(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】コネクタホルダ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2020204286
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】514140193
【氏名又は名称】株式会社バイオス
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】下舘 高志
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-204381(JP,A)
【文献】実開昭60-136956(JP,U)
【文献】特開2002-335620(JP,A)
【文献】特開2019-110119(JP,A)
【文献】米国特許第07722380(US,B1)
【文献】中国実用新案第204088753(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に接続されたコネクタの抜けを抑止するコネクタホルダであって、
前記電子機器に固定される固定部と、前記固定部から前記コネクタの抜去方向に延びるガイド部と、を有する固定部材と、
前記コネクタ又は前記コネクタから延びる電線を挟み込み可能な一対の挟み部材を有し、前記ガイド部に対してスライド可能に取り付けられ、前記コネクタのハウジングが挿入される
前記一対の挟み部材の間の隙間を有し、前記ハウジングが前記隙間を通り抜け可能なアンロック状態と、前記アンロック状態よりも前記隙間が小さく、前記ハウジングが前記隙間を通り抜け不可なロック状態と、に切替可能な抑止部材と、
を備え、
前記抑止部材は、前記アンロック状態では前記ガイド部に対して前記コネクタの挿入方向及び前記抜去方向にスライド可能であり、前記ロック状態では前記ガイド部に対して前記挿入方向及び前記抜去方向のうち前記挿入方向のみにスライド可能に構成された、
コネクタホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のコネクタホルダであって、
前記一対の挟み部材は、前記ロック状態において前記コネクタ又は前記電線を挟み込む際に前記コネクタ又は前記電線と対向する内縁部が、前記コネクタ又は前記電線における前記内縁部と対向する外縁部の形状に沿う形状を有する、
コネクタホルダ。
【請求項3】
請求項2記載のコネクタホルダであって、
前記内縁部は、前記外縁部が第1形状である場合に前記外縁部に沿う形状を有する第1部分と、前記外縁部が前記第1形状と異なる第2形状である場合に前記外縁部に沿う形状を有する第2部分と、を有する、
コネクタホルダ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のコネクタホルダであって、
前記ガイド部は、前記ガイド部の延在方向に並ぶ複数のガイド突起であって、それぞれ前記固定部から離れるにつれ窄まる三角形状の複数のガイド突起を有し、
前記抑止部材は、前記固定部に近づくにつれ窄まる三角形状の抑止突起を有し、前記ロック状態において、前記抑止突起が前記ガイド突起と嵌合することにより、前記ガイド部に対して前記挿入方向及び前記抜去方向のうち前記挿入方向のみにスライド可能である、
コネクタホルダ。
【請求項5】
請求項4記載のコネクタホルダであって、
前記固定部材は、前記ガイド部を複数備え、
前記ガイド部のうち前記コネクタに対して対称に位置する一対のガイド部は、それぞれの前記ガイド突起の向きが前記コネクタに対して点対称となるように設けられている、
コネクタホルダ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項記載のコネクタホルダであって、
前記固定部は、前記抜去方向の軸を中心とする周方向に前記ハウジングを囲い、前記軸を中心とする径方向に前記ハウジングを支持する囲い部を有する、
コネクタホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子製品等に接続されたコネクタを使用中に抜けないように固定しておくコネクタホルダが開発されている。例えば、特許文献1には、インレットが配置される筐体の表面に対して略垂直に取り付けられる支持脚部材と、支持脚部材に取り付けられて筐体の表面に対して略垂直にプラグの背面を押圧可能に構成される押圧部材と、押圧部材と支持脚部材とを重ねた状態で両者をまとめて把持するように外側に嵌合され、筐体の表面に対して略垂直な方向にのみ押圧部材を移動可能にするガイド部材と、を備えたプラグ保持装置が開示されている。当該プラグ保持装置では、押圧部材を押し込んでプラグの背面に接触させ、ボルトを押圧面部の挿通孔に挿通させて、さらに支持脚部材の螺合孔に螺合させることで締め付け、筐体の表面に対して略垂直にプラグを押圧して保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のプラグ保持装置の場合、プラグを保持する際及びプラグを取り外す際において複数本のボルトの締め付け作業及び取り外し作業が必要であり、作業性の面で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コネクタの抜けを抑止するための作業を容易にすることが可能なコネクタホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコネクタホルダは、電子機器に接続されたコネクタの抜けを抑止するコネクタホルダであって、前記電子機器に固定される固定部と、前記固定部から前記コネクタの抜去方向に延びるガイド部と、を有する固定部材と、前記ガイド部に対してスライド可能に取り付けられ、前記コネクタのハウジングが挿入される隙間を有し、前記ハウジングが前記隙間を通り抜け可能なアンロック状態と、前記アンロック状態よりも前記隙間が小さく、前記ハウジングが前記隙間を通り抜け不可なロック状態と、に切替可能な抑止部材と、を備え、前記抑止部材は、前記アンロック状態では前記ガイド部に対して前記コネクタの挿入方向及び前記抜去方向にスライド可能であり、前記ロック状態では前記ガイド部に対して前記挿入方向及び前記抜去方向のうち前記挿入方向のみにスライド可能に構成されたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コネクタの抜けを抑止するための作業を容易にすることが可能なコネクタホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例であるコネクタホルダ1の一例を示す斜視図である。
【
図2】コネクタホルダ1の固定部材2を方向Y2側から見た斜視図である。
【
図3】コネクタホルダ1の固定部材2を方向Y1側から見た斜視図である。
【
図4】コネクタホルダ1の抑止部材4を方向Y2側から見た正面図である。
【
図5】コネクタホルダ1の抑止部材4を方向Y2側から見た斜視図である。
【
図6】コネクタホルダ1の抑止部材4における一対の挟み部材50A,50Bを開いた状態を示す斜視図である。
【
図7】
図6に示すコネクタホルダ1を方向Y2側から見た正面図である。
【
図8】
図6に示すコネクタホルダ1の抑止部材4における一対の挟み部材50A,50Bを閉じた状態を示す正面図である。
【
図9】一対の挟み部材50A,50Bが閉じられた状態のコネクタホルダ1を方向X側から見た側面図である。
【
図10】コネクタホルダ1の変形例を示す斜視図である。
【
図11】変形例のコネクタホルダ1Aにおける固定部材2Aを方向Y2側から見た斜視図である。
【
図12】変形例のコネクタホルダ1Aにおける固定部材2Aを方向Y1側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(実施形態)
<本発明の一実施例であるコネクタホルダ1>
図1は、本発明の一実施例であるコネクタホルダ1を示す図である。コネクタホルダ1は、例えば、電子機器Dに接続されたコネクタCの抜けを抑制するためのホルダである。電子機器Dには、例えば、コネクタCのハウジング部から延びるケーブル(電線)Wを多方向に引っ張られる可能性が高いデスクトップタイプのストレージ製品や、コネクタCを取り外す作業が容易でないラックマウントタイプのストレージ製品等が含まれる。コネクタCは、例えば、USB(Universal Serial Bus)-Type-C、USB-Type-B、eSATA(external Serial AT Attachment)、Lightning(登録商標)、Thunderbolt(登録商標)等のコネクタである。また、コネクタCは、電源ケーブル等のコネクタであってもよい。
【0011】
