(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/22 20060101AFI20240610BHJP
G01N 27/04 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G01N27/22 A
G01N27/04 E
(21)【出願番号】P 2021025908
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】林 裕美
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-100705(JP,A)
【文献】特開2015-152523(JP,A)
【文献】特開2004-325388(JP,A)
【文献】特開2012-112718(JP,A)
【文献】特開2020-144131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1センサ部を備え、
前記第1センサ部は、第1対向電極、第1可動電極、第1層及び第1中間層を含み、
前記第1可動電極は、第1方向において前記第1対向電極と前記第1層との間にあり、
前記第1中間層は、前記第1方向において、前記第1可動電極と、前記第1層の少なくとも一部と、の間にあり、
前記第1対向電極と前記第1可動電極との間に第1間隙が設けられ、
前記第1対向電極と前記第1可動電極との間の距離は、前記第1センサ部の周りのガスの濃度に応じて変化し、
前記第1層は、結晶を含み、
前記第1中間層はアモルファスである、または、前記第1中間層における結晶性は、前記第1層における結晶性よりも低く、
前記第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1層の幅は、前記第2方向に沿う前記第1中間層の幅よりも広く、
前記第1中間層は、前記第1方向と交差する平面と交差する第1中間層側面を含み、
前記第1層の一部は、前記第2方向において前記第1中間層側面と重なり、
前記第1中間層側面の少なくとも一部は、前記第1層から露出する、センサ。
【請求項2】
前記第1中間層は、
Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素と、
Si、P及びBよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、
を含む、請求項1記載のセンサ。
【請求項3】
第2センサ部をさらに備え、
前記第2センサ部は、絶縁部材と、抵抗部材と、を含み、
前記抵抗部材は、
第2層と、
前記第1方向において、前記絶縁部材と、前記第2層の少なくとも一部と、の間に設けられた第2中間層と、
を含み、
前記抵抗部材の電気抵抗は、前記第2センサ部の周りのガスの濃度に応じて変化し、
前記第2層は、結晶を含み、
前記第2中間層はアモルファスである、または、前記第2中間層における結晶性は、前記第2層における結晶性よりも低く、
前記第2方向に沿う前記第2層の幅は、前記第2方向に沿う前記第2中間層の幅よりも広
く、
前記第2中間層は、前記平面と交差する第2中間層側面を含み、
前記第2層の一部は、前記第2方向において前記第2中間層側面と重なり、
前記第2中間層側面の少なくとも一部は、前記第2層から露出する、請求項1
または2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記第2中間層は、前記第1中間層に含まれる材料と同じ材料を含み、前記第2層は、前記第1層に含まれる材料と同じ材料を含む、請求項
3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記第1層の前記幅は、前記第2層の前記幅よりも広く、
前記第1中間層の前記幅は、前記第2中間層の前記幅よりも広く、
前記第1層の前記幅と前記第1中間層の前記幅との差の前記第1層の前記幅に対する比は、前記第2層の前記幅と前記第2中間層の前記幅との差の前記第2層の前記幅に対する比よりも低い、請求項
3または
4に記載のセンサ。
【請求項6】
第2センサ部を備え、
前記第2センサ部は、絶縁部材と、抵抗部材と、を含み、
前記抵抗部材は、
第2層と、
第1方向において、前記絶縁部材と、前記第2層の少なくとも一部と、の間に設けられた第2中間層と、
を含み、
前記抵抗部材の電気抵抗は、前記第2センサ部の周りのガスの濃度に応じて変化し、
前記第2層は、結晶を含み、
