える。
【0086】
具体的には、図6に例示するように、図5の超音波走査チャートを満たす条件において、ビーム合成数「3」の送信開口合成を行うと、関心領域内の超音波スキャンの総数は100回となる。他方、関心領域内の超音波スキャンの総数である60回を維持したままグループ数が5つとなった場合にビーム合成数「3」の送信開口合成を行うと、関心領域内の超音波スキャンの総数は180回となる。よって、グループ数に基づいて送信開口合成をするか否かを判定することは有効である。尚、閾値とするグループ数は、任意に設定される。
【0087】
次に、処理回路180は、複数のビーム合成数それぞれにおいて送信開口合成を行った場合の関心領域内の超音波スキャンの総数を算出する。処理回路180は、関心領域内を表示するための撮像レートに基づいて、即ち、許容できる関心領域内の超音波スキャンの総数に基づいて、複数のビーム合成数から許容できる最大のビーム合成数を算出する。例えば、処理回路180は、許容できる関心領域内の超音波スキャンの総数が100回以下であるとして、ビーム合成数「3」を算出する。
【0088】
(ステップST150)
ビーム合成数を算出した後、処理回路180は、判定機能186により、合成数が2以上か否かを判定する。ビーム合成数が2以上でないと判定された場合、処理はステップST170へと進む。ビーム合成数が2以上でないとは、例えば、ビーム合成数がゼロまたは1の場合であり、ユーザが入力した血流映像パラメータでは交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行しないことを意味する。ビーム合成数が2以上であると判定された場合、処理はステップST160へと進む。
【0089】
(ステップST160)
ビーム合成数が2以上であると判定した後、処理回路180は、算出機能185により、ビーム合成数に基づいて、第2のグループ数を算出する。尚、第2のグループ数の算出は、ステップST140においてビーム合成数を算出する過程で求められるため、ステップST140で算出された値を第2のグループ数としてもよい。
【0090】
具体的には、処理回路180は、送信方向数と、ビーム合成数と、グループ数または関心領域の分割数とに基づいて、第2のグループ数を算出する。例えば、処理回路180は、関心領域の分割数を、送信方向数とビーム合成数との差の絶対値に“1”を加算した値で割った値を第2のグループ数として算出する。また、関心領域の分割数は、送信方向数とグループ数とを掛け合わせて表すことができる。以下に、例えば、第2のグループ数「5」の場合について図6を用いて説明する。尚、図6の例では、ビーム合成数「3」であるものとする。
【0091】
図6は、第1の実施形態における送信開口合成を実行する場合の超音波走査チャートを説明するための図である。図6の超音波走査チャートUSC11は、ステップST160による処理結果に基づくものである。超音波走査チャートUSC11には、5つのグループGPb1からGPb5までが例示されている。また、超音波走査チャートUSC11には、関心領域CRの両端に、関心領域外の追加領域を設けている。具体的には、超音波走査チャートUSC11には、部分領域CR1の左隣りに追加領域AR1を設け、部分領域CR15の右隣りに追加領域AR2を設けている。次に、これらの追加領域を設ける理由について、図7および図8を用いて説明する。
【0092】
図7は、第1の実施形態における送信開口合成による送信制御の動作を説明するための図である。図7の例では、送信焦点位置をずらして、送信#101、送信#102、送信#103、送信#104、送信#105の順で超音波を超音波プローブ101から5回送信する場合について示す。送信される素子の位置は、部分領域および追加領域に対応している。即ち、超音波プローブ101は、追加領域AR1に対応させて送信#101を行い、部分領域CR1に対応させて送信#102を行い、部分領域CR2に対応させて送信#103を行い、部分領域CR3に対応させて送信#104を行い、部分領域CR4に対応させて送信#105を行う。
【0093】
図8は、第1の実施形態における送信開口合成による受信制御の動作を説明するための図である。図8の例では、図7における送信#101から送信#105の各超音波送信に対して超音波プローブで反射波信号を受信し、受信指向性の異なる3つの受信信号を生成する場合を示す。また、図8の例では、送信#101から送信#105の各超音波送信にそれぞれ対応する受信#101、受信#102、受信#103、受信#104、受信#105の順で反射波信号を超音波プローブ101で受信するものとする。
【0094】
具体的には、処理回路180は、受信#101において送信#101の超音波送信に対する受信信号#101a、受信信号#101b及び受信信号#101cを生成する。また、処理回路180は、受信#102において送信#102の超音波送信に対する受信信号#102a、受信信号#102b及び受信信号#102cを生成する。同様にして、処理回路180は、受信#103において送信#103の超音波送信に対する受信信号#103a、受信信号#103b及び受信信号#103cを生成する。また、処理回路180は、受信#104において送信#104の超音波送信に対する受信信号#104a、受信信号#104b及び受信信号#104cを生成する。また、処理回路180は、受信#105において送信#105の超音波送信に対する受信信号#105a、受信信号#105b及び受信信号#105cを生成する。
