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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】伸縮管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/12 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
F16L27/12 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020210022
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2022096821
(43)【公開日】2022-06-30
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】柳原 悠人
(72)【発明者】
【氏名】田中舘 勉
(72)【発明者】
【氏名】高柳 常男
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-042146(JP,U)
【文献】米国特許第05992900(US,A)
【文献】実公昭43-014926(JP,Y1)
【文献】実開昭50-069321(JP,U)
【文献】実開昭62-045330(JP,U)
【文献】特開平04-181088(JP,A)
【文献】実開昭57-036311(JP,U)
【文献】実開昭54-024756(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第103453271(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 27/00 - 27/12
F16L 59/21
G21D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力発電所の配管の結合に用いられる伸縮管継手であって、
前記伸縮管継手の中央に位置する中間パイプと、
前記伸縮管継手の両端に位置する2つの端管と、
前記中間パイプと前記2つの端管の各々の間に位置し、前記中間パイプの両端の各々と、前記2つの端管における前記中間パイプ側の端部とに結合する2つのベローズと、
前記2つの端管の各々の外周壁に結合し、前記2つのベローズの各々を覆う2つのカバーと、
前記2つのカバーの各々の内周壁から前記2つのカバーの内側に向かって突出する2つの第1突起部と、
前記中間パイプの外周側に設けられ、前記中間パイプの径方向における外側に向かって突出する2つの第2突起部とを備え、
前記中間パイプの径方向において、前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つの第1突起部の各々の長さが長く、
前記2つの第1突起部と前記2つの第2突起部のうち、隣合う第1突起部と第2突起部における前記中間パイプの軸方向の間隔が、前記2つのベローズの各々の最大伸び量と最大縮み量の各々より小さく、
前記中間パイプが前記中間パイプの軸方向に移動すると、前記隣合う第1突起部と第2突起部とが当接し、
前記中間パイプが前記中間パイプの径方向に移動すると、
前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つのベローズの外周壁のうち外径が最大となる部分と前記2つの第1突起部の各々の隙間の間隔の方が小さい場合に、前記2つの第1突起部の少なくとも一方が前記中間パイプに当接し、
前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つのベローズの外周壁のうち外径が最大となる部分と前記2つの第1突起部の各々の隙間の間隔の方が大きい場合に、前記2つの第2突起部の少なくとも一方が前記2つのカバーの一方に当接することを特徴とする伸縮管継手。
【請求項2】
請求項1の伸縮管継手において、
前記2つの第1突起部の各々が、複数の突起により形成されていることを特徴とする伸縮管継手。
【請求項3】
請求項2の伸縮管継手において、
前記複数の突起が、前記2つのカバーの周方向に均等に配列された4枚の板であることを特徴とする伸縮管継手。
【請求項4】
請求項1の伸縮管継手において、
前記2つの第1突起部の各々は、前記中間パイプと前記2つの第2突起部の各々とに対向する箇所に弾性部材を備えることを特徴とする伸縮管継手。
【請求項5】
請求項1の伸縮管継手において、
前記隣合う第1突起部と第2突起部における前記中間パイプの軸方向の間隔の最大値が、前記2つのベローズの各々の許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことを特徴とする伸縮管継手。
【請求項6】
請求項1の伸縮管継手において、
前記2つの第1突起部が、前記中間パイプの軸方向における前記2つの第2突起部の間の内側に設けられていることを特徴とする伸縮管継手。
【請求項7】