図1に示すように、コネクタホルダ1は、電子機器Dに取り付けられる固定部材2と、固定部材2に組み付けられる抑止部材4と、を備える。固定部材2は、電子機器Dのレセプタクル(図示省略)に挿し込まれたコネクタCのハウジング部を周囲から保持するように取り付けられる。抑止部材4は、電子機器Dのレセプタクルに挿し込まれたコネクタCのハウジング部を背面側から押さえ付けるように取り付けられる。
【0012】
ここで、説明の便宜上、
図1において、電子機器Dの筐体面D1に垂直な方向を方向Yとする。方向Yは、電子機器Dのレセプタクルに対するコネクタCの挿抜方向である。筐体面D1に平行な方向のうち、電子機器Dの高さ方向(上下方向)を方向Zとする。方向Yと方向Zに垂直な方向を方向Xとする。また、方向Yのうち、電子機器Dのレセプタクルに接続されたコネクタC及びケーブルWが筐体面D1から延びる方向を方向Y2とし、方向Y2と逆の方向を方向Y1とする。方向Y1は、電子機器Dのレセプタクルに対するコネクタCの挿入方向である。方向Y2は、電子機器DのレセプタクルからのコネクタCの抜去方向である。
【0013】
図2は、
図1に示される固定部材2単体を方向Y2側から見た斜視図である。
図3は、
図1に示される固定部材2単体を方向Y1側から見た斜視図である。
図1から
図3に示すように、固定部材2は、電子機器Dに固定される固定部20と、固定部20からコネクタCの抜去方向である方向Y2に延びる一対のガイド部30A,30Bと、を有する。
【0014】
固定部20は、基台部21と、基台部21に設けられた係合突起部22、支持突起部23及び囲い部24と、を有する。
【0015】
基台部21は、例えば、角筒状に形成されている。基台部21は、空洞26が方向Yと同じ方向に開放するように電子機器Dの筐体面D1に取り付けられる。
【0016】
係合突起部22は、電子機器Dの筐体面D1に形成されている固定孔(図示省略)に係合する突起部である。係合突起部22は、基台部21における方向Y1側の面に方向Y1側へ突出して設けられている。本例における係合突起部22は、空洞26を挟んで一つずつ設けられているが、二つずつ設けられてもよいし、いずれか一方のみに設けられてもよい。
【0017】
支持突起部23は、係合突起部22の係合により筐体面D1に取り付けられた固定部20を方向Y2側から筐体面D1に支持する突起部である。本例における支持突起部23は、基台部21における方向Zの両側外周面と、基台部21における方向Xの両側部にそれぞれ一つずつ設けられている。なお、支持突起部23を設けない構成であってもよい。
【0018】
囲い部24は、方向Y2の軸を中心とする周方向にコネクタCのハウジング部を囲うとともに、同軸を中心とする径方向にコネクタCのハウジング部を支持する部位である。囲い部24は、角筒状を有する基台部21の内周部(斜線で示す部位)によって構成される。囲い部24は、コネクタCのハウジング部を支持するための支持リブ25を有する。支持リブ25は、囲い部24の方向X及び方向Zの内周面にそれぞれ対向するように一対ずつ設けられている。なお、支持リブ25を設けない構成であってもよい。
【0019】
一対のガイド部30A,30Bは、固定部20の方向Xにおける基台部21の両側部に設けられている。一対のガイド部30A,30Bは、基台部21の両側部から方向Y2に延びるように設けられている。一対のガイド部30A,30Bは、互いの位置が電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して対称となるように設けられている。
【0020】
一対のガイド部30A,30Bには、抑止部材4が組み付けられる。当該一対のガイド部30A,30Bには、抑止部材4を組付ガイドするためのガイド突起31A,31Bが設けられている。ガイド突起31A,31Bは、ガイド部30A,30Bが延在する方向である方向Yに並列して設けられている。ガイド突起31A,31Bのそれぞれは、固定部20から離れるにつれ窄まる三角形状(鋸歯状波)となるように形成されている。
【0021】
ガイド部30Aのガイド突起31Aとガイド部30Bのガイド突起31Bとは、互いの突起の突出方向が電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して点対称となるように設けられている。例えば、ガイド部30Aのガイド突起31AがZ方向におけるガイド部30Aの上側(一方側)に設けられている場合には、ガイド部30Bのガイド突起31BはZ方向におけるガイド部30Bの下側(一方側とは反対側)に設けられている。
【0022】
図4は、
