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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240610BHJP
   F16H 61/42 20100101ALI20240610BHJP
【FI】
E02F9/20 Z
F16H61/42
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021096742
(22)【出願日】2021-06-09
(65)【公開番号】P2022033105
(43)【公開日】2022-02-28
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】P 2020137168
(32)【優先日】2020-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】長尾 昂平
(72)【発明者】
【氏名】濱本 亮太
(72)【発明者】
【氏名】中川 裕朗
(72)【発明者】
【氏名】田中 義実
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038002(JP,A)
【文献】特開2001-125657(JP,A)
【文献】特開2004-350724(JP,A)
【文献】特開2004-350740(JP,A)
【文献】特開2017-053413(JP,A)
【文献】特開2018-062848(JP,A)
【文献】特開2005-061016(JP,A)
【文献】特開2003-118624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
F16H 61/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体の左側に設けられた左走行装置と、
前記機体の右側に設けられた右走行装置と、
前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、
前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、
作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、
作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、
走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、
前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、
前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、
前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、
前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、
前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、
前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、
前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、
前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、
前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回及び直進のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、
を備え
前記制御装置は、
前記第1パイロット圧lf(t)から前記第2パイロット圧lb(t)を引いた第1差圧と、前記第3パイロット圧rf(t)から前記第4パイロット圧rb(t)を引いた第2差圧の正負が逆の場合に、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回に対応する操作であると判断し、
前記第1パイロット圧lf(t)が第1閾値以上且つ前記第2差圧が第2閾値以下である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第3閾値以上且つ前記第1差圧が第4閾値以下である場合に、前記走行操作部材の操作が、旋回半径が中程度である急ターンに対応する操作であると判断し、
前記第1パイロット圧lf(t)が第7閾値以上且つ前記第2差圧が第8閾値以上である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第9閾値以上且つ前記第1差圧が第10閾値以上である場合に、前記走行操作部材の操作が、前記急ターンよりも旋回半径が大きい緩ターンに対応する操作であると判断する作業機。
【請求項2】
機体と、
前記機体の左側に設けられた左走行装置と、
前記機体の右側に設けられた右走行装置と、
前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、
前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、
作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、
作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、
走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、
前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、
前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、
前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、
前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、
前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、
前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、
前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、
前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、
前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲であるか否かを判断し、
前記第1比率が所定範囲である場合には前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値とし、前記第2比率が所定範囲である場合には前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2判定値とした場合であって、
前記第1判定値が前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第1平均値よりも小さい場合、又は、前記第2判定値が前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第2平均値よりも小さい場合は、前記走行操作部材の操作が、前記超信地旋回であると判断する一方、
前記第1判定値が前記第1平均値以上、又は、前記第2判定値が前記第2平均値以上である場合は、前記走行操作部材の操作が、前記信地旋回に対応する方向に操作されていると判断する作業機。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記第1パイロット圧lf(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との第3比率が所定範囲、前記第2パイロット圧lb(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との第4比率が所定範囲であるか否かを判断し、
前記第3比率が所定範囲である場合には前記第2パイロット圧lb(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1直進値とし、
前記第4比率が所定範囲である場合には前記第1パイロット圧lf(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2直進値とし、
前記第1パイロット圧lf(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第3平均値と前記第1直進値により直進度合いを求め、
前記第2パイロット圧lb(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第4平均値と前記第2直進値により前記走行操作部材の操作の直進度合いを求め、
前記直進度合いに基づいて前記直進であるかを判断する請求項1に記載の作業機。
【請求項4】
機体と、
前記機体の左側に設けられた左走行装置と、
前記機体の右側に設けられた右走行装置と、
前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、
前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、
作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、
作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、
走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、
前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、
前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、
前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、
前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、
前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、
前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、
前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、
前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、
前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲であるか否かを判断し、
前記第1比率が所定範囲である場合には前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値とし、
前記第2比率が所定範囲である場合には前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2判定値とし、
前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第1平均値と前記第1判定値により左旋回度合いを求め、
前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第2平均値と前記第2判定値により右旋回度合いを求め、
前記左旋回度合いに基づいて左方向への前記超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断し、前記走行操作部材の操作が、前記右旋回度合いに基づいて右方向への前記超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断する作業機。
【請求項5】
機体と、
前記機体の左側に設けられた左走行装置と、
前記機体の右側に設けられた右走行装置と、
前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、
前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、
作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、
作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、
走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、
前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、
前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、
前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、
前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、
前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、
前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、
前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、
前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、
前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記第1パイロット圧lf(t)から前記第2パイロット圧lb(t)を引いた第1差圧と、前記第3パイロット圧rf(t)から前記第4パイロット圧rb(t)を引いた第2差圧の正負が逆の場合に、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回に対応する操作であると判断し、
前記第1パイロット圧lf(t)が第1閾値以上且つ前記第3パイロット圧rf(t)が第5閾値以下である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第3閾値以上且つ前記第1パイロット圧lf(t)が第6閾値以下である場合に、前記走行操作部材の操作が、旋回半径が中程度である急ターンに対応する操作であると判断し、
