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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】無停電電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 9/06 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
H02J9/06 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021018941
(22)【出願日】2021-02-09
(65)【公開番号】P2022121939
(43)【公開日】2022-08-22
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清田 一樹
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-312371(JP,A)
【文献】実開平06-084759(JP,U)
【文献】特開平08-205427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流負荷に電力を供給する無停電電源装置と、
前記無停電電源装置が故障した場合に利用する無停電予備電源装置とを備え、
前記無停電電源装置は、
交流電源からの電力を変換する電力変換回路と、
前記電力変換回路と並列に設けられ、前記無停電予備電源装置からの電力を供給する第1のバイパス回路とを含み、
前記無停電予備電源装置は、
前記交流電源からの電力を変換する予備電力変換回路と、
前記予備電力変換回路と並列に設けられ、バイパス入力電源からの電力を供給する予備バイパス回路とを含み、
前記電力変換回路と接続され、前記交流電源の停電時に前記交流負荷に電力を供給する第1の蓄電装置と、
前記予備電力変換回路と接続され、前記交流電源の停電時に前記交流負荷に電力を供給する第2の蓄電装置と、
前記無停電電源装置が故障した場合に、前記第1の蓄電装置と前記電力変換回路との接続を前記第1の蓄電装置と前記予備電力変換回路との接続に切り替える切替回路とをさらに備え
前記切替回路は、
前記第1の蓄電装置と前記電力変換回路との間に設けられた第1のスイッチ部と、
前記第1のスイッチ部と並列に前記第1の蓄電装置と前記予備電力変換回路との間に設けられた第2のスイッチ部とを含み、
通常時において、前記第1のスイッチ部は導通状態、前記第2のスイッチ部は非導通状態に設定され、
前記無停電電源装置が故障した場合に、前記第1のスイッチ部は非導通状態、前記第2のスイッチ部は導通状態に設定され、
前記第2のスイッチ部は、
メインスイッチと、
前記メインスイッチと並列に設けられたサブスイッチとを含み、
前記無停電電源装置が故障した場合に、前記メインスイッチと、前記サブスイッチとのいずれか一方を導通状態に設定して前記予備電力変換回路からの電力を供給して前記第1の蓄電装置を充電するための充電制御回路をさらに備える、無停電電源システム。
【請求項2】
前記第2のスイッチ部は、逆流防止ダイオードを含む、請求項1記載の無停電電源システム。
【請求項3】
前記第2のスイッチ部は、抵抗器をさらに含み、
前記抵抗器は、前記メインスイッチと並列に接続され、前記サブスイッチと直列に接続される、請求項1記載の無停電電源システム。
【請求項4】
前記充電制御回路は、前記第1および第2の蓄電装置の蓄電状態に基づいて前記メインスイッチと前記サブスイッチの導通状態を設定する、請求項1記載の無停電電源システム。
【請求項5】
前記サブスイッチは、半導体スイッチに相当し、
前記充電制御回路は、前記半導体スイッチのゲートを制御するゲート制御回路を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の無停電電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、常時負荷に給電する複数台の常用の無停電電源装置と故障や点検が発生した場合のバックアップとして構成された予備用無停電電源装置とから成る無停電電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、瞬間的な停電も許されない例えばコンピュータ等の重要負荷の電源として無停電電源装置(以下単にUPSと称する)が用いられている。
