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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】3D電気活動表現
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20240610BHJP
   A61B 5/343 20210101ALI20240610BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20240610BHJP
   A61B 5/25 20210101ALI20240610BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20240610BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240610BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B5/343
A61B5/33 100
A61B5/25
A61M25/00 540
A61B18/14
A61B5/06
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020161801
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2021058580
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】16/594,668
(32)【優先日】2019-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】オーデッド・バロン
(72)【発明者】
【氏名】スタニスラフ・ゴールドバーグ
(72)【発明者】
【氏名】シュムエル・アウアーバッハ
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0262979(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03453323(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 5/343
A61B 5/33
A61B 5/25
A61M 25/00
A61B 18/14
A61B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療システムであって、
遠位部分と、前記遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含むカテーテルであって、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて前記サンプリング部位の各々における前記カテーテル電極のうちの対応するものを使用して前記腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成された、カテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、
前記カテーテルによって提供された信号を受信し、前記信号に応答して、前記サンプリング部位の各々について、前記カテーテルのサンプリング位置及び前記カテーテル電極のうちの前記対応するもののそれぞれの電極位置を計算し、
前記サンプリング部位のうちの対応するものにおける前記カテーテルの計算された前記サンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む、前記腔の3次元(3D)表現を前記ディスプレイにレンダリングし、
前記サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信し、
受信された前記ユーザ入力に応答して、選択された前記サンプリング部位マーカーに対応する前記サンプリング部位のうちの対応する1つにおける前記組織の前記電気活動を前記カテーテルがサンプリングしていた際の、前記それぞれのカテーテル電極の前記それぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、レンダリングされた前記3D表現を更新するように構成された、処理回路と、を備える、医療システム。
【請求項2】
前記処理回路は、前記サンプリング部位の各々について、前記サンプリング位置及び前記電極位置をそれぞれ、サンプリング時間にわたって平均化された前記カテーテル及び前記カテーテル電極の平均位置として計算するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理回路は、前記選択されたサンプリング部位マーカーを強調表示するように、レンダリングされた前記3D表現を更新するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記処理回路は、
それぞれのサンプリング部位においてサンプリングされた前記カテーテル電極のうちの対応するものによって感知された前記組織の電気活動を識別し、
カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の識別された前記電気活動に基づいて、前記電極マーカーのうちの少なくとも1つ前記電極マーカーのうちの他のものとは異なる表示形式で表示するように、レンダリングされた前記3D表現を更新するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記識別された電気活動は焦点活動である、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記識別された電気活動は回転活動である、請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、より大きい電極マーカーを使用することを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカーを使用することを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理回路は、前記カテーテル電極のうちの前記少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の前記識別された電気活動の強度に従った表示形式で前記少なくとも1つの電極マーカーを表示するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
医療方法であって、
カテーテルによって提供される信号を受信することであって、前記カテーテルは、遠位部分と、前記遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含み、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、前記サンプリング部位の各々における前記カテーテル電極のうちの対応するものを使用して前記腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成されている、受信することと、
前記信号に応答して、前記サンプリング部位の各々について、前記カテーテルのサンプリング位置及び前記カテーテル電極のうちの前記対応するもののそれぞれの電極位置を計算することと、
前記サンプリング部位のうちの対応するものにおける前記カテーテルの計算された前記サンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む、前記腔の3次元(3D)表現をディスプレイにレンダリングすることと、
前記サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信することと、
受信された前記ユーザ入力に応答して、選択された前記サンプリング部位マーカーに対応する前記サンプリング部位のうちの対応する1つにおける前記組織の前記電気活動を前記カテーテルがサンプリングしていた際の、前記それぞれのカテーテル電極の前記それぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、レンダリングされた前記3D表現を更新することと、
を含む、医療方法。
【請求項12】
前記計算することは、前記サンプリング部位の各々について、前記サンプリング位置及び前記電極位置をそれぞれ、サンプリング時間にわたって平均化された、前記カテーテル及び前記カテーテル電極の平均位置として計算することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記更新することは、前記選択されたサンプリング部位マーカーを強調表示するように、レンダリングされた前記3D表現を更新することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記それぞれのサンプリング部位においてサンプリングされた前記カテーテル電極のうちの対応するものによって感知された前記組織の電気活動を識別することを更に含み、
