(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-07
(45)【発行日】2024-06-17
(54)【発明の名称】保護カバー
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240610BHJP
【FI】
B66B5/00 D
(21)【出願番号】P 2021097156
(22)【出願日】2021-06-10
【審査請求日】2021-12-24
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217021
【氏名又は名称】馬場 進吾
(72)【発明者】
【氏名】福原 優太
【合議体】
【審判長】中屋 裕一郎
【審判官】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-226173(JP,A)
【文献】実開昭63-1866(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第111744921(CN,A)
【文献】特開2020-193050(JP,A)
【文献】特開2000-238983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00 - 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー本体と、
点検扉と、
前記カバー本体をエレベーターの機械室に固定するための固定部材と、
照明装置と、
前記照明装置に電力を供給する電源装置と、
を備え、
前記カバー本体は、天板と、前記天板の外形に沿って配置されている側壁板と、
を有し、
前記天板と前記側壁板とは、前記天板と前記側壁板とに囲まれている保護空間を形成し、
前記側壁板には、第1開口が設けられ、
前記点検扉は、前記第1開口を開閉可能に前記カバー本体に配置されており、
前記カバー本体は、前記機械室の床面に設置された調速機構の上部プーリーが前記保護空間に配置されるように、前記床面に配置され、
前記照明装置は、スイッチと、照明器具と、
を有し、
前記スイッチは、前記カバー本体の外部に向って露出するように設けられ、
前記スイッチを操作することで、前記電源装置から前記照明器具へ前記電力を供給することができる、
保護カバー。
【請求項2】
前記天板は、前記側壁板に対して着脱可能である、
請求項
1に記載の保護カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は、窓部材を更に有し、
前記カバー本体には、第2開口が設けられ、
前記窓部材は、前記第2開口を塞ぐように設置され、
前記窓部材は、前記窓部材を通して前記カバー本体の外側から前記保護空間を見ることができるような素材で構成されている、
請求項1
または請求項2に記載の保護カバー。
【請求項4】
前記固定部材は、前記床面に対向して配置される、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の保護カバー。
【請求項5】
前記固定部材は、前記機械室に配置された構造物に対向して配置される、
請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の保護カバー。
【請求項6】
前記構造物は、ダクトカバーである、
請求項
5に記載の保護カバー。
【請求項7】
前記保護カバーを前記床面に配置した状態で、前記床面と対向している前記カバー本体の下端部と前記床面との隙間は、5mm以下である、
請求項1から請求項
6の何れか一項に記載の保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調速機構の上部プーリーの保護カバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターの調速機の本体プーリーに遮蔽体を設けて、ねずみといった小動物の本体プーリーへの巻き込みを防止していた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の遮蔽体では、調速機の本体プーリーの点検といった作業の際に、遮蔽体を取り外す必要があり、作業に時間がかかるという問題があった。
【0005】
本開示は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、調速機構の上部プーリーに対する作業の作業時間の短縮を図ることができる保護カバーを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る保護カバーは、カバー本体と、点検扉と、カバー本体をエレベーターの機械室に固定するための固定部材と、を備え、カバー本体は、天板と、天板の外形に沿って配置されている側壁板と、を有し、天板と側壁板とは、天板と側壁板とに囲まれている保護空間を形成し、側壁板には、第1開口が設けられ、点検扉は、第1開口を開閉可能にカバー本体に配置されており、カバー本体は、機械室の床面に設置された調速機構の上部プーリーが保護空間に配置されるように、床面に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る保護カバーによれば、調速機構の上部プーリーに対する作業の際に、点検扉を移動させて第1開口を開けて作業することができ、調速機構の上部プーリーに対する作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1による保護カバーが設置されているエレベーターの要部を示す概要図である。
