(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】白色感光性樹脂組成物、これを用いて製造されたカラーフィルタおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240610BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240610BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240610BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240610BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240610BHJP
C09D 7/41 20180101ALI20240610BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240610BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20240610BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240610BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G02B5/20 101
G02B5/20
C09D201/00
C09D7/63
C09D7/61
C09D7/41
C08F2/44 Z
C08F2/50
G02F1/1335 505
(21)【出願番号】P 2021039270
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0034417
(32)【優先日】2020-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安 基 燻
(72)【発明者】
【氏名】金 勳 植
(72)【発明者】
【氏名】朴 ▲スル▼ ▲ギ▼
(72)【発明者】
【氏名】李 在 乙
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-501176(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110865482(CN,A)
【文献】特表2019-536110(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0019277(KR,A)
【文献】国際公開第2016/152368(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/018392(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103917000(CN,A)
【文献】特開2016-133579(JP,A)
【文献】国際公開第2013/154133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
G02B 5/20
C09D 201/00
C09D 7/63
C09D 7/61
C09D 7/41
C08F 2/44
C08F 2/50
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)散乱粒子、または散乱粒子と着色剤との混合物、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤、および(E)溶剤を含み、
量子ドットを含まない白色感光性樹脂組成物であって、
前記散乱粒子は、平均粒径が互いに異なる2種を含み、前記平均粒径が互いに異なる2種の散乱粒子は、平均粒径100nm以上の粒子および平均粒径100nm未満の粒子であり、前記平均粒径が互いに異なる2種の散乱粒子は、粒子の重量比率が下記式1を満たし、
【数1】
前記散乱粒子は、白色感光性樹脂組成物中の固形分全100重量部に対して、0.1~11重量部含まれ、
10μmの厚さの塗膜の形成時、製造された塗膜の輝度が青色光源100%を基準として60%以上である、白色感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記散乱粒子と着色剤との混合物を含む場合、散乱粒子と着色剤の含有量の比率は、下記式2を満たす、請求項1に記載の白色感光性樹脂組成物。
【数2】
【請求項3】
10μmの厚さの塗膜の形成時、正面視野角0゜基準、視野角-60゜~+60゜で輝度が50%以上である、請求項1に記載の白色感光性樹脂組成物。
【請求項4】
青色光源によって青色を呈する散乱ピクセルを製造するためのものである、請求項1に記載の白色感光性樹脂組成物。
【請求項5】
充填剤、他の高分子化合物、熱硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、および分散剤から選択される1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の白色感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセル。
【請求項7】
請求項
6に記載の散乱ピクセルを含むカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項
7に記載のカラーフィルタを含む画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色感光性樹脂組成物、これを用いて製造されたカラーフィルタおよび画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、白色光から赤色、緑色および青色の3種の色を抽出して微細な画素単位に可能にする薄膜フィルム型光学部品であって、1画素の大きさが数十から数百マイクロメートル程度である。このようなカラーフィルタは、それぞれの画素間の境界部分を遮光するために透明基板上に定められたパターンに形成されたブラックマトリックス層、およびそれぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤色(R)、緑色(G)および青色(B))の3原色を定められた順序で配列した画素部が順に積層された構造を取っている。