前記更新することは、前記カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の識別された前記電気活動に基づいて、前記電極マーカーのうちの少なくとも1つが前記電極マーカーのうちの他のものとは異なる表示形式で表示するように、レンダリングされた前記3D表現を更新することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記識別された電気活動は焦点活動である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記識別された電気活動は回転活動である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、より大きい電極マーカーを使用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカーを使用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記カテーテル電極のうちの前記少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の前記識別された電気活動の強度に従った表示形式で前記少なくとも1つの電極マーカーを表示することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令が、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
カテーテルによって提供される信号を受信することであって、前記カテーテルは、遠位部分と、前記遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含み、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、前記サンプリング部位の各々における前記カテーテル電極のうちの対応するものを使用して前記腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成されている、受信することと、
前記信号に応答して、前記サンプリング部位の各々について、前記カテーテルのサンプリング位置及び前記カテーテル電極のうちの前記対応するもののそれぞれの電極位置を計算することと、
前記サンプリング部位のうちの対応するものにおける前記カテーテルの計算された前記サンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む前記腔の3次元(3D)表現をディスプレイにレンダリングすることと、
前記サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信することと、
受信された前記ユーザ入力に応答して、選択された前記サンプリング部位マーカーに対応する前記サンプリング部位のうちの対応する1つにおける前記組織の前記電気活動を前記カテーテルがサンプリングしていた際の、前記それぞれのカテーテル電極の前記それぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、レンダリングされた前記3D表現を更新することと、
を行わせる、ソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療システムに関し、排他的にではないがとりわけ、カテーテルベースのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
広範囲にわたる医療処置が、カテーテルなどのプローブを患者の身体内に配置することを伴う。このようなプローブを追跡するために、位置検知システムが開発されてきた。磁気的位置検知は、当該技術分野において既知の方法の1つである。磁気的位置検知においては、一般的に、磁場発生器が患者の体外の既知の位置に配置される。プローブの遠位端内の磁界センサがこれらの磁界に応じて電気信号を生成し、この信号が処理されてプローブの遠位端の座標位置が決定される。これらの方法及びシステムは、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第1996/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/006455号、同第2003/0120150号及び同第2004/0068178号に記述されている。位置は、インピーダンスベース又は電流ベースのシステムを使用して追跡されてもよい。
【0003】
これらのタイプのプローブ又はカテーテルが極めて有用であると証明されている医療処置の1つは、心不整脈の治療におけるものである。心不整脈及び特に心房細動は、特に高齢者集団では、一般的かつ危険な病状として存続する。
【0004】
心不整脈の診断及び治療には、心臓組織、特に心内膜及び心臓容積の電気的特性をマッピングすること、並びにエネルギーの適用によって心臓組織を選択的にアブレーションすることが含まれる。そのようなアブレーションにより、望ましくない電気信号が心臓のある部分から別の部分へと伝播するのを停止させるか又は修正することができる。アブレーション法は、非伝導性の損傷部を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。様々なエネルギー送達の様式が、損傷部を形成する目的でこれまでに開示されており、心臓組織壁に沿って伝導ブロック部分を形成するためのマイクロ波、レーザー、及びより一般的には高周波エネルギーの使用が挙げられる。マッピングの後にアブレーションを行う2工程の手技において、通常、1つ以上の電気センサを含むカテーテルを心臓の中に前進させ、多数の点でデータを取得することによって、心臓内の各点における電気活動を感知し、測定する。次いで、これらのデータを利用して、このアブレーションを行うべき心臓内の標的領域を選択する。
【0005】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは心臓内の電気活動を刺激及びマッピングし、異常な電気活動が見られる部位をアブレーションするために用いられる。使用時には、電極カテーテルは、主要な静脈、又は大腿動脈などの動脈に挿入された後、対象とされる心臓の腔の中に導かれる。典型的なアブレーション処置は、その遠位端に1つ以上の電極を有するカテーテルを心腔内に挿入することを伴う。参照電極は、一般的には患者の皮膚にテープで貼り付けられるか、あるいは心臓内又は心臓付近に配置されている第2のカテーテルによって提供され得る。RF(高周波)電流をアブレーションカテーテルの先端電極に通電すると、参照電極に向かって先端電極の周囲の媒質、すなわち、血液及び組織に電流が流れる。電流の分布は、組織より高い導電性を有する血液と比較した場合、組織と接触している電極表面の量に応じて決定される。組織の加熱は、組織の電気抵抗に起因して生じる。組織が十分に加熱されると心組織の細胞が破壊され、心組織内に非導電性の損傷部位が形成される。
【0006】
Urmanらの米国特許公開第2017/0202470号には、焦点源を識別するシステム及び方法が記載されている。この方法は、センサを介して経時的に心電図(ECG)信号を検出することであって、各ECG信号は、心臓における位置を有し、心臓の電気活動を指示するセンサのうちの1つを介して検出され、各信号は少なくともR波とS波とを含む、ことと、ECG信号の各々のRS比を含むR-Sマップを作成することであって、RS比はR波の絶対マグニチュードとS波の絶対マグニチュードとの比を含む、ことと、ECG信号の各々に対して、局所興奮時間(LAT)を識別することと、R-Sマップ上におけるECG信号のRS比と識別されたLATとを相関させ、その相関を用いて焦点源を特定することと、を含み得る。
【0007】
Ben Zrihemらの米国特許公開第2017/0202515号には、心房回転活動パターン(RAP)源検出の方法が記載されており、この方法は、複数のセンサを介して、心電図(ECG)信号を経時的に検出することであって、各ECG信号は複数のセンサのうちの1つを介して検出される、ことと、心臓の電気活動を指示することと、を含む。この方法はまた、複数のECG信号のそれぞれについて、対応するECG信号の活動化時間をそれぞれが示す1つ以上の局所興奮時間(LAT)を決定することを含む。本方法は、心臓内の活動化の1つ以上のRAP源領域が、検出されたECG信号及び1つ以上の局所LATに基づいて示されているか否かを検知することを更に含む。1つ以上のマップを提供するために、心臓内の活動化の検出されたRAP源領域のマッピング情報も生成される。
【0008】
Neasonの米国特許公開第2005/0228252号には、患者の心臓の内側に位置付けられるように構成された1つ以上のプローブと、1つ以上のプローブに通信的に連結されたプロセッサと、プロセッサに通信的に連結されたディスプレイと、画像を操作するためにプロセッサによって使用される画像処理ツールと、を備えるシステムが記載されている。プロセッサは、心臓に関連する電気的情報を処理するために使用される。電気的情報は、1つ以上のプローブを使用して感知される。ディスプレイは、心臓の画像を表示するために使用される。
【0009】