【
図3】
図2の保護カバーにおいて、第1開口を開放し、天板を取り外した状態の斜視図である。
【
図4】
図2の保護カバーのA部分を示す拡大図である。
【
図5】実施の形態1の変形例1による保護カバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による保護カバー1が設置されているエレベーター100の要部を示す概要図である。エレベーター100は、鉛直方向に延びる空間である昇降路101と、昇降路101内を移動するかご102と、図示しない釣り合い錘と、かご102と釣り合い錘とを支持するメインロープ103と、メインロープ103を駆動する駆動機構104と、調速機構105と、昇降路101の上部にあって駆動機構104といった機構が内部に配置されている機械室120と、を備えている。
【0010】
調速機構105は、かご102に支持された調速機構部105aと、調速ロープ105bと、調速ロープ105bが掛け回される上部プーリー105cと、調速ロープ105bが掛け回される図示しない下部プーリーとを有している。調速機構部105aは、調速ロープ105bとかご102との相対速度に基づいて、かご102の移動を制御することができる。
【0011】
上部プーリー105cは、機械室120の床面120a上に設置されている。上部プーリー105cは、保護カバー1に覆われている。
【0012】
図2は、
図1の保護カバー1を示す斜視図である。
図2では、窓部材25にハッチングを付して示している。
図3は、
図2の保護カバー1において、第1開口13を開放し、天板11を取り外した状態の斜視図である。
図3では、窓部材25にハッチングを付していない。
【0013】
保護カバー1は、カバー本体10と、点検扉20と、複数の固定部材30と、を備えている。カバー本体10は、天板11と、天板11の外周部に沿って配置された側壁板12と、窓部材25と、を有している。
【0014】
天板11は、長方形状の板状の部材である。側壁板12は、正面板12aと、背面板12bと、第1側板12cと、第2側板12dとを有している。天板11は、天板11の周囲の4辺のそれぞれと側壁板12の4つの板状部材のそれぞれとが対応するように、側壁板12に配置される。カバー本体10は、天板11と側壁板12とにより直方体形状を呈する。
【0015】
天板11の法線方向を、カバー本体10の高さ方向とする。カバー本体10の高さ方向に直交する方向を、カバー本体10の幅方向とする。カバー本体10の高さ方向、及び幅方向のいずれにも直交する方向を、カバー本体10の奥行き方向とする。
【0016】
正面板12aの平面、及び背面板12bの平面のそれぞれがカバー本体10の高さ方向と幅方向とを含む平面に平行になるように、正面板12a、及び背面板12bのそれぞれが配置されている。
【0017】
第1側板12cの平面、及び第2側板12dの平面のそれぞれがカバー本体10の高さ方向と奥行き方向とを含む平面に平行になるように、第1側板12c、及び第2側板12dのそれぞれが配置されている。
【0018】
天板11は、側壁板12に対して着脱可能である。天板11と側壁板12とは、天板11と側壁板12とに囲まれた保護空間10aを形成している。
【0019】
床面120aと対向するカバー本体10の面には、天板11のみが配置されており、底板といった部材は設置されていない。即ち、床面120aと対向するカバー本体10の底側の面は、開口されている。
【0020】
正面板12aには、第1開口13が形成されている。第1側板12cには、第2開口14が形成されている。
【0021】
第1開口13が形成されている正面板12aには、点検扉20が設置されている。点検扉20は、第1開口13を開閉可能にカバー本体10に配置されている。
【0022】
点検扉20は、第1開口13を開閉することができる一対の扉部21と、一対の扉部21が第1開口13を閉鎖している状態を維持することができる2つのロック機構22とを有している。
【0023】
各扉部21は、回転可能に正面板12aに支持されている。各扉部21は、高さ方向に沿った軸線回りに回転可能に支持されている。一対の扉部21のそれぞれが正面板12aに対して回転移動することで、一対の扉部21は、第1開口13を開閉することができる。
【0024】
2つのロック機構22のそれぞれは、一対の扉部21に渡って配置されている。各ロック機構22には、一対の扉部21が第1開口13を閉鎖している状態を維持できる機構であれば、周知な機構を適宜採用することができる。