前記第2中間層はアモルファスである、または、前記第2中間層における結晶性は、前記第2層における結晶性よりも低く、
前記第1方向と交差する第2方向に沿う前記第2層の幅は、前記第2方向に沿う前記第2中間層の幅よりも広
く、
前記第2中間層は、前記第1方向と交差する平面と交差する第2中間層側面を含み、
前記第2層の一部は、前記第2方向において前記第2中間層側面と重なり、
前記第2中間層側面の少なくとも一部は、前記第2層から露出する、センサ。
【請求項7】
前記抵抗部材は、第1抵抗領域と、第2抵抗領域と、を含み、
前記第1センサ部から前記第1抵抗領域への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1センサ部から前記第2抵抗領域への方向は、第3方向に沿い、前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、請求項
3~
5のいずれか1つに記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、センサにおいて、安定した検出が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、安定した検出が可能なセンサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、センサは、第1センサ部を含む。前記第1センサ部は、第1対向電極、第1可動電極、第1層及び第1中間層を含む。前記第1可動電極は、第1方向において前記第1対向電極と前記第1層との間にある。前記第1中間層は、前記第1方向において、前記第1可動電極と、前記第1層の少なくとも一部と、の間にある。前記第1対向電極と前記第1可動電極との間に第1間隙が設けられる。前記第1対向電極と前記第1可動電極との間の距離は、前記第1センサ部の周りのガスの濃度に応じて変化する。前記第1層は、結晶を含む。前記第1中間層はアモルファスである。または、前記第1中間層における結晶性は、前記第1層における結晶性よりも低い。前記第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1層の幅は、前記第2方向に沿う前記第1中間層の幅よりも広い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1(a)及び
図1(b)は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図1(a)は、
図1(b)のA1-A2線断面図である。
図1(b)は、平面図である。
【0009】
図1(a)に示すように、実施形態に係るセンサ110は、第1センサ部10Aを含む。第1センサ部10Aは、第1対向電極11F、第1可動電極11E、第1層51及び第1中間層51Mを含む。第1可動電極11Eは、第1方向において第1対向電極11Fと第1層51との間にある。
【0010】
第1方向をZ軸方向とする。Z軸方向に対して垂直な1つの方向をX軸方向とする。Z軸方向及びX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。
【0011】
第1中間層51Mは、第1方向(Z軸方向)において、第1可動電極11Eと、第1層51の少なくとも一部と、の間にある。
【0012】
第1対向電極11Fと第1可動電極11Eとの間に第1間隙g1が設けられる。
図1(a)に示すように、第1対向電極11Fの周りに絶縁部11iが設けられても良い。第1可動電極11Eの周りに絶縁部11jが設けられても良い。絶縁部11jの一部が、第1可動電極11Eと第1中間層51Mとの間に設けられる。
【0013】
第1対向電極11Fと第1可動電極11Eとの間の距離d1は、第1センサ部10Aの周りのガスの濃度に応じて変化する。距離d1は、便宜的に絶縁部11iと絶縁部11jとの間の距離としても良い。センサ110は、例えば容量変化型センサである。
【0014】
例えば、第1中間層51M及び第1層51を含む構造体51Sは、第1センサ部10Aの周りの検出対象を吸着または取り込むことが可能である。検出対象は、例えば、元素、分子及びイオンよりなる群から選択された少なくとも1つを含んで良い。構造体51Sが検出対象を吸着または取り込むと、構造体51Sの体積が変化する。体積の変化に基づいて、第1可動電極11Eが変形する。これにより、第1対向電極11Fと第1可動電極11Eとの間の距離d1が変化する。距離d1の変化に応じて、第1対向電極11Fと第1可動電極11Eとの間の電気容量が変化する。電気容量の変化に対応する電気的特性を検出することで、検出対象を検出できる。
