(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】発電素子
(51)【国際特許分類】
H10N 15/00 20230101AFI20240610BHJP
H02N 3/00 20060101ALI20240610BHJP
H02N 11/00 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
H10N15/00
H02N3/00 A
H02N11/00 A
(21)【出願番号】P 2020193238
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】木村 重哉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 学史
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 久生
(72)【発明者】
【氏名】冨田 洋
(72)【発明者】
【氏名】上野 聡一
(72)【発明者】
【氏名】星 岳志
(72)【発明者】
【氏名】清水 達雄
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-068238(JP,A)
【文献】特開2005-158917(JP,A)
【文献】特開2014-236058(JP,A)
【文献】特開2020-170780(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0069357(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 15/00
H02N 3/00
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を含む第1導電領域と、
複数の第2導電領域であって、前記複数の第2導電領域は、前記第1面に沿って並び、前記複数の第2導電領域と前記第1面との間に空隙が設けられた、前記複数の第2導電領域と、
絶縁性の複数の構造体領域であって、前記複数の構造体領域の1つは、前記複数の第2導電領域の1つと前記第1面との間に設けられ、前記複数の構造体領域の別の1つは、前記複数の第2導電領域の別の1つと前記第1面との間に設けられた前記複数の構造体領域と、
を備え
、
前記第1導電領域は、
第1導電層と、
前記第1導電層と前記複数の第2導電領域との間に設けられた第1結晶領域と、
を含み、
前記複数の第2導電領域の前記1つは、
第2導電層と、
前記第2導電層と前記第1導電領域との間に設けられた第2結晶領域と、
を含み、
前記複数の構造体領域の前記1つは、前記複数の第2導電領域の前記1つの前記第2結晶領域と前記第1結晶領域との間に設けられ、前記複数の構造体領域の前記別の1つは、前記複数の第2導電領域の前記別の1つの前記第2結晶領域と前記第1結晶領域との間に設けられた
、発電素子。
【請求項2】
第1状態において、前記第1面は、凹状である、請求項1記載の発電素子。
【請求項3】
前記第1導電領域は、第2面をさらに含み、
前記第1面は、前記第2面と、前記複数の第2導電領域と、の間にあり、
前記第1状態において、前記第2面は、前記第1面に沿って凸状である、請求項2記載の発電素子。
【請求項4】
前記第1状態において、前記複数の第2導電領域の前記1つと、前記複数の第2導電領域の前記別の1つと、は、前記第1面に沿う方向において重なる、請求項2または3に記載の発電素子。
【請求項5】
導電膜をさらに備え、
前記複数の第2導電領域は、前記第1導電領域と前記導電膜との間に設けられ、
前記導電膜は、前記複数の第2導電領域の少なくとも2つを電気的に接続する、請求項1~4のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項6】
前記導電膜の少なくとも一部は、前記複数の第2導電領域の前記1つと、前記複数の第2導電領域の前記別の1つとの間にある、請求項5記載の発電素子。
【請求項7】
前記導電膜は、Au、Cu、Ag及びPtよりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項5または6に記載の発電素子。
【請求項8】
前記導電膜は、前記第2結晶領域及び前記複数の構造体領域と接する、請求項5~7のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項9】
前記第1結晶領域及び前記第2結晶領域の少なくともいずれかは、Al
x1Ga
1-x1N(0<x1≦1)、ダイヤモンド、及び、Ga
2O
3よりなる群から選択された少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項10】