【0003】
365日24時間通常の運用並びに点検時にも、UPS電源による給電の継続が求められる。
【0004】
具体的には、常時負荷に給電する複数台の常用UPSと、常用UPSに故障が発生した場合や点検する場合にも負荷に対してUPS電源を供給するために構成された予備用UPSとで構成される無停電電源システムが設けられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-312371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、常用UPSが故障した場合には、すぐに予備用UPSに切り替えて給電を継続するが、予備用UPSに切り替えた場合には常用UPS側に設けられた蓄電池は有効に用いられないという課題がある。
【0007】
本開示の目的は、上記の課題を解決するためのものであって、予備用UPSに切り替えた場合に効率的に常用UPS側に設けられた蓄電池を用いることが可能な無停電電源システムを実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態に従えば、無停電電源システムは、交流負荷に電力を供給する無停電電源装置と、無停電電源装置が故障した場合に利用する無停電予備電源装置とを備える。無停電電源装置は、交流電源からの電力を変換する電力変換回路と、電力変換回路と並列に設けられ、無停電予備電源装置からの電力を供給する第1のバイパス回路とを含む。無停電予備電源装置は、交流電源からの電力を変換する予備電力変換回路と、予備電力変換回路と並列に設けられ、バイパス入力電源からの電力を供給する予備バイパス回路とを含む。無停電電源システムは、電力変換回路と接続され、交流電源の停電時に交流負荷に電力を供給する第1の蓄電装置と、予備電力変換回路と接続され、交流電源の停電時に交流負荷に電力を供給する第2の蓄電装置と、無停電電源装置が故障した場合に、第1の蓄電装置と電力変換回路との接続を予備電力変換回路との接続に切り替える切替回路とをさらに備える。
【0009】
好ましくは、切替回路は、第1の蓄電装置と電力変換回路との間に設けられた第1のスイッチ部と、第1のスイッチ部と並列に第1の蓄電装置と予備電力変換回路との間に設けられた第2のスイッチ部とを含む。通常時において、第1のスイッチ部は導通状態、第2のスイッチ部は非導通状態に設定され、無停電電源装置が故障した場合に、第1のスイッチ部は非導通状態、第2のスイッチ部は導通状態に設定される。
【0010】
好ましくは、第2のスイッチ部は、逆流防止ダイオードを含む。
【0011】
好ましくは、第2のスイッチ部は、メインスイッチと、メインスイッチと並列に設けられたサブスイッチとを含む。無停電電源システムは、無停電電源装置が故障した場合に、メインスイッチと、サブスイッチとのいずれか一方を導通状態に設定して予備電力変換回路からの電力を供給して第1の蓄電装置を充電するための充電制御回路をさらに備える。
【0012】
好ましくは、第2のスイッチ部は、抵抗器をさらに含む。抵抗器は、メインスイッチと並列に接続され、サブスイッチと直列に接続される。
【0013】
好ましくは、充電制御回路は、第1および第2の蓄電装置の蓄電状態に基づいてメインスイッチとサブスイッチの導通状態を設定する。
【0014】
好ましくは、サブスイッチは、半導体スイッチに相当する。充電制御回路は、半導体スイッチのゲートを制御するゲート制御回路を含む。
【発明の効果】
【0015】
本開示の無停電電源システムは、予備用UPSに切り替えた場合に効率的に常用UPS側に設けられた蓄電池を用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に基づく無停電電源システムの回路構成を説明する図である。
図2】実施形態の変形例1に従う無停電電源システムの回路構成を説明する図である。
図3】実施形態の変形例1に従うスイッチ部31および充電制御回路30の回路構成について説明する図である。
図4】実施形態の変形例2に従うスイッチ部31#および充電制御回路30#の回路構成について説明する図である。
図5】実施形態の変形例2に従うゲート信号について説明する図である。