請求項6の伸縮管継手において、
前記中間パイプの軸方向における前記2つの第1突起部の間に、前記中間パイプの外周方向に向かって突出する2つの第3突起部が前記中間パイプの外周壁に設けられ、
前記中間パイプの径方向において、前記2つの第3突起部の各々の長さよりも、前記2つの第1突起部の各々と前記中間パイプの外周壁の隙間の間隔が小さく、
前記2つの第1突起部と前記2つの第3突起部のうち、隣合う第1突起部と第3突起部における前記中間パイプの軸方向の間隔が、前記2つのベローズの各々の最大伸び量と最大縮み量の各々より小さく、
前記2つの端管の1つが、前記中間パイプの軸方向において前記中間パイプの方向に移動すると、前記2つの第1突起部と前記2つの第3突起部のうち、隣合う第1突起部と第3突起部とが当接し、
前記2つの端管の1つが、前記中間パイプの軸方向において前記中間パイプの逆方向に移動すると、前記2つの第1突起部と前記2つの第2突起部のうち、隣合う第1突起部と第2突起部とが当接することを特徴とする伸縮管継手。
【請求項8】
請求項7の伸縮管継手において、
前記隣合う第1突起部と第3突起部における前記中間パイプの軸方向の間隔の最大値が、前記2つのベローズの各々の許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことを特徴とする伸縮管継手。
【請求項9】
請求項1の伸縮管継手において、
前記2つの第1突起部が、前記伸縮管継手の軸方向における前記2つの第2突起部の間の外側に設けられていることを特徴とする伸縮管継手。
【請求項10】
請求項9の伸縮管継手において、
前記2つの第1突起部の各々の先端部が、前記2つのベローズの各々の外周壁と対向し、
前記2つのカバーの各々の径方向において、前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つのベローズの外周壁のうち外径が最大となる部分と前記2つの第1突起部の各々の隙間の間隔の方が大きいことを特徴とする伸縮管継手。
【請求項11】
請求項10の伸縮管継手において、
前記中間パイプの軸方向における前記2つの第2突起部の間に、前記2つのカバーの各々の内周壁から前記2つのカバーの内側に向かって突出する2つの第3突起部が前記2つのカバーの各々の内周壁に設けられ、
前記中間パイプの径方向において、前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つの第3突起部の各々の長さが長く、
前記2つの第2突起部と前記2つの第3突起部のうち、隣合う第2突起部と第3突起部における前記中間パイプの軸方向の間隔が、前記2つのベローズの各々の最大伸び量と最大縮み量の各々より小さく、
前記2つの端管の1つが、前記中間パイプの軸方向において前記中間パイプの方向に移動すると、前記2つの第1突起部と前記2つの第2突起部のうち、隣合う第1突起部と第2突起部とが当接し、
前記2つの端管の1つが、前記中間パイプの軸方向において前記中間パイプの逆方向に移動すると、前記2つの第2突起部と前記2つの第3突起部のうち、隣合う第2突起部と第3突起部とが当接することを特徴とする伸縮管継手。
【請求項12】
請求項11の伸縮管継手において、
前記隣合う第1突起部と第3突起部における前記中間パイプの軸方向の間隔の最大値が、前記2つのベローズの各々の許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことを特徴とする伸縮管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伸縮管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配管の大きな動き(主として地震振動)を吸収する伸縮管継手が提案されている。例えば、特許文献1には、隣合う建物の各々の固定されたフランジ付端管の各々と隣合う建物の間の中間パイプを、各々金属ベローズで接続し、各金属ベローズをカバーにより被う伸縮管継手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-181088
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示された伸縮管継手には、伸縮管継手の軸方向に想定を超える大きな振動が発生した場合、金属ベローズに過大な伸縮力が発生する虞がある。このような力が発生すると、金属ベローズに亀裂が生じて配管内の流体が漏出するだけでなく、金属ベローズの切断や中間パイプの飛散等して伸縮管継手が破損する虞がある。
【0005】