前記第1導電層は、金属を含み、
前記第2導電層は、半導体を含む、請求項8または9に記載の発電素子。
【請求項11】
前記第1面から前記複数の第2導電領域の1つへの方向に沿う前記空隙の長さは、0.5μm以上50μm以下である、請求項1~10のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項12】
前記第1導電領域の温度が前記複数の第2導電領域の温度よりも高いときに、
前記第1導電領域から前記空隙を介して前記複数の第2導電領域に向けて電子が放出される、請求項1~11のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項13】
前記複数の第2導電領域の1つは、導電部材の1つの部分であり、前記複数の第2導電領域の別の1つは、前記導電部材の別の1つの部分である、請求項1~12のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項14】
第1導電層と、
第2導電層であって、前記第1導電層から前記第2導電層への方向は第1方向に沿う、前記第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた第1結晶領域であって、前記第1結晶領域は、複数の第1結晶層を含み、前記複数の第1結晶層は第1方向と交差する第2方向に沿って並ぶ、前記第1結晶領域と、
前記第1結晶領域と前記第2導電層との間に設けられ第2結晶領域であって、前記第2結晶領域は、複数の第2結晶層を含み、前記複数の第2結晶層は前記第2方向に沿って並び、前記複数の第1結晶層の1つの一部は、前記第1方向において前記複数の第2結晶層の1つの一部と重なり、前記複数の第1結晶層の別の1つの一部は、前記第1方向において前記複数の第2結晶層の別の1つの一部と重なり、前記第1結晶領域と前記第2結晶領域との間に空隙が設けられた、前記第2結晶領域と、
前記第1結晶領域と前記第2結晶領域との間に設けられた絶縁性の構造体領域と、
を備えた、発電素子。
【請求項15】
前記複数の第1結晶層
の1つの他部は、前記第1方向において前記複数の第2結晶層の別の1つの一部と重なる、請求項14記載の発電素子。
【請求項16】
前記第1導電層の温度が前記第2導電層の温度よりも高いときに、前記第1結晶領域から前記空隙を介して前記第2結晶領域に向けて電子が放出され、
前記第2導電層の前記温度が前記第1導電層の前記温度よりも高いときに、前記第2結晶領域から前記空隙を介して前記第1結晶領域に向けて電子が放出される、請求項14または15に記載の発電素子。
【請求項17】
第1導電層と、
第2導電層であって、前記第1導電層から前記第2導電層への方向は第1方向に沿う、前記第2導電層と、
前記第1導電層と前記第2導電層との間に設けられた第1結晶領域と、
前記第1結晶領域と前記第2導電層との間に設けられ第2結晶領域であって、前記第1結晶領域と前記第2結晶領域との間に空隙が設けられた、前記第2結晶領域と、
前記第1結晶領域と前記第2結晶領域との間に設けられた絶縁性の複数の構造体領域と、
を備え、
前記第2導電層は、前記第1方向において前記複数の構造体領域と重なる重畳領域と、前記第1方向において前記複数の構造体領域と重ならない非重畳領域と、を含み、前記重畳領域の少なくとも一部の厚さは、前記非重畳領域の厚さよりも薄い、発電素子。
【請求項18】
前記第2導電層は、第1面及び第2面を含み、
前記第2面は、前記第1結晶領域と前記第1面との間にあり、
前記第1面は、前記重畳領域に設けられた凹部を含む、請求項17記載の発電素子。
【請求項19】
前記第1導電層の温度が前記第2導電層の温度よりも高いときに、
前記第1結晶領域から前記空隙を介して前記第2結晶領域に向けて電子が放出される、請求項17または18に記載の発電素子。
【請求項20】
前記第1方向に沿う前記空隙の長さは、0.5μm以上50μm以下である、請求項14~19のいずれか1つに記載の発電素子。
【請求項21】
前記複数の構造体領域は、Si、Al、Hf及びZrよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素及び窒素よりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む請求項1~