【0095】
そして、処理回路180は、異なる送信で得られた同一の部分領域の受信信号を合成する。例えば、図8に示すように、処理回路180は、送信開口が異なり、部分領域CR1における受信信号#101cと、受信信号#102bと、受信信号#103aとを合成する(合成C1)。また、処理回路180は、送信開口が異なり、部分領域CR2における受信信号#102cと、受信信号#103bと、受信信号#104aとを合成する(合成C2)。同様に、処理回路180は、送信開口が異なり、部分領域CR3における受信信号#103cと、受信信号#104bと、受信信号#105aとを合成する(合成C3)。尚、ビーム合成数「3」であるため、追加領域AR1では、受信信号#101bおよび受信信号#102aの2つしか得られないため、処理回路180は合成を行わない。しかし、追加領域AR1に対応させた送信#101による受信#101の受信信号#101cは、合成C1において利用されるため、関心領域外に追加領域を設ける必要がある。
【0096】
以上の理由から、図6の超音波走査チャートUSC11では、部分領域CR1の左隣りに追加領域AR1を設け、部分領域CR15の右隣りに追加領域AR2を設けている。次に、図6の各グループにおいて、受信信号の合成を行う領域について説明する。
【0097】
グループGPb1は、追加領域AR1と、4つの部分領域CR1からCR4までとに対応する。このうち、3つの部分領域CR1からCR3までに対応するグループを合成グループCGP1と呼ぶ。追加領域AR1および部分領域CR4が合成グループCGP1に含まれないのは上記の理由によるものである。
【0098】
グループGPb2は、5つの部分領域CR3からCR7までに対応する。このうち、3つの部分領域CR4からCR6までに対応するグループを合成グループCGP2と呼ぶ。
【0099】
このとき、グループGPb1およびグループGPb2は、部分領域CR3および部分領域CR4の列が重複している。これは、受信信号の合成を行う領域が超音波送信を行う領域に比べて小さいことに起因する。即ち、関心領域内の全ての部分領域で開口合成を行うためには、グループ内における合成グループが関心領域を全てカバーする必要がある。
【0100】
以降同様に、グループGPb3は、5つの部分領域CR6からCR10までに対応する。このうち、3つの部分領域CR7からCR9までに対応するグループを合成グループCGP3と呼ぶ。グループGPb4は、5つの部分領域CR9からCR13までに対応する。このうち、3つの部分領域CR10からCR12までに対応するグループを合成グループCGP4と呼ぶ。グループGPb5は、4つの部分領域CR12からCR15までと、追加領域AR2とに対応する。このうち、3つの部分領域CR13からCR15までに対応するグループを合成グループCGP5と呼ぶ。よって、5つの合成グループCGP1からCGP5までによって、15個の部分領域CR1からCR15までが全てカバーされる。
【0101】
図6の各グループに含まれる超音波スキャンの総数は、図5と同様に20回となる。しかし、グループ数が3から5に増えているため、全てのグループを合わせた超音波スキャンの総数は100回となる。
【0102】
(ステップST170)
送信開口合成の指示が無いと判定した後(ステップST130から遷移)、ビーム合成数が2以上でないと判定した後(ステップST150から遷移)、または第2のグループ数を算出した後(ステップST160から遷移)、処理回路180は、システム制御機能188により、スキャン条件を決定する。ここで決定されるスキャン条件には、例えば、ステップST130およびステップST150から遷移してきた場合に決定されるスキャン条件と、ステップST160から遷移してきた場合に決定されるスキャン条件との2つがある。
【0103】
ステップST130およびステップST150から遷移してきた場合、処理回路180は、ステップST120で算出された送信方向数およびグループ数に基づいて、交互段スキャンのみを実行するためのスキャン条件を決定する。
【0104】
ステップST160から遷移してきた場合、処理回路180は、ステップST120で算出された送信方向数と、ステップST140で算出されたビーム合成数と、ステップST160で算出された第2のグループ数とに基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。ステップST170の後、スキャン条件決定処理は終了する。
【0105】
以上説明したように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、少なくとも送信開口合成の実行指示の情報を含む、所定の映像モードに関するパラメータを取得し、パラメータに基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。