【0003】
最近は、カラーフィルタを実現する方法の一つとして、顔料分散型の感光性樹脂を用いた顔料分散法が適用されているが、光源から照射された光がカラーフィルタを透過する過程で光の一部がカラーフィルタに吸収されて光効率が低下し、また、色フィルタに含まれている顔料の特性によって色再現が低下する問題点が発生している。
【0004】
特に、カラーフィルタが各種画像表示装置をはじめとする多様な分野に用いられることにより、優れたパターン特性だけでなく、高い色再現率とともに優れた高輝度、高明暗比のような性能が要求されていることから、このような問題を解決するために、量子ドットを含む自発光感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルタの製造方法が提案された。
【0005】
例えば、大韓民国登録特許第10-1906279号は、量子ドット、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、拡散剤、重合抑制剤、チオール系添加剤、および溶媒を含む感光性樹脂組成物およびこれを用いたカラーフィルタに関する技術を開示している。
【0006】
しかし、前記特許文献のような量子ドットを含むカラーフィルタの場合、量子ドットの効率、特に、青色量子ドットの効率が低下することにより、色変換パネルの性能がやや低下することがあり、青色量子ドットの場合、高価なため、全体的な製造費用が上昇する問題があった。
【0007】
青色光源を用いる色変換パネルを含むディスプレイの場合、緑色および赤色画素はそれぞれ緑色および赤色量子ドットを用いる色を呈する。しかし、青色の場合、前述のように、青色量子ドットの性能の問題から使用が困難で青色光源を透過させて色を呈する。このような理由から、緑色と赤色は量子ドットによって散乱した光が発生し、青色の場合、直光が発生して色混合時に鮮明な混合が困難になる。このような問題点を解決するために、青色画素に散乱目的の散乱層を導入する技術が開発されている。
【0008】
したがって、青色画素の効率の低下を防止するために、輝度低下の問題を解決し、優れた視野角を確保できる感光性樹脂組成物の開発が要求されているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一課題は、輝度が低下するのを防止し、優れた視野角を提供可能な青色画素層の製造に適した白色感光性樹脂組成物を提供することである。
【0011】
また、本発明は、前記白色感光性樹脂組成物を用いて製造された塗膜を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含む画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(A)散乱粒子、または散乱粒子と着色剤との混合物、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤、および(E)溶剤を含み、
10μmの厚さの塗膜の形成時、製造された塗膜の輝度が青色光源100%を基準として60%以上である、白色感光性樹脂組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、前記白色感光性樹脂組成物で製造された塗膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0014】
さらに、本発明は、前記カラーフィルタを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る白色感光性樹脂組成物を用いて青色画素を製造すれば、青色光源から放出される光が本発明の青色画素を透過しながら輝度が著しく低下することを緩和させることができ、優れた視野角を確保して青色画素の効率の低下を防止することができる。
【0016】
したがって、本発明の白色感光性樹脂組成物を用いて製造された塗膜を青色画素として含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含む画像表示装置は、画質、視野角などに優れた効果を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、(A)散乱粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤、および(E)溶剤を含み、10μmの厚さの塗膜の形成時、製造された塗膜の輝度が青色光源100%を基準として60%以上である、白色感光性樹脂組成物、これを用いて製造された塗膜を含むカラーフィルタおよび画像表示装置を提供する。
【0018】
例えば、量子ドットを含む赤色および緑色画素層は、量子ドットが多く含まれるほど発光輝度が向上し、量子ドットが多く含まれる場合に、量子ドット間の凝集が発生して発光輝度が低下しないように8~15μmの厚さに形成されている。よって、前記赤色および緑色画素層と共にカラーフィルタに含まれる青色画素(散乱ピクセル)層も前記厚さ範囲に形成される。
【0019】
さらに、青色画素は、光源として青色を用いる場合、光源から放出される光が青色画素を透過しながら光効率が低下して青色光源の輝度をそのまま維持できず、前記青色光源の輝度に比べて著しく低下した輝度を示すようになる。
【0020】
したがって、本発明は、8~15μmの厚さの厚膜に形成された画素層を含むカラーフィルタおよび画像表示装置が優れた色再現性および画質を実現できるように、10μmの厚さの塗膜を基準とする時、製造された塗膜の輝度が青色光源の輝度対比60%以上を確保する白色感光性樹脂組成物を提供することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の白色感光性樹脂組成物は、10μmの厚さの塗膜の形成時、正面視野角0゜基準、視野角-60゜~+60゜の範囲で50%以上の輝度を示すことにより、青色画素の視野角による効率の低下を防止することができる。好ましくは、本発明の白色感光性樹脂組成物は、硬化時に、正面視野角0゜基準、視野角-60゜~+60゜の範囲で、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上の輝度を有する。