13のいずれか1つに記載の発電素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電素子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、熱電子素子などの発電素子がある。発電素子において、安定した特性が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、安定した特性が得られる発電素子を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、発電素子は、第1面を含む第1導電領域と、複数の第2導電領域と、絶縁性の複数の構造体領域と、を含む。前記複数の第2導電領域は、前記第1面に沿って並ぶ。前記複数の第2導電領域と前記第1面との間に空隙が設けられる。前記複数の構造体領域の1つは、前記複数の第2導電領域の1つと前記第1面との間に設けられる。前記複数の構造体領域の別の1つは、前記複数の第2導電領域の別の1つと前記第1面との間に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)~
図1(c)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的斜視図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、第3実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る発電モジュール及び発電装置を示す模式図的断面図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、実施形態に係る発電装置及び発電システムを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)~
図1(c)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図1(a)は、発電素子の1つの状態を例示する断面図である。
図1(b)は、発電素子の別の状態を例示する断面図である。
図1(c)は、斜視図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係る発電素子110は、第1導電領域10Rと、複数の第2導電領域20Rと、複数の構造体領域31と、を含む。
【0010】
第1導電領域10Rは、第1面10aを含む。第1面10aは、例えば上面である。
【0011】
複数の第2導電領域20Rは、第1面10aに沿って並ぶ。複数の第2導電領域20Rと第1面10aとの間に空隙30Gが設けられる。
【0012】
複数の構造体領域31は、絶縁性である。複数の構造体領域31の1つは、複数の第2導電領域20Rの1つと、第1面10aと、の間に設けられる。複数の構造体領域31の別の1つは、複数の第2導電領域20Rの別の1つと、第1面10aと、の間に設けられる。複数の構造体領域31は、例えばスペーサである。複数の構造体領域31は、例えば、第1導電領域10Rと複数の第2導電領域20Rとの間の距離(例えば、空隙30Gの長さ)を規定する。
【0013】
第1面10aに対して垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。第1面10aは、実質的にX-Y平面に沿っている。
【0014】
例えば、第1導電領域10Rの温度が複数の第2導電領域20Rの温度よりも高いときに、第1導電領域10Rから、空隙30Gを介して複数の第2導電領域20Rに向けて電子が放出される。複数の第2導電領域20Rに届いた電子は、電力として利用できる。電子は、例えば熱電子である。
【0015】
実施形態において、複数の第2導電領域20Rの温度が第1導電領域10Rの温度よりも高く設定されても良い。この場合、複数の第2導電領域20Rから、空隙30Gを介して第1導電領域10Rに向けて電子が放出される。第1導電領域10Rに届いた電子は、電力として利用できる。電子は、例えば熱電子である。以下に説明する例では、第1導電領域10Rの温度が複数の第2導電領域20Rの温度よりも高く設定される。
【0016】
実施形態において、複数の第2導電領域20Rが設けられる。これにより、複数の第2導電領域20Rのそれぞれと、第1導電領域10Rと、の間の距離が均一になり易い。
【0017】
第1参考例において、第1導電領域10Rと同じ程度の大きな面積を有する1つの第2導電領域20Rが設けられる。第1参考例において、これらの領域の少なくとも一方が歪みを有する場合がある。これらの領域の少なくとも一方において、外力または熱による歪みが生じる場合がある。第1参考例においては、大きな面積の第1導電領域10Rまたは第2導電領域20Rに歪みなどが生じると、これらの領域の間の間隔を均一にすることは困難である。
【0018】
これに対して、実施形態においては、第1導電領域10Rよりも面積が小さい複数の第2導電領域20Rが設けられる。複数の第2導電領域20Rの互いの相対的な位置は独立して変化できる。例えば、第1導電領域10Rに歪みが生じた場合においても、複数の第2導電領域20Rの互いの位置が変化して、第1導電領域10Rと、複数の第2導電領域20Rのそれぞれと、の間の間隔が均一にできる。実施形態においては、安定した特性が得易い。