前記第1パイロット圧lf(t)が第7閾値以上であり、前記第3パイロット圧rf(t)が前記第7閾値以下且つ第11閾値以上である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第9閾値以上であり、前記第1パイロット圧lf(t)が前記第9閾値以下且つ第12閾値以上である場合に、前記走行操作部材の操作が、前記急ターンよりも旋回半径が大きい緩ターンに対応する操作であると判断する作業機。
【請求項6】
前記第2閾値と前記第4閾値とは、それぞれ複数存在する請求項に記載の作業機。
【請求項7】
前記第8閾値と前記第10閾値とは、それぞれ複数存在する請求項に記載の作業機。
【請求項8】
前記左走行モータは、第1速度と前記第1速度よりも速い第2速度とに切換可能であり、
前記右走行モータは、第1速度と前記第1速度よりも速い第2速度とに切換可能であり、
前記制御装置は、前記判断した前記走行操作部材の操作方向に基づいて、前記第2速度から前記第1速度に自動的に減速する自動減速、及び前記第1速度から前記第2速度に自動的に復帰させる自動減速復帰を行う請求項1~のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項9】
前記制御装置は、前記第1パイロット圧lf(t)~前記第4パイロット圧rb(t)の全てが一定値以下のときは前記走行操作部材が中立位置であると判断し、自動減速している状態のときに前記第1パイロット圧lf(t)~前記第4パイロット圧rb(t)の全てが前記一定値以下であることが検出されると自動減速復帰を行う請求項に記載の作業機。
【請求項10】
前記走行操作装置に供給される作動油の圧力を制御する作動弁を備え、
前記制御装置は、前記判断した前記走行操作部材の操作方向に基づいて、前記作動弁の制御を変更する請求項1~のいずれか1項に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スキッドステアローダ、コンパクトトラックローダ、バックホー等の作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機において減速及び増速を行う技術として特許文献1に示されているものがある。特許文献1の作業機は、エンジンを含む原動機と、原動機の動力により作動し且つ、作動油を吐出する油圧ポンプと、作動油の圧力に応じて第1速度と、第1速度よりも高速である第2速度とに速度が変更可能な走行油圧装置と、走行油圧装置に作用する作動油の圧力を変更可能な作動弁と、作動油の圧力を検出可能な測定装置と、を備え、作動弁は、測定装置から検出された作動油の圧力である検出圧力が、第2速度に対応する設定圧から所定圧以下に低下した場合に、走行油圧装置に作用する作動油の圧力を減圧して、走行油圧装置を第1速度に減速している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-179923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業機では、走行中に走行装置に供給される作動油の圧力が所定以上である場合に、第2速度から第1速度に自動減速することができる。近年、作業機の走行中に自動減速等を行うにあたって、作業機(走行装置)が超信地旋回、信地旋回及び直進のいずれかであるかを判断したいという要望がある。
本発明は、上記したような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであって、超信地旋回、信地旋回及び直進のいずれかであるかを簡単に判断することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下の通りである。
本発明の一態様に係る作業機は、機体と、前記機体の左側に設けられた左走行装置と、前記機体の右側に設けられた右走行装置と、前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回及び直進のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1パイロット圧lf(t)から前記第2パイロット圧lb(t)を引いた第1差圧と、前記第3パイロット圧rf(t)から前記第4パイロット圧rb(t)を引いた第2差圧の正負が逆の場合に、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回に対応する操作であると判断し、前記第1パイロット圧lf(t)が第1閾値以上且つ前記第2差圧が第2閾値以下である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第3閾値以上且つ前記第1差圧が第4閾値以下である場合に、前記走行操作部材の操作が、旋回半径が中程度である急ターンに対応する操作であると判断し、前記第1パイロット圧lf(t)が第7閾値以上且つ前記第2差圧が第8閾値以上である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第9閾値以上且つ前記第1差圧が第10閾値以上である場合に、前記走行操作部材の操作が、旋回半径が中程度である急ターンよりも旋回半径が大きい緩ターンに対応する操作であると判断する。
【0006】
本発明の他の態様に係る作業機は、機体と、前記機体の左側に設けられた左走行装置と、前記機体の右側に設けられた右走行装置と、前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲であるか否かを判断し、前記第1比率が所定範囲である場合には前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値とし、前記第2比率が所定範囲である場合には前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2判定値とした場合であって、前記第1判定値が前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第1平均値よりも小さい場合、又は、前記第2判定値が前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第2平均値よりも小さい場合は、前記走行操作部材の操作が、前記超信地旋回であると判断する一方、前記第1判定値が前記第1平均値以上、又は、前記第2判定値が前記第2平均値以上である場合は、前記走行操作部材の操作が、前記信地旋回に対応する方向に操作されていると判断し、さらに、前記制御装置は、前記第1平均値と前記第1判定値により左旋回度合いを求めると共に、前記第2平均値と前記第2判定値により右旋回度合いを求め、前記左旋回度合いに基づいて、前記走行操作部材の操作が、左方向への前記超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断し、前記右旋回度合いに基づいて、前記走行操作部材の操作が、右方向への前記超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断する。
【0008】
制御装置は、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との第3比率が所定範囲、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との第4比率が所定範囲であるか否かを判断し、第3比率が所定範囲である場合には第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1直進値とし、第4比率が所定範囲である場合には第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2直進値とし、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第3平均値と第1直進値により直進度合いを求め、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第4平均値と第2直進値により走行操作部材の操作の直進度合いを求め、直進度合いに基づいて直進であるかを判断する。
【0009】
本発明のさらに他の態様に係る作業機は、機体と、前記機体の左側に設けられた左走行装置と、前記機体の右側に設けられた右走行装置と、前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲であるか否かを判断し、前記第1比率が所定範囲である場合には前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値とし、前記第2比率が所定範囲である場合には前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2判定値とし、前記第2パイロット圧lb(t)と前記第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第1平均値と前記第1判定値により左旋回度合いを求め、前記第1パイロット圧lf(t)と前記第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第2平均値と前記第2判定値により右旋回度合いを求め、前記左旋回度合いに基づいて左方向への前記超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断し、前記走行操作部材の操作が、前記右旋回度合いに基づいて右方向への前記超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断する。
【0010】
本発明のさらに他の態様に係る作業機は、機体と、前記機体の左側に設けられた左走行装置と、前記機体の右側に設けられた右走行装置と、前記左走行装置に動力を伝達可能な左走行モータと、前記右走行装置に動力を伝達可能な右走行モータと、作動油を受圧する第1受圧部及び第2受圧部を有し且つ、少なくとも前記第1受圧部及び前記第2受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記左走行モータに作動油を供給する左走行ポンプと、作動油を受圧する第3受圧部及び第4受圧部を有し且つ、少なくとも前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油が作用したときに前記右走行モータに作動油を供給する右走行ポンプと、走行操作部材を操作したときに、少なくとも前記第1受圧部、前記第2受圧部、前記第3受圧部及び前記第4受圧部のいずれかに作動油を作用させる走行操作装置と、前記第1受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第1受圧部に作用する作動油を通過させる第1走行油路と、前記第2受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第2受圧部に作用する作動油を通過させる第2走行油路と、前記第3受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第3受圧部に作用する作動油を通過させる第3走行油路と、前記第4受圧部に接続し且つ前記走行操作部材を操作したときに前記第4受圧部に作用する作動油を通過させる第4走行油路と、前記第1走行油路の作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置と、前記第2走行油路の作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置と、前記第3走行油路の作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置と、前記第4走行油路の作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置と、前記第1パイロット圧lf(t)、前記第2パイロット圧lb(t)、前記第3パイロット圧rf(t)及び前記第4パイロット圧rb(t)に基づいて、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1パイロット圧lf(t)から前記第2パイロット圧lb(t)を引いた第1差圧と、前記第3パイロット圧rf(t)から前記第4パイロット圧rb(t)を引いた第2差圧の正負が逆の場合に、前記走行操作部材の操作が、超信地旋回に対応する操作であると判断し、前記第1パイロット圧lf(t)が第1閾値以上且つ前記第3パイロット圧rf(t)が第5閾値以下である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第3閾値以上且つ前記第1パイロット圧lf(t)が第6閾値以下である場合に、前記走行操作部材の操作が、旋回半径が中程度である急ターンに対応する操作であると判断し、前記第1パイロット圧lf(t)が第7閾値以上であり、前記第3パイロット圧rf(t)が前記第7閾値以下且つ第11閾値以上である場合、或いは、前記第3パイロット圧rf(t)が第9閾値以上であり、前記第1パイロット圧lf(t)が前記第9閾値以下且つ第12閾値以上である場合に、前記走行操作部材の操作が、旋回半径が中程度である急ターンよりも旋回半径が大きい緩ターンに対応する操作であると判断する。
【0012】
また、前記第2閾値と前記第4閾値とは、それぞれ複数存在する。
また、前記第8閾値と前記第10閾値とは、それぞれ複数存在する。
【0013】
また、前記左走行モータは、第1速度と前記第1速度よりも速い第2速度とに切換可能であり、前記右走行モータは、第1速度と前記第1速度よりも速い第2速度とに切換可能であり、前記制御装置は、前記判断した前記走行操作部材の操作方向に基づいて、前記第2速度から前記第1速度に自動的に減速する自動減速、及び前記第1速度から前記第2速度に自動的に復帰させる自動減速復帰を行う。
【0014】
また、前記制御装置は、前記第1パイロット圧lf(t)~前記第4パイロット圧rb(t)の全てが一定値以下のときは前記走行操作部材が中立位置であると判断し、自動減速している状態のときに前記第1パイロット圧lf(t)~前記第4パイロット圧rb(t)の全てが前記一定値以下であることが検出されると自動減速復帰を行う。
また、前記走行操作装置に供給される作動油の圧力を制御する作動弁を備え、前記制御装置は、前記判断した前記走行操作部材の操作方向に基づいて、前記作動弁の制御を変更する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、超信地旋回、信地旋回及び直進のいずれかであるかを簡単に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】作業機の油圧システム(油圧回路)を示す図である。
図2】走行操作部材の操作方向等を示す図である。
図3】直進度合いSFratio(t)の変化の一例を示している。
図4】左旋回度合いSLratio(t)の変化の一例を示す図である。