【0015】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、第1可動電極11Eを含む可動部11Pは、接続部11Mを介して接続支持部11Cに接続されても良い。接続支持部11Cの一部が、接続部11Mに接続される。接続支持部11Cの別の一部が基体17に接続される。
【0016】
図1(a)に示すように、上記の第1中間層51M及び第1層51を含む構造体51Sは、接続支持部11Cに設けられても良い。検出対象に応じて構造体51Sの体積が変化して、接続支持部11Cの形状が変化しても良い。これにより、距離d1が変化し、第1対向電極11Fと第1可動電極11Eとの間の電気容量が変化しても良い。センサ110は、例えば、ガスセンサである。
【0017】
実施形態において、第1層51は、結晶を含む。第1中間層51Mはアモルファスである。または、第1中間層51Mにおける結晶性は、第1層51における結晶性よりも低い。
【0018】
例えば、第1中間層51Mは、第1層51と比べて、検出対象以外の意図しない元素の影響を受けやすい。例えば、第1中間層51Mにおいて、検出対象以外の意図しない元素により変化が生じやすい。第1層51が設けられることで、例えば、意図しない元素に起因した第1中間層51Mの変化が抑制できる。これにより、より安定した特性が維持できる。第1層51は、例えば、保護層として機能して良い。
【0019】
図1(b)に示すように、第1方向(Z軸方向)と交差する第2方向に沿う第1層51の幅を幅x51とする。第2方向は、例えば、X軸方向である。第2方向に沿う第1中間層51Mの幅を幅x51Mとする。実施形態において、幅x51は、幅x51Mよりも広い。例えば、第1層51の面積は第1中間層51Mの面積よりも大きい。
【0020】
実施形態においては、第1層51は、より効果的に第1中間層51Mを保護できる。第1中間層51Mの内部の構造が意図しないで変化することが、より効果的に抑制できる。安定した検出が可能になる。実施形態によれば、安定した検出が可能なセンサを提供できる。
【0021】
第1中間層51Mの体積は、検出対象に起因して変化し易い。一方、第1層51の体積は、変化し難い。第1中間層51Mの上に、面積が大きい第1層51が設けられることで、第1中間層51Mの体積が変化したときの、可動部11Pの変形が、面積が同じときに比べて、より大きくできる。より高い感度が得やすくなる。
【0022】
図1(b)に示すように、第1方向(Z軸方向)と交差する第2方向は、Y軸方向でも良い。Y軸方向に沿う第1層51の幅を幅y51とする。Y軸方向に沿う第1中間層51Mの幅を幅y51Mとする。実施形態において、幅y51は、幅y51Mよりも広い。この場合も、例えば、第1層51の面積は第1中間層51Mの面積よりも大きい。
【0023】
実施形態において、第1中間層51Mは、例えば、Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素と、Si、P及びBよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、を含む。検出対象が水素である場合に、大きな体積変化が安定して得やすい。
【0024】
例えば、第1中間層51Mは、Cu、Ag、Ni、Au、Fe及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素をさらに含んでも良い。アモルファス構造または低い結晶性が、より安定して得易くなる。
【0025】
第1層51は、Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む。
【0026】
1つの例において、第1中間層51Mは、Pd、Cu及びSiを含む合金を含む。第1層51は、例えば、Pdを含む。例えば、Pdの触媒作用により、水素分子が水素原子に効率的に変化する。これにより、水素に起因した第1中間層51Mの体積の変化がより効果的に生じる。
【0027】
図1(b)に示すように、第1対向電極11Fは、導電層11gなどにより、基体17に設けられる端子部11gTと電気的に接続されて良い。第1可動電極11Eは、導電層11e及び導電層11fなどにより、基体17に設けられる端子部11eT及び端
子部11fTとそれぞれ電気的に接続されて良い。
【0028】