Blakeらの米国特許公開第2016/0022375号には、心臓標的を決定するためのシステムが記載されている。本システムは、心臓撮像データを受信する命令を実行し、心臓撮像データをセグメント化して少なくとも2種類の心臓組織を識別し、識別された組織に基づいて心臓モデルを生成し、生成された心臓モデルに基づいて心臓活動をシミュレートし、シミュレーションに基づいて少なくとも1つの心臓標的を識別するように構成された少なくとも1つの処理装置を含んでもよい。心臓処置装置を心臓標的に案内するために、心臓治療システムが利用されてユーザにフィードバックが提供され得る。
【0010】
Govariらの米国特許公開第2013/0158545号には、プローブの遠位部分上に配設された第1及び第2のアブレーション電極と、第1のアブレーション電極と第2のアブレーション電極との間に配設された感知電極と、を有するプローブを利用し、プローブを心臓組織と接触させ、アブレーション経路に沿って標的組織をアブレーションするために第1及び第2のアブレーション電極を通じてエネルギーを印加し、心臓電気活動を検知するために感知電極を使用して心臓電気活動を監視して、異常な心臓電気活動を処置する方法及びシステムが記載されている。心臓電気活動が感知電極によって検出可能でなくなったことが観察された後、エネルギー印加が終了される。
【0011】
Talの米国特許公開第2007/0276226号には、画像捕捉のための特殊な心臓カテーテルの使用が記載されており、心臓の特徴は、以前に生成された心臓の電気活動化マップに基づいて、超音波画像上で容易に識別可能である。電気活動化マップは、カテーテル内の位置センサから取得された情報を使用して、超音波画像と自動的に位置合わせされる。ポイント、タグ、デザインライン、及びテキストIDとして提示される電気活動化マップ上で識別可能な特徴は、超音波ファンの平面内に投影され、超音波画像上に重ね合わされ、それによって、後者で視認可能である特徴が明確化される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態によれば、医療システムであって、遠位部分と、遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含むカテーテルであって、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されてサンプリング部位の各々におけるカテーテル電極のうちの対応するものを使用して腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成された、カテーテルと、ディスプレイと、処理回路であって、カテーテルによって提供された信号を受信し、信号に応答して、サンプリング部位の各々について、カテーテルのサンプリング位置及びカテーテル電極のうちの対応するもののそれぞれの電極位置を計算し、サンプリング部位のうちの対応するものにおけるカテーテルの計算されたサンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む、腔の3次元(3D)表現をディスプレイにレンダリングし、サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信し、選択されたサンプリング部位マーカーに対応するサンプリング部位のうちの対応する1つにおける組織の電気活動をカテーテルがサンプリングしていた際の、それぞれのカテーテル電極のそれぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現を更新するように構成された、処理回路と、を含む、医療システムが提供される。
【0013】
更に、本発明の一実施形態によれば、処理回路は、サンプリング部位の各々について、サンプリング位置及び電極位置をそれぞれ、サンプリング時間にわたって平均化されたカテーテル及びカテーテル電極の平均位置として計算するように構成されている。
【0014】
更にまた、本発明の一実施形態によれば、処理回路は、選択されたサンプリング部位マーカーを強調表示するように、レンダリングされた3D表現を更新するように構成されている。
【0015】
更に、本発明の一実施形態によれば、処理回路は、それぞれのサンプリング部位においてサンプリングされたカテーテル電極のうちの対応するものによって感知された組織の電気活動を識別し、カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された組織の識別された電気活動に応答して、電極マーカーのうちの少なくとも1つが電極マーカーのうちの他のものとは異なる表示形式を有する状況で、電極マーカーを含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現を更新するように構成されている。
【0016】
更に、本発明の一実施形態によれば、識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動である。
【0017】
更に、本発明の実施形態によれば、識別された電気活動は焦点活動である。
【0018】
更にまた、本発明の一実施形態によれば、識別された電気活動は回転活動である。
【0019】
更に、本発明の一実施形態によれば、異なる表示形式は、他の電極マーカーと比較して、より大きい電極マーカーを使用することを含む。
【0020】
更に、本発明の一実施形態によれば、異なる表示形式は、他の電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカーを使用することを含む。
【0021】
更に、本発明の一実施形態によれば、処理回路は、カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された組織の識別された電気活動の強度に従って、少なくとも1つの電極マーカーをフォーマットするように構成されている。
【0022】
また、本発明の別の実施形態によれば、医療方法であって、カテーテルによって提供される信号を受信することであって、カテーテルは、遠位部分と、遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含み、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、サンプリング部位の各々におけるカテーテル電極のうちの対応するものを使用して腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成されている、受信することと、信号に応答して、サンプリング部位の各々について、カテーテルのサンプリング位置及びカテーテル電極のうちの対応するもののそれぞれの電極位置を計算することと、サンプリング部位のうちの対応するものにおけるカテーテルの計算されたサンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む、腔の3次元(3D)表現をディスプレイにレンダリングすることと、サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信することと、選択されたサンプリング部位マーカーに対応するサンプリング部位のうちの対応する1つにおける組織の電気活動をカテーテルがサンプリングしていた際の、それぞれのカテーテル電極のそれぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現を更新することと、を含む、医療方法が提供される。
【0023】
更にまた、本発明の一実施形態によれば、計算することは、サンプリング部位の各々について、サンプリング位置及び電極位置をそれぞれ、サンプリング時間にわたって平均化された、カテーテル及びカテーテル電極の平均位置として計算することを含む。
【0024】
更に、本発明の一実施形態によれば、更新することは、選択されたサンプリング部位マーカーを強調表示するように、レンダリングされた3D表現を更新することを含む。
【0025】
更に、本発明の一実施形態によれば、本方法は、それぞれのサンプリング部位においてサンプリングされたカテーテル電極のうちの対応するものによって感知された組織の電気活動を識別することを含み、更新することは、カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された組織の識別された電気活動に応答して、電極マーカーのうちの少なくとも1つが電極マーカーのうちの他のものとは異なる表示形式を有する状況で、電極マーカーを含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現を更新することを含む。
【0026】
更に、本発明の一実施形態によれば、識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動である。
【0027】
更にまた、本発明の一実施形態によれば、識別された電気活動は焦点活動である。
【0028】
更に、本発明の一実施形態によれば、識別された電気活動は回転活動である。
【0029】
更に、本発明の一実施形態によれば、異なる表示形式は、他の電極マーカーと比較して、より大きい電極マーカーを使用することを含む。
【0030】
更に、本発明の一実施形態によれば、異なる表示形式は、他の電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカーを使用することを含む。
【0031】
更にまた、本発明の一実施形態によれば、本方法は、カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された組織の識別された電気活動の強度に従って、少なくとも1つの電極マーカーをフォーマットすることを含む。