【0019】
図1(b)は、発電素子110の1つの状態(第1状態ST1)を例示している。第1状態ST1においては、第1導電領域10Rが湾曲している。例えば、第1導電領域10Rの温度が上昇して第1導電領域10Rが膨張したときなどにこのような状態が生じる。
【0020】
図1(b)に示すように、第1状態ST1において、第1面10aは、凹状である。このような第1状態ST1においても、複数の第2導電領域20Rの位置は、第1面10aの湾曲に沿うように、変化できる。複数の第2導電領域20Rのそれぞれと、第1導電領域10Rと、の間の距離が均一にできる。
【0021】
図1(b)に示すように、第1導電領域10Rは、第2面10bをさらに含んでも良い。第1面10aは、第2面10bと、複数の第2導電領域20Rと、の間にある。第1面10aは例えば上面であり、第2面10bは下面である。
図1(b)に示すように、第1状態ST1において、第2面10bは、第1面10aに沿っている。例えば、第1面10aが凹状であるとき、第2面10bは凸状である。第1面10aが凹状であり第2面10bが凸状であり場合でも、複数の第2導電領域20Rのそれぞれと、第1導電領域10Rと、の間の距離は均一にできる。実施形態によれば、安定した特性が得られる発電素子を提供できる。
【0022】
図1(b)に示すように、第1状態ST1において、複数の第2導電領域20Rの1つと、複数の第2導電領域20Rの別の1つと、は、第1面10aに沿う方向(例えばX軸方向)において重なる。
【0023】
第2参考例において、複数の第2導電領域20Rの間の隙間にスペーサが設けられる。第2参考例において、製造マージンを確保するために、スペーサと、複数の第2導電領域20Rと、が互いに離される。この場合、スペーサと、複数の第2導電領域20Rと、の間の領域が無駄になる。このため、効率を十分に向上することが困難である。
【0024】
これに対して、実施形態においては、複数の構造体領域31は、第1導電領域10Rと、複数の第2導電領域20Rと、の間にある。無駄な領域が抑制される。実施形態においては、高い効率が得易い。
【0025】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、発電素子110は、導電膜35をさらに含んでも良い。複数の第2導電領域20Rは、第1導電領域10Rと導電膜35との間に設けられる。導電膜35は、複数の第2導電領域20Rの少なくとも2つを電気的に接続する。この例では、導電膜35の少なくとも一部は、複数の第2導電領域20Rの1つと、複数の第2導電領域20Rの別の1つと、の間にある。
【0026】
導電膜35は、例えば、Au、Cu、Ag及びPtよりなる群から選択された少なくとも1つを含む。このような材料の膜は変形し易い。例えば、複数の第2導電領域20Rの変位に応じて、導電膜35は変形できる。安定した電気的な接続が得られる。導電膜35の厚さは、0.1μm以上10μm以下である。適正な変形性が得られる。
【0027】
図1(c)においては、図を見易くするために、導電膜35が省略されている。この例では、複数の第2導電領域20Rは、独立した島状である。複数の第2導電領域20Rは、例えば、X軸方向及びY軸方向に沿って並んでも良い。
【0028】
複数の第2導電領域20Rは、島状でも良く、帯状でも良い。第2導電領域20Rは、格子状でも良い。後述するように、複数の第2導電領域20Rが連続しても良い。1つの連続した渦巻状の第2導電領域20Rの異なる部分が、複数の第2導電領域20Rとなっても良い。
【0029】
複数の構造体領域31は、島状でも良く、帯状でも良い。構造体領域31は、格子状でも良い。複数の構造体領域31が連続しても良い。1つの連続した渦巻状の構造体領域31の異なる部分が、複数の構造体領域31となっても良い。
【0030】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、例えば、第1導電領域10Rは、第1導電層11と、第1結晶領域21Rと、を含む。第1結晶領域21Rは、第1導電層11と、複数の第2導電領域20Rと、との間に設けられる。例えば、複数の第2導電領域20Rの1つは、第2導電層12と、第2結晶領域22Rと、を含む。第2結晶領域22Rは、第2導電層12と第1導電領域10Rとの間に設けられ
る。
【0031】
第1結晶領域21R及び第2結晶領域22Rの少なくともいずれかは、Alx1Ga1-x1N(0<x1≦1)、ダイヤモンド、及び、Ga2O3よりなる群から選択された少なくとも1つを含む。Alx1Ga1-x1Nにおいて、Alの組成比x1は、例えば0.3以上1以下である。例えば、第1結晶領域21R及び第2結晶領域22Rの少なくともいずれかは、AlGaNを含む。効率良く電子が放出される。