図5】作業機の油圧システム(油圧回路)の変形例を示す図である。
図6】作業機の進行方向を示す図である。
図7】作業機の一例であるトラックローダを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る作業機の油圧システム及びこの油圧システムを備えた作業機の好適な実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。
図7は、本発明に係る作業機の側面図を示している。図7では、作業機の一例として、コンパクトトラックローダを示している。但し、本発明に係る作業機はコンパクトトラックローダに限定されず、例えば、スキッドステアローダ等の他の種類のローダ作業機であってもよい。また、ローダ作業機以外の作業機であってもよい。
【0018】
作業機1は、図7に示すように、作業機1は、機体2と、キャビン3と、作業装置4と、一対の走行装置5L、5Rとを備えている。本発明の実施形態において、作業機1の運転席8に着座した運転者の前側(図7の左側)を前方、運転者の後側(図7の右側)を後方、運転者の左側(図7の手前側)を左方、運転者の右側(図7の奥側)を右方として説明する。また、前後の方向に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。機体2の中央部から右部或いは左部へ向かう方向を機体外方として説明する。言い換えれば、機体外方とは、機体幅方向であって、機体2から離れる方向である。機体外方とは反対の方向を、機体内方として説明する。言い換えれば、機体内方とは、機体幅方向であって、機体2に近づく方向である。
【0019】
キャビン3は、機体2に搭載されている。このキャビン3には運転席8が設けられてい
る。作業装置4は機体2に装着されている。一対の走行装置5L、5Rは、機体2の外側に設けられている。機体2内の後部には、原動機32が搭載されている。
作業装置4は、ブーム10と、作業具11と、リフトリンク12と、制御リンク13と、ブームシリンダ14と、バケットシリンダ15とを有している。
【0020】
ブーム10は、キャビン3の右側及び左側に上下揺動自在に設けられている。作業具11は、例えば、バケットであって、当該バケット11は、ブーム10の先端部(前端部)に上下揺動自在に設けられている。リフトリンク12及び制御リンク13は、ブーム10が上下揺動自在となるように、ブーム10の基部(後部)を支持している。ブームシリンダ14は、伸縮することによりブーム10を昇降させる。バケットシリンダ15は、伸縮することによりバケット11を揺動させる。
【0021】
左側及び右側の各ブーム10の前部同士は、異形の連結パイプで連結されている。各ブーム10の基部(後部)同士は、円形の連結パイプで連結されている。
リフトリンク12、制御リンク13及びブームシリンダ14は、左側と右側の各ブーム10に対応して機体2の左側と右側にそれぞれ設けられている。
リフトリンク12は、各ブーム10の基部の後部に、縦向きに設けられている。このリフトリンク12の上部(一端側)は、各ブーム10の基部の後部寄りに枢支軸16(第1枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。また、リフトリンク12の下部(他端側)は、機体2の後部寄りに枢支軸17(第2枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第2枢支軸17は、第1枢支軸16の下方に設けられている。
【0022】
ブームシリンダ14の上部は、枢支軸18(第3枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第3枢支軸18は、各ブーム10の基部であって、当該基部の前部に設けられている。ブームシリンダ14の下部は、枢支軸19(第4枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第4枢支軸19は、機体2の後部の下部寄りであって第3枢支軸18の下方に設けられている。
【0023】
制御リンク13は、リフトリンク12の前方に設けられている。この制御リンク13の一端は、枢支軸20(第5枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第5枢支軸20は、機体2であって、リフトリンク12の前方に対応する位置に設けられている。制御リンク13の他端は、枢支軸21(第6枢支軸)を介して横軸回りに回転自在に枢支されている。第6枢支軸21は、ブーム10であって、第2枢支軸17の前方で且つ第2枢支軸17の上方に設けられている。
【0024】
ブームシリンダ14を伸縮することにより、リフトリンク12及び制御リンク13によって各ブーム10の基部が支持されながら、各ブーム10が第1枢支軸16回りに上下揺動し、各ブーム10の先端部が昇降する。制御リンク13は、各ブーム10の上下揺動に伴って第5枢支軸20回りに上下揺動する。リフトリンク12は、制御リンク13の上下揺動に伴って第2枢支軸17回りに前後揺動する。
【0025】
ブーム10の前部には、バケット11の代わりに別の作業具が装着可能とされている。別の作業具としては、例えば、油圧圧砕機、油圧ブレーカ、アングルブルーム、アースオーガ、パレットフォーク、スイーパー、モア、スノウブロア等のアタッチメント(予備アタッチメント)である。
左側のブーム10の前部には、接続部材50が設けられている。接続部材50は、予備アタッチメントに装備された油圧機器と、ブーム10に設けられたパイプ等の第1管材とを接続する装置である。具体的には、接続部材50の一端には、第1管材が接続可能で、他端には、予備アタッチメントの油圧機器に接続された第2管材が接続可能である。これにより、第1管材を流れる作動油は、第2管材を通過して油圧機器に供給される。
【0026】
バケットシリンダ15は、各ブーム10の前部寄りにそれぞれ配置されている。バケットシリンダ15を伸縮することで、バケット11が揺動される。
一対の走行装置5L、5Rのうち、走行装置5Lは機体2の左側に設けられ、走行装置5Rは機体2の右側に設けられている。一対の走行装置5L、5Rは、本実施形態ではクローラ型(セミクローラ型を含む)の走行装置が採用されている。なお、前輪及び後輪を有する車輪型の走行装置を採用してもよい。以下、説明の便宜上、走行装置5Lのことを
左走行装置5L、走行装置5Rのことを右走行装置5Rということがある。
【0027】
原動機32は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関、電動モータ等である。この実施形態では、原動機32は、ディーゼルエンジンであるが限定はされない。
次に、作業機の油圧システムについて説明する。
図1に示すように、作業機の油圧システムは、第1油圧ポンプP1と、第2油圧ポンプP2とを備えている。第1油圧ポンプP1は、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第1油圧ポンプP1は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能である。特に、第1油圧ポンプP1は、主に制御に用いる作動油を吐出する。説明の便宜上、作動油を貯留するタンク22のことを作動油タンクということがある。また、第1油圧ポンプP1から吐出した作動油のうち、制御用として用いられる作動油のことをパイロット油、パイロット油の圧力のことをパイロット圧ということがある。
【0028】
第2油圧ポンプP2は、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、定容量型のギヤポンプによって構成されている。第2油圧ポンプP2は、タンク22に貯留された作動油を吐出可能であって、例えば、作業系の油路に作動油を供給する。例えば、第2油圧ポンプP2は、ブーム10を作動させるブームシリンダ14、バケットを作動させるバケットシリンダ15、予備油圧アクチュエータを作動させる予備油圧アクチュエータを制御する制御弁(流量制御弁)に作動油を供給する。
【0029】
また、作業機の油圧システムは、一対の走行モータ36L、36Rと、一対の走行ポンプ53L、53Rと、を備えている。一対の走行モータ36L、36Rは、一対の走行装置5L、5Rに動力を伝達するモータである。一対の走行モータ36L、36Rのうち、一方の走行モータ36Lは、走行装置(左走行装置)5Lに回転の動力を伝達し、他方の走行モータ36Rは、走行装置(右走行装置)5Rに回転の動力を伝達する。
【0030】
一対の走行ポンプ53L、53Rは、原動機32の動力によって駆動するポンプであって、例えば、斜板形可変容量アキシャルポンプである。一対の走行ポンプ53L、53Rは、駆動することによって、一対の走行モータ36L、36Rのそれぞれに作動油を供給する。一対の走行ポンプ53L、53Rのうち、一方の走行ポンプ53Lは、走行モータ36Lに作動油を供給し、他方の走行ポンプ53Rは、走行モータ36Rに作動油を供給する。
【0031】
以下、説明の便宜上、走行ポンプ53Lのことを左走行ポンプ53L、走行ポンプ53Rのことを右走行ポンプ53R、走行モータ36Lのことを左走行モータ36L、走行モータ36Rのことを右走行モータ36Rということがある。
左走行ポンプ53L及び右走行ポンプ53Rは、第1油圧ポンプP1からの作動油(パイロット油)の圧力(パイロット圧)が作用する受圧部53aと受圧部53bとを有しており、受圧部53a、53bに作用するパイロット圧によって斜板の角度が変更される。斜版の角度を変更することによって、左走行ポンプ53L及び右走行ポンプ53Rの出力(作動油の吐出量)や作動油の吐出方向を変えることができる。
【0032】
左走行ポンプ53Lと、左走行モータ36Lとは、接続油路57hによって接続され、左走行ポンプ53Lが吐出した作動油が左走行モータ36Lに供給される。右走行ポンプ53Rと、右走行モータ36Rとは、接続油路57iによって接続され、右走行ポンプ53Rが吐出した作動油が右走行モータ36Rに供給される。
左走行モータ36Lは、左走行ポンプ53Lから吐出した作動油により回転が可能であり、作動油の流量によって、回転速度(回転数)を変更することができる。左走行モータ36Lには、斜板切換シリンダ37Lが接続され、当該斜板切換シリンダ37Lを一方側或いは他方側に伸縮させることによっても左走行モータ36Lの回転速度(回転数)を変更することができる。即ち、斜板切換シリンダ37Lを収縮した場合には、左走行モータ36Lの回転数は低速(第1速度)に設定され、斜板切換シリンダ37Lを伸長した場合には、左走行モータ36Lの回転数は高速(第2速度)に設定される。つまり、左走行モータ36Lの回転数は、低速側である第1速度と、高速側である第2速度とに変更が可能である。
【0033】
右走行モータ36Rは、右走行ポンプ53Rから吐出した作動油により回転が可能であり、作動油の流量によって、回転速度(回転数)を変更することができる。右走行モータ36Rには、斜板切換シリンダ37Rが接続され、当該斜板切換シリンダ37Rを一方側或いは他方側に伸縮させることによっても右走行モータ36Rの回転速度(回転数)を変更することができる。即ち、斜板切換シリンダ37Rを収縮した場合には、右走行モータ36Rの回転数は低速(第1速度)に設定され、斜板切換シリンダ37Rを伸長した場合には、右走行モータ36Rの回転数は高速(第2速度)に設定される。つまり、右走行モータ36Rの回転数は、低速側である第1速度と、高速側である第2速度とに変更が可能である。
【0034】
図1に示すように、作業機の油圧システムは、走行切換弁34を備えている。走行切換弁34は、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)の回転速度(回転数)を第1速度にする第1状態と、第2速度にする第2状態とに切換可能である。走行切換弁34は、第1切換弁71L、71Rと、第2切換弁72と、を有している。
第1切換弁71Lは、左走行モータ36Lの斜板切換シリンダ37Lに油路を介して接続されていて、第1位置71L1及び第2位置71L2に切り換わる二位置切換弁である。第1切換弁71Lは、第1位置71L1である場合、斜板切換シリンダ37Lを収縮し、第2位置71L2である場合、斜板切換シリンダ37Lを伸長する。
【0035】
第1切換弁71Rは、右走行モータ36Rの斜板切換シリンダ37Rに油路を介して接続されていて、第1位置71R1及び第2位置71R2に切り換わる二位置切換弁である。第1切換弁71Rは、第1位置71R1である場合、斜板切換シリンダ37Rを収縮し、第2位置71R2である場合、斜板切換シリンダ37Rを伸長する。
第2切換弁72は、第1切換弁71L及び第1切換弁71Rを切り換える電磁弁であって、励磁により第1位置72aと第2位置72bとに切り換え可能な二位置切換弁である。第2切換弁72、第1切換弁71L及び第1切換弁71Rは、油路41により接続されている。第2切換弁72は、第1位置72aである場合に第1切換弁71L及び第1切換弁71Rを第1位置71L1、71R1に切り換え、第2位置72bである場合に第1切換弁71L及び第1切換弁71Rを第2位置71L2、71R2に切り換える。
【0036】
つまり、第2切換弁72が第1位置72a、第1切換弁71Lが第1位置71L1、第1切換弁71Rが第1位置71R1である場合に、走行切換弁34は第1状態になり、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)の回転速度を第1速度にする。第2切換弁72が第2位置72b、第1切換弁71Lが第2位置71L2、第1切換弁71Rが第2位置71R2である場合に、走行切換弁34は第2状態になり、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)の回転速度を第2速度にする。
【0037】
したがって、走行切換弁34によって、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を低速側である第1速度と、高速側である第2速度とに切り換えることができる。
操作装置(走行操作装置)54は、走行操作部材59を操作したときに、走行ポンプ(左走行ポンプ53L、右走行ポンプ53R)の受圧部53a、53bに作動油を作用させる装置であり、走行ポンプの斜板の角度(斜板角度)を変更可能である。操作装置54は、走行操作部材59と、複数の操作弁55とを含んでいる。
【0038】
走行操作部材59は、操作弁55に支持され、左右方向(機体幅方向)又は前後方向に揺動する操作レバーである。即ち、走行操作部材59は、中立位置Nを基準とすると、中立位置Nから右方及び左方に操作可能であると共に、中立位置Nから前方及び後方に操作可能である。言い換えれば、走行操作部材59は、中立位置Nを基準に少なくとも4方向に揺動することが可能である。尚、説明の便宜上、前方及び後方の双方向、即ち、前後方向のことを第1方向という。また、右方及び左方の双方向、即ち、左右方向(機体幅方向)のことを第2方向ということがある。
【0039】