【0032】
また、本発明の更に別の実施形態によれば、プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、命令が、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、CPUに、カテーテルによって提供される信号を受信することであって、カテーテルは、遠位部分と、遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含み、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、サンプリング部位の各々におけるカテーテル電極のうちの対応するものを使用して腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成されている、受信することと、信号に応答して、サンプリング部位の各々について、カテーテルのサンプリング位置及びカテーテル電極のうちの対応するもののそれぞれの電極位置を計算することと、サンプリング部位のうちの対応するものにおけるカテーテルの計算されたサンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む腔の3次元(3D)表現をディスプレイにレンダリングすることと、サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信することと、選択されたサンプリング部位マーカーに対応するサンプリング部位のうちの対応する1つにおける組織の電気活動をカテーテルがサンプリングしていた際の、それぞれのカテーテル電極のそれぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現を更新することと、を行わせる、ソフトウェア製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明は、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明から理解されよう。
図1】本発明の一実施形態に従って構築され動作する医療処置システムの概略図である。
図2図1のシステムで使用するためのカテーテルの概略図である。
図3図1のシステムによってレンダリングされたそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む心臓の腔の3次元(3D)表現の概略図である。
図4図3のサンプリング部位マーカーのうちの1つの選択を示す3D表現の概略図である。
図5】代替的な一実施形態による、図3のサンプリング部位マーカーのうちの1つの選択を示す3D表現の概略図である。
図6】代替的な一実施形態による、図1のシステムによってレンダリングされたそれぞれのサンプリング部位マーカー及び電極マーカーを含む心臓の腔の3次元(3D)表現の概略図である。
図7図6の電極マーカーのうちの1つの選択を示す3D表現の概略図である。
図8】再計算中の図7の3D表現の概略図である。
図9図1のシステムの操作方法における工程を含むフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
概論
複合マルチスプラインカテーテル(例えば、Biosense Webster,Inc.(Irvine,CA USA)のPENTARAY(登録商標)カテーテル又はバスケットカテーテル)又はリニアカテーテル上のマルチ電極によって、医師にとって直感的な方式でサンプリングされた電気活動及びサンプリング位置の表示は、電極の幾何学的分布が原因で困難な問題となっている。2.5秒のみの信号データを含み得る通常の電気解剖学(EA)の点とは対照的に、長期間(例えば、最大で約30秒)にわたるデータの連続的な電気的捕捉が用いられる場合、表示は更に複雑となる。データが長期間にわたって獲得されるとき、データの一部は、サンプリング期間中のカテーテルの不安定性が原因で、有用であることもあれば、有用でないこともある。
【0035】
本発明の実施形態は、それぞれのサンプリング部位におけるカテーテルの様々なサンプリング位置を示すそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む、心腔の直感的な3次元(3D)表現を提供することによって、上記の問題を解決する。サンプリング部位マーカーが選択されると、選択されたサンプリング部位マーカーに対応するサンプリング部位における腔の組織の電気活動をカテーテルがサンプリングしていた際の、それぞれのカテーテル電極のそれぞれの電極位置を指示する電極マーカーを示すために、3D表現が更新される。
【0036】
開示される実施形態では、遠位部分と、遠位部分上のそれぞれの位置に配置されたカテーテル電極と、を含むカテーテルが、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、各サンプリング部位におけるそれぞれのカテーテル電極を使用して腔の組織の電気活動をサンプリングする。カテーテルの遠位部分は、バスケット若しくはバルーンアセンブリなどの任意の好適な遠位部アセンブリ、又はカテーテルのシャフトの遠位端部に接続されている複数のスプラインを含み得る。
【0037】
処理回路は、カテーテルによって提供される信号を受信し、その信号に応答して、各サンプリング部位について、カテーテルのサンプリング位置及びそれぞれの電極位置を計算する。カテーテルのサンプリング位置は、カテーテルの任意の好適な位置、例えば、カテーテルのシャフトの遠位部、又はシャフト上の位置センサの位置、又はサンプリング部位における電極の平均位置であってよい。信号は、カテーテルの電極又は他の位置センサ(複数可)又はトランスデューサによって提供され得る。信号は、カテーテルからケーブルを介して若しくは無線で、あるいはカテーテルによって放出された信号を受信する身体表面パッチから、処理回路によって受信され得る。いくつかの実施形態では、処理回路は、各サンプリング部位について、サンプリング位置及び電極位置をそれぞれ、そのサンプリング部位におけるサンプリング時間にわたって平均化されたカテーテル及びカテーテル電極の平均位置として計算する。
【0038】
処理回路は、受信された信号に基づいて、それぞれのサンプリング部位でサンプリングされたそれぞれのカテーテル電極によって感知された組織の電気活動を識別する。電気活動を識別することは、単なる例にすぎないが、焦点活動又は回転活動などの関心領域を識別することを含んでもよい。焦点活動は、早期の連続的なQS形態を示す反復活動化パターンによって指示され得る。Urmanらの米国特許公開第2017/0202470号には、焦点源を識別するシステム及び方法が記載されている。焦点源を識別するための任意の好適な方法が用いられてよい。回転活動は、回転活動を示す反復活動化パターンによって指示され得る。Ben Zrihemらの米国特許公開第2017/0202515号には、心房回転活動パターン(RAP)源検出の方法が記載されており、この方法は、複数のセンサを介して、心電図(ECG)信号を経時的に検出することであって、各ECG信号は複数のセンサのうちの1つを介して検出される、ことと、心臓の電気活動を示すことと、を含む。回転活動を識別するための任意の好適な方法が用いられてよい。
【0039】
処理回路は、それぞれのサンプリング部位におけるカテーテルの計算されたサンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカー(例えば、円形若しくは正方形又は任意の好適な形状若しくは記号)を含む腔の3D表現をディスプレイにレンダリングする。
【0040】
サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信すると、処理回路は、選択されたサンプリング部位マーカーに対応するサンプリング部位における組織の電気活動をカテーテルがサンプリングしていた際の、それぞれのカテーテル電極のそれぞれの電極位置を指示する電極マーカー(例えば、円形若しくは正方形又は任意の好適な形状若しくは記号)を含めるように、レンダリングされた3D表現を更新する。いくつかの実施形態では、処理回路は、例えば、より明るいマーカーを使用すること及び/又はマーカーの周囲にリングを配置することによって、選択されたサンプリング部位マーカーを強調表示するように、レンダリングされた3D表現を更新する。
【0041】
いくつかの実施形態では、電極マーカーの表示形式(例えば、形状及び/又はフォーマット)は、それぞれの電極によって感知された組織の識別された電気活動に従って更新される。処理回路は、それぞれのカテーテル電極によって感知された組織の識別された電気活動に応答して、少なくとも1つの電極マーカーが他の電極マーカーとは異なる表示形式を有する状況で、電極マーカーを含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現を更新する。異なる表示形式をトリガする識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動、焦点活動、及び/又は回転活動を含み得る。異なる表示形式は、例として、他の電極マーカーと比較して、より大きな電極マーカー、及び/又は他の電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカー、並びに/あるいは異なる形状、陰影、パターン、及び/又は輝度を使用することを含み得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、処理回路は、それぞれのカテーテル電極によって感知された組織の識別された電気活動の強度に従って、電極マーカーをフォーマットする。フォーマットは、例として、識別された電気活動の強度を示すために、色、陰影、パターン、及び/又は輝度を含み得る。