【0032】
例えば、第1導電層11及び第2導電層12の少なくともいずれかは、半導体及び金属層の少なくともいずれかを含む。1つの例において、第1導電層11は、金属を含み、第2導電層12は、半導体及び金属層の少なくともいずれかを含む。例えば、第1導電層11は、金属層である。第2導電層12は、シリコン層などの半導体層である。
【0033】
実施形態において、第1面10aから複数の第2導電領域20Rの1つへの方向(例えばZ軸方向)に沿う空隙30Gの長さG1は、0.5μm以上50μm以下である。長さG1は、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。より高い効率が得易い。
【0034】
以下、実施形態に係る発電素子のいくつかの例について説明する。
【0035】
図2(a)及び
図2(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図2(a)に示すように、実施形態に係る発電素子111においては、複数の構造体領域31の1つにおいて、X軸方向の幅がZ軸方向に沿って変化する。例えば、複数の構造体領域31の1つは、第1部分31pと、第2部分31qと、を含む。第2部分31qは、第1部分31pと、複数の第2導電領域20Rの1つと、の間にある。第1部分31pのX軸方向に沿う長さは、第2部分31qのX軸方向に沿う長さとは異なる。X軸方向は、第1面10aに沿う1つの方向である。この例では、第1部分31pのX軸方向に沿う長さは、第2部分31qのX軸方向に沿う長さよりも短い。例えば、複数の構造体領域31を介しての熱伝導が抑制される。より高い効率が得易い。
【0036】
図2(b)に示すように、発電素子111の第1状態ST1において、第1面10aは、凹状でも良い。
【0037】
図3(a)及び
図3(b)は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図3(a)に示すように、実施形態に係る発電素子112において、構造体領域31は、複数の第2導電領域20Rのそれぞれに設けられても良い。
図3(b)に示すように、発電素子112の第1状態ST1において、第1面10aは、凹状でも良い。
【0038】
図4は、第1実施形態に係る発電素子を例示する模式的斜視図である。
図4に示すように、実施形態に係る発電素子113において、1つの渦巻状の導電部材20Mの異なる部分が、複数の第2導電領域20Rとなっても良い。例えば、複数の第2導電領域20Rの1つは、導電部材20Mの1つの部分であり、複数の第2導電領域20Rの別の1つは、上記の導電部材20Mの別の1つの部分でも良い。この例では、複数の構造体領域31が設けられる。複数の構造体領域31の1つは、複数の第2導電領域20Rの1つと第1面10aとの間に設けられる。複数の構造体領域31の別の1つは、複数の第2導電領域20Rの別の1つと、第1面10aとの間に設けられる。
【0039】
発電素子111~113においても、第1導電領域10Rと、複数の第2導電領域20Rと、の間の距離を均一にし易い。安定した特性が得られる発電素子が提供できる。
【0040】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係る発電素子115は、第1導電層11、第2導電層12、第1結晶領域21R、第2結晶領域22R、及び、構造体領域31を含む。第1導電層11から第2導電層12への方向は、第1方向に沿う。第1方向をZ軸方向とする。
【0041】
第1結晶領域21Rは、第1導電層11と第2導電層12との間に設けられる。第1結晶領域21Rは、複数の第1結晶層21を含む。複数の第1結晶層21は、第1方向と交差する第2方向に沿って並ぶ。第2方向は、例えば、X軸方向である。
【0042】
第2結晶領域22Rは、第1結晶領域21Rと第2導電層12との間に設けられる。第2結晶領域22Rは、複数の第2結晶層22を含む。複数の第2結晶層22は第2方向(例えば、X軸方向)に沿って並ぶ。複数の第1結晶層21の1つの一部は、第1方向(Z軸方向)において、複数の第2結晶層22の1つの一部と重なる。複数の第1結晶層21の別の1つの一部は、第1方向(Z軸方向)において、複数の第2結晶層22の別の1つの一部と重なる。
【0043】
第1結晶領域21Rと第2結晶領域22Rとの間に空隙30Gが設けられる。構造体領域31は、第1結晶領域21Rと第2結晶領域22Rとの間に設けられる。構造体領域31は、絶縁性である。
【0044】
図5に示すように、例えば、複数の第1結晶層21の1つの他部は、第1方向(Z軸方向)において、複数の第2結晶層22の別の1つの一部と重なる。
