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特許7500430ハロゲン化アルカンの触媒化脱ハロゲン化水素によりハロゲン化アルケンを生成する方法
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  • 特許-ハロゲン化アルカンの触媒化脱ハロゲン化水素によりハロゲン化アルケンを生成する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】ハロゲン化アルカンの触媒化脱ハロゲン化水素によりハロゲン化アルケンを生成する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/25 20060101AFI20240610BHJP
   C07C 21/04 20060101ALI20240610BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240610BHJP
【FI】
C07C17/25
C07C21/04
C07B61/00 300
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020554214
(86)(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 US2019025336
(87)【国際公開番号】W WO2019195250
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】62/652,097
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515160552
【氏名又は名称】ブルー キューブ アイピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティアトウィッドジョジョ、マックス
(72)【発明者】
【氏名】セル、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ココット、マンフレッド
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー、ジョン・ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ピータース、アニャ
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-515912(JP,A)
【文献】特表2017-531696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン化アルケンを製造する方法であって、前記方法が、
a)無水液体反応混合物を反応器内で調製すること、ここで、前記反応混合物は、少なくとも1つのハロゲン化アルカン、少なくとも1つの金属塩を含む少なくとも1つの均一系触媒及び任意に溶媒を含み;前記反応混合物中の均一系触媒の濃度は、本工程の成分の総重量を基準として0.005重量%未満であり、
b)前記反応混合物を加熱して、少なくとも1つのハロゲン化アルケン、軽質副生成物及び重質副生成物を形成すること、ここで、本工程は、前記少なくとも1つのハロゲン化アルカンから前記少なくとも1つのハロゲン化アルケンへの転換率が60%を超えるまで、150℃超の温度で実施され、
c)前記ハロゲン化アルケンを分離すること、並びに
d)前記重質副生成物を処分すること、を含む、方法。
【請求項2】
前記ハロゲン化アルカンが塩素化アルカンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記塩素化アルカンが、2~6個の炭素原子及び少なくとも1個の塩素原子を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩素化アルカンが塩素化プロパンを含み、任意に、前記塩素化プロパンが、二塩素化プロパン、三塩素化プロパン、四塩素化プロパン、五塩素化プロパン、六塩素化プロパン又はそれらの組合せを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記塩素化プロパンが、1,1,1,3-テトラクロロプロパン(250FB)、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(240DB)又は1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(240FA)を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲン化アルケンが塩素化アルケンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記塩素化アルケンが、2~6個の炭素原子及び前記塩素化アルカンよりも1個少ない塩素原子を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記塩素化アルケンが塩素化プロペンであり、任意に、前記塩素化プロペンが、一塩素化プロペン、二塩素化プロペン、三塩素化プロペン、四塩素化プロペン、五塩素化プロペン又はそれらの組合せを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記塩素化アルケンが、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン若しくはそれらの組合せ、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン若しくはそれらの組合せ、又は1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン若しくはそれらの組合せを含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記均一系触媒が、アルミニウム塩、ビスマス塩、クロム塩、コバルト塩、銅塩、ガリウム塩、金塩、インジウム塩、鉄塩、鉛塩、マグネシウム塩、マンガン塩、水銀塩、ニッケル塩、白金塩、パラジウム塩、ロジウム塩、サマリウム塩、スカンジウム塩、銀塩、チタン塩、スズ塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩及びそれらの組合せを含む群から選択される金属塩を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記均一系触媒が、鉄塩である金属塩を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒がアルコールを含み、任意に、前記アルコールが、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール又はそれらの組合せを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が前記ハロゲン化アルカンを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が101.3kPa(0psig)超の圧力で実施されるか、又は前記方法が101.3kPa(0psig)未満の圧力で実施される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記均一系触媒が少なくとも1つの溶媒に溶解した金属塩を含み、任意に、前記金属塩がFeClを含み、かつ、前記少なくとも1つの溶媒がメタノールを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ハロゲン化アルケンがフッ素化生成物に転化される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、脱塩化水素法を使用してハロゲン化アルカンからハロゲン化アルケンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塩素化アルケンは、農産物、医薬品、洗浄溶媒、ゴム、シリコン、及び冷却剤を含む多くの製品にとって有用な中間体である。