【0043】
システムの説明
ここで図1を参照すると、図1は、本発明の一実施形態に従って構築され動作する医療処置システム20の概略図である。図2も参照されたい。図2は、図1のシステム20で使用するためのカテーテル40の概略図である。
【0044】
医療処置システム20は、図1の挿入図25に示され、図2により詳細に示されているカテーテル40の位置を判定するために使用される。カテーテル40は、シャフト22と、遠位部分45と、遠位部分45上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極55と、を含む。カテーテル40の遠位部分45は、カテーテル40のシャフト22の遠位端に接続されたバスケット若しくはバルーンアセンブリ又は偏向可能なアーム54(図2に示されるように、単純化のためにいくつかのみに参照符号が付される)などの遠位端アセンブリを含み得る。カテーテル40は、生体被験者の身体部分(例えば、心臓26の腔)に挿入されるように構成されている。偏向可能なアーム54は、シャフト22の遠位端に接続されたそれぞれの近位端を有する。
【0045】
カテーテル40は、偏向可能なアーム54の近位端に対して所定の空間関係でシャフト22上に配置された位置センサ53を含む。位置センサ53は、磁気センサ50及び/又は少なくとも1つのシャフト電極52を含み得る。磁気センサ50は、回転(roll)を含む位置及び向きの位置データを提供するために、限定はしないが例えば二軸又は三軸のコイル配列などの少なくとも1つのコイルを含んでもよい。カテーテル40は、偏向可能なアーム54の各々に沿った異なるそれぞれの位置に配設された複数のカテーテル電極55(簡略化のために図2では一部のみに参照符号が付されている)を含む。典型的には、カテーテル40は、電極55を使用して生存被験者の心臓内の電気活動をマッピングするために、又は生存被験者の身体部分内で任意のその他の適切な機能を実行するために使用され得る。電極55は、それぞれの位置における身体部分の組織をその身体部分(例えば、心臓の腔内)と接触させるように構成されている。
【0046】
医療処置システム20は、カテーテル40のシャフト22の位置及び向きを、磁気センサ50及び/又はシャフト22に取り付けられた磁気センサ50の両側のシャフト電極52(近位電極52a及び遠位電極52b)によって供給される信号に基づいて判定することができる。近位電極52a、遠位電極52b、磁気センサ50及び少なくともいくつかの電極55は、シャフト22を通って延びるワイヤにより、カテーテルコネクタ35を介してコンソール24内の様々なドライバ回路に接続されている。いくつかの実施形態では、偏向可能なアーム54のそれぞれの少なくとも2つの電極55、シャフト電極52、及び磁気センサ50は、カテーテルコネクタ35を介してコンソール24内のドライバ回路に接続されている。いくつかの実施形態では、遠位電極52b及び/又は近位電極52aは省略されてもよい。
【0047】
図2に示されている図は、単に概念を明確化する目的のために選択されている。シャフト電極52及び電極55の他の構成も可能である。位置センサ53には更なる機能が含まれてもよい。明確にするために、灌漑ポートなど、本発明の開示された実施形態に関連しない要素は省略されている。
【0048】
医師30は、カテーテル40の近位端の近傍のマニピュレータ32を使用してシャフト22を操作すること及び/又はシース23からの偏向によって、カテーテル40を患者28の身体部分(例えば心臓26)内の標的位置に誘導する。カテーテル40は、偏向可能なアーム54が集まった状態で、シース23を通して挿入され、カテーテル40がシース23から後退した後にのみ、偏向可能なアーム54が広がり、それらの意図された機能的形状を回復することができる。変更可能なアーム54をまとめて収容することにより、シース23は、標的位置へ向かう間の血管外傷を最小限に抑える役割も果たす。
【0049】
コンソール24は、処理回路41、典型的には汎用コンピュータと、ケーブル39を通って患者28の胸部及び背部又は任意のその他の好適な皮膚表面に延びるワイヤによって取り付けられた身体表面電極49において信号を生成する、及び/又は身体表面電極49から信号を受信する好適なフロントエンド及びインタフェース回路44と、を含む。
【0050】
コンソール24は、磁気感知サブシステムを更に備える。患者28は、少なくとも1つの磁場放射体42を含むパッドによって生成された磁場内に置かれ、これは、コンソール24に配設されたユニット43によって駆動される。磁場放射体42は、身体の部分(例えば心臓26)が配置されている領域に交番磁界を送信するように構成されている。磁場放射体42によって生成された磁場は、磁気センサ50において方向信号を生成する。磁気センサ50は、送信された交番磁界の少なくとも一部を検出し、対応する電気入力として方向信号を処理回路41に供給するように構成されている。
【0051】
いくつかの実施形態では、処理回路41は、シャフト電極52、磁気センサ50及び電極55から受信した位置信号を使用して、心腔内などの器官内のカテーテル40の位置を推定する。いくつかの実施形態では、処理回路41は、電極52及び電極55から受信した位置信号を以前に取得した磁気位置較正位置信号と相関させて、心腔内のカテーテル40の位置を推定する。シャフト電極52及び電極55の位置座標は、他の入力の中でも特に、電極52、電極55と身体表面電極49との間で測定されるインピーダンス又は電流分布の割合に基づいて、処理回路41によって判定され得る。コンソール24は、心臓26内のカテーテル40の遠位部分を示すディスプレイ27を駆動する。
【0052】
電流分布測定値及び/又は外部磁場を使用する位置検知の方法は、様々な医療用途で、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,California)により製造されるCarto(登録商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号、同第6,332,089号、同第7,756,576号、同第7,869,865号、及び同第7,848,787号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号、及び同第2004/0068178(A1)号に詳述されている。
【0053】
Carto(登録商標)3システムは、有効電流位置(ACL)のインピーダンスベースの位置追跡方法を適用する。いくつかの実施形態では、処理回路41は、ACL法を使用して、電気インピーダンスの表示と磁場放射体42の磁気座標フレーム内の位置との間のマッピング(例えば、現在位置マトリックス(current-position matrix:CPM))を作成するように構成されている。処理回路41は、CPM内でルックアップを実行することにより、シャフト電極52及び電極55の位置を推定する。
【0054】
処理回路41は、本明細書に記載される機能を実行するために、典型的にはソフトウェアでプログラムされる。ソフトウェアは、例えばネットワーク上で、コンピュータに電子形態でダウンロードすることができるか、又は代替的に若しくは追加的に、磁気メモリ、光学メモリ若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供及び/若しくは記憶されてもよい。
【0055】
図1は、簡潔性かつ明瞭性のために、開示技法に関連する要素のみを示す。システム20は、典型的には、開示される技術には直接関連しないために図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。
【0056】
上述のカテーテル40は、アーム54ごとに6つの電極を備えた8つの偏向可能なアーム54を含む。カテーテル40の代わりに、例えば、異なる数の可撓性アーム及び/又はアームごとの電極を備えたカテーテルなどの任意の適切なカテーテル、あるいは、ほんの一例として、例えばバルーンカテーテル、バスケットカテーテル、又はラッソカテーテルなどの様々なプローブ形状が使用され得る。
【0057】
医療処置システム20はまた、例えば、カテーテル40又はこれとは異なるカテーテルなどの任意の適切なカテーテル及び任意の適切なアブレーション方法を使用して、心臓組織のアブレーションを実行し得る。コンソール24は、心臓26の心筋のアブレーションを行うために、コンソール24に接続されたカテーテルの1つ以上の電極と、身体表面電極49のうちの1つ以上と、によって印加されるRF電力を生成するように構成されたRF信号発生器34を含んでもよい。コンソール24は、アブレーションを実施するカテーテルの遠位部分への灌注チャネルの中に灌注流体を送り込むポンプ(図示せず)を含んでもよい。アブレーションを実施するカテーテルは、アブレーション中に心筋の温度を測定し、測定された温度に従ってアブレーション電力及び/又は灌注流体のポンピングの灌注速度を調節するために使用される温度センサ(図示せず)を更に含んでもよい。