また、複数の操作弁55は、共通、即ち、1本の走行操作部材59によって操作される。複数の操作弁55は、走行操作部材59の揺動に基づいて作動する。複数の操作弁55には、吐出油路40が接続され、当該吐出油路40を介して、第1油圧ポンプP1からの作動油(パイロット油)が供給可能である。複数の操作弁55は、操作弁55A、操作弁55B、操作弁55C及び操作弁55Dである。
【0040】
操作弁55Aは、前後方向(第1方向)のうち、走行操作部材59を前方(一方)に揺動した場合(前操作した場合)に、前操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。操作弁55Bは、前後方向(第1方向)のうち、走行操作部材59を後方(他方)に揺動した場合(後操作した場合)に、後操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。左右方向(第2方向)のうち、操作弁55Cは、走行操作部材59を右方(一方)に揺動した場合(右操作した場合)に、右操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。操作弁55Dは、左右方向(第2方向)のうち、走行操作部材59を、左方(他方)に揺動した場合(左操作した場合)に、左操作の操作量(操作)に応じて出力する作動油の圧力が変化する。
【0041】
複数の操作弁55と、走行ポンプ(左走行ポンプ53L,右走行ポンプ53R)とは、走行油路45によって接続されている。言い換えれば、走行ポンプ(左走行ポンプ53L,右走行ポンプ53R)は、操作弁55(操作弁55A、操作弁55B、操作弁55C、操作弁55D)から出力した作動油によって作動可能な油圧機器である。
走行油路45は、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dと、第5走行油路45eとを有している。第1走行油路45aは、左走行ポンプ53Lの受圧部(第1受圧部)53aに接続された油路であり、走行操作部材59を操作したときに受圧部(第1受圧部)53aに作用する作動油を通過させる油路である。第2走行油路45bは、左走行ポンプ53Lの受圧部(第2受圧部)53bに接続され油路であり、走行操作部材59を操作したときに受圧部(第2受圧部)53bに作用する作動油を通過させる油路である。第3走行油路45cは、右走行ポンプ53Rの受圧部(第3受圧部)53aに接続され油路であり、走行操作部材59を操作したときに受圧部(第3受圧部)53aに作用する作動油を通過させる油路である。第4走行油路45dは、右走行ポンプ53Rの受圧部(第4受圧部)53bに接続され油路であり、走行操作部材59を操作したときに受圧部(第4受圧部)53bに作用する作動油を通過させる油路である。第5走行油路45eは、操作弁55、第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45dを接続する油路である。
【0042】
走行操作部材59を前方(図1図2では矢印A1方向)に揺動させると、操作弁55Aが操作されて該操作弁55Aからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、第1走行油路45aを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53aに作用すると共に第3走行油路45cを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53aに作用する。これにより、左走行ポンプ53L及び右走行ポンプ53Rの斜板角度が変更され、左走行モータ36L及び右走行モータ36Rが正転(前進回転)して作業機1が前方に直進する。
【0043】
また、走行操作部材59を後方(図1図2では矢印A2方向)に揺動させると、操作弁55Bが操作されて該操作弁55Bからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、第2走行油路45bを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53bに作用すると共に第4走行油路45dを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53bに作用する。これにより、左走行ポンプ53L及び右走行ポンプ53Rの斜板角度が変更され、左走行モータ36L及び右走行モータ36Rが逆転(後進回転)して作業機1が後方に直進する。
【0044】
また、走行操作部材59を右方(図1図2では矢印A3方向)に揺動させると、操作弁55Cが操作されて該操作弁55Cからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は、第1走行油路45aを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53aに作用すると共に第4走行油路45dを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53bに作用する。これにより、左走行ポンプ53L及び右走行ポンプ53Rの斜板角度が変更され、左走行モータ36Lが正転し且つ右走行モータ36Rが逆転して作業機1が右側にスピンターン(超信地旋回)する。
【0045】
また、走行操作部材59を左方(図1図2では矢印A4方向)に揺動させると、操作弁55Dが操作されて該操作弁55Dからパイロット圧が出力される。このパイロット圧は第3走行油路45cを介して右走行ポンプ53Rの受圧部53aに作用すると共に第2
走行油路45bを介して左走行ポンプ53Lの受圧部53bに作用する。これにより、左走行ポンプ53L及び右走行ポンプ53Rの斜板角度が変更され、左走行モータ36Lが逆転し且つ右走行モータ36Rが正転して作業機1が左側にスピンターン(超信地旋回)する。
【0046】
また、走行操作部材59を斜め方向(図2では矢印A5方向)に揺動させると、受圧部53aと受圧部53bとに作用するパイロット圧の差圧によって、左走行モータ36L及び右走行モータ36Rの回転方向及び回転速度が決定され、作業機1が前進又は後進しながら右へ信地旋回又は左へ信地旋回する。
すなわち、走行操作部材59を左斜め前方に揺動操作すると該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で作業機1が前進しながら左旋回し、走行操作部材59を右斜め前方に揺動操作すると該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で作業機1が前進しながら右旋回し、走行操作部材59を左斜め後方に揺動操作すると該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で作業機1が後進しながら左旋回し、走行操作部材59を右斜め後方に揺動操作すると該走行操作部材59の揺動角度に対応した速度で作業機1が後進しながら右旋回する。
【0047】
図1に示すように、循環油路57h、57iには、複数の圧検出装置80が接続されている。複数の圧検出装置80は、第1圧力検出装置80a、第2圧力検出装置80b、第3圧力検出装置80c、第4圧力検出装置80dを含んでいる。第1圧力検出装置80aは、循環油路57hにおいて、左走行モータ36Lの第1ポートP11側に設けられ、第1ポートP11側の圧力を第1走行圧LF(t)として検出する。第2圧力検出装置80bは、循環油路57hにおいて、左走行モータ36Lの第2ポートP12側に設けられ、第2ポートP12側の圧力を第2走行圧LB(t)として検出する。第3圧力検出装置80cは、循環油路57iにおいて、右走行モータ36Rの第3ポートP13側に設けられ、第3ポートP13側の圧力を第3走行圧RF(t)として検出する。第4圧力検出装置80dは、循環油路57iにおいて、右走行モータ36Rの第4ポートP14側に設けられ、第4ポートP14側の圧力を第4走行圧RB(t)として検出する。
【0048】
図1に示すように、作業機1は、制御装置60を備えている。制御装置60は、作業機1の様々な制御を行うもので、CPU、MPU等の半導体、電気電子回路等から構成されている。制御装置60には、アクセル65と、モードスイッチ66と、速度切換スイッチ67、回転数検出装置68とが接続されている。
モードスイッチ66は、自動減速を有効又は無効に切り換えるスイッチである。例えば、モードスイッチ66は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであり、ONである場合に自動減速を有効に切り換え、OFFである場合には自動減速を無効に切り換える。
【0049】
速度切換スイッチ67は、運転席8の近傍に設けられ、運転者(オペレータ)が操作可能である。速度切換スイッチ67は、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を第1速度及び第2速度のいずれかに手動で切り換えることができるスイッチである。例えば、速度切換スイッチ67は、第1速度側と第2速度側とに切り換えるシーソスイッチであり、第1速度側から第2速度側とに切り換える増速操作と、第2速度から第1速度に切り換える減速操作とを行うことができる。
【0050】
回転数検出装置68は、回転数を検出するセンサ等で構成されていて、原動機32の回転数である原動機回転数を検出することができる。
制御装置60は、自動減速部61を備えている。自動減速部61は、制御装置60に設けられた電気電子回路等、当該制御装置60に格納されたプログラム等である。
自動減速部61は、自動減速が有効である場合には自動減速制御を行い、自動減速が無効である場合には自動減速制御を行わない。
【0051】
自動減速制御では、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)が第2速度である場合において所定の条件(自動減速条件)を満たしたときに、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を第2速度から第1速度に自動的に切り換える自動減速を行う。自動減速制御では、少なくとも走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)が第2速度である状況において、自動減速条件を満たすと、制御装置60
は、第2切換弁72のソレノイドを消磁することで、当該第2切換弁72を第2位置72bから第1位置72aに切り換えることにより、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を第2速度から第1速度に減速する。つまり、制御装置60は、自動減速制御において、自動減速を行う際は、左走行モータ36Lと右走行モータ36Rとの両方を、第2速度から第1速度に減速する。
【0052】
なお、自動減速部61は、自動減速を行った後、復帰条件を満たすと、第2切換弁72のソレノイドを励磁することで、当該第2切換弁72を第1位置72aから第2位置72bに切り換えることにより、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を第1速度から第2速度に増速、即ち、走行モータの速度を復帰させる(走行モータを第1速度から第2速度に自動的に切り換える自動減速復帰を行う)。
【0053】
つまり、制御装置60は、第1速度から第2速度に自動復帰する場合は、左走行モータ36Lと右走行モータ36Rとの両方を、第1速度から第2速度に増速する。
制御装置60は、自動減速が無効である場合に、速度切換スイッチ67の操作に応じて、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を第1速度及び第2速度のいずれかに切り換える手動切換制御を行う。手動切換制御では、速度切換スイッチ67が第1速度側に切り換えられた場合は、第2切換弁72のソレノイドを消磁することで、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を第1速度にする。また、手動切換制御では、速度切換スイッチ67が第2速度側に切り換えられた場合は、第2切換弁72のソレノイドを消磁することで、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)を第2速度にする。
【0054】
作業機の油圧システムは、走行油路45(第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45d)に作用する作動油の圧力に基づいて、作業機1の走行状態、即ち、作業機1(機体2)が超信地旋回、信地旋回、直進のいずれかであるかを判断することが可能である。
以下、走行状態の判断について詳しく説明する。
【0055】
図1に示すように、第1走行油路45aには、第1走行油路45aの作動油の圧力である第1パイロット圧lf(t)を検出可能な第1圧力検出装置48aが接続されている。第2走行油路45bには、第2走行油路45bの作動油の圧力である第2パイロット圧lb(t)を検出可能な第2圧力検出装置48bが接続されている。第3走行油路45cには、第3走行油路45cの作動油の圧力である第3パイロット圧rf(t)を検出可能な第3圧力検出装置48cが接続されている。第4走行油路45dには、第4走行油路45dの作動油の圧力である第4パイロット圧rb(t)を検出可能な第4圧力検出装置48dが接続されている。
【0056】
第1圧力検出装置48a、第2圧力検出装置48b、第3圧力検出装置48c及び第4圧力検出装置48dは、制御装置60に接続されている。
走行油路45において、第1圧力検出装置48a、第2圧力検出装置48b、第3圧力検出装置48c及び第4圧力検出装置48dの下流側には、絞り部95a、95b、95c、95dが設けられている。詳しくは、絞り部95aは、第1走行油路45aにおいて、第1圧力検出装置80aの下流側(走行ポンプ側)に設けられ、絞り部95bは、第2走行油路45bにおいて、第2圧力検出装置80bの下流側(走行ポンプ側)に設けられ、絞り部95cは、第3走行油路45cにおいて、第3圧力検出装置80cの下流側(走行ポンプ側)に設けられ、絞り部95dは、第4走行油路45dにおいて、第4圧力検出装置80dの下流側(走行ポンプ側)に設けられている。言い換えれば、第1圧力検出装置48a、第2圧力検出装置48b、第3圧力検出装置48c及び第4圧力検出装置48dは、絞り部95a、95b、95c、95dの上流側(操作弁55側)に位置している。したがって、操作装置54から出力したパイロット圧を、第1圧力検出装置48a、第2圧力検出装置48b、第3圧力検出装置48c及び第4圧力検出装置48dで正確に検出することができる。
【0057】
制御装置60は、第1圧力検出装置48aが検出した第1パイロット圧lf(t)、第2走行油路45bが検出した第2パイロット圧lb(t)、第3走行油路45cが検出した第
