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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/02 20060101AFI20240610BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240610BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240610BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20240610BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240610BHJP
【FI】
G02B5/02 C
F21V5/04 250
G02B3/00 A
G02B5/32
F21Y115:30
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020531752
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 US2018065471
(87)【国際公開番号】W WO2019118736
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-07-29
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】62/599,015
(32)【優先日】2017-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502151820
【氏名又は名称】ヴァイアヴィ・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Viavi Solutions Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【弁理士】
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】ステファン エイチ チャクマクジアン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ マイケル モリス
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドリー ジョン ワード
(72)【発明者】
【氏名】タッソ アール エム セールス
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】関根 洋之
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-520789(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0154250(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0164261(US,A1)
【文献】特表2011-504610(JP,A)
【文献】特表2015-520407(JP,A)
【文献】特表2016-537666(JP,A)
【文献】特表2020-532141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00-5/136,5/18
G02B 1/00-1/08
G02B 3/00-3/14
F21V 1/00-8/00,9/00-15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を受光し該受光した入射光を光パターンで透過させる第1微細構造面と、
前記光パターンを受光し均質化する第2微細構造面と
を備え、前記第1微細構造面が前記第2微細構造面に平行に整列し、
ゴニオメータシステムで測定されたとき、前記第1微細構造面は第1視野を有し、前記第2微細構造面は、前記第1視野の約1/3から1/15の狭さの第2視野を有する
光学系。
【請求項2】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面は第1複数微細構造を含む光学系。
【請求項3】
請求項1に記載の光学系において、前記第2微細構造面は第2複数微細構造を含む光学系。
【請求項4】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面は、それぞれが独立して、マイクロレンズ、サドルレンズ、回折素子、ガウス拡散板、又はホログラフィック拡散板の微細構造を含む光学系。
【請求項5】