【0058】
ここで図3を参照するが、これは、図1のシステム20によってレンダリングされたそれぞれのサンプリング部位マーカー62を含む心臓26(図1)の腔の3次元(3D)表現60の概略図である。
【0059】
カテーテル40(図2)は、生体被験者の心臓26(図1)の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、サンプリング部位の各々においてカテーテル電極55(図2)のうちの対応するものを使用して腔の組織の電気活動をサンプリングする。図3~9の例は、5つのスプラインを備えたカテーテル、例えば、PENTARAYカテーテルの使用に基づいたものである。5つ超又は5つ未満のスプラインを有する任意の好適なカテーテルも使用され得る。いくつかの実施形態では、バルーン、バスケット、又はラッソーカテーテルなどの任意の好適なカテーテルが使用されてよい。各サンプリング部位におけるサンプリング時間は、任意の好適な持続時間、例えば20秒~30秒の範囲内であってよい。他の実施形態では、サンプリング時間は、20秒未満又は30秒超であってもよい。
【0060】
処理回路41(図1)は、カテーテル40(図2)によって提供される信号を受信し、その信号に応答して、各サンプリング部位について、カテーテル40のサンプリング位置及びそれぞれのカテーテル電極55(図2)のそれぞれの電極位置を計算する。カテーテル40のサンプリング位置は、カテーテル40の任意の好適な位置、例えば、カテーテル40のシャフト22(図2)の遠位端、又はシャフト22上の位置センサ(磁気センサ50(図2)など)の位置、又はサンプリング部位における電極55の平均位置であり得る。計算された位置は、概して、心臓の腔の表面を表現する表面64に投影される。腔を表現する表面64は、システム20に登録されたCT又はMRIなどの以前のスキャンから取得されてもよい。信号は、カテーテル40の電極55又は他の位置センサ(複数可)若しくはトランスデューサによって提供され得る。信号は、処理回路41によってカテーテル40から、ケーブルを介してあるいは無線式で受信され得る。追加的にあるいは代替的に、処理回路41は、カテーテル40によって放出された信号を感知する身体表面電極49から信号を受信してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態では、処理回路41(図1)は、各サンプリング部位について、サンプリング位置及び電極位置をそれぞれ、そのサンプリング部位のサンプリング時間にわたって平均化された、カテーテル40(図2)及びカテーテル電極55(図2)の平均位置として計算するように構成されている。
【0062】
処理回路41(図1)は、受信された信号に基づいて、それぞれのサンプリング部位でサンプリングされた、カテーテル電極55(図2)によって感知された組織の電気活動を識別する。電気活動を識別することは、単なる例にすぎないが、(例えば、信号の大きさに基づいた)電気活動の強度、及び/又は焦点活動若しくは回転活動などの関心領域を識別することを含み得る。焦点活動は、早期の連続的なQS形態を示す反復活動化パターンによって示され得る。Urmanらの米国特許公開第2017/0202470号には、焦点源を識別するシステム及び方法が記載されている。焦点源を識別するための任意の好適な方法が用いられてよい。回転活動は、回転活動を示す反復活動化パターンによって示され得る。Ben Zrihemらの米国特許公開第2017/0202515号には、心房回転活動パターン(RAP)源検出の方法が記載されており、この方法は、複数のセンサを介して、心電図(ECG)信号を経時的に検出することであって、各ECG信号は複数のセンサのうちの1つを介して検出される、ことと、心臓の電気活動を指示することと、を含む。回転活動を識別するための任意の好適な方法が用いられてよい。
【0063】
処理回路41(図1)は、それぞれのサンプリング部位におけるカテーテル40(図2)の計算されたサンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカー62を含む腔の3D表現60をディスプレイ27(図1)にレンダリングする。前述のように、計算されたサンプリング位置は、腔の表面64に投影される。各サンプリング部位マーカー62が、図3において2つの同心円によって表現されている。サンプリング部位マーカー62は、任意の好適な記号又は形状、例えば、円形又は正方形又は三角形を用いて表現され得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、サンプリング時間中にカテーテル移動が閾値を超えたことが原因で不安定であると見なされるサンプリング部位は、他のサンプリング部位マーカー62とは異なってフォーマット及び/又は表示されてもよい。図3の例では、不安定なサンプリング部位は、サンプリング部位マーカー62-1においてストライプを用いて示されている。閾値は、例えば、限定するものではないが、0.5mm~10mmの範囲内の任意の好適な値であってよい。
【0065】
図3はまた、サンプリング部位マーカー62-2を選択する前の、サンプリング部位マーカー62-2の上にホバリングされているユーザカーソル66を示す。いくつかの実施形態では、サンプリング部位マーカー62-2は、タッチセンサー式スクリーンに触れることによって選択されてもよい。
【0066】
ここで図4を参照するが、これは、図3のサンプリング部位マーカー62-2の選択を表す3D表現60の概略図である。処理回路41(図1)は、サンプリング部位マーカー62-2を選択するユーザ入力を受信する。処理回路41は、選択されたサンプリング部位マーカー62-2に対応するサンプリング部位における組織の電気活動をカテーテル40(図2)がサンプリングしていた際の、それぞれの(表面64に投影される)カテーテル電極55のそれぞれの(投影される)電極位置を指示する電極マーカー68(簡潔にするため、いくつかにのみ参照符号を付される)を含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現60を更新する。図4は、電極マーカー68が、サンプリング部位マーカー62-2から分岐する5本の線に配列されていることを示す。5本の線は、この例ではPENTARAYカテーテルであるカテーテル40の5つのスプラインに対応する。他の実施形態においては、任意の好適なカテーテルが使用されてよい。
【0067】
各電極マーカー68は、正方形で表現されている。電極マーカー68は、任意の好適な記号又は形状、例えば、円形又は三角形を用いて表現され得る。
【0068】
サンプリング部位マーカー62-2が選択されると、処理回路41は、レンダリングされた3D表現60を更新して、選択されたサンプリング部位マーカー62-2を、例えば、それを別の円形で取り囲むことによって強調表示する。追加的にあるいは代替的に、サンプリング部位マーカー62-2は、サンプリング部位マーカー62-2の輝度を増大させること、及び/又は色を変化させることによって強調表示されてもよい。挿入図70は、部位マーカー62のうち、選択されておらず、したがって強調表示されていない1つを示す。挿入図72は、選択後に強調表示されたサンプリング部位マーカー62-2を示す。
【0069】
ここで図5を参照するが、これは、代替的な一実施形態による、図3のサンプリング部位マーカー62-2の選択を表す3D表現60の概略図である。図5の電極マーカー68-1、68-2、68-3、68-4のいくつかは、他の電極マーカー68とは異なって表示されている(例えば、異なるように拡大及び/又は着色及び/又は陰影処理されている)。具体的に言えば、電極マーカー68-1、68-2は他の電極マーカー68の正方形よりも大きい正方形として表現されているのに対し、電極マーカー68-3、68-4は黒色のフィラーでフォーマットされている。電極マーカー68-1、68-2は、それぞれの電極55(図2)によって感知された組織の焦点活動又は回転活動などの電気活動の関心領域を表現してもよい。また、電極マーカー68-1は、電極マーカー68-2よりも明るいフィラー色を有しており、電極マーカー68-1に関連付けられる電気活動が電極マーカー68-2に関連付けられる電気活動よりも低い強度を有することを示している。電極マーカー68-3、68-4は、それぞれの電極55によって感知された閾値を下回る電気活動を表現し得る。電極マーカー68-3、68-4に関連付けられる電気活動は、特定の計算、例えば、焦点活動及び/又は回転活動などの関心領域を決定する計算から除外されてもよい。
【0070】
処理回路41は、それぞれのカテーテル電極(マーカー68-1、68-2、68-3、68-4に対応する)によって感知された組織の識別された電気活動に応答して、電極マーカー68-1、68-2、68-3、68-4のうちの少なくとも1つが、電極マーカー68のうちの他のものとは異なる表示形式を有する状況で、電極マーカー68を含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現60を更新することができる。識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動、焦点活動、及び/又は回転活動のうちのいずれか1つ以上と関連付けられてよい。異なる表示形式は、ほんの一例として、他の電極マーカー68と比較してより大きな電極マーカー68、及び/又は他の電極マーカー68と比較して異なる色の電極マーカー68、並びに/あるいは異なる形状、陰影、パターン、及び/又は輝度を使用することを含み得る。
