(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】字消体
(51)【国際特許分類】
B43L 19/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B43L19/00 A
(21)【出願番号】P 2020183153
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】小林 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】青井 宏和
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 尚香
(72)【発明者】
【氏名】渡利 幸治
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-309991(JP,A)
【文献】特開2014-223755(JP,A)
【文献】実開昭63-27394(JP,U)
【文献】実開昭53-44048(JP,U)
【文献】実開昭55-136595(JP,U)
【文献】登録実用新案第3045184(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43L 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる材質からなる少なくとも2つの素材部を含む字消体であって、
外周に複数の面が突き合わさって形成される角部が少なくとも1つ形成されており、
前記複数の面のうちの1つの面における前記角部を構成する面角部において、前記少なくとも2つの素材部が、隣り合って接合されることで前記面角部を形成して
おり、
前記1つの面の面角部を規定する2辺のうち少なくとも一方の辺に沿って、前記少なくとも2つの素材部が隣り合って形成されている、字消体。
【請求項2】
前記面角部は、第1の素材部が隣接する第2の素材部で挟まれて前記面角部を形成している、請求項
1に記載の字消体。
【請求項3】
互いに異なる材質からなる少なくとも2つの素材部を含む字消体であって、
外周に複数の面が突き合わさって形成される角部が少なくとも1つ形成されており、
前記複数の面のうちの1つの面における前記角部を構成する面角部において、前記少なくとも2つの素材部が、隣り合って接合されることで前記面角部を形成しており、
前記1つの面は、対角状に配置された2つの面角部を有し、各面角部に対応して角部が形成されており、
前記2つの面角部において、前記少なくとも2つの素材部の接合面が一方の面角部から他方の面角部方向に向かって延びている
、字消体。
【請求項4】
互いに異なる材質からなる少なくとも2つの素材部を含む字消体であって、
外周に複数の面が突き合わさって形成される角部が少なくとも1つ形成されており、
前記複数の面のうちの1つの面における前記角部を構成する面角部において、前記少なくとも2つの素材部が、隣り合って接合されることで前記面角部を形成しており、
前記1つの面は、該面上の第1方向で対角状に配置された第1組となる一対の面角部と、前記1つの面上で前記第1方向と交差する第2方向で対角状に配置された第2組となる一対の面角部と、を有し、
前記少なくとも2つの素材部は、前記第1組の各面角部において、面角部を形成すべく隣り合って接合され、且つ、前記第1方向に延設される素材層として前記第2方向に沿って複数積層され、しかも、積層された複数の素材層は、隣り合う素材層が異なる材質の層である
、字消体。
【請求項5】
互いに異なる材質からなる少なくとも2つの素材部を含む字消体であって、
外周に複数の面が突き合わさって形成される角部が少なくとも1つ形成されており、
前記複数の面のうちの1つの面における前記角部を構成する面角部において、前記少なくとも2つの素材部が、隣り合って接合されることで前記面角部を形成しており、
前記1つの面は、隣り合って配置された2つの面角部を有し、
各面角部を構成する2つの辺は、各面角部に共通の辺となる共通辺と互いに対向配置となる対向辺とを含み、
前記少なくとも2つの素材部は、前記2つの面角部の一方の面角部において、該一方の面角部を形成するように隣り合って接合され、且つ、前記対向辺に沿って隣り合って接合されると共に、前記2つの面角部の他方の面角部において、該他方の面角部を形成するように隣り合って接合され、且つ、前記対向辺に沿って隣り合って接合されており、
しかも、各面角部における少なくとも2つの素材部は、前記共通辺を垂直に二等分する直線に対して対称の配置となっている
、字消体。
【請求項6】
前記少なくとも2つの素材部は、前記1つの面上に規定される基準点まわりに並ぶように3つ以上配置されている、請求項1~
3のいずれか1項に記載の字消体。
【請求項7】
互いに異なる材質からなる少なくとも2つの素材部を含む字消体であって、
外周に複数の面が突き合わさって形成される角部が少なくとも1つ形成されており、
前記複数の面のうちの1つの面における前記角部を構成する面角部において、前記少なくとも2つの素材部が、隣り合って接合されることで前記面角部を形成しており、
前記1つの面は、該面上の第1方向で対角状に配置された第1組となる一対の面角部と、前記1つの面上で前記第1方向と交差する第2方向で対角状に配置された第2組となる一対の面角部と、を有し、
前記第1組の面角部と前記第2組の面角部とにおいて、前記少なくとも2つの素材部が
面角部を形成するように隣り合って接合されており、
前記第1組の一対の面角部における素材部の配置は、前記第1方向 の対角線と前記第2方向の対角線が交わる対角交点を中心に回転対称の配置であり、
前記第2組の一対の面角部における素材部の配置は、前記対角交点を中心に回転対称の配置であり、
前記第1組の一対の面角部と前記第2組の一対の面角部との配置は、前記対角交点を中心とした回転対称の配置とは異なる配置である
、字消体。
【請求項8】
前記面角部のうち、前記少なくとも2つの素材部が隣り合って接合されることで形成される前記面角部においては、その頂角が前記少なくとも2つの素材部を接合することによって形成されている、請求項1~