3パイロット圧rf(t)、第4走行油路45dが検出した第4パイロット圧rb(t)に基づいて、操作部材59の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかであるかを判断することが可能である。なお、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)で示された(t)は、ある時間(所定時間)を示していて、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)は、ある時間における作動油の圧力である。
【0058】
制御装置60は、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、又は、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲である場合に、超信地旋回及び信地旋回に対応する操作のいずれかであることを判断する。具体的には、制御装置60は、第1比率(rf(t)/lb(t))が式(1)を満たす場合、又は、第2比率(lf(t)/rb(t))が式(2)を満たす場合に、超信地旋回及び信地旋回に対応する操作のいずれかであると判断する。なお、式(1)及び式(2)で示したξは、予め定められた値であって、例えば、0.90以上1.00未満である。
【0059】
【数1】
【0060】
また、制御装置60は、式(1)を満たしているときに、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値pvLspinとし、式(2)を満たしているときに、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2判定値pvRspinとした場合、第1判定値pvLspin及び第2判定値pvRspinに基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回に対応する操作あるいは信地旋回に対応する操作のどちらかであることを判断する。例えば、制御装置60は、第1判定値pvLspinが第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第1平均値よりも小さい場合、又は、第2判定値pvRspinが第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第2平均値よりも小さい場合は、超信地旋回に対応する操作であると判断する。また、制御装置60は、第1判定値pvLspinが第1平均値以上、又は、第2判定値pvRspinが第2平均値以上である場合は、信地旋回に対応する操作であると判断する。
【0061】
詳しくは、制御装置60は、式(3)及び式(4)により、第1判定値pvLspin、第2判定値pvRspinを求め、式(5)又は式(6)を満たす場合に、超信地旋回であると判断し、制御装置60は、式(5)又は式(6)を満たさない場合に、信地旋回であると判断する。なお、式(5)の左辺が第1平均値であり、式(6)の左辺が第2平均値である。式(5)及び式(6)で示したξは予め定められた補正値であって、例えば0.5前後の値である。第1平均値を「第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均値」、第2平均値を「第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との平均値」としてもよい。ξは補正係数である。
【0062】
【数2】
【0063】
上述したように、制御装置60は、走行油路45に設けた圧力検出装置(第1圧力検出装置48a、第2圧力検出装置48b、第3圧力検出装置48c、第4圧力検出装置48d)が検出した作動油の圧力、即ち、パイロット圧[第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)]によって、作業機1(機体2)が超信地旋回に対応する操作であるか、信地旋回に対応する操作であるかを判断することができる。
【0064】
制御装置60は、第1圧力検出装置48aが検出した第1パイロット圧lf(t)、第2走行油路45bが検出した第2パイロット圧lb(t)、第3走行油路45cが検出した第3パイロット圧rf(t)、第4走行油路45dが検出した第4パイロット圧rb(t)に基づいて、操作部材59の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかであるかを判断することが可能である。
制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との第3比率が所定範囲、又は、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との第4比率が所定範囲である場合に、直進及び信地旋回操作のいずれかであることを判断する。具体的には、制御装置60は、第3比率(rf(t)/lf(t))が式(7)を満たす場合、又は、第4比率(rb(t)/lb(t))が式(8)を満たす場合に、直進に対応する操作及び信地旋回操作に対応する操作のいずれかであると判断する。なお、式(7)及び式(8)で示したξは、予め定められた値であって、例えば、0.90以上1.00未満である。
【0065】
【数3】
【0066】
また、制御装置60は、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1直進値pvFstraightとし、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2直進値pvBstraightとした場合、第1直進値pvFstraight及び第2直進値pvBstraightに基づいて、直進に対
応する操作あるいは信地旋回に対応する操作のどちらかであることを判断する。
【0067】
例えば、制御装置60は、第1直進値pvFstraightが第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第3平均値よりも小さい場合、又は、第2直進値pvBstraightが第4パイロット圧rb(t)と第2パイロット圧lb(t)との平均に対応する第4平均値よりも小さい場合は、直進操作であると判断する。また、制御装置60は、第1直進値pvFstraightが第3平均値以上、又は、第2直進値pvBstraightが第4平均値以上である場合は、信地旋回に対応する操作であると判断する。
【0068】
詳しくは、制御装置60は、式(9)及び式(10)により、第1直進値pvFstraight、第2直進値pvBstraightを求め、式(11)又は式(12)を満たす場合に、直進に対応する操作であると判断し、制御装置60は、式(11)又は式(12)を満たさない場合に、信地旋回に対応する操作であると判断する。なお、式(11)の左辺が第3平均値であり、式(12)の左辺が第4平均値である。式(11)及び式(12)で示したξ2は予め定められた補正値であって、例えば0.5前後の値である。
【0069】
【数4】
【0070】
上述したように、制御装置60は、走行油路45に設けた圧力検出装置(第1圧力検出装置48a、第2圧力検出装置48b、第3圧力検出装置48c、第4圧力検出装置48d)が検出した作動油の圧力、即ち、パイロット圧[第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)]によって、作業機1(機体2)が直進に対応する操作であるか、信地旋回に対応する操作であるかを判断することができる。
【0071】
また、制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)に基づいて、作業機1(機体2)の操作が、直進操作の中でもどれぐらい直進度が大きいのかを判断することが可能である。具体的には、制御装置60は、式(13)、式(14)に示すように、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との第3比率(rf(t)/lf(t))が所定範囲、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との第4比率(rb(t)/lb(t))が所定範囲であるか否かを判断する。なお、式(13)及び式(14)で示したξは、予め定められた値であって、例えば、0.90以上1.00未満である。
【0072】
【数5】
【0073】
そして、制御装置60は、第3比率(rf(t)/lf(t))が所定範囲である場合は、式(15)に示すように、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1直進値pvFpivotとする。
【0074】
【数6】
【0075】
また、制御装置60は、第4比率(rb(t)/lb(t))が所定範囲である場合には、式(16)に示すように、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2直進値pvBpivotとする。
【0076】
【数7】
【0077】
制御装置60は、式(17)に示すように、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第3平均値と第1直進値pvpivotにより直進度合いSFratio(t)を求め、式(18)に示すように、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第4平均値と第2直進値pvpivotにより直進度合いSBratio(t)を求める。
【0078】
【数8】
【0079】
制御装置60は、直進度合いSFratio(t),直進度合いSBratio(t)に基づいて、直進であるかを判断する。制御装置60は、例えば、直進度合いSFratio(t)又は直進度合いSBratio(t)が1.0を超えていて非常に大きい場合、作業機1(機体2)の直進度が大きいと判断する
図3は、第1パイロット圧lf(t)及び第3パイロット圧rf(t)が3.0MPaである場合において、直進度合いSFratio(t)の変化を示している。
【0080】
例えば、第1パイロット圧lf(t)及び第3パイロット圧rf(t)が3.0MPaであるとき、第2直進値pvpivotは0.1MPとなり、大きな値である直進度合いSFratio(t)の値は30となる。このように、直進度合いSFratio(t)が大きい場合、制御装置60は、直進度が大きいと判断する。また、第2パイロット圧lb(t)及び第
4パイロット圧rb(t)は、第1パイロット圧lf(t)及び第3パイロット圧rf(t)と略同じで、第2直進値pvpivotが3.0MPaであるとき、直進度合いSFratio(t)の値は1.0になる。第2パイロット圧lb(t)及び第4パイロット圧rb(t)は、第1パイロット圧lf(t)及び第3パイロット圧rf(t)の略半分であり、第2直進値pvpivotは、1.5MPaとなり、直進度合いSFratio(t)の値は2.0になる。
【0081】
図3の例では、制御装置60は、直進度合いSFratio(t)又は直進度合いSBratio(t)のいずれかが2.0を超えて大きな値である場合には、直進側に操作されていると推定する。
以上のように、制御装置60は、パイロット圧[第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)]によって、操作部材59の操作がどのようにされたかを、直進度によって推定することができる。
【0082】
制御装置60は、第1圧力検出装置48aが検出した第1パイロット圧lf(t)、第2走行油路45bが検出した第2パイロット圧lb(t)、第3走行油路45cが検出した第3パイロット圧rf(t)、第4走行油路45dが検出した第4パイロット圧rb(t)に基づいて、操作部材59の操作が、超信地旋回、信地旋回のいずれかであるかを判断することが可能である。
【0083】
制御装置60は、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、又は、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲である場合に、超信地旋回及び信地旋回に対応する操作のいずれかであることを判断する。具体的には、制御装置60は、第1比率(rf(t)/lb(t))が式(19)を満たす場合、又は、第2比率(lf(t)/rb(t))が式(20)を満たす場合に、超信地旋回及び信地旋回に対応する操作のいずれかであると判断する。なお、式(19)及び式(20)で示したξは、予め定められた値であって、例えば、0.90以上1.00未満である。
【0084】
【数9】
【0085】
また、制御装置60は、式(19)を満たしているときに、式(21)に示すように、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値pvLspinとし、式(20)を満たしているときに、式(22)に示すように、第3パイロット圧rf(t)と第2パイロット圧lb(t)との大きい方を第2判定値pvRspinとした場合、第1判定値pvLspin及び第2判定値pvRspinに基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回に対応する操作あるいは信地旋回に対応する操作のどちらかであることを判断する。
【0086】
【数10】
【0087】
制御装置60は、第1平均値(式23の右辺)と第1判定値pvLspinとにより左旋回度合いSLratio(t)を求め、第2平均値(式24の右辺)と第2判定値pvRspinとにより右旋回度合いSRratio(t)を求め、左旋回度合いSLratio(t)に基づいて左方向への超信地旋回の操作及び信地旋回の操作いずれかであることを判断し、右旋回度合いSRratio(t)に基づいて右方向への超信地旋回の操作及び信地旋回の操作のいずれかであることを判断してもよい。
【0088】
具体的には、制御装置60は、式(23)により左旋回度合いSLratio(t)を求め、式(24)により右旋回度合いSRratio(t)を求める。
【0089】
【数11】
【0090】
制御装置60は、左旋回度合いSLratio(t)が0.5以下であって略零に近い値(0.1以下)である場合は左方向への超信地旋回の操作、左旋回度合いSLratio(t)が0.5を超え略1.0に近い値(0.9以上)である場合は左方向への信地旋回の操作であると判断する。また、制御装置60は、右旋回度合いSRratio(t)が0.5以下であって略零に近い値(0.1以下)である場合は右方向への超信地旋回の操作、右旋回度合いSRratio(t)が0.5を超え略1.0に近い値(0.9以上)である場合は右方向への信地旋回の操作であると判断する。
【0091】
図4は、第2パイロット圧lb(t)及び第3パイロット圧rf(t)が3.0MPaである場合において、左旋回度合いSLratio(t)の変化を示している。
第1パイロット圧lf(t)及び第4パイロット圧rb(t)は非常に小さく、例えば、第1判定値pvLspinは、0.1MPaであるとき、左旋回度合いSLratio(t)の値は0.03であって小さな値となり、左方向への超信地旋回の操作と推定することができる。
【0092】