【0003】
塩素化アルケンを生成する方法は、脱塩化水素法において塩素化アルカンと水性塩基とを接触させることを含む。一般に、これらの方法は効率的であるが、これらは、有機相と水相との混和性をもたらすために、アルコールなどの共溶媒を必要とする。共溶媒を用いない方法が開発されているが、これらは、非効率的であり、塩素化アルケンの収率を低下させるさらなる分離ステップを必要とする。さらに、一般に、脱塩化水素法の副生成物である水性塩化ナトリウムがこの方法から取り除かれることから、この方法の廃棄物量が増加する。
【0004】
上記の塩基脱塩化水素法の改善には、少量の相間移動触媒が用いられる。相間移動触媒により、有機相と水相との混和性がもたらされ、この方法の反応速度が向上される。相間移動触媒のコストを理由に、相間移動触媒を添加することにより生産規模で塩素化アルケンを生成する際の全体的なコストが増加する。この方法の完了時には、相間移動触媒は、通常取り除かれ、廃棄される。
【0005】
ルイス酸を用いて塩素化アルカンを脱塩化水素化する方法が開発された。特開昭49-66613号公報には、80℃~95℃の温度で固体状の0.1~0.3重量%のFeClを用いて1,1,1,3-テトラクロロプロパンから1,1,3-トリクロロプロペンを生成する方法が教示及び開示されている。FeClは、この方法の適切な反応速度を確実にするために、塩素化アルカンと入念に混合される必要がある。米国特許第8,877,991号には、1,1,1,3-テトラクロロプロパンから1,1,3-トリクロロプロペンを生成する方法が開示されている。この特許には、120℃の温度で、0.4重量%までの水を添加して、0.08重量%のFeClを用いることが教示及び開示されている。さらに、この特許には、水を添加すると、この方法の選択率が改善されるが、転化率は約30%に低下することが開示されている。米国特許第8,889,927号には、1,1,3-トリクロロプロペン及び/又は3,3,3-トリクロロプロペンを製造する方法が教示及び開示されている。この特許には、50℃~140℃の範囲のプロセス温度で、0.03~0.11重量%のFeCl、0.001~5.0重量%のテトラクロロペンタン異性体を用いることが教示及び開示されており、ここで、トリクロロプロペン異性体の重量%は、高い選択率を伴って、40~70重量%の範囲にある。
国際公開第2015/175791号には、1,1,3,3-テトラクロロプロペンを製造する方法が開示されており、この方法は、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンを脱塩化水素化することを含む。
【0006】
少量の触媒を用いてハロゲン化アルケンを製造するための、高い選択率でハロゲン化アルケンを製造するための、高い収率でハロゲン化アルケンを製造するための、かつこの方法における物質の容易な分離及び再循環を可能にするための方法を開発することが望まれるだろう。
【発明の概要】
【0007】
本明細書では、ハロゲン化アルカンの脱ハロゲン化水素反応によりハロゲン化アルケンを製造及び単離する方法が提供される。本方法は、a)無水液体反応混合物を反応器内で調製することであって、反応混合物が、ハロゲン化アルカンと、均一系触媒と、任意に溶媒とを含み;反応混合物中の均一系触媒の濃度は、この工程の成分の総重量を基準として0.005重量%未満である、調製することと、b)反応混合物を加熱して、ハロゲン化アルケン、軽質副生成物、及び重質副生成物を形成することであって、この工程が100℃超の温度で実施される、形成することと、c)ハロゲン化アルケンを反応混合物の内容物から分離することと、d)重質副生成物を処分することとを含む。
【0008】
ある態様では、本方法は、1,1,1,3-テトラクロロプロパンの脱塩化水素反応を介した、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン、及びそれらの組合せの製造及び単離の方法であってもよい。本方法は、a)無水液体反応混合物を反応器内で調製することであって、反応混合物が、1,1,1,3-テトラクロロプロパンと、均一系触媒と、任意に溶媒とを含み;反応混合物中の均一系触媒の濃度は、この工程の成分の総重量を基準として0.005重量%未満である、調製することと、b)反応混合物を加熱して、ハロゲン化アルケン、軽質副生成物、及び重質副生成物を形成することであって、この工程が100℃超の温度で実施される、形成することと、c)ハロゲン化アルケンを反応混合物の内容物から分離することと、d)重質副生成物を処分することとを含む。
【0009】
ある態様では、本方法は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンの脱塩化水素反応を介して、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン、及びそれらの組合せを製造及び単離する方法であってもよい。本方法は、a)無水液体反応混合物を反応器内で調製することであって、応混合物が、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンと、均一系触媒と、任意に溶媒とを含み;反応混合物中の均一系触媒の濃度は、この工程の成分の総重量を基準として0.005重量%未満である、調製することと、b)反応混合物を加熱して、ハロゲン化アルケン、軽質副生成物、及び重質副生成物を形成することであって、この工程が100℃超の温度で実施される、形成することと、c)ハロゲン化アルケンを反応混合物の内容物から分離することと、d)重質副生成物を処分することとを含む。
【0010】
ある態様では、本方法は、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンの脱塩化水素反応を介して、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン、及びそれらの組合せを製造及び単離する方法であってもよい。本方法は、a)無水液体反応混合物を反応器内で調製することであって、反応混合物が、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンと、均一系触媒と、任意に溶媒とを含み;反応混合物中の均一系触媒の濃度は、この工程の成分の総重量を基準として0.005重量%未満である、調製することと、b)反応混合物を加熱して、ハロゲン化アルケン、軽質副生成物、及び重質副生成物を形成することであって、この工程が100℃超の温度で実施される、形成することと、c)ハロゲン化アルケンを反応混合物の内容物から分離することと、d)重質副生成物を処分することとを含む。
【0011】
本発明の他の特徴及び反復は、以下でより詳細に記載される。
【0012】
本特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。
【0013】
以下の図は、本発明の非限定的な実施形態を図示している。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】1,1,1,3-テトラクロロプロパンの転化率%に対する1,1,3-トリクロロプロペンの選択率%を示すグラフ表示である。
図2】150℃及び1気圧で維持された連続撹拌反応器内での、稼働時間に対する1,1,1,3-テトラクロロプロパンの転化率%を示すグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ハロゲン化アルケンを製造及び単離する方法が本明細書に開示されている。一般的には、本方法は、下記の条件における少なくとも1つのハロゲン化アルカンと均一系触媒との間の無水液相反応を含む。
【0016】
すべての実施形態において、反応器内の無水液体反応混合物は、少なくとも1つのハロゲン化アルカンと均一系触媒とを接触させることにより製造される。均一系触媒は、少なくとも1つの金属塩と任意に少なくとも1つの溶媒とを含む。無水液体反応混合物が加熱されると、少なくとも1つの塩素化アルケン、軽質副生成物、及び重質副生成物が形成される。少なくとも1つの塩素化アルケンの分離後に、重質副生成物は処分される。
【0017】