【0022】
これにより、本発明は、「青色光源対比の輝度(A)×視野角の輝度(B)」の値が50%以上となり、画像表示装置の色再現性および視認性に優れる。
【0023】
本発明において、青色光源は、380nmから530nmの波長を有することを意味することができる。
【0024】
以下、本発明の白色感光性樹脂組成物を構成する各成分について詳しく説明する。しかし、本発明がこれらの成分によって限定されるものではない。
【0025】
<白色感光性樹脂組成物>
本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、散乱粒子、または散乱粒子と着色剤との混合物、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、および溶媒を含み、必要に応じて、選択的に添加剤をさらに含んでもよい。
【0026】
(A)散乱粒子、または散乱粒子と着色剤との混合物
本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、光散乱効果を提供するために散乱粒子を含む。
【0027】
前記散乱粒子を含む本発明の白色感光性樹脂組成物は、青色光源によって青色画素の役割を果たすのに好適に利用可能である。
【0028】
本発明において、前記散乱粒子は、金属酸化物を含む。
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、In、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の酸化物を含むものであってもよい。
【0029】
例えば、前記金属酸化物は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、MgO、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上を含むことができ、必要に応じて、アクリレートのような不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0030】
前記散乱粒子は、カラーフィルタの発光強度を極大化できるように平均粒径および全体組成物中での含有量が限定されたものが使用できる。
【0031】
本発明において、「平均粒径」とは、数平均粒径であってもよいし、例えば、電界放出走査電子顕微鏡(FE-SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した像から求められる。具体的には、FE-SEMまたはTEMの観察画像からいくつかのサンプルを抽出し、これらサンプルの直径を測定して算術平均した値で得ることができる。
【0032】
例えば、本発明の散乱粒子に含まれた前記金属酸化物は、平均粒径が30~500nmであり、好ましくは30~300nmであってもよい。前記金属酸化物の平均粒径が前記範囲を満たす場合、散乱効果が増大して前記散乱粒子を含む白色感光性樹脂組成物が青色光源によって青色画素の役割を果たすことができるので、好ましい。また、組成物内に沈む現象を防止して均一な品質の表面を得ることができるので、前記範囲内で平均粒径を適宜調節して使用可能である。
【0033】
一部の実施例において、本発明の白色感光性樹脂組成物は、2種の散乱粒子を含むことができ、この場合、互いに異なる平均粒径を有する散乱粒子を用いることができる。
【0034】
例えば、平均粒径が100nm以上の散乱粒子と、平均粒径が100nm未満の散乱粒子とを組み合わせて用いることができる。
【0035】
本発明において、平均粒径が互いに異なる2種の散乱粒子を用いる場合、前記2種の散乱粒子の粒子サイズの比率は、下記式1を満たすことが好ましく、この場合、カラーフィルタ/画像表示装置の色再現率の面で有利である。
【0036】
【0037】
上記式1を満たす場合、カラーフィルタの色再現率に優れるという利点がある。
前記散乱粒子は、白色感光性樹脂組成物中の固形分全100重量部に対して、0.1~11重量部含まれる。前記散乱粒子が前記範囲内に含まれる場合、優れた発光強度を有する散乱ピクセルの製造が可能であるという利点がある。具体的には、前記散乱粒子が前記範囲内に含まれる場合、得ようとする発光強度の確保が容易になり、組成物の安定性の低下を抑制できるという利点がある。
【0038】
一方、本発明の白色感光性樹脂組成物は、硬化時に、青色光源によって青色画素、すなわち青色光源が硬化した塗膜をそのまま透過可能な青色画素の役割を果たすのに利用できるものである。本発明の白色感光性樹脂組成物は、青色光の透過効率向上のために着色剤を実質的に含まないことが好ましいが、組成物に要求される他の特性を考慮して、必要に応じて、上述した散乱粒子以外に着色剤を少量含むことも可能である。
【0039】
本発明において、着色剤は、前記散乱粒子を除いた色材を意味する。
例えば、青色系着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントBlue15:6、C.I.ピグメントBlue16、C.I.ピグメントBlue60、Violet29などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の一実施形態において、前記散乱粒子と着色剤を同時に含む場合には、散乱粒子と着色剤の含有量の比率が下記式2を満たすことが好ましい。
【0040】
【0041】
上記式2を満たす場合、発光強度の確保が容易であるという利点がある。
このように、本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、散乱粒子と着色剤とを混合して使用可能であるが、青色光の透過効率を向上させて優れた輝度および視野角を確保するための面で、散乱粒子のみを含むことがより好ましい。
【0042】
(B)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂は、光や熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、散乱粒子をはじめとする固形分の分散媒として作用し、結着樹脂の機能を果たすものであれば、この分野で公知の樹脂を特別な制限なく選択して使用可能である。