図1(a)に示すように、基体17は、基板17a、絶縁層17i及び絶縁支持層17sを含んでも良い。基板17aは、例えばシリコン基板などで良い。絶縁層17iは、例えば、酸化シリコンなどを含む。絶縁支持層17sは、例えば窒化シリコンなどを含む。
【0029】
図1(a)に示すように、基体17の少なくとも一部(例えば絶縁層17i)と第1対向電極11F(及び絶縁部11i)との間に間隙g0が設けられても良い。加熱部の熱容量が下げられるため、低消費電力での加熱が可能となる。
【0030】
図1(a)に示すように、第1センサ部10Aは、第1導電層11hを含んでも良い。第1導電層11hは、第1可動電極11Eと第1中間層51Mとの間に設けられる。第1可動電極11Eと第1導電層11hとの間に絶縁部11iの一部が設けられる。第1導電層11hと第1中間層51Mとの間に絶縁部11iの別の一部が設けられる。第1導電層11hは、例えば、ヒータである。第1導電層11hに供給される電流により第1導電層11hの温度が上昇する。これにより、例えば、第1中間層51Mに導入された検出対象が第1中間層51Mから放出される。安定した検出特性が得易くなる。
【0031】
例えば、第1導電層11hにより、可動部11Pの反りが調整されても良い。例えば、接続支持部11Cに設けられる第1導電層11hがヒータとして用いられ、可動部11Pに設けられる第1導電層11hにより可動部11Pの反りが調整されても良い。
【0032】
図2は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図2に示すように、実施形態に係るセンサ111において、第1層51の形状がセンサ110におけるそれと異なる。センサ111におけるこれ以外の構成は、センサ110と同様で良い。
【0033】
図2に示すように、第1中間層51Mは、第1中間層側面51Msを含む。第1中間層側面51Msは、第1方向(Z軸方向)と交差する平面(X-Y平面)と交差する。第1層51の一部は、第2方向(例えばX軸方向)において、第1中間層側面51Msと重なる。例えば、第1層51の一部は、第2方向(例えばX軸方向)において、第1中間層側面51Msの上側部分を覆う。第1中間層側面51Msの一部は、第1層51から露出する。
【0034】
このような第1層51により、第1中間層51Mの特性がより安定になる。これにより、例えば、多くの検出対象を取り込むことが出来るようになる。例えば、第1中間層51Mの体積変化が大きくなる。
【0035】
例えば、第1中間層51Mの上側部分は、第1層51の2つの部分の間にある。第1中間層51Mの体積が変化したときに、可動部10Pの変形がより大きくできる。より高い感度が得易くなる。
【0036】
(第2実施形態)
図3(a)及び
図3(b)は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式図である。
図3(a)は、
図3(b)のA1-A2線断面図である。
図3(b)は、平面図である。
【0037】
図3(a)に示すように、実施形態に係るセンサ120は、第2センサ部20Aを含む。第2センサ部20Aは、絶縁部材20i及び抵抗部材52Rを含む。抵抗部材52Rは、第2層52及び第2中間層52Mを含む。第2中間層52Mは、第1方向(例えばZ軸方向)において、絶縁部材20iと、第2層52の少なくとも一部と、の間に設けられる。抵抗部材52Rの電気抵抗は、第2センサ部20Aの周りのガスの濃度に応じて変化する。
【0038】
例えば、抵抗部材52Rの表面などに検出対象が付着すると、抵抗部材52Rの抵抗が変化する。例えば、検出対象が抵抗部材52Rの表面に付着することで、抵抗部材52Rの表面の化学的な性質が変化する。例えば、抵抗部材52Rの表面及びその近傍におけるキャリア(例えば電子)の移動の特性が変化する。これにより、抵抗部材52Rの電気抵抗が変化する。センサ120は、例えば抵抗変化型センサである。
【0039】
例えば、第2層52は、結晶を含む。第2中間層52Mはアモルファスである。または、第2中間層52Mにおける結晶性は、第2層52における結晶性よりも低い。
【0040】
図3(a)に示すように、第1方向(Z軸方向)と交差する第2方向に沿う第2層52の幅を幅x52とする。第2方向は、例えば、X軸方向である。第2方向に沿う第2中間層52Mの幅を幅x52Mとする。幅x52は、幅x52Mよりも広い。
【0041】
第2層52は、より効果的に第2中間層52Mを保護できる。第2中間層52Mの内部の構造が意図しないで変化することが、より効果的に抑制できる。
【0042】