他の従来の方法に比べて、これらの方法は、収率、サイクル時間、選択率、廃棄物削減率及び低い製造コストにおける改善をもたらすと示されている。本発明の別の態様において、少なくとも1つのハロゲン化アルケンが取り出された後に、未反応の又は余分な少なくとも1つの塩素化アルカン及び任意の溶媒が再循環させられて本方法に戻されてもよく、それにより効率が増す。本発明のさらなる態様では、無水HClである、本方法からの価値のある副生成物を捕捉してもよく、他の方法で用いること、又は市販することが可能である。
【0018】
(I) ハロゲン化アルケンを製造する方法
本開示の一態様は、ハロゲン化アルケンを製造する方法を包含する。本方法は、少なくとも1つのハロゲン化アルカンと、少なくとも1つの均一系触媒とを含む無水液体反応混合物を反応器内で調製することであって、少なくとも1つの均一系触媒が、少なくとも1つの金属塩と、任意に溶媒とを含み;反応混合物中の均一系触媒の濃度は、この工程の成分の総重量を基準として0.005重量%未満である、調製することと、b)無水液体反応混合物を加熱して、少なくとも1つのハロゲン化アルケン、軽質副生成物、及び重質副生成物を形成することであって、この工程が100℃超の温度で実施される、形成することと、c)少なくとも1つのハロゲン化アルケンを無水液体反応混合物から分離することと、d)重質副生成物を処分することとを含む。少なくとも1つの均一系触媒を用いることにより、より低い資本コストが実現され、したがって、全体的な製造コストがより低くなる。
【0019】
(a) 無水液相反応混合物
本方法は、無水液相反応混合物を製造することにより始まる。無水液相反応混合物は、少なくとも1つのハロゲン化アルカンと少なくとも1つの均一系触媒とを接触させることを含む。均一系触媒は、少なくとも1つの金属塩と任意に溶媒とを接触させることにより製造される。
【0020】
(i) 少なくとも1つのハロゲン化アルカン
本方法では、多様なハロゲン化アルカンを使用することができる。一実施形態において、ハロゲン化アルカンは塩素化アルカンであってもよく、塩素化アルカンは、2~6個の炭素原子と少なくとも1個の塩素原子とを含み、ここでは、3個の炭素原子と少なくとも1個の塩素原子とを含む塩素化アルカンが好ましい。本方法で使用され得る塩素化アルカンの非限定的な例は、塩素化エタン、塩素化プロパン、塩素化ブタン、塩素化ペンタン、塩素化ヘキサン、又はそれらの組合せであり得る。塩素化アルカンの非限定的な例は、塩化エチル、1,2-ジクロロエタン、1,1,2,2-テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,1-ジクロロプロパン、1,2-ジクロロプロパン、1,3-ジクロロプロパン、1,1,1-トリクロロプロパン、1,1,2-トリクロロプロパン、1,2,2-トリクロロプロパン、1,2,3-トリクロロプロパン、1,1,1,2-テトラクロロプロパン、1,1,2,2-テトラクロロプロパン、1,1,1,3-テトラクロロプロパン、1,1,2,3-テトラクロロプロパン、1,1,3,3-テトラクロロプロパン、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,1,2,2-ペンタクロロプロパン、1,1,2,3,3-ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサクロロプロパン、1,1,2,2,3,3-ヘキサクロロプロパン、又はそれらの組合せであり得る。好ましい実施形態において、塩素化プロパンは、1,1,1,3-テトラクロロプロパン、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン、1-クロロブタン、2-クロロブタン、1,2-ジクロロブタン、1,4-ジクロロブタン、1,1,2-ジクロロブタン、1,1,1-トリクロロブタン、1,2,3-トリクロロブタン、1,2,4-トリクロロブタン、1,1,1,3-テトラクロロブタン、1,2,3,4-テトラクロロブタン、2,2,3,3-テトラクロロブタン、1,1,1,3,3-ペンタクロロブタン、1,1,2,2,4-ペンタクロロブタン、1,1,2,3,4-ペンタクロロブタン、1,1,2,3,4,4-ヘキサクロロブタン、1,1,2,2,3,3-ヘキサクロロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサクロロブタン、1-クロロペンタン、2-クロロペンタン、3-クロロペンタン、1,1-ジクロロペンタン、2,3-ジクロロペンタン、3,3-ジクロロペンタン、1,5-ジクロロペンタン、1,2,3-トリクロロペンタン、1,2,5-トリクロロペンタン、1,3,5-トリクロロペンタン、1,1,5-トリクロロペンタン、1,1,1,5-テトラクロロペンタン、1,1,2,5-テトラクロロペンタン、1,1,1,2-テトラクロロペンタン、1,1,3,3-テトラクロロペンタン、2,2,4,4-テトラクロロペンタン、1,1,1,2,3,3-ヘキサクロロペンタン、1,1,1,3,3,5-ヘキサクロロペンタン、1,1,1,3,5,5-ヘキサクロロペンタン、1,1,1,3,3,4,4-ヘプタクロロペンタン、1,1,1,3,3,5,5-ヘプタクロロペンタン、1,1,1,3,3,5,5,5-オクタクロロペンタン、1,1,1,2,2,3,3,4,5-ノナクロロペンタン、1-クロロヘキサン、3-クロロヘキサン、1,6-ジクロロヘキサン、1,1-ジクロロヘキサン、1,2-ジクロロヘキサン、1,2,6-トリクロロヘキサン、1,2,3-トリクロロヘキサン、1,1,1,2-テトラクロロヘキサン、1,1,1,3-テトラクロロヘキサン、1,2,5,6-テトラクロロヘキサン、1,1,2,2-テトラクロロヘキサン、1,2,3,4,5-ペンタクロロヘキサン、1,1,1,3,6-ペンタクロロヘキサン、1,2,4,4,6-ペンタクロロヘキサン、1,1,1,3,6-ペンタクロロヘキサン、又はそれらの組合せであり得る。好ましい実施形態において、ハロゲン化アルカンは塩素化プロパンであり得る。好ましい塩素化プロパンの非限定的な例は、250FBとしても知られる1,1,1,3-テトラクロロプロパン、240DBとしても知られる1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン、240FAとしても知られる1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン、又はそれらの組合せを含み得る。
【0021】
これらの塩素化アルカンを製造するための1つの方法は、テロメリゼーション法によるものである。本方法では、四塩化炭素(Tet)と、アルケン又は塩素化アルケンと、金属鉄、塩化第二鉄及び/又は塩化第一鉄を含む触媒系と、トリアルキルホスファート及び/又はトリアルキルホスファイトとが接触させられて、塩素化アルカンが生成される。実例としては、エチレンをモノマーとして上記のテロメリゼーション法において使用すると、テトラクロロプロパン又はペンタクロロプロパンが得られる。塩化ビニルをモノマーとして使用すると、ペンタクロロプロパンが得られるだろう。当業者であれば、塩素化アルカンを製造するための他の方法を容易に把握する。
【0022】
ハロゲン化アルカンは、粗製(テロメリゼーション反応からの未精製生成物)であっても、当業者に知られている手段により部分的に精製されていても、又は完全に精製されていてもよい。粗製の又は部分的に精製されたハロゲン化アルカンは、トリアルキルホスファート、トリアルキルホスファイト、水酸化鉄、軽質副生成物、及び重質副生成物をさらに含み得る。
【0023】
(ii) 少なくとも1つの均一系触媒
