(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】半導体ウェハおよび半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/02 20060101AFI20240610BHJP
H01L 21/306 20060101ALI20240610BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240610BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240610BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240610BHJP
C30B 33/08 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/306 B
H01L29/78 371
C30B33/08
(21)【出願番号】P 2020154443
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 冬馬
(72)【発明者】
【氏名】小出 辰彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 寛記
(72)【発明者】
【氏名】矢内 有美
(72)【発明者】
【氏名】杉田 智彦
(72)【発明者】
【氏名】北川 白馬
(72)【発明者】
【氏名】守田 峻海
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-064776(JP,A)
【文献】特開2017-022233(JP,A)
【文献】特開2008-047785(JP,A)
【文献】国際公開第2020/079795(WO,A1)
【文献】特開平09-139329(JP,A)
【文献】特開2006-278660(JP,A)
【文献】特開2003-324102(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0084452(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0131446(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/306
H01L 21/336
C30B 33/08
H10B 43/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁面を含む溝を有する表面を具備し、
前記内壁面は、凹部を有し、
前記溝は、前記内壁面が露出する、半導体ウェハ。
【請求項2】
前記内壁面は、複数の前記凹部を有し、
複数の前記凹部は、前記溝の深さ方向または前記溝の内周に沿って間隔を空けて配置される、請求項1に記載の半導体ウェハ。
【請求項3】
内底面と内壁面とを含む溝を有する表面と、
前記内底面および前記内壁面に面して設けられた多孔質領域と、を具備する、半導体ウェハ。
【請求項4】
第1の内底面を含む第1の溝と、
前記第1の内底面に設けられ、第2の内底面を含む第2の溝と、
を有する表面を具備する、半導体ウェハ。
【請求項5】
内壁面を含む溝を有する表面と、
前記表面の一部の上に設けられ、前記内壁面に沿って延在する半導体層と、
を具備する、半導体ウェハ。
【請求項6】
デバイスウェハを処理室内に載置するステップと、
請求項1ないし請求項
5のいずれか一項に記載の半導体ウェ
ハを前記処理室内に載置するステップと、
前記処理室内で、前記
デバイスウェハと前
記半導体ウェハとを同時に処理するステップと、
を具備する、
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記
デバイスウェハは、交互に積層された第1の層と第2の層とを有する、請求項
6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記処理は、成膜処理、エッチング処理、および改質処理からなる群より選ばれる少なくとも一つの処理を含む、請求項
6または請求項
7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
複数の前
記半導体ウェハを前記処理室内に載置する、請求項
6ないし請求項
8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体ウェハおよび半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造においては、半導体デバイスが形成されないNon Product Wafer(NPW)を用いることがある。また、半導体ウェハ上にメモリセルを3次元的に配置した半導体デバイスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/012874号
【文献】国際公開第2010/114887号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の発明が解決しようとする課題は、より表面積の大きな半導体ウェハを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体ウェハは、内壁面を含む溝を有する表面を具備する。内壁面は、凹部を有する。溝は、内壁面が露出する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】半導体ウェハの構造例を示す断面模式図である。
【
図3】半導体ウェハの構造例を示す上面模式図である。
【
図4】半導体ウェハの構造例を示す上面模式図である。
【
図5】領域101と領域102との境界部を示す上面模式図である。
【