7のいずれか1項に記載の字消体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消しゴム等の字消体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、字消体としての消しゴムが知られている(特許文献1)。この消しゴムは、硬度が互いに異なる樹脂素材からなる軟質部及び硬質部を備える。第1実施形態の消しゴムは、平板状に形成された硬質部の表側及び裏側に、同じく平板状に形成された軟質部を密着一体化させて構成されている。第2実施形態の消しゴムは、硬質部が十字形状の断面形状を有するものとされ、該硬質部の周囲の四隅に四角柱状の軟質部が配置されて構成されている。これらの消しゴムにおいては、外側に配置される軟質部が早く摩耗する一方、内側に配置される硬質部は軟質部よりも遅く摩耗するため、消しゴムの先端部分が尖った状態に維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種の消しゴムにおいては、新品からの使い始めにおいて、角部を利用して字消しすることが多い。しかしながら、上記従来の消しゴムにおいては、角部が軟質部から構成されているため、使い始めにおいて、軟質部の字消し性能しか得られず、字消し性能に改善の余地があった。なお、この改善は、消しゴムである字消体を硬さが異なる素材で構成する場合に限らず、字消しに関する性能が異なる素材で構成する場合の全般にて考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、角部で字消しする場合に、優れた性能を発揮することができる字消体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の字消体は、互いに異なる材質からなる少なくとも2つの素材部を含む字消体であって、外周に複数の面が突き合わさって形成される角部が少なくとも1つ形成されており、前記複数の面のうちの1つの面における前記角部を構成する面角部において、前記少なくとも2つの素材部が、隣り合って接合されることで前記面角部を形成している。
【0007】
かかる構成によれば、少なくとも2つの素材部が、隣り合って接合されることで面角部を形成しているため、例えば、新品の字消体の使い始めにおいて、その角部を利用して字消しする場合に、隣り合って接合されている少なくとも2つの素材部が字消しする際に相乗効果を発揮するため、少なくとも2つの素材部の異なる字消しに関する性能が相まって、優れた性能を発揮することができる。
【0008】
また、前記字消体では、前記1つの面の面角部を規定する2辺のうち少なくとも一方の辺に沿って、前記少なくとも2つの素材部が隣り合って形成されていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、角部だけでなく一方の辺を利用して字消しする場合でも、この辺に沿って並ぶ複数の素材部が字消しする対象物に接して優れた性能を発揮することができる。
【0010】
また、前記字消体では、前記面角部は、第1の素材部が隣接する第2の素材部で挟まれて前記面角部を形成していてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、面角部の中間に位置する第1の素材部による字消体の特性をその両側に位置する第2の素材部で補うことができる。
【0012】
また、前記字消体では、前記1つの面は、対角状に配置された2つの面角部を有し、各面角部に対応して角部が形成されており、前記2つの面角部において、前記少なくとも2つの素材部の接合面が一方の面角部から他方の面角部方向に向かって延びていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、対角状に形成されている角部を利用して字消しすることで、優れた性能を発揮することができる。
【0014】
また、前記字消体では、前記1つの面は、該面上の第1方向で対角状に配置された第1組となる一対の面角部と、前記1つの面上で前記第1方向と交差する第2方向で対角状に配置された第2組となる一対の面角部と、を有し、前記少なくとも2つの素材部は、前記第1組の各面角部において、面角部を形成すべく隣り合って接合され、且つ、前記第1方向に延設される素材層として前記第2方向に沿って複数積層され、しかも、積層された複数の素材層は、隣り合う素材層が異なる材質の層であってもよい。
【0015】
かかる構成によれば、第1組の面角部で形成される角部を用いて字消しすると、角部を形成する複数の素材層が字消しする対象物に接して所定の性能を発揮し、第2組の面角部で形成される角部を用いて字消しすると、1つの素材層が字消し対象物に接して前記所定の性能とは異なる性能を発揮でき、種々の性能を使い分けすることができる。
【0016】
また、前記字消体では、前記1つの面は、隣り合って配置された2つの面角部を有し、各面角部を構成する2つの辺は、各面角部に共通の辺となる共通辺と互いに対向配置となる対向辺とを含み、前記少なくとも2つの素材部は、前記2つの面角部の一方の面角部において、該一方の面角部を形成するように隣り合って接合され、且つ、前記対向辺に沿って隣り合って接合されると共に、前記2つの面角部の他方の面角部において、該他方の面角部を形成するように隣り合って接合され、且つ、前記対向辺に沿って隣り合って接合されており、しかも、各面角部における少なくとも2つの素材部は、前記共通辺を垂直に二等分する直線に対して対称の配置となっていてもよい。
【0017】
かかる構成によれば、各面角部に対応する角部を用いて字消しした場合にも、各面角部の対向辺を用いて字消しした場合にも、複数の素材部が字消しの対象物に接するので優れた性能を発揮できる。しかも、一方の面角部における素材部と他方の面角部における素材部とが対称の配置なので、様々な組み合わせの性能を利用できて使い勝手が良い。
【0018】
また、前記字消体では、前記少なくとも2つの素材部は、前記1つの面上に規定される基準点まわりに並ぶように3つ以上配置されていてもよい。
【0019】
かかる構成によれば、角部を含む外周部が摩耗で減った場合でも、素材部同士が隣接して字消し対象物に接するため、優れた性能を維持できる。
【0020】
また、前記字消体では、前記1つの面は、該面上の第1方向で対角状に配置された第1組となる一対の面角部と、前記1つの面上で前記第1方向と交差する第2方向で対角状に配置された第2組となる一対の面角部と、を有し、前記第1組の面角部と前記第2組の面角部とにおいて、前記少なくとも2つの素材部が面角部を形成するように隣り合って接合されており、前記第1組の一対の面角部における素材部の配置は、前記第1方向の対角線と前記第2方向の対角線が交わる対角交点を中心に回転対称の配置であり、前記第2組の一対の面角部における素材部の配置は、前記対角交点を中心に回転対称の配置であり、前記第1組の一対の面角部と前記第2組の一対の面角部との配置は、前記対角交点を中心とした回転対称の配置とは異なる配置であってもよい。