【0106】
また、上記パラメータは、関心領域の情報、流速レンジの情報、および交互段スキャンに関する情報をさらに含み、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、パラメータに基づいて、交互段スキャンに関する送信方向数および第1のグループ数を算出し、第1のグループ数に基づいて、送信開口合成に関するビーム合成数を算出し、ビーム合成数に基づいて、第2のグループ数を算出し、送信方向数、第2のグループ数、およびビーム合成数に基づいて、スキャン条件を決定することができる。
【0107】
従って、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波診断に関する映像モードの最適なスキャン条件を決定することができる。
【0108】
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、ビーム合成数ゼロを指示可能であるため、取り得る最大速度レンジは従来と変わらず、送信開口合成が可能な速度レンジでは従来よりも均一な送受信音場から生体組織の変位量・速度を映像化できる。よって、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波診断に関する映像モードの画質の向上が見込める。
【0109】
また、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波診断に関する映像モードの画質を維持したまま、交互段スキャンおよび送信開口合成に関する設定を柔軟に変更することができる。
【0110】
(第1の実施形態の応用例)
上記第1の実施形態では、血流映像モードの実行前にスキャン条件決定処理を実行する場合について説明した。他方、第1の実施形態の応用例では、血流映像モードの実行中にスキャン条件決定処理が実行される場合について説明する。
【0111】
図9は、第1の実施形態の応用例におけるスキャン条件決定処理を実行する処理回路の動作を説明するためのフローチャートである。図9に示すスキャン条件処理は、例えば、血流映像モードの実行中にユーザが変更したパラメータを超音波診断装置1が受け取ることによって開始する。
【0112】
図9のフローチャートは、説明の便宜上、図2のフローチャートにおいて、ステップST160からステップST170に遷移して決定されたスキャン条件に基づいて血流映像モードが実行されている状態で開始する。具体的には、ステップST210の開始時点で、ビーム合成数、送信方向数、および第2のグループ数が既に決定されているものとする。
【0113】
(ステップST210)
血流映像モードの実行中において、処理回路180は、取得機能184により、変更されたパラメータを受け付ける。具体的には、処理回路180は、ユーザによって変更された血流映像パラメータを取得する。尚、説明の便宜上、変更された血流映像パラメータには、送信開口合成を実行しない旨の情報は含まれないものとする。
【0114】
(ステップST220)
変更された血流映像パラメータを取得した後、処理回路180は、算出機能185により、現在のビーム合成数を維持したまま、変更されたパラメータに基づいて、第2の送信方向数および第3のグループ数を算出する。例えば、パラメータが変更されたことによって、送受信時間T1および繰り返し周期T2の少なくともどちらかが変化したことにより、送信方向数が「5」から「3」に変更されたものとする。
【0115】
(ステップST230)
第2の送信方向数および第3のグループ数を算出した後、処理回路180は、判定機能186により、現在のビーム合成数が維持可能か否かを判定する。具体的には、処理回路180は、許容できる関心領域内の超音波スキャンの総数に基づいて、ビーム合成数が維持可能か否かを判定する。例えば、送信方向数「3」においてビーム合成数「3」を維持しようとすると、グループ数「15」となり、全てのグループを合わせた超音波スキャンの総数は180回となる。もし許容できる関心領域内の超音波スキャンの総数を60回とすると、処理回路180は、現在のビーム合成数が維持可能ではないと判定する。
【0116】
現在のビーム合成数が維持可能と判定された場合、処理はステップST280へと進む。現在のビーム合成数が維持可能ではないと判定された場合、処理はステップST240へと進む。
【0117】
(ステップST240)
現在のビーム合成数が維持可能ではないと判定した後、処理回路180は、算出機能185により、第3のグループ数に基づいて、第2のビーム合成数を算出する。
【0118】
具体的には、処理回路180は、第3のグループ数に基づいて送信開口合成をするか否かを判定する。例えば、処理回路180は、グループ数が3つ以下の場合、送信開口合成をすると判定し、第2のビーム合成数を算出する。送信開口合成をしないと判定された場合、処理回路180は、ビーム合成数をゼロとする。
【0119】