図6】半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図7】半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図8】半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図9】半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図10】半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図11】凹部11cの他の形状例を示す断面模式図である。
【
図12】溝11の他の形状例を示す断面模式図である。
【
図13】溝11の他の形状例を示す断面模式図である。
【
図14】溝11の他の形状例を示す断面模式図である。
【
図15】溝11の他の形状例を示す断面模式図である。
【
図16】
図12ないし
図15に示す形状の溝11を含む表面10aを具備する半導体ウェハ1の製造方法例を説明するための図である。
【
図17】
図12ないし
図15に示す形状の溝11を含む表面10aを具備する半導体ウェハ1の製造方法例を説明するための図である。
【
図18】
図12ないし
図15に示す形状の溝11を含む表面10aを具備する半導体ウェハ1の製造方法例を説明するための図である。
【
図19】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図20】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図21】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図22】
図21に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図23】
図21に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図24】
図21に示す半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図25】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図26】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図27】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図28】
図27に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図29】
図27に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図30】
図27に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図31】
図27に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図32】
図27に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図33】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図34】半導体ウェハの他の構造例を示す断面模式図である。
【
図35】半導体製造装置の構成例を示す模式図である。
【
図36】半導体デバイスの構造例を示す模式図である。
【
図37】半導体デバイスの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図38】半導体デバイスの製造方法例を説明するための模式図である。
【
図39】半導体デバイスの製造方法例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図面に記載された各構成要素の厚さと平面寸法との関係、各構成要素の厚さの比率等は現物と異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0008】
<第1の実施形態>
図1は、半導体ウェハの外観模式図であり、
図2は、半導体ウェハの構造例を示す断面模式図であり、X軸とX軸およびY軸に直交するZ軸とを含むX-Z断面の一部を示す。
図3は、半導体ウェハの構造例を示す上面模式図であり、半導体ウェハのX軸とX軸に直交するY軸とを含むX-Y平面の一部を示す。
【0009】
半導体ウェハ1は、NPWであり、成膜、エッチング、その他の半導体製造における諸プロセスを事前に評価・測定するために用いられるウェハである。例えば、ウェハ表面に対して原料ガスを反応させて薄膜を形成する化学気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)等の成膜プロセス、または、ウェハ表面に対してプラズマを供給して膜をエッチングするケミカルドライエッチング(CDE)、表面に対して原料ガスを供給して膜をエッチングするアトミックレイヤーエッチング(ALE)、液体を供給して膜をエッチングするウェットエッチング等のエッチングプロセスの評価・測定に用いられる。または、それらの再現性試験等にも用いられる。または、半導体デバイスが形成されたウェハと同一処理室で処理される場合がある。半導体ウェハ1は、ダミーウェハまたはテストピース等とも称され得る。
【0010】
半導体ウェハ1は、X軸方向およびY軸方向に延在する表面10aと、表面10aの反対面である表面10bと、を含む。表面10aの表面積は、半導体デバイスが形成された、または形成途中の半導体ウェハのデバイス形成面の表面積と同程度であることが好ましい。半導体ウェハ1の例は、シリコンウェハ、炭化ケイ素ウェハ、ガラスウェハ、石英ウェハ、サファイアウェハ、GaAs基板等の化合物半導体ウェハ等を含む。なお、半導体ウェハ1の形状は、
図1に示す形状に限定されず、例えばオリエンテーションフラットを有する形状であってもよい。
【0011】