【0021】
かかる構成によれば、第1組と第2組とで異なった配置としつつも、各組の一対の面角部では回転対称の配置とすることで使い勝手が良くなる。
【0022】
また、前記字消体では、前記面角部のうち、前記少なくとも2つの素材部が隣り合って接合されることで形成される前記面角部においては、その頂角が前記少なくとも2つの素材部を接合することによって形成されているものであってもよい。
【0023】
かかる構成によれば、隣り合って接合されている少なくとも2つの素材部が字消しする対象物に接するため、少なくとも2つの素材部の異なる字消しに関する性能が相まって、優れた性能を発揮する。
【発明の効果】
【0024】
以上より、本発明によれば、角部で字消しする場合に、優れた性能を発揮することができる字消体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態に係る字消体を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、前記字消体の変形例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係る字消体の模式図である。
【
図4】
図4は、前記字消体の変形例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、前記字消体の変形例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係る字消体の模式図である。
【
図7】
図7は、第4実施形態に係る字消体の模式図である。
【
図8】
図8は、第5実施形態に係る字消体の模式図である。
【
図9】
図9は、前記字消体の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の第1実施形態に係る字消体について、
図1を参照しつつ説明する。
【0027】
字消体1は、例えば、紙等の対象物の字消しを行う際に用いられる消しゴムである。また、字消体1には、
図1Aに示すように、外周に複数の面(例えば、3つの面)が突き合わさって形成される角部2が、少なくとも1つ形成されている。さらに、字消体1には、この複数の面(例えば、3つの面)のうちの1つの面における角部2を構成する面角部3が設けられている。
【0028】
本実施形態の字消体1は、略直方体状である。この字消体1は、六つの外面として、一対の平面10と、一対の側面11と、一対の先端面12と、を有する。なお、字消体1の形状は、直方体以外の形状、例えば、立方体や直方体等の六面体以外の角柱体、或いは三角錐体や四角錘体、さらには一部が曲面の柱体等、角部が有れば何であってもよい。
【0029】
以下、字消体1において、一対の平面10が並ぶ方向(
図1Aにおける上下方向)を「厚み方向」と称し、一対の側面11が並ぶ方向(
図1Aにおける左右方向)を「幅方向」と称し、一対の先端面12が並ぶ方向(
図1Aにおける奥行き方向)を「長さ方向」と称する。
【0030】
本実施形態の字消体1には、8つの角部2が設けられている。各角部2は、一対の平面10の一方と、一対の側面11の一方と、一対の先端面12の一方とが、突き合わさって形成されている。字消体1の各面10、11、12は、長方形状である。
【0031】
各面10、11、12は、4つの辺13で矩形状に形成されている。また、字消体1の1つの面には、4つの面角部3が設けられている。具体的に、字消体1の1つの面としての先端面12は、4つの辺13と、4つの面角部3を有する矩形状に構成されている。他の面10、11についても同様である。
【0032】
各面角部3は、2つの辺13により形成されている。各面角部3の頂角4は、面角部3を構成する2つの辺13が交わって形成される角である。
【0033】
辺13は、長さ方向に延びる長方向辺130と、幅方向に延びる幅方向辺131と、厚さ方向に延びる厚方向辺132と、を含む。
【0034】
字消体1は、互いに異なる材質からなる少なくとも2つ(例えば、2つ)の素材部5を含む。本実施形態の字消体1は、互いに異なる材質からなることにより軟らかさの異なる複数の素材部5を含む。例えば、字消体1は、異なる複数の素材部5として、軟素材部6と、軟素材部6よりも硬い硬素材部7と、を含む。
【0035】
本実施形態の素材部5は、基材樹脂と、可塑剤と、充填剤と、軟化剤と、を含む。なお、素材部5は、必要に応じて充填材、安定剤、顔料、香料等を含んでもよい。字消体1は、基材樹脂に可塑剤を混合し、さらに必要に応じて充填材、安定剤、顔料、香料等を添加し均一に攪拌混合した素材部5を複数準備し、これらを加熱して押出し成形機により同時に押し出して一体成形することで得られるものである。
【0036】
なお、字消体1は、押出以外により成形されてもよい。例えば、字消体1は、軟素材部6と硬素材部7とを別体として形成し、圧接又は接着することで成形してもよい。
【0037】
また、字消体1は、硬度の異なる複数の層を有し、各々の層は隣接境界部で互いに溶け混じりあうことで消しゴム全体として硬度が徐々に変化するようにしてもよい。複数の層を繰り返し重ねて構成する場合、硬度は一様に変化するのではなく一定の変化が繰り返し現れることになる。字消体1をこのように構成することで、硬度がはっきりと異なる境界面が無くなるため、耐久性の向上も図ることができる。
【0038】
基材樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体や、この塩化ビニル樹脂と他樹脂とを併用してからなる塩化ビニル樹脂を用いることができる。また、上記基材以外でも、スチレン-ブタジエン共重合体のような熱可塑性エラストマー、合成ゴムを用いることができる。
【0039】
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルアジペート等を用いることができる。軟化剤としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイゾブテン、オレフィンオリゴマー等を用いることができる。充填材としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸粉末等を用いることができる。