本方法では、均一系触媒が使用されてもよい。本明細書で使用される場合、「均一系触媒」という用語は、少なくとも1つの溶媒に溶解した遷移金属塩を指す。本明細書に記載の均一系触媒には、配位子(ホスファート又はホスファイトなど、例えばトリブチルホスファート)又は助触媒(フリーラジカル発生剤など、例えばAIBN)が用いられない。金属塩の非限定的な例は、アルミニウム塩、ビスマス塩、クロム塩、コバルト塩、銅塩、ガリウム塩、金塩、インジウム塩、鉄塩、鉛塩、マグネシウム塩、マンガン塩、水銀塩、ニッケル塩、白金塩、パラジウム塩、ロジウム塩、サマリウム塩、スカンジウム塩、銀塩、チタン塩、スズ塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩、及びそれらの組合せであり得る。好ましい実施形態において、遷移金属塩は鉄塩であってもよい。適切な遷移金属塩において使用されるアニオンの非限定的な例としては、アセタート、アセチルアセトナート、アルコキシド、ブチラート、カルボニル、ジオキシド、ハライド、ヘキサノアート、ヒドリド、メシラート、オクタノアート、ニトラート、ニトロシルハライド、ニトロシルニトラート、スルファート、スルフィド、スルホナート、ホスファート、及びそれらの組合せが挙げられ得る。適切な遷移金属塩の非限定的な例は、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、臭化鉄(III)、及び酸化鉄(III)であり得る。好ましい実施形態において、遷移金属塩は、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、又はそれらの組合せであり得る。別の好ましい実施形態において、均一系鉄触媒はFeClを含む。
【0024】
当業者により理解されているように、均一系触媒は、本方法に入ると、酸化及び/又は還元され、様々な酸化状態の活性化された触媒種を生成することができる。これらの活性鉄触媒種の酸化状態は変化してもよく、例えば、(I)、(II)及び(III)であってもよい。一態様において、活性鉄触媒はFe(I)の酸化状態にあってもよい。別の態様において、活性鉄触媒はFe(II)であってもよい。さらなる別の態様において、活性鉄触媒はFe(III)の酸化状態にあってもよい。さらなる態様において、活性鉄触媒は、Fe(I)とFe(II)との混合物を含んでいてもよい。さらなる別の態様において、活性鉄触媒は、Fe(I)及びFe(III)の酸化状態の混合物を含んでいてもよい。さらなる別の態様において、活性鉄触媒は、Fe(II)及びFe(III)の酸化状態にあってもよい。別の態様において、活性鉄触媒は、Fe(I)、Fe(II)及びFe(III)の酸化状態にあってもよい。さらなる別の実施形態において、電気化学セルを用いて、本方法におけるFe(I)、Fe(II)及びFe(III)の比を調整してもよい。遷移金属は実質的に乾燥しており、すなわち、これは1000ppm未満の含水量を有する。
【0025】
応混合物中の均一系触媒の濃度は、本方法の成分の総重量を基準として、0.005重量%未満である
【0026】
(iii) 任意の無水溶媒
本方法では、任意の無水溶媒が使用されてもよい。この溶媒は、本明細書において定義されているように、本方法に関与しない。任意の無水溶媒は、非極性であっても、極性であってもよい。適切な溶媒の非限定的な例は、脂肪族溶媒、ハロゲン化脂肪族溶媒、芳香族溶媒、ハロゲン化芳香族溶媒、エーテル溶媒、アミド溶媒、アルコール溶媒、スルホキシド溶媒、又はそれらの組合せであり得る。一実施形態において、任意の無水溶媒はアルコール溶媒であり得る。無水アルコール溶媒の非限定的な例は、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、又はそれらの組合せであり得る。一実施形態において、溶媒はメタノールを含む。別の実施形態において、無水溶媒は、本方法において用いられるハロゲン化アルカンである。無水溶媒は実質的に乾燥しており、すなわち、これは1000ppm未満の含水量を有する。好ましい実施形態において、均一系触媒は、反応器に添加される前に、無水メタノール中に溶解させられる。別の好ましい実施形態において、均一系触媒は、1,1,1,3-テトラクロロプロパン又は1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンなどのハロゲン化アルカン中に溶解させられる。典型的に、無水溶媒は、2000ppm未満、1000ppm未満、500ppm未満又は250ppmの含水量を有する。
【0027】
(b) 反応条件
一般的には、塩素化アルケンを生成する方法は、塩素化アルケン生成物の効果的な高収率の製造を可能にするための方法条件で脱塩化水素反応を行うことを含む。
【0028】
本方法は、少なくとも1つの塩素化アルカン(精製されたもの、部分的に精製されたもの、又は未精製のもののいずれか)と、少なくとも1つの均一系触媒と、任意に溶媒とを接触させることにより開始する。本方法のこれらの成分は、任意の順序で本方法に添加されてもよい。
【0029】
本方法の温度は、少なくとも1つの塩素化アルカンの純度と、選択される均一系触媒と、選択される任意の溶媒とに応じて変動し得て、かつ変動するだろう。本法は、100℃超の温度で実施される。様々な実施形態において、本方法の温度は、110℃超、120℃超、130℃超、140℃超又は150℃超であってもよい
【0030】
本方法の圧力は、101.3kPa(0psig超であり得る。様々な実施形態において、本方法の圧力は、101.3kPa(0psig超、446.1kPa(50psig超、790.8kPa(100psig超、1480.3kPa(200psig超、6996kPa(1000psig超又は13891kPa(2000psig超であり得る。好ましい実施形態において、本方法の圧力を、沸騰床(液体混合物の蒸気圧が、液体生成物が沸騰し始める反応器圧力と同じである)状態が得られるように調整してもよい。代替的な実施形態において、圧力は101.3kPa(0psig未満である。
【0031】
一般に、クロマトグラフィー(例えば、GC)などの当業者に知られている任意の方法により決定されるように、反応が完了するまで反応を十分な時間にわたり進行させる。反応の持続時間は、5~12時間の範囲にあり得る。いくつかの実施形態において、反応の持続時間は、5~10時間、30分~9時間、1時間~8時間又は4時間~7時間の範囲にあり得る。
【0032】
当業者により理解されるように、上記の方法は、バッチモードで実行されても、又は連続モードで実行されてもよく、ここでは、連続モードが好ましい。別の実施形態において、連続モードの本方法を、当業者により理解されるように、様々な方法で撹拌してもよい。
【0033】
上記の方法に供給された塩素化アルカンは、少なくとも60%の転化率で、塩素化アルケン異性体に転化させることができる。様々な実施形態において、塩素化アルケン異性体への塩素化アルカンの転化率は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、及び少なくとも99%であり得る。
【0034】
(II) 本方法の生成物溶出流の分離及び再循環
本方法の次のステップは、ハロゲン化アルケンと、均一系触媒と、任意の溶媒と、より軽質の副生成物と、より重質の副生成物と、未反応の塩素化アルカン出発物質とを生成物溶出流として含む無水液体反応混合物から、精製されたハロゲン化アルケンを分離することを含む。本方法で使用されるハロゲン化アルカンの純度に応じて、無水液相反応混合物中のさらなる成分は、トリアルキルホスファート、トリアルキルホスファイト、及び水酸化鉄であってもよい。
【0035】
この分離法は、無水液相反応混合物の一部を分離器又は複数の分離器に移すことにより始まる。様々な実施形態において、第1の分離器及び第2の分離器のうちの少なくとも1つは、蒸留カラム又は多段蒸留カラムであってもよい。さらに、第1の分離器及び第2の分離器のうちの少なくとも1つは、再沸器、底部段(bottom stage)、又はそれらの組合せをさらに含んでいてもよい。様々な蒸留カラムがこのキャパシティー内で使用されてもよい。一実施形態において、中間段からの出口流をもたらす側部抜取カラム若しくは蒸留カラム、又は分割壁カラム(分割壁カラム(DWC)は、3つ以上の成分の混合物を高純度生成物(生成物溶出流)へと分離することが可能な、単一シェル型の完全に熱的に結合した蒸留カラムである)が、分離器として使用され得る。分離後の様々な生成物溶出流の一部又は本方法により生成された無水液体反応混合物の一部を、任意に再循環させて反応器に戻し、反応速度の上昇、効率の上昇、本方法の全体的なコストの削減、望ましいハロゲン化アルカンの選択率の上昇、望ましいハロゲン化アルカンの収率の上昇、及び混合の向上をもたらしてもよい。
【0036】