表面10aは、少なくとも一つの溝11を含むパターンを有する。溝11は内壁面11aと内底面11bとを含む。内壁面11aおよび内底面11bは露出する。複数の溝11を設ける場合、複数の溝11は、
図2に示すように、表面10aのX軸方向に沿って並置され、表面10aのY軸方向に沿ってライン状に延在する。溝11の長辺方向の長さLは、例えば4μm以上、好ましくは40μm以上である。X軸方向に沿って隣接する溝11の間隔は、例えば0.4μm以上14μm以下、好ましくは1μm以下である。X軸方向に沿って隣接する溝11の端部は、Y軸方向に沿って互いにずれていてもよい。
【0012】
なお、溝11の形状は、ライン状に限定されない。溝11の形状は、例えばホール状であってもよい。
【0013】
内壁面11aは、凹部11cを有する。凹部11cは露出する。複数の凹部11cは、溝11の深さ方向に沿って間隔を空けて配置される。すなわち、内壁面11aは深さ方向に沿って凹凸構造を有する。凹部11cのZ軸方向の長さ(凹部11cの幅)は、例えば100nm以上2000nm以下である。凹部11cのX軸方向の長さ(凹部11cの深さ)は、例えば10nm以上200nm以下である。
【0014】
溝11のアスペクト比は、例えば50以上1750以下である。アスペクト比は、
図3に示す溝11の幅Wに対する溝11の深さDの比により定義される。溝11の幅Wは、例えば0.4μm以上14μm以下である。溝11の深さDは、例えば20μm以上半導体ウェハ1の厚さ以下であり、溝11が貫通していてもよい。表面10aの表面積は、溝11が形成されない場合の表面積と比較して、例えば50倍以上、好ましくは100倍以上である。つまり、表面10bに溝等が形成されない場合は、表面10bの50倍以上、好ましくは100倍以上と換言できる。
【0015】
溝11は、例えば表面10aからの深さDが20μm以上であり且つアスペクト比が50以上であることが好ましい。これにより、表面10aの表面積を大きくするとともに表面10aに形成される膜を除去しやすい溝11を実現することができる。
【0016】
溝11は、隔壁12を介して形成されてもよい。溝11の長さL、深さD、アスペクト比が大きくなると、溝11が倒壊して変形しやすくなる。これに対し、隔壁12を設けることにより、隔壁12が梁として機能することにより溝11を支持できるため溝11の変形を抑制することができる。
【0017】
溝11の変形を抑制するために、隔壁12は、Y軸方向において、例えば100μm以上の間隔で設けられることが好ましい。また、複数の隔壁12のY軸方向の長さは同じであることが好ましい。さらに、X軸方向に沿って隣接する溝11の隔壁12の位置は
図2に示すように、Y軸方向に沿って互いにずれ、隣接する溝11の間の領域が隔壁12を介して接続されていてもよい。
【0018】
溝11は、互いに異なる方向に沿って延在する複数の溝を含んでいてもよい。
図4は、半導体ウェハ1の構造例を示す上面模式図であり、X-Y平面の一部を示す。
図4に示す半導体ウェハ1の表面10aは、領域101と、領域102と、を含む。領域101および領域102は、例えばX軸方向およびY軸方向に沿って交互に配置される。領域101と領域102との間隔は、例えば2μm以上である。なお、
図4は表面10a上に形成された複数のショット領域のうち、1つのショット領域を示している。
【0019】
図5は、領域101と領域102との境界部を示す上面模式図である。領域101は溝111を有し、領域102は、溝112を有する。複数の溝111は、X軸方向に沿って並置され、Y軸方向に沿って延在する。複数の溝112は、Y軸方向に沿って並置され、X軸方向に沿って延在する。なお、溝111の延在方向(長さL方向)と溝112の延在方向(長さL方向)は、互いに直交する方向に限定されず、互いに交差する方向であればよい。溝111および溝112は、溝11に含まれる。よって、溝111および溝112のその他の説明については溝11の説明を適宜援用することができる。なお、上述した表面10aの構造は、表面10bに形成されていてもよい。
【0020】
半導体ウェハ1は、上述のように、半導体ウェハ1上に成膜を行い評価するためのテストピースとして用いることができる。または、半導体ウェハ1上に成膜を行った後にエッチングを行い評価するためのテストピースとしても用いることができる。このとき、半導体ウェハ1は異なる表面積を有する一対の表面を有するとともに一対の表面の上の成膜量の差が大きいため反りやすい。よって、仮に複数の溝11の全てが同一方向に沿って延在する場合、一方向に応力が加わるため半導体ウェハ1の反りが大きくなりやすい。これに対し、複数の溝11を複数の方向に延在させることにより応力が加わる方向を分散して半導体ウェハ1の反りを抑制することができる。
【0021】
半導体ウェハ1は、テストピースとして繰り返し利用することができる。すなわち、半導体ウェハ1に対して成膜工程を連続して行うことや、成膜工程とエッチング工程とを連続して行うことも可能である。溝11の内壁面11aに設けられた凹部11cにより表面積が大きくなるため、連続して成膜する場合であっても表面積の変化を抑制でき、エッチングする場合であっても膜を除去しやすい。
【0022】
表面10aは、
図4に示すように、領域103をさらに有していてもよい。領域103は、溝11を有しない平坦面であることが好ましい。平坦面であることにより、領域103は、溝11間に設けられた平坦部よりも最小測定領域が広い分光エリプソメータ、X線光電子分光分析(XPS)、蛍光X線分析、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)などの測定器を用い、例えば表面10aに形成される膜の厚さ、密度、組成を測定することができる。領域103の面積は、例えば領域101の面積や領域102の面積よりも小さくてもよい。領域103は、例えば表面10aの複数のショット領域毎に形成される。
【0023】
以上のように、半導体ウェハ1は、表面積を大きくするための溝の形状を制御することにより、変形しにくい溝11を実現することができる。よって、半導体ウェハ1を繰り返し使用する際の表面積の変化を抑制することができる。より表面積の大きな半導体ウェハを提供することができる。なお、上述した溝11の寸法については、成膜する膜の種類や膜厚に応じて設定することが好ましい。
