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  • 特許-定量吐出スクイズ容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】定量吐出スクイズ容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B65D83/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020216065
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101778
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細山田 晃治
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060526(JP,A)
【文献】特開2011-105360(JP,A)
【文献】特開2012-062062(JP,A)
【文献】特開2019-064741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ変形可能なプラスチックからなるボトル形状の容器本体を備え、該容器本体の一部をスクイズ変形させて、口首部に装着されたキャップ部材の吐出口から内容液を所定量吐出させる定量吐出スクイズ容器であって、
容器本体は、スクイズ操作を行う圧搾面部が設けられた正面壁部と、該正面壁部の両側の側縁部に各々接続する一対の側面壁部及びこれらの側面壁部を連結する円弧断面形状の背面壁部からなる圧搾支持部とを含んで構成されており、
前記圧搾支持部の前記背面壁部の肉厚が、前記正面壁部の前記圧搾面部の肉厚よりも、大きくなっており、
前記口首部は、これの中心軸が、容器本体の中心軸よりも前記圧搾支持部の前記背面壁部側に配置されるように、前記背面壁部側に片寄せた状態で設けられている定量吐出スクイズ容器。
【請求項2】
前記圧搾面部が、鈍角の交差角度で交差する2面に沿って配置される一対の斜面部を含む山形状断面を有している請求項1記載の定量吐出スクイズ容器。
【請求項3】
前記圧搾面部は、円弧状の断面形状を備えており、前記圧搾支持部の前記背面壁部の円弧断面形状の曲率半径は、前記圧搾面部の円弧状の断面形状の曲率半径よりも、小さくなっている請求項1又は2記載の定量吐出スクイズ容器。
【請求項4】
前記圧搾支持部の側面壁部は、前記圧搾面部へのスクイズ方向と平行に配置されて設けられている請求項1~3のいずれか1項記載の定量吐出スクイズ容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量吐出スクイズ容器に関し、特に、容器本体をスクイズ変形させて内容液を所定量吐出させる定量吐出スクイズ容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スクイズ容器は、例えばスクイズ変形可能なプラスチックからなる容器本体の胴部を手で把持してスクイズ(圧搾)することにより、容器本体をスクイズ変形させて、内容液を吐出口から吐出箇所に向けて所定量吐出させるものである。また、容器本体の胴部をスクイズした際に、容器の変形量にバラツキが生じず、繰り返し行われるスクイズ操作毎に一定量又は略一定量の内容液が各々吐出されるように工夫した、いわゆる定量吐出スクイズ容器も開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1の定量吐出スクイズ容器は、容器本体の内部に容器本体の押し込み巾を規制する当接部材を設け、容器本体をスクイズ変形させる際に押圧操作部を当接部材に当接させることで、容器本体のスクイズ変形量を一定範囲に規制して、内容液を一定量ずつ吐出させる。また、特許文献2の定量吐出スクイズ容器は、容器本体の外周壁を筒状カバー体で覆うと共に、この筒状カバー体に、容器本体の外周壁に向けて反転可能なブリッジ部を形成し、このブリッジ部を反転させることで容器本体の外周壁を所定の変形量でスクイズ変形させて、内容液を一定量ずつ吐出させる。
【0004】
特許文献1や特許文献2の定量吐出スクイズ容器は、容器本体の内部に当接部材を取り付けたり、ブリッジ部が形成された筒状カバー体を容器本体の外周壁を覆って取り付けたりする必要がある。このため、構造が複雑になると共に、製造コストも増大する。このようなことから、本願出願人は、容器本体の形状を工夫することで、繰り返しスクイズ操作した際の容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じないように規制して、内容液を一定量ずつ吐出できるようにした定量吐出スクイズ容器を開発している(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平10-24950号公報