当業者により理解されるように、下記の各生成物溶出流は、無水液相反応混合物の特定の成分が濃縮されている。高純度の化合物を生成するためには、各生成物溶出流のさらなる分離が必要とされ得る。
【0037】
別の実施形態において、本方法を反応蒸留カラム内で実施してもよい。この構成において、化学反応器及び蒸留は、1回の操作ステップ内に組み合わされる。したがって、本方法への反応物の同時添加、様々な生成物流の添加、及び本方法からの様々な生成物溶出流の蒸留が可能になる。
【0038】
その後、無水液体反応の一部は分離器に移される。一実施形態において、分離器は、少なくとも1回の単蒸留、少なくとも1回の真空蒸留、少なくとも1つの分留、又はそれらの組合せを利用することができる。蒸留は、少なくとも1つの理論段を含んでいてもよい。
【0039】
当業者により理解されるように、精製されたハロゲン化アルケンを無水液体反応混合物から分離すると、少なくとも2つの生成物溶出流が生成されるだろう。様々な実施形態において、精製されたハロゲン化アルケンを分離すると、用いられる分離装置に応じて、3つの生成物溶出流、4つの生成物溶出流、又はそれより多くの生成物流が生成され得る。例として、3つの生成物流を使用した、反応器の内容物からのハロゲン化アルケンの分離を以下に示す。
【0040】
無水液体反応混合物を蒸留して、3つの生成物流、すなわち、生成物溶出流(a)、(b)、及び(c)を生成することができる。生成物溶出流(a)は、任意の溶媒と、軽質副生成物と、上記の方法条件下で分離中に頂部流としてのガスとして取り出される無水ハロゲン化水素とを含む。生成物溶出流(b)は、側流として取り出され得るハロゲン化アルケンを含む。生成物(c)は、未反応のハロゲン化アルカンと、重質副生成物と、缶出流を含む少なくとも1つの均一系触媒とを含む。
【0041】
一般に、任意の溶媒と、無水ハロゲン化水素と、軽質副生成物とを含む生成物溶出流(a)をさらに精製して、2つのさらなる生成物溶出流(d)及び(e)を生成することができ、ここで、頂部流として得られる生成物溶出流(d)は、無水ハロゲン化水素、軽質副生成物を含み、缶出流として得られる生成物溶出流(e)は任意の溶媒を含む。無水ハロゲン化水素、例えばHClは価値のある商用材料であるため、頂部生成物溶出流(d)はさらに精製され得る。
【0042】
生成物溶出流(c)をさらに精製して、2つのさらなる生成物溶出流(f)及び(g)を生成することができ、ここで、生成物溶出流(f)は、未反応のハロゲン化アルカンを含み、生成物溶出流(g)は、重質副生成物及び均一系触媒を含む。
【0043】
本方法の効率を改善するために、様々な生成物溶出流を外部から再循環させて、本方法に戻してもよい。様々な実施形態において、任意の溶媒と、軽質副生成物と、無水ハロゲン化水素とを含む生成物溶出流(a)、任意の溶媒を含む生成物溶出流(e)、及び未反応のハロゲン化アルカンを含む生成物流(g)の少なくとも一部を、先に記載のように、再循環させて脱塩化水素法に戻してもよい。
【0044】
別の実施形態において、生成物溶出流(e)及び/又は(g)の少なくとも一部を、バッチモード又は連続モードで再循環させて反応器に戻す前に、新鮮液体供給物(再循環されたものではないハロゲン化アルカン及び任意の溶媒を含む)と混合してもよい。様々な実施形態において、生成物溶出流及び新鮮液体供給物は、本方法に入る前に、反応器に個別に導入されても、又は一緒に混合されてもよい。明確化のために、新鮮供給物流は、以下のうちの全部又は全部未満を含んでいてもよい:ハロゲン化アルカン及び任意の溶媒。これらの新鮮液体供給物を反応器に導入するか、又は再循環流と新しい液体供給物とを混合すると、本方法の効率が向上し、全体的なコストが削減され、反応速度が維持され、反応転化率が維持され、スループットが増加し、本方法により生成される副生成物が低減される。反応器に再循環させられる生成物溶出流の量又は反応器に添加される新鮮液体供給物の量は、同じであっても、異なっていてもよい。反応器に添加される生成物溶出流及び/又は新鮮液体供給物の量を測定するための1つの手段は、物質の質量流量を特定することである。反応器に再循環させられる生成物溶出流は、生成物溶出流質量流量を有し、反応器に添加される新鮮液体供給物は、新鮮液体供給物質量流量を有する。質量流量は、当技術分野において既知の方法を使用して測定され得る。
【0045】
一般に、新鮮液体供給物の質量流に再循環させられる生成物溶出流の質量流の質量は、本方法の転化率を維持するのみならず、本方法の反応速度も維持するように調整される。
【0046】
脱ハロゲン化水素法で生成されるハロゲン化アルケンを含む分離器からの生成物溶出流(b)は、少なくとも10%の収率を有し得る。様々な実施形態において、本方法において生成された塩素化アルケンを含む生成物溶出流(b)は、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%の収率を有し得る。
【0047】
代替的な実施形態において、軽質物を取り出し、必要に応じてさらに蒸留して、成分を分離する。例えば、無水HClを軽質物から単離してもよい。その後、残りの液体反応混合物の少なくとも一部を蒸留カラムに送り、そこで、アルケンを出発物質及び重質物から分離してもよい。重質物を精製して反応器に再循環させても、重質物を蒸留して触媒のみを再循環させて、残りの重質物を捨てても、又はすべての重質物を捨ててもよい。
【0048】
(III) 好ましい実施形態:1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン、又はそれらの組合せを製造する方法
(a) 1,1,3-トリクロロプロパン、3,3,3-トリクロロプロパン又はそれらの組合せを製造する方法
本開示の別の態様は、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法を包含する。本方法は、1,1,1,3-テトラクロロプロパンと、均一系触媒と、任意の溶媒とを含む混合物を製造して反応させることにより開始する。均一系触媒は、先で(I)(a)(ii)の項に記載されており、任意の溶媒は、先で(I)(a)(iii)の項に記載されている。好ましい実施形態において、均一系触媒はFeClを含み、任意の溶媒は、無水メタノール、1,1,1,3-テトラクロロプロパン又はそれらの組合せを含む。
【0049】
(b) 反応条件
反応条件は、先で(I)(b)の項に記載されている。
【0050】
(c) 1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法からの産出高
上記の方法に供給された1,1,1,3-テトラクロロプロパンは、少なくとも60%の転化率で、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せに転化させることができる。様々な実施形態において、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せへの1,1,1,3-テトラクロロプロパンの転化率は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、及び少なくとも99%であり得る。
【0051】
1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、反応条件と、用いられる1,1,1,3-テトラクロロプロパンの純度レベルと、生成される1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せの純度レベルとに応じて変動し得て、かつ変動するであろう。一般に、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、70%超であり得る。様々な実施形態において、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、70%超、80%超、90%超又は95%超であり得る。好ましい実施形態において、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、95%~99%の範囲にあり得る。
【0052】