【0024】
半導体ウェハ1は、例えば触媒アシストエッチング(Metal-assisted Chemical Etching:MACE)を用いて製造することができる。MACEは、基板の表面に触媒層を形成した基板を薬液に浸漬することで、触媒層に接する領域のみをエッチングする技術である。
【0025】
図6ないし
図10は、半導体ウェハの製造方法例を説明するための図である。半導体ウェハの製造方法例は、触媒層形成工程と、エッチング工程と、触媒層除去工程と、を具備する。
【0026】
触媒層形成工程では、
図6に示すように、半導体ウェハ1の表面10aに触媒層2を形成する。触媒層2は、例えば金、銀、白金、イリジウム、パラジウム等の貴金属の触媒を含有する。触媒層2は、例えばスパッタリング、CVD法、メッキ法等を用いて形成することができる。なお、触媒層2は、グラフェン等の炭素材料の触媒を含有していてもよい。
【0027】
エッチング工程では、半導体ウェハ1を第1のエッチング液に浸漬させる。第1のエッチング液としては、例えばフッ化水素酸および過酸化水素水の混合液を用いることができる。
【0028】
半導体ウェハ1を第1のエッチング液に浸漬させると、表面10aと触媒層2との接触部において、表面10aの材料(例えばシリコン)がエッチング液中に溶解する。この反応が繰り返されることにより、
図7に示すように、半導体ウェハ1は略垂直にエッチングされる。
【0029】
さらに、エッチング工程では、半導体ウェハ1を第2のエッチング液に浸漬させる。第2のエッチング液としては、例えばフッ化水素酸および過酸化水素水の混合液を用いることができる。
【0030】
第2のエッチング液のフッ化水素の濃度は、第1のエッチング液のフッ化水素の濃度よりも低い。第1のエッチング液のフッ化水素の濃度は、5.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。第2のエッチング液のフッ化水素の濃度は、1.0質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。上記濃度を有する第2のエッチング液に半導体ウェハ1を浸漬させると、表面10aと触媒層2との接触部において、表面10aの材料(例えばシリコン)がエッチング液中に溶解する。この反応が繰り返されることにより、
図8に示すように、半導体ウェハ1は略平行にエッチングされる。
【0031】
さらに、第1のエッチング液を用いたMACEと第2のエッチング液を用いたMACEとを交互に切り替えることにより、
図9に示すように、内壁面11aおよび凹部11cを含む溝11を形成できる。
【0032】
触媒層除去工程では、
図10に示すように、表面10aから触媒層2を除去する。触媒層2は、例えば半導体ウェハ1を塩酸と硝酸との混合液(王水)等の薬液に含侵させることにより除去される。
【0033】
触媒層2を除去しても、
図10に示すように、半導体ウェハ1の内部または表面には、触媒層2に含まれる触媒原子2aがわずかに残存することがある。触媒層2の除去後の半導体ウェハ1の表面積に対する触媒原子2aの量は、例えば1×10
11atoms/cm
2以下である。
【0034】
凹部11cの形状は、例えば触媒層2のサイズ、第2のエッチング液のフッ化水素の濃度、エッチング時間等のパラメータを調整することにより制御される。例えば、
図11は、凹部11cの他の形状例を示す断面模式図である。
図11に示すように、凹部11cは、断面視において、V字形状を有していてもよい。
【0035】
以上のように、本実施形態では、溝11に凹部11cを形成することにより、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0036】
また、MACEを用いて半導体ウェハ1を製造することにより、凹部11cを形成する場合であっても容易に形成することができる。
【0037】
<第2の実施形態>
本実施形態では、溝11の他の形状例について説明する。
図12ないし
図15は、溝11の他の形状例を示す模式図であり、半導体ウェハ1のX-Y平面の一部を示す。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0038】
図12に示す溝11は、ライン状であり、溝11の内壁面11aは、凹部11cを有する。
図13に示す溝11は、ライン状であり、溝11の内壁面11aは、平面視においてV字形状の凹部11cを有する。
図14に示す溝11は、ホール状であり、溝11の内壁面11aは、凹部11cを有する。
図15に示す溝11は、ホール状であり、溝11の内壁面11aは、平面視においてV字形状の凹部11cを有する。それぞれの複数の凹部11cは、溝11の内周に沿って間隔を空けて配置される。内壁面11a、内底面11b、凹部11cは露出する。
【0039】
図16ないし
図18は、
図12ないし
図15に示す形状の溝11を含む表面10aを具備する半導体ウェハ1の製造方法例を説明するための図である。半導体ウェハの製造方法例は、触媒層形成工程と、エッチング工程と、触媒層除去工程と、を具備する。
【0040】
触媒層形成工程では、
図16に示すように、半導体ウェハ1の表面10aに触媒層2を形成する。触媒層2は、例えば金、銀、白金、イリジウム、パラジウム等の貴金属の触媒を含有する。触媒層2は、例えばスパッタリング、CVD法、メッキ法等を用いて形成することができる。なお、触媒層2は、グラフェン等の炭素材料の触媒を含有していてもよい。
【0041】
エッチング工程では、半導体ウェハ1をエッチング液に浸漬させる。エッチング液としては、例えばフッ化水素酸および過酸化水素水の混合液を用いることができる。
【0042】
半導体ウェハ1をエッチング液に浸漬させると、表面10aと触媒層2との接触部において、表面10aの材料(例えばシリコン)がエッチング液中に溶解する。この反応が繰り返されることにより、