本発明の目的は、伸縮管継手の軸方向に大きな振動が発生しても、金属ベローズの伸縮を所定の幅に抑制し、伸縮管継手の破損の虞を抑制できる伸縮管継手を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、原子力発電所の配管の結合に用いられる伸縮管継手であって、前記伸縮管継手の中央に位置する中間パイプと、前記伸縮管継手の両端に位置する2つの端管と、前記中間パイプと前記2つの端管の各々の間に位置し、前記中間パイプの両端の各々と、前記2つの端管における前記中間パイプ側の端部とに結合する2つのベローズと、前記2つの端管の各々の外周壁に結合し、前記2つのベローズの各々を覆う2つのカバーと、前記2つのカバーの各々の内周壁から前記2つのカバーの内側に向かって突出する2つの第1突起部と、前記中間パイプの外周側に設けられ、前記中間パイプの径方向における外側に向かって突出する2つの第2突起部とを備え、前記中間パイプの径方向において、前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つの第1突起部の各々の長さが長く、前記2つの第1突起部と前記2つの第2突起部のうち、隣合う第1突起部と第2突起部における前記中間パイプの軸方向の間隔が、前記2つのベローズの各々の最大伸び量と最大縮み量の各々より小さく、前記中間パイプが前記中間パイプの軸方向に移動すると、前記隣合う第1突起部と第2突起部とが当接し、前記中間パイプが前記中間パイプの径方向に移動すると、前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つのベローズの外周壁のうち外径が最大となる部分と前記2つの第1突起部の各々の隙間の間隔の方が小さい場合に、前記2つの第1突起部の少なくとも一方が前記中間パイプに当接し、前記2つのカバーの内周壁と前記2つの第2突起部の各々の隙間の間隔より、前記2つのベローズの外周壁のうち外径が最大となる部分と前記2つの第1突起部の各々の隙間の間隔の方が大きい場合に、前記2つの第2突起部の少なくとも一方が前記2つのカバーの一方に当接する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、伸縮管継手の軸方向に大きな振動が発生しても、金属ベローズの伸縮を所定の幅に抑制し、伸縮管継手の破損の虞を抑制できることができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態による伸縮管継手の断面図である。
図2図1の伸縮管継手のA-A斜視図である。
図3】本発明の第2の実施形態による伸縮管継手の断面図である。
図4図3の伸縮管継手のA-A斜視図である。
図5】本発明の第3の実施形態による伸縮管継手の断面図である。
図6図5の伸縮管継手のA-A斜視図である。
図7】本発明の第4の実施形態による伸縮管継手の断面図である。
図8図7の伸縮管継手のA-A斜視図である。
図9】本発明の第5の実施形態による伸縮管継手の断面図である。
図10図9の伸縮管継手のA-A斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の第1~第5の実施形態による伸縮管継手の構成及び動作について説明する。なお、各図において、同一符号は同一部分を示す。また、各図面は、互いに直交するXYZ軸により方向を特定し、+Xを「右」、-Xを「左」、+Yを「上」、-Yを「下」、+Zを「前」、-Zを「後」と規定する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による伸縮管継手の断面図である。
【0011】
本発明の第1の実施形態による伸縮管継手10は、原子力発電所の配管の結合に用いられる伸縮管継手である。図1に示すように、伸縮管継手10は、中間パイプ1と、2つの端管2L,2Rと、2つのベローズ3L,3Rと、2つのカバー4L,4Rと、2つの第1突起部5L,5Rと、2つの第2突起部6L,6Rとを備える。
【0012】
中間パイプ1は、伸縮管継手10の中央に位置し伸縮管継手10の胴体となる金属製のパイプである。2つの端管2L,2Rは、伸縮管継手10の端部に位置する金属製のパイプである。端管2Lの端部2LLと端管2Rの端部2RRの各々は、伸縮管継手10の開口10L,10Rを形成している。
2つのベローズ3L,3Rは、胴体部分が蛇腹となっていて伸縮や湾曲が可能となっている金属製のパイプである。ベローズ3Lは、中間パイプ1と端管2Lの間に位置し、端管2Lの中間パイプ1側の端部2LRと中間パイプ1の端部1Lとに結合する。ベローズ3Rはベローズ3Lと同様に、中間パイプ1と端管2Rの間に位置し、端管2Rの中間パイプ1側の端部2RLと中間パイプ1の端部1Rとに結合する。
【0013】
中間パイプ1とベローズ3Lの結合部10CLと、中間パイプ1とベローズ3Rの結合部10CRと、端管2Lとベローズ3Lの結合部10LLと、端管2Rとベローズ3Rの結合部10Rは、伸縮管継手10を流れる流体が漏れなうように、例えば、突合せ溶接により気密性をもって結合されている。
【0014】
2つのカバー4L、4Rは、端管2L,2Rの外周壁に結合し、ベローズ3L、3Rを覆う金属製の部品である。
【0015】
カバー4Lは、端管2Lの外周壁に結合する第1円筒4Laと、ベローズ3Lを覆う第2円筒4Lbと、第1円筒4Laと第2円筒4Lbを結合する円板4Lcとを備える。
【0016】