【0040】
なお、素材部5の硬さは、素材部5の字消し性能に影響を与える。例えば、素材部5が柔らかいほど、字消し時に生じるカスがまとまりやすくなるが、使用感は重たくなる。一方。素材部5が硬いほど、繰り返しの使用や力強い使用などによって割れが発生しにくくなる。また、素材部5の硬さは、上述の配合成分の配合割合を適宜に調整することにより、調整することができる。具体的に、素材部5における可塑剤や軟化剤の配合量を多くすると、素材部5が柔らかくなる傾向があり、字消し時に生じる消しカスがまとまりやすくなる。一方、素材部5における充填剤として用いられる炭酸カルシウム配合量を多くすると、素材部5が硬くなる傾向があり、素材部5に割れが発生しづらくなる。なお、素材部5の字消し性能は、その硬さのみに影響を受けるわけではなく、その他の性状にも影響を受けることはもちろんのことである。
【0041】
また、字消体1は、使用時に汚れた面からカスが生じて新たな面が露出する(面更新する)ことで字消し性能が維持される。面更新を促すには、基材樹脂として塩化ビニル樹脂を用いる場合、炭酸カルシウムを適量加えればよく、基材樹脂としてエラストマーを用いる場合、相溶しすぎない樹脂同士の組合せを選択すればよい。このように、素材部5の字消し性能は、配合成分の種類や配合割合などによって様々な性能に調整することが可能である。
【0042】
以下、字消体1における異なる材質からなる素材部5の配置について説明する。なお、本実施形態では、異なる材質からなる素材部5として、前記軟素材部と硬素材部とを含む場合について説明するが、無論これら2つの素材部のみに限定されない。例えば、字消体1は、硬素材部と、軟素材部と、硬度が硬素材部の高度と軟素材部の高度との間である中間素材部との3層構造であってもよい
【0043】
字消体1では、角部2を構成する1つの面における面角部3において、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が、隣り合って接合されることで面角部3(例えば、角部3の頂角4)を形成している。例えば、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7が、一方の先端面12の全ての面角部3(例えば、4つの面角部3)において、面角部3の頂角4を形成すべく隣り合って接合されている。
【0044】
なお、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8として、各素材部6、7を明確に区別できる直線状の境界が現れている。また、この字消体1では、
図1Bに示すように、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8の端縁が、面角部3の頂角4の頂点に重なっているが、
図1Cに示すように、頂角4の頂点の近傍に重なっていてもよい。即ち、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8が、頂角4の頂点から多少ずれていてもよい。また、
図1Dに示すように、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8が、頂角4の頂点から多少ずれた状態で、面角部3において、軟素材部6を一対の硬素材部7が挟んでいてもよい。このような場合であっても、角部2を用いて字消しした際に、頂角4の頂点の近傍に重なる軟素材部6及び硬素材部7の両方が、字消し対象物に接する。
【0045】
また、字消体1の角部2に配置した軟素材部6を硬素材部7で挟む構造としてもよい。硬素材部7で軟素材部6を挟むので、角部2に軟素材部6が有っても強度が保てるし、両方の素材部6、7を使って字消しできる。
【0046】
本実施形態の字消体1では、1つの面(例えば、一方の先端面12の面角部3)を規定する2辺(例えば、幅方向辺131及び厚方向辺132)のうち少なくとも一方の辺に沿って、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が隣り合って形成されている(
図1A参照)。例えば、この字消体1では、一方の先端面12の面角部3を規定する幅方向辺131及び厚方向辺132の両方に沿って、軟素材部6及び硬素材部7が隣り合って形成されている。具体的に、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7が、一方の先端面12の面角部3を規定する全ての辺13(例えば、4つの辺13)に沿って、隣り合って形成されている。
【0047】
また、本実施形態の字消体1では、1つの面(例えば、一方の先端面12)は、対角状に配置された2つの面角部3を有し、各面角部3に対応して角部2が形成されており、この2つの面角部3において、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部及び硬素材部7)が面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を構成するように隣り合って接合されている。例えば、この字消体1では、第1対角線L1上に配置された2つの面角部3において、軟素材部6及び硬素材部7が面角部3の頂角4を構成するように隣り合って形成されているとともに、第2対角線L2上に配置された2つの面角部3において、軟素材部6及び硬素材部7が頂角4を構成するように隣り合って形成されている。
【0048】
さらに、本実施形態の字消体1では、少なくとも2つの素材部(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)は、1つの面(例えば、一方の先端面12)上に規定される基準点P1まわりに並ぶように3つ以上配置されている。例えば、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7は、一方の先端面12上に規定される基準点P1まわりに並ぶように8つ配置されている。本実施形態では、一方の先端面12上において、直角三角形として合現れるように構成された軟素材部6及び硬素材部7が、直角三角形の内の1つの鋭角の頂点を基準点P1に合わせた向きで該基準点P1まわりに隣り合って並んでいる。このように、基準点P1まわりに複数の素材部が並ぶと、基準点P1で全ての素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が集合した配置となる。