【文献】特許第4074227号公報
【文献】特開2011-121604号公報
【文献】特開2012-62062号公報
【文献】特開2019-64741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3や特許文献4の定量吐出スクイズ容器は、スクイズ操作部に、鈍角の交差角度で交差する2面に沿って配置された、一対の斜面部を含む山形状断面を有する圧搾面部を備えている。また、特許文献3や特許文献4の定量吐出スクイズ容器は、圧搾面部の山形状断面の頂部に指を押し当てて圧搾した際に、一対の斜面部が交差角度を拡げるように変形しながら、両側の山形状断面の裾部の間隔を押し拡げると共に、押し拡げる力が無くなるまで斜面部が変形した後、圧搾面部が谷形状に反転しないように規制される。これによって、繰り返し行われるスクイズ操作による容器本体のスクイズ変形量にバラツキが生じないようにして、内容液を一定量ずつ吐出させることが可能になる。
【0007】
また、容器本体の容量が例えば800mL以上の比較的大きなものとなっていると、スクイズ操作によって圧搾面部を変形させる際の変形が、圧搾面部の周囲に及び易くなって、内容液の吐出量にバラツキを生じ易くなると考えられることから、圧搾面部の上方部分や下方部分に近接させて変形抑制補強部を形成することで、圧搾面部をスクイズする際の変形が周囲に及ぶのを抑制して、内容液を、バラツキの少ない安定した状態で一定量ずつ吐出させることを可能にする定量吐出スクイズ容器も開発されている(例えば、特許文献5参照)。
【0008】
一方、容器本体の容量が例えば50~200mL程度の比較的小さなものとなっている定量吐出スクイズ容器の場合、圧搾面部の上方部分や下方部分に近接させて変形抑制補強部を形成すると、圧搾面部の剛性が却って高くなることでスクイズ操作を行い難くなる。また、容量が小さな定量吐出スクイズ容器の場合、例えば0.5~1mL程度の少量の内容液を、より精度良く一定量ずつ吐出させる必要があるが、スクイズ操作が行い難くなっていると、吐出量のバラツキによって及ぼされる影響が大きくなる。このようなことから、操作性を保持しつつ、バラツキの少ないより安定した状態で、所定量の内容液を一定量ずつ精度良く吐出させることを可能にする、新たなスクイズ容器の開発が要望されている。
【0009】
本発明は、操作性を保持しつつ、バラツキの少ないより安定した状態で、所定量の内容液を一定量ずつ精度良く吐出させることのできる定量吐出スクイズ容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スクイズ変形可能なプラスチックからなるボトル形状の容器本体を備え、該容器本体の一部をスクイズ変形させて、口首部に装着されたキャップ部材の吐出口から内容液を所定量吐出させる定量吐出スクイズ容器であって、容器本体は、スクイズ操作を行う圧搾面部が設けられた正面壁部と、該正面壁部の両側の側縁部に各々接続する一対の側面壁部及びこれらの側面壁部を連結する円弧断面形状の背面壁部からなる圧搾支持部とを含んで構成されており、前記圧搾支持部の前記背面壁部の肉厚が、前記正面壁部の前記圧搾面部の肉厚よりも、大きくなっている定量吐出スクイズ容器である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の定量吐出スクイズ容器によれば、操作性を保持しつつ、バラツキの少ないより安定した状態で、所定量の内容液を一定量ずつ精度良く吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の好ましい一実施形態に係る定量吐出スクイズ容器の正面図である。
図2図2(a)は、図1のA-Aに沿った拡大断面図。図2(b)は、キャップ部材を外した状態の上面図である。
図3図3は、キャップ部材の側面図である。
図4図4は、スクイズ操作して内容液を吐出させている状態を説明する斜視図である。