第1円筒4Laは金属製の円筒で、内径が端管2Lの外径より大きく、全長が端管2Lより短くなっている。また、第2円筒4Lbも金属製の円筒で、全長がベローズ3Lより長く、内周壁とベローズ3Lの外周壁の間には空隙が形成されている。
【0017】
円板4Lcは中央に円孔の設けられた金属製の円板で外径が第2円筒4Lbより小さく、円孔の内径が第1円筒4Laより大きくなっている。
【0018】
第1円筒4Laの第1端部4LaRは円板4Lcの円孔に、例えばスリップオン溶接式の接合方法(差込み溶接式の接合方法の1つ)により固定されている。そして、第2端部4LaLは円板4Lcから一方に突出されている。また、第2円筒4Lbは、第1端部4LbRが円板4Lcに対して第1円筒4Laの第2端部4LaLとは逆側に突出するように、第2端部4LbLが円板4cの外周縁に、例えばソケット溶接式の接合方法(差込み溶接式の接合方法の1つ)により固定されている。
【0019】
このように構成されたカバー4Lは、円板4Lcがベローズ3Lの第1端面3LLに密接し、第2円筒4Lbがベローズ3Lを覆うように、第1円筒4Laが端管2Lに取り付けられ、第1円筒4Laの第2端部4LaLが端管2Lの外周壁に、例えばソケット溶接式の接合方法により固定されている。なお、第2円筒4Lbは、ベローズ3Lだけでなく中間パイプ1の端部1Lも覆い、第2円筒4Lbの第1端部4LbRの内周壁は、中間パイプ1の外周壁に対向している。
【0020】
カバー4Rはカバー4Lと同様に、端管2Rの外周壁に結合する第1円筒4Raと、ベローズ3Rを覆う第2円筒4Rbと、第1円筒4Raと第2円筒4Rbを結合する円板4Rcとを備える。
【0021】
第1円筒4Raは金属製の円筒で、内径が端管2Rの外径より大きく、全長が端管2Rより短くなっている。また、第2円筒4Rbも金属製の円筒で、全長がベローズ3Rより長く、内周壁とベローズ3Rの外周壁の間には空隙が形成されている。
【0022】
円板4Rcは中央に円孔の設けられた金属製の円板で外径が第2円筒4Rbより小さく、円孔の内径が第1円筒4Raより大きくなっている。
【0023】
第1円筒4Raの第1端部4RaLは円板4Rcの円孔に、例えばスリップオン溶接式の接合方法(差込み溶接式の接合方法の1つ)により固定されている。そして、第2端部4RaRは円板4Rcから一方に突出されている。また、第2円筒4Rbは、第1端部4RbLが円板4Rcに対して第1円筒4Raの第2端部4RaRとは逆側に突出するように、第2端部4RbRが円板4cの外周縁に、例えばソケット溶接式の接合方法(差込み溶接式の接合方法の1つ)により固定されている。
【0024】
このように構成されたカバー4Rは、円板4Rcがベローズ3Rの第1端面3RRに密接し、第2円筒4Rbがベローズ3Rを覆うように、第1円筒4Raが端管2Rに取り付けられ、第1円筒4Raの第2端部4RaRが端管2Rの外周壁に、例えばソケット溶接式の接合方法により固定されている。なお、第2円筒4Rbは、ベローズ3Rだけでなく中間パイプ1の端部1Rも覆い、第2円筒4Rbの第1端部4RbLの内周壁は、中間パイプ1の外周壁に対向している。
【0025】
2つの第1突起部5L,5Rの各々は、2つのカバー4L、4R(本実施形態では、第2円筒4Lb,4Rb)の各々の内周壁から、2つのカバー4L、4R(の第2円筒4Lb,4Rb)の内側に突出する部品である。本実施形態では2つの第1突起部5L,5Rの各々は、複数の突起5aにより形成されている。
【0026】
図2は、図1に示す本実施形態に係る伸縮管継手10のA-A矢視断面図である。図2に示すように、第1突起部5Lの複数の突起5aは、4枚の金属製の板で、カバー4Lの第2円筒4Lbの周方向に均等に配列されている。なお、第1突起部5Rは、第1突起部5Lと同様の構成になっている。
【0027】
2つの第2突起部6L,6Rの各々は、図1に示すように、中間パイプ1の外周側に設けられ、中間パイプ1の径方向における外側に向かって突出する部品である。なお、本実施形態の2つの第2突起部6L,6Rの各々は、ベローズ3L,3Rの各々の第2端面3LR,3RLと、中間パイプ1とベローズ3Lの結合部10CLと、中間パイプ1とベローズ3Rの結合部10CRを覆い保護する。
【0028】
第2突起部6Lは、中間パイプ1の外周面に結合する結合部材6Laと、カバー4Lの内周壁に向かって突出する突起部材6Lbとを備える。
【0029】
結合部材6Laは金属製の円筒で、内径が中間パイプ1の外径より大きく、中間パイプ1に取り付けられ、中間パイプ1の外周壁に、例えばソケット溶接式の接合方法により結合されている。結合部材6Laの全長LL1は、中間パイプ1の軸方向における中間パイプ1とベローズ3Lの結合部10CLの幅WL1より長くなっている。
【0030】
突起部材6Lbは、中央に円孔の設けられた金属製の円板である。突起部材6Lbの外径DL1は、ベローズ3Lの外周壁の最大径DL2より大きくなっている。また、突起部材6Lbの円孔の内径は、結合部材6Laの外径より大きく、突起部材6Lbの円孔には結合部材6Laが嵌め込まれ、結合部材6Laの第1端部6LaLが例えばソケット溶接式の接合方法により結合されている。