図17に示すように、半導体ウェハ1は略垂直にエッチングされる。
【0043】
触媒層除去工程では、
図18に示すように、表面10aから触媒層2を除去する。触媒層2は、例えば半導体ウェハ1を王水等の薬液に含侵させることにより除去される。
【0044】
触媒層2を除去しても、半導体ウェハ1の内部または表面には、触媒層2に含まれる触媒原子2aがわずかに残存することがある。触媒層2の除去後の半導体ウェハ1の内部および表面の触媒原子2aの面密度は、例えば1×1011atoms/cm2以下である。
【0045】
図12ないし
図15に示すような形状の凹部11cは、所望の形状に加工された平面形状を有する触媒層2を用いて半導体ウェハ1をエッチングすることにより形成可能である。なお、第1の実施形態と同様に、第1のエッチング液を用いたMACEと第2のエッチング液を用いたMACEとを交互に切り替えることにより、
図2に示すような断面形状を有する凹部11cを形成してもよい。
【0046】
以上のように、MACEを用いて半導体ウェハ1を製造することにより、深さD、アスペクト比が大きい溝11を形成する場合であっても容易に形成することができる。
【0047】
以上のように、本実施形態では、溝11に凹部11cを形成することにより、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0048】
本実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0049】
<第3の実施形態>
本実施形態では、半導体ウェハ1の他の構造例について説明する。
図19および
図20は、半導体ウェハ1の他の構造例を示す断面模式図であり、X-Z断面の一部を示す。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0050】
図19に示す半導体ウェハ1は、表面10aに設けられるとともに内壁面11aと内底面11bとを有する溝11と、内壁面11aおよび内底面11bに面して設けられた多孔質領域11dと、を具備する。多孔質領域11dは露出する。
溝11の形状は、特に限定されないが、ここでは、ライン状の溝として説明する。
【0051】
多孔質領域11dは、例えば酸化シリコン膜、ドープされた炭素を含有する酸化シリコン膜等の多孔質膜であり、膜中に多数のポアを有する。ポアの平均径は、例えば0.5nm以上である。これらの多孔質膜は、第2の実施形態と同様の方法で半導体ウェハ1に溝11を形成した後に例えば塗布法やCVD法を用いて表面10aに形成できる。なお、多孔質領域11dは、必ずしも膜状でなくてもよい。
【0052】
多孔質領域11dの形状は、膜の厚さや形成方法等の条件によって変化する。
図20は、多孔質領域11dの他の形状例を示す断面模式図である。
図20に示すように、溝11を多孔質領域11dで埋めてもよい。
【0053】
以上のように、本実施形態では、半導体ウェハ1に溝11を形成した後に溝11に多孔質領域11dをさらに形成することにより、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0054】
本実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0055】
<第4の実施形態>
本実施形態では、半導体ウェハ1の他の構造例について説明する。
図21は、半導体ウェハ1の他の構造例を示す断面模式図であり、X-Z断面の一部を示す。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0056】
図21に示す半導体ウェハ1は、表面10aに設けられるとともに内壁面11aと内底面11bとを有する溝11と、内壁面11aおよび内底面11bに面する多孔質領域11eと、を具備する。内壁面11a、内底面11b、多孔質領域11dは露出する。溝11の形状は、特に限定されないが、ここでは、ライン状の溝として説明する。
【0057】
多孔質領域11eは、内壁面11aおよび内底面11bに設けられた多孔質面である。多孔質面の表面は複数の凹部(穴)を有する。複数の穴は、5nm以上100nm以下の平均径を有し、例えばX軸方向に沿って延在する。なお、複数の穴の少なくとも一つは、複数の溝11の一つから複数の溝11の他の一つまで貫通していてもよい。
【0058】
図22ないし
図24は、
図21に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための図である。半導体ウェハの製造方法例は、第1の触媒層形成工程と、第1のエッチング工程と、第1の触媒層除去工程と、第2の触媒層形成工程と、第2のエッチング工程と、第2の触媒層除去工程と、を具備する。第1の触媒層形成工程、第1のエッチング工程、および第1の触媒層除去工程については、第2の実施形態の触媒層形成工程、エッチング工程、および触媒層除去工程とそれぞれ同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
第2の触媒層形成工程では、
図22に示すように、半導体ウェハ1の表面10aに触媒層5を形成する。触媒層5は、例えば金、銀、白金、イリジウム、パラジウム等の貴金属の触媒を含有する。触媒層5は、例えばスパッタリング、CVD法、メッキ法等を用いて形成することができる。なお、触媒層5は、グラフェン等の炭素材料の触媒を含有していてもよい。
【0060】
第2のエッチング工程では、MACEを用い、半導体ウェハ1をエッチング液に浸漬させる。エッチング液としては、例えばフッ化水素酸および過酸化水素水の混合液を用いることができる。
【0061】
半導体ウェハ1をエッチング液に浸漬させると、表面10aと触媒層5との接触部において、表面10aの材料(例えばシリコン)がエッチング液中に溶解する。この反応が繰り返されることにより、
図23に示すように、半導体ウェハ1はエッチングされて多孔質領域11eが形成される。なお、エッチングされた半導体ウェハ1の表面10aは、触媒層5の残留物5aを含む。