【0025】
ロック機構22の数は、各扉部21の大きさに基づいて適宜選択することができる。2つのロック機構22のそれぞれは、一対の扉部21に渡って配置されているが、一対の扉部21が第1開口13を閉鎖している状態を維持できれば、どこに配置してもよい。例えば、各ロック機構22を正面板12aに配置してもよい。
【0026】
第2開口14は、窓部材25で塞がれている。窓部材25は、第2開口14を塞ぐように第1側板12cに配置されている。窓部材25は、窓部材25を通してカバー本体10の外側から保護空間10aを見ることができるような素材で構成されている。
【0027】
本実施の形態1では、窓部材25は、光学的に透明な部材で構成されている。窓部材25は、例えば、ガラス、プラスチック、アクリルといった材料で構成されている。作業者は、窓部材25を通して、保護空間10aを点検することができる。
【0028】
複数の固定部材30は、カバー本体10をエレベーター100の機械室120に固定するための部材である。
図4は、
図2の保護カバー1のA部分を示す拡大図である。各固定部材30は、第1板部30aと第2板部30bとを有している。第1板部30aと第2板部30bとは、互いに直交している。
【0029】
第1板部30aは、第1側板12cに接続されている。第1板部30aが第1側板12cに接続されて状態で、第2板部30bは、床面120aに対向するように配置されている。従って、固定部材30は、床面120aに対向して配置されている。床面120aに対向する第2板部30bには、第2板部孔30cが設けられている。
【0030】
なお、第1板部30aを第1側板12cに接続する方法は従来周知な方法を用いることができる。例えば、第1板部30a、及び第1側板12cに貫通孔を形成し、ボルトとナットにより締め付け接続してもよい。
【0031】
また、第1側板12cに形成した貫通孔をねじ穴とし、第1板部30aの貫通孔にボルトを差し込み、第1側板12cのねじ穴に締め付けてもよい。さらに、第1板部30aと第1側板12cとを溶接により接続してもよい。
【0032】
図3に戻り説明を続ける。保護カバー1は、照明装置40と、電源装置50と、を更に備えている。
【0033】
照明装置40は、保護空間10aを照らす照明器具40aと、照明器具40aの点灯及び消灯を操作することができるスイッチ40bと、を有している。照明器具40aは、側壁板12の保護空間10aに対向する表面に設けられている。照明器具40aには、LEDといった周知な照明器具を用いることができる。
【0034】
スイッチ40bは、カバー本体10の保護空間10aに対向する表面の反対側の表面に設けられている。即ち、スイッチ40bは、カバー本体10の外部に露出するように側壁板12に設けられている。スイッチ40bは、第2開口14が設けられている第1側板12cに設置されている。
【0035】
電源装置50は、照明装置40に電力を供給する装置である。電源装置50は、図示しない電池を有しており、照明装置40に電力を供給することができる。
【0036】
スイッチ40bを操作することで、照明装置40に供給された電力が照明器具40aへ供給されている状態と、照明器具40aへ供給されていない状態とを選択することができる。電力が照明器具40aに供給されている状態では、照明器具40aが点灯する。
【0037】
電力が照明器具40aに供給されていない状態では、照明器具40aが消灯する。即ち、スイッチ40bの操作によって、電源装置50から供給された電力を、照明器具40aへの供給している状態と、電力の供給を遮断している状態とを選択することができる。
【0038】
次に、保護カバー1の設置方法について説明する。エレベーター100の機械室120の床面120a上には、調速機構105の上部プーリー105cが設置されている。保護カバー1の保護空間10aに上部プーリー105cが収まるように、保護カバー1を床面120a上に設置する。
【0039】
床面120aには、図示しない複数のねじ部材が配置されている。各ねじ部材は、床面120aから鉛直上側に向って突出して配置されている。作業者は、保護カバー1を第2板部孔30cのそれぞれにねじ部材が挿入されるように配置する。
【0040】
第2板部孔30cのそれぞれに挿入された各ねじ部に、図示しないナットを締め込む。これにより、第2板部30bが挟み込まれ、保護カバー1は、床面120a上に固定される。
【0041】
なお、複数のねじ部は、あらかじめ複数の第2板部30bに形成された孔のそれぞれに対応する位置に設置されている。
【0042】
保護カバー1を床面120aに配置した状態では、床面120aと対向しているカバー本体10の下端部と床面120aとの隙間は5mm以下が望ましい。床面120aと対向しているカバー本体10の下端部と床面120aとの隙間は1mm以下とすることがより望ましい。更に、床面120aと対向しているカバー本体10の下端部と床面120aとの隙間が無いようにすることが望ましい。
【0043】