【0031】
このように構成された第2突起部6Lは、結合部材6Laが中間パイプ1とベローズ3Lの結合部10CLを覆い、突起部材6Lbがベローズ3Lの第2端面3LRに密接するとともに、カバー4Lの第2円筒4Lbの内周壁に向かって突出するように、結合部材6Laが中間パイプ1に取り付けられ、結合部材6Laの第2端部6LaRが中間パイプ1の外周壁に、例えばソケット溶接式の接合方法により結合されている。
【0032】
また、中間パイプ1の径方向において、カバー4Lの第2円筒4Lbの内周壁と、第2突起部6Lの突起部材6Lbの隙間の間隔WL2より、第1突起部5Lの長さLL2が長くなっている。
【0033】
第2突起部6Rは、中間パイプ1の外周面に結合する結合部材6Raと、カバー4Rの内周壁に向かって突出する突起部材6Rbとを備える。
【0034】
結合部材6Raは金属製の円筒で、内径が中間パイプ1の外径より大きく、中間パイプ1に取り付けられ、中間パイプ1の外周壁に、例えばソケット溶接式の接合方法により結合されている。結合部材6Raの全長LR1は、中間パイプ1の軸方向における中間パイプ1とベローズ3Rの結合部10CRの幅WR1より長くなっている。
【0035】
突起部材6Rbは、中央に円孔の設けられた金属製の円板である。突起部材6Rbの外径DR1は、ベローズ3Rの外周壁の最大径DR2より大きくなっている。また、突起部材6Rbの円孔の内径は、結合部材6Raの外径より大きく、突起部材6Rbの円孔には結合部材6Raが嵌め込まれ、結合部材6Raの第1端部6RaRが例えばソケット溶接式の接合方法により結合されている。
【0036】
このように構成された第2突起部6Rは、結合部材6Raが中間パイプ1とベローズ3Rの結合部10CRを覆い、突起部材6Rbがベローズ3Rの第1端面3RRに密接するとともに、カバー4Rの第2円筒4Rbの内周壁に向かって突出するように、結合部材6Raが中間パイプ1に取り付けられ、結合部材6Raの第2端部6RaLが中間パイプ1の外周壁に、例えばソケット溶接式の接合方法により結合されている。
【0037】
また、中間パイプ1の径方向において、カバー4Rの第2円筒4Rbの内周壁と、第2突起部6Rの突起部材6Rbの隙間の間隔WR2より、第1突起部5Rの長さLR2が長くなっている。
【0038】
なお、第1突起部5L,5Rは、中間パイプ1の軸方向(X軸方向)における2つの第2突起部6L,6Rの間に設けられている。これにより、本実施形態の伸縮管継手10は、中間パイプ1が+X軸方向(右方向)の移動すると、第2突起部6Lが第1突起部5Lに当接し,中間パイプ1が-X軸方向(左方向)の移動すると、第2突起部6Rが第1突起部5Rに当接する。
【0039】
また、伸縮管継手10に外力が作用せず、ベローズ3Lが自然長の状態において、X軸方向における第1突起部5Lと第2突起部6Lとの間隔WL3は、ベローズ3Lに張力をかけた場合の最大伸び量とベローズ3Lに圧縮力をかけた場合の最大縮み量より少なくとも小さい。但し、間隔WL3は、許容伸び量(ベローズに張力をかけた場合にベローズが元の形状に戻ることができる伸び量)と、許容縮み量(ベローズに圧縮力をかけた場合にベローズが元の形状に戻ることができる縮み量)より小さいことが好ましい。
【0040】
同様に、伸縮管継手10に外力が作用せず、ベローズ3Lが自然長の状態において、X軸方向における第1突起部5Rと第2突起部6Rとの間隔WR3は、ベローズ3Rに張力をかけた場合の最大伸び量とベローズ3Rに圧縮力をかけた場合の最大縮み量より少なくとも小さい。但し、間隔WR3は、許容伸び量と、許容縮み量より小さいことが好ましい。
【0041】
このように構成された伸縮管継手10は、2つの端管2L,2Rの各々が原子力発電所の2つの配管(図示せず)の端部の各々に溶接によって結合され、当該2つの配管を接続する。
【0042】
(動作)
本実施形態に係る伸縮管継手10により配管が接続された原子力発電所に、例えば地震によって振動が発生した場合、伸縮管継手10の中間パイプ1は、図1に示すX軸方向(左右方向)とY軸方向(上下方向)とZ軸方向(前後方向)の少なくとも一方に移動する。そこで、中間パイプ1が各々の方向に移動した場合における伸縮管継手10の動作を場合分けして説明する。
【0043】
[X軸方向に中間パイプ1が移動した場合]
中間パイプ1が+X方向(右方向)に移動すると、中間パイプ1の径方向において、カバー4Lの第2円筒4Lbの内周壁と第2突起部6Lの突起部材6Lbの隙間の間隔WL2より、第1突起部5Lの長さLL2が長いため、第2突起部6Lが第1突起部5Lに当接する。また、中間パイプ1が-X方向(左方向)に移動すると、中間パイプ1の径方向において、カバー4Rの第2円筒4Rbの内周壁と第2突起部6Rの突起部材6Rbの隙間の間隔WR2より、第1突起部5Rの長さLR2が長いため、第2突起部6Rが第1突起部5Rに当接する。
【0044】
[Y軸方向に中間パイプ1が移動した場合]