例えば、第1パイロット圧lf(t)及び第4パイロット圧rb(t)が3.0MPaであって、第2パイロット圧lb(t)及び第3パイロット圧rf(t)と略同じであり、第1判定値pvLspinは3.0MPa、左旋回度合いSLratio(t)の値は1.0であるとき、左方向への信地旋回の操作と推定することができる。また、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、及び第4パイロット圧rb(t)のうち、3つの圧力が略同じ、例えば第1パイロット圧lf(t)が3.0MPaであって、第4パイロット圧rb(t)が3.0MPa未満であって、第1判定値pvLspinが3.0MPa、左旋回度合いSLratio(t)の値は1.0であるとき、左方向への信地旋回の操作と推定することができる。
【0093】
第1パイロット圧lf(t)及び第4パイロット圧rb(t)が例えば1.5MPaであって、第2パイロット圧lb(t)及び第3パイロット圧rf(t)の略半分の場合、第1判定値pvLspinは1.5MPaとなり、左旋回度合いSLratio(t)の値は0.5になるとき、左方向への信地旋回と超信地旋回との中間の操作であると推定することができる。
【0094】
以上のように、制御装置60は、パイロット圧[第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)]によって、走行操作部材59の操作が、左方向の信地旋及び超信地旋回のいずれか、右方向の信地旋及び超信地旋回のいずれかであると判断(推定)することができる。
このため、様々な走行操作部材59の操作がどのような状態か、直進側、左又は右の信地旋回、直進度合い、超信地旋回などを推定することができ、操作部材59の操作を機体2に設けた表示装置(運転席周辺に設置した表示装置)に表示することで、運転(操作)の向上させることができる。
【0095】
また、制御装置60は、判断した走行操作部材59の操作方向に基づいて、自動減速、及び自動減速復帰を行ってもよい。例えば、走行操作部材59の操作方向が超信地旋回であると判断した場合において、自動減速を行ってもよいし、走行操作部材59の操作方向の判断後の処理は何でもよい。また、走行操作部材59の操作方向が超信地旋回もしくは信地旋回であると判断していない場合において、自動減速を復帰させる自動減速復帰を行ってもよい。
【0096】
また、制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)~第4パイロット圧rb(t)の全てが一定値以下のときは走行操作部材59が中立位置Nであると判断する。そして、制御装置60は、自動減速している状態のときに第1パイロット圧lf(t)~第4パイロット圧rb(t)の全てが前記一定値以下であること(走行操作部材59が中立位置Nであること)が検出されると自動減速復帰を行う。
【0097】
なお、図5に示すように、吐出油路40に電磁比例弁等で構成された作動弁69を設けてもよい。作動弁69は、例えば、原動機の回転数のドロップ量(低下量)に応じて、開度が変化することで、走行操作装置54に供給する作動油の圧力を制御して、原動機のストール、即ち、エンジンストールを防止する弁である。また、作動弁69は、エンジンストールを防止する弁として機能してもよいし、その他の弁として機能してもよく、限定されない。
【0098】
例えば、直進度合いSFratio(t)、及び直進度合いSBratio(t)が所定の値の場合に、作動弁69の開度を変更し、直進度合いSFratio(t)、及び直進度合いSBratio(t)が当該所定の値以外の場合よりも作動弁69から出力する作動油の圧力を低下させることができる。
具体的には、直進度合いSFratio(t)、及び直進度合いSBratio(t)が例えば3.0から6.0の範囲であるときに作動弁69から出力する作動油の圧力を3.0MPaから低下させることで操作弁55から走行油路45に流れる作動油の圧力の上限を低下できる。これにより、第1直進値pvpivot、及び第2直進値pvpivotを変更することなく、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、及び第4パイロット圧rb(t)を低下することができる。このため、直進度合いSFratio(t)、及び直進度合いSBratio(t)が小さくなるため、直進操作から旋回操作への切り替えの際に、容易に旋回させることができる。
【0099】
より詳しくは、例えば、第1パイロット圧lf(t)及び第3パイロット圧rf(t)が3.0MPa且つ第2パイロット圧lb(t)及び第4パイロット圧rb(t)が0MPaであって、第2パイロット圧lb(t)が徐々に大きくなるよう操作部材59が操作された場合において、第2パイロット圧lb(t)が0.5MPaを超え、直進度合いSFratio(t)が6.0を下回ると、作動弁69の開度を変更し、作動弁69から出力する作動油の圧力を2.7MPaに低下する。
【0100】
このため、エンジンストールが生じる虞がある場合を除き、直進度合いSFratio(t)、及び直進度合いSBratio(t)が例えば6.0以上で一対の走行装置5L、5Rが直進に近い走行を行い、比較的走行負荷が生じる場合や、直進度合いSFratio(t)、及び直進度合いSBratio(t)が例えば3.0以下で一対の走行装置5L、5Rが
旋回を行い、比較的走行負荷が生じる場合には、作動弁69は、作動油の圧力を高く維持する。
【0101】
また、制御装置60は、判断した走行操作部材59の操作方向に基づいて、前記作動弁の制御を変更するようにしてもよい。
走行操作装置54の操作内容の判断は、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t)の組み合わせによる、以下の方法によって行ってもよい。
【0102】
先ず、スピンターン(超信地旋回)の場合について説明する。
スピンターンの場合は、左走行ポンプL53の第1受圧部53aに作用する第1パイロット圧lf(t)から第2受圧部53bに作用する第2パイロット圧lb(t)を引いた値である第1差圧(ΔPpL:lf(t)-lb(t))と、右走行ポンプ53Rの第3受圧部53aに作用する第3パイロット圧rf(t)から第4受圧部53bに作用する第4パイロット圧rb(t)を引いた値である第2差圧(ΔPpR:rf(t)-rb(t))の正負が逆である場合に、制御装置60は、走行操作部材59の操作がスピンターンに対応する操作であると判断する。つまり、第1差圧(ΔPpL)と第2差圧(ΔPpR)との一方が正で他方が負である場合に、スピンターンに対応する操作であると判断する。具体的には、ΔPpLが正でΔPpRが負の場合は、右方向へ旋回するスピンターンに対応する操作であると判断され、ΔPpLが負でΔPpRが正の場合は、左方向へ旋回するスピンターンに対応する操作であると判断される。
【0103】
次に、急ターン又は緩ターンの場合について説明する。
急ターンは、旋回半径が中程度のターンである。緩ターンは、旋回半径が急ターンよりも大きいターンである。
先ず、右方向への旋回(右旋回)の急ターンの場合について説明する。
右旋回の急ターン場合、lf(t)に対して設定された閾値(第1閾値)と、ΔPpRに対して設定された閾値(第2閾値)とによって走行操作部材59の操作状態を判断する。具体的には、制御装置60は、lf(t)が第1閾値以上且つΔPpRが第2閾値以下である場合に、右旋回の急ターンに対応する操作であると判断する。
【0104】
また、右旋回の急ターンに対応する操作を判断する場合において、ΔPpR(rf(t)-rb(t))におけるrb(t)は、十分に小さな値となることもあるため、右旋回の急ターンの場合、lf(t)に対して設定された閾値(第1閾値)と、rf(t)に対して設定された閾値(第5閾値)とによって走行操作部材59の操作状態を判断することも可能である。具体的には、制御装置60は、lf(t)が第1閾値以上且つrf(t)が第5閾値以下である場合に、右旋回の急ターンに対応する操作であると判断することが可能である。
【0105】
次に、左方向の旋回(左旋回)の急ターンの場合について説明する。
左旋回の急ターンの場合、rf(t)に対して設定された閾値(第3閾値)と、ΔPpLに対して設定された閾値(第4閾値)とによって走行操作部材59の操作状態を判断する。具体的には、制御装置60は、rf(t)が第3閾値以上で且つΔPpLが第4閾値以下である場合に、左旋回の急ターンに対応する操作であると判断する。
【0106】
また、左旋回の急ターンに対応する操作を判断する場合において、ΔPpL(lf(t)-lb(t))におけるlb(t)は、十分に小さな値となることもあるため、左旋回の急ターンの場合、rf(t)に対して設定された閾値(第3閾値)と、lf(t)に対して設定された閾値(第6閾値)とによって走行操作部材59の操作状態を判断することも可能である。具体的には、制御装置60は、rf(t)が第3閾値以上且つlf(t)が第6閾値以下である場合に、左旋回の急ターンに対応する操作であると判断することが可能である。
【0107】
次に、右旋回の緩ターンの場合について説明する。
右旋回の緩ターンの場合、lf(t)に対して設定された閾値(第7閾値)と、ΔPpRに対して設定された閾値(第8閾値)とによって走行操作部材59の操作状態を判断する。具体的には、制御装置60は、lf(t)が第7閾値以上且つΔPpRが第8閾値以上である場合に、右旋回の緩ターンに対応する操作であると判断する。
【0108】
また、右旋回の緩ターンに対応する操作を判断する場合において、ΔPpR(rf(t)
-rb(t))におけるrb(t)は、十分に小さな値となることもあるため、右旋回の緩ターンの場合、第1パイロット圧lf(t)に対して設定された閾値(第7閾)と、rf(t)に対して設定された閾値(第11閾値)とによって、走行操作部材59の操作状態を判断することも可能である。具体的には、制御装置60は、lf(t)が第7閾値以上であり、rf(t)が第7閾値以下且つ第11閾値以上である場合に、右旋回の緩ターンに対応する操作であると判断することが可能である。
【0109】
次に、左旋回の緩ターンについて説明する。
左旋回の緩ターンの場合、rf(t)に対して設定された閾値(第9閾値)と、ΔPpLについて設定された閾値(第10閾値)とによって走行操作部材59の操作状態を判断する。具体的には、制御装置60は、rf(t)が第9閾値以上且つΔPpRが第10閾値以上である場合は、左旋回の緩ターンに対応する操作であると判断する。
【0110】
また、左旋回の緩ターンに対応する操作を判断する場合において、ΔPpL(lf(t)-lb(t))におけるlb(t) は、十分に小さな値となることもあるため、左旋回の緩ターンの場合、rf(t)に対して設定された閾値(第9閾値)と、lf(t)に対して設定された閾値(第12閾値)とによって、走行操作部材59の操作状態を判断することも可能である。具体的には、制御装置60は、rf(t)が第9閾値以上であり、lf(t)が第9閾値以下且つ第12閾値以上である場合に、左旋回の緩ターンに対応する操作であると判断することが可能である。
【0111】
上記方法によって、走行ポンプ53L、53Rの受圧部53a、53bに繋がる4つの走行油路(第1走行油路45a~第4走行油路45d)に搭載された4つの圧検出装置(第1圧力検出装置80a~第4圧力検出装置80d)によって検出されたパイロット圧(第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t))の組み合わせで、オペレータによる走行操作部材59の操作が、急ターンに対応する操作なのか、緩ターンに対応する操作なのか、或いはスピンターンに対応する操作なのかを判別することができる。
【0112】
上記急ターン、緩ターンに対応する操作を判断する方法において、第2閾値と第4閾値とは、それぞれ複数存在してもよい。1つでもよい。また、第8閾値と第10閾値とは、それぞれ複数存在してもよい。1つでもよい。
図6は、直進と、旋回度合いによって区分した右旋回とを示したイメージ図である。
図6において、Iは直進を示しており、IIは直進と信地旋回との間の旋回を示しており、IIIは信地旋回を示しており、IVは信地旋回と超信地旋回との間の旋回を示しており、Vは超信地旋回を示している。
【0113】
上記急ターン、緩ターンに対応する操作を判断する方法にあっては、右旋回を判断する場合、第2差圧(ΔPpR)と比較する閾値は、正の値に設定することも、零や負の値に設定することも可能である。閾値を変更することで、II~IVのいずれの旋回度合いも判断可能である。詳しくは、閾値を正に設定すればIIの旋回であり、正の小さい値に設定すればIIIの旋回であり、零もしくは負であればIVの旋回であることが判断できる。つまり、閾値を複数設定することで、走行操作部材59の操作がII~IVのどの旋回区分に対応する操作であるかが判断可能である。
【0114】
上記考えは、左旋回の場合も同様であるので、左旋回の場合の説明は省略する。
作業機1は、機体2と、機体2の左側に設けられた左走行装置5Lと、機体2の右側に設けられた右走行装置5Rと、左走行装置5Lに動力を伝達可能な左走行モータ36Lと、右走行装置5Rに動力を伝達可能な右走行モータ36Rと、作動油を受圧する第1受圧部53a及び第2受圧部53bを有し且つ少なくとも第1受圧部53a及び第2受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに左走行モータ36Lに作動油を供給する左走行ポンプ53Lと、作動油を受圧する第3受圧部53a及び第4受圧部53bを有し且つ少なくとも第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに右走行モータ36Rに作動油を供給する右走行ポンプ53Rと、走行操作部材59を操作したときに、少なくとも第1受圧部53a、第2受圧部53b、第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油を作用させる走行操作装置54と、第1受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第1受圧部53aに作用する作動油を通過させる第1走行油路45aと、第2受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第2受圧部53bに作用する作動油を通過させる第2走行油路45bと、第3受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第3受圧部53aに作用する作動油を通過させる第3走行油路45cと、第4受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第4受圧部53bに作用する作動油を通過させる第4走行油路45dと、第1走行油路45aの作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置48aと、第2走行油路45bの作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置48bと、第3走行油路45cの作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置48cと、第4走行油路45dの作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置48dと、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)に基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回、信地旋回及び直進のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置と、を備えている。