実施の形態1による保護カバー1によれば、側壁板12には、第1開口13が設けられ、点検扉20は、第1開口13を開閉可能にカバー本体10に配置されている。従って、作業者は、点検扉20を移動させて第1開口13から上部プーリー105cに対して作業を実施することができる。これにより、調速機構105の上部プーリー105cに対する作業の作業時間の短縮を図ることができる。なお、調速機構105に対する作業としては、潤滑油供給といった保守作業、調速機構105のトリップ試験といった作業がある。
【0044】
実施の形態1による保護カバー1によれば、天板11と側壁板12とは、天板11と側壁板12とに囲まれている保護空間10aを形成している。また、カバー本体10は、機械室120の床面120aに設置された調速機構105の上部プーリー105cが保護空間10aに配置されるように、床面120aに配置されている。従って、保護カバー1は、上部プーリー105cを覆っている。これにより、上部プーリー105cに対する粉塵の付着、及び小動物の接触を防ぐことができる。また、保護カバー1は、既設のエレベーター100に対して設置することができる。これにより、各々のエレベーター100の使用後に、保護カバー1の必要性を検討することができる。従って、エレベーター100の設置の初期投資を低減することができる。
【0045】
実施の形態1による保護カバー1によれば、天板11は、側壁板12に対して着脱可能に側壁板12に配置されている。従って、作業者は、天板11を側壁板12から取り外して上部プーリー105cの鉛直方向上側から上部プーリー105cに対して作業を実施することができる。これにより、調速機構105の上部プーリー105cに対する作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【0046】
実施の形態1による保護カバー1によれば、カバー本体10が窓部材25を有している。カバー本体10には、第2開口14が設けられ、窓部材25は、第2開口14を塞ぐようにカバー本体10に設置されている。また、窓部材25は、窓部材25を通してカバー本体10の外側から保護空間10aを見ることができるような素材で構成されている。従って、作業者は、カバー本体10の外側から窓部材25を通して、上部プーリー105cを点検することができる。これにより、上部プーリー105cを点検する際に、カバー本体10を上部プーリー105cから取り外す必要がなくなる。従って、調速機構105の上部プーリー105cに対する作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【0047】
実施の形態1による保護カバー1によれば、照明装置40と、照明装置40に電力を供給する電源装置50と、を更に備えている。また、照明装置40は、照明器具40aと、スイッチ40bと、を有し、スイッチ40bは、カバー本体10の外部に露出するように設けられている。また、スイッチ40bを操作することで、電源装置50から照明器具40aへ電力を供給することができる。従って、作業者は、カバー本体10の外側から窓部材25を通して、上部プーリー105cを目視にて点検することができる。さらに、作業者が上部プーリー105cを目視にて点検する際に、照明器具40aを点灯して保護空間10aを照らすことができる。これにより、上部プーリー105cの点検作業の効率化が図れ、調速機構105の上部プーリー105cに対する作業の作業時間の短縮を図ることができる。
【0048】
実施の形態1による保護カバー1によれば、複数の固定部材30は、床面120aに対向して配置されている。従って、床面120aに対して、保護カバー1を設置することができる。これにより、保護カバー1の設置について特殊な環境を整備することがない。
【0049】
実施の形態1による保護カバー1によれば、保護カバー1が床面120aに配置された状態で、床面120aと対向しているカバー本体10の下端部と床面120aとの隙間は、5mm以下である。従って、保護空間10aの内部に小動物が侵入することができない。これにより、小動物による調速機構105の不具合の発生を低減することができる。
【0050】
なお、実施の形態1では、第2板部30bの孔に挿入された床面120a上に設けられた複数のねじ部材にナットを締め込むことで、保護カバー1が固定されていた。しかし、これに限られたものではない。例えば、床面120a上に複数のねじ部材を設ける代わりに面ファスナーを配置してもよい。床面120aの第2板部30bに対応する箇所と第2板部30bの床面120aに対応する箇所とのそれぞれに面ファスナーを貼り付ける。両者の面ファスナーが合わさるように保護カバー1を設置することで、互いの面ファスナーが結合する。これにより、保護カバー1の床面120aに沿った方向の移動を規制することができる。即ち、第2板部30bと床面120aとの間の床面120aに沿った方向における摩擦係数が増えるような素材を、第2板部30bと床面120aとの間に配置すればよい。これにより、保護カバー1の床面120aに対する移動を規制することができる。
【0051】
実施の形態1.の変形例1