図6】実施形態の変形例3に従うスイッチ部31#Aおよび充電制御回路30#の回路構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。本例においては、一例として電力供給システムとして、無停電電源システム(以降、UPS(Uninterruptible Power Supply))について説明する。
【0018】
図1は、実施形態に基づく無停電電源システムの回路構成を説明する図である。図1に示されるように、無停電電源システムは、負荷に電力を供給する無停電電源装置1Bと、無停電電源装置1Bが故障した場合に利用するための無停電予備電源装置1Aと、無停電予備電源装置1Aおよび無停電電源装置1Bにそれぞれ対応して設けられ、エネルギー蓄積部である蓄電装置10Aおよび10Bを含む。また、実施形態に基づく無停電電源システムは、蓄電装置10Bの供給経路を切り替える切替回路1Cを含む。切替回路1Cの詳細については後述する。
【0019】
なお、本例においては、無停電電源装置1Bのバックアップとして無停電予備電源装置1Aを設ける場合について説明するが、特に1つに限られず、複数個の無停電電源装置に対して無停電予備電源装置1Aを設ける構成としてもよい。
【0020】
無停電予備電源装置1Aおよび無停電電源装置1Bの構成は、基本的に同一の構成である。
【0021】
無停電予備電源装置1Aおよび無停電電源装置1Bは、交流入力を直流入力に変換する順変換器3A,3Bと、直流入力を交流入力に変換する逆変換器4A,4Bと、直流入力遮断器7A,7Bと、それぞれ内部を制御する制御回路9A,9Bとを含む。制御回路9A,9Bからの指示に従って電力変換回路よびスイッチ等の動作を制御する。
【0022】
無停電予備電源装置1Aおよび無停電電源装置1Bは、順変換器3A,3Bおよび逆変換器4A,4Bで構成される電力変換回路に故障が発生した場合にも負荷に対して継続したUPS出力を得るために当該電力変換回路と並列に設けられるバイパス回路を含む。
【0023】
無停電予備電源装置1Aおよび無停電電源装置1Bは、サイリスタとコンタクタから成るバイパス側スイッチ8A,8Bを有し、当該バイパス側スイッチ8A,8Bをオンすることにより無瞬断で切り換えが可能である。
【0024】
無停電電源装置1Bは、商用電源16Bからの交流入力を受ける。交流入力は、順変換器3Aで直流に変換され、逆変換器4Bで再び交流に逆変換される。逆変換器4Bは、常に安定したUPS出力を負荷に供給する。直流入力遮断器7Bは、順変換器3Aと並列に接続される。商用電源16Bに停電が生じると、直流入力遮断器7Bを介して、エネルギー蓄積部である蓄電装置10Bの直流エネルギーが逆変換器4Bに供給される。これにより、無停電電源装置1BのUPS出力は負荷に継続して供給することができる。
【0025】
無停電電源装置1Bのバイパス回路への電力は、無停電予備電源装置1Aから供給される。
【0026】
無停電予備電源装置1Aは、商用電源16Aからの交流入力を受ける。
【0027】
交流入力は、順変換器3Aで直流に変換され、逆変換器4Aで再び交流に逆変換されて常に安定したUPS出力を供給することが可能である。エネルギー蓄積部である蓄電装置10Aは、直流入力遮断器7Aを介して順変換器3Aと並列に接続される。また、直流入力遮断器7Aは、蓄電装置10Aと並列に切替回路1Cを介して蓄電装置10Bと接続される。
【0028】
順変換器3Aならびに逆変換器4Aに故障が発生した場合にも継続したUPS出力を得るために商用電源16Aとは別に並列に設けられ、バイパス入力電源15Aを入力として電力を供給するバイパス回路が設けられる。バイパス回路は、サイリスタとコンタクタから成るバイパス側スイッチ8Aを有し、当該バイパス側スイッチ8Aをオンすることにより無瞬断で切り換える。バイパス入力電源15Aは、通常交流入力と同様に商用電源である。
【0029】
蓄電装置10A,10Bは、蓄電池12A,12Bと、スイッチ11A,11Bと、蓄電装置10A,10Bを制御する制御ユニット13A,13Bとを含む。
【0030】
次に、切替回路1Cの構成について説明する。
【0031】
切替回路1Cは、スイッチ21,23と、逆流防止ダイオード22とを含む。
【0032】
スイッチ23は、無停電電源装置1Bの直流入力遮断器7Bと、蓄電装置10Bとの間に設けられる。スイッチ21および逆流防止ダイオード22は、スイッチ23と並列に接続され、無停電予備電源装置1Aの直流入力遮断器7Aと、蓄電装置10Bとの間に設けられる。