請求項1に記載の光学系において、前記第1及び第2微細構造面は、それぞれが独立して光学材料から形成される光学系。
【請求項6】
請求項1に記載の光学系において、前記第2微細構造面は前記第1微細構造面の鏡像である光学系。
【請求項7】
請求項1に記載の光学系において、支持体をさらに備えた光学系。
【請求項8】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面は、30°以上の角度範囲を有する第1視野を有する光学系。
【請求項9】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面は、それぞれが独立してマイクロレンズアレイである光学系。
【請求項10】
請求項1に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面の少なくとも一方に埋込層をさらに備えた光学系。
【請求項11】
請求項10に記載の光学系において、前記埋込層は平面状である光学系。
【請求項12】
請求項10に記載の光学系において、前記埋込層は適合的である光学系。
【請求項13】
請求項7に記載の光学系において、前記第1微細構造面は前記支持体の一方の側にあり、前記第2微細構造面は前記支持体の反対側にある光学系。
【請求項14】
請求項7に記載の光学系において、前記第1微細構造面及び前記第2微細構造面は前記支持体の同じ側にある光学系。
【請求項15】
請求項14に記載の光学系において、前記第1微細構造面は前記第2微細構造面と前記支持体との間に位置決めされる光学系。
【請求項16】
請求項14に記載の光学系において、前記第2微細構造面は前記第1微細構造面と前記支持体との間に位置決めされる光学系。
【請求項17】
請求項1に記載の光学系において、保護層をさらに備えた光学系。
【請求項18】
光源及び請求項1に記載の光学系を備えた照明系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1微細構造面と第2微細構造面とを含み、第1微細構造面が軸に沿って第2微細構造面と整列する光学系に関する。光源及び上記光学系を含む照明系も含まれる。光を拡散させる方法も含まれる。
【背景技術】
【0002】
3次元(3D)イメージング、センシング、及びジェスチャ認識に関する用途では、光学コンポーネントを通常は用いて、通常は約800nm~約1000nmの範囲の波長を有するレーザを伴いプロービング中のシーンにわたって光パターンを投影する。特定の光パターンは、プロービング技術に応じて変わり、投光照明(flood illumination)、周期的な点グリッド、線、縞、市松等の種々の形態をとり得る。
【0003】
拡散板は、回折拡散板及びガウス拡散板等のさまざまな形態をとり得る。マイクロレンズアレイを拡散目的で利用することもできる。
【0004】
拡散板は、レーザ又はLED等のさまざまな光源と共に働くことができる。特に関心が高いレーザ源は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)である。これらのVCSEL源は、小型パッケージへの適合性、出力、及び信頼性から3Dイメージング用途に有用である。このようなVCSELは、アレイ状に配置することができ、例えば、数百個が小さな面積で周期的又はランダムなグリッド上に配置される。アレイ内の各レーザは、実質的にコヒーレントな挙動を示すが、任意所与の2つの光源は、実質的に相互にインコヒーレントである。VCSEL源又はアレイは、単独では3Dイメージング及びセンシング用途で必要な制御された照明を生成するのに適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、拡散板をVCSELアレイと共に用いることに関する問題は、高周波アーチファクトの出現である。投影された照明パターンにおける高周波アーチファクトは、3Dセンシング等の特定の光学用途での性能に問題を引き起こし得る。これらの高周波アーチファクトは、アレイにおける多数のコヒーレントVCSEL源が近接してインコヒーレントに重なることによる。
【0006】
高周波アーチファクトの原因は、以下の論法で理解を深めることができる。光源アレイにおける個々の光源は、拡散板の一部を照明する。こうした理由で、アレイにおける2つの隣接した光源により照明された拡散板の領域間に重なりができる。各光源の出力は、スペックルパターン又は強い回折パターンを特徴とする。アレイにおけるいずれか2つの光源が相互にインコヒーレントなので、総出力は単に各光源からの強度パターンの和により与えられる。多くのこうした同様のスペックル又は回折パターンの累積効果が、高周波イメージアーチファクトの出現を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、第1微細構造面と第2微細構造面とを備え、第1微細構造面が軸に沿って第2微細構造面と整列する光学系が開示される。