図5図5(a)、(b)は、スクイズ操作によって容器本体が変形する状態を説明する端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る定量吐出スクイズ容器10は、スクイズ変形可能なプラスチックからなるボトル形状の容器本体11と、容器本体11の口首部11a(図2(a)~(c)参照)に着脱可能に装着されるキャップ部材20とからなり、例えば容器本体11の容量が例えば50~200mL程度の大きさの、片手で容易に把持することが可能な少ない容量のボトル容器となっている。スクイズ容器10には、内容液として、例えば衣料用液体洗剤、柔軟剤、漂白剤、食器用洗剤、入浴剤等、またこれらに用いられる香料、化粧料、調味料、食用油等を収容することができる。スクイズ容器10は、容器本体11の胴部12を把持して傾倒又は倒立させた状態で(図4参照)、把持した胴部12をスクイズ方向X(図5(a)、(b)参照)にスクイズ(圧搾)することで胴部12を変形させることにより、例えばキャップ部材20に設けられた吐出ノズル部21の吐出口から、内容液を吐出箇所に向けて、例えば0.5~5mL程度の所定の少量で、吐出させることができる。本実施形態のスクイズ容器10は、容器本体11の形状を工夫することによって、操作性を保持しつつも、例えば胴部12の所定の位置を指で圧搾して繰り返しスクイズ操作した際に、バラツキの少ないより安定した状態で、所定量の内容液を、一定量ずつ精度良く吐出させることを可能にする機能を備えている。
【0014】
そして、本実施形態の定量吐出スクイズ容器10は、図1に示すように、スクイズ変形可能なプラスチックからなるボトル形状の容器本体11を備え、容器本体11の一部をスクイズ変形させて、口首部11aに装着されたキャップ部材20の吐出ノズル部21の吐出口から内容液を所定量吐出させるスクイズ容器であって、容器本体11の胴部12は、図2(a)にも示すように、スクイズ操作を行う圧搾面部13が設けられた正面壁部14と、正面壁部14の両側の側縁部に各々接続する一対の側面壁部15及びこれらの側面壁部15を連結する円弧断面形状の背面壁部16からなる、好ましくはU字断面形状を備える圧搾支持部17とを含んで構成されており、圧搾支持部17の背面壁部16の肉厚t1が、正面壁部14の圧搾面部13の肉厚t2よりも、大きくなっている。ここで、圧搾面部13の肉厚t2は、圧搾面部13の厚みが一定でない場合は、圧搾面部13の上下端10mmの3点ずつを測定し、平均した値をt2’として代用する。またこの場合、圧搾支持部17の背面壁部16の肉厚t1は、t2’の測定箇所と容器本体軸に対称の箇所を測定し、平均した値をt1’として代用する。
【0015】
また、本実施形態では、圧搾面部13は、好ましくは、鈍角の交差角度θ(図2(a)参照)で交差する2面に沿って配置される一対の斜面部13aを含む山形状断面を有している。ここで、鈍角の交差角度θで交差する2面は、圧搾面部13の頂部13bの中心と裾部13cを結ぶ線に沿った面であっても良い。また、一対の斜面部13aは、鈍角の交差角度θで交差する2面に沿って、これと重なるように配置される必要は必ずしも無く、交差する2面から僅かに離れた、緩やかな湾曲面や、傾斜面を含むものであっても良い。
【0016】
圧搾面部13は、好ましくは、山形状断面の頂部13bにおける所定の位置に指を押し当てて圧搾した際に、図5(a)、(b)に示すように、一対の斜面部13aが交差角度θを拡げるように変形しながら、押し拡げる力が無くなるまで斜面部13aが変形した後に、変形が規制されて、所定の位置13gに指を押し当てて繰り返し行われるスクイズ操作による圧搾面部13及び容器本体11のスクイズ変形量に、バラツキが生じないようになっている。
【0017】
さらに、本実施形態では、好ましくは一対の斜面部13aが湾曲しながら傾斜する湾曲斜面部となっていることで、圧搾面部13は、円弧状の断面形状を備えており、圧搾支持部17の背面壁部16の円弧断面形状の曲率半径は、圧搾面部13の円弧状の断面形状の曲率半径よりも、小さくなっている。
【0018】
さらにまた、本実施形態では、図2(b)に示すように、容器本体11の口首部11aは、これの中心軸が、容器本体11の中心軸よりも圧搾支持部17の背面壁部16側に配置されるように、背面壁部16側に片寄せた状態で設けられている。
【0019】
本実施形態では、容器本体11は、例えばポリエチレンテレフタレ-ト、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、塩化ビニル等の、スクイズ変形可能なプラスチック容器を形成するのに適した公知の各種の合成樹脂を用いて、好ましくはブロー成形することにより得ることができる。容器本体11は、図1に示すように、底部11bと、胴部12と、肩部11cと、口首部11aとを備える中空のボトル形状に形成されている。また、容器本体11は、上端部分の肩部11c及び口首部11aと、下端部分の底部11bとが、胴部12よりも大きな肉厚で形成されている。さらに、本実施形態では、容器本体11は、肩部11c及び底部11bが、正面壁部14及び圧搾支持部17による胴部12の断面形状と同様の平面形状を備えるように形成されている(図2(a)、(b)参照)。