【0043】
具体的には、前記アルカリ可溶性樹脂は、不飽和カルボキシル基含有単量体およびこれと共重合可能な他の単量体の共重合体であることが好ましい。
【0044】
前記不飽和カルボキシル基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの分子中に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0045】
前記不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、桂皮酸などが挙げられる。
【0046】
前記不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。
【0047】
前記不飽和多価カルボン酸は、酸無水物であってもよいし、具体的には、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、前記不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよいし、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などであってもよい。前記不飽和多価カルボン酸は、その両末端のジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよいし、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0048】
前記カルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用可能である。
【0049】
前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;およびポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基、またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体類などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用可能である。
【0050】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂(B)は、白色感光性樹脂組成物中の固形分総重量全100重量部に対して、20~70重量部、好ましくは25~65重量部、さらに好ましくは30~60重量部含まれる。
【0051】
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が前記範囲内に含まれる場合、現像液に対する溶解性が十分で硬化膜の形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて非画素部分の欠落性が良好であるという利点がある。また、本発明に係るアルカリ可溶性樹脂(B)を含む場合、現像液を用いてパターンを形成する現像工程の変化にも同一の線幅のパターンを形成しやすいという利点がある。
【0052】
(C)重合性化合物
本発明の白色感光性樹脂組成物に含有される重合性化合物は、光および熱によって重合できる化合物であって、光および熱によって重合できるものであれば、この分野にて公知の重合性化合物を特別な制限なく選択して使用可能であり、具体的には、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0053】
前記単官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0054】
前記2官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0055】
前記多官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0056】
前記二重結合単量体の市販の例としては、ミウォン商事のMiramer M600などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本発明において、重合性化合物は、白色感光性樹脂組成物中の固形分総100重量部に対して、5~50重量部、好ましくは10~40重量部含まれ、前記範囲内に含まれる場合、画素部の強度や平滑性の面で好ましいという利点がある。
【0058】
(D)光重合開始剤
本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含む。
【0059】
前記光重合開始剤は、白色感光性樹脂組成物に一般的に用いられる光重合開始剤を使用することができる。例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、チオキサントン系、オキシム系、ベンゾイン系、ビイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0060】
例えば、オキシム系化合物としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられ、市販品としてCiba社のOXE-01、OXE-02が代表的である。
【0061】
前記光重合開始剤は、白色感光性樹脂組成物100重量部(固形分基準)中、0.01~10重量部、好ましくは0.01~5重量部使用することができる。このような含有量範囲は、光重合性化合物の光重合速度および最終的に得られる塗膜の物性を考慮したもので、前記範囲未満であれば、重合速度が低くて全体的な工程時間が長くなり、逆に、前記範囲を超える場合、過度な反応により架橋反応が過剰になって塗膜の物性がむしろ低下しうるため、前記範囲内で適宜使用する。
【0062】
また、必要に応じて、光重合開始剤と共に光重合開始補助剤を使用することができる。前記光重合開始剤と共に光重合開始補助剤を用いる場合、散乱ピクセル用感光性樹脂組成物がさらに高感度になって生産性が向上するので、好ましい。前記光重合開始補助剤としては、アミンおよびカルボン酸化合物からなる群より選択される1種以上の化合物が好適に使用できる。
【0063】