【0062】
第2の触媒層除去工程では、
図24に示すように、表面10aから触媒層5の残留物5aを除去する。触媒層5は、例えば半導体ウェハ1を王水等の薬液に含侵させることにより除去される。なお、上記薬液により多孔質領域11eがさらにエッチングされてもよい。このとき、第1の実施形態と同様に、触媒層5の触媒原子が残存する場合がある。
【0063】
以上のように、本実施形態では、半導体ウェハ1に溝11を形成した後に溝11に多孔質領域11eをさらに形成することにより、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0064】
本実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0065】
<第5の実施形態>
本実施形態では、半導体ウェハ1の他の構造例について説明する。
図25は、半導体ウェハ1の他の構造例を示す断面模式図であり、X-Z断面の一部を示す。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0066】
図25に示す半導体ウェハ1の表面10aは、溝11として、溝11Lと、溝11Lに設けられた溝11Mと、溝11Mに設けられた溝11Sと、を具備する。なお、溝11L、溝11M、および溝11Sの説明については、上記実施形態の溝11の説明を適宜援用できる。
【0067】
溝11Lは、内壁面11a1と内底面11b1とを含む。内壁面11a1、内底面11b1は、露出する。溝11Lの形状は、特に限定されないが、例えばライン状である。溝11Lの幅は、特に限定されないが、例えば100μm以上である。
【0068】
溝11Mは、内壁面11a2と内底面11b2とを含む。内壁面11a2、内底面11b2は露出する。溝11Mの形状は、特に限定されないが、例えばライン状である。溝11Mの幅は、溝11Lの幅よりも狭く、例えば10μm以上100μm未満である。なお、
図25に示すように、複数の溝11Mを有していてもよい。
【0069】
溝11Sは、内壁面11a3と内底面11b3とを含む。内壁面11a3、内底面11b3は露出する。溝11Sの形状は、特に限定されないが、例えばライン状である。溝11Sの幅は、溝11Mの幅よりも狭く、例えば1μm以上10μm未満である。なお、
図25に示すように、複数の溝11Mを有していてもよい。
【0070】
溝11L、溝11M、および溝11Sのそれぞれは、例えば第2の実施形態と同様にMACEを用いて形成可能である。例えば、第1の幅を有する触媒層2を用いたMACEにより溝11Lを形成し、第1の幅よりも狭い第2の幅を有する触媒層2を用いたMACEにより溝11Mを形成し、第2の幅よりも狭い第3の幅を有する触媒層2を用いたMACEにより溝11Sを形成することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態では、半導体ウェハ1に幅が異なる複数の溝11(溝11L、溝11M、溝11S)を形成することにより、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0072】
本実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0073】
<第6の実施形態>
本実施形態では、半導体ウェハ1の他の構造例について説明する。
図26は、半導体ウェハ1の他の構造例を示す断面模式図である。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0074】
図26に示す半導体ウェハ1は、内壁面11aと内底面11bとを含む溝11を有する表面10aと、表面10aの上に設けられた半導体層6aを具備する。内壁面11a、内底面11b、半導体層6aは、露出する。溝11の形状は、特に限定されないが、ここでは、ライン状の溝として説明する。半導体層6aは、例えば表面10aの溝11を除く領域に設けられ、内壁面11aに沿って延在する。
【0075】
半導体層6aは、例えば表面10aの上に半導体ウェハ1と同じ材料(例えばシリコン)をエピタキシャル成長させることにより形成されるエピタキシャル層である。
図26に示すように、半導体層6aと半導体ウェハ1の表面10aとの間には、界面が存在する場合がある。
【0076】
以上のように、本実施形態では、半導体ウェハ1の表面10aの上に半導体層6aを形成することにより、内壁面11aを拡張できるため、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0077】
本実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0078】
<第7の実施形態>
本実施形態では、半導体ウェハ1の他の構造例について説明する。
図27は、半導体ウェハ1の他の構造例を示す断面模式図である。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0079】
図27に示す半導体ウェハ1は、内壁面11aと内底面11bとを含む溝11を有する表面10aと、表面10aの上に設けられた半導体層6bを具備する。内壁面11a、内底面11bの一部、半導体層6bは露出する。溝11の形状は、特に限定されないが、ここでは、ライン状の溝として説明する。
【0080】
半導体層6bは、内底面11bの一部の上に設けられる。このとき、半導体層6bと内壁面11aはその間に溝11fを形成する。
【0081】
図28ないし
図32は、
図27に示す半導体ウェハの製造方法例を説明するための図である。半導体ウェハの製造方法例は、触媒層形成工程と、第1のエッチング工程と、触媒層除去工程と、第1の成膜工程と、第2のエッチング工程と、第2の成膜工程と、第3のエッチング工程と、第4のエッチング工程と、を具備する。触媒層形成工程、第1のエッチング工程、および触媒層除去工程については、第2の実施形態の触媒層形成工程、エッチング工程、および触媒層除去工程とそれぞれ同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0082】