図1に示される抑止部材4単体を方向Y2側から見た正面図である。
図5は、
図1に示される抑止部材4単体を方向Y2側から見た斜視図である。
図1、
図4及び
図5に示すように、抑止部材4は、基台部材40と、基台部材40に連結されている一対の挟み部材50A,50Bと、を有する。
【0023】
基台部材40は、例えば、角筒状に形成されている。基台部材40は、電子機器Dのレセプタクルに挿入されるコネクタCが挿通可能な空洞42を有する。また、基台部材40は、固定部材2の一対のガイド部30A,30Bが挿入可能な挿入孔41A,41Bを有する。挿入孔41A,41Bは、基台部材40における方向Xの両側部に、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して点対称となるように設けられている。抑止部材4は、基台部材40の空洞42の方向が方向Yと同じ方向に向けられるとともに、基台部材40の挿入孔41A,41Bに固定部材2の一対のガイド部30A,30Bが挿入されることにより固定部材2に組み付けられる。
【0024】
一対の挟み部材50A,50Bは、例えば、直線部と湾曲部とを有する鎌状に形成されている。一対の挟み部材50A,50Bは、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して点対称となる位置に設けられ、直線部側の端部が基台部材40に連結されている。一対の挟み部材50A,50Bは、それぞれ基台部材40との連結部を支点として回動可能に構成されている。
【0025】
一対の挟み部材50A,50Bは、一対の相手側の挟み部材50B,50Aと係合するための係合爪51A,51Bを有する。係合爪51A,51Bは、挟み部材50A,50Bが基台部材40に連結される直線部側の端部とは反対側の湾曲部側の端部に設けられている。また、一対の挟み部材50A,50Bには、係合爪51B,51Aが設けられている相手側の挟み部材50B,50Aの端部が挿入可能な挿入孔52A,52Bが設けられている。そして、当該挿入孔52A,52B内には、相手側の係合爪51B,51Aが係合可能な係合部53A,53Bが設けられている。
【0026】
一対の挟み部材50A,50Bは、回動と係合爪51A,51Bの係合/非係合とにより、開状態と閉状態に切り替え可能に構成されている。
図4及び
図5の抑止部材4は、係合爪51A,51Bが相手側の挿入孔52B,52Aの係合部53B,53Aに対し非係合状態になって一対の挟み部材50A,50Bが開いた状態を示す。
図1の抑止部材4は、係合爪51A,51Bが相手側の挿入孔52B,52Aの係合部53B,53Aに係合して一対の挟み部材50A,50Bが閉じた状態を示す。挟み部材50Aと挟み部材50Bとの間には、基台部材40の空洞42の方向(方向Y)に沿った隙間54が形成される。隙間54は、一対の挟み部材50A,50Bが開いた状態のとき大きく、一対の挟み部材50A,50Bが閉じた状態のとき小さくなる。
【0027】
一対の挟み部材50A,50Bは、閉じられた状態において、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタC又はコネクタCから延びるケーブルWを隙間54内に挟み込む。コネクタC又はコネクタCから延びるケーブルWを挟み込む一対の挟み部材50A,50Bの内周面には、形及び状態が歪んだいびつ形状の内縁部55が設けられている。内縁部55は、コネクタC又はコネクタCから延びるケーブルWの外縁部の形状に沿う形状となるように形成されている。内縁部55は、例えば、扁平形状(第1形状の一例)であるコネクタC又はコネクタCから延びるケーブルWの外縁部に沿う扁平内縁部55a(第1部分の一例)と、丸形状(第2形状の一例)であるコネクタC又はコネクタCから延びるケーブルWの外縁部に沿う丸内縁部55b(第2部分の一例)と、を有する。
【0028】
一対の挟み部材50A,50Bが開いた状態になると、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCがその隙間54を通り抜けられるようになる。これに対して、一対の挟み部材50A,50Bが閉じた状態になると、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCがその隙間54を通り抜けできなくなる。以下の説明において、一対の挟み部材50A,50Bの隙間54を電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCが通り抜けられる状態を抑止部材4のアンロック状態という。これに対して、一対の挟み部材50A,50Bの隙間54を電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCが通り抜けできない状態を抑止部材4のロック状態という。