このような光重合開始補助剤は、光重合開始剤1モルあたり、通常10モル以下、好ましくは0.01~5モルの範囲内で使用することが好ましい。前記範囲内で光重合開始補助剤を用いる場合、重合効率を高めて生産性の向上効果を期待することができる。
【0064】
(E)溶剤
本発明の白色感光性樹脂組成物に含有される溶剤は特に限定されず、感光性樹脂組成物の分野で公知の各種有機溶剤を使用することができる。
【0065】
例えば、本発明で使用可能な溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、およびメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0066】
前記溶剤のうち、塗布性、乾燥性の面で、好ましくは、前記溶剤中で沸点が100℃~200℃の有機溶剤が挙げられ、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これらの溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上混合して使用可能である。
【0067】
前記溶剤の含有量は、それを含む白色感光性樹脂組成物全100重量部に対して、通常30~90重量部、好ましくは35~85重量部含まれる。前記溶剤の含有量が前記範囲を満たす場合、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる傾向があるので、好ましい。
【0068】
(F)添加剤
本発明の一実施形態に係る白色感光性樹脂組成物は、添加剤をさらに含んでもよいし、前記添加剤の種類は、使用者の必要に応じて定められるもので、本発明において特に限定するものではないが、例えば、充填剤、他の高分子化合物、熱硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、レベリング剤などが挙げられる。
【0069】
前記充填剤は、例えば、ガラス、シリカ、アルミナなどが挙げられる。
前記他の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0070】
前記添加剤のうち含有量が例示されていない添加剤の場合、本発明の効果を損なわない範囲で当業者が適宜追加して使用可能である。例えば、前記添加剤は、前記白色感光性樹脂組成物全100重量部に対して、0.05~30重量部、好ましくは0.1~20重量部使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、前記添加剤は、酸化防止剤を含むことができ、このように酸化防止剤をさらに含む場合、硬化物を形成するための工程中、ポストベーク時の熱による老化を防止し、色相を保存する効果を期待できるという利点がある。
【0072】
前記酸化防止剤は、例えば、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤からなる群より選択される1つ以上を含むことができ、この場合、工程中に高温で発生しうる色変現象またはディスプレイの作製後に光源によって引き起こされうる黄変の発生を抑制させることができる。前記酸化防止剤は、フェノール系化合物、リン系化合物、および硫黄系化合物からなる群より選択された1種以上を含むことができ、これらは、フェノール系-リン系化合物、フェノール系-硫黄系化合物、リン系-硫黄系化合物、またはフェノール系-リン系-硫黄系化合物の組み合わせで使用できる。
【0073】
例えば、前記フェノール系酸化防止剤のうち、耐熱性および耐熱変色防止の面で、3,9-ビス[2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエトキシ]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5,-トリメチル-2,4,6,-トリス(3’5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ペンタエリトリチル・テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’-チオビス(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-イソシアヌレート、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナムアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、および2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-O-クレゾールが好ましい。
【0074】
市販品としては、Irganox 1010(BASF製造)、Sumilizer BBM-S(住友化学製造)、ADK STAB AO-80(ADEKA製造)、Sumilizer GP(住友化学製造)、Irganox 1035(BASF製造)などが挙げられる。
【0075】
前記酸化防止剤は、本発明の白色感光性樹脂組成物の全固形分総100重量部を基準として0.1~30重量部、好ましくは0.5~20重量部含まれる。前記酸化防止剤の含有量が前記範囲を満たす場合、発光強度低下問題の解決の面で有利である。
【0076】
本発明の白色感光性樹脂組成物の製造方法は、当業界にて知られた通常の方法で製造できるもので、本発明において特に限定するものではないが、一例を挙げると、下記の方法で製造できる。
【0077】
散乱粒子を予め溶剤と混合して、平均粒径が30~300nmになるまでビーズミルなどを用いて分散させる。この時、必要に応じて分散剤を追加的に使用してもよく、アルカリ可溶性樹脂の一部または全部が配合されてもよい。得られた分散液(以下、ミルベースともいう場合もある)にアルカリ可溶性樹脂の残り、重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じて使用されるその他の成分と必要に応じて追加の溶剤を所定の濃度となるようにさらに添加して、目的の白色感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0078】
<散乱ピクセル>