【0008】
本発明の別の態様では、光源及び上記光学系を備えた照明系が開示される。
【0009】
本発明の別の態様によれば、光を拡散させる方法であって、光学系の第1微細構造面で入射光を受光するステップと、光学系の第2微細構造面から光を透過させるステップとを含み、透過光は、単一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の高周波アーチファクトを示す方法が開示される。
【0010】
本発明の上記目的、特徴、及び利点は、添付図面に関連して以下の説明を読めばより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による光学系の断面図である。
図2】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図3A】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図3B】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図3C】本発明の別の態様による光学系の概略図である。
図4A】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図4B】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図5】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図6】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図7】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図8】本発明の別に態様による光学系の概略図である。
図9】光源及び光学系を含む照明系の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書の一部に組み込まれてこれを構成する前述の図は、本発明の好ましい実施形態を示すものであり、詳細な説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。図面及び説明の両方が説明のためのものにすぎず、本発明を制限するものではないことが明らかに理解される。
【0013】
上記の概要及び以下の詳細な説明の両方が例示的且つ説明的なものにすぎず、本教示の種々の実施形態の説明を提供するためのものであることを理解されたい。
【0014】
図1を参照すると、本発明は、第1微細構造面2及び第2微細構造面3を含み、第1微細構造面2が軸に沿って第2微細構造面と整列する光学系1に関する。光学系1は支持体7も含み得る。第1微細構造面2が第2微細構造面3と整列すると、これらは実質的に相互に平行になる。別の態様では、第1微細構造面2は、軸に沿って第2微細構造面3と整列しない。
【0015】
単一光源又は光源アレイ等の光源からの照明を拡散させる光学系1が開示される。開示の光学系1は、全透過率への影響を最小限にしつつ高周波アーチファクトを最小化し且つより均一な照明を提供することができる。光学系1は、光源からの照明をパターンに分配するビーム整形面等の第1微細構造面2を含み得る。光学系は、パターンを受光してパターンを集光させる均質化面(homogenizing surface)等の第2微細構造面3も含み得る。
【0016】
視野(FOV)の概念は、光学系1により効果的に照明されている空間領域を指す。FOVは、大抵の場合は強度に関して角度空間で規定され、検出器が光学系1を中心に位置付けた円に沿って走査するゴニオメータシステムで測定される。このように、検出器は、常に光学系1の方を向いた円弧に沿って回転する。例えば強度の代わりに放射照度に基づく、他のFOV規定手法も考えられ得る。このように、光源は光学系1を照明し、光学系は続いて平坦な対象面を照明する。放射照度は、この面と平行に延びる検出器で測定される。実際には、透過型スクリーンが通常は用いられ、その画像がカメラで撮影される。適切なシステム較正を用いて、放射照度を計算し光学系のFOVを特性化することができる。
【0017】
第1微細構造面1は、照明の角度範囲、強度プロファイル、及び第1微細構造面2の微細構造の幾何学的形状により規定される第1視野(FOV)を提供し得る。照明の角度範囲は、2次元に沿って投影され得る。例えば、第1FOVは、y次元に沿って120°、x次元に90°の角度範囲を有することができ、矩形の空間領域を照明する。3Dセンシング用途では、第1FOVは、任意の1次元に沿って約30°以上の角度範囲を有し得る。LIDAR用途では、第1FOVは、任意の1次元に沿って約1°以上の角度範囲を有し得る。