【0029】
一対の挟み部材50A,50Bは、相手側の挿入孔52B,52Aの係合部53B,53Aに係合した係合爪51A,51Bの係合状態を解除するための解除レバー56A,56Bを有する。解除レバー56A,56Bを矢印A方向に押すことで、係合爪51A,51Bが設けられている端部が矢印B方向に移動し、係合爪51A,51Bが相手側の係合部53B,53Aから解除される。
【0030】
一対の挟み部材50A,50Bは、固定部材2の一対のガイド部30A,30Bのガイド突起31A,31Bに嵌合することが可能な抑止突起57A,57Bを有する。抑止突起57A,57Bは、挟み部材50A,50Bにおける湾曲部の方向Y1側に設けられている。抑止突起57A,57Bのそれぞれは、固定部20に近づくにつれ(方向Y1に進むほど)窄まる三角形状(鋸歯状波)となるように形成されている。挟み部材50Aの抑止突起57Aと挟み部材50Bの抑止突起57Bとは、互いの突起の突出方向が電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して点対称となるように設けられている。
【0031】
<コネクタホルダ1によるコネクタCの保持及び解除手順>
電子機器Dに着脱されるコネクタCをコネクタホルダ1によって保持及び解除する手順の一例について、
図6から
図9を参照して説明する。
図6は、コネクタホルダ1の抑止部材4における一対の挟み部材50A,50Bを開いた状態を示す斜視図である。
図7は、
図6に示すコネクタホルダ1を方向Y2側から見た正面図である。
図8は、
図6に示すコネクタホルダ1の抑止部材4における一対の挟み部材50A,50Bを閉じた状態を示す正面図である。
図9は、一対の挟み部材50A,50Bが閉じられた状態のコネクタホルダ1を方向X側から見た側面図である。
【0032】
先ず、コネクタホルダ1によってコネクタCを保持するには、
図6及び
図9に示すように、電子機器Dの筐体面D1に固定部材2を取り付ける。固定部材2は、電子機器Dの筐体面D1に形成されている固定孔dに係合突起部22が係合されるとともに、支持突起部23によって筐体面D1に支持されることにより筐体面D1に固定される。固定部材2は、電子機器Dのレセプタクルに対するコネクタCの挿抜方向である方向Yに一対のガイド部30A,30Bを延ばした状態で電子機器Dの筐体面D1に固定される。なお、本例では係合突起部22と支持突起部23とを用いて固定部材2を固定しているが、これに限らず、例えば、接着剤や磁石等を用いて固定するようにしてもよい。
【0033】
次に、
図6及び
図7に示すように、抑止部材4の挿入孔41A,41Bに固定部材2の一対のガイド部30A,30Bを挿入させながら抑止部材4を固定部材2に組み付ける。このとき、組み付ける抑止部材4の一対の挟み部材50A,50Bは、開いた状態にしておく。また、この段階では、抑止部材4は、一対のガイド部30A,30Bにおける方向Y2の端部付近に組み付けておくことが好ましい。
【0034】
次に、電子機器Dに接続するコネクタC及びコネクタCから延びるケーブルWを、抑止部材4の空洞42に挿通させ、さらに固定部材2の空洞26に挿入させて、電子機器DのレセプタクルにコネクタCを挿入する。コネクタCを固定部材2の空洞26に挿入させることにより、コネクタCのハウジング部が固定部材2の支持リブ25によって方向X側及び方向Z側から支持される。
【0035】
次に、挿入したコネクタCの方向Y2の長さに応じて、抑止部材4を一対のガイド部30A,30Bに沿って方向Y1にスライドさせる。例えば、抑止部材4における基台部材40の方向Y1側の面40a(
図6,
図9参照)がコネクタCの方向Y2側の面C1(
図6,
図9参照)よりも僅かに方向Y2側に配置されるようにスライドさせる。
【0036】
次に、
図7及び
図8に示すように、抑止部材4の一対の挟み部材50A,50Bを回動させて、一対の挟み部材50A,50Bを開いた状態から閉じた状態に変化させる。一対の挟み部材50A,50Bを閉じた状態にするには、例えば、一対の挟み部材50A,50Bにおける矢印Eで示す部位を指で潰すように摘まんで、一対の挟み部材50A,50Bを回動させる。一対の挟み部材50A,50Bが回動することで、係合爪51A,51Bが相手側の係合部53B,53Aに係合し、一対の挟み部材50A,50Bが閉じた状態になる。これにより、抑止部材4は、アンロック状態(