【0071】
処理回路41は、それぞれのカテーテル電極55(図2)によって感知された組織の識別された電気活動の強度に従って、電極マーカー68-1、68-2、68-3、68-4をフォーマットしてもよい。フォーマットは、例として、色、陰影、パターン、及び/又は輝度を含み得る。
【0072】
本明細書に記載される全ての実施形態において、様々なマーカーが、任意選択的に、他のマッピングスキーム、例えば局所興奮時間(LAT)又は双極電圧に従って色付けされたマップ上に表示されてもよい。
【0073】
ここで図6を参照すると、これは、代替的な一実施形態による、図1のシステム20によってレンダリングされたそれぞれのサンプリング部位マーカー76及び電極マーカー78を含む心臓の腔の3次元(3D)表現74の概略図である。図6は、サンプリング部位マーカー76のうちのいずれもユーザによって選択されていないが、サンプリング部位マーカー76と関連付けられた電極マーカー78を示す。電極マーカー78は、焦点活動又は回転活動などの関心領域と関連付けられて得る。図6はまた、サンプリング部位マーカー78-1を選択する前の、電極マーカー78-1の上にホバリングされているユーザカーソル66を示す。
【0074】
ここで図7を参照するが、これは、図6の電極マーカー78-1の選択を表す3D表現74の概略図である。電極マーカー78-1を選択することにより、結果として、3D表現74が更新されて、電極マーカー78-1が関連付けられているサンプリング部位マーカー76-1に関連付けられた他の電極マーカー80(簡潔にするためいくつかのみ参照符号を付されている)が示されることになる。同様に、電極マーカー78のいずれかを選択することにより、結果として、3D表現74が更新されて、選択された電極マーカー78が関連付けられているサンプリング部位マーカー76に関連付けられた電極マーカー80を示されることになる。更に、サンプリング部位マーカー76-1を選択することにより、結果として、サンプリング部位マーカー76-1に関連付けられた電極マーカー80が示されることになる。
【0075】
ここで図8を参照するが、これは、再計算中の図7の3D表現74の概略図である。ユーザは、サンプリング部位マーカー76のうちの1つに関連付けられたサンプリング部位のうちのいずれか1つについて、電極55によって感知された組織の関心領域などの電気活動を識別する再計算を実施するように選択してよい。再計算は、例えば、ユーザが、サンプリング部位のうちの1つにおいて電極55のうちの1つ以上によって感知された組織の感知された電気活動を除外するか又は含めた後に実施され得る。ユーザは、例えば、マウスを用いて電極マーカー(複数可)80上で右クリックし、ポップアップウィンドウ内のリストから再計算を選択することによって、又は任意の他の好適な選択方法を使用することによって、例えば、関連付けられた電極マーカー(複数可)80の選択を介して電極55のうちの1つ以上によって感知された組織の感知された電気活動を除外するか又は含めることができる。再計算は、例えば、マウスを用いてサンプリング部位マーカー76上で右クリックし、ポップアップウィンドウ内のリストから再計算を選択することによって、又は任意の他の好適な選択方法を使用することによって、例えば関連付けられたサンプリング部位マーカー76を選択することでトリガされ得る。再計算中、電極マーカー80は、異なる表示方式を用いて、例えば、灰色のフィラーを用いて示されてもよく、また、選択されたサンプリング部位マーカー76-1は、再計算が進行すると増大する黒色のフィラーを用いて、再計算の進行を示してもよい。
【0076】
ここで図9を参照するが、これは、図1のシステム20の操作方法における工程を含むフローチャート90である。
【0077】
カテーテル40(図2)は、生体被験者の心臓26(図1)の腔内に挿入され(ブロック92)、複数のサンプリング部位の間で操作されて、各サンプリング部位においてカテーテル電極55(図2)のうちの対応するものを使用して腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成されている。
【0078】
処理回路41(図1)は、カテーテル40(図2)によって提供された信号を受信し(ブロック94)、その信号に応答して、各サンプリング部位について、カテーテル40のサンプリング位置及びカテーテル電極55(図2)のうちの対応するもののそれぞれの電極位置を計算(ブロック96)するように構成されている。いくつかの実施形態では、処理回路41は、各サンプリング部位について、サンプリング位置及び電極位置をそれぞれ、そのサンプリング部位のサンプリング時間にわたって平均化された、カテーテル40及びカテーテル電極55の平均位置として計算するように構成されている。
【0079】
処理回路41(図1)は、それぞれのサンプリング部位でサンプリングされたカテーテル電極55のうちの対応するものによって感知された組織の電気活動を識別する(ブロック98)ように構成されている。処理回路41は、それぞれのサンプリング部位におけるカテーテル40の計算されたサンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカー62(図4)、76(図7)を含む、腔の3D表現60(図4)、74(図7)をディスプレイにレンダリングする(ブロック100)ように構成されている。処理回路41は、サンプリング部位マーカー62、76のうちの1つを選択するユーザ入力を受信する(ブロック102)ように構成されている。
【0080】
処理回路41(図1)は、選択されたサンプリング部位マーカー62、76に対応するサンプリング部位のうちの対応するものにおける組織の電気活動をカテーテル40(図2)がサンプリングしていた際の、それぞれのカテーテル電極55(図2)のそれぞれの電極位置を指示する電極マーカー68(図4)、80(図7)を含めるように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現60、74を更新する(ブロック104)ように構成されている。いくつかの実施形態では、処理回路41(図1)は、選択されたサンプリング部位マーカー62、76を強調表示する(ブロック106)ために、レンダリングされた3D表現60、74を更新するように構成されている。
【0081】
処理回路41(図1)は、カテーテル電極55のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された組織の識別された電気活動に応答して、電極マーカー68、80のうちの少なくとも1つが電極マーカー68、80のうちの他のものとは異なる表示形式を有する状況で、電極マーカー68、80を含める(ブロック108)ように、受信されたユーザ入力に応答して、レンダリングされた3D表現60、74を更新するように構成されている。識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動、及び/又は焦点活動、及び/又は回転活動を含み得る。異なる表示形式は、例として、他の電極マーカーと比較して、より大きな電極マーカー、及び/又は他の電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカー、並びに/あるいは異なる形状、陰影、パターン、及び/又は輝度を使用することを含み得る。
【0082】
処理回路41(図1)は、それぞれのカテーテル電極55によって感知された組織の識別された電気活動の強度に従って、電極マーカー68、80のいずれかをフォーマットする(ブロック110)ように構成されている。フォーマットは、例として、色、陰影、パターン、及び/又は輝度を含み得る。
【0083】
本明細書で任意の数値又は数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指し得る。
【0084】
本発明の様々な特徴が、明確性のために別個の実施形態の文脈において記載されているが、これらが単一の実施形態に組み合わされて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において記載されている本発明の様々な特徴が、別々に又は任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。
【0085】
上に記載される実施形態は、例として引用されており、本発明は、上記の明細書に具体的に図示及び記載されたものによって限定されない。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を読むと当業者が思い付くであろう、先行技術に開示されていないその変形及び修正を含む。
【0086】
〔実施の態様〕
(1) 医療システムであって、
遠位部分と、前記遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含むカテーテルであって、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて前記サンプリング部位の各々における前記カテーテル電極のうちの対応するものを使用して前記腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成された、カテーテルと、