【0018】
第1FOV等の像の強度プロファイルは、ある角度セグメントに沿った等間隔の点から得られた強度値セットである。一態様では、第1FOV内の強度プロファイルは、角度に応じて実質的に均一である。別の態様では、第1FOV内の強度プロファイルは、より多くのエネルギーをいわゆる「バットウィング」プロファイルでより広い角度に集める。別の態様では、第1FOV内の強度プロファイルは、より多くのエネルギーを第1FOVの中心に集める。
【0019】
第2微細構造面3は、高周波アーチファクトを除去又は最小化(実質的に除去)するために第1視野よりも狭い第2視野を有し得る。第2FOVは、第1FOVよりも約1/3~1/15の狭さにすることができるが、正確な値は他の要件に応じて変わり、最良の性能に最適化される必要がある。このような最適化は、モデリングツール又は直接実験により実行することができる。一例として、第1微細構造面2は、約110°×85°のFOVを有することができ、第2微細構造面3は、約5°~約15°の範囲のFOVを有することができる。
【0020】
第2微細構造面3の強度プロファイルは、いずれの方向に沿っても実質的に同じ強度プロファイルで概して等方性であり得る。別の態様では、第2微細構造面3は、2本の直交する軸に沿った第2FOVが異なるアナモルフィックパターンを単独で生成し得る。第2微細構造面3は、第2FOVが第1FOVよりも狭いという基本制約の下で、円形、正方形、矩形、線、十字パターン、点列、又は任意の特定の散乱分布等のパターンも生成し得る。所与の軸に沿った強度プロファイルは、フラットトップ、バットウィング、ガウシアン、又は任意の他の特定の強度プロファイルであり得る。垂直軸に沿った強度プロファイルは、所与の軸に沿ったプロファイルとは異なっていてもそうでなくてもよい。
【0021】
一態様では、光学系1は、2つの反対向きの微細構造面を含み得る。一態様では、図1に示すように、光学系1は、支持体7の一方の側に第1微細構造面2、支持体7の反対側に第2微細構造面3を含み得る。各微細構造面2、3は、パターンを形成し得る複数の微細構造を含み得る。第1微細構造面2は光源を向き得る。第2微細構造面3は、例えば図9に示すように、光源8と反対側を向き得る。
【0022】
別の態様では、光学系1は、それぞれが同じ方向を向いて光学系1の支持体7の同じ側に位置付けられた第1微細構造面2及び第2微細構造面3を含み得る。例えば、図5に示すように、第1微細構造面2及び第2微細構造面3は、両方が支持体7の同じ側にあり得る。第1微細構造面2は、第2微細構造面3と支持体7との間に位置付けられ得る。別の態様では、第2微細構造面3が、第1微細構造面2と支持体7との間に位置付けられ得る(図示せず)。いずれの変形形態でも、光源が支持体7側又は微細構造面側にあり得る。
【0023】
第1微細構造面2は、第1複数微細構造を含み得る。第2微細構造面3は、第2複数微細構造を含み得る。第1及び第2微細構造面2、3は、それぞれが独立して、マイクロレンズ拡散板、サドルレンズ拡散板、回折素子、すりガラス等のガウス拡散板、又はホログラフィック拡散板等の微細構造を含む。
【0024】
図2を参照すると、第1微細構造面2は、軸に沿って第2微細構造面3と整列し得る。一態様では、第1複数微細構造の各微細構造が、入射光のかなりの部分を第2微細構造面3の微細構造の開口にわたって集束させ得る。第2微細構造面3は、第1微細構造面2の鏡像であり得る。この特定の構成は、通常は「フライアイ」レンズと称される。
【0025】
アレイにおけるマイクロレンズ等の個々の微細構造のサイズは、約10μm~約100μmの範囲にあり得る。
【0026】
第2微細構造面3の微細構造は、第1微細構造面2の微細構造と同等以下のサイズ及び形状であり得る。第1微細構造面2及び第2微細構造面3のそれぞれの微細構造は、周期的なアレイ状に分配され得るか又はランダムに分配され得る。例えば、第1微細構造面2及び第2微細構造面3は、それぞれが独立してマイクロレンズアレイであり得る。
【0027】
図3A図3Cを参照すると、光学系1は、それぞれが独立して光学材料から形成された第1微細構造面2、第2微細構造面3、及び支持体7を含み得る。光学材料の非限定的な例として、Borofloat等のガラス、UV硬化ポリマー、成形ポリマー、又はエンボス加工ポリマー等の高分子材料、石英ガラス、シリコン等のIR材料、アモルファスシリコン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。高分子材料は、例えばポリカーボネート又はアクリルであり得る。光学材料は、屈折率が1.5よりも大きな材料等の高屈折率材料であり得る。