【0020】
本実施形態では、肩部11cと底部11bとの間に挟まれる胴部12は、高さ方向に同様の断面形状を有する、縦長の筒形状を備えている(図1参照)。また胴部12を構成する正面壁部14には、上下方向の略中央部よりも上部側の領域に配置されて、圧搾面部13が設けられている。
【0021】
圧搾面部13は、両側の段差側辺部13dと、上辺部段差接続部13eと、下辺部段差接続部3fとによって、4方を胴部12の他の領域から好ましくは一段低くなった状態で区画された、パネル形状の領域となっている。圧搾面部13の両側の段差側辺部13dは、上辺部段差接続部13eの両端部から、下方に向けて間隔を滑らかに狭めた後に、圧搾面部13の高さ方向の中間部分に向けて間隔を滑らかに広げ、さらに下方に向けて間隔を滑らかに狭めた後に、下端部分において間隔を滑らかに広げて下辺部段差接続部13fの両端部に接続させた、圧搾面部13の頂部13bの中心線を対称軸とする、対称な曲線状の凹凸形状を備えている。本実施形態では、両側の段差側辺部13dの間隔が最も広がった部分は、圧搾面部13の高さ方向の中央部よりも、やや下方にずれた位置に配置されている。本実施形態では、両側の段差側辺部13dの間隔が最も広がった部分の高さ領域と、同様の高さ領域における位置を、圧搾時に指を押し当てるべき所定の位置13gとして、圧搾面部13の山形状断面の頂部13bに、当該所定の位置13gを明示するマーキングが施されている。
【0022】
本実施形態では、上辺部段差接続部13eは、圧搾面部13とこれの上方領域の胴部12との間に介在して設けられて、圧搾面部13を上方領域から一段低くなった状態で区画する部分であって、上方に向けて凸となった円弧状の正面形状を備えている。また下辺部段差接続部13fは、圧搾面部13とこれの下方領域の胴部12との間に介在して設けられて、圧搾面部13を下方領域から一段低くなった状態で区画する部分であって、横方向に直線状に延設する正面形状を備えている。
【0023】
圧搾面部13の頂部13bは、相当の巾を有する帯状の頂面となっており、その中心線を両側の側辺部13dの間の中央部に配置して、上辺部段差接続部13eの中央部分から下辺部段差接続部13fの中央部分に至るまで、縦方向に延設して設けられている。頂部13bの両側の側縁部から両側の段差側辺部13dに向けて、斜面部13aが、緩い勾配で傾斜して各々設けられている。また圧搾面部13の頂部13bには、圧搾時に指を押し当てるべき所定の位置13gを明示するマーキングが、圧搾面部13の高さ方向の中央部よりも、やや下方にずれた位置に配置されて設けられている。
【0024】
本実施形態では、圧搾支持部17は、圧搾面部13の頂部13bの所定の位置13gに指を押し当てて、スクイズ方向X(図5(a)、(b)参照)に容器本体11を圧搾する際に、圧搾面部13に加えられる圧搾力を支持する部分であって、後述する構成によって、相当の保形剛性を備えている。圧搾支持部17は、図2(a)、(b)及び図5(a)、(b)に示すように、好ましくは円弧断面形状の背面壁部16と直線状の一対の側面壁部15とによって構成された略U字状の断面形状を有している。圧搾支持部17は、相当の保形剛性を備えているとで、当該圧搾支持部17を変形させることなく、例えば胴部12を把持した手の平や指に、圧搾時の反力を効率良く支持させることができるようになっている。また本実施形態では、円弧断面形状の背面壁部16のスクイズ方向Xにおける長さは、一対の側面壁部15のスクイズ方向Xにおける長さよりも、大きくなっていることが好ましい。背面壁部16のスクイズ方向Xにおける長さは、側面壁部15のスクイズ方向Xにおける長さの、1.2~3倍となっていることが好ましい。
【0025】
容器本体11の口首部11aに着脱可能に装着されるキャップ部材20は、本実施形態では、図1及び図3に示すように、ヒンジ付きキャップとなっている。ヒンジ付きキャップ20は、容器本体11の口首部11aに螺着される装着スカート部22aを備えるキャップ本体22と、キャップ本体22の天面板22bの周縁部分にヒンジ部23aを介して回転可能に設けられた、ヒンジ蓋23とを含んで構成されている。天面板22bの中央部分から上方に突出して、吐出口から内容液を吐出させる吐出ノズル部21が設けられている。
【0026】