図7)からロック状態(
図8)に変化する。
【0037】
図8に示すように、一対の挟み部材50A,50Bを閉じた状態にすることで、すなわち抑止部材4をロック状態にすることで、ケーブルWが一対の挟み部材50Aと50B間の隙間54内に挟み込まれる。このとき一対の挟み部材50A,50Bの内縁部55は、ケーブルWを挟み込む際に、ケーブルWの外縁部と接触した状態、あるいはケーブルWの外縁部との間に僅かに隙間を有した状態で対向する。本例においては、内縁部55がケーブルWの外縁部に接触した状態でケーブルWを挟み込んでいる。また、ケーブルWが丸形状であるため、内縁部55の丸内縁部55bによりケーブルWの外縁部が挟み込まれている。なお、本例では一対の挟み部材50A,50Bの内縁部55でケーブルWを挟み込んでいるが、コネクタの形状あるいはコネクタとケーブルの接続形態によっては、内縁部55がコネクタ部分を挟み込む構成となる場合もある。
【0038】
また、
図9に示すように、一対の挟み部材50A,50Bを閉じた状態にすることで、すなわち抑止部材4をロック状態にすることで、一対の挟み部材50A,50Bの抑止突起57A,57Bがガイド部30A,30Bのガイド突起31A,31Bに篏合する。これにより、抑止部材4が一対のガイド部30A,30Bに対して、挿入方向及び抜去方向のうち挿入方向(方向Y1)にのみスライド可能な状態になる。
【0039】
次に、抑止部材4を一対のガイド部30A,30Bに沿って電子機器Dの筐体面D1に向けて(方向Y1に)さらにスライドさせる。そして、閉じた状態になっている一対の挟み部材50A,50Bの方向Y1側の面(
図8の矢印Fで示す部分の方向Y1側の面)を、コネクタCの方向Y2側の面C1に当接させる。これにより、電子機器Dのレセプタクルに挿入したコネクタC及びコネクタCから延びるケーブルWが、方向Yにおいてコネクタホルダ1によって保持される。
【0040】
次に、コネクタホルダ1によるコネクタCの保持を解除するには、
図8に示すように、抑止部材4の解除レバー56A,56Bを指で摘まんで、矢印A方向に移動させる。解除レバー56A,56Bを矢印A方向に移動させることで、一対の挟み部材50A,50Bの係合爪51A,51Bが相手側の係合部53B,53Aから解除されて、
図7に示すように、一対の挟み部材50A,50Bが開いた状態になる。これにより、一対の挟み部材50A,50Bの隙間54をコネクタCが通り抜け可能な状態になり、コネクタホルダ1によるコネクタCの保持が解除される。
【0041】
また、一対の挟み部材50A,50Bが開いた状態になること、すなわち抑止部材4がアンロック状態になることで、一対の挟み部材50A,50Bの抑止突起57A,57Bとガイド部30A,30Bのガイド突起31A,31Bとの篏合(
図9参照)が解除される(
図6参照)。これにより、抑止部材4は、一対のガイド部30A,30Bに対して、挿入方向(方向Y1)及び抜去方向(方向Y2)にスライド可能な状態になる。
【0042】
以上に説明したように、実施例のコネクタホルダ1によれば、先ず、抑止部材4をアンロック状態としたまま一対のガイド部30A,30Bに組み付け、次に、ケーブルW付きコネクタCを抑止部材4の空洞42及び固定部材2の空洞26に通して電子機器Dのレセプタクルに挿し込み、次に、抑止部材4をロック状態にして、コネクタCに当接するまでスライドさせる、という簡素な操作手順でコネクタCを確実に保持することができる。このため、コネクタCの各種の形状に応じてコネクタCの抜けを抑止するための作業を容易に行うことができる。また、コネクタCを取り外す際には、抑止部材4をアンロック状態にして、固定部材2の空洞26及び抑止部材4の空洞42を通してケーブルW付きコネクタC引き出すという簡素な操作であり、作業を容易に行うことができる。
【0043】
また、コネクタホルダ1によれば、抑止部材4が一対の挟み部材50A,50Bで構成されていて、その挟み部材50A,50Bを指で潰すように摘まむだけで抑止部材4をロック状態にすることができるので操作しやすい。また、一対の挟み部材50A,50Bで抑止部材4を構成することにより抑止部材4の剛性を高くすることができる。
【0044】