(d) 1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せの分離及び生成物溶出流の再循環
反応器の内容物から1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを分離する方法は、先で(II)の項に記載されている。本方法の効率の改善に有用な特定の再循環流は、先で(II)の項に記載されている。
【0053】
脱塩化水素法において生成された1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを含む分離器からの生成物溶出流(b)は、少なくとも10%の収率を有し得る。様々な実施形態において、本方法において生成された1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを含む生成物溶出流(b)は、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%の収率を有し得る。
【0054】
(IV) 好ましい実施形態:1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法
(a) 1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法
本開示の別の態様は、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法を包含する。本方法は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(240DB)と、均一系触媒と、任意の溶媒とを含む混合物を製造して反応させることにより開始する。均一系触媒は、先で(I)(a)(ii)の項に記載されており、任意の溶媒は、先で(I)(a)(iii)の項に記載されている。好ましい実施形態において、均一系触媒はFeClを含み、任意の溶媒は、無水メタノール、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン又はそれらの組合せを含む。
【0055】
(b) 反応条件
反応条件は、先で(I)(b)の項に記載されている。
【0056】
(c) 1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法からの産出高
上記の方法に供給された1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンは、少なくとも60%の転化率で、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに転化させることができる。様々な実施形態において、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せへの1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンの転化率は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%及び少なくとも99%であり得る。
【0057】
1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、反応条件と、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンの純度レベルと、生成される1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せの純度レベルとに応じて変動し得て、かつ変動するであろう。一般に、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、70%超であり得る。様々な実施形態において、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、70%超、80%超、90%超又は95%超であり得る。
【0058】
(d) 1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せの分離及び生成物溶出流の再循環
反応器の内容物から1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを分離する方法は、先で(II)の項に記載されている。本方法の効率の改善に有用な特定の再循環流は、先で(II)の項に記載されている。
【0059】
脱塩化水素法において生成された1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを含む分離器からの生成物溶出流(b)は、少なくとも10%の収率を有し得る。様々な実施形態において、本方法において生成された1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを含む生成物溶出流(b)は、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%の収率を有し得る。
【0060】
(V) 好ましい実施形態:1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法
(a) 1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法
本開示の別の態様は、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法を包含する。本方法は、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(240FA)と、均一系触媒と、任意の溶媒とを含む混合物を製造して反応させることにより開始する。均一系触媒は、先で(I)(a)(ii)の項に記載されており、任意の溶媒は、先で(I)(a)(iii)の項に記載されている。好ましい実施形態において、均一系触媒はFeClを含み、任意の溶媒は、無水メタノール、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン又はそれらの組合せを含む。
【0061】
(b) 反応条件
反応条件は、先で(I)(b)の項に記載されている。
【0062】
(c) 1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法からの産出高
上記の方法に供給された1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンは、少なくとも60%の転化率で、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに転化させることができる。様々な実施形態において、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せへの1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンの転化率は、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%及び少なくとも99%であり得る。
【0063】
1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、反応条件と、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンの純度レベルと、生成される1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せの純度レベルとに応じて変動し得て、かつ変動するであろう。一般に、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、70%超であり得る。様々な実施形態において、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、70%超、80%超、90%超又は95%超であり得る。好ましい実施形態において、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せに対する選択率は、95%~99%の範囲にあり得る。