【0045】
発電素子115において、複数の第1結晶層21の互いの位置の変化が、容易である。複数の第2結晶層22の互いの位置の変化が、容易である。例えば、第1導電層11の温度が、第2導電層12の温度と異なる場合、これらの導電層の熱膨張により、これらの導電層が変形する。例えば、第1導電層11及び第2導電層12のいずれかが凹状または凸状に変形する。このような場合においても、複数の第1結晶層21の互いの位置、または、複数の第2結晶層22の互いの位置が変化し易い。これにより、第1結晶層21と第2結晶層22との間の距離(空隙30Gの長さG1)が安定して均一になり易い。安定した特性が得られる発電素子を提供できる。
【0046】
発電素子115において、例えば、空隙30Gの長さG1(
図1(a)参照)は、0.5μm以上50μm以下である。長さG1は、1μm以上10μm
以下であることがより好ましい。より高い効率が得易い。
【0047】
発電素子115において、第1導電層11の温度が第2導電層12の温度よりも高いときに、第1結晶領域21Rから、空隙30Gを介して第2結晶領域22Rに向けて電子が放出される。第2導電層12の温度が第1導電層11の温度よりも高いときに、第2結晶領域22Rから、空隙30Gを介して第1結晶領域21Rに向けて電子が放出される。電子は、例えば、熱電子である。
【0048】
発電素子115において、上記以外の構成は、発電素子110~113に関して説明した構成が適用できる。
【0049】
(第3実施形態)
図6(a)及び
図6(b)は、第3実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図6(a)に示すように、実施形態に係る発電素子116は、第1導電層11、第2導電層12、第1結晶領域21R、第2結晶領域22R、及び、構造体領域31を含む。
【0050】
第1導電層11から第2導電層12への方向は第1方向(例えばZ軸方向)に沿う。第1結晶領域21Rは、第1導電層11と第2導電層12との間に設けられる。第2結晶領域22Rは、第1結晶領域21Rと第2導電層12との間に設けられる。第1結晶領域21Rと第2結晶領域22Rとの間に空隙30Gが設けられる。構造体領域31は、第1結晶領域21Rと第2結晶領域22Rとの間に設けられる。構造体領域31は、絶縁性である。構造体領域31の複数の領域が、複数の構造体領域31となっても良い。
【0051】
図6(a)に示すように、第2導電層12は、重畳領域12o及び非重畳領域12nを含む。重畳領域12oは、第1方向(Z軸方向)において、複数の構造体領域31と重なる。非重畳領域12nは、第1方向において複数の構造体領域31と重ならない。重畳領域12oの少なくとも一部の厚さt1は、非重畳領域12nの厚さt2よりも薄い。
【0052】
発電素子116においては、重畳領域12oにおいて、第2導電層12は曲がり易い。例えば、熱膨張などの影響により第1導電層11に歪みが生じた場合においても、第1結晶領域21Rと第2結晶領域22Rとの間の距離が安定して均一になり易い。安定した特性が得られる発電素子を提供できる。
【0053】
図6(a)に示すように、第2導電層12は、第1面12a及び第2面12bを含む。第2面12bは、第1結晶領域21Rと第1面12aとの間にある。第1面12aは、重畳領域12oに設けられた凹部12dを含む。凹部12dが設けられることで、第2導電層12は、変形し易くなる。
【0054】
図6(b)に示すように、実施形態に係る発電素子117においても、重畳領域12oの少なくとも一部の厚さt1は、非重畳領域12nの厚さt2よりも薄い。例えば、第1面12aは、重畳領域12oに設けられた凹部12dを含む。発電素子117においては、第1結晶領域21Rは、複数の第1結晶層21を含む。複数の第1結晶層21は、Z軸方向と交差する方向に沿って並ぶ。第2結晶領域22Rは、複数の第2結晶層22を含む。複数の第2結晶層2
2は、Z軸方向と交差する方向に沿って並ぶ。
【0055】
発電素子115及び116において、例えば、第1導電層11の温度が第2導電層12の温度よりも高いときに、第1結晶領域21Rから、空隙30Gを介して第2結晶領域22Rに向けて電子が放出される。例えば、第2導電層12の温度が第1導電層11の温度よりも高いときに、第2結晶領域22Rから、空隙30Gを介して第1結晶領域21Rに向けて電子が放出される。
【0056】
発電素子116及び117において、上記以外の構成は、発電素子110~113に関して説明した構成が適用できる。
【0057】
第1~第3実施形態において、複数の構造体領域31は、例えば、Si、Al、Hf及びZrよりなる群から選択された少なくとも1つと、酸素及び窒素よりなる群から選択された少なくとも1つと、を含む。複数の構造体領域31は、例えば、酸化シリコンなどを含んで良い。