中間パイプ1が+Y方向(上方向)または-Y方向(下方向)に移動すると、中間パイプ1の径方向において、カバー4Lの第2円筒4Lbの内周壁と第2突起部6Lの突起部材6Lbの隙間の間隔WL2より、第1突起部5Lの長さLL2が長く、カバー4Rの第2円筒4Rbの内周壁と第2突起部6Rの突起部材6Rbの隙間の間隔WR2より、第1突起部5Rの長さLR2が長いため、第1突起部5Lと第1突起部5Rの少なくとも一方が中間パイプ1の外周壁に当接する。
【0045】
[Z軸方向に中間パイプ1が移動した場合]
中間パイプ1が+Z方向(前方向)または-Z方向(後方向)に移動すると、中間パイプ1の径方向において、カバー4Lの第2円筒4Lbの内周壁と第2突起部6Lの突起部材6Lbの隙間の間隔WL2より、第1突起部5Lの長さLL2が長く、カバー4Rの第2円筒4Rbの内周壁と第2突起部6Rの突起部材6Rbの隙間の間隔WR2より、第1突起部5Rの長さLR2が長いため、第1突起部5Lと第1突起部5Rの少なくとも一方が中間パイプ1の外周壁に当接する。
【0046】
(効果)
本実施形態の伸縮管継手10は、中間パイプ1がY軸方向またはZ軸方向に移動すると、第1突起部5L,5Rが中間パイプ1の外周壁に当接する。また、中間パイプ1がX軸方向に移動すると第1突起部5L,5Rと第2突起部6L,6Rが当接する。そのため、中間パイプ1はYZ軸方向だけでなくX軸方向の移動も抑制され、金属ベローズの伸縮を所定の幅に抑制でき、伸縮管継手の破損の虞を抑制できることができる。
【0047】
また、第1突起部5L,5Rの各々は、複数の突起5a(カバー4Rの周方向に均等に配列された4枚の金属の板)により形成されている。これにより、X軸方向から見た第1突起部5L,5Rの面積は小さくなり、軽量化とコストダウンが可能となる。
【0048】
また、第2突起部6Lの突起部材6Lbの外径DL1は、ベローズ3Lの外周壁の最大径DL2より大きい。そのため、ベローズ3Lの第2端面3LRに第1突起部5Lが当接することを防止することができる。同様に第2突起部6Rの突起部材6Rbの外径DR1は、ベローズ3Rの外周壁の最大径DR2より大きい。そのため、ベローズ3Rの第2端面3RLに第1突起部5Rが当接することを防止できる。
【0049】
第1突起部5Lと第2突起部6Lとの間隔WL3は、ベローズ3Lの最大伸び量と最大縮み量の各々より少なくとも小さく、第1突起部5Rと第2突起部6Rとの間隔WR3は、ベローズ3Rの最大伸び量と最大縮み量の各々より少なくとも小さい。そのため、本実施形態の伸縮管継手10は、中間パイプ1がX軸方向のいずれか一方に移動することによって発生するベローズ3L,3Rの伸び量と縮み量を、ベローズ3L,3Rの最大伸び量と最大縮み量の各々より小さくでき、ベローズ3L,3Rの伸びと縮みによる亀裂や切断を防ぐことができる。
【0050】
また、間隔WL3と間隔WR3は、ベローズ3Lの許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことが好ましい。これにより、ベローズ3L,3Rの伸び量と縮み量は許容伸び量と許容縮み量の各々より小さくなる。そのため、本実施形態の伸縮管継手10は、ベローズ3L,3Rの塑性変形を防止でき、寿命を向上できる。
【0051】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2の実施形態による伸縮管継手20の断面図で、図4は、図3の伸縮管継手のA-A斜視図である。
【0052】
本実施形態に係る伸縮管継手20が第1実施形態と異なる点は、図3,4に示すように、2つの第1突起部5L,5Rの各々が、中間パイプ1と2つの第2突起部6L,6Rに対向する箇所(中間パイプ1がX軸方向に移動したときに当接する箇所)に弾性部材5Lb,5Rbを備える点である。
【0053】
具体的には、第1突起部5L,5Rを形成する4枚の突起5aの各々の中間パイプ1に対向する先端5aa(図3,4参照)と、第2突起部6L,6Rに対向する突起5aの一方の面5ab(図3参照)に、弾性部材5bであるゴムが貼り付けられている。
【0054】
(効果)
本実施形態の伸縮管継手20は、第1突起部5L,5Rが中間パイプ1の外周壁と第2突起部6L,6Rに当接する際の衝撃を緩和でき、伸縮管継手の破損を抑制できる。
【0055】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態による伸縮管継手30の断面図で、図6は、図5の伸縮管継手のA-A斜視図である。本実施形態に係る伸縮管継手30が第1実施形態と異なる点は以下の点である。
【0056】
2つの第1突起部5L,5Rが、中間パイプ1の軸方向(X軸方向)における2つの第2突起部6L,6Rの間の外側に設けられ、2つの第1突起部5L,5Rの先端部5aaは、2つのベローズ3L,3Rの各々の外周壁と対向する。そして、カバー4L,4Rの第2円筒4Lb,4Rbの径方向において、2つのカバー4L,4Rの第2円筒4Lb,4Rbの内周壁と2つの第2突起部6L,6Rの各々の隙間の間隔WL2,WR2より、2つのベローズ3L,3Rの外周壁のうち外径が最大となる部分と2つの第1突起部5L,5Rの各々の隙間の間隔WL4,WR4の方が大きくなっている。そのため、第2突起部6L,6Rが、カバー4L,4Rの第2円筒4Lb,4Rbの内周壁に当接し、第1突起部5L,5Rがベローズ3L,3Rの側面に当接しないように構成されている。