本発明は、上述した白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセル、すなわち青色画素を提供する。
【0079】
前記散乱ピクセルは、基板上に上述した白色感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンに露光および現像して形成される塗膜である。前記塗膜の形成に用いられる本発明の白色感光性樹脂組成物は、量子ドットを含まず、青色光の透過効率向上のために、上述した散乱粒子以外に他の着色剤を実質的に含まないことが好ましい。ただし、本発明の散乱ピクセルを製造するための白色感光性樹脂組成物は、散乱ピクセルに要求される特性によって着色剤を少量含むものであってもよい。
【0080】
本発明の散乱ピクセルは、画像表示装置により好適に適用可能であり、青色光源によって青色光がそのまま透過して青色を呈する青色画素層を意味するものであってもよい。
【0081】
本発明の散乱ピクセルは、青色光源を用いる量子ドットディスプレイにより好適に適用可能である。例えば、赤色および緑色画素層は、各画素に位置した量子ドットが青色光によってそれぞれの赤色と緑色に変換されて散乱した光で映像を実現するが、青色画素層は、青色光源をそのまま用いるようになる。この時、青色光源は直光で透過して所望の色を実現しにくくて、青色も散乱した光が必要であるが、このために、青色画素層に本発明に係る白色感光性樹脂組成物を用いて散乱効果を付与する。
【0082】
本発明に係る散乱ピクセルは、上述した白色感光性樹脂組成物で製造されるため、製造単価を低減することができる。また、青色光源から放出される光が本発明の青色画素を透過しながら輝度が著しく低下することを緩和させることができるだけでなく、透過光度が向上して優れた視野角を有するという利点がある。
【0083】
<カラーフィルタ>
本発明は、上述した散乱ピクセルを含むカラーフィルタを提供する。
【0084】
本発明のカラーフィルタは、画像表示装置に適用される場合に、表示装置の光源の光によって発光するので、より優れた光効率を実現することができる。また、色相を有する光が放出されるものであるので、色再現性により優れ、光ルミネッセンスによって全方向に光が放出されるので、視野角が改善されて輝度特性に優れる。
【0085】
本発明の場合、青色光を放出する光源を用いることにより、赤色パターン層または緑色パターン層は、青色光を放出する光源によってそれぞれ赤色光または緑色光を放出することができ、散乱ピクセルは、従来の白色光源を用いるものとは異なり、色変換なしに青色光がそのまま透過して青色を呈することができる。
【0086】
基板は、カラーフィルタ自体の基板でもよいし、またはディスプレイ装置などにカラーフィルタが位置する部位でもよいもので、特に限定されない。前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)、または高分子基板であってもよいし、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであってもよい。
【0087】
本発明において、前記散乱ピクセルは、量子ドットを含有せず、前記赤色および緑色パターン層は、量子ドットを含有するものであってもよい。
【0088】
前記パターン層は、本発明の技術分野で公知の着色感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンに露光、現像および熱硬化して形成された塗膜であってもよいし、前記パターン層は、当業界で通常知られた方法を行うことにより形成することができる。
【0089】
本発明に係るカラーフィルタを含む画像表示装置の光源としては、青色光を放出する光源を用いることができる。この時、赤色パターン層は赤色光を、緑色パターン層は緑色光を放出し、散乱ピクセルは青色光がそのまま透過して青色を呈する。
【0090】
<画像表示装置>
本発明は、本発明に係る散乱層、すなわち散乱ピクセルを含む画像表示装置を提供する。
【0091】
例えば、前記画像表示装置としては、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、クオンタムドットディスプレイ、液晶プロジェクタ、ゲーム機用表示装置、携帯電話などの携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用表示装置、カーナビゲーション用表示装置などの表示装置などが挙げられ、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、クオンタムドットディスプレイであってもよい。
【0092】
前記画像表示装置は、光源などのような発光装置、導光板、カラーフィルタを含む液晶表示部などのように通常画像表示装置に含まれるその他の構成を含むことができ、本発明においてこれを限定しない。
【0093】
本発明では、画像表示装置に適用される光源の放出光が特に限定されないが、より優れた色再現性の面で、好ましくは、青色光を放出する光源を用いることができる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳しく説明するが、下記に開示される本発明の実施形態はあくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲に示されており、なおかつ特許請求の範囲の記録と均等な意味および範囲内でのすべての変更を含んでいる。また、以下の実施例、比較例において、含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【0095】
<合成例>
合成例1:アルカリ可溶性樹脂の合成(B)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート、および窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、N-ベンジルマレイミド15重量部、アクリル酸30重量部、シクロヘキシルメタクリレート50重量部、メチルメタクリレート5重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入後、撹拌混合してモノマー滴下ロートを用意し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA24重量部を入れて、撹拌混合して連鎖移動剤滴下ロートを用意した。