第1の成膜工程では、
図28に示すように、半導体ウェハ1の表面10aに膜7を形成する。膜7は、表面10aの溝11を除く領域、内壁面11a、および内底面11bに形成される。膜7は、半導体ウェハ1の材料とのエッチング選択比が高い材料を含むことが好ましく、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、等の材料を含有する。膜7は、例えばスパッタリング、CVD法、メッキ法等を用いて形成することができる。
【0083】
第2のエッチング工程では、
図29に示すように、反応性イオンエッチング等のエッチング法により膜7を部分的にエッチングすることにより表面10aの溝11を除く領域と内底面11bとを露出させる。膜7の一部は、内壁面11aに沿って残存する。
【0084】
第2の成膜工程では、
図30に示すように、半導体ウェハ1の表面10aに膜8を形成する。膜8は、露出された表面10aの溝11を除く領域、膜7の上、および内底面11bの上に形成される。膜8は、例えばシリコン膜である。膜8は、例えばスパッタリング、CVD法、メッキ法等を用いて形成することができる。
【0085】
第3のエッチング工程では、
図31に示すように、反応性イオンエッチングまたはウェットエッチング等のエッチングにより膜8を部分的にエッチングすることにより膜7の残存物の上端を露出させるとともに半導体層6を形成する。
【0086】
第4のエッチング工程では、
図32に示すように、ウェットエッチング等のエッチング法により膜7の残存物をエッチングすることにより内壁面11aに面する膜7の残存物を除去する。これにより、半導体層6bを形成できる。
【0087】
以上のように、本実施形態では、半導体ウェハ1の表面10aの上に半導体層6bを形成して溝11fをさらに形成することにより、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0088】
本実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0089】
<第8の実施形態>
本実施形態では、半導体ウェハ1の他の構造例について説明する。
図33は、半導体ウェハ1の他の構造例を示す断面模式図である。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0090】
図33に示す半導体ウェハ1は、溝11Aを有する表面10aと、表面10aの反対側に設けられるとともに溝11Bを有する表面10bと、表面10aまたは表面10bから延在するとともに溝11Cを有するベベル面10cと、を具備する。溝11A、溝11B、溝11Cの形状は、特に限定されないが、ここでは、露出する内壁面と内底面とを有するライン状の溝として説明する。
【0091】
本実施形態の半導体ウェハ1は、
図33に示す構造に限定されない。
図34は、半導体ウェハ1の他の構造例を示す断面模式図である。なお、上記半導体ウェハ1の説明と同じ部分については上記説明を適宜援用することができる。
【0092】
図34に示す半導体ウェハ1は、溝11Aを有する表面10aを有する第1の半導体ウェハ1Aと、溝11Bを有する表面10bを有する第2の半導体ウェハ1Bと、を具備する。第1の半導体ウェハ1Aおよび第2の半導体ウェハ1Bは、例えば熱接合により接合される。溝11A、溝11Bの形状は、特に限定されないが、ここでは、ライン状の溝として説明する。
【0093】
以上のように、本実施形態では、複数の表面に溝11を形成することにより、半導体ウェハ1の表面積を増やすことができる。
【0094】
本実施形態は、他の実施形態と適宜組み合わせることができる。
【0095】
<第9の実施形態>
本実施形態では、半導体ウェハの使用方法例として、半導体装置の製造工程において上記半導体ウェハ1をダミーウェハとして使用する例について
図35ないし
図38を用いて説明する。
【0096】
図35は半導体製造装置の構成例を示す模式図である。
図35は、LP-CVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition:LP-CVD)装置の構成例を示す。
図35に示す半導体製造装置20は、処理室21と、処理室21内に原料ガス22を供給するための配管23と、を具備する。LP-CVD装置20は、さらに図示していない真空ポンプ、加熱器、排気系、電源、制御回路等を具備する。
【0097】
ダミーウェハとしての半導体ウェハ1を、半導体デバイスが形成された、または形成途中の半導体ウェハであるデバイスウェハ9とともに同一の処理室21内に搬入し、半導体ウェハ1とデバイスウェハ9とを同時に処理する場合がある。この場合の半導体装置の製造方法例は、デバイスウェハ9を処理室21内に載置するステップと、実施形態の半導体ウェハ1を処理室21内に載置するステップと、処理室21内で、デバイスウェハ9と半導体ウェハ1とを同時に処理するステップと、を具備する。なお、デバイスウェハ9と半導体ウェハ1は、同じステップまたは異なるステップで処理室21内に載置する。
【0098】
図35では、複数のデバイスウェハ9を処理室21内で処理する際に、少なくとも1つの半導体ウェハ1を複数のデバイスウェハ9とともに処理室21内に載置し、同時に成膜処理を行う例を示す。半導体ウェハ1は少なくとも1枚以上載置すればよいが、
図35に示すように複数枚載置することが好ましい。また、
図35に示すように、半導体ウェハ1は少なくとも処理室21内の上部または下部領域に配置することが好ましい。
【0099】
ここで、デバイスウェハ9の構造例について説明する。デバイスウェハ9に形成される半導体デバイスは、例えば、3次元NAND型フラッシュメモリである。以下、3次元NAND型フラッシュメモリの製造における成膜工程について説明する。
【0100】
図36は、半導体デバイスの構造例を示す模式図である。