図3(b)に示すように、抵抗部材52Rは、ミアンダ構造を有しても良い。抵抗部材52Rの幅は、狭い。これにより、抵抗部材52Rにおける電気抵抗の変化が、実用的に使い易い範囲となる。抵抗部材52Rの幅を小さく加工する際に、第2層52の幅よりも第2中間層52Mの幅を小さくすることで、抵抗部材52Rの断面積をより安定して小さくできる。
【0043】
図3(b)に示すように、第1方向(Z軸方向)と交差する第2方向は、Y軸方向でも良い。Y軸方向に沿う第2層52の幅を幅y52とする。Y軸方向に沿う第2中間層52Mの幅を幅y52Mとする。実施形態において、幅y52は、幅y52Mよりも広い。
【0044】
第2中間層52Mは、例えば、Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素と、Si、P及びBよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、を含む。第2中間層52Mは、Cu、Ag、Ni、Au、Fe及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素をさらに含んでも良い。第2層52は、例えば、Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む。
【0045】
例えば、第2層52の体積抵抗率は、第2中間層52Mの体積抵抗率よりも低くて良い。
【0046】
例えば、第2層52の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)は、例えば、0.1nm以上200nm以下程度で良い。例えば、第2層52の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)は、例えば、1原子列の厚さ以上である。第2層52の厚さ(Z軸方向に沿う長さ)は、例えば、2nm以上200nm以下程度で良い。第2中間層52Mの厚さ(Z軸方向に沿う長さ)は、例えば、50nm以上2μm以下程度で良い。第2層52の幅x52は、例えば、10nm以上100nm以下程度で良い。抵抗部材52Rの長さ(ミアンダ構造の場合は、電流経路に沿った長さ)は、例えば、1μm以上1000μm以下程度で良い。第2中間層52Mは、不連続な島状でも良い。
【0047】
図4は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図4に示すように、実施形態に係るセンサ121において、第2層52の形状がセンサ120におけるそれと異なる。センサ121におけるこれ以外の構成は、センサ120と同様で良い。
【0048】
図4に示すように、第2中間層52Mは、第2中間層側面52Msを含む。第2中間層側面52Msは、第1方向(Z軸方向)と交差する平面(X-Y平面)と交差する。第2層52の一部は、第2方向(例えばX軸方向)において、第2中間層側面52Msと重なる。例えば、第2層52の一部は、第2方向(例えばX軸方向)において、第2中間層側面52Msの上側部分を覆う。第2中間層側面52Msの一部は、第2層5
2から露出する。このような第2層52により、第2中間層52Mの特性がより安定になる。
【0049】
図5は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図5に示すように、実施形態に係るセンサ122においては、基体17が設けられる。センサ122におけるこれ以外の構成は、センサ120またはセンサ121と同様で良い。
【0050】
図5に示すように、第2センサ部20Aは、基体17をさらに含む。基体17から絶縁部材20iへの方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。例えば、基体17と絶縁部材20iとの間に第2間隙g2が設けられて良い。例えば、熱などの影響が抑制できる。より安定した検出が可能になる。
【0051】
基体17は、基板17a及び絶縁層17iを含んでも良い。基板17aは、例えばシリコン基板などで良い。絶縁層17iは、例えば、酸化シリコンなどを含む。
【0052】
図6は、第2実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図6に示すように、実施形態に係るセンサ123において、第2導電層21hが設けられる。センサ123におけるこれ以外の構成は、センサ120~122のいずれかと同様で良い。
【0053】