ヒンジ付きキャップ20は、本実施形態では、ヒンジ部23aを、圧搾面部13が配置された容器本体11の正面壁部14とは反対の、背面壁部16側に配置して、容器本体11の口首部11aに取り付けられている。これによって、図4に示すように、圧搾面部13を圧搾して、吐出ノズル部21の吐出口から所定量の内容液を吐出させる際に、開放させたヒンジ蓋23が邪魔になること無く、傾倒又は倒立させた容器本体11から、内容液を吐出箇所に向けてスムーズに吐出させることが可能になる。なお、キャップ部材20は、ヒンジ付きキャップに制限されず、スクリューキャップ、プルプッシュキャップ等であってもよい。
【0027】
そして、本実施形態では、容器本体11の胴部12を形成する圧搾支持部17の背面壁部16の肉厚t1は、容器本体11の胴部12を形成する正面壁部14における圧搾面部13の肉厚t2よりも、大きくなっている。これによって、圧搾支持部17の背面壁部16の保形剛性が圧搾面部13の保形剛性より相当程度高くなることで、圧搾支持部17の背面壁部16の変形に対する抵抗を大きくして、圧搾時の支持反力が効果的に得られるようにすると共に、圧搾面部13のみが変形し易くなることで、バラツキの少ないより安定した状態で、所定量の内容液を、一定量ずつ精度良く吐出させることが可能になる。
【0028】
このような観点から、圧搾支持部17の背面壁部16の肉厚t1は、0.5~2mmとすることがより好ましく、0.7~1.5mmとすることが特に好ましい。また圧搾支持部17の背面壁部16の肉厚t1は、正面壁部14における圧搾面部13の肉厚t2の、1.5~5倍となっていることがより好ましく、2~5倍となっていることが特に好ましい。
【0029】
また、本実施形態によれば、圧搾面部13は、好ましくは、鈍角の交差角度θで交差する2面に沿って配置される、一対の斜面部13aを含む山形状断面を有している。これによって、山形状断面の頂部13bにおける所定の位置に指を押し当てて圧搾した際に、一対の斜面部13aを交差角度θが拡がるようにして変形させながら、押し拡げる力が無くなるまで斜面部13aを変形させる操作を、安定した状態で行ない易くなる。
【0030】
また、本実施形態によれば、上述のように、好ましくは圧搾支持部17の背面壁部16の円弧断面形状の曲率半径は、円弧状の断面形状を備える圧搾面部13の曲率半径よりも、小さくなっている。これによって、圧搾支持部17の背面壁部16の保形剛性が正面壁部14の保形剛性より相当程度高くなることで、圧搾支持部17の背面壁部16の変形に対する抵抗を大きくして、圧搾時の支持反力がさらに効果的に得られるようにすることが可能になる。
【0031】
これらによって、本実施形態の定量吐出スクイズ容器10によれば、操作性を保持しつつ、バラツキの少ないより安定した状態で、所定量の内容液を一定量ずつ精度良く吐出させることが可能になる。
【0032】
さらに、本実施形態によれば、容器本体11の口首部11aは、上述のように、これの中心軸が、容器本体11の中心軸よりも圧搾支持部17の背面壁部16側に配置されるように、背面壁部16側に片寄せた状態で設けられている(図2(b)参照)。これによって、好ましくはブロー成形により容器本体11を形成する際に、背面壁部16の口首部11aからの離れが小さくなることで、圧搾支持部17の背面壁部16の肉厚t1が、圧搾面部13の肉厚t2や正面壁部14の肉厚よりも大きくなるように、容易に成形することが可能になる。また、吐出ノズル部21による吐出方向が圧搾面部13側に寄ることで、吐出性を向上させることが可能になると共に、圧搾支持部17側にかかる力を抑制することが可能になる。
【0033】
さらにまた、本実施形態では、圧搾支持部17の側面壁部15は、好ましくは圧搾面部13へのスクイズ方向Xと平行に配置されて設けられている。これによって、側面壁部15の変形を最小減に留めることが可能になって、定量性を向上させることが可能になる。
【0034】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば容器本体は、容量が例えば50~200mL程度の大きさの少ない容量のボトル容器となっている必要は必ずしも無く、これよりも大きな容量のボトル容器となっていても良い。
【符号の説明】
【0035】
10 定量吐出スクイズ容器
11 容器本体
11a 口首部
11b 底部
11c 肩部
12 胴部
13 圧搾面部
13a 斜面部
13b 頂部
13c 裾部
13d 段差側辺部
13e 上辺部段差接続部
13f 下辺部段差接続部
13g 圧搾時に指を押し当てるべき所定の位置
14 正面壁部
15 側面壁部
16 背面壁部
17 圧搾支持部
20 キャップ部材
21 吐出ノズル部
22 キャップ本体
22a 装着スカート部
22b 天面板
23 ヒンジ蓋
23a ヒンジ部
X スクイズ方向
θ 交差角度
t1 圧搾支持部の背面壁部の肉厚
t2 正面壁部の圧搾面部の肉厚
図1
図2
図3
図4
図5