【0049】
なお、基準点P1は、面角部3よりも内方に位置する点である。例えば、この字消体1では、基準点P1は、一方の先端面12の中心点(対角線L1、L2の交差する点)である。なお、この基準点P1は、中心点に対してずれた位置に設定することも可能である。
【0050】
字消体1は、1つの面(例えば、一方の先端面12)において、一つの面角部3を含むように区画されるとともに、素材部5の配置が同じ配置となる複数の単位配置9を備える。単位配置9では、該単位配置9に含まれる一つの面角部3を形成すべく、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が隣り合って接合されている。
【0051】
本実施形態の字消体1では、単位配置9は、厚さ方向に沿って一方の先端面12を2等分する縦線L3と、幅方向に沿って一方の先端面12を2等分する横線L4とで4分割された領域である。この字消体1では、例えば、単位配置9が、基準点P1まわりに4つ配置されている。また、単位配置9では、軟素材部6及び硬素材部7(例えば、1つの軟素材部6及び1つの硬素材部7)が、対角線L1又は対角線L2に沿うように隣り合って接合されている。具体的に、この単位配置9では、軟素材部6及び3つの硬素材部7は、対角線L1又は対角線L2に平行な接合部となるように接合されている。
【0052】
以上の字消体1によれば、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が、隣り合って接合されることで面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成しているため、例えば、新品の字消体1の使い始めにおいて、その角部2を利用して字消しする場合に、隣り合って接合されている少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が字消しする対象物に接するため、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)の異なる字消しに関する性能が相まって、優れた性能を発揮することができる。
【0053】
本実施形態の字消体1では、角部2だけでなく面角部3を形成する一方の辺(例えば、幅方向辺131及び厚方向辺132)を利用して字消しする場合でも、この辺に沿って並ぶ複数の素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)が字消しする対象物に接して優れた性能を発揮することができる。
【0054】
また、本実施形態の字消体1では、対角状に形成されている角部2(例えば、第1対角線L1上に配置された2つの面角部3で形成される各角部2及び第2対角線L2上に配置された2つの面角部3で形成される各角部2)を利用して字消しすることで、複数の素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)が字消しする対象物に接して優れた性能を発揮することができる。
【0055】
さらに、本実施形態の字消体1では、先端面12において、複数の素材部5で面角部3(例えば、面角部3の頂角)を形成するとともに、基準点P1まわりに複数の素材部5が配置されているので、字消しの際に、角部2を含む外周部が摩耗で減った場合でも、基準点P1まわりに配置された素材部5同士(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が隣接して字消し対象物に接するため、優れた性能を維持できる。
【0056】
なお、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8は、直線状の境界であったが、
図2に示すように、湾曲した境界(曲線状の境界)であってもよい。この接合領域8は、基準点P1から放射状に延びている。接合領域8が湾曲している場合、素材部5同士(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が剥がれにくくなる。また、接合領域8は、両素材部6、7が入り混じった部分を含む帯状の領域として現れてもよく、この場合も、素材部5同士(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が一部の帯状の領域として混合して接合されるため、素材部5同士剥がれにくくなる。
【0057】
また、字消体1は、異なる材質からなる複数の素材部5として、三種類以上の素材部5を含んでいてもよい。さらに、素材部5は、異なる材質からなることにより軟らかさが異なっていたが、これ以外、又は、これに加えて、他の特性が異なっていてもよい。
【0058】
以下、本発明の第2実施形態に係る字消体について、
図3を参照しつつ説明する。なお、第2実施形態以降の字消体の説明では、第1実施形態の字消体と異なる構成のみを説明する。
【0059】
字消体1では、1つの面(例えば、一方の先端面12)は、隣り合って配置された2つの面角部3、つまり、1つの共通辺の両端に形成される2つの面角部3を有する。各面角部3を構成する2つの辺13は、各面角部3に共通の辺となる共通辺と、互いに対向配置となる対向辺と、を含む。また、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)は、2つの面角部3の一方の面角部3において、該一方の面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、対向辺に沿って隣り合って接合される。さらに、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)は、2つの面角部3の他方の面角部3において、該他方の面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、対向辺に沿って隣り合って接合されている。しかも、各面角部3における少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)は、共通辺を垂直に二等分する直線に対して対称の配置となっている。
【0060】