図36に示す半導体デバイスは、コア絶縁膜91と、半導体チャネル層92と、トンネル絶縁膜931、電荷蓄積層932およびブロック絶縁膜933を含むメモリ膜93と、電極材層94と、メタル層95と、絶縁層96と、を具備する。電極材層94はゲート電極(ワード線)として機能する。コア絶縁膜91、半導体チャネル層92、メモリ膜93は、メモリホールH内に形成されており、メモリセルを構成する。ブロック絶縁膜933は例えば、SiO
2膜(シリコン酸化膜)である。電荷蓄積層932は例えば、SiN膜(シリコン窒化膜)である。トンネル絶縁膜931は例えば、SiO
2膜とSiON膜(シリコン酸窒化膜)とを含む積層膜である。半導体チャネル層92は例えば、ポリシリコン層である。コア絶縁膜91は例えば、SiO
2膜である。電極材層94、メタル層95、および絶縁層96はそれぞれ例えば、W層(タングステン層)、TiN膜(チタン窒化膜)、およびAl
2O
3膜(アルミニウム酸化膜)である。この場合、メタル層95は、上述の電極層内のバリアメタル層として機能し、絶縁層96は、上述のブロック絶縁膜933と共にブロック絶縁膜として機能する。
【0101】
次に、
図36に示す半導体デバイスの製造方法例について
図37、
図38、および
図39を用いて説明する。
図37では、シリコンウェハ等の半導体ウェハ90上に複数の犠牲層97と複数の絶縁層98とが交互に積層された積層膜が形成されており、これらの犠牲層97および絶縁層98内に溝であるメモリホールHが設けられている。犠牲層97は、後に電極材層が形成される領域である。メモリホールHは後にメモリ膜93が形成される領域である。
【0102】
半導体ウェハ1は、例えば半導体デバイスの製造におけるメモリ膜93、半導体チャネル層92、コア絶縁膜91の形成、または電極材層94、メタル層95、絶縁層96の形成、およびメモリホールHの側面を構成する犠牲層97、絶縁層98を含むそれらの薄膜の改質処理、エッチング処理に用いられる。
【0103】
メモリ膜93の形成は、
図37に示す複数の犠牲層97と複数の絶縁層98とが交互に積層された積層体にメモリホールHが形成された状態のデバイスウェハ9を処理室21内に搬入し、メモリホールH内にブロック絶縁膜933、電荷蓄積層932、トンネル絶縁膜931をこの順に成膜することで形成される。
【0104】
メタル層95および絶縁層96の形成は、メモリ膜93が形成された後、
図38に示すように、複数の犠牲層を除去し複数の絶縁層98間に空洞Cを有するデバイスウェハ9を処理室21内に搬入し、
図39に示すように、空洞C内に絶縁層96、メタル層95、および電極材層94をこの順に成膜することで形成される。(これをリプレイス工程という。)
【0105】
改質処理は、例えば
図37および
図38の犠牲層97および絶縁層98、ブロック絶縁膜933、電荷蓄積層932、トンネル絶縁膜、半導体チャネル層92の形成工程において、それぞれの層または膜の形成後または形成途中に酸素を含むガスによる処理を行うことによる酸化、アンモニアなどの窒素含有ガスを用いた気相処理による窒化、熱処理を行うことによる結晶化することを含む。また、層または膜の形成後にホウ素やリンや金属などの所望の不純物を含む犠牲層を形成し、熱処理を行うことによって対象となる層または膜に不純物を拡散させ、その後犠牲層をエッチングして除去する処理を含む。また、電極材層94、メタル層95、絶縁層96に対しても同様である。
【0106】
エッチング処理は、例えば
図37の犠牲層97および絶縁層98、
図38に形成したブロック絶縁膜933、電荷蓄積層932、トンネル絶縁膜、半導体チャネル層92のそれぞれに対し、層または膜の形成後にフッ素、塩素、臭素などのハロゲンなどを含むエッチングガスによって層または膜を薄くする処理を含む。また、
図39の電極材層94、メタル層95、絶縁層96に対しても同様である。
【0107】
いずれの例においても、複数のデバイスウェハ9とともに少なくとも1つの半導体ウェハ1を処理室21内に搬入し、同様の処理を行う。これにより、処理室21内の特定の位置で所望の処理結果が得られない場合に、ダミーウェハとして半導体ウェハ1を用いることができる。なお、複数の処理を行ってよい。
【0108】
半導体ウェハ1は、前述のとおり、表面積が大きくなるように複数の溝11が形成されている。そのため、デバイスウェハ9と同程度の表面積を有するダミーウェハとなる。したがって、例えば表面積差に起因する処理室21内での成膜ばらつきをより低減することが可能であり、デバイスウェハ9間またはデバイスウェハ9面内における膜厚、膜の組成、膜密度等の均一性をより向上することができる。すなわち、より信頼性を向上させた半導体デバイスの製造が可能となる。
【0109】
なお、本使用方法例において、LP-CVD装置を例に説明したが、その他の半導体製造装置においても半導体ウェハ1を適用できる。また、半導体デバイスは3次元NAND型フラッシュメモリに限定されず、その他の半導体デバイスを適用することもできる。
【0110】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1…半導体ウェハ、1A…第1の半導体ウェハ、1B…第2の半導体ウェハ、2…触媒層、2a…触媒原子、5…触媒層、5a…残留物、6…半導体層、6a…半導体層、6b…半導体層、7…膜、8…膜、9…デバイスウェハ、10a…表面、10b…表面、10c…ベベル面、11…溝、11A…溝、11B…溝、11C…溝、11L…溝、11M…溝、11S…溝、11a…内壁面、11a1…内壁面、11a2…内壁面、11a3…内壁面、11b…内底面、11b1…内底面、11b2…内底面、11b3…内底面、11c…凹部、11d…多孔質領域、11e…多孔質領域、11f…溝、12…隔壁、20…半導体製造装置、21…処理室、22…原料ガス、23…配管、90…半導体ウェハ、91…コア絶縁膜、92…半導体チャネル層、93…メモリ膜、94…電極材層、95…メタル層、96…絶縁層、97…犠牲層、98…絶縁層、101…領域、102…領域、103…領域、111…溝、112…溝、931…トンネル絶縁膜、932…電荷蓄積層、933…ブロック絶縁膜。