【0096】
以後、フラスコにPGMEA395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次いで、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間進行させ、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)の混合ガスのバブリングを開始した。
【0097】
次いで、グリシジルメタクリレート20重量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して、110℃で6時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しながら重量平均分子量3,800、固形分基準の酸価が83mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂を得た。
【0098】
実施例および比較例:白色感光性樹脂組成物の製造
下記表1および表2に記載の組成(単位:重量%)で白色感光性樹脂組成物を製造した。
【0099】
【0100】
【0101】
(A-1)散乱粒子:TiO2(デュポン社のR102、210nm)
(A-2)散乱粒子:TiO2(石原社のTTO-55(c)、30~50nm)
(A-3)着色剤:青色顔料、Blue15:6(TCI chemical)
(A-4)着色剤:紫色顔料、Violet29(TCI chemical)
(B)アルカリ可溶性樹脂:合成例1
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Kayarad DPHA、日本化学)
(D)光重合開始剤:Irgacure OXE01(BASF社)
(E-1)酸化防止剤:Sumilizer GP(住友化学)
(E-2)エポキシ樹脂:ESCN 195XL(住友化学)
(E-3)レベリング剤:F-554(DIC社)
(F)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
<散乱ピクセルの製造>
前記実施例および比較例により製造された白色感光性樹脂組成物を用いて散乱ピクセルを製造した。すなわち、前記それぞれの白色感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板上に置いて、100℃の温度で3分間維持して溶剤を除去し、塗膜を形成させた。
【0102】
次いで、前記塗膜上に横×縦20mm×20mmの正方形の透過パターンと1~100μmのラインパターンを有する試験フォトマスクを載せて、試験フォトマスクとの間隔を100μmにして紫外線を照射した。
【0103】
この時、紫外線光源はウシオ電機(株)製の超高圧水銀ランプ(商品名USH-250D)を用いて、大気雰囲気下、200mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射し、特別な光学フィルタは用いなかった。
【0104】
前記紫外線の照射された塗膜をpH10.5のKOH水溶液現像溶液に定められた時間の間浸漬して現像した(80秒と160秒でそれぞれ進行させる)。この塗膜が形成されたガラス基板を蒸留水を用いて洗浄した後、窒素ガスを吹いて乾燥し、230℃の加熱オーブンで20分間加熱して散乱ピクセルパターンの硬化膜を製造した。前記製造された散乱ピクセルのフィルム厚さは10μmであった。
【0105】
<実験例>
実験例1:青色光源対比の輝度
青色光源の透過度はCAS 140 CT(Instrument System社)で測定した。まず、青色光源(450nm)上にbare glassを置いて、ディテクタで輝度を測定して先に基準を取った後、同じ位置で前記実施例および比較例により製造された感光性樹脂組成物を用いて製造された10μmの厚さの塗膜を基板に載せて、輝度を測定した後、青色光源の輝度対比、それぞれの実施例および比較例に対する輝度を測定した。その結果を下記表3に記載した(輝度mW/cm2)。
【0106】
実験例2:青色光源に対する視野角の測定
前記実施例および比較例により製造された感光性樹脂組成物を用いて製造された塗膜基板を、EZCON装置を用いて視野角を測定した。その結果を下記表3に記載した(視野角の輝度60゜)。また、視野角の測定値による画像表示装置の色再現性および視認性を評価して、その結果を下記表3に記載した。
<色再現性および視認性の評価基準>
【0107】
【0108】
○:上記式3で計算された値が50%以上、
×:上記式3で計算された値が50%未満
【0109】
【0110】
表3を参照すれば、本発明の実施例による白色感光性樹脂組成物を用いると、10μmの厚さの塗膜を基準とする時、製造された塗膜の輝度が青色光源の輝度対比60%以上を確保することができ、具体的には、比較例1および4に比べて、実施例1~8が相対的により高い輝度値を示すことが分かった。比較例1~4は、10μmの厚さの塗膜の形成時、製造された塗膜の輝度が青色光源100%を基準とした時に60%未満となり、輝度値が著しく低下することが分かり、これから、比較例1~4による組成物で厚膜の画素層を形成すれば、これを含むカラーフィルタ/画像表示装置の色再現性および画質が著しく低下することが分かる。
【0111】
また、本発明の実施例による白色感光性樹脂組成物を用いると、10μmの厚さの塗膜を基準とする時、優れた視野角の輝度を確保することができた。特に、2種の散乱粒子を用いる実施例6に比べて、1種の散乱粒子を用いる実施例4の組成物を用いる場合に、視野角の輝度を確保するにあたりより有利であり得ることが分かった。したがって、2種の散乱粒子を用いる場合には、粒子サイズの比率が「平均粒径100nm以上の散乱粒子/平均粒径100nm未満の粒子≧1」を満たす方が、カラーフィルタ/画像表示装置の色再現性および画質に有利である。
【0112】
要約すれば、本発明の実施例によれば、青色光源対比の輝度に優れるだけでなく、視野角の輝度においても優れた特性を示して、青色光源対比の輝度と視野角の輝度を考慮した画像表示装置の色再現性および視認性において優れた特性を示すことが分かった。