次に、処理回路180は、複数のビーム合成数それぞれにおいて送信開口合成を行った場合の関心領域内の超音波スキャンの総数を算出する。ビーム合成数がゼロであると仮定した場合、処理回路180は、送信開口合成を行わない場合の関心領域内の超音波スキャンの総数を算出する。
【0120】
(ステップST250)
第2のビーム合成数を算出した後、処理回路180は、判定機能186により、合成数が2以上か否かを判定する。第2のビーム合成数が2以上であると判定された場合、処理はステップST260へと進む。第2のビーム合成数が2以上でないと判定された場合、処理はステップST270へと進む。
【0121】
(ステップST260)
第2のビーム合成数が2以上であると判定した後、処理回路180は、算出機能185により、第2のビーム合成数に基づいて、第4のグループを算出する。具体的には、処理回路180は、第2の送信方向数と、第2のビーム合成数と、第3のグループ数または関心領域の分割数とに基づいて、第4のグループ数を算出する。ステップST260の後、処理はステップST280へと進む。
【0122】
(ステップST270)
第2のビーム合成数が2以上でないと判定した後、処理回路180は、算出機能185により、送信開口合成を考慮せずに、変更されたパラメータに基づいて、第5のグループ数を算出する。上記の算出結果により、例えば、第5のグループ数「5」が算出された場合の超音波走査チャートについて図10を用いて説明する。また、図10の例では、送信方向数「3」およびアンサンブル「4」であるとする。尚、ステップST270の後、処理はステップST280へと進む。
【0123】
図10は、第1の実施形態の応用例における超音波走査チャートを説明するための図である。図10の超音波走査チャートUSC12は、ステップST270による処理結果に基づくものである。超音波走査チャートUSC12には、5つのグループGPc1からGPc5までが例示されている。グループGPc1は、3つの部分領域CR1からCR3までに対応する。グループGPc2は、3つの部分領域CR4からCR6までに対応する。グループGPc3は、3つの部分領域CR7からCR9までに対応する。グループGPc4は、3つの部分領域CR10からCR12までに対応する。グループGPc5は、3つの部分領域CR13からCR15までに対応する。
【0124】
各グループに含まれる超音波スキャンの総数は、送信方向数「3」およびアンサンブル数「4」により12回となる。また、全てのグループを合わせた超音波スキャンの総数は60回となる。図10における全てのグループを合わせた超音波スキャンの総数は、図5における総数と同じである。よって、関心領域内を表示するための撮像レートも、図5および図10で略同じになる。
【0125】
(ステップST280)
現在のビーム合成数が維持可能と判定した後(ステップST230から遷移)、第4のグループを算出した後(ステップST260から遷移)、または第5のグループ数を算出した後(ステップST270から遷移)、処理回路180は、システム制御機能188により、スキャン条件を決定する。ここで決定されるスキャン条件には、例えば、ステップST230から遷移してきた場合に決定されるスキャン条件と、ステップST260から遷移してきた場合に決定されるスキャン条件と、ステップST270から遷移してきた場合に決定されるスキャン条件との3つがある。
【0126】
ステップST230から遷移してきた場合、処理回路180は、ステップST210の開始時点で決定していたビーム合成数と、ステップST220で算出された第2の送信方向数および第3のグループ数とに基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。
【0127】
ステップST260から遷移してきた場合、処理回路180は、ステップST220で算出された第2の送信方向数と、ステップST240で算出された第2のビーム合成数と、ステップST260で算出された第4のグループ数とに基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。
【0128】
ステップST270から遷移してきた場合、処理回路180は、ステップST220で算出された第2の送信方向数と、ステップST270で算出された第5のグループ数とに基づいて、交互段スキャンのみを実行するためのスキャン条件を決定する。ステップST280の後、スキャン条件決定処理は終了する。
【0129】
以上説明したように、第1の実施形態の応用例に係る超音波診断装置は、変更されたパラメータを取得し、ビーム合成数を維持したまま、或いはビーム合成数を変更し、変更されたパラメータに基づく送信方向数およびグループ数を算出することができる。
【0130】
従って、第1の実施形態の応用例に係る超音波診断装置は、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行している際にも、適切にスキャン条件を決定することができる。