また、コネクタホルダ1によれば、一対の挟み部材50A,50Bの内縁部55がコネクタC又はコネクタCから延びるケーブルWの外縁部の形状に沿う形状に形成されている。このため、電子機器Dのレセプタクルに挿し込まれたコネクタC及びコネクタCから延びるケーブルWの方向性を、一対の挟み部材50A,50Bにより例えば筐体面D1に対して略垂直方向に維持することが可能である。よって、電子機器Dのレセプタクルに挿し込まれたコネクタCを適切に保持することができる。
【0045】
また、コネクタホルダ1によれば、一対の挟み部材50A,50Bの内縁部55が扁平内縁部55aと丸内縁部55bとを有する形状に形成されている。このため、丸形状又は扁平(幅広)形状のコネクタC又はケーブルWに対しても、一対の挟み部材50A,50Bにより適切に挟み込むことが可能であり、汎用性が高い。
【0046】
また、コネクタホルダ1によれば、ロック状態において、抑止部材4の抑止突起57A,57Bとガイド部30A,30Bのガイド突起31A,31Bとを篏合させることにより、抑止部材4を一対の挟み部材50A,50Bに対して挿入方向のみにスライド可能とすることができる。これにより、固定部材2からの抑止部材4の組付け外れを防止することができ、操作性を向上させることができる。
【0047】
また、コネクタホルダ1によれば、固定部材2の一対のガイド部30A,30Bは、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して対称となるように設けられている。また、ガイド部30Aのガイド突起31Aとガイド部30Bのガイド突起31Bとは、突起の突出方向が電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して点対称となるように設けられている。そして、抑止部材4の一対の挟み部材50A,50Bにおける挟み部材50Aの抑止突起57Aと挟み部材50Bの抑止突起57Bとは、突起の突出方向が電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して点対称となるように設けられている。このため、固定部材2に対する抑止部材4の方向X及び方向Zの組み付け向きにかかわらず抑止部材4を固定部材2に組み付けることが可能である。
【0048】
また、固定部材2の一対のガイド部30A,30Bを、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCに対して対称となるように設けるとともに、それらのガイド部30A,30Bを橋渡しにして、抑止部材4によってコネクタCのケーブルWが接続される端部(根元部分)を固定している。これにより、コネクタCの保持時におけるガイド部30A,30Bの剛性を高めることができる。また、ケーブルWを中心にして保持することができるので、コネクタCへの負荷が軽減できる。
【0049】
また、コネクタホルダ1によれば、固定部材2の囲い部24は、コネクタCのハウジング部を支持可能な支持リブ25を方向X及び方向Zの内周面にそれぞれ対向するように一対ずつ有する。これにより、電子機器Dのレセプタクルに挿入されたコネクタCの方向X及び方向Zへの動きを確実に抑制することができる。
【0050】
また、一対のガイド部30A,30Bに沿ってスライドさせた抑止部材4(
図8の矢印Fで示す部分の方向Y1側の面)を、コネクタCの方向Y2側の面C1に当接させて保持しているので、コネクタCの方向Y2への動き(抜け)を確実に抑制することができる。
【0051】
なお、上記実施例では、固定部材2の方向Xに2個のガイド部30A,30Bが設けられている場合を説明したが、これに限らない。ガイド部は、固定部材2に複数設けられていればよく、例えば、方向Xの両端部の他に、方向Zの一方の端部あるいは両端部に設けられていてもよい。
【0052】
<コネクタホルダ1の変形例>
図10は、コネクタホルダ1の変形例に係るコネクタホルダ1Aを示す斜視図である。
図11は、
図10に示すコネクタホルダ1Aの固定部材2A単体を方向Y2側から見た斜視図である。
図12は、
図10に示すコネクタホルダ1Aの固定部材2A単体を方向Y1側から見た斜視図である。
【0053】
図10から
図12に示すように、コネクタホルダ1Aは、複数(本例では2個)のコネクタを保持可能な固定部材2Aを備えている点で、上記実施例で説明した単一のコネクタCを保持可能な固定部材2を備えるコネクタホルダ1と相違する。なお、以下の説明では、コネクタホルダ1と同様の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0054】