例えば、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7は、横線L4に対して厚さ方向において対称配置(横線L4を基準に線対称な配置)されている。具体的に、この字消体1では、厚さ方向に隣り合って配置された二つの面角部3a、3bを構成する2つの辺13は、共通辺として厚方向辺132を含み、対向辺として幅方向辺131を含む。また、軟素材部6及び硬素材部7は、2つの面角部3a、3bの一方の面角部3aにおいて、該一方の面角部3a(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、対向辺である幅方向辺131に沿って隣り合って接合される。さらに、軟素材部6及び硬素材部7は、2つの面角部3a、3bの他方の面角部3bにおいて、該他方の面角部3b(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、対向辺である幅方向辺131に沿って隣り合って接合されている。しかも、各面角部3a、3bにおける軟素材部6及び硬素材部7は、共通辺である厚方向辺132を垂直に二等分する直線である横線L4に対して線対称の配置となっている。また、厚さ方向に隣り合って配置された二つの面角部3c、3dにおいても同様の配置になっている。
【0061】
また、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7は、縦線L3に対して幅方向において対称配置(縦線L3を基準に線対称な配置)されている。具体的に、この字消体1では、幅方向に隣り合って配置された二つの面角部3a、3dを構成する2つの辺13は、共通辺として幅方向辺131を含み、対向辺として厚方向辺132を含む。また、軟素材部6及び硬素材部7は、2つの面角部3a、3dの一方の面角部3aにおいて、該一方の面角部3a(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、対向辺である厚方向辺132に沿って隣り合って接合される。さらに、軟素材部6及び硬素材部7は、2つの面角部3a、3dの他方の面角部3dにおいて、該他方の面角部3d(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、対向辺である厚方向辺132に沿って隣り合って接合されている。しかも、各面角部3a、3cにおける軟素材部6及び硬素材部7は、共通辺である幅方向辺131を垂直に二等分する直線である縦線L3に対して線対称の配置となっている。また、幅方向に隣り合って配置された二つの面角部3b、3cにおいても同様の配置になっている。
【0062】
このように、この字消体1では、共通辺の垂直二等分線(縦線L3又は横線L4)で分けられた一方側と他方側とにおいて、角部2(面角部3)に加えて、対向辺においても、複数の素材部5の配置が対称となっている。
【0063】
本実施形態の字消体1では、1つの面(例えば、一方の先端面12)は、該面上の第1方向(第1対角線L1の延びる方向である第1方向)で対角状に配置された第1組となる一対の面角部3a、3cと、該面上で第1方向と交差する第2方向(第2対角線L2の延びる方向である第2方向)で対角状に配置された第2組となる一対の面角部3b、3dと、を有する。第1組の面角部3a、3cと第2組の面角部3b、3dとにおいて、少なくとも2つの素材部(軟素材部6及び硬素材部7)が面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合されている。また、第1組の一対の面角部3a、3cにおける素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)の配置は、第1方向の対角線(第1対角線L1)と第2方向の対角線(第2対角線L2)が交わる対角交点P2を中心に回転対称の配置である。さらに、第2組の一対の面角部3b、3dにおける素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)の配置は、対角交点P2を中心に回転対称の配置である。第1組の一対の面角部3a、3cと第2組の一対の面角部3b、3dとの配置は、対角交点P2を中心とした回転対称の配置とは異なる配置である。また、この字消体1では、前記第1組の面角部3a,3cにおいて、それぞれの面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成する2つの素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)の接合領域が第1対角線L1上で直線状に連続している。また、この字消体1では、前記第2組の面角部3b,3dにおいて、それぞれの面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成する2つの素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)の接合領域が第2対角線L2上で直線状に連続している。
【0064】
なお、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7は、第1対角線L1に対して第2方向において非対称に配置されている。また、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7は、第2対角線L2に対して第1方向において非対称に配置されている。
【0065】
また、本実施形態の字消体1では、4つの単位配置9が、縦線L3及びと横線L4に対して、それぞれ線対称に配置されている。また、4つの単位配置9が、対角状に配置される2つの単位配置9を組みとして基準点P1に対して回転対称に配置されている。
【0066】
この単位配置9では、軟素材部6及び硬素材部7が、対角線L1又は対角線L2に沿うように積層配置されている。具体的に、単位配置9では、3つの軟素材部6及び3つの硬素材部7が、対角線L1又は対角線L2に沿うように交互に積層配置されている。また、この単位配置9では、軟素材部6及び3つの硬素材部7は、対角線L1又は対角線L2に平行に延びている。
【0067】