図6に示すように、第2センサ部20Aは、第2導電層21hを含む。第2導電層21hは、絶縁部材20iの中に設けられる。第2導電層21hと第2中間層52Mとの間に絶縁部材20iの一部が設けられる。第2導電層21hは、例えば、ヒータである。第2導電層21hに供給される電流により第2導電層21hの温度が上昇する。これにより、例えば、抵抗部材52Rに付着した検出対象が抵抗部材52Rから離れる。より安定した検出特性が得易くなる。第2導電層21h及び第2間隙g2が設けられる場合、第2導電層21hによる熱が散逸することが抑制できる。効率的な加熱が容易になる。例えば、消費電力を小さくできる。
【0054】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図7に示すように、実施形態に係るセンサ130は、第1センサ部10Aに加えて第2センサ部20Aを含む。第1センサ部10Aは、第1実施形態に関して説明した構成を有して良い。第2センサ部20Aは、第2実施形態に関して説明した構成を有して良い。
【0055】
センサ130は、基体17を含んでも良い。基体17の一部から第1センサ部10Aへの方向は、第1方向(Z軸方向)に沿う。基体17の別の一部から第2センサ部20Aへの方向は、第1方向に沿う。例えば、1つの基体17の上に、第1センサ部10A及び第2センサ部20Aが設けられる。
【0056】
例えば、第2センサ部20Aは、検出対象の濃度が低いときに、高い検出感度を有する。例えば、第1センサ部10Aは、検出対象の濃度が高いときに、高い検出感度を有する。これらの複数のセンサ部が設けられることで、例えば、広い濃度範囲の検出対象を検出できる。
【0057】
例えば、第2中間層52Mは、第1中間層51Mに含まれる材料と同じ材料を含む。第2層52は、第1層51に含まれる材料と同じ材料を含む。同じ膜により、第1中間層51M及び第2中間層52Mが形成される。同じ膜により、第1層51及び第2層52が形成される。簡単なプロセスによりセンサ130を製造できる。
【0058】
第1層51及び第1中間層51Mは、例えば、
図1(b)に例示した構成を有して良い。第2層52及び第2中間層52Mは、例えば、
図3(b)に例示した構成を有して良い。
【0059】
例えば、第1層51の幅x51は、第2層52の幅x52よりも広い。第1中間層51Mの幅x51Mは、第2中間層52Mの幅x52Mよりも広い。第1センサ部10Aにおいては、広い面積の第1層51及び第1中間層51Mが設けられる。第2センサ部20Aにおいては、細い幅の第2層52及び第2中間層52Mが設けられる。大きな電気抵抗の変化が得やすい。実用的な範囲の電気抵抗が得やすい。
【0060】
第1層51の幅x51と第1中間層51Mの幅x51Mとの第1差の第1層51の幅x51に対する第1比は、(x51-x51M)/x51である。第2層52の幅x52と第2中間層52Mの幅x52Mとの第2差の第2層52の幅x52に対する第2比は、(x52-x52M)/x52である。第1比は、第2比よりも低い。例えば、第1差(x51-x51M)は、第2差(x52-x52M)と実質的に同じでも良い。
【0061】
第1センサ部10A及び第2センサ部20Aを同じプロセスで形成する際にこのような比の関係が得られる。
【0062】
図8は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図8に示すように、実施形態に係るセンサ131においては、第2センサ部20Aにおいて、例えば、基体17と絶縁部材20iとの間に第2間隙g2が設けられて良い。例えば、熱などの影響が抑制できる。より安定した検出が可能になる。
【0063】
図9は、第3実施形態に係るセンサを例示する模式的断面図である。
図9に示すように、実施形態に係るセンサ132においては、抵抗部材52Rは、複数の領域を含む。複数の領域は、例えば、第1抵抗領域52Ra、第2抵抗領域52Rb及び第3抵抗領域52Rcなどである。例えば、これらの複数の領域のそれぞれが、第2層52及び第2中間層52Mを含む。これらの複数の領域のそれぞれが、ミアンダ構造を有しても良い。
【0064】
第1センサ部10Aから第1抵抗領域52Raへの方向は、第2方向(例えばX軸方向)に沿う。第1センサ部10Aから第2抵抗領域52Rbへの方向は、第3方向に沿う。第3方向は、第1方向及び第2方向を含む平面(Z-X平面)と交差する。第3方向は、例えばY軸方向である。第1センサ部10Aから第3抵抗領域52Rcへの方向は、第3方向に沿う。
【0065】
このような構成により、抵抗部材52Rの長さが長くできる。これにより、実用的な抵抗の値が得やすくなる。例えば高い感度での検出が安定になる。