【0064】
(d) 1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せの分離及び生成物溶出流の再循環
反応器の内容物から1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを分離する方法は、先で(II)の項に記載されている。本方法の効率の改善に有用な特定の再循環流は、先で(II)の項に記載されている。
【0065】
脱塩化水素法において生成された1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを含む分離器からの第1の生成物流は、少なくとも10%の収率を有し得る。様々な実施形態において、本方法において生成された1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを含む第1の生成物流は、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも99%の収率を有し得る。
【0066】
(VI) 塩素化アルケンのさらなる反応
態様は、本方法は、ハロゲン化アルケン、例えば、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せ、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せ、及び1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを、1つ以上のヒドロフルオロオレフィンに転化る方法をさらに含んでいてもよい。これらの方法は、1回の反応又は2回以上の反応においてフッ素化触媒の存在下でハロゲン化アルケンとフッ素化剤とを接触させることを含む。これらの方法は、気相又は液相のいずれかにおいて実施可能であり、50℃~400℃の範囲の温度の気相が好ましい。
【0067】
一般に、多様なフッ素化剤を使用することができる。フッ素化剤の非限定的な例としては、HF、F2、ClF、AlF、KF、NaF、SbF、SbF、SF又はそれらの組合せが挙げられる。当業者であれば、適切なフッ素化剤及び触媒を容易に決定することができる。これらの方法を利用して生成され得るヒドロフルオロオレフィンの例としては、2,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234yf)、1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(HFO-1234ze)、3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エン(HFO-1243zf)及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロパ-1-エン(HFCO-1233zd)が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0068】
定義
本明細書に記載の実施形態の要素を紹介するとき、冠詞の「a」、「an」、「the」、及び「said」は、1つ以上の要素があることを意味することを意図している。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」という用語は、包括的であり、列挙された要素以外のさらなる要素があり得ることを意味することを意図している。
【0069】
「1113」という用語は、1,1,3-トリクロロプロペンを指す。
【0070】
「333」という用語は、3,3,3-トリクロロプロペンを指す。
【0071】
「1123」という用語は、1,1,2,3-テトラクロロプロペンを指す。
【0072】
「2333」という用語は、2,3,3,3-テトラクロロプロペンを指す。
【0073】
「1133」という用語は、1,1,3,3-テトラクロロプロペンを指す。
【0074】
「1333」という用語は、1,3,3,3-テトラクロロプロペンを指す。
【0075】
「250FB」という用語は、1,1,1,3-テトラクロロプロパンを指す。
【0076】
「240DB」という用語は、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパンを指す。
【0077】
「240FA」という用語は、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパンを指す。
【0078】
本発明を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく修正及び変形が可能であることは明らかであろう。
【実施例
【0079】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例示する。
【0080】
実施例1:1,1,1,3-テトラクロロプロパンからの1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せの製造(本発明によらない)
凝縮器を備えた500mLの三口丸底フラスコ内に、250mLの1,1,1,3-テトラクロロプロパン(250FB)及びFeCl触媒を入れた。フラスコを外部の加熱マントルにより加熱し、撹拌して本方法の望ましい温度を維持し、FeCl触媒の流動化及び混合を確実にした。凝縮器を室温で維持して、HCl及び軽質副生成物を方法から逃がす一方で、生成物及び反応物を凝縮してフラスコに戻した。試料を30分ごとに反応混合物から抜き取り、収率及び転化率を決定した。
【0081】
図1は、より高い重量%のFeCl及びより低い温度を使用するよりも、転化率60%超で0.06重量%未満のFeCl及び100℃超の温度を使用した方が、選択率が大幅に改善されることを示す。この例は、この好ましい条件が、水(米国特許第8877991号)又はテトラクロロペンタン含有重質物(米国特許第8889927号)を使用することなく、文献に報告されている他の条件と同様に実施可能であることを示す。
【0082】
実施例2:反応蒸留を使用した、1,1,1,3-テトラクロロプロパンからの1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せの製造
温度を上昇させて生成物を沸騰させたことを除いて、実施例1に記載したのと同様に実験を設定した。
【0083】
図2は、約8重量ppmのFeClを溶解させた状態にて、約150℃及び周囲圧力で250FBを113eに転化させる連続反応蒸留を示す。170℃のグリセロール浴を使用して反応器を加熱し、撹拌した。113eの選択率は、99%超であると分かった。稼働の最後に、合計で約110gの113eが回収された。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ハロゲン化アルケンを製造する方法であって、前記方法が、
a)無水液体反応混合物を反応器内で調製すること、ここで、前記反応混合物は、少なくとも1つのハロゲン化アルカン、少なくとも1つの金属塩を含む少なくとも1つの均一系触媒及び任意に溶媒を含み、
b)前記反応混合物を加熱して、少なくとも1つのハロゲン化アルケン、軽質副生成物及び重質副生成物を形成すること、
c)前記ハロゲン化アルケンを分離すること、並びに
d)前記重質副生成物を処分すること、を含む、方法。
[2] 前記ハロゲン化アルカンが塩素化アルカンである、[1]に記載の方法。
[3] 前記塩素化アルカンが、2~6個の炭素原子及び少なくとも1個の塩素原子を含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記塩素化アルカンが塩素化プロパンを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 前記塩素化プロパンが、二塩素化プロパン、三塩素化プロパン、四塩素化プロパン、五塩素化プロパン、六塩素化プロパン又はそれらの組合せを含む、[4]に記載の方法。
[6] 前記塩素化アルカンが1,1,1,3-テトラクロロプロパン(250FB)を含む、[5]に記載の方法。