【0033】
逆流防止ダイオード22は、スイッチ21と直接に接続され、無停電予備電源装置1A側から蓄電装置10B側への電力の供給を遮断する。逆流防止ダイオード22は、蓄電装置10Aの蓄電容量と蓄電装置10Bの蓄電容量との差が大きい場合に、電圧差により過電流が蓄電装置10B側に流れるのを防止するために設けられている。
【0034】
切替回路1Cは、通常時においては、スイッチ21は非導通状態(オフ)であり、スイッチ23は導通状態(オン)である。したがって、蓄電装置10Bと無停電電源装置1Bとが電気的に接続され、蓄電装置10Bと無停電予備電源装置1Aとは電気的に遮断された状態である。
【0035】
無停電電源装置1Bは、通常時には直流入力遮断器7Bをオンしている。順変換器3Aで変換された直流入力は、直流入力遮断器7Bおよびスイッチ23を介して蓄電装置10Bに供給されて蓄電池12Bに充電可能な状態となっている。
【0036】
商用電源16Bに停電が生じると、直流入力遮断器7Bおよびスイッチ23を介して蓄電装置10Bの直流エネルギーが逆変換器4Bに供給される。
【0037】
上記したように、無停電電源装置1Bの順変換器3Bおよび逆変換器4Bで構成される電力変換回路に故障が発生した場合に、電力変換回路の動作を停止してバイパス側スイッチ8Bがオンする。無停電予備電源装置1Aは、無停電電源装置1Bのバイパス回路を介して電力を負荷に供給する。
【0038】
従来の構成においては、当該状態の場合には無停電電源装置1Bの電力変換回路は、動作を停止しているため、当該電力変換回路と接続されている蓄電装置を有効に用いることができない。
【0039】
実施形態に従う無停電電源システムの切替回路1Cは、無停電電源装置1Bが故障した場合に、蓄電装置10Bと無停電電源装置1Bの電力変換回路との接続を無停電予備電源装置1Aの電力変換回路との接続に切り替える。
【0040】
具体的には、無停電電源装置1Bの制御回路9Bは、無停電電源装置1Bの順変換器3Bおよび逆変換器4Bで構成される電力変換回路に故障が発生した場合に、切替回路1Cに対して切替指令を出力する。具体的には、切替回路1Cのスイッチ21を導通状態(オン(ON))に設定し、スイッチ23を非導通状態(オフ(OFF))に設定する。これにより、蓄電装置10Bと無停電電源装置1Bの電力変換回路との接続は、無停電予備電源装置1Aの電力変換回路との接続に切り替えられる。
【0041】
したがって、実施形態に従う無停電電源システムは、無停電電源装置1Bの順変換器3Bおよび逆変換器4Bで構成される電力変換回路に故障が発生した場合に、無停電予備電源装置1Aの電力変換回路との接続に切り替えられるため蓄電装置10Bを有効に用いることが可能である。
【0042】
具体的には、商用電源16Aに停電が生じると、直流入力遮断器7Aを介して蓄電装置10Aの直流エネルギーが逆変換器4Aに供給されるとともに、スイッチ21を介して蓄電装置10Bの直流エネルギーが逆変換器4Bに供給される。
【0043】
それゆえ、停電時における電力供給の補償期間を長く確保することが可能である。また、蓄電装置10Bが無停電予備電源装置1Aの電力変換回路との接続に切替可能な構成であるため無停電予備電源装置1A側の蓄電装置10Aの蓄電池12Aの蓄電容量を低減することも可能である。これにより無停電電源システムのコストを低減することも可能である。
【0044】
また、本例においては、無停電電源装置1Bの制御回路9Bは、無停電電源装置1Bの順変換器3Bおよび逆変換器4Bで構成される電力変換回路に故障が発生した場合に、切替回路1Cに対して切替指令を出力する場合について説明したが、これに限られず、無停電予備電源装置1Aの制御回路9Aが切替指令を出力しても良いし、蓄電装置10Bの制御ユニット13Bが切替指令を出力するようにしてもよい。
【0045】
(変形例1)
【0046】
図2は、実施形態の変形例1に従う無停電電源システムの回路構成を説明する図である。図2に示されるように、無停電電源システムは、図1で説明した無停電電源システムと比較して切替回路1Cを切替回路1Dに置換した点が異なる。
【0047】
上記の実施形態の切替回路1Cは、逆流防止ダイオード22を設けて、無停電予備電源装置1A側から蓄電装置10B側への電力の供給を遮断する構成であった。すなわち、無停電予備電源装置1A側から蓄電装置10B側に充電できない構成であった。