【0115】
これによれば、走行油路45(第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45d)の作動油の圧力(第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t))によって、簡単に超信地旋回、信地旋回及び直進のいずれかであるかを把握することができる。
制御装置60は、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、又は、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲である場合に、超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断する。
【0116】
これによれば、左走行ポンプ53Lの逆転側に対応するパイロット圧(第2パイロット圧lb(t))と、右走行ポンプ53Rの正転側に対応するパイロット圧(第3パイロット圧rf(t))との比率(第1比率)によっても、超信地旋回及び信地旋回のいずれかであるかを簡単に把握することができる。また、左走行ポンプ53Lの正転側に対応するパイロット圧(第1パイロット圧lf(t))と、右走行ポンプ53Rの逆転側に対応するパイロット圧(第4パイロット圧rb(t))との比率(第2比率)によって、超信地旋回及び信地旋回のいずれかであるかを簡単に把握することができる。
【0117】
制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値とし、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2判定値とした場合、第1判定値及び第2判定値とに基づいて、超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断する。これによれば、走行ポンプ53Lの正転側に対応するパイロット圧(第1パイロット圧lf(t))と、右走行ポンプ53Rの逆転側に対応するパイロット圧(第4パイロット圧rb(t))のいずれか大きい方と、左走行ポンプ53Lの逆転側に対応するパイロット圧(第2パイロット圧lb(t))と、右走行ポンプ53Rの正転側に対応するパイロット圧(第3パイロット圧rf(t))とのいずれか大きい方の圧力によって簡単に超信地旋回及び信地旋回のいずれかであるかを簡単に把握することができる。
【0118】
制御装置60は、第1判定値が第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第1平均値よりも小さい場合、又は、第2判定値が第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第2平均値よりも小さい場合は、超信地旋回であると判断する一方、第1判定値が第1平均値以上、又は、第2判定値が第2平均値以上である場合は、走行操作部材の操作が、信地旋回に対応する方向に操作されていると判断する。
【0119】
これによれば、左走行ポンプ53Lの逆転側に対応するパイロット圧(第2パイロット圧lb(t))と、右走行ポンプ53Rの正転側に対応するパイロット圧(第3パイロット圧rf(t))との平均、走行ポンプ53Lの正転側に対応するパイロット圧(第1パイロット圧lf(t))と右走行ポンプ53Rの逆転側に対応するパイロット圧(第4パイロット圧rb(t))との平均によって、簡単に信地旋回であると把握することができる。
【0120】
制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との第3比率が
所定範囲、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との第4比率が所定範囲であるか否かを判断し、第3比率が所定範囲である場合には第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1直進値とし、第4比率が所定範囲である場合には第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2直進値とし、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第3平均値と第1直進値により直進度合いを求め、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第4平均値と第2直進値により走行操作部材の操作の直進度合いを求め、直進度合いに基づいて直進であるかを判断する。
【0121】
これによれば、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)によって規定される直進度合いによって簡単に直進であるかを把握することができる。
制御装置60は、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との第1比率が所定範囲、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との第2比率が所定範囲であるか否かを判断し、第1比率が所定範囲である場合には第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との大きい方を第1判定値とし、第2比率が所定範囲である場合には第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との大きい方を第2判定値とし、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)との平均に対応する第1平均値と第1判定値により左旋回度合いを求め、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)との平均に対応する第2平均値と第2判定値により右旋回度合いを求め、左旋回度合いに基づいて左方向への超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断し、走行操作部材59の操作が、右旋回度合いに基づいて右方向への超信地旋回及び信地旋回のいずれかであることを判断する。
【0122】
これによれば、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)のそれぞれの対応関係によって、左方向又は右方向への旋回(超信地旋回、信地旋回)を把握でき、さらには、旋回度合いによって、超信地旋回及び信地旋回のいずれかであるかを把握することができる。
また、制御装置60は、走行操作部材59の操作が、第1パイロット圧lf(t)から第2パイロット圧lb(t)を引いた第1差圧(ΔPpL)と、第3パイロット圧rf(t)から第4パイロット圧rb(t)を引いた第2差圧(ΔPpR)の正負が逆の場合に、超信地旋回に対応する操作であると判断する。
【0123】
また、制御装置60は、走行操作部材59の操作が、第1パイロット圧lf(t)が第1閾値以上且つ第3パイロット圧rf(t)から第4パイロット圧rb(t)を引いた第2差圧が第2閾値以下である場合、或いは、第3パイロット圧rf(t)が第3閾値以上且つ第1パイロット圧lf(t)から第2パイロット圧lb(t)を引いた第1差圧が第4閾値以下である場合に、旋回半径が中程度である急ターンに対応する操作であると判断する。
【0124】
また、制御装置60は、走行操作部材59の操作が、第1パイロット圧lf(t)が第1閾値以上且つ第3パイロット圧rf(t)が第5閾値以下である場合、或いは、第3パイロット圧rf(t)が第3閾値以上且つ第1パイロット圧lf(t)が第6閾値以下である場合に、旋回半径が中程度である急ターンに対応する操作であると判断する。
また、制御装置60は、走行操作部材59の操作が、前記第1パイロット圧lf(t)が第7閾値以上且つ第3パイロット圧rf(t)から第4パイロット圧rb(t)を引いた第2差圧が第8閾値以上である場合、或いは、第3パイロット圧rf(t)が第9閾値以上且つ第1パイロット圧lf(t)から第2パイロット圧lb(t)を引いた第1差圧が第10閾値以上である場合に、旋回半径が中程度である急ターンよりも旋回半径が大きい緩ターンに対応する操作であると判断する。
【0125】
また、制御装置60は、走行操作部材59の操作が、第1パイロット圧lf(t)が第7閾値以上であり、第3パイロット圧rf(t)が第7閾値以下且つ第11閾値以上である場合、或いは、第3パイロット圧rf(t)が第9閾値以上であり、第1パイロット圧lf(t)が前記第9閾値以下且つ第12閾値以上である場合に、旋回半径が中程度である急ターンよりも旋回半径が大きい緩ターンに対応する操作であると判断する。
【0126】
これらの判断方法によれば、第1走行油路45a~第4走行油路45dに搭載された4つの圧検出装置(第1圧力検出装置80a~第4圧力検出装置80d)のパイロット圧(第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)、第4パイロット圧rb(t))の組み合わせで、オペレータによる走行操作部材59の操作が、急ターンに対応する操作なのか、緩ターンに対応する操作なのか、或いはスピンターンに対応する操作なのかを判別することができる。
【0127】
第2閾値と第4閾値とは、それぞれ複数存在してもよい。
第8閾値と第10閾値とは、それぞれ複数存在してもよい。
また、左走行モータ36Lは、第1速度と前記第1速度よりも速い第2速度とに切換可能であり、右走行モータ36Rは、第1速度と前記第1速度よりも速い第2速度とに切換可能であり、制御装置60は、判断した走行操作部材59の操作方向に基づいて、第2速度から第1速度に自動的に減速する自動減速、及び第1速度から第2速度に自動的に復帰させる自動減速復帰を行うようにしてもよい。
また、制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)~第4パイロット圧rb(t)の全てが一定値以下のときは走行操作部材59が中立位置Nであると判断し、自動減速している状態のときに第1パイロット圧lf(t)~第4パイロット圧rb(t)の全てが一定値以下であることが検出されると自動減速復帰を行うようにしてもよい。
【0128】
また、走行操作装置54に供給される作動油の圧力を制御する作動弁69を備え、制御装置60は、判断した走行操作部材59の操作方向に基づいて、作動弁60の制御を変更するようにしてもよい。
作業機1は、機体2と、機体2の左側に設けられた左走行装置5Lと、機体2の右側に設けられた右走行装置5Rと、左走行装置5Lに動力を伝達可能な左走行モータ36Lと、右走行装置5Rに動力を伝達可能な右走行モータ36Rと、作動油を受圧する第1受圧部53a及び第2受圧部53bを有し且つ少なくとも第1受圧部53a及び第2受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに左走行モータ36Lに作動油を供給する左走行ポンプ53Lと、作動油を受圧する第3受圧部53a及び第4受圧部53bを有し且つ少なくとも第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに右走行モータ36Rに作動油を供給する右走行ポンプ53Rと、走行操作部材59を操作したときに、少なくとも第1受圧部53a、第2受圧部53b、第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油を作用させる走行操作装置54と、第1受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第1受圧部53aに作用する作動油を通過させる第1走行油路45aと、第2受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第2受圧部53bに作用する作動油を通過させる第2走行油路45bと、第3受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第3受圧部53aに作用する作動油を通過させる第3走行油路45cと、第4受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第4受圧部53bに作用する作動油を通過させる第4走行油路45dと、第1走行油路45aの作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置48aと、第2走行油路45bの作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置48bと、第3走行油路45cの作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置48cと、第4走行油路45dの作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置48dと、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)に基づいて、走行操作部材59の操作が、直進及び旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置60と、を備えている。これによれば、走行油路45(第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45d)の作動油の圧力(第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t))によって、簡単に直進及び旋回のいずれかに操作されているかを把握することができる。
【0129】
作業機1は、機体2と、機体2の左側に設けられた左走行装置5Lと、機体2の右側に設けられた右走行装置5Rと、左走行装置5Lに動力を伝達可能な左走行モータ36Lと