本実施形態の字消体1では、各面角部3に対応する角部2を用いて字消しした場合にも、各面角部3の対向辺(幅方向辺131及び厚方向辺132)を用いて字消しした場合にも、複数の素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が字消しの対象物に接するので優れた性能を発揮できる。しかも、隣り合って配置された2つの面角部3の一方の面角部3における素材部5と、この2つの面角部3の他方の面角部3における素材部5とが対称の配置なので、様々な組み合わせの性能を利用できて使い勝手が良い。
【0068】
また、本実施形態の字消体1では、第1方向で対角状に配置された第1組の面角部3a、3cと、第2方向で対角状に配置された第2組の一対の面角部3b、3dとで異なった配置としつつも、一対の面角部3a、3c及び一対の面角部3b、3dの各々では回転対称の配置とすることで使い勝手が良くなる。
【0069】
なお、単位配置9では、軟素材部6及び硬素材部7は、対角線L1又は対角線L2に平行に延びていたが、
図4に示すように、単位配置9では、軟素材部6及び硬素材部7は、対角線L1又は対角線L2に平行に延びず、対角線L1又は対角線L2に沿って延びていてもよい。即ち、単位配置9では、軟素材部6及び硬素材部7は、対角線L1又は対角線L2に沿って且つ対角線L1又は対角線L2に対して傾斜して延びていてもよい。
【0070】
なお、単位配置9は、3つの軟素材部6及び3つの硬素材部7が積層配置されていたが、
図5に示すように、単位配置9では、2つ軟素材部6及び2つの硬素材部7が積層配置されていてもよい。単位配置9は、少なくとも1つの軟素材部6及び少なくとも1つの硬素材部7を含んでいればよい。
【0071】
さらに、1つの単位配置9に含まれる軟素材部6の数と硬素材部7の数は、異なっていてもよい。また、1つの面(例えば、一方の先端面12)に配置される各単位配置9に軟素材部6の数及び硬素材部7の数や、各単位配置9における軟素材部6及び硬素材部7の配置は異なっていてもよい。
【0072】
以下、本発明の第3実施形態に係る字消体について、
図6を参照しつつ説明する。
【0073】
字消体1では、面角部3のうち一部のみにおいて、少なくとも2つの素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)が、2つの面角部3c、3dの一方の面角部3cにおいて、該一方の面角部3c(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合されていてもよい。
【0074】
本実施形態の字消体1では、少なくとも2つの素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)は、2つの面角部3c、3dの一方の面角部3cにおいて、該一方の面角部3c(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、対向辺である幅方向辺131に沿って隣り合って接合されると共に、他方の面角部3dにおいて、該他方の面角部3d(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合され、且つ、幅方向辺131に沿って隣り合って接合されている。しかも、各面角部3c、3dにおける少なくとも2つの素材部(軟素材部6及び硬素材部7)は、厚方向辺132を垂直に二等分する直線である横線L4に対して対称の配置となっている。なお、2つの面角部3a、3bでは、軟素材部6及び硬素材部7は隣り合って接合されていない。
【0075】
また、この字消体1は、2つの単位配置9を含む。各単位配置9では、3つの軟素材部6及び2つの硬素材部7が交互に積層配置されている。また、この単位配置9では、軟素材部6及び硬素材部7が、対角線L1、L2に沿って且つ対角線L1、L2に対して傾斜して延びている。なお、単位配置9では、軟素材部6及び硬素材部7が、対角線L1、L2に平行に延びていてもよい。
【0076】
本実施形態の字消体1では、面角部3c、3dを含む角部2を用いて字消しした場合にも、各面角部3の対向辺(幅方向辺131)を用いて字消しした場合にも、複数の素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)が字消しの対象物に接するので優れた性能を発揮できる。しかも、隣り合って配置された2つの面角部3c、3dの一方の面角部3cにおける素材部5と、この2つの面角部3c、3dの他方の面角部3dにおける素材部5とが対称の配置なので、様々な組み合わせの性能を利用できて使い勝手が良い。また、本実施形態では、面角部3a、3bは1つの素材部のみで構成されているので、様々な字消し性能を発揮できて使い勝手が良い。
【0077】
以下、本発明の第4実施形態に係る字消体について、
図7を参照しつつ説明する。
【0078】
字消体1では、少なくとも2つの素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)が、縦線L3及び横線L4の少なくとも一方に対して対称の配置とならずに、第1方向で対角状に配置された第1組の面角部3a、3cと、第2方向で対角状に配置された第2組の一対の面角部3b、3dとで異なった配置としつつも、一対の面角部3a、3c及び一対の面角部3b、3dの各々では回転対称の配置としてもよい。
【0079】
本実施形態の字消体1では、1つの面(例えば、一方の先端面12)は、該面上の第1方向(第1対角線L1の延びる方向である第1方向)で対角状に配置された第1組となる一対の面角部3a、3cと、該面上で第1方向と交差する第2方向(第2対角線L2の延びる方向である第2方向)で対角状に配置された第2組となる一対の面角部3b、3dと、を有する。第1組の面角部3a、3cと第2組の面角部3b、3dとにおいて、少なくとも2つの素材部(軟素材部6及び硬素材部7)が面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように隣り合って接合されている。また、第1組の一対の面角部3a、3cにおける素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)の配置は、第1方向の対角線(第1対角線L1)と第2方向の対角線(第2対角線L2)が交わる対角交点P2を中心に回転対称の配置である。さらに、第2組の一対の面角部3b、3dにおける素材部5(軟素材部6及び硬素材部7)の配置は、対角交点P2を中心に回転対称の配置である。第1組の一対の面角部3a、3cと第2組の一対の面角部3b、3dとの配置は、対角交点P2を中心とした回転対称の配置とは異なる配置である。