ディスプレイと、
処理回路であって、
前記カテーテルによって提供された信号を受信し、前記信号に応答して、前記サンプリング部位の各々について、前記カテーテルのサンプリング位置及び前記カテーテル電極のうちの前記対応するもののそれぞれの電極位置を計算し、
前記サンプリング部位のうちの対応するものにおける前記カテーテルの計算された前記サンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む、前記腔の3次元(3D)表現を前記ディスプレイにレンダリングし、
前記サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信し、
選択された前記サンプリング部位マーカーに対応する前記サンプリング部位のうちの対応する1つにおける前記組織の前記電気活動を前記カテーテルがサンプリングしていた際の、前記それぞれのカテーテル電極の前記それぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、受信された前記ユーザ入力に応答して、レンダリングされた前記3D表現を更新するように構成された、処理回路と、を備える、医療システム。
(2) 前記処理回路は、前記サンプリング部位の各々について、前記サンプリング位置及び前記電極位置をそれぞれ、サンプリング時間にわたって平均化された前記カテーテル及び前記カテーテル電極の平均位置として計算するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記処理回路は、前記選択されたサンプリング部位マーカーを強調表示するように、前記レンダリングされた3D表現を更新するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記処理回路は、
それぞれのサンプリング部位においてサンプリングされた前記カテーテル電極のうちの対応するものによって感知された前記組織の電気活動を識別し、
カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の識別された前記電気活動に応答して、前記電極マーカーのうちの少なくとも1つが前記電極マーカーのうちの他のものとは異なる表示形式を有する状況で、前記電極マーカーを含めるように、前記受信されたユーザ入力に応答して、前記レンダリングされた3D表現を更新するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動である、実施態様4に記載のシステム。
【0087】
(6) 前記識別された電気活動は焦点活動である、実施態様4に記載のシステム。
(7) 前記識別された電気活動は回転活動である、実施態様4に記載のシステム。
(8) 前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、より大きい電極マーカーを使用することを含む、実施態様4に記載のシステム。
(9) 前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカーを使用することを含む、実施態様4に記載のシステム。
(10) 前記処理回路は、前記カテーテル電極のうちの前記少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の前記識別された電気活動の強度に従って、前記少なくとも1つの電極マーカーをフォーマットするように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0088】
(11) 医療方法であって、
カテーテルによって提供される信号を受信することであって、前記カテーテルは、遠位部分と、前記遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含み、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、前記サンプリング部位の各々における前記カテーテル電極のうちの対応するものを使用して前記腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成されている、受信することと、
前記信号に応答して、前記サンプリング部位の各々について、前記カテーテルのサンプリング位置及び前記カテーテル電極のうちの前記対応するもののそれぞれの電極位置を計算することと、
前記サンプリング部位のうちの対応するものにおける前記カテーテルの計算された前記サンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む、前記腔の3次元(3D)表現をディスプレイにレンダリングすることと、
前記サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信することと、
選択された前記サンプリング部位マーカーに対応する前記サンプリング部位のうちの対応する1つにおける前記組織の前記電気活動を前記カテーテルがサンプリングしていた際の、前記それぞれのカテーテル電極の前記それぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、受信された前記ユーザ入力に応答して、レンダリングされた前記3D表現を更新することと、
を含む、医療方法。
(12) 前記計算することは、前記サンプリング部位の各々について、前記サンプリング位置及び前記電極位置をそれぞれ、サンプリング時間にわたって平均化された、前記カテーテル及び前記カテーテル電極の平均位置として計算することを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記更新することは、前記選択されたサンプリング部位マーカーを強調表示するように、前記レンダリングされた3D表現を更新することを含む、実施態様11に記載の方法。
(14) 前記それぞれのサンプリング部位においてサンプリングされた前記カテーテル電極のうちの対応するものによって感知された前記組織の電気活動を識別することを更に含み、前記更新することは、前記カテーテル電極のうちの少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の識別された前記電気活動に応答して、前記電極マーカーのうちの少なくとも1つが前記電極マーカーのうちの他のものとは異なる表示形式を有する状況で、前記電極マーカーを含めるように、前記受信されたユーザ入力に応答して、前記レンダリングされた3D表現を更新することを含む、実施態様11に記載の方法。
(15) 前記識別された電気活動は、閾値活動レベルを下回る電気活動である、実施態様14に記載の方法。
【0089】
(16) 前記識別された電気活動は焦点活動である、実施態様14に記載の方法。
(17) 前記識別された電気活動は回転活動である、実施態様14に記載の方法。
(18) 前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、より大きい電極マーカーを使用することを含む、実施態様14に記載の方法。
(19) 前記異なる表示形式は、他の前記電極マーカーと比較して、異なる色の電極マーカーを使用することを含む、実施態様14に記載の方法。
(20) 前記カテーテル電極のうちの前記少なくとも1つの対応するものによって感知された前記組織の前記識別された電気活動の強度に従って、前記少なくとも1つの電極マーカーをフォーマットすることを更に含む、実施態様14に記載の方法。
【0090】
(21) プログラム命令が格納される非一時的なコンピュータ可読媒体を含むソフトウェア製品であって、前記命令が、中央処理装置(CPU)によって読み取られると、前記CPUに、
カテーテルによって提供される信号を受信することであって、前記カテーテルは、遠位部分と、前記遠位部分上のそれぞれの位置に配設されたカテーテル電極と、を含み、生体被験者の心臓の腔の中に挿入され、複数のサンプリング部位の間で操作されて、前記サンプリング部位の各々における前記カテーテル電極のうちの対応するものを使用して前記腔の組織の電気活動をサンプリングするように構成されている、受信することと、
前記信号に応答して、前記サンプリング部位の各々について、前記カテーテルのサンプリング位置及び前記カテーテル電極のうちの前記対応するもののそれぞれの電極位置を計算することと、
前記サンプリング部位のうちの対応するものにおける前記カテーテルの計算された前記サンプリング位置を指示するそれぞれのサンプリング部位マーカーを含む前記腔の3次元(3D)表現をディスプレイにレンダリングすることと、
前記サンプリング部位マーカーのうちの1つを選択するユーザ入力を受信することと、
選択された前記サンプリング部位マーカーに対応する前記サンプリング部位のうちの対応する1つにおける前記組織の前記電気活動を前記カテーテルがサンプリングしていた際の、前記それぞれのカテーテル電極の前記それぞれの電極位置を指示する電極マーカーを含めるように、受信された前記ユーザ入力に応答して、レンダリングされた前記3D表現を更新することと、
を行わせる、ソフトウェア製品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9