図5は、実施の形態1の変形例1による保護カバー1を示す斜視図である。実施の形態1では、各固定部材30のそれぞれは、第2板部30bが床面120aに対向するように配置されていた。本実施の形態1の変形例1では、複数の固定部材30のうち少なくとも一つの固定部材30の第2板部30bが機械室120に配置された構造物であるダクトカバー121に対向するように、固定部材30が第1側板12cに配置されている。
【0052】
従って、固定部材30は、構造物121に対向して配置されている。これ以外の構成については、実施の形態1と等しいので説明を省略する。
【0053】
保護カバー1は、少なくとも1つの固定部材30とダクトカバー121とによって固定されている。ダクトカバー121には、第2板部孔30cに対応する位置に図示しないねじ穴が形成されている。
【0054】
固定部材30は、固定ねじ31を更に有している。固定ねじ31は、第2板部孔30cを通って、ダクトカバー121のねじ穴に対して締め付けられる。これにより、固定部材30がダクトカバー121と固定ねじ31とにより挟まれ、保護カバー1は、床面120a上に固定される。
【0055】
実施の形態1の変形例1による保護カバー1によれば、複数の固定部材30のうち少なくとも1つの固定部材30は、機械室120に配置された構造物であるダクトカバー121に対向して配置されている。これにより、保護カバー1の設置について特殊な固定環境を整備することがない。
【0056】
なお、実施の形態1の変形例1では保護カバー1は、複数の固定部材30のうち少なくとも1つの固定部材30によってダクトカバー121に固定されている。しかし、これに限られたものではない。保護カバー1は、機械室120内部に配置されたダクトカバー121以外の適宜な構造物に固定することができる。さらに、必要に応じて、適宜な構造物に対向するように固定部材30の向きを変えてもよい。これにより、既存のエレベーター100のそれぞれに保護カバー1を適宜対応させることができる。
【0057】
また、実施の形態1及び実施の形態1の変形例1では、第1開口13は、正面板12aに形成されていた。しかし、これに限られたものではない。第1開口13は、いずれの側壁板12に形成してもよい。なお、第1開口13の開口面積が大きければ、調速機構105に対する作業が実施しやすくなる。
【0058】
また、実施の形態1及び実施の形態1の変形例1では、第2開口14は、第1側板12cに形成されていた。しかし、これに限られたものではない。第2開口14は、いずれの側壁板12に形成してもよい。また、第2開口14は、天板11に形成してもよい。さらには、複数の第2開口14を形成してもよい。
【0059】
また、実施の形態1及び実施の形態1の変形例1では、窓部材25は、光学的に透明な部材で構成されている。しかし、これに限られたものではない。窓部材25は、窓部材25を通してカバー本体10の外側から保護空間10aを見ることができるような素材で構成されていればよい。
【0060】
従って、窓部材25としては、孔の空いた板材、網、それぞれの棒材の間の隙間から保護空間10aを覗くことができるように配列された複数の棒材の集合体といったものであってもよい。また、窓部材25として、孔、隙間といった間隙を有する場合には、その間隙の大きさは、その間隙から小動物が侵入できない大きさにする必要がある。
【0061】
また、実施の形態1及び実施の形態1の変形例1では、保護カバー1は、複数の固定部材30を備えていた。しかし、これに限られたものではない。固定部材30の数は、適宜設定することができる。1つの固定部材30で保護カバー1を固定することができれば、固定部材30の数は1つでもよい。
【0062】
また、実施の形態1及び実施の形態1の変形例1では、電源装置50は、電池を有していた。しかし、これに限られたものではない。電源装置50は照明装置40に電力を供給できればよい。例えば、電源装置50を更に外部の電源供給機構に接続し、電源供給機構から電源装置50に電力が供給される構成にしてもよい。
【0063】
また、実施の形態1及び実施の形態1の変形例1の保護カバー1に対して、作業者の注意喚起を促す表示をしてもよい。例えば、「調速機構あり!注意のこと!」といった文言が記載されたラベルを天板11に貼り付けてもよい。また、黄色と黒色との縞模様を天板11の周囲の四辺に付してもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 保護カバー、10 カバー本体、10a 保護空間、11 天板、12 側壁板、12a 正面板、12b 背面板、12c 第1側板、12d 第2側板、13 第1開口、14 第2開口、20 点検扉、21 扉部、22 ロック機構、25 窓部材、30 固定部材、30a 第1板部、30b 第2板部、30c 第2板部孔、31 固定ねじ、40照明装置、40a 照明器具、40b スイッチ、50 電源装置、100 エレベーター、101 昇降路、102 かご、103 メインロープ、104 駆動機構、105 調速機構、105a 調速機構部、105b 調速ロープ、105c 上部プーリー、120 機械室、120a 床面、121 ダクトカバー(構造物)。