【0048】
切替回路1Dは、無停電予備電源装置1A側から蓄電装置10B側に充電可能な構成としている。
【0049】
切替回路1Dは、充電制御回路30と、スイッチ部31と、スイッチ23と、電圧差分検出回路36とを含む。
【0050】
スイッチ23は、無停電電源装置1Bの直流入力遮断器7Bと、蓄電装置10Bとの間に設けられる。スイッチ部31は、スイッチ23と並列に接続され、無停電予備電源装置1Aの直流入力遮断器7Aと、蓄電装置10Bとの間に設けられる。電圧差分検出回路36は、蓄電装置10B側のノードの電圧と、蓄電装置10A側のノードの電圧との差分を検出する。電圧差分検出回路36は、電圧差を充電制御回路30に出力する。
【0051】
充電制御回路30は、制御回路9Bからの切替指令の入力および電圧差分検出回路36からの電圧差の入力とを受けて、スイッチ部31およびスイッチ23を制御する。
【0052】
図3は、実施形態の変形例1に従うスイッチ部31および充電制御回路30の回路構成について説明する図である。図3に示されるように、スイッチ部31は、メインスイッチ32と、サブスイッチ33と、抵抗34とを含む。サブスイッチ33は、抵抗34と直列に接続される。サブスイッチ33および抵抗34は、メインスイッチ32と並列に接続される。本例においては、メインスイッチ32がオンしている場合には、サブスイッチ33はオフしている。一方、サブスイッチ33がオンしている場合には、メインスイッチ32はオフしている。
【0053】
具体的には、蓄電装置10B側のノードの電圧と、蓄電装置10A側のノードの電圧との差分が大きい場合には、メインスイッチ32はオフし、サブスイッチ33はオンする。この場合には、サブスイッチ33および抵抗34を介した電流経路が形成される。したがって、電圧差が大きい場合でも抵抗34が設けられているため電流量を抑えることが可能である。
【0054】
一方で、電圧差が小さい場合には、メインスイッチ32はオンし、サブスイッチ33はオフする。この場合には電圧差が小さいため電流量を抑える必要がない。
【0055】
充電制御回路30は、インバータ43と、判定回路40と、AND回路41,42とを含む。
【0056】
一例として、無停電電源装置1Bの制御回路9Bは、無停電電源装置1Bの順変換器3Bおよび逆変換器4Bで構成される電力変換回路に故障が発生した場合に、切替回路1Dに対して切替指令(「H」レベル)を出力する。
【0057】
インバータ43は、切替指令が「L」レベルの場合には、「H」レベルをスイッチ23に出力する。この場合、スイッチ23はオンする。一方、インバータ43は、切替指令が「H」レベルの場合には、「L」レベルをスイッチ23に出力する。この場合、スイッチ23はオフする。
【0058】
判定回路40は、電圧差Xと、基準値Yとを比較して、比較結果を出力する。具体的には、電圧差Xが基準値Yよりも大きい場合には、比較結果(「H」レベル)を出力する。判定回路40は、電圧差Xが基準値Y以下である場合には、比較結果(「L」レベル)を出力する。基準値Yは、任意の値に設定することが可能である。
【0059】
AND回路42は、判定回路40の比較結果に基づく信号と、切替指令とに基づくAND論理演算結果をサブスイッチ33に出力する。
【0060】
AND回路41は、判定回路40の比較結果に基づく信号の反転信号と、切替指令とに基づくAND論理演算結果をメインスイッチ32に出力する。
【0061】
AND回路42は、比較結果(「H」レベル)と、切替指令(「H」レベル)とに基づいて「H」レベルを出力する。
【0062】
AND回路41は、比較結果(「L」レベル)の反転信号と、切替指令(「H」レベル)とに基づいて「H」レベルを出力する。
【0063】
したがって、切替指令(「H」レベル)が入力される場合に電圧差が大きい場合には、サブスイッチ33がオンし、メインスイッチ32はオフする。切替指令(「H」レベル)が入力される場合に電圧差が小さい場合には、サブスイッチ33がオフし、メインスイッチ32はオンする。
【0064】
当該構成により、切替回路1Dは、無停電予備電源装置1A側から蓄電装置10B側に過大な電流が流れることを抑制しつつ、充電可能な構成としている。
【0065】
(変形例2)
【0066】
図4は、実施形態の変形例2に従うスイッチ部31#および充電制御回路30#の回路構成について説明する図である。図4に示されるように、本例においては、充電制御回路30を充電制御回路30#に置換した点が異なる。