[7] 前記塩素化アルカンが1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(240DB)を含む、[5]に記載の方法。
[8] 前記塩素化アルカンが1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(240FA)を含む、[5]に記載の方法。
[9] 前記ハロゲン化アルケンが塩素化アルケンである、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10] 前記塩素化アルケンが、2~6個の炭素原子及び前記塩素化アルカンよりも1個少ない塩素原子を含む、[9]に記載の方法。
[11] 前記塩素化アルケンが塩素化プロペンである、[10]に記載の方法。
[12] 前記塩素化プロペンが、一塩素化プロペン、二塩素化プロペン、三塩素化プロペン、四塩素化プロペン、五塩素化プロペン又はそれらの組合せを含む、[11]に記載の方法。
[13] 前記塩素化アルケンが、1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを含む、[10]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14] 前記塩素化アルケンが、1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを含む、[10]~[12]のいずれかに記載の方法。
[15] 前記塩素化アルケンが、1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを含む、[10]~[12]のいずれかに記載の方法。
[16] 前記均一系触媒が、アルミニウム塩、ビスマス塩、クロム塩、コバルト塩、銅塩、ガリウム塩、金塩、インジウム塩、鉄塩、鉛塩、マグネシウム塩、マンガン塩、水銀塩、ニッケル塩、白金塩、パラジウム塩、ロジウム塩、サマリウム塩、スカンジウム塩、銀塩、チタン塩、スズ塩、亜鉛塩、ジルコニウム塩及びそれらの組合せを含む群から選択される金属塩を含む、[1]~[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 前記反応混合物中の均一系触媒の濃度が、前記方法の成分の総重量を基準として0.06重量%未満である、[1]~[16]のいずれかに記載の方法。
[18] 前記均一系触媒が、鉄塩である金属塩を含む、[16]又は[17]に記載の方法。
[19] 前記鉄塩中の鉄の酸化状態が、鉄(II)、鉄(III)又はそれらの組合せを含む、[18]に記載の方法。
[20] 前記溶媒がアルコールを含む、[1]~[19]のいずれかに記載の方法。
[21] 前記アルコールが、メタノール、エタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール又はそれらの組合せを含む、[20]に記載の方法。
[22] 前記溶媒が前記ハロゲン化アルカンを含む、[1]~[21]のいずれかに記載の方法。
[23] 前記方法が、100℃超、110℃超、120℃超、130℃超、140℃超又は150℃超の温度で実施される、[1]~[22]のいずれかに記載の方法。
[24] 前記方法が0psig超の圧力で実施される、[1]~[23]のいずれかに記載の方法。
[25] 前記方法が0psig未満の圧力で実施される、[1]~[23]のいずれかに記載の方法。
[26] 液体混合物の蒸気圧が、液体生成物が沸騰を始める反応器内の圧力と同じである、[24]又は[25]に記載の方法。
[27] 前記ハロゲン化アルケンが、前記方法の間に気相として取り出される、[1]~[26]のいずれかに記載の方法。
[28] 未反応の又は余分なハロゲン化アルカンが再循環させられて前記反応器に戻される、[1]~[27]のいずれかに記載の方法。
[29] 無水溶媒が再循環させられて前記反応器に戻される、[1]~[28]のいずれかに記載の方法。
[30] 前記均一系触媒が少なくとも1つの溶媒に溶解した金属塩を含む、[1]~[29]のいずれかに記載の方法。
[31] 前記金属塩がFeCl を含み、前記少なくとも1つの溶媒がメタノールを含む、[30]に記載の方法。
[32] 前記ハロゲン化アルカンの転化率%が60%超である、[1]~[31]のいずれかに記載の方法。
[33] 前記方法が連続的である、[1]~[32]のいずれかに記載の方法。
[34] 1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法であって、前記方法が、
a)1,1,1,3-テトラクロロプロパン(250FB)及び均一系触媒を含む無水液相反応混合物を反応器内で調製すること、
b)1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せ、軽質副生成物及び重質副生成物を形成すること、並びに
c)前記1,1,3-トリクロロプロペン、3,3,3-トリクロロプロペン又はそれらの組合せを分離すること、を含む、方法。
[35] 前記均一系触媒が、メタノール、1,1,1,3-テトラクロロプロパン又はそれらの組合せを含む溶媒中に溶解したFeCl を含む、[34]に記載の方法。
[36] 前記FeCl の濃度が0.06重量%未満である、[34]又は[35]に記載の方法。
[37] 前記1,1,1,3-テトラクロロプロパンの転化率%が60%超である、[34]~[36]のいずれかに記載の方法。
[38] 1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法であって、前記方法が、
a)1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(240DB)及び均一系触媒を含む無水液相を反応器内で調製すること、
b)1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せ、軽質副生成物及び重質副生成物を形成すること、並びに
c)前記1,1,2,3-テトラクロロプロペン、2,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを分離すること、を含む、方法。
[39] 前記均一系触媒が、メタノール、1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン又はそれらの組合せを含む溶媒中に溶解したFeCl を含む、[38]に記載の方法。
[40] 前記FeCl の濃度が0.06重量%未満である、[38]又は[39]に記載の方法。
[41] 前記1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン(240DB)の転化率%が60%超である、[38]~[40]のいずれかに記載の方法。
[42] 1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを製造する方法であって、前記方法が、
a)1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン及び均一系触媒を含む無水液相を反応器内で調製すること、
b)1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せ、軽質副生成物及び重質副生成物を形成すること、並びに
c)1,1,3,3-テトラクロロプロペン、1,3,3,3-テトラクロロプロペン又はそれらの組合せを分離すること、を含む、方法。
[43] 前記均一系触媒が、メタノール、1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン又はそれらの組合せを含む溶媒中に溶解したFeCl を含む、[42]に記載の方法。
[44] 前記FeCl の濃度が0.06重量%未満である、[42]又は[43]に記載の方法。
[45] 前記1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン(240FA)の転化率%が20%超である、[42]~[44]のいずれかに記載の方法。
[46] 前記ハロゲン化アルケンがフッ素化生成物に転化される、[1]~[45]のいずれかに記載の方法。
図1
図2