【0058】
図7は、実施形態に係る発電素子を例示する模式的断面図である。
図7に示すように、発電素子110は、容器60を含んでも良い。容器60の中に第1導電層11、第2導電層12、第1結晶領域21R、第2結晶領域22R、及び、構造体領域31が設けられる。容器60の中の気圧は、大気圧よりも低い。例えば、空隙30Gは、減圧状態である。1つの結晶領域から放出された電子が効率的に他の結晶領域に届く。
【0059】
以下、発電素子の応用の例について説明する。
【0060】
図8(a)及び
図8(b)は、実施形態に係る発電モジュール及び発電装置を示す模式図的断面図である。
図8(a)に示すように、実施形態に係る発電モジュール210においては、実施形態に係る発電素子(例えば発電素子110など)を含む。この例では、基板120の上において、複数の発電素子110が並ぶ。
【0061】
図8(b)に示すように、実施形態に係る発電装置310は、上記の発電モジュール210を含む。複数の発電モジュール210が設けられても良い。この例では、基板220の上において、複数の発電モジュール210が並ぶ。
【0062】
図9(a)及び
図9(b)は、実施形態に係る発電装置及び発電システムを示す模式図である。
図9(a)及び
図9(b)に示すように、実施形態に係る発電装置310(すなわち、実施形態に係る発電素子110など)は、太陽熱発電に応用できる。
【0063】
図9(a)に示すように、例えば、太陽61からの光は、ヘリオスタット62で反射し、発電装置310(発電素子110または発電モジュール210)に入射する。光は、発電素子の温度を上昇させる。熱が、電流に変換される。電流が、電線65などにより送電される。
【0064】
図9(b)に示すように、例えば、太陽61からの光は、集光ミラー63で集光され、発電装置310(発電素子110または発電モジュール210)に入射する。光による熱が、電流に変換される。電流が、電線65などにより送電される。
【0065】
例えば、発電システム410は、発電装置310を含む。この例では、複数の発電装置310が設けられる。この例では、発電システム410は、発電装置310と、駆動装置66と、を含む。駆動装置66は、発電装置310を太陽61の動きに追尾させる。追尾により、効率的な発電が実施できる。
【0066】
実施形態に係る発電素子(例えば発電素子110など)を用いることで、高効率の発電が実施できる。
【0067】
実施形態によれば、安定した特性が得られる発電素子を提供することができる。
【0068】
本願明細書において、「電気的に接続される状態」は、複数の導電体が物理的に接してこれら複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。「電気的に接続される状態」は、複数の導電体の間に、別の導電体が挿入されて、これらの複数の導電体の間に電流が流れる状態を含む。
【0069】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、発電素子に含まれる、導電層及び結晶領域などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0070】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0071】
その他、本発明の実施の形態として上述した発電素子を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての発電素子も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0072】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと解される。
【0073】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0074】
10R…第1導電領域、 10a、10b…第1、第2面、 11、12…第1、第2導電層、 12a、12b…第1、第2面、 12d…凹部、 12n…非重畳領域、 12o…重畳領域、 20M…導電部材、 20R…第2導電領域、 21…第1結晶層、 21R…第1結晶領域、 22…第2結晶層、 22R…結晶領域、 30G…空隙、 31…構造体領域、 31p、31q…第1、第2部分、 35…導電膜、 60…容器、 61…太陽、 62…ヘリオスタット、 63…集光ミラー、 65…電線、 66…駆動装置、 110~117…発電素子、 120…基板、 210…発電モジュール、 220…基板、 310…発電装置、 410…発電システム、 G1…長さ、 ST1…第1状態、 t1、t2…厚さ