【0057】
上記のように構成された本実施形態の伸縮管継手30は、中間パイプ1が+X方向(右方向)に移動すると、第2突起部6Rが第1突起部5Rに当接し、中間パイプ1が-X方向(左方向)に移動すると、第2突起部6Lが第1突起部5Lに当接する。また、中間パイプ1が+Y方向(上方向)または-Y方向(下方向)、+Z方向(前方向)または-Z方向(後方向)に移動すると、第2突起部6Lがカバー4Lの第2円筒4Lbの内周壁に当接し、第2突起部6Rがカバー4Rの第2円筒4Rbの内周壁に当接する。
【0058】
(効果)
本実施形態の伸縮管継手30は、中間パイプ1の移動が抑制され、金属ベローズの伸縮を所定の幅に抑制でき、伸縮管継手の破損の虞を抑制できることができる。また、2つの第1突起部5L,5Rが、中間パイプ1と2つのベローズ3L,3Rに当接しないため、流路の損傷の虞を抑制することができる。
【0059】
(第4の実施形態)
図7は本発明の第4の実施形態による伸縮管継手40の断面図で、図7図8の伸縮管継手のA-A斜視図である。
【0060】
本実施形態に係る伸縮管継手40が第1実施形態と異なる点は、図7に示すように、中間パイプ1の軸方向における第1突起部5Lと第1突起部5Rの間に、中間パイプ1の外周方向に向かって突出する2つの第3突起部7L,7Rが中間パイプ1の外周側に設けられている点である。
【0061】
図8に示すように、第3突起部7Lは、中央に円孔の設けられた金属製の円板で、中間パイプ1に嵌め込まれ、溶接により中間パイプ1に結合されている。また、第3突起部7Rは第3突起部7Lと同様に、中央に円孔の設けられた金属製の円板で、中間パイプ1に嵌め込まれ、溶接により中間パイプ1に固定されている。
【0062】
また、図7に示すように、中間パイプ1の径方向において、2つの第3突起部7L,7Rの各々の長さLL3,LR3よりも、2つの第1突起部5L,5Rの各々と中間パイプ1の外周壁の隙間の間隔WL5,WR5が小さくなっている。
【0063】
また、伸縮管継手40に外力が作用せず、ベローズ3Lが自然長の状態において、X軸方向における第1突起部5Lと第3突起部7Lとの間隔WL6は、ベローズ3Lの最大伸び量と最大縮み量の各々より少なくとも小さい。但し、間隔WL6は、ベローズ3Lの許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことが好ましい。同様に、X軸方向における第1突起部5Rと第3突起部7Rとの間隔WR6は、ベローズ3Rの最大伸び量と最大縮み量の各々より少なくとも小さい。但し、間隔WR6は、ベローズ3Rの許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことが好ましい。
【0064】
このように構成された本実施形態の伸縮管継手40は、端管2Lが+X方向(右方向)に移動すると、まず、ベローズ3Lが縮み、第1突起部5Lが第3突起部7Lに当接する。さらに端管2Lが+X方向(右方向)に移動すると、第3突起部7Lが結合する中間パイプ1が+X方向(右方向)に移動する。そして、ベローズ3Rが縮み、第3突起部7Rが第1突起部5Rに当接する。
【0065】
逆に端管2Lが-X方向(左方向)に移動すると、まず、ベローズ3Lが伸び、第1突起部5Lが第2突起部6Lの突起部材6Lbに当接する。端管2Lがさらに-X方向(左方向)に移動すると、第2突起部6Lが結合する中間パイプ1が-X方向(左方向)に移動する。そして、ベローズ3Rが伸び、第2突起部6Rが第1突起部5Rに当接する。
【0066】
一方、端管2Rが+X方向(右方向)に移動すると、まず、ベローズ3Rが伸び、第1突起部5Rが第2突起部6Rの突起部材6Rbに当接する。端管2Lがさらに+X方向(右方向)に移動すると、第2突起部6Rが結合する中間パイプ1が+X方向(右方向)に移動する。そして、ベローズ3Lが伸び、第2突起部6Lが第1突起部5Lに当接する。
【0067】
逆に端管2が-X方向(左方向)に移動すると、まず、ベローズ3Rが縮み、第1突起部5Rが第3突起部7Rに当接する。さらに端管2Rが-X方向(左方向)に移動すると、第3突起部7Rが結合された中間パイプ1が-X方向(左方向)に移動する。そして、ベローズ3Lが縮み、第3突起部7Lが第1突起部5Lに当接する。
【0068】
(効果)
本実施形態の伸縮管継手40は、上記の構成により、中間パイプ1だけでなく端管2L,2Rの移動が抑制され、金属ベローズの伸縮を所定の幅に抑制でき、伸縮管継手の破損の虞を抑制できることができる。
【0069】
(第5の実施形態)
図9は本発明の第5の実施形態による伸縮管継手50の断面図で、図10図9の伸縮管継手のA-A斜視図である。
【0070】