、右走行装置5Rに動力を伝達可能な右走行モータ36Rと、作動油を受圧する第1受圧部53a及び第2受圧部53bを有し且つ少なくとも第1受圧部53a及び第2受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに左走行モータ36Lに作動油を供給する左走行ポンプ53Lと、作動油を受圧する第3受圧部53a及び第4受圧部53bを有し且つ少なくとも第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに右走行モータ36Rに作動油を供給する右走行ポンプ53Rと、走行操作部材59を操作したときに、少なくとも第1受圧部53a、第2受圧部53b、第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油を作用させる走行操作装置54と、第1受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第1受圧部53aに作用する作動油を通過させる第1走行油路45aと、第2受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第2受圧部53bに作用する作動油を通過させる第2走行油路45bと、第3受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第3受圧部53aに作用する作動油を通過させる第3走行油路45cと、第4受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第4受圧部53bに作用する作動油を通過させる第4走行油路45dと、第1走行油路45aの作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置48aと、第2走行油路45bの作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置48bと、第3走行油路45cの作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置48cと、第4走行油路45dの作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置48dと、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)に基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回及び信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する制御装置60と、を備えている。これによれば、走行油路45(第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45d)の作動油の圧力(第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t))によって、簡単に超信地旋回及び信地旋回のいずれかに操作されているかを把握することができる。
【0130】
制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)と第4パイロット圧rb(t)とに基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回及び信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する。これによれば、簡単に超信地旋回及び信地旋回のいずれかに操作されているかを把握することができる。
制御装置60は、第2パイロット圧lb(t)と第3パイロット圧rf(t)とに基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回及び信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する。これによれば、簡単に超信地旋回及び信地旋回のいずれかに操作されているかを把握することができる。
【0131】
制御装置60は、第1パイロット圧lf(t)と第3パイロット圧rf(t)とに基づいて、走行操作部材59の操作が、直進又は旋回である信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する。これによれば、簡単に直進及び信地旋回のいずれかに操作されているかを把握することができる。
制御装置60は、第2パイロット圧lb(t)と第4パイロット圧rb(t)とに基づいて、走行操作部材59の操作が、直進又は旋回である信地旋回のいずれかに対応する方向に操作されているかを判断する。これによれば、簡単に直進及び信地旋回のいずれかに操作されているかを把握することができる。この制御は、[数1]の式(1)と(2)の変形例である。
【0132】
作業機1は、機体2と、機体2の左側に設けられた左走行装置5Lと、機体2の右側に設けられた右走行装置5Rと、左走行装置5Lに動力を伝達可能な左走行モータ36Lと、右走行装置5Rに動力を伝達可能な右走行モータ36Rと、作動油を受圧する第1受圧部53a及び第2受圧部53bを有し且つ少なくとも第1受圧部53a及び第2受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに左走行モータ36Lに作動油を供給する左走行ポンプ53Lと、作動油を受圧する第3受圧部53a及び第4受圧部53bを有し且つ少なくとも第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに右走行モータ36Rに作動油を供給する右走行ポンプ53Rと、走行操作部材59を操作したときに、少なくとも第1受圧部53a、第2受圧部53b、第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油を作用させる走行操作装置54と、第1受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第1受圧部53aに作用する作動油を通過させる第1走行油路45aと、第2受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第2受圧部53bに作用する作動油を通過させる第2走行油路45bと、第3受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第3受圧部53aに作用する作動油を通過させる第3走行油路45cと、第4受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第4受圧部53bに作用する作動油を通過させる第4走行油路45dと、第1走行油路45aの作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置48aと、第2走行油路45bの作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置48bと、第3走行油路45cの作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置48cと、第4走行油路45dの作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置48dと、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)に基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回に対応する方向に操作されているかを判断する制御装置60と、を備えている。これによれば、走行油路45(第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45d)の作動油の圧力(第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t))によって、簡単に超信地旋回に操作されているかを把握することができる。
【0133】
作業機1は、機体2と、機体2の左側に設けられた左走行装置5Lと、機体2の右側に設けられた右走行装置5Rと、左走行装置5Lに動力を伝達可能な左走行モータ36Lと、右走行装置5Rに動力を伝達可能な右走行モータ36Rと、作動油を受圧する第1受圧部53a及び第2受圧部53bを有し且つ少なくとも第1受圧部53a及び第2受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに左走行モータ36Lに作動油を供給する左走行ポンプ53Lと、作動油を受圧する第3受圧部53a及び第4受圧部53bを有し且つ少なくとも第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに右走行モータ36Rに作動油を供給する右走行ポンプ53Rと、走行操作部材59を操作したときに、少なくとも第1受圧部53a、第2受圧部53b、第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油を作用させる走行操作装置54と、第1受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第1受圧部53aに作用する作動油を通過させる第1走行油路45aと、第2受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第2受圧部53bに作用する作動油を通過させる第2走行油路45bと、第3受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第3受圧部53aに作用する作動油を通過させる第3走行油路45cと、第4受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第4受圧部53bに作用する作動油を通過させる第4走行油路45dと、第1走行油路45aの作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置48aと、第2走行油路45bの作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置48bと、第3走行油路45cの作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置48cと、第4走行油路45dの作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置48dと、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)に基づいて、走行操作部材59の操作が、信地旋回に対応する方向に操作されているかを判断する制御装置60と、を備えている。これによれば、走行油路45(第1走行油路45a、第2走行油路45b、第3走行油路45c、第4走行油路45d)の作動油の圧力(第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t))によって、簡単に信地旋回に操作されているかを把握することができる。
【0134】
作業機1は、機体2と、機体2の左側に設けられた左走行装置5Lと、機体2の右側に設けられた右走行装置5Rと、左走行装置5Lに動力を伝達可能な左走行モータ36Lと
、右走行装置5Rに動力を伝達可能な右走行モータ36Rと、作動油を受圧する第1受圧部53a及び第2受圧部53bを有し且つ少なくとも第1受圧部53a及び第2受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに左走行モータ36Lに作動油を供給する左走行ポンプ53Lと、作動油を受圧する第3受圧部53a及び第4受圧部53bを有し且つ少なくとも第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油が作用したときに右走行モータ36Rに作動油を供給する右走行ポンプ53Rと、走行操作部材59を操作したときに、少なくとも第1受圧部53a、第2受圧部53b、第3受圧部53a及び第4受圧部53bのいずれかに作動油を作用させる走行操作装置54と、第1受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第1受圧部53aに作用する作動油を通過させる第1走行油路45aと、第2受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第2受圧部53bに作用する作動油を通過させる第2走行油路45bと、第3受圧部53aに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第3受圧部53aに作用する作動油を通過させる第3走行油路45cと、第4受圧部53bに接続し且つ走行操作部材59を操作したときに第4受圧部53bに作用する作動油を通過させる第4走行油路45dと、第1走行油路45aの作動油の圧力である第1パイロット圧を検出する第1圧力検出装置48aと、第2走行油路45bの作動油の圧力である第2パイロット圧を検出する第2圧力検出装置48bと、第3走行油路45cの作動油の圧力である第3パイロット圧を検出する第3圧力検出装置48cと、第4走行油路45dの作動油の圧力である第4パイロット圧を検出する第4圧力検出装置48dと、第1パイロット圧lf(t)、第2パイロット圧lb(t)、第3パイロット圧rf(t)及び第4パイロット圧rb(t)に基づいて、走行操作部材59の操作が、超信地旋回、信地旋回及び直進に対応する方向に操作されているかを判断する制御装置60と、を備えている。
【0135】
上述したように、第2速度は、第1速度よりも速ければよいため、作業機1は、変速段が2段に限定されず、多段(複数段)であっても適用が可能である。
上述した実施形態では、左走行モータ36L及び右走行モータ36Rは、同時に第1速度、第2速度に切り換わり、自動減速も左走行モータ36L及び右走行モータ36Rに対して同時に行われる構成であったが、少なくとも左走行モータ36L及び右走行モータ36Rのいずれかが第1速度、第2速度に切り換わり、少なくとも左走行モータ36L及び右走行モータ36Rのいずれかが第2速度になっている状態で自動減速を行ってもよい。
【0136】
また、走行モータ(左走行モータ36L、右走行モータ36R)は、アキシャルピストンモータであってもラジアルピストンモータであってもよい。走行モータがラジアルピストンモータ、ラジアルピストンモータのいずれであっても、モータ容量が大きくなることで第1速に切り換えることができ、モータ容量が小さくなることで第2速に切り換えることができる。
【0137】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0138】
1 作業機
2 機体
5L 左走行装置
5R 右走行装置
36L 左走行モータ
36R 右走行モータ
45 走行油路
45a 第1走行油路
45b 第2走行油路
45c 第3走行油路
45d 第4走行油路
48a 第1圧力検出装置
48b 第2圧力検出装置
48c 第3圧力検出装置
48d 第4圧力検出装置
53L 左走行ポンプ(走行ポンプ)
53R 右走行ポンプ(走行ポンプ)
53a 第1受圧部(第3受圧部)
53b 第2受圧部(第4受圧部)
54 走行操作装置
59 走行操作部材
60 制御装置
lf 第1パイロット圧
lb 第2パイロット圧
rf 第3パイロット圧
rb 第4パイロット圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7