【0066】
上記の第1層51と第1中間層51Mとにおける幅の関係、及び、第2層52と第2中間層52Mとにおける幅の関係は、例えば、オーバーエッチング技術により形成できる。例えば、第1中間層51M及び第2中間層52Mとなる下膜を形成し、その膜の上に、第1層51及び第2層52となる上膜を形成する。上膜の一部を除去した後に、下膜の一部を除去する。この際に、下膜がオーバーエッチングされる条件が適用される。これにより、幅の差が得られる。エッチングには、例えばウエットエッチングが適用できる。
【0067】
実施形態において、第1センサ部10A及び第2センサ部20Aにより、例えば、1ppm~2%の広い濃度範囲の水素を検出可能である。
【0068】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んで良い。
(構成1)
第1センサ部を備え、
前記第1センサ部は、第1対向電極、第1可動電極、第1層及び第1中間層を含み、
前記第1可動電極は、第1方向において前記第1対向電極と前記第1層との間にあり、
前記第1中間層は、前記第1方向において、前記第1可動電極と、前記第1層の少なくとも一部と、の間にあり、
前記第1対向電極と前記第1可動電極との間に第1間隙が設けられ、
前記第1対向電極と前記第1可動電極との間の距離は、前記第1センサ部の周りのガスの濃度に応じて変化し、
前記第1層は、結晶を含み、
前記第1中間層はアモルファスである、または、前記第1中間層における結晶性は、前記第1層における結晶性よりも低く、
前記第1方向と交差する第2方向に沿う前記第1層の幅は、前記第2方向に沿う前記第1中間層の幅よりも広い、センサ。
【0069】
(構成2)
前記第1中間層は、
Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素と、
Si、P及びBよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、
を含む、構成1記載のセンサ。
【0070】
(構成3)
前記第1中間層は、Cu、Ag、Ni、Au、Fe及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素をさらに含む、構成2記載のセンサ。
【0071】
(構成4)
前記第1層は、Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む、構成1~3のいずれか1つに記載のセンサ。
【0072】
(構成5)
前記第1中間層は、前記第1方向と交差する平面と交差する第1中間層側面を含み、
前記第1層の一部は、前記第2方向において前記第1中間層側面と重なる、構成1~4のいずか1つに記載のセンサ。
【0073】
(構成6)
前記第1中間層側面の一部は、前記第1層から露出する、構成5記載のセンサ。
【0074】
(構成7)
第2センサ部をさらに備え、
前記第2センサ部は、絶縁部材と、抵抗部材と、を含み、
前記抵抗部材は、
第2層と、
前記第1方向において、前記絶縁部材と、前記第2層の少なくとも一部と、の間に設けられた第2中間層と、
を含み、
前記抵抗部材の電気抵抗は、前記第2センサ部の周りのガスの濃度に応じて変化し、
前記第2層は、結晶を含み、
前記第2中間層はアモルファスである、または、前記第2中間層における結晶性は、前記第2層における結晶性よりも低く、
前記第2方向に沿う前記第2層の幅は、前記第2方向に沿う前記第2中間層の幅よりも広い、構成1~6のいずれか1つに記載のセンサ。
【0075】
(構成8)
前記第2中間層は、前記第1中間層に含まれる材料と同じ材料を含み、前記第2層は、前記第1層に含まれる材料と同じ材料を含む、構成7記載のセンサ。
【0076】
(構成9)
前記第1層の前記幅は、前記第2層の前記幅よりも広く、
前記第1中間層の前記幅は、前記第2中間層の前記幅よりも広く、
前記第1層の前記幅と前記第1中間層の前記幅との差の前記第1層の前記幅に対する比は、前記第2層の前記幅と前記第2中間層の前記幅との差の前記第2層の前記幅に対する比よりも低い、構成7または8に記載のセンサ。
【0077】
(構成10)
基体をさらに備え、
前記基体の一部から前記第1センサ部への方向は、前記第1方向に沿い、
前記基体の別の一部から前記第2センサ部への方向は、前記第1方向に沿う、構成7~9のいずれか1つに記載のセンサ。
【0078】
(構成11)
前記基体の前記別の一部と、前記絶縁部材と、の間に第2間隙が設けられた、構成10に記載のセンサ。