【0028】
図3Aに関して、第1微細構造面2は、高分子材料から形成されることができ、微細構造として複数のマイクロレンズ拡散板を含む。支持体7は、ホウケイ酸ガラス製であり得る。第2微細構造面3は、支持体材料7に直接形成された複数のすりガラス微細構造を含み得る。
【0029】
図3Bに関して、第1微細構造面2は、高分子材料から形成されることができ、複数のマイクロレンズ拡散板及びすりガラス微細構造を含む。支持体7は、ホウケイ酸ガラス製であり得る。第2微細構造面3は、支持体材料7に形成された複数のすりガラス微細構造を含み得る。
【0030】
図3Cに関して、第1微細構造面2、支持体7、及び第2微細構造面3があり、これらの全てが、例えば熱エンボス加工又は成形プロセスにより形成され得るような同じ材料から形成される。
【0031】
一態様では、光学系1は単一の光学材料から形成され得る。別の態様では、光学系1は異なる材料から形成され得る。例えば、第1微細構造面2及び第2微細構造面3のそれぞれを高分子材料製とすることができ、支持体7をガラス材料製とすることができる。図6に示すように、第1微細構造面2及び支持体7は、同じ光学材料から形成され、すなわちモノリシックである。図7に示すように、第1微細構造面2、支持体7、及び第2微細構造面3は、同じ光学材料から形成される。光学系1が第1微細構造面2及び第2微細構造面3を含む限り、光学系1の部品及び光学材料のあらゆる組み合わせが許容可能である。
【0032】
光学系1の全厚は、パッケージング要件及び利用材料に応じて約0.1mm~約2mmの範囲にあり得る。一例として、支持体7は厚さ約0.3mのホウケイ酸ガラスであり得る一方で、両側の微細構造は厚さ約20μm~約120μmの範囲のUV硬化プロセスにより作製された高分子材料からなり得ることにより、約0.34mm~約0.54mmの範囲の全厚となる。別の例では、少なくとも一方の微細構造面2、3がアモルファスシリコンを含み得ることにより、アモルファスシリコン材料は屈折率が高いことから層を薄くすることができるので、約0.32mm~約0.44mmの範囲の全厚となる。
【0033】
第1微細構造面2は、材料、微細構造設計、及び製造プロセスに応じて、約0.5ミクロン~約120ミクロン、例えば約0.75ミクロン~約100ミクロン、さらに別の例として約1ミクロン~約90ミクロンの範囲の厚さを有し得る。厚さは、基部(平面部分)及び微細構造化される部分を含み得る。
【0034】
支持体7は、約0.02mm~約2mm、例えば約0.05mm~約1.6mm、さらに別の例として約0.1mm~約1.8mmの範囲の厚さを有し得る。
【0035】
第2微細構造面3は、材料、微細構造設計、及び製造プロセスに応じて、約0.5ミクロン~約120ミクロン、例えば約0.75ミクロン~約100ミクロン、さらに別の例として約1ミクロン~約90ミクロンの範囲の厚さを有し得る。厚さは、基部(平面部分)及び微細構造化される部分を含む。
【0036】
本発明の光学系1は、種々の物理形式をとり得る。図4Aに示すように、光学系1は埋込層4をさらに含み得る。埋込層4は、第1微細構造面2及び第2微細構造面3の少なくとも一方にあり得る。図4Aに示すように、埋込層4は平面状であり得る。平面状埋込層4は、光学系1のパッケージングの小型化を可能にすることができる。一態様では、図4Bに示すように、埋込層4は適合的(conforming)であり得る、すなわち微細構造面の微細構造に適合し得る。適合的埋込層4は、光学系1の耐久性を向上させることができる。光学系1は、平面状埋込層4、適合的埋込層、及びそれらの組み合わせを含み得る。一態様では、光学系1は、1つの埋込層、2つの埋込層等を含み得る。埋込層の数、タイプ、及び材料のあらゆる置き換えが考えられる。埋込層4は、約1ミクロン~約100ミクロンの範囲の厚さを有し得る。
【0037】
埋込層4は、第1及び/又は第2微細構造面2、3を保護することができるとともに、微細構造面の屈折率整合につながり得る汚染を防止することができる。屈折率整合が起こるのは、流体等の何らかの物質が微細構造面2、3を覆って微細構造面2、3の正しい動作を阻止する場合である。埋込層としての使用に適した材料の非限定的な例として、ポリマー、石英ガラス、及びアモルファスシリコンが挙げられる。
【0038】
埋込層4は、表面反射を低減して光の透過を増加させる反射防止コーティングでもあり得る。一態様では、埋込層4は単層である。別の態様では、埋込層4は複数の層等の少なくとも1つの層である。2つ以上の埋込層4が光学系1にある場合、各埋込層4は、同じ材料又は異なる材料を含み得る。
【0039】
図8を参照すると、第1微細構造面2は平面状埋込層4に埋め込まれる。第2微細構造面3は、反射防止層等の適合的保護層5を伴った平面状埋込層4に埋め込まれる。保護層5は、TiO、SiO、MgF、ITO、CaF等の材料から形成され得る。