【0131】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、ユーザからパラメータを受け付けた後に、交互段スキャンのみを考慮した送信方向数およびグループ数を算出する場合について説明した。他方、第2の実施形態では、ユーザからパラメータを受け付けた後、交互段スキャンのみを考慮した送信方向数およびグループ数を算出しない場合について説明する。
【0132】
図11は、第2の実施形態におけるスキャン条件決定処理を実行する処理回路の動作を説明するためのフローチャートである。第2の実施形態におけるスキャン条件決定処理は、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行する際の最適なスキャン条件を決定する。図11に示すスキャン条件決定処理は、例えば、血流映像モードの実行前にユーザが任意の血流映像モードを実行することにより開始される。
【0133】
(ステップST310)
スキャン条件決定処理が開始すると、処理回路180は、取得機能184により、ユーザによって入力されたパラメータを受け付ける。具体的には、処理回路180は、ユーザによって入力された血流映像パラメータを取得する。
【0134】
(ステップST320)
血流映像パラメータを取得した後、処理回路180は、判定機能186により、送信開口合成の実行指示が有るか否かを判定する。送信開口合成の実行指示が有ると判定された場合、処理はステップST330へと進む。送信開口合成の実行指示が無いと判定された場合、処理はステップST340へと進む。
【0135】
(ステップST330)
送信開口合成の指示が有ると判定した後、処理回路180は、算出機能185により、パラメータに基づいて、送信方向数、グループ数、およびビーム合成数を算出する。一例として、処理回路180は、パラメータに含まれる流速レンジの情報に基づいてビーム合成数を算出する。ステップST330の後、処理はステップST350へと進む。
【0136】
(ステップST340)
送信開口合成の実行指示が無いと判定した後、処理回路180は、算出機能185により、パラメータに基づいて、送信方向数およびグループ数を算出する。ステップST340の後、処理はステップST350へと進む。
【0137】
(ステップST350)
送信方向数、グループ数、およびビーム合成数を算出した後(ステップST330から遷移)、または送信方向数およびグループ数を算出した後(ステップST340から遷移)、処理回路180は、システム制御機能188により、スキャン条件を決定する。ここで決定されるスキャン条件には、例えば、ステップST330から遷移してきた場合に決定されるスキャン条件と、ステップST340から遷移してきた場合に決定されるスキャン条件との2つがある。
【0138】
ステップST330から遷移してきた場合、処理回路180は、ステップST330で算出された送信方向数、グループ数、およびビーム合成数に基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。尚、ビーム合成数がゼロまたは1である場合、処理回路180は、交互段スキャンのみを実行するためのスキャン条件を決定する。
【0139】
ステップST340から遷移してきた場合、処理回路180は、ステップST340で算出された送信方向数およびグループ数に基づいて、交互段スキャンのみを実行するためのスキャン条件を決定する。ステップST340の後、スキャン条件決定処理は終了する。
【0140】
以上説明したように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、少なくとも送信開口合成の実行指示の情報を含む、所定の映像モードに関するパラメータを取得し、パラメータに基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。また、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、変更されたパラメータを取得し、ビーム合成数を維持したまま、或いはビーム合成数を変更し、変更されたパラメータに基づく送信方向数およびグループ数を算出することができる。
【0141】
また、上記パラメータは、関心領域の情報、流速レンジの情報、および交互段スキャンに関する情報をさらに含み、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、パラメータに基づいて、交互段スキャンに関する送信方向数およびグループ数と、送信開口合成に関するビーム合成数とを算出し、送信方向数、グループ数、およびビーム合成数に基づいて、スキャン条件を決定することができる。
【0142】
従って、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波診断に関する映像モードの最適なスキャン条件を決定することができる。
【0143】
また、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、ビーム合成数ゼロを指示可能であるため、取り得る最大速度レンジは従来と変わらず、送信開口合成が可能な速度レンジでは従来よりも均一な送受信音場から生体組織の変位量・速度を映像化できる。よって、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波診断に関する映像モードの画質の向上が見込める。