【0067】
スイッチ部31#は、メインスイッチ32と、半導体スイッチ35とを含む。半導体スイッチ35は、ゲートを有し、ゲートに与える電圧を制御する。
【0068】
半導体スイッチ35は、メインスイッチ32と並列に接続される。本例においては、メインスイッチ32がオンしている場合には、半導体スイッチ35は動作しない。一方、半導体スイッチ35が動作している場合には、メインスイッチ32はオフしている。
【0069】
具体的には、蓄電装置10B側のノードの電圧と、蓄電装置10A側のノードの電圧との差分が大きい場合には、メインスイッチ32はオフし、半導体スイッチ35が動作する。この場合には、半導体スイッチ35は、スイッチング動作する。したがって、電圧差が大きい場合でも半導体スイッチ35がスイッチング動作するため電流量を抑えることが可能である。
【0070】
一方で、電圧差が小さい場合には、メインスイッチ32はオンし、半導体スイッチ35は動作しない。この場合には電圧差が小さいため電流量を抑える必要がない。
【0071】
充電制御回路30#は、充電制御回路30と比較して、パルス制御回路51と、三角波発生回路52とをさらに含む。
【0072】
AND回路42は、パルス制御回路51を駆動する信号を出力する。
【0073】
判定回路40は、電圧差Xが基準値Yよりも大きい場合には、比較結果(「H」レベル)を出力する。
【0074】
パルス制御回路51は、AND回路42の出力信号(「H」レベル)に従って動作する。AND回路42の出力信号(「L」レベル)の場合には動作しない。
【0075】
三角波発生回路52は、三角波を生成する。パルス制御回路51は、三角波発生回路52の三角波と、電圧差の信号とに基づいて半導体スイッチ35のゲートを制御するゲート信号を出力する。
【0076】
図5は、実施形態の変形例2に従うゲート信号について説明する図である。図5に示されるように、パルス制御回路51は、電圧差と、三角波との比較に基づいてゲート信号を出力する。具体的には、電圧差が三角波よりも大きい場合には、「L」レベルの信号を出力し、電圧差が三角波よりも小さい場合には「H」レベルの信号を出力する。
【0077】
したがって、パルス制御回路51は、「H」レベルと、「L」レベルとを繰り返すパルス信号を出力する。電圧差が小さい場合には、三角波が電圧差よりも上の期間が長くなるためゲート信号(「H」レベル)の期間が長くなる。一方、電圧差が大きい場合には、三角波が電圧差よりも上の期間が短くなるためゲート信号(「H」レベル)の期間が短くなる。すなわち、半導体スイッチ35のゲートのオン/オフの期間を調整することが可能であり、電流量を効率的に抑制することが可能である。
【0078】
(変形例3)
【0079】
図6は、実施形態の変形例3に従うスイッチ部31#Aおよび充電制御回路30#の回路構成について説明する図である。図6に示されるように、図4の構成と比較して、スイッチ部31#をスイッチ部31#Aに置換した点が異なる。スイッチ部31#Aは、抵抗34をさらに設けた点が異なる。具体的には、半導体スイッチ35と抵抗34とが直列に接続される。メインスイッチ32と、並列に半導体スイッチ35および抵抗34が接続される。
【0080】
当該構成により、半導体スイッチ35がオンする場合において、抵抗34が設けられているため電流量をさらに抑えることが可能である。
【0081】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0082】
1A 無停電予備電源装置、1B 無停電電源装置、1C,1D 切替回路、3A,3B 順変換器、4A,4B 逆変換器、7A,7B 直流入力遮断器、8A,8B バイパス側スイッチ、9A,9B 制御回路、10A,10B 蓄電装置、12A,12B 蓄電池、13A,13B 制御ユニット、15A バイパス入力電源、16A,16B 商用電源、22 逆流防止ダイオード、30,30# 充電制御回路、32 メインスイッチ、33 サブスイッチ、34 抵抗、35 半導体スイッチ、36 電圧差分検出回路、40 判定回路、41,42 AND回路、43 インバータ、51 パルス制御回路、52 三角波発生回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6