【0080】
また、この字消体1は、4つの単位配置9を含む。各単位配置9では、1つの軟素材部6及び1つの硬素材部7が接合されている。本実施形態では、2種類の単位配置9が含まれている。単位配置9には、三角形状の軟素材部6と台形状の硬素材部7とが、面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように、互いの接合領域が対角線に沿う方向となるように、隣り合って接合されている種類の第1単位配置と、台形状の軟素材部6と三角形状の硬素材部7とが、面角部3(例えば、面角部3の頂角4)を形成するように、互いの接合領域が対角線に沿う方向となるように、隣り合って接合されている種類の第2単位配置とが含まれている。先端面12上では、2つの第1単位配置が第1対角線L1方向で回転対称の配置とされ、2つの第2単位配置が第2対角線L2方向で回転対称の配置とされている。
【0081】
本実施形態の字消体1では、第1方向で対角状に配置された第1組の面角部3a、3cと、第2方向で対角状に配置された第2組の一対の面角部3b、3dとで異なった配置としつつも、一対の面角部3a、3c及び一対の面角部3b、3dの各々では回転対称の配置とすることで使い勝手が良くなる。
【0082】
以下、本発明の第5実施形態に係る字消体について、
図8を参照しつつ説明する。
【0083】
本実施形態の字消体1では、1つの面(一方の先端面12)は、該面上の第1方向で対角状に配置された第1組となる一対の面角部3a、3cと、1つの面上で第1方向と交差する第2方向で対角状に配置された第2組となる一対の面角部3b、3dと、を有する。少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)は、第1組の各面角部3a、3cにおいて、面角部3a、3c(例えば、面角部3の頂角4)を形成すべく隣り合って接合され、且つ、第1方向に延設される素材層50として第2方向に沿って複数積層され、しかも、積層された複数の素材層50は、隣り合う素材層50が異なる材質の層である。
【0084】
また、この字消体1では、軟素材部6及び硬素材部7は、対角線L1又は対角線L2に平行に延びず、対角線L1又は対角線L2に沿って延びている。また、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8は直線状である。
【0085】
本実施形態の字消体1では、第1組の面角部3a、3cで形成される角部2を用いて字消しすると、角部2を形成する複数の素材層50が字消しする対象物に接して異なる性能を発揮し、第2組の面角部3b、3dで形成される角部2を用いて字消しすると、1つの素材層50が字消し対象物に接して異なる性能を発揮でき、種々の性能を使い分けすることができる。
【0086】
なお、少なくとも2つの素材部5(例えば、軟素材部6及び硬素材部7)は、第1組の各面角部3a、3cにおいて、面角部3a、3c(例えば、面角部3の頂角4)を形成すべく隣り合って接合され、且つ、第1方向に延設される素材層50として第2方向に沿って複数積層され、しかも、積層された複数の素材層50は、隣り合う素材層50が異なる材質の層であるような字消体1において、
図9に示すように、軟素材部6及び硬素材部7は、対角線L1又は対角線L2に平行に延びていてもよい。この場合、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8は、対角線L1又は対角線L2に平行となる。また、このような字消体1において、
図10に示すように、軟素材部6及び硬素材部7の接合領域8は、非直線状の境界(例えば、湾曲線状や曲線状、或いは波状などの曲線又は屈曲線の繰り返し状の境界)であってもよい。
【0087】
また、薄板を層状に配置するだけでなく、全体的に軟素材部6で構成された字消体1の面角部3近辺に、その断面形状が現れるように長さ寸法分の柱状の硬素材部7を配置することも可能である。
【0088】
例えば、
図11に示すように、全体的に軟素材部6で構成された字消体1の面角部3近傍に、角部2の形状に合わせた多角形柱状(三角柱、四角柱等)や円柱状の硬素材部7を配置してもよい。この場合、硬素材部7として、断面の大きさが異なるものを複数配置することが考えられる。
【0089】
また、全体的に軟素材部6で構成された字消体1の面角部3近辺に、硬素材部7として硬素材の小粒体を分散させて字消体1を形成することも考えられる。
【0090】
このように、軟素材部6で構成された強度の弱い角部2(面角部3)を硬素材部7で下支えすることによって、両方の特性を組み合わせて使いやすい字消体1を得ることができる。
【0091】
また、上記各実施形態の字消体1では、外周に3つの面が突き合わさって角部2が形成されていたが、例えば、
図12に示すように、2つの面が突き合わさって角部2が形成されていてもよい。具体的に、字消体1では、1辺で突き合わされるように閉じた曲面(第1面14)と、その開口部をふさぐ他の面(第2面15)とによって角部2を形成する。また、第1面14または第2面15のうちいずれかの面角部3(例えば、第2面15)において、少なくとも2つの素材部5、6を隣り合って接合させることも可能である。
【0092】
さらに、ここまでは角部2の構成として、複数の面が突き合わさって形成される角部2を3つの直線部が1点で交わるものとして規定してきたが、これに限定されることは無く曲線が1点で交わるものでもよい。例えば、角部2を形成する「突き合わされる」部分を滑らかに連続する曲線や曲面で形成した場合、
図13に示すように、字消体1では、円形状または楕円形状の第2面15の縁辺のあらゆる箇所が面角部3となり、第2面15の円形状または楕円形状の縁辺と第1面14である略円筒形の側面との交線のあらゆる箇所が角部2となる。
【0093】
なお、本発明の字消体は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【符号の説明】
【0094】
1…字消体、2…角部、3、3a、3b、3c、3d…面角部、4…頂角、5…素材部、6…軟素材部(素材部)、7…硬素材部(素材部)、8…接合領域、9…単位配置、10…平面、11…側面、12…先端面、13…辺、14…第1面、15…第2面、50…素材層、130…長方向辺、131…幅方向辺、132…厚方向辺、L1…第1対角線、L2…第2対角線、L3…縦線、L4…横線、P1…基準点、P2…対角交点