【0144】
(第2の実施形態の応用例)
上記第2の実施形態では、血流映像モードの実行前にスキャン条件決定処理を実行する場合について説明した。他方、実施形態第2の実施形態の応用例では、血流映像モードの実行中にスキャン条件決定処理が実行される場合について説明する。
【0145】
図12は、第2の実施形態の応用例における超音波走査チャートを説明するための図である。図12に示すスキャン条件処理は、例えば、血流映像モードの実行中にユーザが変更したパラメータを超音波診断装置1が受け取ることによって開始する。
【0146】
図12のフローチャートは、説明の便宜上、図11のフローチャートにおいて、ステップST330からステップST350に遷移して決定されたスキャン条件に基づいて血流映像モードが実行されている状態で開始する。具体的には、ステップST410の開始時点で、ビーム合成数、送信方向数、およびグループ数が既に決定されているものとする。
【0147】
(ステップST410)
血流映像モードの実行中において、処理回路180は、取得機能184により、変更されたパラメータを受け付ける。具体的には、処理回路180は、ユーザによって変更された血流映像パラメータを取得する。尚、説明の便宜上、変更された血流映像パラメータには、送信開口合成を実行しない旨の情報は含まれないものとする。
【0148】
(ステップST420)
変更された血流映像パラメータを取得した後、処理回路180は、算出機能185により、変更されたパラメータに基づいて、第2の送信方向数、第2のグループ数、および第2のビーム合成数を算出する。一例として、変更されたパラメータには変更された流速レンジの情報を含み、処理回路180は、変更された流速レンジの情報に基づいて第2のビーム合成数を算出する。
【0149】
(ステップST430)
第2の送信方向数、第2のグループ数、および第2のビーム合成数を算出した後、処理回路180は、第2の送信方向数、第2のグループ数、および第2のビーム合成数に基づいて、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行するためのスキャン条件を決定する。尚、ビーム合成数がゼロまたは1である場合、処理回路180は、交互段スキャンのみを実行するためのスキャン条件を決定する。
【0150】
以上説明したように、第2の実施形態の応用例に係る超音波診断装置は、変更されたパラメータを取得し、変更されたパラメータに基づく送信方向数、グループ数、およびビーム合成数を算出することができる。
【0151】
従って、第2の実施形態の応用例に係る超音波診断装置は、交互段スキャンの実行と共に送信開口合成を実行している際にも、適切にスキャン条件を決定することができる。
【0152】
(他の実施形態)
上記各実施形態および各応用例では、血流映像モードにおいてスキャン条件決定処理を実行することについて説明した。しかし、スキャン条件決定処理は血流映像モード以外のモードで用いられてもよい。例えば、他の実施形態に係る超音波診断装置は、Shear Wave Elastography(SWE)を実行するモード(SWEモード)においてスキャン条件決定処理を実行する。SWEモードとは、生体に剪断波(Shear Wave)を発生させ、発生した剪断波の伝搬速度を計測することによって、組織の硬さ情報を取得できるモードである。SWEモードであっても、上記各実施形態および各応用例において説明したスキャン条件決定処理を踏襲することができる。
【0153】
また、他の実施形態に係る超音波診断装置は、SWEモードによるスキャン条件によって取得された組織の硬さ情報を用いて、組織の粘性パラメータの分布を表示してもよい。
【0154】
以上より、他の実施形態に係る超音波診断装置は、SWEモードを用いた場合であっても、上記各実施形態に記載の効果と同様の効果が見込める。
【0155】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、超音波診断に関する映像モードの最適なスキャン条件を決定することができる。
【0156】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0157】
1 超音波診断装置
AR1,AR2 追加領域
BR Bモード領域
C1,C2,C3 合成
CGP1~CGP5 合成グループ
CR,R 関心領域
CR1~CR15 部分領域
D 関心領域の深さ
GP1 第1のグループ
GP2 第2のグループ
GPa1~GPa3,GPb1~GPb5,GPc1~GPc5 グループ
Ndir 交互段数(交互段送信方向数)
Nens アンサンブル数
R1~R6 領域
T1 送受信時間
T2 繰り返し周期
USC1,USC2,USC10~USC12 超音波走査チャート
W 関心領域の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17