【0040】
一態様では、光学系1は、支持体7の各側に2つ以上の微細構造面2、3を含み得る。例えば、光学系は、支持体7のうち光源からの照明を受光する側に第2微細構造面3及び第1微細構造面2を含むことができ、支持体7のうち光を透過させる側に付加的な第1微細構造面2及び付加的な第2微細構造面3を含むことができる。光学系1は、支持体7の両側に微細構造面2、3の任意の組み合わせを含み得る。さらに、光学系1は、支持体7の両側に埋込層4(平面状及び/又は適合的)の任意の組み合わせを含み得る。
【0041】
光学系1は、成形、エッチング、研削、グレースケールリソグラフィ等の技術を用いて形成され得る。光学系の形成に用いられる技術は、FOV、光学材料、予想される光源のタイプ等にある程度応じて変わり得る。
【0042】
図9を参照すると、開示の光学系1及び光源8を含む照明系10がさらに開示される。光源8は、光源アレイ11であって、アレイ内の各光源が実質的にコヒーレントだが、アレイにおけるいずれか2つの光源が相互に実質的にインコヒーレントなものであり得る。一例は、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)アレイである。アレイ内の個々の光源の配置の柔軟性はかなり高く、概して周期的だがランダム又は疑似ランダムでもある。アレイにおける各光源は、1/eの全幅が約10°~約30°であり得るビーム広がりでコヒーレントであり得る。
【0043】
別の態様では、光源8は、レーザ等の単一光源であり得る。
【0044】
照明系10は、コンシューマタイプの装置及び他の小型形式のパッケージ製品に特有であるように、小型且つ小さな体積に組み込むのに適したものであり得る。照明系10の用途は、数ある中でも特に、3次元(3D)イメージング、デプスセンシング、ジェスチャ認識、自動車、セルラー通信装置、マシンビジョン、及びLIDARであり得る。
【0045】
光を拡散させる方法であって、光学系1の第1微細構造面2で入射光を受光するステップと、光学系1の第2微細構造面3から光を透過させるステップとを含み、透過光は、単一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の高周波アーチファクトを示す方法も開示される。特に、本方法は、入射光を送る光源を設けることを含み得る。光学系1の第1微細構造面2は、入射光を受光することができ、受光した入射光を光パターンの形態で光学系1の第2微細構造面3に向けて透過させることができる。第2微細構造面3は、透過光パターンを受光し、透過光パターンを均質化し、且つ最小の高周波アーチファクトを示す均質化された透過光パターンを透過させることができる。
【0046】
この方法は、図1に示す光学系に関して説明されているが、光源が光学系1のいずれかの側に配置され得ると共に、透過光が単一の微細構造面のみを含む光学系と比べて最小の高周波アーチファクトを示す、図に開示された光学系1のいずれかで実行することができる。
【0047】
上記説明から、本教示がさまざまな形態で実施され得ることが当業者には理解できる。したがって、これらの教示は特定の実施形態及びそれらの実施例に関連して記載されたが、本教示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。種々の変形及び変更を本明細書中の教示の範囲から逸脱せずに行うことができる。
【0048】
本範囲開示は広義に解釈されるものとする。本開示は、本明細書に開示される装置、動作、及び機械的作用を達成するための等価物、手段、システム、及び方法を開示することが意図される。開示された各構成(composition)、装置、物品、方法、手段、機械的要素、又は機構について、本開示は、本明細書に開示された多くの態様、機構、及び装置を実施するための等価物、手段、システム、及び方法をその開示に包含し且つ教示することも意図される。さらに、本開示は、一構成及びその多くの態様、特徴、及び要素を考慮する。このような構成は、その使用及び動作が動的なものとすることができ、本開示は、製造対象の構成及び/又は光学装置の使用の等価物、手段、システム、及び方法と、本明細書に開示された動作及び機能の説明及び趣旨と一致するその多くの態様とを包含することが意図される。本願の特許請求の範囲も同様に広義に解釈されるものとする。本明細書中の本発明の説明は、その多くの実施形態が本質的に例示的なものにすぎず、したがって本発明の要旨から逸脱しない変形形態は、本発明の範囲内にあることが意図される。このような変形形態は、本発明の趣旨及び範囲からの逸脱とみなされないものとする。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9