コネクタホルダ1Aの固定部材2Aは、一体的に形成された固定部20a,20bを有する。固定部20a,20bは、方向Xに並列して設けられている。このため、固定部20a,20bから方向Y2に延びるそれぞれの一対のガイド部30A,30Bは、基台部21における方向Zの両側部に設けられている。また、本例の固定部20a,20bは、上記実施例の固定部20に挿入されるコネクタCと相違するタイプのコネクタCaが挿入されるように構成されており、固定部20a,20bの囲い部24a,24bが支持リブ25を有しない構造になっている。なお、
図10では、固定部材2Aの固定部20bにだけコネクタCaが挿し込まれている状態を示すが、同時に又は単独で固定部20aにコネクタを挿し込んでもよい。
【0055】
変形例のコネクタホルダ1Aにおいても、上記実施例のコネクタホルダ1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
以上のように本明細書には以下の事項が開示されている。
【0057】
開示されたコネクタホルダは、電子機器に接続されたコネクタの抜けを抑止するコネクタホルダであって、前記電子機器に固定される固定部と、前記固定部から前記コネクタの抜去方向に延びるガイド部と、を有する固定部材と、前記ガイド部に対してスライド可能に取り付けられ、前記コネクタのハウジングが挿入される隙間を有し、前記ハウジングが前記隙間を通り抜け可能なアンロック状態と、前記アンロック状態よりも前記隙間が小さく、前記ハウジングが前記隙間を通り抜け不可なロック状態と、に切替可能な抑止部材と、を備え、前記抑止部材は、前記アンロック状態では前記ガイド部に対して前記コネクタの挿入方向及び前記抜去方向にスライド可能であり、前記ロック状態では前記ガイド部に対して前記挿入方向及び前記抜去方向のうち前記挿入方向のみにスライド可能に構成されたものである。
【0058】
開示されたコネクタホルダは、前記抑止部材が、前記コネクタ又は前記コネクタから延びる電線を挟み込み可能な一対の挟み部材を有し、前記隙間が、前記一対の挟み部材の間であるものである。
【0059】
開示されたコネクタホルダは、前記一対の挟み部材が、前記ロック状態において前記コネクタ又は前記電線を挟み込む際に前記コネクタ又は前記電線と対向する内縁部が、前記コネクタ又は前記電線における前記内縁部と対向する外縁部の形状に沿う形状を有するものである。
【0060】
開示されたコネクタホルダは、前記内縁部が、前記外縁部が第1形状である場合に前記外縁部に沿う形状を有する第1部分と、前記外縁部が前記第1形状と異なる第2形状である場合に前記外縁部に沿う形状を有する第2部分と、を有するものである。
【0061】
開示されたコネクタホルダは、前記ガイド部が、前記ガイド部の延在方向に並ぶ複数のガイド突起であって、それぞれ前記固定部から離れるにつれ窄まる三角形状の複数のガイド突起を有し、前記抑止部材が、前記固定部に近づくにつれ窄まる三角形状の抑止突起を有し、前記ロック状態において、前記抑止突起が前記ガイド突起と嵌合することにより、前記ガイド部に対して前記挿入方向及び前記抜去方向のうち前記挿入方向のみにスライド可能であるものである。
【0062】
開示されたコネクタホルダは、前記固定部材が、前記ガイド部を複数備え、前記ガイド部のうち前記コネクタに対して対称に位置する一対のガイド部が、それぞれの前記ガイド突起の向きが前記コネクタに対して点対称となるように設けられているものである。
【0063】
開示されたコネクタホルダは、前記固定部が、前記抜去方向の軸を中心とする周方向に前記ハウジングを囲い、前記軸を中心とする径方向に前記ハウジングを支持する囲い部を有するものである。
【符号の説明】
【0064】
1,1A コネクタホルダ
2,2A 固定部材
4 抑止部材
20,20a,20b 固定部
24,24a,24b 囲い部
25 支持リブ
26,42 空洞
30A,30B ガイド部
31A,31B ガイド突起
40 基台部材
41A,41B 挿入孔
50A,50B 挟み部材
51A,51B 係合爪
53A,53B 係合部
54 隙間
55 内縁部
55a 扁平内縁部(第1部分の一例)
55b 丸内縁部(第2部分の一例)
56A,56B 解除レバー
57A,57B 抑止突起
C,Ca コネクタ
D 電子機器
D1 筐体面
W ケーブル