本実施形態に係る伸縮管継手500が第2実施形態と異なる点は、図9に示すように、中間パイプ1の軸方向における第2突起部6Lと第2突起部6Rの間に、2つのカバー4L,4Rの第2円筒4Lb,4Rbの各々の内周壁から、2つのカバー4L,4Rの第2円筒4Lb,4Rbの内側に向かって突出する2つの第3突起部7L,8Rが2つのカバー4L,4Rの第2円筒4Lb,4Rbの各々の内周壁に設けられている点である。
【0071】
2つの第3突起部7L,8Rの各々は、2つのカバー4L、4Rの第2円筒4Lb,4Rbの内周壁から、2つのカバー4L、4Rの第2円筒4Lb,4Rbの内側に突出する複数の突起8aにより形成されている。
【0072】
図10に示すように、第3突起部7Lは金属製の4枚の板で、カバー4Lの第2円筒4Lbの周方向に均等に配列されている。また、第3突起部7Rは、第3突起部7Lと同様の構成になっている。
【0073】
図9に示すように、中間パイプ1の径方向において、カバー4Lの第2円筒4Lbの内周壁と第2突起部6Lの隙間の間隔WL2より、第3突起部7Lの長さLL3が長く、カバー4Rの第2円筒4Rbの内周壁と第2突起部6Rの隙間の間隔WR2より、第3突起部7Rの長さLR3が長くなっている。
【0074】
また、伸縮管継手50に外力が作用せず、ベローズ3Lが自然長の状態において、X軸方向における第2突起部6Lと第3突起部7Lとの間隔WL6は、ベローズ3Lの最大伸び量と最大縮み量の各々より少なくとも小さい。但し、間隔WL6は、ベローズ3Lの許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことが好ましい。同様に、X軸方向における第2突起部6Rと第3突起部7Rとの間隔WR6は、ベローズ3Rの最大伸び量と最大縮み量の各々より少なくとも小さい。但し、間隔WR6は、ベローズ3Rの許容伸び量と許容縮み量の各々より小さいことが好ましい。
【0075】
このように構成された本実施形態の伸縮管継手50は、端管2Lが+X方向(右方向)に移動すると、まず、ベローズ3Lが縮み、第1突起部5Lが第2突起部6Lに当接する。さらに端管2Lが+X方向(右方向)に移動すると、第2突起部6Lが結合する中間パイプ1が+X方向(右方向)に移動する。そして、ベローズ3Rが縮み、第2突起部6Rが第1突起部5Rに当接する。
【0076】
逆に端管2Lが-X方向(左方向)に移動すると、まず、ベローズ3Lが伸び、第3突起部7Lが第2突起部6Lの突起部材6Lbに当接する。端管2Lがさらに-X方向(左方向)に移動すると、第2突起部6Lが結合する中間パイプ1が-X方向(左方向)に移動する。そして、ベローズ3Rが伸び、第2突起部6Rが第3突起部7Rに当接する。
【0077】
一方、端管2Rが+X方向(右方向)に移動すると、まず、ベローズ3Rが伸び、第3突起部7Rが第2突起部6Rの突起部材6Rbに当接する。端管2Lがさらに+X方向(右方向)に移動すると、第2突起部6Rが結合する中間パイプ1が+X方向(右方向)に移動する。そして、ベローズ3Lが伸び、第2突起部6Lが第3突起部7Lに当接する。
【0078】
逆に端管2が-X方向(左方向)に移動すると、まず、ベローズ3Rが縮み、第1突起部5Rが第2突起部6Rに当接する。さらに端管2Rが-X方向(左方向)に移動すると、第2突起部6Rが結合する中間パイプ1が-X方向(左方向)に移動する。そして、ベローズ3Lが縮み、第2突起部6Lが第1突起部5Lに当接する。
【0079】
(効果)
本実施形態の伸縮管継手50は、上記の構成により、中間パイプ1だけでなく端管2L,2Rの移動が抑制され、金属ベローズの伸縮を所定の幅に抑制でき、伸縮管継手の破損の虞を抑制できることができる。
【0080】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0081】
例えば、2つの第1突起部5L,5Rが、中間パイプ1の軸方向(X軸方向)における2つの第2突起部6L,6Rの間の外側に設けられる場合について、2つの第1突起部5L,5Rの先端部5aaが、2つのベローズ3L,3Rの各々の外周壁と対向する形態を示した。しかし、これに限定されず、2つの第1突起部5L,5Rの先端部5aaが、中間パイプ1の外周壁と対向するようにしてもよい。この場合、2つの第2突起部6L,6Rの各々は、ベローズ3L,3Rの第2端面3LR,3RLと中間パイプ1とベローズ3Lの結合部10CLと、中間パイプ1とベローズ3Rの結合部10CRを覆い保護することなく、中間パイプ1に固定される。
【0082】
また、第1突起部5Lを形成する複数の突起5aが4枚の板である形態を示した。しかし、突起5aの個数や形状はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0083】
10,20,30,40,50…伸縮管継手、1…中間パイプ、2L,2R…端管、3L,3R…ベローズ、4L,4R…カバー、5L,5R…第1突起部5L,5R…第2突起部、WL2,WR2…カバーの内周壁と第2突起部の隙間の間隔、LL2,LR2…第1突起部の各々の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10