【0079】
(構成12)
第2センサ部を備え、
前記第2センサ部は、絶縁部材と、抵抗部材と、を含み、
前記抵抗部材は、
第2層と、
第1方向において、前記絶縁部材と、前記第2層の少なくとも一部と、の間に設けられた第2中間層と、
を含み、
前記抵抗部材の電気抵抗は、前記第2センサ部の周りのガスの濃度に応じて変化し、
前記第2層は、結晶を含み、
前記第2中間層はアモルファスである、または、前記第2中間層における結晶性は、前記第2層における結晶性よりも低く、
前記第1方向と交差する第2方向に沿う前記第2層の幅は、前記第2方向に沿う前記第2中間層の幅よりも広い、センサ。
【0080】
(構成13)
前記第2中間層は、
Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第1元素と、
Si、P及びBよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第2元素と、
を含む、構成12記載のセンサ。
【0081】
(構成14)
前記第2中間層は、Cu、Ag、Ni、Au、Fe及びCrよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第3元素をさらに含む、構成13記載のセンサ。
【0082】
(構成15)
前記第2層は、Pd、Pt及びAuよりなる群から選択された少なくとも1つを含む第4元素を含む、構成12~14のいずれか1つに記載のセンサ。
【0083】
(構成16)
前記第2センサ部は、基体をさらに含み、
前記基体から前記絶縁部材への方向は、前記第1方向に沿い、
前記基体と前記絶縁部材との間に第2間隙が設けられた、構成12~15のいずれか1つに記載のセンサ。
【0084】
(構成17)
前記第2中間層は、前記第1方向と交差する前記平面と交差する第2中間層側面を含み、
前記第2層の一部は、前記第2方向において前記第2中間層側面と重なる、構成7~16のいずか1つに記載のセンサ。
【0085】
(構成18)
前記第2中間層側面の一部は、前記第2層から露出する、構成17記載のセンサ。
【0086】
(構成19)
前記第2センサ部は、前記絶縁部材の中に設けられた第2導電層を含む、構成7~18のいずれか1つに記載のセンサ。
【0087】
(構成20)
前記抵抗部材は、第1抵抗領域と、第2抵抗領域と、を含み、
前記第1センサ部から前記第1抵抗領域への方向は、前記第2方向に沿い、
前記第1センサ部から前記第2抵抗領域への方向は、第3方向に沿い、前記第3方向は、前記第1方向及び前記第2方向を含む平面と交差した、構成7~19のいずれか1つに記載のセンサ。
【0088】
実施形態によれば、安定した検出が可能なセンサを提供できる。
【0089】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、センサに含まれるセンサ部、電極、層、中間層、及び抵抗部材などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0090】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0091】
その他、本発明の実施の形態として上述したセンサを基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサも、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0092】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0094】
10A…第1センサ部、 11C…接続支持部、 11E…第1可動電極、 11F…第1対向電極、 11M…接続部、 11P可動部、 11e、11f、11g…導電層、 11eT、11fT、11gT…端子部、 11h…第1導電層、 11i、11j…絶縁部、 17…基体、 17a…基板、 17i…絶縁層、 17s…絶縁支持層、 20A…第2センサ部、 20i…絶縁部材、 22h…第2導電層、 51、52…第1、第2層、 51M、52M…第1、第2中間層、 51Ms、52Ms…第1、第2中間層側面、 51S…構造体、 52R…抵抗部材、 52Ra~52Rc…第1~第3抵抗領域、 11、111、120~123、130~132…センサ、 d1…距離、 g0…間隙、 g1、g2…第1、第2間隙、 x51、x51M、x52、x52M…幅、 y51、y51M、y52、y52M…幅